説明

車両用ボード部材および車両用ボード部材の製造方法

【課題】外観品質を確保するとともに他部品に対する部品合わせを向上させる車両用ボード部材を提供する。
【解決手段】本発明は、芯材20を表面材30,40で挟んでボード状に形成されたボード本体10を備えた車両用ボード部材であって、表面材30,40は、ボード本体10の端部11における表面材30,40の表面同士を接触させた状態でボード本体10の内部に突出して設けられた重合部50と、重合部50からボード本体10の上面側に連なる上側折り返し部31と、重合部50からボード本体10の下面側に連なる下側折り返し部41とを備えて構成されており、上側折り返し部31と下側折り返し部41は、重合部50において芯材20側に凹んだ形態で互いに連なる構成としたところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ボード部材および車両用ボード部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯材を表面材で包み込んでなるボード本体を備えた車両用ボード部材が知られている。例えば、下記特許文献1ないし3に記載の車両用ボード部材は、いずれもボード本体の端部が丸みを帯びた形状をなしており、表面材の端部同士を突き当てた構成とされている。このような構成によると、図9に示すように、ボード本体1の端部2の曲がり具合が緩やかになるため、段差状をなす棚部3の下段3Bに端部2を載置した状態で側方から衝撃を受けた場合に、端部2が棚部3の上段3Aに乗り上げやすくなるという問題点がある。また、棚部3の上段3Aとボード本体1の上面1Aとの見切りラインに大きな隙間Sが形成されてしまい、この隙間Sに小物が落ち込んだり、外観を損ねるなどの問題点もある。
【0003】
また、車両用ボード部材の他の形態として、図10に示すように、表面材5の端部における裏面同士を重ね合わせたものが知られている。この車両用ボード部材によると、棚部3の上段3Aとボード本体4の上面4Aとの見切りラインに大きな隙間が形成されないため、外観を損ねることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭51−125595号公報
【特許文献2】特開2006−103027号公報
【特許文献3】特開2007−237419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ボード本体4の端部6において表面材5同士を重ね合わせて熱圧着により接合しているため、端部6に圧着時のバリが形成され、外観品質などの点から好ましいとはいえない。また、ボード本体4の端部6の下面が緩やかな曲面形状となっているため、側方から衝撃を受けた場合に、やはりボード本体4の端部6が棚部3の上段3Aに乗り上げやすい。さらに、ボード本体4の端部6の下面における曲面部分を支持することはできないため、ボード本体4の端部6の下面における平面部分を支持すべく棚部3の下段3Cを長めに形成する必要がある。このように、棚部3などの他部品に対する部品合わせの点から好ましいとはいえない。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、外観品質を確保するとともに他部品に対する部品合わせを向上させる車両用ボード部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、芯材を表面材で挟んでボード状に形成されたボード本体を備えた車両用ボード部材であって、表面材は、ボード本体の端部における表面材の表面同士を接触させた状態でボード本体の内部に突出して設けられた重合部と、重合部からボード本体の一面側に連なる一側折り返し部と、重合部から前記ボード本体の他面側に連なる他側折り返し部とを備えて構成されており、一側折り返し部と他側折り返し部は、重合部において芯材側に凹んだ形態で互いに連なる構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、ボード本体の端部に一側折り返し部と他側折り返し部が形成されるため、各折り返し部の曲がり具合を急にすることができる。このため、ボード本体と他部品との見切りラインに形成される隙間を小さくすることができ、他部品に対する部品合わせを向上させることができる。また、成形時のバリが発生しやすい重合部を芯材の内部に配置したため、外観品質を確保することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
ボード本体の端部に一対の角部が形成され、両角部の間に、ボード本体の板厚方向に延びる立ち面が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、ボード本体の端部を支持する棚部などの他部品に対して立ち面を宛うことができるため、ボード本体の端部が棚部などの他部品に乗り上げることを規制できる。
【0010】
重合部は、ボード本体の端部における表面材の表面同士を熱溶着したものである構成としてもよい。
このような構成によると、例えばボード本体を加熱により軟化した状態にしておき、ボード本体の端部における表面材の表面同士を接触させて熱溶着することにより、重合部を接触状態に保持することができる。
【0011】
重合部は、ボード本体の端部における重合部を通るラインを縫製したものである構成としてもよい。
このような構成によると、ボード本体の端部を縫製することによりボード本体の端部における表面材の表面同士を接触状態に保持することができる。
【0012】
また、本発明は、芯材を表面材で挟んでボード状に形成されたボード本体を加熱により軟化した状態のまま治具にセットするセット工程と、治具にセットされたボード本体の端部に、端末成形型に設けた切断刃を突き刺して切断することによりボード本体の端部を分離する分離工程と、切断刃を後退させるとともに端末成形型に設けた成形面を前進させて、切断刃により分離されたボード本体の端部を成形面に沿って折り返す折り返し工程と、成形面により折り返されたボード本体の端部における表面材の表面同士を接触させて重合部を成形する成形工程とを備えた車両用ボード部材の製造方法としてもよい。
【0013】
このようにすると、セット工程において軟化状態のボード本体を治具にセットし、分離工程においてボード本体の端部に切断刃を突き刺してボード本体の端部を切断、分離し、成形工程において分離されたボード本体の端部を成形面に沿わせることにより、ボード本体の端部における表面材の表面同士を接触させた状態でボード本体の内部に突出する重合部を成形する。これにより、外観品質を確保するとともに他部品に対する部品合わせを向上させた車両用ボード部材を製造することができる。
【0014】
成形工程において端末成形型を後退させた後、さらにボード本体の端部を圧着型によって挟み込むようにしてもよい。
このようにすると、圧着型によりボード本体の端部における表面材の表面同士を確実に密着させることができる。
【0015】
成形工程の後、ボード本体の端部における重合部を通るラインを縫製する縫製工程を備えてもよい。
このようにすると、ボード本体の端部を縫製することによりボード本体の端部における表面材の表面同士を接触状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外観品質を確保するとともに他部品に対する部品合わせを向上させる車両用ボード部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1においてボード本体を治具にセットした状態(セット工程)を示す図
【図2】ボード本体の端部に切断刃を突き刺して切断し、分離した状態(分離工程)を示す図
【図3】ボード本体の端部を成形面に沿わせることにより、折り返し部を成形した状態を示す図
【図4】ボード本体の端部を圧着型によって挟み込むことにより、重合部を成形した状態(成形工程)を示す図
【図5】車両用ボード部材を棚部に設置した状態を示す図
【図6】ボード部材を押し出し成形する工程を示す図
【図7】実施形態2においてボード本体の端部における重合部を通るラインを縫製した状態(縫製工程)を示す図
【図8】他の実施形態においてボード本体の端部に切断刃を突き刺して切断し、分離した状態(分離工程)を示す図
【図9】従来の車両用ボード部材(端縁同士を突き当てたタイプ)を棚部に設置した状態を示す図
【図10】従来の車両用ボード部材(端部同士を重ね合わせたタイプ)を棚部に設置した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6の図面を参照しながら説明する。本実施形態における車両用ボード部材は、略板状をなすボード本体10を有している。図5に示すように、ボード本体10は、多数の凹部21を有する芯材20を、上側表面材30と下側表面材40とで包み込むように積層してなる中空積層板とされている。なお、本実施形態の車両用ボード部材は、例えば、車両の荷室に配置されるデッキボード、車両のシートを構成するシートバック、ヘッドレスト、車両の天井基材、ドアトリムなどに使用できる。
【0019】
芯材20は、上側に開口する凹部21が並んで形成された、いわゆるハニカム構造を有している。ここで、ハニカム構造とは、「Honeycomb」すなわち蜂の巣状の構造であり、円錐台形状、小さい六角柱状(六角形の細かい孔)、丸い円柱状(円柱形の細かい孔)のものを多数連続したパネル状のものをいう。芯材20の上面20Aは、超音波溶着や熱溶着などの溶着手段によって上側表面材30に接合されている。一方、芯材20の下面20Bは、上面20Aと同じ溶着手段によって下側表面材40に接合されている。なお、上側表面材30の表面に、さらに表皮材が貼着される場合もある。
【0020】
なお、本実施形態の芯材20は、例えば、エンジニアリング・プラスチックス(略称エンプラ)、オレフィン系樹脂などから形成されている。ここで、エンジニアリング・プラスチックスとは、耐熱性、耐摩耗性、寸法安定性、電気特性などを備えた合成樹脂で、主要なものとして、ポリカーボネート、ポリアミド、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイドなどがある。また、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、TPO(PPとゴム成分の混合物)などが挙げられる。一方、上側表面材30と下側表面材40は、ポリプロピレン、エンジニアリング・プラスチックス、オレフィン系樹脂などから形成されたボード材からなる。
【0021】
ボード本体10の内部には、上側に開口する凹部21の開口部21Aを上側表面材30で密閉することにより、複数の中空室22が形成されている。これにより、ボード本体10は軽量化が図られ、剛性および断熱性を備えている。
【0022】
すなわち、ボード本体10は、多数の中空室22を備えたことにより、押し潰されたり、湾曲変形しても、元の形状に復元する曲げ剛性、圧縮剛性および衝撃吸収作用を備えている。また、ボード本体10は、多数の中空室22内に空気が密閉されていることにより、軽量であるとともに、前記空気が熱を遮断するため、断熱性に優れている。
【0023】
上側表面材30と下側表面材40は、ボード本体10の端部11において互いに向かい合う方向に折り返されている。ボード本体10の端部11は、上側表面材30に連なる上側折り返し部31と、下側表面材40に連なる下側折り返し部41とからなる。上側表面材30の表面に連なる上側折り返し部31の端面32と下側表面材40の表面に連なる下側折り返し部41の端面42とは、圧着または溶着により接合されており、この接合部が重合部50とされている。
【0024】
重合部50は、ボード本体10の端部の内部に突出して設けられている。さらに、上側折り返し部31と下側折り返し部41は、重合部50において芯材20側に凹んだ形態で互いに連なっている。このため、重合部50においては、圧着時や溶着時にバリが発生することがあるものの、重合部50がボード本体10の内部に配置されているため、外部からバリが見えることはなく、外観品質の点において問題となることはない。
【0025】
上側折り返し部31と下側折り返し部41は、重合部50において芯材20側に凹んだ形態で互いに連なっている。ボード本体10の端部11では、各折り返し部31,41が板厚方向に並んで配置されている。このため、ボード本体10の端部11に単一の折り返し部を設けた場合よりも、各折り返し部31,41の曲がり具合を急にすることができる。これにより、ボード本体10の端部11における上下両端部に一対の角部12を形成することができ、両角部12の間に、上下方向に延びる一対の鉛直面(本発明の「立ち面」の一例)13を形成することができる。
【0026】
上記のボード本体10の端部11が設置される箇所としては、例えば図5に示すように、上段61と下段62が側壁63によって段差状に連結された棚部60などが挙げられる。側壁63の高さ寸法は、ボード本体10の板厚とほぼ一致するように設定されている。このため、ボード本体10の端部11を下段62の上面に載置した状態では、ボード本体10の端部11の上面と上段61の上面とがほぼ面一をなして水平方向に並ぶ配置とされている。
【0027】
また、角部12がほぼ直角に近い形状とされているため、ボード本体10の端部11と棚部60との見切りラインBLに大きな隙間が形成されず、棚部60の側壁63に対するボード本体10の端部11の部品合わせを向上させることができる。この結果、見切りラインBLに小物が落ち込むことを効果的に規制することができる。さらに、一対の鉛直面13が棚部60の側壁63に対して2箇所で接触可能とされているため、側方から衝撃を受けた場合でも、ボード本体10の端部11が棚部60の上段61に乗り上げにくくなっており、ボード本体10を定位置に保持することができる。
【0028】
本実施形態は以上のような構成であって、続いて車両用ボード部材の製造方法について説明する。
まず、ボード本体10の押し出し成形工程について図6を参照しながら説明する。押し出し成形装置は、成形ロール90、成形ロール90の周りに設置された第1押出機91と第2押出機92、成形ロール90の下流側に設置された第3押出機93、第3押出機93の下流側に設置された切断機94などを備えて構成されている。第1押出機91から押し出された芯材20の溶融樹脂は、成形ロール90に接触する前に真空成形されることによって凹部21が形成される。
【0029】
凹部21が形成された芯材20は、成形ロール90の外周面に接触した状態で搬送され、第2押出機92から押し出された下側表面材40の溶融樹脂が芯材20の表面に積層される。下側表面材40が積層された後、芯材20は成形ロール90の外周面から離れ、第3押出機93側へ搬送される。第3押出機93から押し出された上側表面材30の溶融樹脂は、芯材20における下側表面材40とは反対側の面に積層され、帯状のボード本体10に成形される。このボード本体10は、切断機94側へ搬送され、切断機94によって定尺サイズに切断される(押し出し成形工程)。
【0030】
定尺サイズに切断されたボード本体10は、押し出し成形によって加熱により軟化した状態となっており、加熱状態のまま治具70にセットされる。治具70は、図1に示すように、上型71と下型72とから構成され、上下両型71,72の間にボード本体10を挟み込んだ状態に保持する。この状態では、ボード本体10の端部11が上下両型71,72の端面から側方にはみ出した状態とされている。このはみ出し部分における上側表面材30と下側表面材40の端部同士は分離されており、両表面材30,40の間に積層された芯材20が側方に臨んでいる。このため、この時点ではボード本体10の端部11に両折り返し部31,41が形成されていない(セット工程)。
【0031】
ここで、端末成形型73の構成について簡単に説明する。この端末成形型73は、治具70の側方に配置されており、切断刃74は、治具70に保持されたボード本体10の端部11の側方に配置されている。この切断刃74は、図1に示す退避位置と、図2に示す切断位置との間を移動可能とされている。また、端末成形型73において切断刃74の上下両側には、円弧状をなす一対の成形面75が凹設されている。換言すると、両成形面75は、退避位置にある切断刃74を中心として上下両側に円弧面が形成された略M字状の曲面形状をなしている。そして、端末成形型73自体は、図2に示す後退位置と、図3に示す前進位置との間を移動可能とされている。
【0032】
次に、ボード本体10の端部11において芯材20に対し、端末成形型73に設けた切断刃74を突き刺して切断することによりボード本体10の端部11を上下に分離する。これにより、ボード本体10の端部11は、上側表面材30と下側表面材40に分離される。こうして、切断刃74の上下両側に両表面材30,40が配置される(分離工程)。
【0033】
引き続き、図3に示すように、端末成形型73を後退位置から前進位置へ移動させて各表面材30,40の端部を各成形面75,75に沿わせて折り返し状に成形すると同時に、切断刃74を切断位置から退避位置に移動させる。これにより、各表面材30,40の端部が各折り返し部31,41に成形される。なお、各折り返し部31,41を各成形面75,75に宛った状態で切断刃74を引き抜くことにより、各折り返し部31,41を折り返し状に保持することができる(折り返し工程)。
【0034】
次に、端末成形型73を前進位置から後退位置へ移動させ、上下一対の圧着型76,76を用いてボード本体10の端部11を上下から挟み込む。両圧着型76,76の合わせ面には、ボード本体10の板厚と同じ高さを有してボード本体10の端部11側に開口する略方形の凹部77が形成されている。これにより、ボード本体10の端部11に、一対の角部12と一対の鉛直面13が形成されるとともに、重合部50が形成される。この後、両圧着型76,76を上下方向に開くとともに、上下両型71,72を上下方向に開き、ボード本体10を離型することにより、図5に示す車両用ボード部材が得られる(成形工程)。
【0035】
以上のように本実施形態によると、ボード本体10の端部11を上側折り返し部31と下側折り返し部41とからなる上下一対の折り返し部で構成したから、ボード本体10の端部11に一対の角部12と一対の鉛直面13を形成することができる。この結果、ボード本体10の端部11と棚部60との見切りラインBLに形成される隙間を小さくすることができる。よって、見切りラインBLで小物が落ちることを回避でき、見切りラインBLの外観を向上させることができる。
【0036】
また、ボード本体10が側方から衝撃を受けた場合に、上側の鉛直面13が側壁63の上部に接触し、下側の鉛直面13が側壁63の下部に接触するから、ボード本体10が棚部60の上段61に容易に乗り上げることを規制できる。また、重合部50がボード本体10の端部11の内部に配置されているため、重合部50に溶着時のバリが形成されている場合でも、外部からバリが見えることはなく、外観品質を確保することができる。このように本実施形態では、外観品質を確保するとともに棚部60に対する部品合わせを向上させることができる車両用ボード部材を提供することができる。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図7の図面を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1の車両用ボード部材においてボード本体10の端部11にさらに縫製を施したものであり、その他の共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。ボード本体10の端部11において縫製を施す縫製ラインSLは、重合部50を上下方向に通る位置に設定されている。このため、ボード本体10の端部11は、上側表面材30と重合部50と下側表面材40を重ね合わせた状態で糸80によって締め付けられる。このようにすると、実施形態1よりも重合部50の接合強度を高めることができる。また、ボード本体10の外周に沿ってステッチ模様が形成されるため、車両用ボード部材の外観の向上に寄与しうる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では平板状の車両用ボード部材を例示しているものの、本発明によると、車両用ボード部材が設置される相手側部材の形状に沿う形態であれば他の形態でもよい。
【0039】
(2)上記実施形態では上側表面材30と下側表面材40を例示しているものの、本発明によると、車室内の側壁に取り付けられる内装材の場合には、左側表面材と右側表面材としてもよい。
【0040】
(3)上記実施形態では表面材が上側表面材30と下側表面材40とに切断されているものの、本発明によると、上側表面材30と下側表面材40とに切断することなく、一体のまま重合部を形成したものも含まれる。すなわち、上側表面材30と下側表面材40が一体となった表面材によって芯材20を包んだ状態でボード本体10を形成してもよい。
【0041】
(4)実施形態2では重合部50を熱溶着した上で縫製を施しているものの、本発明によると、熱溶着しないで縫製を施してもよい。
(5)上記実施形態では、切断刃74をボード本体10の内部に対して深めに突き刺しているものの、本発明によると、図8に示すように、上記実施形態よりも浅めに切断刃74をボード本体10の内部に突き刺してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…ボード本体
11…端部
12…角部
13…鉛直面(立ち面)
20…芯材
30…上側表面材(一側表面材)
31…上側折り返し部(一側折り返し部)
40…下側表面材(他側表面材)
41…下側折り返し部(他側折り返し部)
50…重合部
70…治具
71…上型
72…下型
73…端末成形型
74…切断刃
75…成形面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材を表面材で挟んでボード状に形成されたボード本体を備えた車両用ボード部材であって、
前記表面材は、前記ボード本体の端部における前記表面材の表面同士を接触させた状態で前記ボード本体の内部に突出して設けられた重合部と、前記重合部から前記ボード本体の一面側に連なる一側折り返し部と、前記重合部から前記ボード本体の他面側に連なる他側折り返し部とを備えて構成されており、
前記一側折り返し部と前記他側折り返し部は、前記重合部において前記芯材側に凹んだ形態で互いに連なることを特徴とする車両用ボード部材。
【請求項2】
前記ボード本体の端部に一対の角部が形成され、両角部の間に、前記ボード本体の板厚方向に延びる立ち面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ボード部材。
【請求項3】
前記重合部は、前記ボード本体の端部における前記表面材の表面同士を熱溶着したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ボード部材。
【請求項4】
前記重合部は、前記ボード本体の端部における前記重合部を通るラインを縫製したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両用ボード部材。
【請求項5】
芯材を表面材で挟んでボード状に形成されたボード本体を加熱により軟化した状態のまま治具にセットするセット工程と、
前記治具にセットされた前記ボード本体の端部に、端末成形型に設けた切断刃を突き刺して切断することにより前記ボード本体の端部を分離する分離工程と、
前記切断刃を後退させるとともに前記端末成形型に設けた成形面を前進させて、前記切断刃により分離された前記ボード本体の端部を前記成形面に沿って折り返す折り返し工程と、
前記成形面により折り返された前記ボード本体の端部における前記表面材の表面同士を接触させて重合部を成形する成形工程とを備えた車両用ボード部材の製造方法。
【請求項6】
前記成形工程において前記端末成形型を後退させた後、さらに前記ボード本体の端部を圧着型によって挟み込むことを特徴とする請求項5に記載の車両用ボード部材の製造方法。
【請求項7】
前記成形工程の後、前記ボード本体の端部における前記重合部を通るラインを縫製する縫製工程を備えた請求項5または請求項6に記載の車両用ボード部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−183837(P2011−183837A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48101(P2010−48101)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】