車両用マルチフェーズコンバータ
【課題】車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、昇圧動作及び充電動作を切換えることができるともに、リアクトルの数を実質的に削減して低コスト化を図る。
【解決手段】車両用マルチフェーズ昇圧コンバータは、リアクトルL1,L2,L3を備える。リレーRe1〜Re7を切換えることで昇圧モードと充電モードを切換える。リアクトルL1,L2はコア構造に形成されて磁気結合するとともに、リアクトルL3も同一コア構造の残りの磁路に形成され、容積の増大が抑制される。
【解決手段】車両用マルチフェーズ昇圧コンバータは、リアクトルL1,L2,L3を備える。リレーRe1〜Re7を切換えることで昇圧モードと充電モードを切換える。リアクトルL1,L2はコア構造に形成されて磁気結合するとともに、リアクトルL3も同一コア構造の残りの磁路に形成され、容積の増大が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用マルチフェーズコンバータに関し、特に外部電源による充電が可能なリレー切り替え型のマルチフェーズコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等において、電源電圧とインバータの駆動電圧の最適化を測るために、電源電圧を昇圧してインバータに供給する昇圧コンバータが用いられている。一方、自動車の仕様によっては充電装置が必要となり、例えばプラグインハイブリッド自動車では家庭用電源からの電力で車載二次電池を充電するための充電器が必要となる。昇圧コンバータとしての機能と、外部電源からの電力で車載二次電池を充電するための充電機能は、リレーを用いて適宜切り替えることが可能である。
【0003】
図9に、昇圧コンバータとしての機能と、充電機能とを切り替えることが可能な車両用マルチフェーズコンバータの一例を示す。リレー切り替え型2相昇圧コンバータである。
【0004】
二次電池Vbの正極側に、リレーRe3を介してスイッチング素子S1の正極側端子及びスイッチング素子S3の正極側の端子が並列に接続され、二次電池Vbの負極側に、スイッチング素子S2の負極側の端子及びスイッチング素子S4の負極側の端子が並列に接続される。スイッチング素子S1の他方の端子とスイッチング素子S2の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S3の他方の端子とスイッチング素子S4の他方の端子は直列に接続される。また、二次電池Vbの正極側に、リレーRe3を介してキャパシタC1の正極側端子がスイッチング素子S1〜S4と並列に接続され、キャパシタC1の負極側端子は抵抗R1を介して二次電池Vbの負極側に接続される。
【0005】
また、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点との間に、リレーRe1及びリアクトルL1が直列に接続される。また、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S2とスイッチング素子S2の接続節点との間に、リレーRe2及びリアクトルL2が直列に接続される。家庭用電源(AC100V)と接続するコンセント(電源プラグ)10は、リレーRe1とリアクトルL1との間、及びリレーRe2とリアクトルL2との間に接続される。
【0006】
さらに、キャパシタC1の正極側端子は、互いに並列接続されたリレーRe4、リレーRe5、抵抗R2を介してキャパシタC2の正極側端子に接続される。キャパシタC2の負極側端子は、互いに並列接続された抵抗R1、リレーRe6を介するとともに、リレーRe7を介してキャパシタC2の負極側端子に接続される。キャパシタC2はインバータ12に接続される。
【0007】
ここで、抵抗R1,R2は、それぞれキャパシタC1,C2を充電するための抵抗であり、キャパシタ電圧をバランスさせてからメインリレーをオンするためのものである。キャパシタC2は、いわゆる平滑用キャパシタであり、リレーRe4,Re5,Re7はシステムメインリレーである。単なる昇圧コンバータと比べて、リレーRe1,Re2,Re3,Re6,抵抗R1,キャパシタC1が付加された構成である。
【0008】
このような構成において、昇圧コンバータとして機能させる場合には、リレーRe3をオフとし、リレーRe1,Re2,Re4,Re5,Re6,Re7をオンする。そして、スイッチング素子S1〜S4をオン、オフ制御することでリアクトルL1,L2に誘導起電力を生じさせ、二次電池Vbの端子電圧以上に昇圧してキャパシタC1を充電してインバータ12に昇圧後の電圧を印加する。
【0009】
一方、充電モードで機能させる場合には、リレーRe1,Re2,Re4,Re5,Re7をオフとし、リレーRe3,Re6をオンにする。すると、図10に示す回路構成となり、スイッチング素子S1〜S4をオン、オフ制御することでインバータとして動作させ、コンセント10からの交流電力を直流電力に変換してキャパシタC1を充電し、さらにキャパシタ18の放電により二次電池Vbを充電する。
【0010】
なお、図9に示す昇圧コンバータは2相昇圧コンバータであるが、マルチフェーズコンバータにすれば小型化が可能であることが知られている。例えば、下記の非特許文献1には、昇圧チョッパの容量を1/NにしてN個を並列に接続し、駆動パルスの位相を2π/Nずつずらした構成をN相のマルチフェーズコンバータと称している。
【0011】
また、非特許文献2,3には、2相磁気結合リアクトルの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−308255号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】”Automotive Powertrain DC/DC Converter with 25kW/dm3 by using SIC Diodes “, B. Eckardt, A. Hofmann, S. Zeltner, M. Maerz, CIPS2006
【非特許文献2】” Performance Improvements of Interleaving VRMS with coupling inductors”, Pit-Leong Wong et al, IEEE Trns. On Power Electronics Vol.16, No.4, 2001
【非特許文献3】” Investing Coupling Inductors in the Interleaving QSW VRM” Pit-Leong Wong, Q. Wu, Peng Xu, Proceedings APEC 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、単にマルチフェーズ化(多相化)することは、その分だけリアクトルの数が増え、コストが増加する問題がある。図9の構成では、L1,L2の2つのリアクトルが必要となりコストが高くなることに加え、電池電流が制御できない問題もある。なお、電池への充電電流の制御のために、2相ではなく3相構成とし、3相目で電池電流の制御を行うことも考えられるが、その分だけさらにリアクトルの数が増大してしまう問題がある。
【0015】
本発明の目的は、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、昇圧動作及び充電動作を切換えることができるともに、リアクトルの数を実質的に削減して低コスト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、前記外部電源は単相電源であり、前記昇圧リアクトルは、コア構造に2つのリアクトルが形成されることで2相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2および第3凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、前記昇圧リアクトルは、前記第1及び第3凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2凸状脚部に形成される。
【0018】
また、本発明の他の実施形態では、前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能する。
【0019】
また、本発明は、相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、前記外部電源は3相電源であり、前記昇圧リアクトルは、コア構造に3つのリアクトルが形成されることで3相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする。
【0020】
本発明の1つの実施形態では、前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2、第3、第4および第5凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、前記昇圧リアクトルは、前記第1、第3及び第5凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2あるいは第4凸状脚部の少なくともいずれかに形成される。
【0021】
また、本発明の他の実施形態では、前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2及び第4凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能する。
【0022】
また、本発明の他の実施形態では、前記降圧リアクトルは、前記第2及び第4凸状脚部に形成され、互いに直列あるいは並列接続される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、昇圧動作及び充電動作を切換えるとともに、リアクトルの数を実質的に削減して低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成図である。
【図2】実施形態における3相昇圧コンバータの基本回路構成図である。
【図3】図2の回路構成における充電モード時の等価回路構成図である。
【図4A】2相磁気結合リアクトルのコア構造説明図である。
【図4B】2相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図4C】実施形態の補助コイルを形成した2相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図5】他の実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成図である。
【図6A】3相磁気結合リアクトルのコア構造説明図である。
【図6B】3相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図6C】実施形態の補助コイルを形成した3相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図7】他の実施形態における3相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図8】他の実施形態における2相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図9】従来回路の回路構成図である。
【図10】図9の回路構成における充電モード時の等価回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1に、本実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成を示す。二次電池Vbの正極側に、リアクトルL3、リレーRe3及びスイッチS5を介してスイッチング素子S1の正極側端子及びスイッチング素子S3の正極側の端子が並列に接続され、二次電池Vbの負極側に、スイッチング素子S2の負極側の端子及びスイッチング素子S4の負極側の端子が並列に接続される。スイッチング素子S1の他方の端子とスイッチング素子S2の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S3の他方の端子とスイッチング素子S4の他方の端子は直列に接続される。また、二次電池Vbの正極側に、リアクトルL3、リレーRe3及びスイッチS5を介してキャパシタC1の正極側端子がスイッチング素子S1〜S4と並列に接続され、キャパシタC1の負極側端子は抵抗R1を介して二次電池Vbの負極側に接続される。スイッチング素子S5と二次電池Vbの負極の間にスイッチング素子S6が接続される。
【0027】
また、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点との間に、リレーRe1及びリアクトルL1が直列に接続される。また、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の接続節点との間に、リレーRe2及びリアクトルL2が直列に接続される。家庭用電源(AC100V)と接続するコンセント(電源プラグ)10は、リレーRe1とリアクトルL1との間、及びリレーRe2とリアクトルL2との間に接続される。
【0028】
また、キャパシタC1の正極側端子は、互いに並列接続されたリレーRe4、リレーRe5、抵抗R2を介してキャパシタC2の正極側端子に接続される。キャパシタC2の負極側端子は、互いに並列接続された抵抗R1、リレーRe6を介するとともに、リレーRe7を介してキャパシタC2の負極側端子に接続される。キャパシタC2はインバータ12に接続される。
【0029】
図9の回路構成との比較では、図1における符号Aで示す回路が新たに付加されている。すなわち、回路AはリアクトルL3、リレーRe3及びスイッチング素子S5,S6から構成され、リレーRe3とリアクトルL3は互いに直列接続されてリアクトルL3の一端が二次電池Vbの正極に接続される。リレーRe3の一端はリアクトルL3の他端に接続され、リレーRe3の他端はスイッチング素子S5とスイッチング素子S6の接続節点に接続される。
【0030】
このような構成において、充電モードで機能させる場合には、リレーRe1,Re2,Re4,Re5,Re7をオフにするととともに、リレーRe3,Re6をオンする。そして、スイッチング素子S1〜S4をオン、オフすることによってキャパシタC1に充電し、その後、スイッチング素子S5をオフしスイッチング素子S6をオンにするとリアクトルL3を介してスイッチング素子S6に電流が流れる。このとき、二次電池Vbの電圧にリアクトルL3の誘導起電力を加えた電圧がキャパシタC1の端子間電圧より小さいときに、スイッチング素子S5をオンすることでキャパシタC1からリアクトルL3を介して二次電池Vbに電流が流れ、二次電池Vbが充電される。このように、リアクトルL3を降圧用リアクトルとして機能させるとともに二次電池Vbの寿命を劣化させる電流リップルを抑制しつつ、キャパシタC1の蓄積電荷を放電させて二次電池Vbを充電する。
【0031】
なお、図1の構成は、図2及び図3に示す3相昇圧コンバータの構成と実質的に等価であり、3個のリアクトルL1〜L3が必要となる点においても同じである。図2は、3相昇圧コンバータの基本回路構成であり、図3は充電モード時における図2の等価回路図である。図2について簡単に説明すると、二次電池Vbとインバータ12との間にスイッチング素子群S1〜S6が接続され、二次電池Vbの正極と、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の接続節点間にリレーRe1及びリアクトルL1が接続される。また、これと並列に、二次電池Vbの正極と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点間にリレーRe2及びリアクトルL2が接続される。また、これと並列に、二次電池Vbの正極と、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6の接続節点にリレーRe3及びリアクトルL3が接続される。コンセント10はフィルタを介してリレーRe1とリアクトルL1の接続節点、及びリレーRe2とリアクトルL2の接続節点に接続される。昇圧モードにおいては、リレーRe1,Re2,Re3をオンするとともにスイッチング素子S1〜S6をオンオフ制御して二次電池Vbの直流電圧を昇圧してキャパシタC2を充電し、インバータ12に供給する。
【0032】
また、充電モードにおいては、リレーRe1,Re2をオフにして図3の回路構成とし、外部電源からの交流電力を整流するとともに、リアクトルL3を降圧用リアクトルとして用いて充電電流を制御する。具体的には、外部電源の電圧が単相のVsinωtであるとすると(Vは電圧振幅、ωは角周波数、tは時間)、外部電源を基準としたリアクトルL1の端子間電圧、及びスイッチング素子S3,S4の接続節点側を基準としたリアクトルL2の端子間電圧が1/2Bcos(ωt)となるように(Bは電圧振幅)、スイッチング素子S1〜S4をオンオフする。リアクトルL1,L2の誘導起電力により、外部電源の電極間の電圧振幅よりも大きい電圧がキャパシタC2に印加される。そして、スイッチング素子S5をオフしスイッチング素子S6をオンとすると、リアクトルL3を介して二次電池Vbの正極からスイッチング素子S6に電流が流れる。この状態においてスイッチング素子S6をオフにすると、リアクトルL3に誘導起電力が生じる。このとき、二次電池Vbの出力電圧にリアクトルL3の誘導起電力を加えた電圧がキャパシタC2の端子電圧より小さい場合に、スイッチング素子S5をオンすることでキャパシタC2からリアクトルL3を介してキャパシタC1及び二次電池Vbに電流が流れ、二次電池Vbが充電される。
【0033】
このように、図1の回路におけるリアクトルL3は図3の回路におけるリアクトルL3と同様に充電モードにおける降圧リアクトルとして機能するが、本実施形態では、図1のリアクトルL1〜L3として、それぞれ別個のリアクトルを用いるのではなく、補助コイルを巻いた2相結合磁気リアクトルを用いる点に特徴がある。
【0034】
図4A〜図4Cに、図1におけるリアクトルL1〜L3の構成を示す。図4A、図4Bは基本となる2相磁気結合リアクトルの構造であり、非特許文献2,3に開示された磁気結合リアクトルである。図4Aに示すように、断面形状がE字型をなすコア片、すなわち所定間隔だけ離間させて3つの凸部が形成されたコア片を、互いに凸部が対向するように配置させてコア構造50が構成され、互いに対向するコア片の凸部を第1脚部50a、第2脚部50b、第3脚部50cとすると、図4Bに示すようにコア構造の2つの脚部である第1脚部50a、第2脚部50bにリアクトルL1,L2を形成することで、リアクトルL1によって生じる独立した磁束101と、リアクトルL2によって生じる独立した磁束102と、2つのリアクトルL1,L2が干渉して生じる干渉磁束110が存在し、磁気的に結合している。
【0035】
このような構成に加え、本実施形態では、さらに図4Cに示すように補助コイルとしてのリアクトルL3を2相磁気結合リアクトルの残りの第3脚部50cに形成する。リアクトルL3は、リアクトルL1,L2の2相磁気結合リアクトルと別個に設けるのではなく、このように2相磁気結合リアクトルの脚部に形成することで、低コスト化を図ることができる。
【0036】
なお、このようにリアクトルL3を2相磁気結合リアクトルに形成しても図1の回路動作に影響はない。その理由は、図1に示す昇圧コンバータの昇圧モードは搭載される車両の駆動時に動作するものであり、その一方で外部電源からの充電モードは搭載される車両の停止時に動作するものである。そして、充電モードにおいて充電している際の電力は昇圧電力の1/2以下で済むため、充電時にリアクトルL1,L2とリアクトルL3とを同時に動作させても問題は生じない。
【0037】
このように、2相磁気結合リアクトルにリアクトルL3を付加する構成とすることで、1つの部品で3つのリアクトルを形成することが可能となり、低コスト化が図られるとともにサイズの縮小も図られる。2相磁気結合リアクトル自体の体積増加分は、単にリアクトルL3の増加分だけで済むからである。
【0038】
図5に、他の実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成を示す。図1では、家庭用電源は単相のAC100Vであるが、図5では外部電源は3相(3Φ)のAC200Vの場合である。
【0039】
二次電池Vbの正極側に、リアクトルL4,リレーRe8及びスイッチS7を介してスイッチング素子S1の正極側端子、スイッチング素子S3の正極側端子及びスイッチング素子S5の正極側の端子が並列に接続され、二次電池Vbの負極側に、スイッチング素子S2の負極側の端子、スイッチング素子S4の負極側端子及びスイッチング素子S6の負極側の端子が並列に接続される。スイッチング素子S1の他方の端子とスイッチング素子S2の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S3の他方の端子とスイッチング素子S4の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S5の他方の端子とスイッチング素子S6の他方の端子は直列に接続される。また、二次電池Vbの正極側に、リアクトルL4、リレーRe8及びスイッチS7を介してキャパシタC1の正極側端子がスイッチング素子S1〜S6と並列に接続され、キャパシタC1の負極側端子は抵抗R1を介して二次電池Vbの負極側に接続される。スイッチング素子S7と二次電池Vbの負極の間にスイッチング素子S8が接続される。
【0040】
また、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点との間に、リレーRe1及びリアクトルL1が直列に接続される。また、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の接続節点との間に、リレーRe2及びリアクトルL2が直列に接続される。さらに、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6の接続節点との間に、リレーRe3及びリアクトルL3が直列に接続される。家庭用電源(3相AC200V)と接続するコンセント(電源プラグ)10は、リレーRe1とリアクトルL1との間、リレーRe2とリアクトルL2との間、及びリレーRe3とリアクトルL3との間に接続される。
【0041】
また、キャパシタC1の正極側端子は、互いに並列接続されたリレーRe4、リレーRe5、抵抗R2を介してキャパシタC2の正極側端子に接続される。キャパシタC2の負極側端子は、互いに並列接続された抵抗R1、リレーRe6を介するとともに、リレーRe7を介してキャパシタC2の負極側端子に接続される。キャパシタC2はインバータ12に接続される。
【0042】
図9の回路構成との比較では、電源が3相であることに対応して昇圧コンバータが3相となっており、及び図5における符号Bで示す回路が新たに付加されている。すなわち、回路BはリアクトルL4、リレーRe8及びスイッチング素子S7,S8から構成され、リレーRe8とリアクトルL4は互いに直列接続されてリアクトルL4の一端が二次電池Vbの正極に接続される。リレーRe8の一端はリアクトルL4の他端に接続され、リレーRe8の他端はスイッチング素子S7とスイッチング素子S8の接続節点に接続される。
【0043】
このような構成において、充電モードで機能させる場合には、リレーRe1,Re2,Re3,Re4,Re5,Re7をオフにするととともに、リレーRe6,Re8をオンする。そして、スイッチング素子S7及びスイッチング素子S8をオン、オフすることによってリアクトルL4を降圧用リアクトルとして機能させるとともに二次電池Vbの寿命を劣化させる電流リップルを抑制して、キャパシタC1の蓄積電荷を放電させて二次電池Vbを充電する。
【0044】
図5の構成においても、リアクトルL1〜L4として、それぞれ別個のリアクトルを用いるのではなく、補助コイルを巻いた3相結合磁気リアクトルを用いる。
【0045】
図6A〜図6Cに、図5におけるリアクトルL1〜L4の構成を示す。図6A、図6Bは基本となる3相磁気結合リアクトルの構造である。図6Aに示すように、互いに対向する2つのコア片からコア構造52が構成され、コア構造52の第1脚部52a〜第5脚部52eが形成される。図6Bに示すようにコア構造52の3つの脚部である第1脚部52a、第3脚部52b、第5脚部52cにリアクトルL1,L2,L3を形成することで、リアクトルL1によって生じる独立した磁束101と、リアクトルL2によって生じる独立した磁束102と、リアクトルL3によって生じた磁束103と、3つのリアクトルL1,L2,L3が干渉して生じる干渉磁束112が存在し、磁気的に結合している。
【0046】
このような構成に加え、本実施形態では、さらに図6Cに示すように補助コイルとしてのリアクトルL4を3相磁気結合リアクトルの残りの脚部である第2脚部52d、第4脚部52eに形成する。リアクトルL4は、リアクトルL1,L2,L3の3相磁気結合リアクトルと別個に設けるのではなく、このように3相磁気結合リアクトルの脚部に形成することで、低コスト化を図ることができる。
【0047】
なお、図6CではリアクトルL4をコア構造52の2つの脚部である第2脚部52d、第4脚部52eにそれぞれ形成して合計2個形成しているが、1つのリアクトルL4のみを1つの脚部、例えば第2脚部52dに形成してもよい。また、図6Cの構成において、2つのリアクトルL4を並列接続する他に直列接続してもよい。
【0048】
また、この3相磁気結合型リアクトルにおいても、2相磁気結合型リアクトルと同様に、降圧リアクトルL4をトランスとして機能させることも可能である。例えば、第2脚部52d、第4脚部52eにリアクトルL4−1,L4−2を形成し、かつ、このリアクトルL4−1,L4−2を図7に示すように互いに対向した2つの補助コイルの形に形成して昇圧コイルと交わらない磁路を形成することによりトランスとして機能させることができる。
【0049】
このように、本実施形態では、外部電源が単相の場合には、リアクトルL1,L2の2相磁気結合リアクトルの未だリアクトルが形成されていない残存脚部、すなわち未だリアクトルが形成されていない磁路部分に第3のリアクトルを形成することで実質的に2相の磁気結合型を維持し、また、外部電源が3相の場合には、リアクトルL1,L2,L3の3相の磁気結合リアクトルの未だリアクトルが形成されていない残存脚部、すなわち未だリアクトルが形成されていない磁路部分に第4のリアクトルL4を形成することで実質的に3相の磁気結合型を維持することで、低コスト化及びサイズの縮小化を図ることができる。本実施形態では、例えば図4Cの構成において、昇圧電流はリアクトルL1,L2の1リアクトルあたり50A程度以上(二次電池Vbの電力を200V、20kWの場合)であるのに対し、補助コイルとしてのリアクトルL3は30A程度(最大充電電力6kW、200Vの場合)と補助コイル側の方が小さいため、リアクトル容量の増加を最小限に抑えて補助コイルを設けることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態において2相磁気結合リアクトルの脚部に形成された補助コイルとしてのリアクトルL3は、他の用途にも使用することができる。すなわち、リアクトルL3は、図1における充電モード時における降圧コンバータとして機能させるだけでなく、ハイブリッド自動車において例えば200Vから12Vを形成する降圧コンバータの出力段の平滑リアクトルとして機能させることもできる。あるいは、他の電圧変換コンバータの変圧リアクトルとして機能させることもでき、一例として電池以外の蓄電キャパシタと電池との電圧変換用コンバータのリアクトルとして機能させる等である。あるいは、車載補機用に電圧変換する回路の変圧リアクトルとして機能させることもできる。あるいは、車載補機用に電圧変換する回路のトランスとして機能させることも可能である。図8に、補助コイルとしてのリアクトルL3をトランスとして機能させる場合の2相磁気結合リアクトルの構成を示す。コア構造50の脚部50cをU字構造とし、U字脚部の一方にリアクトルL3−1を形成するとともに、これに対向する他方のU字脚部50cにリアクトルL3−2を形成する。リアクトルL3−1とリアクトルL3−2で形成する磁路は昇圧コイルと交わらないため、リアクトルL3−1とリアクトルL3−2でトランスを構成し、車載補機用に電圧変換できる。この場合においても、容積の増大はリアクトルL3−1,L3−2分だけであり、容積増大を最小限に抑制できる。なお、車載補機には、車載ECU、ヘッドライト、ルームランプ、パワーウインドウ、ホーン、ウインカ、ラジエータファン、電動ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファン等が含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10 コンセント、12 インバータ、L1〜L4 リアクトル、C1,C2 キャパシタ、Re1〜Re8 リレー。
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用マルチフェーズコンバータに関し、特に外部電源による充電が可能なリレー切り替え型のマルチフェーズコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等において、電源電圧とインバータの駆動電圧の最適化を測るために、電源電圧を昇圧してインバータに供給する昇圧コンバータが用いられている。一方、自動車の仕様によっては充電装置が必要となり、例えばプラグインハイブリッド自動車では家庭用電源からの電力で車載二次電池を充電するための充電器が必要となる。昇圧コンバータとしての機能と、外部電源からの電力で車載二次電池を充電するための充電機能は、リレーを用いて適宜切り替えることが可能である。
【0003】
図9に、昇圧コンバータとしての機能と、充電機能とを切り替えることが可能な車両用マルチフェーズコンバータの一例を示す。リレー切り替え型2相昇圧コンバータである。
【0004】
二次電池Vbの正極側に、リレーRe3を介してスイッチング素子S1の正極側端子及びスイッチング素子S3の正極側の端子が並列に接続され、二次電池Vbの負極側に、スイッチング素子S2の負極側の端子及びスイッチング素子S4の負極側の端子が並列に接続される。スイッチング素子S1の他方の端子とスイッチング素子S2の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S3の他方の端子とスイッチング素子S4の他方の端子は直列に接続される。また、二次電池Vbの正極側に、リレーRe3を介してキャパシタC1の正極側端子がスイッチング素子S1〜S4と並列に接続され、キャパシタC1の負極側端子は抵抗R1を介して二次電池Vbの負極側に接続される。
【0005】
また、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点との間に、リレーRe1及びリアクトルL1が直列に接続される。また、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S2とスイッチング素子S2の接続節点との間に、リレーRe2及びリアクトルL2が直列に接続される。家庭用電源(AC100V)と接続するコンセント(電源プラグ)10は、リレーRe1とリアクトルL1との間、及びリレーRe2とリアクトルL2との間に接続される。
【0006】
さらに、キャパシタC1の正極側端子は、互いに並列接続されたリレーRe4、リレーRe5、抵抗R2を介してキャパシタC2の正極側端子に接続される。キャパシタC2の負極側端子は、互いに並列接続された抵抗R1、リレーRe6を介するとともに、リレーRe7を介してキャパシタC2の負極側端子に接続される。キャパシタC2はインバータ12に接続される。
【0007】
ここで、抵抗R1,R2は、それぞれキャパシタC1,C2を充電するための抵抗であり、キャパシタ電圧をバランスさせてからメインリレーをオンするためのものである。キャパシタC2は、いわゆる平滑用キャパシタであり、リレーRe4,Re5,Re7はシステムメインリレーである。単なる昇圧コンバータと比べて、リレーRe1,Re2,Re3,Re6,抵抗R1,キャパシタC1が付加された構成である。
【0008】
このような構成において、昇圧コンバータとして機能させる場合には、リレーRe3をオフとし、リレーRe1,Re2,Re4,Re5,Re6,Re7をオンする。そして、スイッチング素子S1〜S4をオン、オフ制御することでリアクトルL1,L2に誘導起電力を生じさせ、二次電池Vbの端子電圧以上に昇圧してキャパシタC1を充電してインバータ12に昇圧後の電圧を印加する。
【0009】
一方、充電モードで機能させる場合には、リレーRe1,Re2,Re4,Re5,Re7をオフとし、リレーRe3,Re6をオンにする。すると、図10に示す回路構成となり、スイッチング素子S1〜S4をオン、オフ制御することでインバータとして動作させ、コンセント10からの交流電力を直流電力に変換してキャパシタC1を充電し、さらにキャパシタ18の放電により二次電池Vbを充電する。
【0010】
なお、図9に示す昇圧コンバータは2相昇圧コンバータであるが、マルチフェーズコンバータにすれば小型化が可能であることが知られている。例えば、下記の非特許文献1には、昇圧チョッパの容量を1/NにしてN個を並列に接続し、駆動パルスの位相を2π/Nずつずらした構成をN相のマルチフェーズコンバータと称している。
【0011】
また、非特許文献2,3には、2相磁気結合リアクトルの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−308255号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】”Automotive Powertrain DC/DC Converter with 25kW/dm3 by using SIC Diodes “, B. Eckardt, A. Hofmann, S. Zeltner, M. Maerz, CIPS2006
【非特許文献2】” Performance Improvements of Interleaving VRMS with coupling inductors”, Pit-Leong Wong et al, IEEE Trns. On Power Electronics Vol.16, No.4, 2001
【非特許文献3】” Investing Coupling Inductors in the Interleaving QSW VRM” Pit-Leong Wong, Q. Wu, Peng Xu, Proceedings APEC 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、単にマルチフェーズ化(多相化)することは、その分だけリアクトルの数が増え、コストが増加する問題がある。図9の構成では、L1,L2の2つのリアクトルが必要となりコストが高くなることに加え、電池電流が制御できない問題もある。なお、電池への充電電流の制御のために、2相ではなく3相構成とし、3相目で電池電流の制御を行うことも考えられるが、その分だけさらにリアクトルの数が増大してしまう問題がある。
【0015】
本発明の目的は、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、昇圧動作及び充電動作を切換えることができるともに、リアクトルの数を実質的に削減して低コスト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、前記外部電源は単相電源であり、前記昇圧リアクトルは、コア構造に2つのリアクトルが形成されることで2相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2および第3凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、前記昇圧リアクトルは、前記第1及び第3凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2凸状脚部に形成される。
【0018】
また、本発明の他の実施形態では、前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能する。
【0019】
また、本発明は、相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、前記外部電源は3相電源であり、前記昇圧リアクトルは、コア構造に3つのリアクトルが形成されることで3相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする。
【0020】
本発明の1つの実施形態では、前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2、第3、第4および第5凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、前記昇圧リアクトルは、前記第1、第3及び第5凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2あるいは第4凸状脚部の少なくともいずれかに形成される。
【0021】
また、本発明の他の実施形態では、前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2及び第4凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能する。
【0022】
また、本発明の他の実施形態では、前記降圧リアクトルは、前記第2及び第4凸状脚部に形成され、互いに直列あるいは並列接続される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、昇圧動作及び充電動作を切換えるとともに、リアクトルの数を実質的に削減して低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成図である。
【図2】実施形態における3相昇圧コンバータの基本回路構成図である。
【図3】図2の回路構成における充電モード時の等価回路構成図である。
【図4A】2相磁気結合リアクトルのコア構造説明図である。
【図4B】2相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図4C】実施形態の補助コイルを形成した2相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図5】他の実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成図である。
【図6A】3相磁気結合リアクトルのコア構造説明図である。
【図6B】3相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図6C】実施形態の補助コイルを形成した3相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図7】他の実施形態における3相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図8】他の実施形態における2相磁気結合リアクトルの説明図である。
【図9】従来回路の回路構成図である。
【図10】図9の回路構成における充電モード時の等価回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1に、本実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成を示す。二次電池Vbの正極側に、リアクトルL3、リレーRe3及びスイッチS5を介してスイッチング素子S1の正極側端子及びスイッチング素子S3の正極側の端子が並列に接続され、二次電池Vbの負極側に、スイッチング素子S2の負極側の端子及びスイッチング素子S4の負極側の端子が並列に接続される。スイッチング素子S1の他方の端子とスイッチング素子S2の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S3の他方の端子とスイッチング素子S4の他方の端子は直列に接続される。また、二次電池Vbの正極側に、リアクトルL3、リレーRe3及びスイッチS5を介してキャパシタC1の正極側端子がスイッチング素子S1〜S4と並列に接続され、キャパシタC1の負極側端子は抵抗R1を介して二次電池Vbの負極側に接続される。スイッチング素子S5と二次電池Vbの負極の間にスイッチング素子S6が接続される。
【0027】
また、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点との間に、リレーRe1及びリアクトルL1が直列に接続される。また、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の接続節点との間に、リレーRe2及びリアクトルL2が直列に接続される。家庭用電源(AC100V)と接続するコンセント(電源プラグ)10は、リレーRe1とリアクトルL1との間、及びリレーRe2とリアクトルL2との間に接続される。
【0028】
また、キャパシタC1の正極側端子は、互いに並列接続されたリレーRe4、リレーRe5、抵抗R2を介してキャパシタC2の正極側端子に接続される。キャパシタC2の負極側端子は、互いに並列接続された抵抗R1、リレーRe6を介するとともに、リレーRe7を介してキャパシタC2の負極側端子に接続される。キャパシタC2はインバータ12に接続される。
【0029】
図9の回路構成との比較では、図1における符号Aで示す回路が新たに付加されている。すなわち、回路AはリアクトルL3、リレーRe3及びスイッチング素子S5,S6から構成され、リレーRe3とリアクトルL3は互いに直列接続されてリアクトルL3の一端が二次電池Vbの正極に接続される。リレーRe3の一端はリアクトルL3の他端に接続され、リレーRe3の他端はスイッチング素子S5とスイッチング素子S6の接続節点に接続される。
【0030】
このような構成において、充電モードで機能させる場合には、リレーRe1,Re2,Re4,Re5,Re7をオフにするととともに、リレーRe3,Re6をオンする。そして、スイッチング素子S1〜S4をオン、オフすることによってキャパシタC1に充電し、その後、スイッチング素子S5をオフしスイッチング素子S6をオンにするとリアクトルL3を介してスイッチング素子S6に電流が流れる。このとき、二次電池Vbの電圧にリアクトルL3の誘導起電力を加えた電圧がキャパシタC1の端子間電圧より小さいときに、スイッチング素子S5をオンすることでキャパシタC1からリアクトルL3を介して二次電池Vbに電流が流れ、二次電池Vbが充電される。このように、リアクトルL3を降圧用リアクトルとして機能させるとともに二次電池Vbの寿命を劣化させる電流リップルを抑制しつつ、キャパシタC1の蓄積電荷を放電させて二次電池Vbを充電する。
【0031】
なお、図1の構成は、図2及び図3に示す3相昇圧コンバータの構成と実質的に等価であり、3個のリアクトルL1〜L3が必要となる点においても同じである。図2は、3相昇圧コンバータの基本回路構成であり、図3は充電モード時における図2の等価回路図である。図2について簡単に説明すると、二次電池Vbとインバータ12との間にスイッチング素子群S1〜S6が接続され、二次電池Vbの正極と、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の接続節点間にリレーRe1及びリアクトルL1が接続される。また、これと並列に、二次電池Vbの正極と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点間にリレーRe2及びリアクトルL2が接続される。また、これと並列に、二次電池Vbの正極と、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6の接続節点にリレーRe3及びリアクトルL3が接続される。コンセント10はフィルタを介してリレーRe1とリアクトルL1の接続節点、及びリレーRe2とリアクトルL2の接続節点に接続される。昇圧モードにおいては、リレーRe1,Re2,Re3をオンするとともにスイッチング素子S1〜S6をオンオフ制御して二次電池Vbの直流電圧を昇圧してキャパシタC2を充電し、インバータ12に供給する。
【0032】
また、充電モードにおいては、リレーRe1,Re2をオフにして図3の回路構成とし、外部電源からの交流電力を整流するとともに、リアクトルL3を降圧用リアクトルとして用いて充電電流を制御する。具体的には、外部電源の電圧が単相のVsinωtであるとすると(Vは電圧振幅、ωは角周波数、tは時間)、外部電源を基準としたリアクトルL1の端子間電圧、及びスイッチング素子S3,S4の接続節点側を基準としたリアクトルL2の端子間電圧が1/2Bcos(ωt)となるように(Bは電圧振幅)、スイッチング素子S1〜S4をオンオフする。リアクトルL1,L2の誘導起電力により、外部電源の電極間の電圧振幅よりも大きい電圧がキャパシタC2に印加される。そして、スイッチング素子S5をオフしスイッチング素子S6をオンとすると、リアクトルL3を介して二次電池Vbの正極からスイッチング素子S6に電流が流れる。この状態においてスイッチング素子S6をオフにすると、リアクトルL3に誘導起電力が生じる。このとき、二次電池Vbの出力電圧にリアクトルL3の誘導起電力を加えた電圧がキャパシタC2の端子電圧より小さい場合に、スイッチング素子S5をオンすることでキャパシタC2からリアクトルL3を介してキャパシタC1及び二次電池Vbに電流が流れ、二次電池Vbが充電される。
【0033】
このように、図1の回路におけるリアクトルL3は図3の回路におけるリアクトルL3と同様に充電モードにおける降圧リアクトルとして機能するが、本実施形態では、図1のリアクトルL1〜L3として、それぞれ別個のリアクトルを用いるのではなく、補助コイルを巻いた2相結合磁気リアクトルを用いる点に特徴がある。
【0034】
図4A〜図4Cに、図1におけるリアクトルL1〜L3の構成を示す。図4A、図4Bは基本となる2相磁気結合リアクトルの構造であり、非特許文献2,3に開示された磁気結合リアクトルである。図4Aに示すように、断面形状がE字型をなすコア片、すなわち所定間隔だけ離間させて3つの凸部が形成されたコア片を、互いに凸部が対向するように配置させてコア構造50が構成され、互いに対向するコア片の凸部を第1脚部50a、第2脚部50b、第3脚部50cとすると、図4Bに示すようにコア構造の2つの脚部である第1脚部50a、第2脚部50bにリアクトルL1,L2を形成することで、リアクトルL1によって生じる独立した磁束101と、リアクトルL2によって生じる独立した磁束102と、2つのリアクトルL1,L2が干渉して生じる干渉磁束110が存在し、磁気的に結合している。
【0035】
このような構成に加え、本実施形態では、さらに図4Cに示すように補助コイルとしてのリアクトルL3を2相磁気結合リアクトルの残りの第3脚部50cに形成する。リアクトルL3は、リアクトルL1,L2の2相磁気結合リアクトルと別個に設けるのではなく、このように2相磁気結合リアクトルの脚部に形成することで、低コスト化を図ることができる。
【0036】
なお、このようにリアクトルL3を2相磁気結合リアクトルに形成しても図1の回路動作に影響はない。その理由は、図1に示す昇圧コンバータの昇圧モードは搭載される車両の駆動時に動作するものであり、その一方で外部電源からの充電モードは搭載される車両の停止時に動作するものである。そして、充電モードにおいて充電している際の電力は昇圧電力の1/2以下で済むため、充電時にリアクトルL1,L2とリアクトルL3とを同時に動作させても問題は生じない。
【0037】
このように、2相磁気結合リアクトルにリアクトルL3を付加する構成とすることで、1つの部品で3つのリアクトルを形成することが可能となり、低コスト化が図られるとともにサイズの縮小も図られる。2相磁気結合リアクトル自体の体積増加分は、単にリアクトルL3の増加分だけで済むからである。
【0038】
図5に、他の実施形態における車両用マルチフェーズ昇圧コンバータの回路構成を示す。図1では、家庭用電源は単相のAC100Vであるが、図5では外部電源は3相(3Φ)のAC200Vの場合である。
【0039】
二次電池Vbの正極側に、リアクトルL4,リレーRe8及びスイッチS7を介してスイッチング素子S1の正極側端子、スイッチング素子S3の正極側端子及びスイッチング素子S5の正極側の端子が並列に接続され、二次電池Vbの負極側に、スイッチング素子S2の負極側の端子、スイッチング素子S4の負極側端子及びスイッチング素子S6の負極側の端子が並列に接続される。スイッチング素子S1の他方の端子とスイッチング素子S2の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S3の他方の端子とスイッチング素子S4の他方の端子は直列に接続され、スイッチング素子S5の他方の端子とスイッチング素子S6の他方の端子は直列に接続される。また、二次電池Vbの正極側に、リアクトルL4、リレーRe8及びスイッチS7を介してキャパシタC1の正極側端子がスイッチング素子S1〜S6と並列に接続され、キャパシタC1の負極側端子は抵抗R1を介して二次電池Vbの負極側に接続される。スイッチング素子S7と二次電池Vbの負極の間にスイッチング素子S8が接続される。
【0040】
また、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S3とスイッチング素子S4の接続節点との間に、リレーRe1及びリアクトルL1が直列に接続される。また、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S1とスイッチング素子S2の接続節点との間に、リレーRe2及びリアクトルL2が直列に接続される。さらに、これと並列して、二次電池Vbの正極側と、スイッチング素子S5とスイッチング素子S6の接続節点との間に、リレーRe3及びリアクトルL3が直列に接続される。家庭用電源(3相AC200V)と接続するコンセント(電源プラグ)10は、リレーRe1とリアクトルL1との間、リレーRe2とリアクトルL2との間、及びリレーRe3とリアクトルL3との間に接続される。
【0041】
また、キャパシタC1の正極側端子は、互いに並列接続されたリレーRe4、リレーRe5、抵抗R2を介してキャパシタC2の正極側端子に接続される。キャパシタC2の負極側端子は、互いに並列接続された抵抗R1、リレーRe6を介するとともに、リレーRe7を介してキャパシタC2の負極側端子に接続される。キャパシタC2はインバータ12に接続される。
【0042】
図9の回路構成との比較では、電源が3相であることに対応して昇圧コンバータが3相となっており、及び図5における符号Bで示す回路が新たに付加されている。すなわち、回路BはリアクトルL4、リレーRe8及びスイッチング素子S7,S8から構成され、リレーRe8とリアクトルL4は互いに直列接続されてリアクトルL4の一端が二次電池Vbの正極に接続される。リレーRe8の一端はリアクトルL4の他端に接続され、リレーRe8の他端はスイッチング素子S7とスイッチング素子S8の接続節点に接続される。
【0043】
このような構成において、充電モードで機能させる場合には、リレーRe1,Re2,Re3,Re4,Re5,Re7をオフにするととともに、リレーRe6,Re8をオンする。そして、スイッチング素子S7及びスイッチング素子S8をオン、オフすることによってリアクトルL4を降圧用リアクトルとして機能させるとともに二次電池Vbの寿命を劣化させる電流リップルを抑制して、キャパシタC1の蓄積電荷を放電させて二次電池Vbを充電する。
【0044】
図5の構成においても、リアクトルL1〜L4として、それぞれ別個のリアクトルを用いるのではなく、補助コイルを巻いた3相結合磁気リアクトルを用いる。
【0045】
図6A〜図6Cに、図5におけるリアクトルL1〜L4の構成を示す。図6A、図6Bは基本となる3相磁気結合リアクトルの構造である。図6Aに示すように、互いに対向する2つのコア片からコア構造52が構成され、コア構造52の第1脚部52a〜第5脚部52eが形成される。図6Bに示すようにコア構造52の3つの脚部である第1脚部52a、第3脚部52b、第5脚部52cにリアクトルL1,L2,L3を形成することで、リアクトルL1によって生じる独立した磁束101と、リアクトルL2によって生じる独立した磁束102と、リアクトルL3によって生じた磁束103と、3つのリアクトルL1,L2,L3が干渉して生じる干渉磁束112が存在し、磁気的に結合している。
【0046】
このような構成に加え、本実施形態では、さらに図6Cに示すように補助コイルとしてのリアクトルL4を3相磁気結合リアクトルの残りの脚部である第2脚部52d、第4脚部52eに形成する。リアクトルL4は、リアクトルL1,L2,L3の3相磁気結合リアクトルと別個に設けるのではなく、このように3相磁気結合リアクトルの脚部に形成することで、低コスト化を図ることができる。
【0047】
なお、図6CではリアクトルL4をコア構造52の2つの脚部である第2脚部52d、第4脚部52eにそれぞれ形成して合計2個形成しているが、1つのリアクトルL4のみを1つの脚部、例えば第2脚部52dに形成してもよい。また、図6Cの構成において、2つのリアクトルL4を並列接続する他に直列接続してもよい。
【0048】
また、この3相磁気結合型リアクトルにおいても、2相磁気結合型リアクトルと同様に、降圧リアクトルL4をトランスとして機能させることも可能である。例えば、第2脚部52d、第4脚部52eにリアクトルL4−1,L4−2を形成し、かつ、このリアクトルL4−1,L4−2を図7に示すように互いに対向した2つの補助コイルの形に形成して昇圧コイルと交わらない磁路を形成することによりトランスとして機能させることができる。
【0049】
このように、本実施形態では、外部電源が単相の場合には、リアクトルL1,L2の2相磁気結合リアクトルの未だリアクトルが形成されていない残存脚部、すなわち未だリアクトルが形成されていない磁路部分に第3のリアクトルを形成することで実質的に2相の磁気結合型を維持し、また、外部電源が3相の場合には、リアクトルL1,L2,L3の3相の磁気結合リアクトルの未だリアクトルが形成されていない残存脚部、すなわち未だリアクトルが形成されていない磁路部分に第4のリアクトルL4を形成することで実質的に3相の磁気結合型を維持することで、低コスト化及びサイズの縮小化を図ることができる。本実施形態では、例えば図4Cの構成において、昇圧電流はリアクトルL1,L2の1リアクトルあたり50A程度以上(二次電池Vbの電力を200V、20kWの場合)であるのに対し、補助コイルとしてのリアクトルL3は30A程度(最大充電電力6kW、200Vの場合)と補助コイル側の方が小さいため、リアクトル容量の増加を最小限に抑えて補助コイルを設けることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態において2相磁気結合リアクトルの脚部に形成された補助コイルとしてのリアクトルL3は、他の用途にも使用することができる。すなわち、リアクトルL3は、図1における充電モード時における降圧コンバータとして機能させるだけでなく、ハイブリッド自動車において例えば200Vから12Vを形成する降圧コンバータの出力段の平滑リアクトルとして機能させることもできる。あるいは、他の電圧変換コンバータの変圧リアクトルとして機能させることもでき、一例として電池以外の蓄電キャパシタと電池との電圧変換用コンバータのリアクトルとして機能させる等である。あるいは、車載補機用に電圧変換する回路の変圧リアクトルとして機能させることもできる。あるいは、車載補機用に電圧変換する回路のトランスとして機能させることも可能である。図8に、補助コイルとしてのリアクトルL3をトランスとして機能させる場合の2相磁気結合リアクトルの構成を示す。コア構造50の脚部50cをU字構造とし、U字脚部の一方にリアクトルL3−1を形成するとともに、これに対向する他方のU字脚部50cにリアクトルL3−2を形成する。リアクトルL3−1とリアクトルL3−2で形成する磁路は昇圧コイルと交わらないため、リアクトルL3−1とリアクトルL3−2でトランスを構成し、車載補機用に電圧変換できる。この場合においても、容積の増大はリアクトルL3−1,L3−2分だけであり、容積増大を最小限に抑制できる。なお、車載補機には、車載ECU、ヘッドライト、ルームランプ、パワーウインドウ、ホーン、ウインカ、ラジエータファン、電動ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファン等が含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10 コンセント、12 インバータ、L1〜L4 リアクトル、C1,C2 キャパシタ、Re1〜Re8 リレー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、
前記外部電源は単相電源であり、
前記昇圧リアクトルは、コア構造に2つのリアクトルが形成されることで2相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項2】
請求項1記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2および第3凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、
前記昇圧リアクトルは、前記第1及び第3凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2凸状脚部に形成される
ことを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項3】
請求項2記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能することを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項4】
相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、
前記外部電源は3相電源であり、
前記昇圧リアクトルは、コア構造に3つのリアクトルが形成されることで3相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項5】
請求項4記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2、第3、第4および第5凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、
前記昇圧リアクトルは、前記第1、第3及び第5凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2あるいは第4凸状脚部の少なくともいずれかに形成される
ことを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項6】
請求項5記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2及び第4凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能することを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項7】
請求項5記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記降圧リアクトルは、前記第2及び第4凸状脚部に形成され、互いに直列接続されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項8】
前記降圧リアクトルは、前記第2及び第4凸状脚部に形成され、互いに並列接続されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項1】
相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、
前記外部電源は単相電源であり、
前記昇圧リアクトルは、コア構造に2つのリアクトルが形成されることで2相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項2】
請求項1記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2および第3凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、
前記昇圧リアクトルは、前記第1及び第3凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2凸状脚部に形成される
ことを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項3】
請求項2記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能することを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項4】
相互に切換え可能な昇圧モードと充電モードとを備え、前記昇圧モードにおいて二次電池の電圧を昇圧リアクトルにより昇圧し、前記充電モードにおいて外部電源からの交流電力を整流するとともに降圧リアクトルにより降圧して前記二次電池を充電する、車両用マルチフェーズ昇圧コンバータであって、
前記外部電源は3相電源であり、
前記昇圧リアクトルは、コア構造に3つのリアクトルが形成されることで3相磁気結合リアクトルを構成するとともに、前記降圧リアクトルは、前記コア構造のうち前記昇圧リアクトルが形成されていない磁路部分に形成されることで、同一コア構造に前記昇圧リアクトル及び前記降圧リアクトルがともに形成されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項5】
請求項4記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記コア構造は、所定間隔だけ離間した位置に順次形成された第1、第2、第3、第4および第5凸状脚部を備えたコア片を互いに対向配置させて構成され、
前記昇圧リアクトルは、前記第1、第3及び第5凸状脚部に形成され、前記降圧リアクトルは、前記第2あるいは第4凸状脚部の少なくともいずれかに形成される
ことを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項6】
請求項5記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記降圧リアクトルは、前記コア片の対のそれぞれの前記第2及び第4凸状脚部に独立に形成された第1降圧リアクトル及び第2降圧リアクトルから構成され、前記第1降圧リアクトル及び前記第2降圧リアクトルが電圧変換用トランスとして機能することを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項7】
請求項5記載の車両用マルチフェーズ昇圧コンバータにおいて、
前記降圧リアクトルは、前記第2及び第4凸状脚部に形成され、互いに直列接続されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【請求項8】
前記降圧リアクトルは、前記第2及び第4凸状脚部に形成され、互いに並列接続されることを特徴とする車両用マルチフェーズ昇圧コンバータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−205806(P2011−205806A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71360(P2010−71360)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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