車両用内装部材の放熱構造
【課題】 熱伝導体の形状自由度を高められ、かつ内装部材と熱伝導体との取付作業性を良好にできる車両用内側部材の放熱構造を提供する。
【解決手段】 車室内に配設されるインストルメントパネル2の外郭2aの内側に配設されて、日射により外郭2a表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板11を備え、該導熱板11の車体側取付部11aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをヒートシンクとなるダッシュパネル4に共締めして、これら導熱板11とダッシュパネル4とを熱的に接続することにより、導熱板11の形状自由度が広がって熱伝導効率の向上を図ることができるとともに、インストルメントパネル2と導熱板11の車体側への取付工数が削減されて組付け作業を簡素化することができる。
【解決手段】 車室内に配設されるインストルメントパネル2の外郭2aの内側に配設されて、日射により外郭2a表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板11を備え、該導熱板11の車体側取付部11aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをヒートシンクとなるダッシュパネル4に共締めして、これら導熱板11とダッシュパネル4とを熱的に接続することにより、導熱板11の形状自由度が広がって熱伝導効率の向上を図ることができるとともに、インストルメントパネル2と導熱板11の車体側への取付工数が削減されて組付け作業を簡素化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直射日光により車両用内装部材であるインストルメントパネルに蓄熱した熱を外部に放熱するようにした車両用内装部材の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
炎天下に自動車を駐車しておくと車室内温度が上昇するが、この温度上昇の大きな要因の1つに、フロントウインドウ直下に配置されるインストルメントパネルの上面が蓄熱した熱を車室内空気中に輻射することが考えられ、この場合、インストルメントパネルの表面温度は90゜Cを超え、室内温度が70゜C近くに達する場合もある。
【0003】
このため、従来ではインストルメントパネルの外郭の内側に熱伝導体(導熱板)を設けて、この熱伝導体に日射によりその外郭表面に蓄熱した熱を集熱する一方、前記熱伝導体をダッシュパネルに取り付けて、熱伝導体に蓄熱した熱をダッシュパネルに伝達し、そして、その熱をダッシュパネルから大気中に放出することにより、インストルメントパネルの温度上昇を抑制し、ひいては車室内の温度上昇を抑えることができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−42745号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の車両用内装部材の放熱構造では、インストルメントパネルの外郭の裏面(内側)に熱伝導体を接合して一体化させてあり、熱伝導体を車体側パネルに結合することにより前記外郭を固定するようにしているが、熱伝導体の取り付け部分で前記外郭まで支持するためには、熱伝導体の面積や形状に大きな制約が発生して熱伝導体の形状自由度が低下し、ひいては熱伝導効率に影響を与えてしまう。
【0005】
そこで、本発明は車両用内装部材と熱伝導体とを車体構成部材に共締めすることにより、熱伝導体の形状自由度を高めつつ内装部材と熱伝導体との取付作業性を良好にできる車両用内側部材の放熱構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用内装部材の放熱構造は、車室内に配設される内装部材の外郭内側に配設されて、日射によりその外郭表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板を備え、該導熱板の車体側取付部と前記内装部材の車体側取付部とを金属製の車体構成部材に共締めして、これら導熱板と車体構成部材とを熱的に接続したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用内装部材の放熱構造によれば、導熱板の車体側取付部と前記内装部材の車体側取付部とを金属製の車体構成部材に共締めして、これら導熱板と車体構成部材とを熱的に接続したので、導熱板に集熱した熱を共締め部分から車体構成部材に輸送し、その熱を車体構成部材をヒートシンクとして車体外方に放出することができる。
【0008】
このとき、前記内装部材はその車体側取付部を介して車体側に支持できるため、導熱板は内装部材の外郭を支持する必要が無くなり、導熱板の車体側取付部を介して自身のみを車体側に支持すれば良く、その導熱板の形状自由度が広がって熱伝導効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、前記導熱板と前記内装部材とはそれぞれの車体側取付部を前記車体構成部材に共締めしたことにより、それら内装部材と導熱板の車体側への取付工数が削減されて組付け作業を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1〜図7は本発明の車両用内装部材の放熱構造の第1実施形態を示し、図1は本発明を適用する車両の全体斜視図、図2は図1中A−A線に沿った拡大断面図、図3は車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す平面図、図4は車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す正面図、図5は導熱板の平面図、図6は太陽が真上にある場合の熱流れを示す導熱板の平面図、図7は偏日射の場合の熱流れを示す導熱板の平面図である。
【0012】
本実施形態の車両用内装部材の放熱構造10は、図1に示すように自動車1の車両用内装部材であるインストルメントパネル2に適用され、炎天下に自動車1を駐車しておく場合に、フロントガラス3から差込む太陽の直射日光によって、そのフロントガラス3直下にある前記インストルメントパネル2の温度が異常に上昇するのを抑制する。
【0013】
即ち、前記放熱構造10は、図2に示すように車室内に配設される前記インストルメントパネル2の外郭2aの内側に配設されて、日射によりその外郭2aの表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板11を備えている。
【0014】
そして、図3に示すように前記導熱板11に車体側取付部11aを設けるとともに、前記インストルメントパネル2に車体側取付部2bを設け、図2〜図4に示すように車幅方向に2箇所設けたそれら両取付部11a,2bを、金属製の車体構成部材としてのダッシュパネル4に共締めして、これら導熱板11とダッシュパネル4とを熱的に接続している。
【0015】
前記導熱板11は、図5に示すように車幅方向に延在する本体部分11bと、この本体部分11bの車幅方向両端部から車両前方に向かって突出する両端部分11c,11dと、によって全体的に平面視でほぼU字状に形成され、その両端部分11c,11dに前記車体側取付部11aが設けられる。
【0016】
そして、前記導熱板11の車体側取付部11aと前記インストルメントパネル2の車体側取付部2bとは、図2に示すように共通の取付けボルト12を介して前記ダッシュパネル4の上端部に共締めによって結合され、ダッシュパネル4をヒートシンクとして放熱するようになっている。
【0017】
また、前記導熱板11は良熱伝導材で形成されるが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、炭素繊維、またはそれらを含む複合材で形成することができる。
【0018】
更に、前記導熱板11のダッシュパネル4への取付部2bに沿った長さ方向、つまり本実施形態では車幅方向の両端部分11c,11dの車体側取付部11a近傍間を熱輸送手段としてのヒートパイプ13で連結し、そのヒートパイプ13によって熱的に接続してある。
【0019】
ヒートパイプ13は、一般に知られるように冷媒として用いる液体の蒸発と凝縮の潜熱を利用して局部の熱を他部で放熱するように形成された閉ループ構造体で、例えば中空の密閉された管状体内に水やアルコールなどの液体を封入し、その密閉管状体の一端側に伝達された熱で蒸発した封入液体を他端側のヒートシンクで放熱しつつ凝縮して液化させ、この液体を再度一端側に移送させるという循環サイクルを形成することが基本構造となるが、本実施形態のヒートパイプ13はその基本構造を用いて構成される各種ヒートパイプを用いることができる。
【0020】
このとき、前記ヒートパイプ13を直線状とし、かつ、その直線状のヒートパイプ13を棒状若しくは平板状としてある。
【0021】
以上の構成により本実施形態の車両用内装部材の放熱構造によれば、導熱板11の車体側取付部11aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをダッシュパネル4に共締めして、これら導熱板11とダッシュパネル4とを熱的に接続したので、導熱板11に集熱したインストルメントパネル2の熱を前記共締め部分からダッシュパネル4に輸送し、その熱をダッシュパネル4をヒートシンクとして車体外方に放出することができる。
【0022】
このとき、前記インストルメントパネル2はその車体側取付部2bを介してダッシュパネル4、つまり車体側に支持できるため、導熱板11はインストルメントパネル2の外郭2aを支持する必要が無くなり、導熱板11の車体側取付部11aを介して自身のみを車体側に熱的に接続すれば良く、その導熱板11の形状自由度が広がって熱伝導効率の向上を図ることができる。
【0023】
また、前記導熱板11と前記インストルメントパネル2とはそれぞれの車体側取付部11a,2bをダッシュパネル4に共締めしたことにより、それらインストルメントパネル2と導熱板11の車体側への取付工数が削減されて組付け作業を簡素化することができる。
【0024】
更に、本実施形態では前記作用効果に加えて、前記導熱板11のダッシュパネル4への取付部2bに沿った長さ方向、つまり本実施形態では車幅方向の両端部分11c,11d間を、ヒートパイプ13によって熱的に接続したので、太陽光の偏日射の影響がある場合に、前記ヒートパイプ13の車幅方向端部の一方が放熱側となるため、前記導熱板11には温度勾配が常に発生することになり、効率良く放熱システムを機能させることができる。
【0025】
つまり、導熱板11はダッシュパネル4にインストルメントパネル2とともに共締めするのみでは、それら導熱板11とダッシュパネル4との接触面積が十分ではなく、また、太陽光の偏日射の影響で導熱板11の表面が一定温度になった場合は、その導熱板11に温度勾配が生ぜずに熱輸送の効果が低減されるが、前記ヒートパイプ13を設けたことにより、導熱板11の両端部分11c,11d間に熱勾配を効率良く発生させることができる。
【0026】
即ち、前記導熱板11の両端部分11c,11d間にヒートパイプ13を設けたことにより、図6に示すように太陽Sが自動車1に対して真上に位置するような場合は、インストルメントパネル2全体にほぼ均等に熱を受け、導熱板11には図中矢印に示すように本体部分11bから車体側取付部11aが設けられた両端部分11c,11dへと熱輸送される熱勾配が発生し、両端部分11c,11dに輸送された熱は車体側取付部11aからヒートシンクとなるダッシュパネル4へと流れて車体外方に放熱される。
【0027】
一方、図7に示すように太陽Sが自動車1に対して側方に位置するような場合は、インストルメントパネル2に偏日射を受けることになるが、この場合は図中矢印に示すように導熱板11の本体部分11bは、太陽Sの傾き側が受熱側となって反対側の端部11dへと熱輸送されるとともに、ヒートパイプ13は同様に太陽Sの傾き側が受熱源となる一方、反対側が放熱源となって、一方の端部11c側から他方の端部11d側へと熱輸送され、このように導熱板11の他方の端部11d側に輸送された熱は、その車体取付部11aからダッシュパネル4へと流れて車体外方に放熱される。
【0028】
また、本実施形態では前記導熱板11を、銅、アルミニウム、鉄、炭素繊維、またはそれらを含む複合材で形成することにより、それらが良熱伝導材であるためインストルメントパネル2に蓄熱した熱を導熱板11によって効率良く輸送できるようになり、ひいては、その導熱板11に温度勾配を効率良く発生させることができる。
【0029】
更に、本実施形態では前記ヒートパイプ13を直線状とし、かつ、その直線状のヒートパイプ13を棒状若しくは平板状としたので、ヒートパイプ13で連結した導熱板11の両端部11c,11d間のヒートパイプ13の長さが短くなり、特に車室内側へはインシュレータなどの内装材も存在することから熱漏洩が少なくなるため、熱を効率良く輸送できるようになり、かつ、ヒートパイプ13を棒状若しくは平板状にしたことにより、ある程度の曲げが発生した場合にも熱性能の影響を問題無い程度に小さくできる。
【0030】
ところで、本実施形態では導熱板11を車体側取付部11aを介して車体側構成部材としてのダッシュパネル4に取り付けた場合を示したが、その車体構成部材としては、ダッシュサイドパネル、フロアパネル、ステアリングメンバのいずれか1つ若しくはそれらとダッシュパネル4を含めた2つ以上とすることができる。
【0031】
図8は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図8は導熱板の平面図である。
【0032】
本実施形態の放熱構造10Aの導熱板21は、第1実施形態と同様に車幅方向に延在する本体部分21bと、車体側取付部21aを設けた両端部21c,21dと、で構成されるが、特に本実施形態では前記導熱板21を、共締め部分である車体側取付部21aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて複数に分割、つまり本実施形態では3つの分割片21p,21q,21rに分割し、それぞれの分割片21p,21q,21rを他の車体構成部材としてのステアリングメンバ5に熱的に接続してある。
【0033】
即ち、インストルメントパネル2の下側には、ステアリングコラムを支持するための前記ステアリングメンバ5が車幅方向に延在して、その両端がダッシュサイドパネルまたはフロントピラーに結合されるようになっており、本実施形態ではそのステアリングメンバ5を利用して前記分割片21p,21q,21rの車両後方端部を前記ステアリングメンバ5にそれぞれ結合することにより、その結合部分で熱的に接続してある。
【0034】
また、本実施形態にあっても両端の分割片21p,21rの車体側取付部21aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをダッシュパネル4に共締めするとともに、前記分割片21p,21rの車体側取付部21a近傍に跨ってヒートパイプ13を連結してある。
【0035】
従って、本実施形態の放熱構造10Aによれば、導熱板21を分割片21p,21q,21rに3分割し、かつ、それぞれの分割片21p,21q,21r間に所定の間隔をおいてステアリングメンバ5に熱的に接続したので、温度勾配の均一化による熱輸送効率の低下を防ぐことができる。
【0036】
つまり、太陽光による偏日射の影響で導熱板21の表面が一定温度になった場合は、熱輸送が行われなくなる。熱輸送を効率良く行うためには、導熱板21の両端部21c,21d間、若しくは各端部21c,21dと中央部で常に温度勾配を発生する状況を作り出す必要があり、本実施形態のように導熱板21を分割することによりそれぞれの分割片21p,21q,21rの個体差により温度差を持たせるとともに、表面温度が均一化されることを防いで温度勾配を常に作り出すことができる。
【0037】
尚、各分割片21p,21q,21r間に発生する温度差は、ステアリングメンバ5を媒体として熱輸送され、そして、両端部の分割片21pまたは21qから車体側取付部21aを介してヒートシンクとしたダッシュパネル4に放熱される。
【0038】
図9は前記第2実施形態の変形例を示す導熱板の平面図で、前記第2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0039】
本変形例では導熱板31を、車体側取付部31aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて分割片31p,31q,31r,31sに4分割して、それぞれをステアリングメンバ5に結合し、その結合部分で熱的に接続してある。
【0040】
そして、両端の分割片31p,31qは前記車体側取付部31aでダッシュパネル4に熱的に接続するとともに、両端の車体側取付部31a近傍間をヒートパイプ13によって連結してある。
【0041】
従って、本実施形態にあっても前記第2実施形態と同様の作用効果を奏し、温度勾配の均一化による熱輸送効率の低下を防ぐとともに、偏日射の影響で導熱板31の表面が一定温度になった場合にも、分割片31p,31q,31r,31sの個体差により温度差を持たせて表面温度が均一化されることを防ぎ、温度勾配を常に作り出すことができる。
【0042】
図10は本発明の第3実施形態を示し、前記第1,2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10は導熱板の平面図である。
【0043】
本実施形態の放熱構造10Bの導熱板41は、第1実施形態と同様に車幅方向に延在する本体部分41bと、車体側取付部41aを設けた両端部41c,41dと、で構成されるが、特に本実施形態では導熱板41を、共締め部分である車体側取付部41aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて分割片41p,41q,41rに3分割し、それぞれ隣接する分割片41p,41q,41rどうしを熱輸送手段としての直線状のヒートパイプ14,14Aによって熱的に接続してある。
【0044】
尚、本実施形態では中間部の分割片41rは、インストルメントパネル2の外郭2aに一体成形して支持させておくことができる。
【0045】
また、本実施形態にあっても両端の分割片41p,41qの車体側取付部41aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをダッシュパネル4に共締めするとともに、前記分割片41p,41qの車体側取付部41a近傍に跨ってヒートパイプ13を連結してある。
【0046】
従って、本実施形態の放熱構造10Bによれば、導熱板41を分割して、それら分割片41p,41q,41rをヒートパイプ14,14Aで連結したことにより、両端部の分割片41p,41q間に少なくとも2本のヒートパイプ14,14Aが配置される。
【0047】
このように導熱板41が車幅方向に所定間隔をもって分割されることにより、太陽光が偏日射となった場合に各分割片41p,41q,41r間の温度差を大きくできるため、そのときの大きな温度勾配によってヒートパイプ14,14Aの両端部間の温度差を大きくして、それらヒートパイプ14,14Aによる熱輸送の効率をより高めることができる。
【0048】
また、導熱板41を複数に分割するとともに、複数のヒートパイプ14,14Aで各分割片41p,41q,41rを連結することにより、各ヒートパイプ14,14Aの長さを短縮して構造が簡素化されるため、成型性および加工性を向上できるとともに、組み立て時の作業性も簡略化され、かつ、レイアウトの多様性を発揮できる。
【0049】
図11は前記第3実施形態の変形例を示す導熱板の平面図で、前記第3実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0050】
本変形例では導熱板51を、車体側取付部51aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて分割片51p,51q,51r,51sに4分割して、それぞれ隣接する分割片51p,51q,51r,51sどうしを熱輸送手段としての直線状のヒートパイプ15,15A,15Bによって熱的に接続してある。
【0051】
そして、両端の分割片51p,51qは前記車体側取付部51aでダッシュパネル4に熱的に接続するとともに、両端の車体側取付部51a近傍間をヒートパイプ13によって連結してある。
【0052】
従って、本実施形態にあっても前記第3実施形態と同様の作用効果を奏し、太陽光が偏日射となった場合に各分割片51p,51q,51r,51s間の温度差を大きくできるため、そのときの大きな温度勾配によってヒートパイプ15,15A,15Bの両端部間の温度差を大きくして、それらヒートパイプ15,15A,15Bによる熱輸送の効率をより高めることができる。
【0053】
また、導熱板51を複数に分割するとともに、複数のヒートパイプ15,15A,15Bで各分割片51p,51q,51rを連結することにより、各ヒートパイプ15,15A,15Bの長さを短縮して構造が簡素化されるため、成型性および加工性を向上できるとともに、組み立て時の作業性も簡略化され、かつ、レイアウトの多様性を発揮できる。
【0054】
ところで、本発明は前記第1〜第3実施形態および変形例に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができ、導熱板の分割数やヒートパイプの数などを適宜設定することができ、また、本発明を適用する車両用内装部材としてインストルメントパネルを例示したが、これ以外の内装部材、例えばリヤパーセルシェルフにあっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用する車両の全体斜視図である。
【図2】図1中A−A線に沿った拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における導熱板の平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態における太陽が真上にある場合の熱流れを示す導熱板の平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態における偏日射の場合の熱流れを示す導熱板の平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態における導熱板の平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の変形例を示す導熱板の平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態における導熱板の平面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例を示す導熱板の平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 自動車
2 インストルメントパネル(車両用内装部材)
2a 外郭
2b 車体側取付部
4 ダッシュパネル(車体構成部材)
5 ステアリングメンバ(車体構成部材)
10,10A,10B 放熱構造
11,21,31,41,51 導熱板
11a,21a,31a,41a,51a 車体側取付部
13 ヒートパイプ(熱輸送手段)
14,14A ヒートパイプ(熱輸送手段)
15,15A,15B ヒートパイプ(熱輸送手段)
21p,21q,21r 分割片
31p,31q,31r,31s 分割片
41p,41q,41r 分割片
51p,51q,51r,51s 分割片
【技術分野】
【0001】
本発明は、直射日光により車両用内装部材であるインストルメントパネルに蓄熱した熱を外部に放熱するようにした車両用内装部材の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
炎天下に自動車を駐車しておくと車室内温度が上昇するが、この温度上昇の大きな要因の1つに、フロントウインドウ直下に配置されるインストルメントパネルの上面が蓄熱した熱を車室内空気中に輻射することが考えられ、この場合、インストルメントパネルの表面温度は90゜Cを超え、室内温度が70゜C近くに達する場合もある。
【0003】
このため、従来ではインストルメントパネルの外郭の内側に熱伝導体(導熱板)を設けて、この熱伝導体に日射によりその外郭表面に蓄熱した熱を集熱する一方、前記熱伝導体をダッシュパネルに取り付けて、熱伝導体に蓄熱した熱をダッシュパネルに伝達し、そして、その熱をダッシュパネルから大気中に放出することにより、インストルメントパネルの温度上昇を抑制し、ひいては車室内の温度上昇を抑えることができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−42745号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の車両用内装部材の放熱構造では、インストルメントパネルの外郭の裏面(内側)に熱伝導体を接合して一体化させてあり、熱伝導体を車体側パネルに結合することにより前記外郭を固定するようにしているが、熱伝導体の取り付け部分で前記外郭まで支持するためには、熱伝導体の面積や形状に大きな制約が発生して熱伝導体の形状自由度が低下し、ひいては熱伝導効率に影響を与えてしまう。
【0005】
そこで、本発明は車両用内装部材と熱伝導体とを車体構成部材に共締めすることにより、熱伝導体の形状自由度を高めつつ内装部材と熱伝導体との取付作業性を良好にできる車両用内側部材の放熱構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用内装部材の放熱構造は、車室内に配設される内装部材の外郭内側に配設されて、日射によりその外郭表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板を備え、該導熱板の車体側取付部と前記内装部材の車体側取付部とを金属製の車体構成部材に共締めして、これら導熱板と車体構成部材とを熱的に接続したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用内装部材の放熱構造によれば、導熱板の車体側取付部と前記内装部材の車体側取付部とを金属製の車体構成部材に共締めして、これら導熱板と車体構成部材とを熱的に接続したので、導熱板に集熱した熱を共締め部分から車体構成部材に輸送し、その熱を車体構成部材をヒートシンクとして車体外方に放出することができる。
【0008】
このとき、前記内装部材はその車体側取付部を介して車体側に支持できるため、導熱板は内装部材の外郭を支持する必要が無くなり、導熱板の車体側取付部を介して自身のみを車体側に支持すれば良く、その導熱板の形状自由度が広がって熱伝導効率の向上を図ることができる。
【0009】
また、前記導熱板と前記内装部材とはそれぞれの車体側取付部を前記車体構成部材に共締めしたことにより、それら内装部材と導熱板の車体側への取付工数が削減されて組付け作業を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1〜図7は本発明の車両用内装部材の放熱構造の第1実施形態を示し、図1は本発明を適用する車両の全体斜視図、図2は図1中A−A線に沿った拡大断面図、図3は車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す平面図、図4は車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す正面図、図5は導熱板の平面図、図6は太陽が真上にある場合の熱流れを示す導熱板の平面図、図7は偏日射の場合の熱流れを示す導熱板の平面図である。
【0012】
本実施形態の車両用内装部材の放熱構造10は、図1に示すように自動車1の車両用内装部材であるインストルメントパネル2に適用され、炎天下に自動車1を駐車しておく場合に、フロントガラス3から差込む太陽の直射日光によって、そのフロントガラス3直下にある前記インストルメントパネル2の温度が異常に上昇するのを抑制する。
【0013】
即ち、前記放熱構造10は、図2に示すように車室内に配設される前記インストルメントパネル2の外郭2aの内側に配設されて、日射によりその外郭2aの表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板11を備えている。
【0014】
そして、図3に示すように前記導熱板11に車体側取付部11aを設けるとともに、前記インストルメントパネル2に車体側取付部2bを設け、図2〜図4に示すように車幅方向に2箇所設けたそれら両取付部11a,2bを、金属製の車体構成部材としてのダッシュパネル4に共締めして、これら導熱板11とダッシュパネル4とを熱的に接続している。
【0015】
前記導熱板11は、図5に示すように車幅方向に延在する本体部分11bと、この本体部分11bの車幅方向両端部から車両前方に向かって突出する両端部分11c,11dと、によって全体的に平面視でほぼU字状に形成され、その両端部分11c,11dに前記車体側取付部11aが設けられる。
【0016】
そして、前記導熱板11の車体側取付部11aと前記インストルメントパネル2の車体側取付部2bとは、図2に示すように共通の取付けボルト12を介して前記ダッシュパネル4の上端部に共締めによって結合され、ダッシュパネル4をヒートシンクとして放熱するようになっている。
【0017】
また、前記導熱板11は良熱伝導材で形成されるが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、炭素繊維、またはそれらを含む複合材で形成することができる。
【0018】
更に、前記導熱板11のダッシュパネル4への取付部2bに沿った長さ方向、つまり本実施形態では車幅方向の両端部分11c,11dの車体側取付部11a近傍間を熱輸送手段としてのヒートパイプ13で連結し、そのヒートパイプ13によって熱的に接続してある。
【0019】
ヒートパイプ13は、一般に知られるように冷媒として用いる液体の蒸発と凝縮の潜熱を利用して局部の熱を他部で放熱するように形成された閉ループ構造体で、例えば中空の密閉された管状体内に水やアルコールなどの液体を封入し、その密閉管状体の一端側に伝達された熱で蒸発した封入液体を他端側のヒートシンクで放熱しつつ凝縮して液化させ、この液体を再度一端側に移送させるという循環サイクルを形成することが基本構造となるが、本実施形態のヒートパイプ13はその基本構造を用いて構成される各種ヒートパイプを用いることができる。
【0020】
このとき、前記ヒートパイプ13を直線状とし、かつ、その直線状のヒートパイプ13を棒状若しくは平板状としてある。
【0021】
以上の構成により本実施形態の車両用内装部材の放熱構造によれば、導熱板11の車体側取付部11aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをダッシュパネル4に共締めして、これら導熱板11とダッシュパネル4とを熱的に接続したので、導熱板11に集熱したインストルメントパネル2の熱を前記共締め部分からダッシュパネル4に輸送し、その熱をダッシュパネル4をヒートシンクとして車体外方に放出することができる。
【0022】
このとき、前記インストルメントパネル2はその車体側取付部2bを介してダッシュパネル4、つまり車体側に支持できるため、導熱板11はインストルメントパネル2の外郭2aを支持する必要が無くなり、導熱板11の車体側取付部11aを介して自身のみを車体側に熱的に接続すれば良く、その導熱板11の形状自由度が広がって熱伝導効率の向上を図ることができる。
【0023】
また、前記導熱板11と前記インストルメントパネル2とはそれぞれの車体側取付部11a,2bをダッシュパネル4に共締めしたことにより、それらインストルメントパネル2と導熱板11の車体側への取付工数が削減されて組付け作業を簡素化することができる。
【0024】
更に、本実施形態では前記作用効果に加えて、前記導熱板11のダッシュパネル4への取付部2bに沿った長さ方向、つまり本実施形態では車幅方向の両端部分11c,11d間を、ヒートパイプ13によって熱的に接続したので、太陽光の偏日射の影響がある場合に、前記ヒートパイプ13の車幅方向端部の一方が放熱側となるため、前記導熱板11には温度勾配が常に発生することになり、効率良く放熱システムを機能させることができる。
【0025】
つまり、導熱板11はダッシュパネル4にインストルメントパネル2とともに共締めするのみでは、それら導熱板11とダッシュパネル4との接触面積が十分ではなく、また、太陽光の偏日射の影響で導熱板11の表面が一定温度になった場合は、その導熱板11に温度勾配が生ぜずに熱輸送の効果が低減されるが、前記ヒートパイプ13を設けたことにより、導熱板11の両端部分11c,11d間に熱勾配を効率良く発生させることができる。
【0026】
即ち、前記導熱板11の両端部分11c,11d間にヒートパイプ13を設けたことにより、図6に示すように太陽Sが自動車1に対して真上に位置するような場合は、インストルメントパネル2全体にほぼ均等に熱を受け、導熱板11には図中矢印に示すように本体部分11bから車体側取付部11aが設けられた両端部分11c,11dへと熱輸送される熱勾配が発生し、両端部分11c,11dに輸送された熱は車体側取付部11aからヒートシンクとなるダッシュパネル4へと流れて車体外方に放熱される。
【0027】
一方、図7に示すように太陽Sが自動車1に対して側方に位置するような場合は、インストルメントパネル2に偏日射を受けることになるが、この場合は図中矢印に示すように導熱板11の本体部分11bは、太陽Sの傾き側が受熱側となって反対側の端部11dへと熱輸送されるとともに、ヒートパイプ13は同様に太陽Sの傾き側が受熱源となる一方、反対側が放熱源となって、一方の端部11c側から他方の端部11d側へと熱輸送され、このように導熱板11の他方の端部11d側に輸送された熱は、その車体取付部11aからダッシュパネル4へと流れて車体外方に放熱される。
【0028】
また、本実施形態では前記導熱板11を、銅、アルミニウム、鉄、炭素繊維、またはそれらを含む複合材で形成することにより、それらが良熱伝導材であるためインストルメントパネル2に蓄熱した熱を導熱板11によって効率良く輸送できるようになり、ひいては、その導熱板11に温度勾配を効率良く発生させることができる。
【0029】
更に、本実施形態では前記ヒートパイプ13を直線状とし、かつ、その直線状のヒートパイプ13を棒状若しくは平板状としたので、ヒートパイプ13で連結した導熱板11の両端部11c,11d間のヒートパイプ13の長さが短くなり、特に車室内側へはインシュレータなどの内装材も存在することから熱漏洩が少なくなるため、熱を効率良く輸送できるようになり、かつ、ヒートパイプ13を棒状若しくは平板状にしたことにより、ある程度の曲げが発生した場合にも熱性能の影響を問題無い程度に小さくできる。
【0030】
ところで、本実施形態では導熱板11を車体側取付部11aを介して車体側構成部材としてのダッシュパネル4に取り付けた場合を示したが、その車体構成部材としては、ダッシュサイドパネル、フロアパネル、ステアリングメンバのいずれか1つ若しくはそれらとダッシュパネル4を含めた2つ以上とすることができる。
【0031】
図8は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図8は導熱板の平面図である。
【0032】
本実施形態の放熱構造10Aの導熱板21は、第1実施形態と同様に車幅方向に延在する本体部分21bと、車体側取付部21aを設けた両端部21c,21dと、で構成されるが、特に本実施形態では前記導熱板21を、共締め部分である車体側取付部21aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて複数に分割、つまり本実施形態では3つの分割片21p,21q,21rに分割し、それぞれの分割片21p,21q,21rを他の車体構成部材としてのステアリングメンバ5に熱的に接続してある。
【0033】
即ち、インストルメントパネル2の下側には、ステアリングコラムを支持するための前記ステアリングメンバ5が車幅方向に延在して、その両端がダッシュサイドパネルまたはフロントピラーに結合されるようになっており、本実施形態ではそのステアリングメンバ5を利用して前記分割片21p,21q,21rの車両後方端部を前記ステアリングメンバ5にそれぞれ結合することにより、その結合部分で熱的に接続してある。
【0034】
また、本実施形態にあっても両端の分割片21p,21rの車体側取付部21aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをダッシュパネル4に共締めするとともに、前記分割片21p,21rの車体側取付部21a近傍に跨ってヒートパイプ13を連結してある。
【0035】
従って、本実施形態の放熱構造10Aによれば、導熱板21を分割片21p,21q,21rに3分割し、かつ、それぞれの分割片21p,21q,21r間に所定の間隔をおいてステアリングメンバ5に熱的に接続したので、温度勾配の均一化による熱輸送効率の低下を防ぐことができる。
【0036】
つまり、太陽光による偏日射の影響で導熱板21の表面が一定温度になった場合は、熱輸送が行われなくなる。熱輸送を効率良く行うためには、導熱板21の両端部21c,21d間、若しくは各端部21c,21dと中央部で常に温度勾配を発生する状況を作り出す必要があり、本実施形態のように導熱板21を分割することによりそれぞれの分割片21p,21q,21rの個体差により温度差を持たせるとともに、表面温度が均一化されることを防いで温度勾配を常に作り出すことができる。
【0037】
尚、各分割片21p,21q,21r間に発生する温度差は、ステアリングメンバ5を媒体として熱輸送され、そして、両端部の分割片21pまたは21qから車体側取付部21aを介してヒートシンクとしたダッシュパネル4に放熱される。
【0038】
図9は前記第2実施形態の変形例を示す導熱板の平面図で、前記第2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0039】
本変形例では導熱板31を、車体側取付部31aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて分割片31p,31q,31r,31sに4分割して、それぞれをステアリングメンバ5に結合し、その結合部分で熱的に接続してある。
【0040】
そして、両端の分割片31p,31qは前記車体側取付部31aでダッシュパネル4に熱的に接続するとともに、両端の車体側取付部31a近傍間をヒートパイプ13によって連結してある。
【0041】
従って、本実施形態にあっても前記第2実施形態と同様の作用効果を奏し、温度勾配の均一化による熱輸送効率の低下を防ぐとともに、偏日射の影響で導熱板31の表面が一定温度になった場合にも、分割片31p,31q,31r,31sの個体差により温度差を持たせて表面温度が均一化されることを防ぎ、温度勾配を常に作り出すことができる。
【0042】
図10は本発明の第3実施形態を示し、前記第1,2実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10は導熱板の平面図である。
【0043】
本実施形態の放熱構造10Bの導熱板41は、第1実施形態と同様に車幅方向に延在する本体部分41bと、車体側取付部41aを設けた両端部41c,41dと、で構成されるが、特に本実施形態では導熱板41を、共締め部分である車体側取付部41aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて分割片41p,41q,41rに3分割し、それぞれ隣接する分割片41p,41q,41rどうしを熱輸送手段としての直線状のヒートパイプ14,14Aによって熱的に接続してある。
【0044】
尚、本実施形態では中間部の分割片41rは、インストルメントパネル2の外郭2aに一体成形して支持させておくことができる。
【0045】
また、本実施形態にあっても両端の分割片41p,41qの車体側取付部41aとインストルメントパネル2の車体側取付部2bとをダッシュパネル4に共締めするとともに、前記分割片41p,41qの車体側取付部41a近傍に跨ってヒートパイプ13を連結してある。
【0046】
従って、本実施形態の放熱構造10Bによれば、導熱板41を分割して、それら分割片41p,41q,41rをヒートパイプ14,14Aで連結したことにより、両端部の分割片41p,41q間に少なくとも2本のヒートパイプ14,14Aが配置される。
【0047】
このように導熱板41が車幅方向に所定間隔をもって分割されることにより、太陽光が偏日射となった場合に各分割片41p,41q,41r間の温度差を大きくできるため、そのときの大きな温度勾配によってヒートパイプ14,14Aの両端部間の温度差を大きくして、それらヒートパイプ14,14Aによる熱輸送の効率をより高めることができる。
【0048】
また、導熱板41を複数に分割するとともに、複数のヒートパイプ14,14Aで各分割片41p,41q,41rを連結することにより、各ヒートパイプ14,14Aの長さを短縮して構造が簡素化されるため、成型性および加工性を向上できるとともに、組み立て時の作業性も簡略化され、かつ、レイアウトの多様性を発揮できる。
【0049】
図11は前記第3実施形態の変形例を示す導熱板の平面図で、前記第3実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。
【0050】
本変形例では導熱板51を、車体側取付部51aを含んで車幅方向に所定間隔をおいて分割片51p,51q,51r,51sに4分割して、それぞれ隣接する分割片51p,51q,51r,51sどうしを熱輸送手段としての直線状のヒートパイプ15,15A,15Bによって熱的に接続してある。
【0051】
そして、両端の分割片51p,51qは前記車体側取付部51aでダッシュパネル4に熱的に接続するとともに、両端の車体側取付部51a近傍間をヒートパイプ13によって連結してある。
【0052】
従って、本実施形態にあっても前記第3実施形態と同様の作用効果を奏し、太陽光が偏日射となった場合に各分割片51p,51q,51r,51s間の温度差を大きくできるため、そのときの大きな温度勾配によってヒートパイプ15,15A,15Bの両端部間の温度差を大きくして、それらヒートパイプ15,15A,15Bによる熱輸送の効率をより高めることができる。
【0053】
また、導熱板51を複数に分割するとともに、複数のヒートパイプ15,15A,15Bで各分割片51p,51q,51rを連結することにより、各ヒートパイプ15,15A,15Bの長さを短縮して構造が簡素化されるため、成型性および加工性を向上できるとともに、組み立て時の作業性も簡略化され、かつ、レイアウトの多様性を発揮できる。
【0054】
ところで、本発明は前記第1〜第3実施形態および変形例に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができ、導熱板の分割数やヒートパイプの数などを適宜設定することができ、また、本発明を適用する車両用内装部材としてインストルメントパネルを例示したが、これ以外の内装部材、例えばリヤパーセルシェルフにあっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用する車両の全体斜視図である。
【図2】図1中A−A線に沿った拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における車両用内装部材と導熱板の取付状態を示す正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における導熱板の平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態における太陽が真上にある場合の熱流れを示す導熱板の平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態における偏日射の場合の熱流れを示す導熱板の平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態における導熱板の平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の変形例を示す導熱板の平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態における導熱板の平面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例を示す導熱板の平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 自動車
2 インストルメントパネル(車両用内装部材)
2a 外郭
2b 車体側取付部
4 ダッシュパネル(車体構成部材)
5 ステアリングメンバ(車体構成部材)
10,10A,10B 放熱構造
11,21,31,41,51 導熱板
11a,21a,31a,41a,51a 車体側取付部
13 ヒートパイプ(熱輸送手段)
14,14A ヒートパイプ(熱輸送手段)
15,15A,15B ヒートパイプ(熱輸送手段)
21p,21q,21r 分割片
31p,31q,31r,31s 分割片
41p,41q,41r 分割片
51p,51q,51r,51s 分割片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配設される内装部材の外郭内側に配設されて、日射により外郭表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板を備え、該導熱板の車体側取付部と前記内装部材の車体側取付部とを金属製の車体構成部材に共締めして、これら導熱板と車体構成部材とを熱的に接続したことを特徴とする車両用内装部材の放熱構造。
【請求項2】
導熱板の車幅方向両端部を、熱輸送手段によって熱的に接続したことを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項3】
導熱板は、前記締結部分を含んで車幅方向に所定間隔をおいて複数に分割し、それぞれの分割片を前記車体構成部材または他の車体構成部材に熱的に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項4】
導熱板は、前記締結部分を含んで車幅方向に所定間隔をおいて複数に分割し、それぞれ隣接する分割片どうしを熱輸送手段によって熱的に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項5】
熱輸送手段は、直線状のヒートパイプであり、かつ、その直線状のヒートパイプが棒状若しくは平板状あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項6】
導熱板を取付ける車体構成部材は、ダッシュパネル、ダッシュサイドパネル、フロアパネル、ステアリングメンバのいずれか1つ若しくは2つ以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項7】
導熱板は、銅、アルミニウム、鉄、炭素繊維、またはそれらを含む複合材で形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項1】
車室内に配設される内装部材の外郭内側に配設されて、日射により外郭表面に蓄熱した熱を集熱する良熱伝導材からなる導熱板を備え、該導熱板の車体側取付部と前記内装部材の車体側取付部とを金属製の車体構成部材に共締めして、これら導熱板と車体構成部材とを熱的に接続したことを特徴とする車両用内装部材の放熱構造。
【請求項2】
導熱板の車幅方向両端部を、熱輸送手段によって熱的に接続したことを特徴とする請求項1に記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項3】
導熱板は、前記締結部分を含んで車幅方向に所定間隔をおいて複数に分割し、それぞれの分割片を前記車体構成部材または他の車体構成部材に熱的に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項4】
導熱板は、前記締結部分を含んで車幅方向に所定間隔をおいて複数に分割し、それぞれ隣接する分割片どうしを熱輸送手段によって熱的に接続したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項5】
熱輸送手段は、直線状のヒートパイプであり、かつ、その直線状のヒートパイプが棒状若しくは平板状あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項6】
導熱板を取付ける車体構成部材は、ダッシュパネル、ダッシュサイドパネル、フロアパネル、ステアリングメンバのいずれか1つ若しくは2つ以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用内装部材の放熱構造。
【請求項7】
導熱板は、銅、アルミニウム、鉄、炭素繊維、またはそれらを含む複合材で形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両用内装部材の放熱構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−306152(P2006−306152A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128209(P2005−128209)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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