説明

車両用冷房装置

【課題】冷房装置の作動を停止させて冷媒を循環させていないときに、冷房装置の冷媒放出手段を極力作動させないようにする。
【解決手段】
コンプレッサ11から膨張弁14に至る高圧側回路21にて冷媒が超臨界状態で使用され、膨張弁14からコンプレッサ11に至る低圧側回路23にこの低圧側回路23が所定圧力以上になったときに冷媒を外部へ放出する冷媒放出手段27が設けられ、放熱器12に通風するための冷却ファン13と、吸熱器16に通風するためのブロワ17とが設けられた車両用冷房装置10において、低圧側回路23の圧力を検出する圧力センサ28と、冷凍サイクルの停止時に圧力センサ28で検出された検出圧力が所定圧力より低い規定圧力以上になったときに、冷却ファン13、ブロワ17及びコンプレッサ11の少なくとも一つを作動させる制御装置33とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用冷房装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用冷房装置として、冷媒にCOを使用し、冷凍サイクルの低圧ラインに所定圧力以上になると冷媒を外部に放出する弁を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】国際公開第00/23752号パンフレット
【0003】
特許文献1の第1図を以下の図16で説明する。なお、符号は振り直した。
図16は従来の冷房装置の構成図であり、冷房装置としての冷凍サイクル101は、冷媒であるCOを超臨界領域まで圧縮するコンプレッサ102と、このコンプレッサ102によって圧縮された冷媒を冷却する放熱器103と、この放熱器103によって冷却された冷媒を膨張させて圧力を低下させる膨張弁105と、外部から熱を吸収して冷媒を蒸発させる蒸発器106とからなり、蒸発器106はコンプレッサ102に連結されている。なお、111は冷媒から潤滑油を分離するオイル分離器、112は冷媒を気液分離して気相成分のみをコンプレッサ102に戻すアキュムレータである。
【0004】
コンプレッサ102の吐出側から膨張弁105の入口に至る冷媒通路は高圧ライン115、膨張弁105の出口からコンプレッサ102の吸入側に至る冷媒通路は低圧ライン116であり、高圧ライン115と低圧ライン116との間の冷媒通路に第1の弁121が設けられ、低圧ライン116と第1の弁121との間から延びて先端が大気に開放している冷媒通路に第2の弁122が設けられている。なお、123はオイル分離器111で分離されたオイルをコンプレッサ102に戻す戻り量を調整する弁である。
【0005】
上記したCO2の臨界点は約31.1℃であるから、例えば、夏場に外気温度が臨界点を越えた場合には、冷凍サイクル101の高圧ライン115の圧力は臨界点を超えた超臨界領域に入るため、例えば放熱器103の耐圧を考慮して、高圧ライン115が所定の圧力以上となった場合に第1の弁121を開いて高圧ライン115の高圧冷媒を低圧ライン116に流すようにする。更に、低圧ライン116の圧力が上昇して許容範囲を超えた場合、若しくは、冷凍サイクル101の停止時に外気温度の上昇等の要因によって冷凍サイクル101内の冷媒圧力が全体的に上昇して許容範囲を超えた場合には、第2の弁122を開いて冷媒を大気に放出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第2の弁122が開いて冷媒が大気に放出された後に冷凍サイクル101を運転しても、冷凍サイクル101内の冷媒量が減少しているから、車室内に配置された蒸発器106で車室内の空気から吸熱しにくくなり、冷房能力が低下する。
【0007】
本発明の目的は、冷房装置の作動を停止させて冷媒を循環させていないときに、冷房装置の冷媒放出手段を極力作動させないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、少なくともコンプレッサ、放熱器、膨張弁、吸熱器が配管で接続されて冷媒が循環する冷凍サイクルが形成され、コンプレッサから膨張弁に至る高圧側回路にて前記冷媒が超臨界状態で使用され、膨張弁からコンプレッサに至る低圧側回路にこの低圧側回路が所定圧力以上になったときに冷媒を外部へ放出する冷媒放出手段が設けられ、放熱器に通風するための冷却ファンと、吸熱器に通風するためのブロワとが設けられた車両用冷房装置において、低圧側回路の圧力を検出する圧力センサと、冷凍サイクルの停止時に圧力センサで検出された検出圧力が所定圧力より低い規定圧力以上になったときに、冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサの少なくとも一つを作動させる制御装置とを設けたことを特徴とする。
【0009】
作用として、冷凍サイクルの停止時に低圧側回路の圧力を圧力センサで検出し、この検出された検出圧力に基づいて、検出圧力が所定圧力より低い規定圧力以上になったときに、制御装置により、冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサの少なくとも一つを作動させる。
【0010】
冷却ファン、ブロワを作動させた場合には、冷媒が放熱器、吸熱器を介して冷却され、コンプレッサを作動させた場合には、冷媒が循環するために、低圧側回路の温度が低下し、低圧側回路の圧力上昇が抑制される。
【0011】
請求項2に係る発明は、制御装置が、圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、作動させる冷却ファンやブロワの風量を増大させる、又はコンプレッサとして可変容量型を用いた場合にコンプレッサの容量を増大させることを特徴とする。
【0012】
作用として、冷却ファンやブロワの風量を増大させることで、冷媒を放熱器、吸熱器を介して冷却する能力を高め、コンプレッサの容量を増大させることで、単位時間当たりの冷媒の循環量を増やして、低圧側回路の温度を低下しやすくし、低圧側回路の圧力上昇抑制を促す。
【0013】
請求項3に係る発明は、制御装置が、圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサを順次追加作動させることを特徴とする。
作用として、圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサを順次追加作動させ、冷媒を冷却する能力を次第に高め、低圧側回路の温度を低下しやすくし、低圧側回路の圧力上昇抑制を促す。
【0014】
請求項4に係る発明は、制御装置が、圧力センサの検出圧力に加えて、検出圧力の圧力上昇率、車室内温度及び車室外温度に応じて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサを選択的に作動させることを特徴とする。
【0015】
作用として、圧力センサの検出圧力に加えて、検出圧力の圧力上昇率、車室内温度及び車室外温度に応じて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサの作動をきめ細かく制御して、冷媒の温度上昇による低圧側回路の圧力上昇を抑制する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、低圧側回路の圧力を検出する圧力センサと、冷凍サイクルの停止時に圧力センサで検出された検出圧力が所定圧力より低い規定圧力以上になったときに、冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサの少なくとも一つを作動させる制御装置とを設けたので、冷凍サイクルの停止時に、冷房装置の周囲の外気温度が上昇した場合には、圧力センサと制御装置によって、冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサの少なくとも一つを作動させて、冷媒を冷却したり冷媒を循環させたりすることができ、冷媒の温度を低下させることができて、低圧側回路の圧力上昇を抑制することができる。従って、冷媒放出手段を作動しにくくすることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、制御装置が、圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、作動させる冷却ファンやブロワの風量を増大させる、又はコンプレッサとして可変容量型を用いた場合にコンプレッサの容量を増大させるので、圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、冷却ファン、ブロワによる冷媒の冷却能力を高め、コンプレッサによる単位時間当たりの冷媒の循環量を増やすことができ、低圧側回路の圧力上昇抑制を促進することができる。
【0018】
また、単に冷却ファン、ブロワ、コンプレッサを作動させるのに比べて、検出圧力の上昇に応じて冷却ファンやブロワの風量を増大させ、コンプレッサの容量を増大させることにより、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサの動力の最適化を図ることができ、これらの冷却ファン、ブロワ、コンプレッサの動力の消費を小さくすることができる。
【0019】
請求項3に係る発明では、制御装置が、圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサを順次追加作動させるので、検出圧力の上昇に応じて冷却ファン、ブロワ、コンプレッサによる冷媒を冷却する冷却能力を次第に高めることで低圧側回路の圧力上昇抑制を促進することができる。
【0020】
請求項4に係る発明では、制御装置が、圧力センサの検出圧力に加えて、検出圧力の圧力上昇率、車室内温度及び車室外温度に応じて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサを選択的に作動させるので、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサの作動を、圧力センサの検出圧力、検出圧力の圧力上昇率、車室内温度及び車室外温度に応じてきめ細かく制御することができ、冷媒の温度上昇による低圧側回路の圧力上昇をより効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る冷房装置の構成図であり、冷房装置10は、エンジン又は電動モータ等の駆動源10Aで駆動されるコンプレッサ11と、このコンプレッサ11に接続されエンジンルーム内に配置された放熱器12と、この放熱器12に通風して冷却するためにエンジンルーム内の放熱器12の車両後方側に配置された冷却ファン13と、放熱器12に接続された膨張弁14と、この膨張弁14に接続され車室内に配置された吸熱器16と、この吸熱器16に通風するためのブロワ17と、吸熱器16及コンプレッサ11のそれぞれに接続されたアキュムレータ18と、コンプレッサ11から放熱器12を介して膨張弁14に至る高圧側回路21に設けられた高圧側熱交換部22及び膨張弁14から吸熱器16、アキュムレータ18を介してコンプレッサ11に至る低圧側回路23に設けられた低圧側熱交換部24で構成される内部熱交換器26と、アキュムレータ18及び内部熱交換器26のそれぞれの間に設けられた冷媒放出手段27と、内部熱交換器26及びコンプレッサ11のそれぞれの間に設けられて低圧側回路23の圧力(ゲージ圧)を検出する圧力センサ28と、車室外温度を検出する外気温センサ31と、車室内温度を検出する内気温センサ32と、これらの圧力センサ28での検出圧力、外気温センサ31及び内気温センサ32での検出温度に基づいてコンプレッサ11、冷却ファン13及びブロワ17を制御する制御装置33とからなり、高圧側回路21及び低圧側回路23に冷媒としてCOを循環させる冷凍サイクルが形成される。
【0022】
コンプレッサ11は、制御装置33の制御によって容量が変更可能な可変容量型で、ガス状の冷媒を圧縮し、高温高圧の状態にするものである。
コンプレッサ11をエンジンによって駆動する場合には、制御装置33により制御される電磁クラッチ(不図示)のオンオフによりコンプレッサ11が作動、停止し、コンプレッサ11を電動モータによって駆動する場合には、電動モータが制御装置33により制御されて作動、停止するのに伴い、コンプレッサ11が作動、停止する。
【0023】
放熱器12は、車室内を冷房するときに、内部を通過する高温高圧のガス状の冷媒から放熱させて冷却するものである。
冷却ファン13は、制御装置33によって出力、即ち風量が制御され、放熱器12を介して冷媒を冷却する冷却能力を変更可能としたものである。
【0024】
膨張弁14は、ガス状の冷媒を膨張させて低温低圧の霧状の冷媒にするものである。
吸熱器16は、車室内を冷房するときに、車室内の空気から吸熱することで内部を通過する霧状の冷媒を気化させ膨張させる、即ち、エバポレータとして作動するものである。
【0025】
ブロワ17は、制御装置33によって出力、即ち風量が制御され、吸熱器16に通風する能力を変更可能としたものである。冷凍サイクルが停止しているときには、ブロワ17は、吸熱器16に通風することで冷媒を冷却する冷却能力を風量調整によって変更可能である。
アキュムレータ18は、吸熱器16から流出する冷媒を気液分離してガス成分のみをコンプレッサ11に戻すものである。
【0026】
内部熱交換器26は、高圧側熱交換部22内を流れる高温の冷媒と、低圧側熱交換部24内を流れる低温の冷媒との間で熱交換を行うようにしたものであり、この内部熱交換器26によって高圧側回路21での冷媒の温度を低下させることができ、冷房能力を向上することができる。
【0027】
冷媒放出手段27は、夏場に、冷房装置10を停止させた状態で外気温度が上昇して、高圧側回路21及び低圧側回路23内の圧力が上昇した場合に、この圧力上昇が過度にならないように低圧側回路23を大気開放させて冷媒を外部に放出するためのものである。
【0028】
しかし、容易に冷媒を外部に放出すると、冷房装置10内の冷媒量が減少し、冷房能力が低下するため、本発明では、低圧側回路23の圧力上昇を抑制する手段を講じることで冷媒放出手段27を極力働かせないようにしている。冷媒放出手段27の詳細構造については、図2で述べる。
【0029】
図2(a)〜(c)は本発明に係る冷媒放出手段の各実施形態を示す断面図である。
(a)において、冷媒放出手段27は、リリーフバルブであり、冷媒が流れる管部材41に一体に形成されたケース部42と、管部材41内の冷媒通路41a及びケース部42内のそれぞれを連通する入口通路43を塞ぐ位置に配置されたボール44と、このボール44を入口通路43に押し付ける押圧機構46とからなる。
【0030】
押圧機構46は、ケース部42の開口を閉塞部材48で塞いで出来る空間部51内にボール44に当たるように移動自在に配置されたボール押圧部材52と、このボール押圧部材52と閉塞部材48との間に設けられた圧縮コイルばね53とからなる。なお、55は空間部51と外部とを連通させるために閉塞部材48に開けられた冷媒放出孔である。
【0031】
冷媒通路41aの圧力が所定圧力を超えると、圧縮コイルばね53の押付け力に抗して入口通路43とボール44との間に隙間が出来、冷媒通路41a内の冷媒は、入口通路43から空間部51内に進入し、ケース部42の内面とボール押圧部材52との隙間を通り、冷媒放出孔55から外部に放出される。
【0032】
(b)に示される別実施形態である冷媒放出手段61は、電磁弁であり、管部材41に一体に形成されたケース部62と、このケース部62内に通じる入口通路43を塞ぐ位置に配置されたボール44と、このボール44を入口通路43に押し付ける押圧機構63と、この押圧機構63による押圧力の方向と反対の方向へ磁力を発生させるためにケース部42に巻き付けたコイル64とからなる。
【0033】
押圧機構63は、ケース部62の開口を閉塞部材48で塞いで出来る空間部66内にボール44に当たるように移動自在に配置された磁性材料製のボール押圧部材67と、このボール押圧部材67と閉塞部材48との間に設けられた圧縮コイルばね53とからなる。
【0034】
コイル64に電流を流さない状態では、ボール44は圧縮コイルばね53の弾性力によりボール押圧部材67に押し付けられて入口通路43を閉じているが、管部材41内の冷媒通路41aの圧力が所定圧力を超えると、制御装置33(図1参照)がコイル64に電流を流すため、ボール押圧部材67が圧縮コイルばね53の弾性力に抗して上方に移動するため、ボール44と入口通路43との間に隙間が出来、冷媒通路41a内の冷媒は、入口通路43から空間部66内に進入し、ケース部62の内面とボール押圧部材67との隙間を通り、冷媒放出孔55から外部に放出される。
【0035】
(c)に示される更なる別実施形態である冷媒放出手段71は、管部材41に形成されたケース部72の開口を閉塞部材48で塞いで出来る空間部51を2つに仕切るように破裂板73を設けたものである。図中74,76は空間部51を破裂板73で隔てて出来た第1室及び第2室である。
【0036】
冷媒通路41aの圧力が所定圧力を超えると、破裂板73が破れて、冷媒は第1室74から第2室76及び冷媒放出孔55を通って外部に放出される。
【0037】
次に、冷凍サイクルの停止時に以上の(a)〜(c)に示された冷媒放出手段27,61,71を極力作動させないように高圧側回路21及び低圧側回路23の圧力上昇を抑制する圧力上昇抑制制御の第1実施形態について図3〜図12で説明する。
【0038】
図3は本発明に係る冷房装置の圧力上昇抑制制御(第1実施形態)の流れを示すフローチャートである。図中のSTXX及びSTXXXはステップ番号を表す(以下同じ。)。
ST01…制御装置は、圧力センサで検出された検出圧力P、外気温センサで検出された車室外温度Tout、内気温センサで検出された車室内温度Tinを読み込む。
【0039】
ST02…冷却ファンによる圧力上昇抑制制御を行う。(詳細は図4参照)
ST03…ブロワによる圧力上昇抑制制御を行う。(詳細は図9参照)
ST04…コンプレッサによる圧力上昇抑制制御を行う。(詳細は図10、図11参照)
【0040】
図4は本発明に係る冷却ファンによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
ST11…既に冷却ファンの抑制制御が作動しているかどうかを判断するために、抑制制御が作動した際に出される冷却ファンに関する出力情報の有無を確認する。
出力情報が有れば、ST12に進み、出力情報が無ければ、ST15に進む。
【0041】
ST12…圧力センサによる検出圧力Pと復帰圧力Prを比較し、P≦Prであるかどうか判断する。
復帰圧力Prとは、冷却ファンが作動中のときに、検出圧力Pが次第に下がって冷却ファンが停止する圧力である。
P≦Prである(YES)ならば、ST13に進む。
P≦Prでない(NO)、即ち、P>Prならば、ST16に進む。
【0042】
ST13…冷却ファンを停止させる。
ST14…冷却ファンの出力情報をクリア(消去)し、この処理を終えて、次の処理へ移行する。
【0043】
ST15…検出圧力Pと、冷却ファンが作動を開始可能な規定圧力P1とを比較して、P≧P1であるかどうか判断する。
P≧P1である(YES)ならば、ST16に進む。
P≧P1でない(NO)、即ち、P<P1ならば、次の処理へ移行する。
【0044】
ST16…検出圧力Pに対応した冷却ファンの出力を演算する。(詳細は図6参照)
ST17…冷却ファンが作動しているかどうか判断する。
冷却ファンが作動していない(NO)場合は、ST18に進む。
冷却ファンが作動している(YES)場合は、ST20に進む。
【0045】
ST18…冷却ファンを、ST16で演算された出力値、即ち風量で作動させる。
ST19…冷却ファンの出力情報を設定して出力し、次の処理に移行する。
ST20…冷却ファンが、他の要求で既に作動している場合には、その出力値とST16で演算された出力値とを比較し、大きい方の出力値に決定してその出力値、即ち風量で冷却ファンを作動させ、ST19に進む。
上記の冷却ファンの出力値、即ち風量を、検出圧力Pの上昇に応じて増せば、冷媒の温度をより低下させる能力を高めることができる。
【0046】
図5は本発明に係る圧力センサの検出圧力と各機器の作動状態との関係を示すグラフ(第1実施形態)である。グラフの縦軸は検出圧力P、横軸は各機器を表す。
冷却ファンは、検出圧力Pが上昇する場合に、規定圧力P1(例えば、10MPa)になるとON、即ち作動し、冷媒放出手段から冷媒を放出する所定圧力としての放出圧力PS(例えば、13.2MPa)になると、OFF、即ち停止する。また、圧力が下降する場合には、規定圧力P1で停止しないで復帰圧力Pr(例えば、8MPa)で停止する。
【0047】
ブロワは、検出圧力が上昇する場合に、規定圧力P1よりも高い規定圧力P2(例えば、11MPa)になるとON、即ち作動し、放出圧力PSになると、OFF、即ち停止する。また、圧力が下降する場合には、規定圧力P2で停止しないで復帰圧力Prで停止する。
【0048】
コンプレッサは、検出圧力が上昇する場合に、規定圧力P2よりも高い規定圧力P3(例えば、12MPa)になるとON、即ち作動し、放出圧力PSになると、OFF、即ち停止する。また、圧力が下降する場合には規定圧力P3で停止しないで復帰圧力Prで停止する。
以上のように、検出圧力Pが上昇するにつれて、冷却ファン、ブロワ、コンプレッサが順次作動して、圧力上昇抑制制御のための能力を高めている。
【0049】
上記した規定圧力P2が規定圧力P1よりも高く設定されている理由を説明する。
冷却ファンによる圧力上昇抑制制御では、エンジンルーム内に配置された放熱器12(図1参照)を冷却ファンで冷却することにより冷凍サイクルの圧力を低下させる。一方、ブロワによる圧力上昇抑制制御では、車室内に配置された吸熱器16(図1参照)をブロワで冷却することにより冷凍サイクルの圧力を低下させる。冷却ファンによって放熱器12を介して冷媒を冷却する方が、ブロワによって吸熱器16を介して冷媒を冷却するよりも、構造上、冷媒の冷却には適しているから、冷凍サイクル内の圧力を速く低下させることができる。また、冷却ファンを乗員が意図しないときに作動させても、冷却ファンはエンジンルーム内に配置されているために作動音が乗員に不快感を与えることなく抑制制御を行うことができる。
【0050】
次に、規定圧力P3が規定圧力P2よりも高く設定されている理由を説明する。
コンプレッサを作動させると、冷凍サイクル内の冷媒が循環するが、冷媒が循環するだけで冷却ファンもブロワも作動させなければ、冷媒は冷却されにくいから冷凍サイクル内の圧力も下がりにくい。また、コンプレッサはエンジンで駆動されるから、コンプレッサを作動させて抑制制御を行うには、冷却ファン、ブロワ及びエンジンの作動が必要である。
【0051】
図6は本発明に係る冷却ファンの出力演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。縦軸は冷却ファン出力PF、横軸は圧力センサの検出圧力Pを表す。
実線で示される実施例1では、検出圧力Pがa1までは冷却ファン出力PFがf1で一定、検出圧力Pがa1〜a2までは冷却ファン出力PFがf2で一定というように、検出圧力Pの上昇に応じて冷却ファン出力PF(即ち、風量)が階段状に増加する。
破線で示される実施例2では、検出圧力Pがa2まで増加すると、冷却ファン出力PFはf1〜f2に直線的に増加する。
【0052】
図7は本発明に係るブロワの出力演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。縦軸はブロワ出力PB、横軸は圧力センサの検出圧力Pを表す。
実線で示される実施例3では、検出圧力Pがa3まではブロワ出力PBがb1で一定、検出圧力Pがa3〜a4まではブロワ出力PBがb2で一定、検出圧力Pがa4〜a5まではブロワ出力PBがb3で一定、検出圧力Pがa5〜a6まではブロワ出力PBがb4で一定というように、検出圧力Pの上昇に応じてブロワ出力PB(即ち、風量)が階段状に増加する。
破線で示される実施例4では、検出圧力Pがa6まで増加すると、ブロワ出力PBはb1〜b4に直線的に増加する。
【0053】
図8は本発明に係るコンプレッサの容量演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。縦軸はコンプレッサ容量DC、横軸は圧力センサの検出圧力Pを表す。
実線で示される実施例5では、検出圧力Pがa7まで増加すると、コンプレッサ容量DCはc1〜c2に直線的に増加する。
【0054】
図9は本発明に係るブロワによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
ST31…既にブロワの抑制制御が作動しているかどうかを判断するために、抑制制御が作動した際に出されるブロワに関する出力情報の有無を確認する。
出力情報が有れば、ST32に進み、出力情報が無ければ、ST35に進む。
【0055】
ST32…圧力センサによる検出圧力Pと復帰圧力Prを比較し、P≦Prであるかどうか判断する。
復帰圧力Prとは、ブロワが作動中のときに、検出圧力Pが次第に下がってブロワが停止する圧力である。
P≦Prである(YES)ならば、ST33に進む。
P≦Prでない(NO)、即ち、P>Prならば、ST36に進む。
【0056】
ST33…ブロワを停止させる。
ST34…ブロワの出力情報をクリア(消去)し、この処理を終えて、次の処理へ移行する。
【0057】
ST35…検出圧力Pと、ブロワが作動を開始する規定圧力P2とを比較して、P≧P2であるかどうか判断する。
P≧P2である(YES)ならば、ST36に進む。
P≧P2でない(NO)、即ち、P<P2ならば、次の処理へ移行する。
【0058】
ST36…検出圧力Pに対応したブロワの出力を演算する。(詳細は図7参照)
ST37…ブロワが作動しているかどうか判断する。
ブロワが作動していない(NO)場合は、ST38に進む。
ブロワが作動している(YES)場合は、ST40に進む。
【0059】
ST38…ブロワを、ST36で演算された出力値、即ち風量で作動させる。
ST39…ブロワの出力情報を設定して出力し、次の処理に移行する。
ST40…ブロワが、他の要求で既に作動している場合には、その出力値とST36で演算された出力値とを比較し、大きい方の出力値に決定してその出力値、即ち風量でブロワを作動させ、ST39に進む。
【0060】
上記のブロワの出力値、即ち風量を、検出圧力Pの上昇に応じて増せば、冷媒の温度をより低下させる能力を高めることができる。
このブロワによる抑制制御は、図4に示された冷却ファンによる抑制制御とほぼ同一であるが、例えば、炎天下に放置された車両の車室内の温度は、エンジンルーム内の温度を超えることはないから、何らかの原因で冷却ファンによる抑制制御が作動しない場合に、ブロワによる抑制制御で十分に圧力上昇抑制に対応することができる。
【0061】
図10は本発明に係るエンジンで駆動されるコンプレッサによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
ST51…既にコンプレッサの抑制制御が作動しているかどうかを判断するために、抑制制御が作動した際に出されるコンプレッサに関する出力情報の有無を確認する。
出力情報が有れば、ST52に進み、出力情報が無ければ、ST55に進む。
【0062】
ST52…圧力センサによる検出圧力Pと復帰圧力Prを比較し、P≦Prであるかどうか判断する。
復帰圧力Prとは、コンプレッサが作動中のときに、検出圧力Pが次第に下がってコンプレッサが停止する圧力である。
P≦Prである(YES)ならば、ST53に進む。
P≦Prでない(NO)、即ち、P>Prならば、ST56に進む。
【0063】
ST53…コンプレッサを停止させる。
ST54…コンプレッサの出力情報をクリア(消去)し、この処理を終える。
【0064】
ST55…検出圧力Pと、コンプレッサが作動を開始する規定圧力P3とを比較して、P≧P3であるかどうか判断する。
P≧P3である(YES)ならば、ST56に進む。
P≧P3でない(NO)、即ち、P<P3ならば、処理を終了する。
【0065】
ST56…エンジンが作動しているかどうか判断する。
エンジンが作動している(YES)場合は、ST57に進む。
エンジンが作動していない(NO)場合は、処理を終了する。
ST57…検出圧力Pに対応したコンプレッサの容量を演算する。(詳細は図8参照)
【0066】
ST58…電磁クラッチをオンにしてコンプレッサをST57で演算された容量値で作動させる。
ST59…コンプレッサの出力情報を設定して出力し、処理を終了する。
【0067】
上記したコンプレッサが作動すれば、低圧側回路23(図1参照)の冷媒が高圧側回路21(図1参照)へ移動するため、冷媒の温度、冷媒量、冷凍サイクルの容量の関係により、低圧側回路23の圧力が低下する。
また、上記のコンプレッサの容量を、検出圧力Pの上昇に応じて増せば、単位時間当たりの冷媒循環量を増やすことができ、低圧側回路23の温度をより低下させることができる。
【0068】
図11は本発明に係る電動モータで駆動されるコンプレッサによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
ST61…既にコンプレッサの抑制制御が作動しているかどうかを判断するために、抑制制御が作動した際に出されるコンプレッサに関する出力情報の有無を確認する。
出力情報が有れば、ST62に進み、出力情報が無ければ、ST65に進む。
【0069】
ST62…圧力センサによる検出圧力Pと復帰圧力Prを比較し、P≦Prであるかどうか判断する。
復帰圧力Prとは、コンプレッサが作動中のときに、検出圧力Pが次第に下がってコンプレッサが停止する圧力である。
P≦Prである(YES)ならば、ST63に進む。
P≦Prでない(NO)、即ち、P>Prならば、ST66に進む。
【0070】
ST63…コンプレッサを停止させる。
ST64…コンプレッサの出力情報をクリア(消去)し、この処理を終える。
【0071】
ST65…検出圧力Pと、コンプレッサが作動を開始する規定圧力P3とを比較して、P≧P3であるかどうか判断する。
P≧P3である(YES)ならば、ST66に進む。
P≧P3でない(NO)、即ち、P<P3ならば、処理を終了する。
【0072】
ST66…検出圧力Pに対応したコンプレッサの回転数を演算する。(詳細は図12参照)
【0073】
ST67…電動モータをオンにしてコンプレッサをST66で演算された回転数値で作動させる。
ST68…コンプレッサの出力情報を設定して出力し、処理を終了する。
【0074】
図10に示されたエンジン駆動式のコンプレッサでは、コンプレッサの回転数はエンジンの回転数から独立して変更できなかったが、この電動モータ駆動式のコンプレッサでは、コンプレッサの回転数を電動モータで容易に変更可能なため、コンプレッサの回転数を上昇させることでコンプレッサの能力(単位時間当たりの冷媒循環量)を高めることが可能になる。冷媒循環量が高められれば、低圧側回路の温度をより低下させることができる。
【0075】
図12は本発明に係るコンプレッサの回転数演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。縦軸はコンプレッサ回転数RC、横軸は圧力センサの検出圧力Pを表す。
実線で示される実施例6では、検出圧力Pがa8まで増加すると、コンプレッサ回転数RCはr1〜r2に直線的に増加する。
【0076】
以上の図1及び図5で示されるように、本発明は第1に、少なくともコンプレッサ11、放熱器12、膨張弁14、吸熱器16が配管としての管部材41で接続されて冷媒が循環する冷凍サイクルが形成され、コンプレッサ11から膨張弁14に至る高圧側回路21にて冷媒が超臨界状態で使用され、膨張弁14からコンプレッサ11に至る低圧側回路23にこの低圧側回路23が所定圧力としての放出圧力PS以上になったときに冷媒を放出する冷媒放出手段27が設けられ、放熱器12に通風するための冷却ファン13と、吸熱器16に通風するためのブロワ17とが設けられた車両用冷房装置10において、低圧側回路23の圧力を検出する圧力センサ28と、冷凍サイクルの停止時に圧力センサ28で検出された検出圧力Pが放出圧力PSより低い規定圧力P1、規定圧力P2又は規定圧力P3以上になったときに、冷却ファン13、ブロワ17及びコンプレッサ11の少なくとも一つを作動させる制御装置33とを設けたことを特徴とする。
【0077】
これにより、冷凍サイクルの停止時に、冷房装置10の周囲の車室外温度が上昇した場合には、圧力センサ28と制御装置33とによって、冷却ファン13、ブロワ17及びコンプレッサ11の少なくとも一つを作動させて、冷媒を冷却したり冷媒を循環させたりすることができ、低圧側回路23の温度を低下させることができて、低圧側回路23の圧力上昇を抑制することができる。従って、冷媒放出手段27を作動しにくくすることができる。
【0078】
本発明は第2に、制御装置33が、圧力センサ28の検出圧力Pの上昇に応じて、作動させる冷却ファン13やブロワ17の風量を増大させる、又はコンプレッサ11として可変容量型を用いた場合にコンプレッサ11の容量を増大させることを特徴とする。
【0079】
圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、冷却ファン、ブロワによる冷媒の冷却能力を高め、コンプレッサによる単位時間当たりの冷媒の循環量を増やすことができ、低圧側回路の圧力上昇抑制を促進することができる。
【0080】
これにより、圧力センサ28の検出圧力Pの上昇に応じて、冷却ファン13、ブロワ17による冷媒の冷却能力を高め、コンプレッサ11による単位時間当たりの冷媒の循環量を増やすことができ、低圧側回路23の圧力上昇抑制を促進することができる。
【0081】
また、単に冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11を作動させるのに比べて、検出圧力Pの上昇に応じて冷却ファン13やブロワ17の風量を増大させ、コンプレッサ11の容量を増大させることにより、冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11の動力の最適化を図ることができ、これらの冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11の動力の消費を小さくすることができる。
【0082】
本発明は第3に、制御装置33が、圧力センサ28の検出圧力Pの上昇に応じて、冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11を順次追加作動させることを特徴とする。
これにより、検出圧力Pの上昇に応じて冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11による冷媒を冷却する冷却能力を次第に高めることで低圧側回路23の圧力上昇抑制を促進することができる。
【0083】
次に、圧力上昇抑制制御の第2実施形態について図13〜図15で説明する。
図13は本発明に係る冷房装置の圧力上昇抑制制御(第2実施形態)の流れを示すフローチャートである。
ST71…制御装置は、圧力センサで検出された検出圧力P、外気温センサで検出された車室外温度Tout、内気温センサで検出された車室内温度Tinを読み込む。
ST72…冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサによる圧力上昇抑制制御を行う。(詳細は図14参照)
【0084】
図14は本発明に係る冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサによる圧力上昇抑制制御(第2実施形態)の流れを示すフローチャートである。
ST81…既に冷却ファン、ブロア、コンプレッサの抑制制御が作動しているかどうかを判断するために、抑制制御が作動した際に出される冷却ファン、ブロア、コンプレッサに関する出力情報の有無を確認する。
出力情報が有れば、ST82に進み、出力情報が無ければ、ST87に進む。
【0085】
ST82…出力情報分析では、制御装置から出されている出力情報の分析を行い、どの機器による抑制制御が行われているか確認する。
ST83…圧力センサによる検出圧力Pと、抑制制御用機器(冷却ファン、ブロア又はコンプレッサ)が作動中のときに検出圧力Pが次第に下がって作動中の機器が停止する圧力である復帰圧力Prとを比較し、P≦Prであるかどうか判断する。
P≦Prである(YES)ならば、ST84に進む。
P≦Prでない(NO)、即ち、P>Prならば、ST87に進む。
【0086】
ST84…作動している機器の抑制制御命令をクリア(消去)する。
ST85…作動している機器の抑制制御を終了する。
ST86…作動している機器の出力情報をクリア(消去)し、この処理を終了する。
【0087】
ST87…検出圧力Pと、規定圧力P5(図15で詳述する。)とを比較して、P≧P5であるかどうか判断する。
P≧P5である(YES)ならば、ST88に進む。
P≧P5でない(NO)、即ち、P<P5ならば、処理を終了する。
【0088】
ST88…検出圧力Pと、規定圧力P6(図15で詳述する。)とを比較して、P≧P6であるかどうか判断する。
P≧P6である(YES)ならば、ST89に進む。
P≧P6でない(NO)、即ち、P<P6ならば、ST96に進む。
【0089】
ST89…検出圧力Pの単位時間当たりに上昇する圧力変化、即ち、圧力上昇率ΔPを演算する。
ST90…ST89で求められた圧力上昇率ΔPと規定圧力上昇率ΔP2(図15で詳述する。)とを比較して、ΔP≧ΔP2であるかどうか判断する。
ΔP≧ΔP2でない(NO)ならば、ST91に進む。
ΔP≧ΔP2である(YES)ならば、ST94に進む。
【0090】
ST91…検出圧力Pに対応した冷却ファン及びブロワの出力を演算する。(詳細は図6、図7参照)
ST92…選択された機器の抑制制御命令を出力し、その機器を作動させる。
ST93…作動した機器の出力情報を設定して出力する。
【0091】
ST94…エンジンが作動しているかどうか判断する。
エンジンが作動していない(NO)場合は、ST91に進む。
エンジンが作動している(YES)場合は、ST95に進む。
ST95…検出圧力Pに対応した冷却ファン及びブロワの出力及びコンプレッサの容量を演算する。(詳細は図6〜図8参照)
【0092】
ST96…圧力上昇率ΔPを演算する。
ST97…ST96で求められた圧力上昇率ΔPと規定圧力上昇室ΔP1とを比較して、ΔP≧ΔP1であるかどうか判断する。
ΔP≧ΔP1でない(NO)ならば、ST98に進む。
ΔP≧ΔP1である(YES)ならば、ST91に進む。
【0093】
ST98…車室内温度Tinと車室外温度Toutとを比較し、Tin≧Toutであるかどうか判断する。
Tin≧Toutである(YES)ならば、ST99に進む。
Tin≧Toutでない(NO)、即ち、Tin<Toutならば、ST100に進む。
【0094】
ST99…検出圧力Pに対応した冷却ファンの出力を演算(詳細は図6参照)し、ST92に進む。
ST100…検出圧力Pに対応したブロワの出力を演算(詳細は図7参照)し、ST92に進む。
【0095】
図15は本発明に係る圧力センサの検出圧力及び検出圧力の圧力上昇率による各機器の作動状態を示すグラフ(第2実施形態)である。グラフの縦軸は検出圧力Pの圧力上昇率ΔP、横軸は検出圧力Pを表す。
検出圧力Pが(0<)P≦復帰圧力Prでは、抑制制御解除となる、即ち、圧力上昇抑制制御は行われない。
【0096】
検出圧力Pが規定圧力P5≦P<規定圧力P6で、圧力上昇率ΔPが(0<)ΔP<規定圧力上昇率ΔP1のときは、車室内温度Tin≧車室外温度Toutであれば、冷却ファンが作動し、車室内温度Tin<車室外温度Toutであれば、ブロアが作動する。
即ち、車室内温度Tinと車室外温度Toutとで、温度の低い方の機器を作動させて抑制制御を行った方が冷媒の温度を下げやすい。
検出圧力PがP5≦P<P6で、圧力上昇率ΔPがΔP≧ΔP1のときは、冷却ファン及びブロアが作動する。
【0097】
検出圧力PがP6≦P(<放出圧力PS)で、圧力上昇率ΔPがΔP<規定圧力上昇率ΔP2のときは、冷却ファン及びブロアが作動する。
検出圧力PがP6≦P(<PS)で、圧力上昇率ΔPがΔP≧ΔP2のときは、圧力上昇を抑制する必要性が高いため、エンジンが作動していれば、冷却ファン、ブロア及びコンプレッサが作動し、エンジンが停止していれば、冷却ファン及びブロアが作動する。
【0098】
本発明は第4に、図1、図4及び図15に示されるように、制御装置33が、圧力センサ28の検出圧力Pに加えて、検出圧力Pの圧力上昇率ΔP、車室内温度Tin及び車室外温度Toutに応じて、冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11を選択的に作動させることを特徴とする。
【0099】
これにより、冷却ファン13、ブロワ17、コンプレッサ11の作動を、圧力センサ28の検出圧力P、検出圧力Pの圧力上昇率ΔP、車室内温度Tin及び車室外温度Toutに応じてきめ細かく制御することができ、冷媒の温度上昇による低圧側回路23の圧力上昇をより効果的に抑制することができる。
【0100】
尚、本実施形態では、冷媒をCOとしたが、これに限らず、臨界温度が比較的低く(例えば、80℃以下)、COと同様の性状を示すエチレン(C)、ディボラン(B)、エタン(C)、酸化窒素(NO)でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の冷房装置は、冷凍サイクルの低圧側回路に冷媒放出手段を備えた車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係る冷房装置の構成図である。
【図2】本発明に係る冷媒放出手段の各実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る冷房装置の圧力上昇抑制制御(第1実施形態)の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る冷却ファンによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る圧力センサの検出圧力と各機器の作動状態との関係を示すグラフ(第1実施形態)である。
【図6】本発明に係る冷却ファンの出力演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。
【図7】本発明に係るブロワの出力演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。
【図8】本発明に係るコンプレッサの容量演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。
【図9】本発明に係るブロワによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係るエンジンで駆動されるコンプレッサによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る電動モータで駆動されるコンプレッサによる圧力上昇抑制制御(第1実施形態)を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係るコンプレッサの回転数演算マップを示すグラフ(第1実施形態)である。
【図13】本発明に係る冷房装置の圧力上昇抑制制御(第2実施形態)の流れを示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る冷却ファン、ブロワ及びコンプレッサによる圧力上昇抑制制御(第2実施形態)の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る圧力センサの検出圧力及び検出圧力の圧力上昇率による各機器の作動状態を示すグラフ(第2実施形態)である。
【図16】従来の冷房装置の構成図である。
【符号の説明】
【0103】
10…冷房装置、11…コンプレッサ、12…放熱器、13…冷却ファン、14…膨張弁、16…吸熱器、17…ブロワ、21…高圧側回路、23…低圧側回路、27,61,71…冷媒放出手段、28…圧力センサ、33…制御装置、41…配管(管部材)、P…圧力センサの検出圧力、PS…所定圧力(冷媒放出手段の放出圧力)、P1,P2,P3…規定圧力、Tin…車室内温度、Tout…車室外温度、ΔP…圧力上昇率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコンプレッサ、放熱器、膨張弁、吸熱器が配管で接続されて冷媒が循環する冷凍サイクルが形成され、
前記コンプレッサから膨張弁に至る高圧側回路にて前記冷媒が超臨界状態で使用され、
前記膨張弁から前記コンプレッサに至る低圧側回路にこの低圧側回路が所定圧力以上になったときに前記冷媒を外部へ放出する冷媒放出手段が設けられ、
前記放熱器に通風するための冷却ファンと、前記吸熱器に通風するためのブロワとが設けられた車両用冷房装置において、
前記低圧側回路の圧力を検出する圧力センサと、
前記冷凍サイクルの停止時に前記圧力センサで検出された検出圧力が前記所定圧力より低い規定圧力以上になったときに、前記冷却ファン、前記ブロワ及び前記コンプレッサの少なくとも一つを作動させる制御装置とが設けられることを特徴とする車両用冷房装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、作動させる前記冷却ファンや前記ブロワの風量を増大させる、又は前記コンプレッサとして可変容量型を用いた場合にコンプレッサの容量を増大させることを特徴とする請求項1記載の車両用冷房装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記圧力センサの検出圧力の上昇に応じて、前記冷却ファン、前記ブロワ、前記コンプレッサを順次追加作動させることを特徴とする請求項1記載の車両用冷房装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記圧力センサの検出圧力に加えて、検出圧力の圧力上昇率、車室内温度及び車室外温度に応じて、前記冷却ファン、前記ブロワ、前記コンプレッサを選択的に作動させることを特徴とする請求項1記載の車両用冷房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−55929(P2008−55929A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231888(P2006−231888)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】