説明

車両用交流発電機

【課題】回転子の爪磁極間にネオジム磁石を配置した車両用交流発電機を提供する。
【解決手段】本発明の車両用交流発電機は、外周部に爪形の形状を持つ一対の爪形磁極部が配置され、中心部には界磁巻線が巻かれた回転子と、前記一対の爪形磁極部の間に配置され、同極が向かい合う方向に着磁されたネオジム磁石と、内周面が前記回転子と対向するように配置され、前記界磁巻線の磁化により交流電圧を発生する固定子巻線を有する固定子と、発生された交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、を有し、前記固定子コアの内周面と前記回転子の表面は、0.4〜0.6mmの間隔を隔てて配置されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用交流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用交流発電機としては、特開昭62−217837号公報に記載のものがある。
【0003】
この公報には、整流器の冷却方法として整流器の片面を水路に接するように配置することが開示されている。
【0004】
また界磁巻線の冷却方法として、界磁巻線が回転しないブラシレス構造のものを対象に、界磁巻線を直接良熱伝導体に接触させ該良熱伝導体を通じて水路に熱を逃がすことが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−217837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は整流器をその片面から冷却する構成であるため、ダイオードと固定子コイルを接続するためのターミナル及びダイオードのリード部分での発熱を冷却することは困難であった。従って、ダイオード自体は冷却できてもそれら接続部(ターミナル,リード)で発生するジュール熱を冷却することができないという問題点があった。
【0007】
また、上記従来技術は水路を構成する冷却カバーと整流器が独立して構成されているため、整流器から冷却カバーを介して熱が伝わるときに熱抵抗が大きく、冷却効率が悪いという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、爪磁極間にネオジム磁石を配置した車両用交流発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用交流発電機によれば、外周部に爪形の形状を持つ一対の爪形磁極部が配置され、中心部には界磁巻線が巻かれた回転子と、前記一対の爪形磁極部の間に配置され、同極が向かい合う方向に着磁されたネオジム磁石と、内周面が前記回転子と対向するように配置され、前記界磁巻線の磁化により交流電圧を発生する固定子巻線を有する固定子と、発生された交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、を有し、前記固定子コアの内周面と前記回転子の表面は、0.4〜0.6mmの間隔を隔てて配置されていることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態をなす車両用交流発電機の縦断面図である。
【0011】
車両用交流発電機1は2個のブラケットを備え、このブラケットはプーリ102側に配置されるフロントブラケット103及び反プーリ側リアブラケット104からなる。
【0012】
両ブラケットの中心部にはシャフト101がプーリ側ベアリング100F,反プーリ側ベアリング100Rを介して支持され、シャフト101の一方の端部にはプーリ102が取り付けられ、もう一方の端部にはスリップリング110が取り付けられている。
【0013】
先に述べた、プーリ側ベアリング100Fはベアリングの外輪の回り止めとしてベアリングリテーナ120がフロントブラケット103に設けられている。
【0014】
プーリ102はベルトを介してエンジンの出力軸に配置されたプーリと接続され、エンジンの回転数に比例して回転する。
【0015】
スリップリング110にはブラシ111が摺動可能に取り付けられ、ブラシ111から後述する界磁巻線107に界磁巻線口出し線107aを介して電力を供給する。
【0016】
また、シャフト101の中央部には回転子(ロータ)が取り付けられている。回転子コア300の外周部には爪形の形状を持つ一対の爪形磁極部108が配置されている。
【0017】
また、回転子の中心部には界磁巻線107が巻かれ、この界磁巻線107にスリップリング110からの直流電流を流すことによって前記爪形磁極部108を磁化させる。
【0018】
一対の爪形磁極部108の間には永久磁石118が配置され、残りの空間部分から界磁巻線107の空間部には良熱伝導体116が配置され、回転子の爪形磁極部108の最外周部には良熱伝導体116の飛び出しを防止するための飛散防止カバー117が配置されている。
【0019】
プーリ側フロントブラケット103と反プーリ側リアブラケット104の間には固定子コア105が内蔵されたハウジング115が配置され、この固定子コア105の内周面は回転子の爪形磁極部108表面に配置される飛散防止カバー117と僅かな間隔(機械的ギャップ)を隔てて配置されている。
【0020】
この機械的ギャップ長は0.4〜0.6mmである。固定子コア105にはティースとスロットが配置され、この固定子コア105の凹部に相当するスロットには固定子巻線106が3相に巻かれており、エンジンの駆動によって爪形磁極部108が回転して磁化されると、固定子巻線106に3相の誘起電圧が発生する。
【0021】
固定子コア105はハウジング115の内側にヤキバメにより固定されるが、固定子コア105のスロット内の固定子巻線106の隙間およびコイルエンドには、良熱伝導体
116が充填され、結果的には固定子コア105と固定子巻線106とハウジング115は良熱伝導体116で一体的に成型されて熱的に接続されている。ここで述べた良熱伝導体は、例えば熱伝導率が1.0(W/mK)よりも大きいシリコンゴム系のものや熱伝導率の高いエポキシ樹脂等である。
【0022】
ハウジング115には冷却水が流れるための水路114が形成されている。また、ハウジング115の反プーリ側にはダイオードを冷却するための水路114も構成されている。このダイオードの冷却水路114を塞ぐためにリアプレート112が配置され、そのリアプレート112にダイオードモジュールが配置される。
【0023】
ハウジング115とリアプレート112の間には水漏れを防止するためのシール材(図示せず)が配置されている。そのリアプレート112はその外側に配置されるリアブラケット104によりハウジング115にネジを用いて固定されている。
【0024】
反プーリ側リアブラケット104の内側には、整流回路を構成するダイオードのモジュールであるダイオードのマイナスフィン109bの上に絶縁材を介してダイオードのプラスフィン109aが構成され、ダイオードのマイナスフィン109bは直接冷却水路114を密閉するためのリアプレート112に固定されている。
【0025】
また、発電電圧を調整するためのICレギュレータ113は前記リアブラケット104に冷却面が接するように配置されている。
【0026】
ダイオードのプラスフィン109aは、図示しないバッテリーのプラス電極に接続され、ダイオードのマイナスフィン109bは車両用交流発電機1の本体と同一電位となっていて、図示しないバッテリーのマイナス端子側に電気的に接続される。
【0027】
これらのダイオードは固定子巻線106で発生した3相交流電圧を全波整流し直流電圧に変換する。
【0028】
ICレギュレータ113は、バッテリーを充電するためにダイオードで整流した直流電圧が約14.3V 程度の一定電圧に保たれるよう、界磁巻線電流を制御する。
【0029】
また、ダイオードのマイナスフィン109b,ダイオードのプラスフィン109a,ダイオードと固定子巻線106の口出し線を接続するためのターミナル121は、良熱伝導体116により密封されリアブラケット104及びリアプレート112に熱的に接続され放熱が良好に行われると共に、防水の効果を持たせている。
【0030】
また、回転子コア300の軸方向端部をなす面200に対向する筐体部材のうち、フロントブラケット103に冷却促進部119F,ハウジング115の反プーリ側には冷却促進部119Rが配置されている。これら筐体部材と回転子コア300の軸方向端部をなす面200のギャップ長g1及びg2は0.3mm〜1.0mm程度のものである。
【0031】
以上のように構成した車両用交流発電機1において、エンジンの駆動によってプーリ
102が回転すると、シャフト101はスリップリング110及び回転子と一緒に回転し、ブラシ111からの直流電流が回転子内部の界磁巻線107に通電され、界磁巻線107は爪形磁極部108のそれぞれの磁極にN極及びS極を構成するように動作する。
【0032】
この界磁巻線107による磁束は、N極の爪形磁極部の爪部から出たものが、固定子コア105を通りS極の爪形磁極部の爪部に戻る磁気回路を形成する。この磁気回路の磁束が固定子巻線106を差交することにより、固定子巻線106に3相の誘起電圧が発生する。
【0033】
この3相の誘起電圧は先のダイオードプラスフィン109aとマイナスフィン109b上に配置されたダイオード群により全波整流され直流電圧に変換される。整流された直流電圧は約14.3V 程度の一定電圧になるようにICレギュレータ113で界磁巻線電流を制御することで達成している。
【0034】
先に述べた爪磁極間に配置した永久磁石は爪磁極間に同極が向かい合う方向に着磁したもので固定子巻線を通る有効磁束を増加させるためのものである。
【0035】
本実施形態では冷却方式に水冷を採用しているために、低速で発電しても冷却効果が期待できることから、爪磁極間には耐熱性の高いネオジム磁石を採用している。
【0036】
次に固定子巻線106で発生する銅損による発熱の冷却について説明する。
【0037】
先にも述べたように、固定子巻線106が配置される固定子コア105はハウジング
115にヤキバメにより固定され、熱をハウジング115に伝えやすい構造としている。また、先にも説明したように固定子巻線106の放熱向上のために固定子巻線106とハウジング115の内面が熱的に接触させるように、熱伝導の高い樹脂で熱の放熱経路を設けている。
【0038】
ハウジング115の外周には軸方向に穴が複数個貫通しており、フロントブラケット
103とリアプレート112により水路は密閉されジグザグ状に水路が構成されている。冷却水はハウジング115の外周面のジグザグ状の水路を流れるように構成されており、固定子コア105の外周面から冷却出来るものである。また、回転子内部で発生する界磁巻線107の銅損による発熱はフロントブラケット103とハウジング115の反プーリ側の内側で、回転子の軸方向の面
200に僅かなギャップで接する冷却促進部119で放熱出来る構造である。
【0039】
このように回転子の冷却に対して軸方向の面と外周面を冷却水の通る水路114に間接的に接するように配置することで、回転子全体の冷却を促進できる構成である。
【0040】
また、図示していないが、本発明ではハウジング115に配置した水路は8本の偶数とし、水の流れは反プーリ側から入りフロントブラケット103で折り返し、また、反プーリ側に流れてプーリ側に折り返すような4往復して反プーリ側から出ていくようにした。
【0041】
このように水路を偶数にすることで同一方向に給排水の配管を設けることが出来、ラジエータホース4のとり回しが容易になる。
【0042】
また、給排水のホースジョイントを反プーリ側に配置することでベルトに絡む可能性を大幅に低減できる。
【0043】
前記説明は、ICレギュレータ113をリアブラケット104に配置したが、水路114に直接接するリアプレート112に接するように配置しても良く、水温の検出精度を高めることができる。
【0044】
次に整流器であるダイオードの冷却について図2を用いて詳細に説明する。
【0045】
図1で示したように全波整流回路のダイオードは、固定子巻線が△結線の場合には6個、Y結線の場合には中性点ダイオードを2個用いるために8個で構成される。本実施形態ではY結線を例に取り説明する。
【0046】
ダイオードマイナスフィン109bにはダイオードU-,V-,N-,W-の4個がダイオードマイナスフィン109bに圧入されている。また、ダイオードプラスフィン109aにおいても同様にU+,V+,N+,W+の4個のダイオードが圧入されている。そして、ダイオードのマイナスフィン109bの上に絶縁材109abを介して、ダイオードプラスフィン109aが重なる構成である。
【0047】
そして、それらのダイオードは点線で図示したようにダイオードのU- のダイオードリード122とダイオードU+ のリードはターミナル121で接続されている。
【0048】
また、このターミナルのターミナル固定部材から出ている部分は固定子巻線の出力線と接続される。よって、ダイオードのU- はリードの部分はカソードに相当し、フィンに圧入されている側はアノードとなる。また、U+ のダイオードはリード側がアノード、プラスフィン側がカソードに相当する。
【0049】
そして、これらのダイオードマイナスフィン109b,絶縁材109ab,プラスフィン109a,ターミナル121,ターミナル固定部材109tは、絶縁材料であり熱伝導率の高い良熱伝導体116により一体成型されている。よって、防水特性に優れると共に内部の電圧は絶縁されるために図1に示したようにリアブラケットに直に接して配置することができる。
【0050】
発熱の最も大きい部分は、電流密度の高いダイオードのリード122部分及びターミナル121部分である。特に、ターミナル121はターミナル固定部材109tにより固定されると共に放熱が阻害されているために温度上昇が最も大きい。
【0051】
実験による測定ではターミナル121の温度はダイオードの温度に比べ約35℃程度高くなっていた。本実施形態のように良熱伝導体116で囲いリアブラケットに接触させることで、ターミナルの温度を約60℃下げることができた。
【0052】
また、本発明では、先に説明したターミナル121は固有抵抗値の小さい銅を用いたが、銅に他の金属を混ぜた銅合金を用いても同様の効果は得られる。
【0053】
また、冷却効率を上げるためにダイオードを圧入しているプラスフィン及びマイナスフィンの材質に同様の銅又は銅合金を用いることで達成できる。
【0054】
なお、本発明ではターミナルを保持するためにターミナル固定部材109tを用いたが使用しなくてもよい。
【0055】
次に図3を用いてダイオードのマイナス素子をリアプレート112に配置した場合について説明する。
【0056】
図2との違いは、ダイオードのマイナスフィン109bを省略してダイオードのマイナス素子を直接リアプレート112に圧入したものである。
【0057】
点線はリアプレート112により塞がれる水路を示したもので、ダイオードを良好に冷却できるものである。
【0058】
このように、ダイオードのマイナス素子をリアプレート112に直付けすることで熱抵抗を小さくすることができダイオードの温度上昇を下げることができる。言い換えると、ダイオードのマイナスフィン109bを水路を塞ぐための部材として使用したことにもなる。
【0059】
図4はその埋め込んだマイナス側のダイオードの断面図を示したものである。構成については図1に示したようにハウジング115の反プーリ側に配置した冷却促進部119R内の水路114を密閉するための部材である。
【0060】
リアプレート112を省略してダイオードのマイナスフィン109bにダイオードのマイナス側を配置している。そのマイナス側フィン109bの上部には絶縁材109abを介してダイオードのプラスフィン109aが配置される。
【0061】
このダイオードのプラスフィン109aにはダイオードのプラス側が配置され、それぞれのダイオードのリード122はターミナル121により接続されている。
【0062】
このように、リアプレート112を省略することでダイオードから水路114までの熱抵抗とリアプレート112とリアプレート112とマイナスフィン109bとの接触熱抵抗を低減できる効果がある。
【0063】
図5はリアプレート112に、マイナス側ダイオードだけではなくプラス側ダイオードを混在させた場合を示したものである。
【0064】
この場合は、プラス側ダイオードのディスク109dを電気的に絶縁する必要があるためディスク109dの外周部分には絶縁材109abが配置される。この絶縁材109abは熱伝導特性の良いものを使用することはいうまでもない。先の図2ではリアプレート112の上にダイオードマイナスフィン109bの上部にダイオードプラスフィンを絶縁材109abを用いて重ねて配置したが、他の方法としてはリアプレート112に対してマイナスダイオードは直付け、プラスフィンは絶縁材109abを介して直接リアプレート112に固定することも可能である。
【0065】
こうすることで、ダイオードのプラスフィン109aは絶縁物のみで水路に近いリアプレート112に接することができ良好な冷却が可能になる。
【0066】
図6は、図1に示した車両用交流発電機1の縦断面図を示したものである。図1と同符号は同じものを示すため詳細な説明は省略する。
【0067】
図1との違いはプーリ側に配置したベアリング100Fの外輪の回り止めに設けているベアリングリテーナ120を省略し冷却促進部119Fを大きくしてベアリングのリテーナと共用化したものである。この冷却促進部119Fはアルミ部材で構成されフロントブラケット103にネジにより固定される。
【0068】
このように、冷却促進部119Fをロータの内周側にまで配置できることでロータの界磁巻線107の冷却を促進できる効果がある。フロントブラケット103に設けた冷却促進部119Fの高さをH1、界磁巻線の巻高さH2、反プーリ側に配置した冷却促進部
119Rの高さをH3とした場合、それぞれの冷却促進部の高さは以下の式を満足するものとする。
【0069】
H1≧H2,H3≧H2
また、突き合わせ面のギャップ長g1及びg2は0.3mm〜1.0mm程度である。この理由は界磁巻線107の放熱効果を十分に確保するためである。
【0070】
図7は、図6に示した車両用交流発電機1の縦断面図を示す。図6と同符号は同じものを示すため詳細な説明は省略する。
【0071】
図6との違いは界磁巻線107の口出し線107aを爪磁極の側面に溝を設けてその凹部に配線を埋め込んだものである。この口出し線107aと爪形磁極部の凹部はワニスにより固定されている。よって、回転子の反プーリ側の面は平面とすることができるために冷却促進部119Rの効果を十分発揮することができる。
【0072】
図6の場合には界磁巻線口出し線107aの外側と冷却促進部119Rのギャップ長を0.3mm に設定しても、口出し線の線径分はギャップ長が広がってしまうために実際のギャップ長は2mm程度になっていた。そのために反プーリ側の冷却促進部110Rの冷却効果は小さかった。
【0073】
また、ロータの爪磁極側面に界磁巻線を通すための凹部を爪磁極を成型するときに爪磁極の数ほど設けることで、組立時に界磁巻線とロータ爪磁極の位置合わせを必要としないため量産性向上の効果がある。
【0074】
また、使わない凹部はロータ外周に向かって放射状に配置されるため内扇ファンの機能を持たせることができるため、機内空気の攪拌が可能となり冷却促進の効果もある。
【0075】
図8は、図7に示した車両用交流発電機1の縦断面図を示す。図7と同符号は同じものを示すため詳細な説明は省略する。
【0076】
図7との違いはフロントブラケット103の固定子巻線106とほぼ同じ外径部に放熱用の開口部122を設けたものである。この開口部122は回転部分と直接接していないため異物が混入しても回転子が固着し難い利点がある。また、爪形磁極部による攪拌作用により機内の冷却に有効であることから、界磁巻線温度を低くすることが出来るため界磁巻線の信頼性向上効果及び爪磁極間に配置した永久磁石の高温減磁抑制効果がある。
【0077】
また、本発明の基礎となる請求の範囲を以下に示す。
【0078】
複数の磁極を備えた回転子と、前記複数の磁極が磁化されることによって交流電圧を発生する固定子と、前記交流電圧を整流して出力するものであって、複数の正極側整流素子及び複数の負極側整流素子によって構成された整流回路と、前記固定子を固定するものであって、前記固定子を冷却するための第1冷却水路が設けられたハウジングと、前記回転子の軸方向端部と対向する部位に配置され、前記整流回路を冷却するための第2冷却水路を構成する第1部材と、前記第2冷却水路を構成する第2部材とを有し、少なくとも前記複数の負極側整流素子は前記第2部材に設けられて冷却されることを特徴とする車両用交流発電機。
【0079】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、前記複数の正極側整流素子が設けられた冷却フィンと、該冷却フィンを絶縁するための絶縁部材とを有し、前記冷却フィンは前記絶縁部材を介して前記第2部材上に設けられていることを特徴とする車両用交流発電機。
【0080】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、前記複数の正極側整流素子を絶縁するための絶縁部材を有し、前記複数の正極側整流素子は、前記絶縁部材を介して前記第2部材に設けられて冷却されることを特徴とする車両用交流発電機。
【0081】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、前記第2部材の外側に配置されて前記第2冷却水路に接したブラケットと、前記整流回路を覆う良熱伝導体とを有し、前記整流回路は前記良熱伝導体を介して前記ブラケットに接していることを特徴とする車両用交流発電機。
【0082】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、前記第1部材には、前記界磁巻線の巻線厚み以上の厚みを有する冷却促進部が設けられていることを特徴とする車両用交流発電機。
【0083】
請求項5に記載の車両用交流発電機において、前記回転子のシャフトを支持するベアリングを有し、前記冷却促進部は、前記ベアリングのリテーナを兼ねていることを特徴とする車両用交流発電機。
【0084】
請求項5に記載の車両用交流発電機において、前記界磁巻線は口出し線を備えており、前記口出し線は前記回転子のコア側面に埋め込まれていることを特徴とする車両用交流発電機。
【0085】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、前記整流器は、前記整流回路と前記固定子の巻線とを電気的に接続するためのターミナルを備えており、前記ターミナルは銅又は銅合金のものであることを特徴とする車両用交流発電機。
【0086】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、前記固定子及び前記回転子の軸方向両側を覆う2つのブラケットを有し、前記2つのブラケットのうち、少なくとも1つのブラケットには、前記固定子の巻線とほぼ同じ外径の開口部が設けられていることを特徴とする車両用交流発電機。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】車両用交流発電機の縦断面図を示す。
【図2】整流回路の全体構成上面図を示す。
【図3】整流回路の全体構成上面図を示す。
【図4】ダイオード部分の縦断面図を示す。
【図5】ダイオード部分の縦断面図を示す。
【図6】車両用交流発電機の縦断面図を示す。
【図7】車両用交流発電機の縦断面図を示す。
【図8】車両用交流発電機の縦断面図を示す。
【符号の説明】
【0088】
1…車両用交流発電機、104…ブラケット、107…界磁巻線、109…ダイオード、114…冷却水路、116…良熱伝導体、119…冷却促進部、121…ターミナル、122…開口部、200…軸方向端部を構成する面、300…回転子コア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に爪形の形状を持つ一対の爪形磁極部が配置され、中心部には界磁巻線が巻かれた回転子と、
前記一対の爪形磁極部の間に配置され、同極が向かい合う方向に着磁されたネオジム磁石と、
内周面が前記回転子と対向するように配置され、前記界磁巻線の磁化により交流電圧を発生する固定子巻線を有する固定子と、
発生された交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、
を有し、
前記固定子コアの内周面と前記回転子の表面は、0.4〜0.6mmの間隔を隔てて配置されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用交流発電機において、
前記整流回路及び前記固定子を冷却する冷却水路を有することを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項3】
請求項1乃至2に記載の車両用交流発電機において、
前記爪形磁極部における残りの空間部分から界磁巻線の空間部には良熱伝導体が配置されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の車両用交流発電機において、
前記回転子の前記爪形磁極部の最外周部には飛散防止カバーが配置されていることを特徴とする車両用交流発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−158200(P2006−158200A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75875(P2006−75875)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【分割の表示】特願平11−263181の分割
【原出願日】平成11年9月17日(1999.9.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】