説明

車両用液圧制動装置

【課題】ハイドロブースター機能とABSなどの制動力制御機能を有する車両用液圧制動装置において、電子制御による制動力制御中に動力駆動のポンプからの供給液圧でマスタシリンダ圧が高圧になる現象を、通常ブレーキ特性に悪影響を及ぼさずに回避できるようにすることを課題としている。
【解決手段】マスタシリンダ1、高液圧源2、ブレーキアシスト機構3、貯液室4、電子制御装置6、液圧制御装置7を有し、ブレーキアシスト機構3に助勢された力でマスタシリンダ1が作動してマスタ液圧室の液圧に応じた制動力を車両の車輪に付与する車両用液圧制動装置に、駆動圧減圧弁9を備えさせ、マスタ圧入力ポート9bの液圧が駆動圧入力ポート9cの液圧よりも所定値以上高いときにそれらのポートの液圧差で駆動圧減圧弁9が作動して駆動液圧室3bから貯液室4に至る液圧排出経路を開放するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高液圧源の液圧でドライバーのブレーキ操作を助勢するハイドロブースター機能と、電子制御による制動力制御機能を組み合わせた車両用液圧制動装置、詳しくは、電子制御による制動力制御の実行中に動力駆動のポンプで発生させた液圧によってマスタシリンダで発生させた液圧(マスタシリンダ圧。以下、MC圧と言う)が無用に高まる現象を、通常ブレーキ特性に悪影響を及ぼさずに回避できるようにした車両用液圧制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロブースター機能と電子制御による制動力制御機能{ABS(アンチロック制御)やESC(車両安定化制御)など}を組み合わせた車両用液圧制動装置は、電子制御による制動力制御の実行中に動力駆動のポンプで発生させた液圧がマスタシリンダからの出力経路に還流される。その出力経路は、ブレーキ作動中は密閉されているので、ポンプバックによる液量によりMC圧が必要以上に高まる。これでは安全面で好ましくないし、液圧回路中の機器の耐久性にも悪影響がでる。
【0003】
そこで、ポンプの吐出経路にリリーフバルブを挿入して過剰圧力を逃がすことが下記特許文献1などで提案されている(特許文献1の段落0019参照)。
【0004】
また、下記特許文献2では、ポンプの吐出ポートに通じた主通路が異常に高圧になったときに主通路に設けた電磁ゲート弁を制御して過剰圧力を逃がすことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−133039号公報
【特許文献2】特開2001−260860号公報
【特許文献3】特開平09−24819号公報
【特許文献4】特開平2000−309267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が採用しているリリーフバルブは、機器や液圧通路を異常圧力から保護するためのものであり、作動圧力が所期の制動に支障をきたさないように高めに設定される。そのために、このリリーフバルブを用いた制動装置は、過大なMC圧が発生して液圧経路中の液圧機器の耐久性が悪化する。また、MC圧の高圧・変動は、MC圧を検出するセンサを用いた制御を乱す原因になるが、その問題に対しての対応もできない。
【0007】
特許文献2の対応は、リリーフバルブを用いないため上記の不具合は生じないが、電磁ゲート弁とその弁の駆動回路が必要である。電磁ゲート弁は、パルス変調制御ができるものが要求され、制動力制御の実行中に常に通電するものになるため、消費電力の増加や、発熱対策のための体格増加などの問題が伴う。
【0008】
この発明は、ハイドロブースター機能とABSやESCなどの制動力制御機能を有する車両用液圧制動装置において、電子制御による制動力制御中に動力駆動のポンプからの供給液圧でMC圧が高圧になる現象を、通常ブレーキ特性に悪影響を及ぼさずに回避できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明においては、駆動液圧室に導入された液圧でパワーピストンを有するブレーキアシスト機構が駆動され、そのブレーキアシスト機構に助勢された力でマスタピストンが作動してマスタ液圧室に液圧が発生するマスタシリンダと、制動力制御の可否を判断して必要時に制御指令を出す電子制御ユニットと、動力駆動のポンプが含まれ、前記電子制御ユニットの制御により前記マスタシリンダの液圧に基づいて車両の車輪に制動力を付与する液圧制御装置とを備えている車両用液圧制動装置に、
前記駆動液圧室に液圧を供給する高液圧源と、
その高液圧源の液圧よりも内圧の低い貯液室と、
ブレーキ操作部材の操作量に応じて前記高液圧源と前記駆動液圧室の連通・遮断状態と、前記駆動液圧室と前記貯液室の連通・遮断状態とをそれぞれ切り換えて前記駆動液圧室内の液圧を前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた値に調整する駆動圧調整弁機構と、
弁ボディ、その弁ボディに形成されて前記マスタ液圧室に接続されるマスタ圧入力ポート、前記弁ボディに形成されて前記駆動液圧室に接続される駆動圧入力ポート、及び前記マスタ圧入力ポートの液圧と前記駆動圧入力ポートの液圧とを対向して受ける弁体を有し、前記マスタ圧入力ポートの液圧が前記駆動圧入力ポートの液圧よりも所定値以上高いときに、前記弁体が前記駆動液圧室から前記貯液室に至る液圧排出経路を開放して前記駆動液圧室の圧力を低下させる駆動圧減圧弁と、
を備えさせた。
【0010】
この車両用液圧制動装置の好ましい形態を以下に列挙する。
(1)前記駆動圧調整弁機構に、前記高液圧源を前記駆動液圧室に連通させ、なおかつ、前記駆動液圧室と前記貯液室の連通を断って前記駆動液圧室の液圧を上昇させる増圧モードにおいて、前記液圧排出経路を遮断する排出経路遮断弁を備えさせたもの。
【0011】
(2)前記駆動圧減圧弁が、前記弁体によって互いに区画される第1液圧室と第2液圧室を有し、前記第1液圧室を前記マスタ圧入力ポートに、前記第2液圧室を前記駆動圧入力ポートにそれぞれ接続し、前記弁体の前記第1液圧室を臨む側の受圧面積と前記第2液圧室を臨む側の受圧面積の比を、前記マスタピストンの前記マスタ液圧室を臨む側の受圧面積と前記パワーピストンの前記駆動液圧室を臨む側の受圧面積の比と等しくしたもの。
【0012】
(3)前記弁体が前記第2液圧室を臨む側の受圧面積を、前記パワーピストンが前記駆動液圧室を臨む側の受圧面積よりも小さくしたもの。
【0013】
(4)前記駆動圧調整弁機構に、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた位置に移動して前記高液圧源と前記駆動液圧室の連通・遮断状態と前記駆動液圧室と前記貯液室の連通・遮断状態をそれぞれ切り換えるスプールバルブを含ませ、そのスプールバルブと、前記パワーピストンに形成されて増圧モードのときに当該スプールバルブによって閉鎖されるドレンポートとで前記排出経路遮断弁を構成したもの。
【0014】
(5)マスタシリンダ圧を検出する圧力センサと、前記液圧制御装置による制動力制御が実行されている状況下で、MC圧が所定の昇圧速度を超えて上昇する兆候が所定の回数確認されたときに前記駆動圧減圧弁に異常があると判定する異常判定手段を備えさせたもの。
【0015】
(6)マスタシリンダ圧を検出する圧力センサと、ブレーキ操作部材の操作量を検出するストロークセンサとを備え、前記(5)の異常判定手段は、前記液圧制御装置による制動力制御が実行されている状況下で、MC圧がブレーキ操作部材の操作量に対応する圧力よりも所定値以上高いときに、前記MC圧が所定の昇圧速度を超えて上昇する兆候があると判定するようにしたもの。
(7)前記弁ボディをマスタシリンダのシリンダボディと一体に形成し、この弁ボディの内部に、前記マスタ圧入力ポートと、駆動圧入力ポートと、前記弁体によって区画される前記第1液圧室及び前記第2液圧室を形成することで前記駆動圧減圧弁をマスタシリンダと一体化したもの。
【発明の効果】
【0016】
駆動液圧室に導入された液圧でパワーピストンを有するブレーキアシスト機構が駆動され、そのブレーキアシスト機構に助勢された力でピストンが作動してマスタ液圧室に液圧が発生するマスタシリンダと、制動力制御の可否を判断して必要時に制御指令を出す電子制御ユニットと、動力駆動のポンプが含まれた液圧制御装置を有し、前記マスタ液圧室の液圧に応じた制動力を車両の車軸に付与する車両用液圧制動装置では、ポンプバックによりマスタ液圧室の液圧がブレーキ操作に応じた圧力よりも高圧になることが考えられる。例えば、ブレーキ操作(ブレーキペダルの踏み込みなど)がなされると、スプールバルブが押し動かされて駆動液圧室を高液圧源に接続し、そのために、駆動液圧室が増圧モードになってその駆動液圧室に高液圧源の液圧が導入される。その液圧でブレーキアシスト機構のパワーピストンが作動してドライバーのブレーキ操作が助勢される。
【0017】
そして、助勢された力でマスタシリンダのピストンが駆動され、マスタ液圧室に助勢されたブレーキ操作力に応じた液圧が発生する。また、このときの反力でブレーキアシスト機構のゴムの反力ディスクが圧縮されて変形し、前記パワーピストンとスプールバルブが対向して受ける力のバランス点に動いて高液圧源と駆動液圧室の接続が遮断され、ブレーキアシスト機構が保持モードになって駆動液圧室内のアシスト圧が保持される。
【0018】
この状態のときに、電子制御によるABSなどの制動力制御が実行されると、動力駆動のポンプからマスタシリンダの出力経路に液圧が導入され、ポンプバック液量によりMC圧がブレーキ操作に応じた圧力よりも高圧になることが考えられる。
【0019】
しかしながら、本発明の車両用液圧制動装置では、MC圧>アシスト圧の関係が成立すると、その液圧差を駆動圧減圧弁の弁体とアシスト機構のパワーピストンがそれぞれ両端に対向して受ける。
【0020】
すると、その液圧差(差圧)で弁体が押し動かされ、駆動圧減圧弁が駆動液圧室と貯液室との間の液圧排出経路を開放する。これにより、駆動液圧室のアシスト圧が貯液室に排出されて駆動液圧室の容積(液室内の液量)が減少し、マスタシリンダのピストンが押し戻される結果、マスタ液圧室の容積が増加してMC圧の上昇が抑制される。
【0021】
このように、この発明によれば、MC圧とアシスト圧の差で駆動圧減圧弁を機械的に作動させるので、消費電力の増加を招かずにポンプバック液量によるMC圧の上昇を抑制することができる。
ここで、前記弁体の摺動抵抗は、パワーピストンの摺動抵抗よりも小さいことが好ましい。これにより、上記MC圧とアシスト圧との液圧差により、パワーピストンに先行して前記弁体を押し動かすことができる。
【0022】
なお、排出経路遮断弁を備えさせた上記(1)の形態の制動装置は、増圧モード下でMC圧がアシスト圧を上回る事態が起こっても、駆動液圧室のアシスト圧が保持され、高液圧源が健全な場合にはマスタ液圧室にブレーキ操作量に応じた液圧を発生させることができる。
【0023】
また、駆動圧減圧弁の弁体の、前記第1液圧室を臨む側の受圧面積と前記第2液圧室を臨む側の受圧面積の比を、前記ピストンの前記マスタ液圧室を臨む側の受圧面積と、前記パワーピストンの前記駆動液圧室を臨む側の受圧面積の比に等しくした上記(2)の形態の制動装置は、マスタ液圧室内の液圧(MC圧)と駆動液圧室内の液圧(アシスト圧)の差が弁体に駆動用の差圧としてそのまま作用するので、ポンプバックによるMC圧の上昇を一層好適に抑制することができる。
【0024】
さらに、前記弁体が前記第2液圧室を臨む側の受圧面積を、前記パワーピストンが前記駆動液圧室を臨む側の受圧面積よりも小さくした上記(3)の形態の制動装置は、駆動圧減圧弁の弁体の変位に伴う前記第2液圧室の容積変動によって前記駆動液圧室の液圧が大きく変動することが抑制される。そのために、前記駆動液圧室の液圧変動によるMC圧の変動も抑制される。
【0025】
前記排出経路遮断弁を、前記スプールバルブと、そのスプールバルブによって増圧モードのときに閉鎖されるドレンポートとで構成した上記(4)の形態の制動装置は、ドレンポート閉鎖用の専用の弁機構が不要であり、部品数の増加や構造の複雑化が回避される。
【0026】
また、異常判定手段を備える上記(5)の形態の制動装置は、前記弁体が非作動位置で固着して駆動圧減圧弁が作動しない異常状態を検知することができる。前記弁体が液圧排出経路を開放する位置に動いてその位置で固着する所謂オン固着は、ブレーキアシスト機構によるアシストが実行されないため異常判定手段がなくてもドライバーが気づくし、高液圧源の圧力センサで異常を検知することもできるが、オフ固着の検知は、上記異常判定手段を備えることで可能になる。
【0027】
このほか、上記(7)の形態の制動装置は、外部配管などが不要なため、小型化と簡素化の効果も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の車両用液圧制動装置の実施の形態を簡略化して示す図
【図2】図1の車両用液圧制動装置の増圧モード状態を示す図
【図3】図1の車両用液圧制動装置のポンプバックなしでの保持モード状態を示す図
【図4】図1の車両用液圧制動装置のポンプバックありでの保持モード状態を示す図
【図5】図1の車両用液圧制動装置の減圧モード状態を示す図
【図6】通常制動時のブレーキ操作力(踏力N)とMC圧の関係を示す図
【図7】駆動圧減圧弁が作動したときのブレーキ操作力(踏力N)とMC圧の関係、及びブレーキ操作力とアシスト圧の関係を示す図
【図8】駆動圧減圧弁が作動したときのホイールシリンダ圧とMC圧の時間経過に伴う変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の車両用液圧制動装置の実施の形態を、添付図面の図1〜図8に基づいて説明する。図1に示す車両用液圧制動装置は、マスタシリンダ1と、高液圧源2と、ブレーキアシスト機構3と、高液圧源2の液圧よりも内圧の低い貯液室(図のそれは大気圧リザーバ)4と、マスタシリンダ1からの供給液圧で作動するホイールシリンダ5と、各種センサ、例えば、車輪速センサ、加速度センサ、ヨーセンサなど(いずれも図示せず)からの車両挙動情報に基づいて制動力制御の必要性を判断する電子制御装置6と、その電子制御装置6からの指令に基づいてホイールシリンダ5の液圧を調整する液圧制御装置7と、ブレーキアシスト機構3に含まれる駆動圧調整弁機構8と、この発明を特徴づける駆動圧減圧弁9と、排出経路遮断弁10を組み合わせて構成されている。
【0030】
マスタシリンダ1は、2つのマスタ液圧室1a−1と1a−2−1−2は区別記号として付した。以下も同様)、それぞれのマスタ液圧室内のブレーキ液を個別に加圧するピストン1b−1,1b−2、及び、両ピストンをそれぞれに復帰させる復帰スプリング1c−1,1c−2をシリンダボディ1dの内部に設けた既知のタンデムマスタシリンダである。
【0031】
高液圧源2は、ポンプ2aと、蓄圧器(アキュームレータ)2bと、その蓄圧器の液圧を検出する圧力センサ2cと、ポンプ駆動用のモータ2dを組み合わせ、圧力センサ2cの検出圧力に基づいてモータ2dをON,OFFするものを設けている。
【0032】
図示のブレーキアシスト機構3は、駆動圧調圧弁機構8と、その機構のスプールバルブ8aを内部に挿入したパワーピストン3aと、そのパワーピストン3aの後端に液圧を作用させる駆動液圧室3bとで構成されている。
【0033】
また、液圧制御装置7は、ホイールシリンダ5をマスタシリンダ1から切り離す圧力保持用電磁弁7aと、ホイールシリンダ5の液圧を排出する減圧用電磁弁7bと、ホイールシリンダ5から排出されたブレーキ液を一時的に蓄える低圧液溜め7cと、この低圧液溜め7c内のブレーキ液を汲み上げるポンプ7dと、ポンプ駆動用のモータ7eを組み合わせたものを例示した。
【0034】
この液圧制御装置7は、減圧、再加圧の必要性の有無を判断した電子制御装置6からの指令に基づいてホイールシリンダ5の圧力を調整する既知の装置である。電子制御装置6からの指令が減圧指令のときには常開型の圧力保持用電磁弁7aが閉弁し、常閉型の減圧用電磁弁7bが開弁してホイールシリンダ5が減圧される。また、電子制御装置6からの指令が再加圧に転じると、減圧用電磁弁7bが閉弁し、圧力保持用電磁弁7aが開弁してポンプ7dで発生させた液圧がホイールシリンダ5に供給される。
【0035】
駆動圧調整弁機構8は、パワーピストン3aの中心にスライド自在に挿入されたスプールバルブ8aと、そのスプールバルブを押し戻す復帰スプリング8bと、スプールバルブ8aとピストン1b−1との間に介在したゴムの反力ディスク8cと、パワーピストン3aに形成されてスプールバルブ8aによって開閉されるインレットポート8dと、スプールバルブ8aの内部に形成されてパワーピストン3aによって開閉される第1のドレンポート8eと、パワーピストン3aの内部に形成されてスプールバルブ8aによって開閉される第2のドレンポート8fとで構成されている。
【0036】
第1のドレンポート8eは、スプールバルブ8aの先端外周及び反力ディスクの外周にそれぞれ形成される空間とシリンダボディ1dの内部に形成される液室1eを介して貯液室4に連通する。また、第2のドレンポート8fは、弁ボディ9aの内部の排出路が駆動圧減圧弁9によって開放されたときに、パワーピストン外周の液室1f、前記弁ボディの内部の排出路及び液室1eを介して貯液室4に連通する。弁ボディ9aは、シリンダボディ1dと一体に形成されている。
【0037】
駆動圧調整弁機構8は、図示の制動装置ではマスタシリンダ1の入力側に設置したが、例えば、前掲の先行技術文献の項に取り上げた特許文献3、4などに開示されたもの、即ち、駆動圧調整弁機構(調圧弁)をシリンダボディの先端側(液圧室よりも反入力側)に配置したマスタシリンダも存在する。この発明は、その駆動圧調整弁機構8がシリンダボディの先端側にあるものにも適用される。
【0038】
駆動圧減圧弁9は、シリンダボディ1dと一体の弁ボディ9aに形成されて一方のマスタ液圧室(図は第1のマスタ液圧室1b−1)に接続されるマスタ圧入力ポート9bと、弁ボディ9aに形成されて駆動液圧室3bに接続される駆動圧入力ポート9cと、マスタ圧入力ポート9bの液圧と駆動圧入力ポート9cの液圧を対向して受ける弁体9dと、その弁体9dによって互いに区画される第1液圧室9e及び第2液圧室9fと、移動した弁体を復帰させるスプリング9gとで構成されている。
【0039】
このように、シリンダボディ1dと一体の弁ボディ9aの内部に、マスタ圧入力ポート9bと、駆動圧入力ポート9cと、第1液圧室9e及び第2液圧室9fを形成して駆動圧減圧弁9をマスタシリンダ1と一体化すると、外部配管などを必要とせず、スペースの無駄もなくなって制動装置の小型化や簡素化が図れるが、駆動圧減圧弁9は、マスタシリンダ1と別体に形成されたものであっても構わない。
【0040】
第1液圧室9eは、マスタ圧入力ポート9bに接続され、その第1液圧室9eに弁体9dの一面が臨んでいる。また、第2液圧室9fは、駆動圧入力ポート9cに接続され、その第2液圧室9fに弁体9dの他面が臨んでいる。
【0041】
さらに、排出経路遮断弁10は、スプールバルブ8aと、パワーピストン3aに形成された第2のドレンポート8fとで構成されており、駆動液圧室3bが増圧モードのときにはスプールバルブ8aにより第2のドレンポート8fが閉鎖されて、パワーピストン外周の液室1fとシリンダボディ1d内の液室1eを経由する排出経路が遮断される。図示の排出経路遮断弁10は、駆動圧調整弁機構のスプールバルブ8aを弁体として併用するので、ドレンポート閉鎖用の専用の弁機構が不要であり、部品数の増加や構造の複雑化を回避する上で好ましい。
【0042】
なお、スプールバルブ8aが初期位置からインレットポート8dに到達するまでのストロークをL3,スプールバルブ8aが増圧モードのときに第2のドレンポート8fを閉鎖し続けるストロークをL2、スプールバルブ8aが初期位置から第1のドレンポート8eが閉鎖される位置まで動くストロークをL1として、これ等は、L3>L2>L1の関係が成立するように設定されている。
【0043】
また、パワーピストン3aの受圧面積をSp,スプールバルブ8aの断面積をSs,弁体9dがアシスト圧を受ける受圧面の面積をSa2、ピストン1b−1の受圧面積をSm1,弁体9dがMC圧を受ける受圧面の面積をSm2、アシスト圧をPa、MC圧をPmとすると、アシスト力と反力の釣り合い式は、
Pm×Sm1=Pa×Sa2=Pa×(Sp−Ss)
駆動圧減圧弁9のスプリング9gを影響の小さい(ばね力K≒0)弱ばねとしたときに弁体9dに対向して働く力の釣り合い式は、
Pm×Sm2=Pa×Sa2+K(K≒0)
よって、Sa2=(Pm/Pa)×Sm2
Pm/Pa=(Sp−Ss)/Sm1
Sa2=(Sp−Ss)/Sm1×Sm2より、
ピストン1b−1とパワーピストン3aとスプールバルブ8aの面積比は、(Sp−Ss)/Sm1とし、その比(Sp−Ss)/Sm1と、弁体9dの第1液圧室9eを臨む側の受圧面積と第2液圧室9fを臨む側の受圧面積の比Sa2/Sm2を等しくしている。
【0044】
そしてさらに、ここでは、弁体9dとの面積比を、Sm2>Sa2にして、駆動圧減圧弁9の弁体9dが図1において右方に移動するときの駆動圧減圧弁9から駆動液圧室3bへのブレーキ液導入の影響(アシスト圧変動)を小さくするようにしている。
【0045】
ポンプバックによるMC圧の上昇抑制策として、マスタシリンダの出力経路にリリーフ弁を設けて過剰圧を逃がす方法が考えられるが、この方法では、MC圧がリリーフ弁の設定圧を超えるところまで高まらないと過剰圧を逃がすことができない。これに対し、(Sp−Ss)/Sm1=Sa2/Sm2とした上記の構成では、マスタシリンダ圧とアシスト圧の差が大きくなくても弁体9dが駆動されてポンプバックによるMC圧の上昇抑制が応答性よく実行されるようになっている。
詳しくは、弁体9dの径はパワーピストン3aの径よりも小さく、弁体9dの弁ボディ9aとの接触面積はパワーピストン3aのシリンダボディ1dとの接触面積よりも小さく、弁体9dの弁ボディ9aに対する摺動抵抗はパワーピストン3aのシリンダボディ1dに対する摺動抵抗よりも小さく設定されている。
【0046】
以上のように構成した液圧制動装置は、図1の初期状態でブレーキ操作部材11が操作される(図はブレーキペダルが踏み込まれる)と、スプールバルブ8aが押し込まれ、そのスプールバルブ8aに形成された第1のドレンポート8eがまずパワーピストン3aによって閉じられて駆動液圧室3bが貯液室4から切り離され、次いで、パワーピストン3aに形成されたインレットポート8dが図2のように開放されて駆動液圧室3bが高液圧源2に連通する。これにより、駆動液圧室3bが増圧モードになってその駆動液圧室3bに高液圧源2の液圧(アシスト圧)が導入され、その液圧を受けたパワーピストン3aがピストン1b−1を押すことで助勢力が発生する。
【0047】
助勢された力でピストン1b−1が図2に示すように押し動かされると,マスタ液圧室1a−1に液圧が発生し、その液圧でピストン1b−2が押されてもうひとつのマスタ液圧室1a−2にもマスタ液圧室1a−1と同圧の液圧が発生し、その液圧がホイールシリンダ5に供給されてマスタ液圧室の液圧に応じた制動力が車両の車輪に付与される。
【0048】
この状況下では、ピストン1b−1を介して伝わる反力で反力ディスク8cが圧縮され、スプールバルブ8aとパワーピストン3aが対向して受ける力のバランス点に動く。これにより、高液圧源2と駆動液圧室3bの接続が遮断され、ブレーキアシスト機構3が図3の保持モードになって駆動液圧室3b内のアシスト圧が保持される。
【0049】
また、ブレーキ操作部材11が戻されると、図5に示すように、スプールバルブ8aに設けられた第1のドレンポート8eが開放され、駆動液圧室3bが液室1e経由で貯液室4につながって駆動液圧室3b内のアシスト圧が排出される。
【0050】
次に、この発明を特徴づける駆動圧減圧弁9は、通常制動中は、弁体9dに対向して加わる力が{Pm×Sm2=Pa×Sa2+K(K≒0)}の式に基づいて釣り合って作動せず、弁体9dが初期位置に保持される。このときのブレーキ操作力(踏力N)とMC圧Pmの関係を図6に示す。同図のステップ1は、ブレーキ操作部材の操作中(ペダル踏み込み中)の増圧モード、ステップ2は保持モード、ステップ3はブレーキ操作が解除される(ペダルが戻される)減圧モードである。
【0051】
図示の制動装置は、ABSなどの制動力制御が実行されるときにはブレーキアシスト機構3が保持モードになって駆動液圧室3bが密閉される。このときに、ポンプバック(ポンプ7dからの還流)がなければ、図3に示すように、パワーピストン3aに設けられた第2のドレンポート8fは駆動液圧室3bに連通するが、駆動圧減圧弁9が作動しないため液室1f、1e間に形成された通路が閉じられたままになって貯液室4に対して第2のドレンポート8fが連通せず、これにより、駆動液圧室3bと貯液室4間の遮断状態が維持される。
【0052】
一方、制動力制御が実行されてブレーキアシスト機構3が保持モードで駆動液圧室3bが密閉されているときに、ポンプバック(ポンプ7dからの還流)が起こるとポンプバック液量によりMC圧がアシスト圧よりも高圧になる。そしてこの圧力差が弁体9dとパワーピストン3aにこれ等を押し戻す力として加わる。
【0053】
MC圧はマスタ圧入力ポート9bを通って第1液圧室9eに、アシスト圧は駆動圧入力ポート9cを通って第2液圧室9fにそれぞれ導かれる。このとき、弁体9dは圧力ヒステリシスの差でパワーピストン3aよりも動きやすくなっていることからパワーピストン3aに先行して動く(駆動圧減圧弁8が作動する)。これにより、液室1f、1e間に形成された通路が図4のように開放され、駆動液圧室3bが、液室1f、弁体9d外周の液室、シリンダボディ内の液室1eを介して貯液室4に連通し、駆動液圧室3b内のブレーキ液が貯液室4に排出される。
【0054】
また、その排出によりパワーピストン3aが後退して駆動液圧室3bの容積が縮小し、これに伴い、マスタシリンダのピストン1b−1,1b−2が後退してマスタ液圧室1a−1,1a−2の容積が拡張し、MC圧の高圧上昇が抑制される。
【0055】
このときのブレーキ操作力(踏力N)とMC圧Pmの関係、及びブレーキ操作力とアシスト圧Paの関係を図7に示す。また、ABS作動後のMC圧とホイールシリンダ圧(WC圧)の変動状況を図8に示す。ABSが実行されると、減圧、再加圧によりWC圧が一旦低下し、その後上昇する。そして、制御が落ち着いた位置でWC圧が一定に保持される。このとき、ポンプバック液量によりMC圧が上昇し、駆動圧減圧弁9の作動でその上昇が小さな範囲に抑えられる。
【0056】
なお、駆動液圧室3bのブレーキ液の排出が仮に過剰になされた場合には、ブレーキ操作力(踏力)とアシスト圧について規定の関係を維持しようとしてスプールバルブ8aが増圧モードになる位置に動くため、図2のように液圧排出経路が遮断される。
【0057】
また、MC圧>アシスト圧の関係は、急ブレーキ操作がなされたときや、アシスト力を上回る力でブレーキ操作がなされたときなどにも成立する。このときに、駆動液圧室3bのアシスト圧を減少させるとブレーキ操作量に応じた制動力が得られない。
【0058】
その問題に対して排出経路遮断弁10が有効性を発揮する。この排出経路遮断弁10は、増圧モードのときにはスプールバルブ8aによって第2のドレンポート8fが閉鎖されて駆動液圧室3bから貯液室4への液室1f,1eを経由する排出経路が遮断される。そのために、増圧モードのときにはアシスト圧の低下が起こらず、ブレーキ操作量に応じた制動力を得ることができる。
【0059】
上記の説明から理解できるように、この発明の液圧制動装置は、MC圧がアシスト圧よりも所定値を超えて高まったときに両者の圧力差で作動して駆動液圧室の容積を縮小する駆動圧減圧弁を備えさせたので、リリーフバルブや特殊な電磁ゲート弁を用いずに制動力制御機能にMC圧が高圧になる現象を抑制することができ、リリーフバルブや特殊な電磁ゲート弁を用いる装置の不具合(液圧機器の耐久性の悪化、MC圧の検出値に基づく制御の信頼性の低下、消費電力増加、弁の体格増加など)を解消することが可能になる。
【0060】
なお、圧力差を感知して機械的に作動する駆動圧減圧弁9を設けたこの発明の液圧制動装置は、車両の安全性を高めるために、弁体9aが非作動位置で固着(オフ固着)する事態と、作動位置で固着(オン固着)する事態に対する対策を施しておくのがよい。
【0061】
このうち、オン固着は、弁体9dが液圧排出経路を開放したままになってブレーキアシスト機構3によるアシストが実行されないため異常判定手段がなくてもドライバーが気づく。また、高液圧源2に含まれた圧力センサ2cによって想定外の圧力低下が検知されるので、そのことによっても異常を検知することができる。
【0062】
これに対し、オフ固着はアシスト圧を監視しても検知することができない。そこで、異常を検知するための異常判定手段(図示せず)を設けることを推奨する。
【0063】
そのオフ固着の検知は、図1に示すように、MC圧を検出する圧力センサ12を設け、液圧制御装置7による制動力制御が実行されている状況下で、圧力センサ12によって検出されたMC圧が所定の昇圧速度(ドライバーのブレーキ操作で考えられる昇圧速度よりも早い設定にする)を超えて上昇する兆候が電子制御装置6によって所定の回数(1回では誤認の可能性があるので、数回とするのがよい)確認されたときに異常ありの判定が下されてブザーやランプなどによる異常表示がなされるよ
うにすることで行える。
【0064】
また、ブレーキ操作部材11の操作量を検出するストロークセンサ13をさらに付加し、液圧制御装置7による制動力制御が実行されている状況下で、圧力センサ12によって検出されたMC圧がストロークセンサ13によって検出されたブレーキ操作量に対応する圧力よりも所定値以上高いことを検知したときに異常ありと判定して異常表示などを行うことでも行える。
【符号の説明】
【0065】
1 マスタシリンダ
1a−1,1a−2 マスタ液圧室
1b−1,1b−2 ピストン
1c−1,1c−2 復帰スプリング
1d シリンダボディ
1e、1f 液室
2 高液圧源
2a ポンプ
2b 蓄圧器
2c 圧力センサ
2d モータ
3 ブレーキアシスト機構
3a パワーピストン
3b 駆動液圧室
4 貯液室
5 ホイールシリンダ
6 電子制御装置
7 液圧制御装置
7a 圧力保持用電磁弁
7b 減圧用電磁弁
7c 低圧液溜め
7d ポンプ
7e モータ
8 駆動圧調整弁機構
8a スプールバルブ
8b 復帰スプリング
8c 反力ディスク
8d インレットポート
8e 第1のドレンポート
8f 第2のドレンポート
9 駆動圧減圧弁
9a 弁ボディ
9b マスタ圧入力ポート
9c 駆動圧入力ポート
9d 弁体
9e 第1液圧室
9f 第2液圧室
9g スプリング
10 排出経路遮断弁
11 ブレーキ操作部材
12 圧力センサ
13 ストロークセンサ
L1 スプールバルブが初期位置から第1のドレンポートが閉鎖される位置まで動 くストローク
L2 スプールバルブが増圧モードのときに第2のドレンポートを閉鎖し続けるス トローク
L3 スプールバルブが初期位置からインレットポートを開放するまでのバルブス トローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動液圧室(3b)に導入された液圧でパワーピストン(3a)を有するブレーキアシスト機構(3)が駆動され、そのブレーキアシスト機構に助勢された力でマスタピストン(1b)が作動してマスタ液圧室(1a)に液圧が発生するマスタシリンダ(1)と、制動力制御の可否を判断して必要時に制御指令を出す電子制御ユニット(6)と、動力駆動のポンプ(7d)が含まれ、前記電子制御ユニット(6)の制御により前記マスタシリンダ(1)の液圧に基づいて車両の車輪に制動力を付与する液圧制御装置(7)とを備えている車両用液圧制動装置において、
前記駆動液圧室(3b)に液圧を供給する高液圧源(2)と、
その高液圧源(2)の液圧よりも内圧の低い貯液室(4)と、
ブレーキ操作部材(11)の操作量に応じて前記高液圧源(2)と前記駆動液圧室(3b)の連通・遮断状態と、前記駆動液圧室(3b)と前記貯液室(4)の連通・遮断状態とをそれぞれ切り換えて前記駆動液圧室(3b)内の液圧を前記ブレーキ操作部材(11)の操作量に応じた値に調整する駆動圧調整弁機構(8)と、
弁ボディ(9a)、その弁ボディ(9a)に形成されて前記マスタ液圧室(1a)に接続されるマスタ圧入力ポート(9b)、前記弁ボディ(9a)に形成されて前記駆動液圧室(3b)に接続される駆動圧入力ポート(9c)、及び前記マスタ圧入力ポート(9b)の液圧と前記駆動圧入力ポート(9c)の液圧とを対向して受ける弁体(9d)を有し、前記マスタ圧入力ポート(9b)の液圧が前記駆動圧入力ポート(9c)の液圧よりも所定値以上高いときに、前記弁体(9d)が前記駆動液圧室(3b)から前記貯液室(4)に至る液圧排出経路を開放して前記駆動液圧室(3b)の圧力を低下させる駆動圧減圧弁(9)を備えることを特徴とする車両用液圧制動装置。
【請求項2】
前記駆動圧調整弁機構(8)が、前記高液圧源(2)を前記駆動液圧室(3b)に連通させ、なおかつ、前記駆動液圧室(3b)と前記貯液室(4)の連通を断って前記駆動液圧室(3b)の液圧を上昇させる増圧モードにおいて、前記液圧排出経路を遮断する排出経路遮断弁(10)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用液圧制動装置。
【請求項3】
前記駆動圧減圧弁(9)は、前記弁体(9d)によって互いに区画される第1液圧室(9e)と第2液圧室(9f)を有し、前記第1液圧室(9e)が前記マスタ圧入力ポート(9b)に、前記第2液圧室(9f)が前記駆動圧入力ポート(9c)にそれぞれ接続され、前記弁体(9d)の前記第1液圧室(9e)を臨む側の受圧面積と前記第2液圧室(9f)を臨む側の受圧面積の比が、前記マスタピストン(1b)の前記マスタ液圧室(1a)を臨む側の受圧面積と、前記パワーピストン(3a)の前記駆動液圧室(3b)を臨む側の受圧面積の比に等しいことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用液圧制動装置。
【請求項4】
前記弁体(9d)が前記第2液圧室(9f)を臨む側の受圧面積を、前記パワーピストン(3a)が前記駆動液圧室(3b)を臨む側の受圧面積よりも小さくしたことを特徴とする請求項3に記載の車両用液圧制動装置。
【請求項5】
前記駆動圧調整弁機構(8)に、前記ブレーキ操作部材(11)の操作量に応じた位置に移動して前記高液圧源(2)と前記駆動液圧室(3b)の連通・遮断状態と前記駆動液圧室(3b)と前記貯液室(4)の連通・遮断状態をそれぞれ切り換えるスプールバルブ(8a)が含まれ、そのスプールバルブ(8a)と、前記パワーピストン(3a)に形成されて増圧モードのときに当該スプールバルブ(8a)によって閉鎖される第1のドレンポート(8e)とで前記排出経路遮断弁(10)を構成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両用液圧制動装置。
【請求項6】
マスタシリンダ圧を検出する圧力センサ(12)と、
前記液圧制御装置(7)による制動力制御が実行されている状況下で、マスタシリンダ圧が所定の昇圧速度を超えて上昇する兆候が所定の回数確認されたときに前記駆動圧減圧弁(9)に異常があると判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに一項に記載の車両用液圧制動装置。
【請求項7】
マスタシリンダ圧を検出する圧力センサ(12)と、ブレーキ操作部材(11)の操作量を検出するストロークセンサ(13)とを備え、
前記異常判定手段は、前記液圧制御装置(7)による制動力制御が実行されている状況下で、マスタシリンダ圧がブレーキ操作部材(11)の操作量に対応する圧力よりも所定値以上高いときに、前記マスタシリンダ圧が所定の昇圧速度を超えて上昇する兆候があると判定することを特徴とする請求項6に記載の車両用液圧制動装置。
【請求項8】
前記弁ボディ(9a)が、マスタシリンダ(1)のシリンダボディ(1d)と一体に形成され、その弁ボディ(9a)の内部に、前記マスタ圧入力ポート(9b)と、駆動圧入力ポート(9c)と、前記弁体(9d)によって区画される前記第1液圧室(9e)及び前記第2液圧室(9f)が形成されて前記駆動圧減圧弁(9)がマスタシリンダ(1)と一体化されているこことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用液圧制動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−66720(P2012−66720A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213850(P2010−213850)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】