説明

車両用灯具

【課題】 車両用灯具において、法規領域以外の部分に光を照射して、他の交通からの視認性を向上させることを簡単な構成で実現することを課題としている。
【解決手段】 サイドターンランプ1において、自動車Cの前後方向に対してドアミラー装置100の前方に形成される第2領域R2に対応する部分に、外周面部が発光する導光体7を取り付ける。この導光体7は、全長に亘って外径が一定の棒形状であるため、市販されている汎用の導光体(例えば、外周面が発光する光ファイバ)を切断するだけで済む。そして、導光体7の一方側の端面部7aに対向してLED14を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具(例えば、自動車のドアミラー装置に取り付けられるサイドターンランプ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(自動車)では、右左折又は進路の変更をすることを他の交通(車両又は歩行者)に示す必要がある。そして、照射した光が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し、法規上の基準(定められた範囲において、すべての位置から見通すことができるものであること)が規定されている。
【0003】
例えば、車両の両側面に設けられたサイドターンランプ(方向指示器)にあっては、30mの距離から昼間において点灯を確認できるものであり、かつ、その照射光が他の交通を妨げないものであることとされている。即ち、図10の(a)に示されるように、サイドターンランプ200の中心を通り、車両の進行方向に直交する水平線O1を含む、水平面より上方15度(θ1)の平面及び下方15度(θ1)の平面、及び図10の(b)に示されるように、サイドターンランプ200の中心を含む車両の進行方向に平行な鉛直面O2であって、サイドターンランプ200の中心より後方にあるものよりサイドターンランプ200の外側方向5度(θ2)の平面と、サイドターンランプ200の更に外側方向55度(θ3)の平面とで囲まれる範囲において、すべての位置から見通すことができるものであるとされている。
【0004】
ところで、車両の両側面に設けられたドアミラー装置は路面から程よい高さにあるため、対向車や歩行者などの他の交通からも見易い。この高い視認性の利点に着目して、車両が右左折又は進路の変更をするときに発光する機能を取り付けたドアミラー装置が知られており、本出願人もサイドターンランプの出願を行っている(特許文献1を参照)。
【0005】
上述したように、サイドターンランプは、車両の前後方向に対して斜め後方に形成される法規領域(第1領域R1)に、所定の光量で照射する必要がある。近時、他の交通の視認性の向上及び車両のデザイン性の向上の観点から、サイドターンランプ200の前方部分(法規領域以外の部分で、図10の(b)に示される第2領域R2)を発光させたいという要請が生じている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
特許文献2に開示された技術では、サイドターンランプのハウジングの全体に亘って導光体(光ファイバ)を配し、車両のボディ側に設けられた発光体から照射される光を導光体の端面部に入射させる。これによって導光体の全体から、法規領域(第1領域R1)とそれ以外の前方領域(第2領域R2)に光を照射している。
【0007】
上記した技術では、射出成形で所定の形状に加工(型成形)した導光体を使用している。このため、導光体の汎用性が低く、同一形状の導光体を他の車両に流用することは困難である。また、導光体を所定の形状に加工するために成形型(金型)を必要とし、高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−331610号公報
【特許文献2】特開2008−226755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、車両用灯具において、法規領域以外の部分に光を照射して、他の交通からの視認性を向上させることを簡単な構成で実現することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の課題を解決するための本発明は、
車両のドアミラー装置に取り付けられる車両用灯具であって、
長手方向に湾曲し、前記ドアミラー装置の装置本体部に設けられた灯具取付部に装着されるベース部材と、
光を透過可能な材質よりなり、前記ベース部材を覆うレンズ部と、
前記ベース部材と前記レンズ部との間の空間部に配置され、車両の前後方向に対して所定角度で斜め後方に形成される第1領域に光を照射するために設けられた第1発光体と、
前記空間部に配置され、車両の前後方向に対して前記ドアミラー装置の前方に形成される第2領域に光を照射するために設けられた第2発光体と、
全長に亘って外径が一定の棒形状で、前記空間部において前記第2領域と対応する部分に前記ベース部材の長手方向に沿って配置され、前記第2発光体から照射された光を軸方向のいずれかの端面部から入射させ、外周面部から出射させることによって少なくとも第2領域側の外周面部が発光する導光体と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用灯具は上記した構成であり、法規領域である第1領域には、第1発光体からの光が照射される。そして、ドアミラー装置の前方に形成される第2領域には、第2発光体からの光が導光体の外周面部を介して照射される。即ち、第2発光体から照射された光は、導光体のいずれかの端面部に入射し、外周面部から出射する。この導光体は、全長に亘って外径が一定の棒形状である。このため、市販されている導光体(例えば、少なくとも外周面部が発光する光ファイバ)を使用することができ、その入手が容易である。従来技術のように、複雑形状の導光体を、専用の成形型で製作する必要はない。そして、その導光体を所定長さに切断し、ベース部材の長手方向に沿って取り付けるだけで済むため、その構成が簡単なものになる。また、導光体を所定長さに切断するだけで済むため、灯具の大きさに関係なく、各種の車両に対して使用できる。上記した結果、簡単な構成で車両用灯具の視認性を向上させることができる。
【0012】
前記導光体として、その外周面部に散乱材が添加されていて、前記端面部に入射した光が前記散乱材に当たって前記外周面部から出射するものであってもよい。また、前記導光体として、その外周面部が粗面となっていて、前記端面部に入射した光が前記粗面により乱反射して前記外周面部から出射するものであってもよい。これらの導光体により、第2領域に光を照射することができる。
【0013】
導光体の外周面部が粗面となっている場合、導光体の外周面部にコーティングを施して、外周面部を平滑面とすることが望ましい。これにより、車両用灯具の非作動時(発光体の消灯時)における見栄えが良好となり、車両用灯具の装飾性が向上する。
【0014】
前記空間部に、前記導光体の外周面部から車両の後方に向けて照射された光を、車両の前方に向けて反射させるためのリフレクタを設けてもよい。これにより、第2領域に照射される光の光量を増加させたり、その方向を制御したりすることができる。
【0015】
前記導光体が、軸方向に湾曲可能な可撓性を有している場合、導光体をドアミラー装置の装置本体部の曲面形状に沿って配置することができる。これにより、導光体からの光を均一に照射することができる。
【0016】
複数本の前記導光体が束ねられ、1本形状となって配置されていてもよい。また、複数本の前記導光体が交互に編み込まれ、1本形状となって配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】自動車Cの斜視図である。
【図2】ミラー本体部102の正面図である。
【図3】第1実施例のサイドターンランプ1をミラー本体部102のハウジング2に取り付ける状態を示す図である。
【図4】サイドターンランプ1の分解斜視図である。
【図5】同じく断面図である。
【図6】導光体7の原理を示す図である。
【図7】導光体7を取り付ける状態の作用説明図である。
【図8】(a),(b)は別実施例の導光体41,44の作用説明図である。
【図9】(a)は複数本の導光棒47を束ねて形成した導光体46の平面図、(b)は複数本の導光棒47を交互に編み込んで形成した導光体48の平面図である。
【図10】(a)は自動車Cの正面図、(b)は同じく平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本明細書では、主として自動車CのドアDに装着される車両用のドアミラー装置100及びドアミラー装置100に取り付けられるサイドターンランプ1(車両用灯具)について例示しているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0019】
本発明において、図1は自動車Cの斜視図、図2はミラー本体部102の正面図、図3は第1実施例のサイドターンランプ1をミラー本体部102のハウジング2に取り付ける状態を示す図、図4はサイドターンランプ1の分解斜視図、図5は同じく断面図である。
【実施例1】
【0020】
図1ないし図3に示されるように、車両用のドアミラー装置100は、自動車Cの両側に設けられたドアDにそれぞれ装着されている。このドアミラー装置100は、ドアDに取り付けられるミラーベース部101と、そのミラーベース部101に支持されるミラー本体部102とを備えている。ミラー本体部102は、自動車Cの後方に向けて取り付けられ、運転者又は搭乗者が後方を確認するためのミラー(図示せず)と、このミラーを保持するミラーホルダ(図示せず)と、ミラーの角度調整を行なうアクチュエータ(図示せず)と、方向指示器などの役割を担うサイドターンランプ1(車両用灯具の一例である。)と、それらの収納及び保護を図るハウジング2と、アクチュエータの取り付けられるフレームの役目を果たすものであって、これらミラー、アクチュエータ、及びサイドターンランプ1をハウジング2に連結する役目を担う取付け基盤(図示せず)と、その取付け基盤の一方の端部に取り付けられて、ミラー本体部102を、ミラーベース部101に対する使用状態と格納状態との間の位置で回転駆動させる電動格納装置103とを含み構成される。なお、ハウジング2は、その全体がベッセル形状(すり鉢状の容器形状)を呈するものであり、例えばプラスチック材にて一体的に成形することができ、予め定められた場所に窓部3(灯具取付部)が形成されている。この窓部3に対応してサイドターンランプ1が外部に露出するように装着され、この状態でサイドターンランプ1の発光体(後述)が点滅、点灯等することにより方向指示器等として機能し、他の交通に右左折又は進路変更などを示すこととなる。
【0021】
サイドターンランプ1について説明する。図4及び図5に示されるように、サイドターンランプ1は、帯状形態をなすフレキシブル基板4と、そのフレキシブル基板4を取り付けて保持するベース部材5と、ベース部材5に取り付けられたフレキシブル基板4を覆う形で該フレキシブル基板4を収納するリフレクタ6と、リフレクタ6に収容される導光体(第1実施例の導光体7)と、リフレクタ6を覆うレンズ部8とを備えている。
【0022】
図4に示されるように、フレキシブル基板4を構成する薄い帯状で、折曲げ可能な基板本体9の一方側の面には、計4個の発光体(LED11,12,13,14)が取り付けられている。この基板本体9は、例えばポリイミド、ポリエステルなどをベースフィルムとした屈曲性に優れた銅張板よりなる。また、各LED11〜14は、表面実装型LEDである。基板本体9の一端部(後端部)から、各LED11〜14に電源を供給する2本のリード線15が延設されている。2本のリード線15は、コネクタ16に挿通されている。フレキシブル基板4の基板本体9の他端部(前端部。即ち、各リード線15が延設されていない側)にバックプレート17が固着され、このバックプレート17の部分に2個のLED11,12(第1発光体)が並んで取り付けられている。また、基板本体9の長手方向のほぼ中央部にバックプレート18が固着され、このバックプレート18の部分にLED13(第1発光体)が取り付けられている。更に、基板本体9の後端部にバックプレート19が固着され、このバックプレート19の部分にLED14(第2発光体)が取り付けられている。上記した4個のLED11〜14のうち、LED11〜13は、自動車Cの前後方向に対して斜め後方に形成される第1領域R1(法規領域。図10の(b)参照)に向かって光を照射するためのもの(第1発光体)であり、LED14は、自動車Cの前後方向に対してドアミラー装置100の前方に形成される第2領域R2(図10の(b)参照)に向かって光を照射し、サイドターンランプ1の装飾性を高めるためのもの(第2発光体)である。
【0023】
次に、ベース部材5について説明する。図4及び図5に示されるように、ベース部材5は、ABS樹脂やASA樹脂等の熱可塑性樹脂で形成され、ドアミラー装置100を構成するハウジング2(図2参照)の形状に倣って、長手方向に湾曲した形状をなす。そして、ベース部材5のほぼ全領域に亘ってフレキシブル基板4を収納する収納凹部21が形成されている。収納凹部21には、3つの取付部22,23,24が、ベース部材5の長手方向に所定の間隔をおいて、収納凹部21の底面部から隆起する形で設けられている。これらの取付部22〜24に、フレキシブル基板4の各バックプレート17〜19が差し込まれる。これにより、フレキシブル基板4が、ベース部材5に対してずれないように保持される。
【0024】
ベース部材5における収納凹部21の後端部には、フレキシブル基板4のリード線15を通し、コネクタ16を取り付けるための貫通孔25が設けられている。また、ベース部材5における収納凹部21の内壁面部には、リフレクタ6の係止爪26(後述)を係止する係止孔27が設けられている。更に、ベース部材5の外壁面部には、ベース部材5をハウジング2にねじ固定するねじ(図示せず)を通すための通し孔が設けられたブラケット28,29が設けられている。
【0025】
次に、リフレクタ6について説明する。リフレクタ6は、金属、樹脂、セラミック等よりなる。そして、サイドターンランプ1の装飾性を考慮して、例えば蒸着、光沢塗装又はメッキ等を施した樹脂材料や、鏡面仕上げを施したアルミニウム等の金属材料とすることができる。図4及び図5に示されるように、リフレクタ6は、ベース部材5の湾曲状態に対応して長手方向に湾曲されている。リフレクタ6の両外壁面部には、弾性変形可能な係止爪26が設けられている。リフレクタ6は、係止爪26が、対応するベース部材5の係止孔27に係止されることにより固定される。リフレクタ6においてフレキシブル基板4のLED11,12,13と対応する位置には、それらを外部(第1領域R1)に露出させるための開口部31,32が設けられている。
【0026】
また、リフレクタ6の表面部で、前述した第2領域R2に対応する部分には、棒状の導光体7を取り付けるための凹部33が設けられている。凹部33において、長手方向に対向配置される一対の側壁部には、導光体7の軸方向の両端部を差し込んで支持するための差込み孔34,35が設けられている(図5参照)。
【0027】
リフレクタ6は、フレキシブル基板4が取り付けられたベース部材5の収納凹部21を覆うようにして取り付けられる。そして、ベース部材5の収納凹部21の内壁面部に当接して弾性変形したリフレクタ6の係止爪26が、対応するベース部材5の係止孔27に入って弾性復元する。これにより、リフレクタ6の抜止めが図られる。このとき、フレキシブル基板4に取り付けられたLED11,12は、リフレクタ6の開口部31の部分に配置され、LED13はリフレクタ6の開口部32の部分に配置される。これにより、各LED11〜13から照射された光が、それぞれに対応する開口部31,32を通って外部(第1領域R1)に照射される。
【0028】
次に、レンズ部8について説明する。図4及び図5に示されるように、リフレクタ6にレンズ部8が取り付けられる。レンズ部8は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂等の透明又は半透明の熱可塑性樹脂で形成され、ドアミラー装置100のハウジング2の形状に倣って湾曲した形状をなす。レンズ部8の裏面側でLED11,12と対向する部分には、多数の鋸刃状の突条を有するレンズカット部36が設けられている。LED11,12から照射された光は、レンズ部8のレンズカット部36で屈折し、クリアな光となって第1領域R1に照射される。レンズ部8により、リフレクタ6の開口部31,32が覆われ、露出状態の各LED11〜13が保護されるとともに、サイドターンランプ1の装飾性が向上する。
【0029】
次に、サイドターンランプ1に使用される第1実施例の導光体7について説明する。図4及び図5に示されるように、本実施例の導光体7は、全長に亘って一定の外径(6〜10mm)を有する棒形状で、光を透過可能な材質(例えば、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂材)よりなる。本実施例の導光体7は、軸方向に可撓性を有する。導光体7は、ハウジング2の湾曲形状に倣って湾曲してリフレクタ6に取り付けられるとともに、取付け状態でリフレクタ6の凹部33の底面部からほぼ等距離だけ離れて配置される。このとき、導光体7の軸方向の両端面部7a,7bがリフレクタの差込み孔34,35に挿入されて保持される。導光体7の一方側の端面部7a(リフレクタ6の差込み孔34に挿入される側の端面部)は、リフレクタ6に取り付けられた状態でLED14と対向配置されるように斜めに切断されている。また、導光体7の他方側の端面部7b(リフレクタ6の差込み孔35に挿入される側の端面部)は軸方向に対してほぼ直角に切断されていて、取付け状態で取付部23に近接して配置される。
【0030】
図6に示されるように、本実施例の導光体7は透明なアクリル樹脂材よりなる。そして、その外周面部には、導光体7の軸方向の一方側の端面部7aから入射した光Laを散乱させるための散乱材39が添加されている。この散乱材39として、例えば酸化アルミニウムや二酸化ケイ素等の金属酸化物粒子、ガラス微粉末等の無機化合物粒子が挙げられる。また、散乱材39の外径は、10〜100μmであることが望ましい。導光体7の一方側の端面部7aから入射した光Laは、散乱材39に当たって乱反射し、光Lbとなって導光体7の外周面部から出射する。これにより、導光体7の外周面部が発光する。
【0031】
サイドターンランプ1において、第1実施例の導光体7をリフレクタ6に取り付けるときの作用について説明する。本実施例の導光体7は樹脂材(透明なアクリル樹脂)よりなるため、可撓性を有している。図7に示されるように、ベース部材5にリフレクタ6を取り付ける。次に、導光体7の一方側の端面部7aをリフレクタ6の差込み孔34に差し込む。導光体7の他方側の端面部7bを取付部23に近接させながら、リフレクタ6の差込み孔35を支点として導光体7を傾け、その一方側の端面部7aをリフレクタ6の差込み孔34に差し込む。これにより、導光体7は、リフレクタ6の湾曲面に沿って湾曲し、かつ、リフレクタ6の凹部33の底面部からほぼ等距離をおいて配置される。そして、導光体7の一方側の端面部7aは、LED14と対向配置される。図7において、リフレクタ6に取り付けられた状態の導光体7を二点鎖線で示す。なお、予め導光体7をリフレクタ6の湾曲形状に対応させて軸方向に湾曲させてから、リフレクタ6に取り付けてもよい。
【0032】
サイドターンランプ1の作用について説明する。図5に示されるように、車両の運転者がサイドターンランプ1のスイッチ(図示せず)を操作すると、各LED11〜14が発光する。LED11,12及びLED13は、車両の前後方向に対して所定角度で斜め後方に形成される第1領域R1に光H1を照射する。
【0033】
また、図5及び図6に示されるように、LED14は、導光体7の一方側の端面部7aに光Laを照射する。導光体7に入射した光Laは、外周面部に存する散乱材39に衝突して乱反射し、外周面部から光Lbとなって出射する。これにより、自動車Cの前方領域(自動車Cの前後方向に対してドアミラー装置100の前方に形成される第2領域R2)に光H2が照射され、他の交通からの視認性が良好になる。
【0034】
導光体7の外周面部から、リフレクタ6の側に向かう光はリフレクタ6で反射し、光H2となって第2領域R2を照射する。これにより、第2領域R2を照射する光H2の光量が増大する。
【0035】
上記したように、このサイドターンランプ1では、LED11,12及びLED13から照射される光H1により、法規領域である車両の斜め後方の第1領域R1が照射される。また、LED14から照射される光H2により導光体7の外周面部が発光し、ドアミラー装置100の前方の第2領域R2が照射される。この光H2により、発光時のサイドターンランプ1の装飾性が向上する。しかも、法規領域(第1領域R1)への光H1の照射を損なうこともない。
【0036】
サイドターンランプ1において、第1実施例の導光体7は単純な棒形状である。このため、安価であるとともに、リフレクタ6に対する導光体7の取付け位置の調整することが容易である。これにより、導光体7から照射される光H2の照射方向を容易に調整することができる。
【実施例2】
【0037】
次に、第2実施例の導光体41について説明する。上記した第1実施例の導光体7は、外周面部に添加された散乱材39により、その外周面部を発光させる形態である。これに対して、図8の(a)に示される第2実施例の導光体41は、光を透過可能な棒状の樹脂材42(例えば、アクリル樹脂)の外周面部を粗面とし、凹凸部43を設けたものである。端面部42aから導光体41に入射した光Laは、凹凸部43で乱反射することにより、光Lbとなって外周面部から出射される。樹脂材42の外周面部を粗面とするためには、樹脂材42の外周面部に表面処理(例えば、ショットブラスト)、凹凸面の転写、切削等を施す。
【0038】
そして、図8の(b)に示される第3実施例の導光体44のように、樹脂材42の凹凸部43に、例えばフッ素を含む被覆部45でコーティングし、その外周面部を平滑面としてもよい。被覆部45により、樹脂材42の凹凸部43が目立たなくなるので、サイドターンランプ1の装飾性が向上する。また、フッ素には屈折率を低下させる働きがあるため、一方側の端面部42aに臨界角以上の入射角で入射した光Lcを、樹脂材42と被覆部45との境界面で全反射させ、他方側の端面部(図示せず)から出射させることができる。
【実施例3】
【0039】
また、図9の(a)に示される第3実施例の導光体46のように、複数本の細い導光棒47を束ねて1本形状にしてもよい。
【実施例4】
【0040】
また、図9の(b)に示される第3実施例の導光体48のように、複数本の細い導光棒47を交互に編み込んで1本形状にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る車両用灯具は、自動車のサイドターンランプとして使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 サイドターンランプ(車両用灯具)
2 ハウジング(装置本体部)
5 ベース部材
6 リフレクタ
7,41,44,46,48 導光体
11,12,13 LED(第1発光体)
14 LED(第2発光体)
39 散乱材
45 被覆部(コーティング)
47 導光棒(導光体)
C 自動車(車両)
H1,H2 光
La,Lb 光
R1 第1領域
R2 第2領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアミラー装置に取り付けられる車両用灯具であって、
長手方向に湾曲し、前記ドアミラー装置の装置本体部に設けられた灯具取付部に装着されるベース部材と、
光を透過可能な材質よりなり、前記ベース部材を覆うレンズ部と、
前記ベース部材と前記レンズ部との間の空間部に配置され、車両の前後方向に対して所定角度で斜め後方に形成される第1領域に光を照射するために設けられた第1発光体と、
前記空間部に配置され、車両の前後方向に対して前記ドアミラー装置の前方に形成される第2領域に光を照射するために設けられた第2発光体と、
全長に亘って外径が一定の棒形状で、前記空間部において前記第2領域と対応する部分に前記ベース部材の長手方向に沿って配置され、前記第2発光体から照射された光を軸方向のいずれかの端面部から入射させ、外周面部から出射させることによって少なくとも第2領域側の外周面部が発光する導光体と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光体の外周面部に散乱材が添加されていて、前記端面部に入射した光は前記散乱材に当たって前記外周面部から出射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光体の外周面部は粗面となっていて、前記端面部に入射した光が前記粗面により乱反射して前記外周面部から出射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体の外周面部にコーティングが施され、前記外周面部が平滑面とされていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記空間部に、前記導光体の外周面部から車両の後方に向けて照射された光を、車両の前方に向けて反射させるためのリフレクタが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記導光体が、軸方向に湾曲可能な可撓性を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
複数本の前記導光体が束ねられ、1本形状となって配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
複数本の前記導光体が交互に編み込まれ、1本形状となって配置されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記導光体は、少なくとも外周面部が発光する光ファイバであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−285025(P2010−285025A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139291(P2009−139291)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000105925)サカエ理研工業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】