説明

車両用ブレーキ制御装置

【課題】2つのモータを駆動するブレーキバイワイヤ式の車両用ブレーキ制御装置において、モータでの電力消費量を低減できるようにする。
【解決手段】第1、第2モータを回転させる必要があるか否かを判定する。具体的には、目標W/C圧に相応した必要ブレーキ液量Aが第1、第2モータの累積回転数Bに一回転当たりのポンプ吐出量Cを掛け合わせた現在のブレーキ液量(B×C)よりも大きいか否かを判定する。ここで否定判定され、回転させる必要が無いとされた場合には、第1、第2モータを停止させるか、もしくは、W/C圧を保持できる程度に回転数を低下させて第1、第2モータを回転させるようにしている。これにより、第1、第2モータでの電力消費量をできる限り小さくすることが可能となる。そして、車両用ブレーキ制御装置での電力消費量をできるだけ小さくすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプによる加圧によりホイールシリンダ(以下、W/Cという)に圧力(以下、W/C圧という)を発生させられる車両用ブレーキ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1において、各車輪に対応して1つずつポンプを設けると共に、各配管系統毎に1つずつモータを設け、各モータによって各配管系統の2つのポンプを駆動するように構成したブレーキバイワイヤ式の車両用ブレーキ制御装置が提案されている。
【特許文献1】特開平10−203338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなブレーキバイワイヤ式の車両用ブレーキ制御装置では、基本的にバッテリからの電力供給に基づき、各配管系統に備えられた制御弁やポンプを駆動するためのモータを駆動する。このとき、消費電力量の大きいモータを2つも駆動しなければならないため、できる限り各モータの消費電力量を小さくすることが望まれる。
【0004】
本発明は上記点に鑑みて、2つのモータを駆動するブレーキバイワイヤ式の車両用ブレーキ制御装置において、モータでの電力消費量を低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、制御手段に、操作量センサに基づいてブレーキ操作部材が操作されたことを検出したときに、操作量センサにて検出された操作量に対応する目標ホイールシリンダ圧を求めると共に該目標ホイールシリンダ圧を発生させるために必要となる必要ブレーキ液量(A)を求める目標ホイールシリンダ圧演算部(100a)と、第1、第2回転センサの検出信号に基づいて、ブレーキ操作部材が操作されてからの第1、第2モータそれぞれの累積回転数(B)を演算する累積モータ回転数演算手段(100b)と、累積回転数に対して第1、第2モータの一回転当たりの第1〜第4ポンプによるブレーキ液吐出量(C)を掛け合わせて求められる現在のブレーキ液量(B×C)より必要ブレーキ液量が大きいか否かを判定するモータ駆動判定部(100c)と、を備える。そして、制御手段は、モータ駆動判定部にて、現在のブレーキ液量より必要ブレーキ液量の方が大きいと判定されると、第1〜第4リニア弁を駆動すると共に、第1、第2モータを駆動することで第1〜第4ポンプを駆動して前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダを加圧し、現在のブレーキ液量よりも必要ブレーキ液量の方が大きくないと判定されると、大きいと判定された場合と比べて、第1、第2モータの回転数を低下させる、もしくは、回転を停止させることで、前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダの加圧をやめることを特徴としている。
【0006】
このように、現在のブレーキ液量より必要ブレーキ液量の方が大きいか否かにより、第1、第2モータを回転させる必要があるか否かを判定している。そして、回転させる必要が無い場合には、第1、第2モータを停止させるか、もしくは、各ホイールシリンダ圧を保持できる程度に回転数を低下させて第1、第2モータを回転させるようにしている。これにより、第1、第2モータでの電力消費量をできる限り小さくすることが可能となる。
【0007】
例えば、請求項2に示すように、制御手段は、モータ駆動判定部にて、現在のブレーキ液量よりも必要ブレーキ液量の方が大きくないと判定されると、第1〜第4ポンプが吐出するブレーキ液量が第1〜第4リニア弁が調圧作用を発揮し得るリニア弁通過流量分となるように、第1、第2モータの回転数を設定することができる。
【0008】
このようにすれば、第1〜第4リニア弁での調圧作用を発揮させつつ、第1、第2モータでの電力消費量を低下させることが可能となる。
【0009】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を図1に示す。また、図2に、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の制御系を司るブレーキECU100の信号の入出力の関係を示す。以下、これらの図を参照して、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の構成について説明する。ここでは右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本実施形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した例について説明する。
【0012】
図1に示されるように、車両用ブレーキ制御装置には、上述したブレーキECU100(図2参照)に加えて、ブレーキペダル1、踏力センサ2、マスタシリンダ(以下、M/Cという)3、ストローク制御弁SCSS、ストロークシミュレータ4、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5、ホイールシリンダ(以下、W/Cという)6FL、6FR、6RL、6RRが備えられている。
【0013】
ドライバによってブレーキ操作部材に相当するブレーキペダル1が踏み込まれると、ブレーキペダル1に加えられる踏力が踏力センサ2に入力され、踏力センサ2から加えられた踏力に応じた検出信号が出力されるように構成されている。この検出信号はブレーキECU100に入力され、ブレーキECU100でブレーキペダル1に加えられた踏力が検出される。なお、ここではブレーキ操作部材の操作量を検出するための操作量センサとして踏力センサ2を例に挙げているが、ストロークセンサ等であっても良い。また、ストロークセンサの検出信号や後述するM/C圧を検出するための圧力センサ17、18の検出信号に基づいてドライバによるブレーキペダル1の操作状態を検出できるようにしても構わない。
【0014】
ブレーキペダル1には、加えられた踏力をM/C3に伝達するプッシュロッド等が接続されており、このプッシュロッド等が押されることでM/C3に備えられるプライマリ室3aおよびセカンダリ室3bにM/C圧が発生させられるようになっている。
【0015】
M/C3には、プライマリ室3aとセカンダリ室3bを構成するプライマリピストン3cおよびセカンダリピストン3dが備えられ、これらがスプリング3eの弾性力を受けることで、ブレーキペダル1が踏み込まれていないときには各ピストン3c、3dを押してブレーキペダル1を初期位置側に戻すように構成されている。
【0016】
M/C3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bからそれぞれブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に伸びる管路A、Bが備えられている。
【0017】
また、M/C3には、マスタリザーバ3fが備えられている。マスタリザーバ3fは、ブレーキペダル1が初期位置のときに、プライマリ室3aおよびセカンダリ室3bのそれぞれと図示しない通路を介して接続されるもので、M/C3内にブレーキ液を供給したり、M/C3内の余剰ブレーキ液を貯留する。
【0018】
このマスタリザーバ3fからは、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に向けて直接管路Cが延設されている。
【0019】
ストロークシミュレータ4は、管路Bに繋がる管路Dに接続されており、セカンダリ室3b内のブレーキ液を収容する役割を果たす。管路Dには、管路Dの連通・遮断状態を制御できる常閉型の二位置弁により構成されたストローク制御弁SCSSが備えられ、このストローク制御弁SCSSにより、ストロークシミュレータ4へのブレーキ液の流動が制御できるように構成されている。なお、ここではストロークシミュレータ4につながる管路Dを管路Bに接続しているが、管路Aに接続しても良い。
【0020】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5は、以下のように構成されている。
【0021】
M/C3のプライマリ室3aと前輪FRに対応するW/C(前輪用第1W/C)6FRを接続するように、管路Aに繋げられる管路Eが備えられている。この管路Eには、第1常開弁SNO1が備えられている。第1常開弁SNO1は、非通電時には連通状態、通電時には遮断状態となる二位置弁であり、この第1常開弁SNO1によって管路Eの連通・遮断状態が制御される。
【0022】
また、M/C3のセカンダリ室3bと前輪FLに対応するW/C(前輪用第2W/C)6FLを接続するように、管路Bが繋げられる管路Fが備えられている。この管路Fには、第2常開弁SNO2が備えられている。第2常開弁SNO2は、非通電時には連通状態、通電時には遮断状態となる二位置弁であり、この第2常開弁SNO2によって管路Fの連通・遮断状態が制御される。
【0023】
また、マスタリザーバ3fから延設された管路Cが接続される管路Gが設けられている。この管路Gは、管路G1、G2、G3、G4という4本の管路に分岐して、上述した前輪FL、FRに対応するW/C6FL、6FR、および、後輪RL、RRに対応するW/C(後輪用第1、第2W/C)6RL、6RRに接続される。
【0024】
各管路G1〜G4には、それぞれ1つずつポンプ(第1〜第4ポンプ)7、8、9、10が備えられている。各ポンプ7〜10は、例えば静寂性に有効なトロコイドポンプにより構成されている。ポンプ7〜10のうち、ポンプ7、8は、第1モータ11によって駆動され、ポンプ9、10は、第2モータ12によって駆動される。第1、第2モータ11、12としてどのようなモータを用いても良いが、立上りが早いブラシレスモータを用いると好ましい。また、第1、第2モータ11、12は、それぞれの回転数(例えば回転角度)に応じた検出信号を出力する回転センサ11a、12aが備えられており、その検出信号がブレーキECU100に入力されるようになっている。
【0025】
また、ポンプ7〜10のそれぞれには、並列的に調圧回路を構成する管路H1、H2、H3、H4が備えられている。
【0026】
ポンプ7に対して並列的に接続された管路H1には、直列的に接続された第1常閉弁SWC1と第1リニア弁SLFRが備えられ、第1常閉弁SWC1がポンプ7の吸入ポート側(上流側)に第1リニア弁SLFRが吐出ポート側(下流側)に位置するように配置されている。つまり、第1常閉弁SWC1により、管路H1を通じてマスタリザーバ3f側へのブレーキ液の返流を制御できる構成とされている。
【0027】
ポンプ8に対して並列的に接続された管路H2には、第2リニア弁SLRLが備えられている。
【0028】
ポンプ9に対して並列的に接続された管路H3には、直列的に接続された第2常閉弁SWC2と第3リニア弁SLFLが備えられ、第2常閉弁SWC2がポンプ9の吸入ポート側(上流側)に第3リニア弁SLFLが吐出ポート側(下流側)に位置するように配置されるている。つまり、第2常閉弁SWC2により、管路H3を通じてマスタリザーバ3f側へのブレーキ液の返流を制御できる構成とされている。
【0029】
ポンプ10に対して並列的に接続された管路H4には、第4リニア弁SLRRが備えられている。
【0030】
そして、管路G1〜G4のうち、各ポンプ7〜10と各W/C6FR〜6RRの間に圧力センサ(第1〜第4圧力センサ)13、14、15、16が配置されることで、各W/C圧が検出できるように構成されていると共に、管路E、Fのうち第1、第2常開弁SNO1、SNO2よりも上流側(M/C3側)にも圧力センサ17、18が配置されることで、M/C3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bに発生しているM/C圧を検出できるように構成されている。
【0031】
さらに、前輪FRに対するW/C6FRを加圧するためのポンプ7の吐出ポートおよび前輪FLに対するW/C6FLを加圧するためのポンプ9の吐出ポートには、それぞれ、逆止弁20、21が備えられている。これら逆止弁20、21は、W/C6FR、6FL側からポンプ7、9側へのブレーキ液の流動を禁止するために備えられている。このような構造により、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5が構成されている。
【0032】
このような車両用ブレーキ制御装置では、上述した管路A、管路Eを通じてプライマリ室3aとW/C6FRを繋ぐ油圧回路(第1補助管路)と、管路C、管路G、G1、G2を通じてマスタリザーバ3fとW/C6FR、6RLを繋ぐ油圧回路(主管路)、および、ポンプ7、8に並列的に接続された管路H1、H2の油圧回路(第1、第2調圧回路)が第1配管系統を構成するものとなる。
【0033】
また、管路B、管路Fを通じてセカンダリ室3bとW/C6FRを繋ぐ油圧回路(第2補助管路)と、管路C、管路G、G3、G4を通じてマスタリザーバ3fとW/C6FL、6RRを繋ぐ油圧回路(主管路)、および、ポンプ9、10に並列的に接続された管路H3、H4の油圧回路(第3、第4調圧回路)が第2配管系統を構成するものとなる。
【0034】
そして、図2に示されるように、上記した踏力センサ2や各圧力センサ13〜18の検出信号がブレーキECU100に入力される。
【0035】
ブレーキECU100は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。このブレーキECU100には、例えば、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12への電力供給ラインのON/OFFを制御する半導体スイッチング素子(図示せず)が備えられており、この半導体スイッチング素子のON/OFFを制御すること等により、電力供給のON/OFFや単位時間当たりに供給する電流値(つまり消費電力量)を制御できるようになっている。
【0036】
具体的には、ブレーキECU100は、目標W/C圧演算部100aと累積モータ回転数演算部100bとモータ駆動判定部100c等を有して構成されている。
【0037】
目標W/C圧演算部100aは、目標制動力を発生させるために必要となる目標W/C圧の演算を行うものである。具体的には、目標W/C圧演算部100aは、踏力センサ2の検出信号からブレーキ操作量に相当する踏力の物理値を求めたのち、それに対応する目標制動力を求めると共に、求めた目標制動力を発生させるために必要とされる目標W/C圧やそれに対応した必要ブレーキ液量を求める。
【0038】
例えば、ブレーキペダル1の操作量と比例する値として目標W/C圧を求めたのち、図3に示すブレーキ液量−目標W/C圧の特性図に基づいて必要ブレーキ液量を求める。すなわち、図3に示すように、ブレーキキャリパに対していわゆる無効消費液量分のブレーキ液が供給されるまではブレーキ液量を増加しても目標W/C圧が立ち上がらないが、その後は両者が比例関係となる。このため、目標W/C圧が求まれば、この特性図もしくはその関係を示す数式を用いて目標W/C圧に対応する必要ブレーキ液量を求めることができる。
【0039】
累積モータ回転数演算部100bは、第1、第2モータ11、12の累積回転数を演算するものである。第1、第2モータ11、12には、これらの回転数に応じた検出信号を出力する回転センサ11a、12aが備えられているため、累積モータ回転数演算部100bは、回転センサ11a、12aの検出信号に基づいて第1、第2モータ11、12それぞれの累積回転数を演算する。
【0040】
モータ駆動判定部100cは、目標W/C圧演算部100aでの演算結果と累積モータ回転数演算部100bの演算結果に基づいて、モータ駆動を行うか否かの判定を行うものである。これについては後で詳細に説明する。
【0041】
また、ブレーキECU100は、各部100a〜100cでの演算・判定結果に基づき、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12を駆動するための制御信号を出力することで、各W/C6FR〜6RRに対してW/C圧を発生させる。そして、ブレーキECU100は、各圧力センサ13〜18の検出信号からW/C圧およびM/C圧を求めることで、実際に発生させられている制動力(以下、実制動力という)をフィードバックし、目標制動力に近づけるようにする。
【0042】
このとき、図2に示すように、ブレーキECU100や各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12を駆動するための制御信号は、車載のバッテリ20からの電力供給に基づいて行われる。
【0043】
続いて、上記のように構成される車両用ブレーキ制御装置の動作について、通常ブレーキ時と車両用ブレーキ制御装置に異常が発生した場合(以下、異常時という)に分けて説明する。
【0044】
図4は、通常ブレーキ時と異常時の各部の駆動状態を示した模式図である。なお、異常が発生したか否かに関しては、従来より行われているイニシャルチェックなどに基づいてブレーキECU100で判定され、一旦異常が発生するとそれが解除されるまでは異常時のブレーキ動作が行われることになる。
【0045】
また、図5は、通常ブレーキ時にブレーキECU100で行われるモータ駆動制御処理のフローチャートである。この図に示されるモータ駆動制御処理は、例えば踏力センサ2によりブレーキペダル1の踏み込みが検出されたときにブレーキECU100の演算周期毎に実行される。
【0046】
以下、これらの図を参照して通常ブレーキ時と異常時の動作について説明する。
【0047】
(1)通常ブレーキ時の動作
通常ブレーキ時には、ブレーキペダル1が踏み込まれて踏力センサ2の検出信号がブレーキECU100に入力されると、ブレーキECU100は、図5のステップ110〜130で示されるように、目標W/C圧やそれに相応した必要ブレーキ液量Aの演算や、第1、第2モータ11、12の累積回転数Bの演算を行う。これらの演算は、ブレーキECU100の目標W/C演算部100aや累積モータ回転数演算部100bで行われる。
【0048】
そして、ステップ140において、モータ一回転当たりのポンプ7〜9でのブレーキ液吐出量をC(以下、一回転当たりの吐出量という)として、累積回転数B×一回転当たりの吐出量Cから現在のブレーキ液量(B×C)を求め、現在のブレーキ液量(B×C)よりも必要ブレーキ液量Aが大きいという関係式(A>B×C)を満たすか否かを判定する。この判定は、ブレーキECU100のモータ駆動判定部100cで行われる。
【0049】
ここでの判定に用いられる関係式は、第1、第2モータ11、12を駆動する必要があるか否かを判定するためのものである。累積回転数B×一回転当たりの吐出量Cよりも必要ブレーキ液量Aが多ければ、今回の演算周期までにポンプ7〜11が吐出したブレーキ液量がまだ必要ブレーキ液量Aに満たないということであるため、この場合には、ステップ150に進んでモータONを設定して処理を完了する。逆に、累積回転数B×一回転当たりの吐出量Cが必要ブレーキ液量Aよりも多ければ、今回の演算周期までにポンプ7〜11が吐出したブレーキ液量が必要ブレーキ液量Aを満たしたということであるため、この場合には、ステップ160に進んでモータOFFを設定して処理を完了する。
【0050】
したがって、ブレーキペダル1が踏み込まれて直ぐのときには、ポンプ7〜11が吐出したブレーキ液量がまだ必要ブレーキ液量Aに満たないため、モータONが設定され、各車輪FR〜RRに対して制動力を発生させることになる。
【0051】
具体的には、図4に示すような駆動形態となるように各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12を駆動する。
【0052】
すなわち、第1、第2常開弁SNO1、SNO2への通電は共にONされ、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2への通電も共にONされる。これにより、第1、第2常開弁SNO1、SNO2は共に遮断状態、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2は共に連通状態とされる。
【0053】
また、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRは、通電のON/OFFがデューティ制御(もしくはPWM制御)されることで、単位時間当たりの通電量が調整され、上下流間に発生させる差圧量がリニアに制御される。ストローク制御弁SCSSに関しては、通電がONされる。このため、管路B、Dを通じて、ストロークシミュレータ4がセカンダリ室3bと連通状態となり、ブレーキペダル1が踏み込まれたときに、各ピストン3c、3dが移動しても、セカンダリ室3b内のブレーキ液がストロークシミュレータ4に移動することになる。したがって、ドライバがブレーキペダル1を踏み込んだときに踏み込みに応じた反力が得られ、かつ、M/C圧が高圧になり過ぎることでブレーキペダル1に対して硬い板を踏み込むような感覚(板感)が発生することなく、ブレーキペダル1が踏み込めるようになっている。
【0054】
さらに、第1、第2モータ11、12への通電が共にONされ、ポンプ7〜10によるブレーキ液の吸入・吐出が行われる。このようにして、ポンプ7〜10によるポンプ動作が行われると、各W/C6FR〜6RRに対してブレーキ液が供給される。
【0055】
このとき、第1、第2常開弁SNO1、SNO2が遮断状態とされているため、ポンプ7〜10の下流側のブレーキ液圧、つまり各W/C6FR〜6RRのW/C圧が増加させられることになる。そして、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2が連通状態とされ、かつ、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの単位時間当たりの通電量がデューティ制御されているため、デューティ比に応じて各W/C6FR〜6RRのW/C圧が調整される。
【0056】
そして、ブレーキECU100にて、各圧力センサ13〜16の検出信号に基づいて各車輪FR〜RRのW/C6FR〜6RRに発生しているW/C圧をモニタリングし、第1、第2モータ11、12の通電量を調整することで第1、第2モータ11、12の回転数を制御すると共に、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電のON/OFFのデューティ比を制御することで、各W/C圧が所望の値となるようにする。
【0057】
これにより、ブレーキペダル1に加えられた踏力に応じた目標制動力となるように、制動力が発生させられることになる。
【0058】
続いて、ポンプ7〜11が吐出したブレーキ液量が必要ブレーキ液量Aを超えると、今度はモータOFFが設定されることになる。これにより、各W/C6FR〜6RRのW/C圧が目標W/C圧に保持され、目標制動力を発生させることができる。
【0059】
なお、ここでは、モータOFFと表現したが、ポンプOFFとは第1、第2モータ11、12の回転を完全に停止するという意味のみを示すものではない。
【0060】
例えば、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRにより各W/C6FR〜6RRが目標W/C圧となるように調整することになるが、調圧作用を良好に発揮させるために、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRをある程度ブレーキ液漏れする状態で使用しなければならないことがある。このような場合には、第1、第2モータ11、12の回転を停止させるのではなく、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRでのブレーキ液漏れ分を各ポンプ7〜10で供給できる程度に第1、第2モータ11、12を回転させなければならない。
【0061】
したがって、モータOFFとは、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRをある程度ブレーキ液洩れする状態で使用する場合には、そのブレーキ液漏れ分相当のブレーキ液が各ポンプ7〜10で吐出させられる程度に第1、第2モータ11、12の回転数を低下させることを意味する。また、ブレーキ液漏れ無しでも第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRでの調圧作用が確保できるような場合(例えば、これらがボール弁で構成されるような場合)には、モータOFFとは、第1、第2モータ11、12を停止させることを意味することになる。
【0062】
そして、この後は、ブレーキペダル1の踏み込みに応じて必要ブレーキ液量Aが変動するため、図5のステップ140の判定結果に応じてモータONとモータOFFのいずれかが設定され、また、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRの発生させる差圧量が制御されることで、各W/C6FR〜6RRが調圧される。
【0063】
(2)異常時のブレーキ動作
異常時には、ブレーキECU100から制御信号が出力できなくなるか、もしくは、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12が正常に駆動されない可能性がある。このため、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12すべてに関して、図4に示されるように通電がOFFされる。
【0064】
すなわち、第1、第2常開弁SNO1、SNO2への通電が共にOFFとなるため、これらは共に連通状態となる。第1、第2常閉弁SWC1、SWC2への通電も共にOFFとなるため、これらは共に遮断状態とされる。
【0065】
また、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRも、すべて通電がOFFとなるため、すべて連通状態となる。ストローク制御弁SCSSも通電がOFFとなるため、ストロークシミュレータ4とセカンダリ室3bの間が遮断状態となる。
【0066】
さらに、第1、第2モータ11、12への通電が共にOFFとなり、ポンプ7〜10によるブレーキ液の吸入・吐出も停止される。
【0067】
このような状態になると、M/C3におけるプライマリ室3aは、管路A、E、G1を介して右前輪FRにおけるW/C6FRとつながった状態となり、セカンダリ室3bは、管路B、F、G3を通じて左前輪FLにおけるW/C6FLとつながった状態となる。
【0068】
このため、ブレーキペダル1が踏み込まれ、加えられた踏力に応じてプッシュロッド等が押されることで、M/C3におけるプライマリ室3aおよびセカンダリ室3bにM/C圧が発生させられると、それが両前輪FL、FRのW/C6FL、6FRに伝えられる。これにより、両前輪FL、FRに対して制動力が発生させられることになる。
【0069】
なお、このような異常時の作動において、前輪側の各W/C6FR、6FLのW/C圧が管路G1、G3に発生することになるが、逆止弁20、21を備えているため、このW/C圧がポンプ7、9に加わることによってポンプ7、9でのブレーキ液漏れが発生し、W/C圧が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置によれば、第1、第2モータ11、12を回転させる必要があるか否かを判定し、回転させる必要が無い場合には、第1、第2モータ11、12を停止させるか、もしくは、W/C圧を保持できる程度に回転数を低下させて第1、第2モータ11、12を回転させるようにしている。これにより、第1、第2モータ11、12での電力消費量をできる限り小さくすることが可能となる。そして、車両用ブレーキ制御装置での電力消費量をできるだけ小さくすることが可能となる。
【0071】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第1実施形態と同様の構成となっているため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
図6は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示したものである。この図に示されるように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置では、管路Gが2つの管路Ga、Gbに分岐されており、管路Ga(つまり、分岐点よりも下流かつ管路H1、H2の上流側)に第1常閉弁SWC1が備えられ、管路Gb(つまり、分岐点よりも下流かつ管路H3、H4の上流側)に第2常閉弁SWC2が備えられた構成としてある。
【0073】
このような構成においても、第1、第2モータ11、12を回転させる必要があるか否かを判定し、回転させる必要が無い場合には、第1、第2モータ11、12を停止させるか、もしくは、W/C圧を保持できる程度に回転させるようにすれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、このような構成によれば、異常時に第1常閉弁SWC1が遮断状態となっても、管路H1、H2の上流側が遮断状態となるだけであるため、ブレーキペダル1の踏み込みによってM/C3のプライマリ室3aにM/C圧が発生させられると、それが右前輪FRのW/C6FRだけでなく左後輪RLのW/C6RLにも伝えられるようにできる。同様に、異常時に第2常閉弁SWC2が遮断状態となっても、管路H3、H4の上流側が遮断状態となるだけであるため、ブレーキペダル1の踏み込みによってM/C3のセカンダリ室3bにM/C圧が発生させられると、それが左前輪FLのW/C6FLだけでなく右後輪RRのW/C6RRにも伝えられるようにできる。
【0075】
このように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置によれば、異常時に4輪FR〜RRのすべてについて、W/C6FR〜6RRにW/C圧を発生させることが可能となる。これにより、よりバランス良い制動力を発生させることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、第1実施形態に示した逆止弁20、21を設けていないが、仮にポンプ7、9からブレーキ液漏れが発生したとしても、各ポンプ7、9の上流に位置する第1、第2常閉弁SWC1、SWC2によってブレーキ液が止められることになるため、W/C圧の低下は起こらない。
【0077】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第2実施形態と同様の構成となっているため、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0078】
図7は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示したものである。この図に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置は、第1、第2実施形態のように第1、第2常閉弁SWC1、SWC2の2つを備えた構造ではなく、1つの常閉弁SWCのみを2つの配管系統の双方で共用した構造としている。
【0079】
このような構成においても、第1、第2モータ11、12を回転させる必要があるか否かを判定し、回転させる必要が無い場合には、第1、第2モータ11、12を停止させるか、もしくは、W/C圧を保持できる程度に回転させるようにすれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、このような構成としても、通常ブレーキ時には、4輪FR〜RRのW/C6FR〜6RRのW/C圧を適宜調圧でき、異常時には、4輪FR〜RRのW/C6FR〜6RRに対してブレーキペダル1の踏み込みに応じてM/C3に発生したM/C圧を伝えることが可能となる。
【0081】
さらに、本実施形態では、異常時に、1つの常閉弁SWCにより、2つの配管系統のすべての車輪FR〜RRに対してM/C圧を伝えることが可能となるため、システムをコンパクトな構成とすることが可能となる。
【0082】
なお、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置において、常閉弁SWCの駆動形態は、図4に示した第1実施形態の車両用ブレーキ制御装置における第1、第2常閉弁SWC1、SWC2と同様である。
【0083】
(他の実施形態)
図1に示した車両用ブレーキ制御装置は、本発明を適用できるブレーキ構成例として示したものであり、図1に示したものに限定されるものではなく、様々な形態で変更可能である。
【0084】
また、第1実施形態では、右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本実施形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した例について説明したが、前後配管など他の系統にも本発明を適用可能である。
【0085】
また、上記各実施形態では、マスタリザーバ3fに繋がるのが管路Cの一本のみで、この管路Cを通じて第1、第2配管系統の双方へのブレーキ液の供給が行われるようにした。しかしながら、管路Cの他にもう一本備え、例えば管路Cにて第1配管系統へのブレーキ液の供給を行い、もう一本の管路にて第2配管系統へのブレーキ液の供給を行うようにしても良い。
【0086】
また、上記各実施形態では、第1〜第4ポンプ7〜10による加圧が行えない異常時を考慮して、M/C3と第1、第2配管系統を接続した構成とし、通常ブレーキ時にはマスタリザーバ3fからブレーキ液が供給されるようにしている。しかしながら、これも単なる一例であり、M/C3と第1、第2配管系統が接続される形態でなくても良いし、M/C3自体が無いようなブレーキ構成であっても構わない。また、ブレーキ液の供給もマスタリザーバ3fからでなく、ブレーキ液を貯留できる他のリザーバから行われるようにしても良い。
【0087】
さらに、上記実施形態では、フェールセーフを考慮して、第1〜第4リニア弁SLFL〜SLRRを駆動しなくてもブレーキペダル1の踏み込みに基づいて発生させられたM/C圧がW/C6FL、6FR等に伝えられるようにしている。しかしながら、異常が発生した場所が第1〜第4リニア弁SLFL〜SLRR以外の部位であれば、これらを駆動することができるため、これらに通電を行い管路H1〜H4を遮断状態(もしくは上下流間に最大差圧が発生させられる状態)にできるようにすれば、上記と同様にM/C圧をW/C6FL、6FR等に伝えることが可能となる。このため、必ずしも第1、第2常閉弁SWC1、SWC2および常閉弁SWCを備えなければならない訳ではなく、図8に示す油圧回路構成に示されるように、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2および常閉弁SWCを備えない構造であっても構わない。
【0088】
ただし、すべて機械的にフェールセーフが行えるようにするという意味では、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2および常閉弁SWCが重要となる。
【0089】
このため、図9に示す油圧回路構成のように、第1リニア弁SLFRと第3リニア弁SLFLを常閉型のリニア弁として構成しておけば、機械的にフェールセーフを行うことも可能となるため、より好ましい構造となる。勿論、第2、第4リニア弁SLRL、SLRRに関しても、常閉型のリニア弁としても構わない。
【0090】
なお、ブレーキ操作部材としてブレーキペダル1を例に挙げたが、ブレーキレバーなどであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す図である。
【図2】図1に示す車両用ブレーキ制御装置の制御系を司るブレーキECUの信号の入出力の関係を示すブロック図である。
【図3】ブレーキ液量−目標W/C圧の特性図である。
【図4】通常ブレーキ時と車両用ブレーキ制御装置に異常が発生した場合の各部の駆動状態を示した模式図である。
【図5】通常ブレーキ時にブレーキECU100で行われるモータ駆動制御処理のフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態における車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態における車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態における車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態における車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1…ブレーキペダル、2…踏力センサ、3…M/C、3a…プライマリ室、3b…セカンダリ室、3c…プライマリピストン、3d…セカンダリピストン、3e…スプリング、3f…マスタリザーバ、4…ストロークシミュレータ、5…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、6FL、6FR、6RL、6RR…W/C、7〜10…ポンプ、11、12…モータ、11a、12a…回転センサ、13〜18…圧力センサ、20、21…逆止弁、100…ブレーキECU、A、B、C、D、E、F、G1〜G4、H1〜H4…管路、FL、FR、RL、RR…車輪、SCSS…ストローク制御弁、SLFL、SLFR、SLRR、SLRR…第1〜第4リニア弁、SNO1、SNO2…第1、第2常開弁、SWC…常閉弁、SWC1、SWC2…第1、第2常閉弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバによって操作されるブレーキ操作部材(1)と、
前記ブレーキ操作部材の操作量を検出する操作量センサ(2)と、
2つの前輪(FR、FL)それぞれに対応して設けられた前輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR、6FL)、および、2つの後輪(RL、RR)それぞれに対応して設けられた後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6RL、6RR)と、
ブレーキ液を貯留しているリザーバ(3f)と、
前記リザーバと前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダをつなぎ、前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダそれぞれに接続されるように4つに分岐された主管路(C、G、G1〜G4)と、
前記主管路のうち4つに分岐された部位(G1〜G4)それぞれに対して1つずつ配置され、前記リザーバに貯留されたブレーキ液を吸入・吐出して、前記前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダそれぞれを加圧する第1〜第4ポンプ(7〜10)と、
前記第1、第2ポンプ(7、8)により加圧される系統を第1配管系統として、該第1配管系統に備えられた前記第1、第2ポンプを駆動するための第1モータ(11)と、
前記第1モータに備えられ、該第1モータの回転数に応じた検出信号を出力する第1回転センサ(11a)と、
前記第3、第4ポンプ(9、10)により加圧される系統を第2配管系統として、該第2配管系統に備えられた前記第3、第4ポンプを駆動するための第2モータ(12)と、
前記第2モータに備えられ、該第2モータの回転数に応じた検出信号を出力する第2回転センサ(12a)と、
前記第1〜第4ポンプに並列的に配置され、前記リザーバへブレーキ液を返流する管路となる第1〜第4調圧回路(H1〜H4)と、
前記第1〜第4調圧回路にそれぞれ対応して配置された第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)と、
前記操作量センサの検出信号に基づいて、前記第1〜第4リニア弁および前記第1、第2モータを駆動する制御手段(100)と、を備えた車両用ブレーキ制御装置であって、
前記制御手段は、
前記操作量センサに基づいて前記ブレーキ操作部材が操作されたことを検出したときに、前記操作量センサにて検出された操作量に対応する目標ホイールシリンダ圧を求めると共に該目標ホイールシリンダ圧を発生させるために必要となる必要ブレーキ液量(A)を求める目標ホイールシリンダ圧演算部(100a)と、
前記第1、第2回転センサの検出信号に基づいて、前記ブレーキ操作部材が操作されてからの前記第1、第2モータそれぞれの累積回転数(B)を演算する累積モータ回転数演算手段(100b)と、
前記累積回転数に対して前記第1、第2モータの一回転当たりの前記第1〜第4ポンプによるブレーキ液吐出量(C)を掛け合わせて求められる現在のブレーキ液量(B×C)より前記必要ブレーキ液量が大きいか否かを判定するモータ駆動判定部(100c)と、を備え、
前記モータ駆動判定部にて、前記現在のブレーキ液量より前記必要ブレーキ液量の方が大きいと判定されると、前記第1〜第4リニア弁を駆動すると共に、前記第1、第2モータを駆動することで前記第1〜第4ポンプを駆動して前記前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダを加圧し、前記現在のブレーキ液量よりも前記必要ブレーキ液量の方が大きくないと判定されると、前記大きいと判定された場合と比べて、前記第1、第2モータの回転数を低下させる、もしくは、回転を停止させることで、前記前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダの加圧をやめることを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記モータ駆動判定部にて、前記現在のブレーキ液量よりも前記必要ブレーキ液量の方が大きくないと判定されると、前記第1〜第4ポンプが吐出するブレーキ液量が前記第1〜第4リニア弁が調圧作用を発揮し得るブレーキ液漏れ分となるように、前記第1、第2モータの回転数を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−216772(P2007−216772A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37996(P2006−37996)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】