説明

車両用空気調和装置

【課題】配風量制御の際、風量変化による乗員への到達温度の変化が抑えられ、乗員に与える体感温度が変わることによる違和感を解消することができる車両用空気調和装置を提供すること。
【解決手段】空調ケース1内に上流のブロワユニット19と下流のケース吹き出し口との間に、エバポレータ2、フロント冷風ドア10R,10L及びフロント暖風ドア11R,11L、ヒータコア3、を配置し、空調ケース1内を流れる送風通路をセンター仕切り板20により第1通路と第2通路とに画成した車両用空気調和装置において、配風量制御手段(ステップS4)は、第1通路配風量と第2通路配風量のうち少なくとも一方の配風量を増減制御する場合(ステップS406〜ステップS408)、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正を行う吹出風温度補正手段(ステップS409〜ステップS411)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調ケース内を流れる送風通路を隔壁により第1通路と第2通路に画成し、2つの通路について独立に吹出風温度制御と配風量制御を行う車両用空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調ケース内の空調ケース内を流れる送風通路を隔壁により左側通路と右側通路に画成し、左側通路配風量と右側通路配風量を制御する車両用空気調和装置としては、送風機の下流位置で、エバポレータの上流位置に1枚の配風比制御用回転式ドアを設け、ドア角度位置の設定により左側通路配風量と右側通路配風量を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、空調ケース内の空調ケース内を流れる送風通路を隔壁により左側通路と右側通路に画成し、左側通路配風量と右側通路配風量を制御する車両用空気調和装置としては、冷温風の混合割合を決める冷風ドアと暖風ドアを配風ドアとして利用し、冷温風の混合割合を一定に維持したままで左側通路と右側通路の通路面積を制御するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2682627号公報
【特許文献2】特開2004−306936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の車両用空気調和装置にあっては、配風量制御時、いずれも温調ドア(エアミックスドア、冷風ドアと暖風ドア)による温風と冷風の割合を一定に維持したままで、エバポレータの上流位置に設けた配風比制御用回転式ドア(特許文献1)や冷風ドアと暖風ドア(特許文献2)を制御することにより、空調ケース内の左右通路を経過して車室内に吹き出す配風量を変化させている。
【0005】
このため、配風量制御を実行することにより車室吹き出し口からの風量が変化すると、車室吹き出し口から乗員に向かって吹き付けられる温風や冷風の乗員への到達速度(到達時間)が変化し、車室吹き出し口から所定距離だけ離れた位置の乗員に到達する際の到達温度も変化してしまう。この到達温度の変化は、乗員の体感温度の変化としてあらわれ、例えば、冷房時に風量が減少すると乗員の体感温度が上昇するし、暖房時に風量が減少すると体感温度が低下するというように、乗員に違和感を与えてしまう、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、配風量制御の際、風量変化による乗員への到達温度の変化が抑えられ、乗員に与える体感温度が変わることによる違和感を解消することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では、空調ケース内に上流の送風機と下流のケース吹き出し口との間に、冷房用熱交換器、エアミックスドア、暖房用熱交換器、を配置し、前記空調ケース内を流れる送風通路を隔壁により第1通路と第2通路に画成し、第1通路吹出風温度と第2通路吹出風温度を独立に制御する吹出風温度制御手段と、第1通路配風量と第2通路配風量を制御する配風量制御手段と、を備えた車両用空気調和装置において、
前記配風量制御手段は、第1通路配風量と第2通路配風量のうち少なくとも一方の配風量を増減制御する場合、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正を行う吹出風温度補正手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明の車両用空気調和装置にあっては、配風量制御手段において、第1通路配風量と第2通路配風量のうち少なくとも一方の配風量が増減制御される場合、吹出風温度補正手段において、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正が行われる。
このため、配風量制御を実行することにより車室吹き出し口からの風量が変化しても、吹出風温度の補正により、車室吹き出し口から乗員に向かって吹き付けられる温風や冷風の乗員への到達速度(到達時間)の変化にかかわらず、車室吹き出し口から所定距離だけ離れた位置の乗員に到達する際の到達温度の変化が、風量変化の前後において変わらない、あるいは、風量変化の前後において小さく抑えられたものとなる。
この結果、配風量制御の際、風量変化による乗員への到達温度の変化が抑えられ、乗員に与える体感温度が変わることによる違和感を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の車両用空気調和装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/U(車両用空気調和装置の一例)を示す縦断面図、図2は実施例1の空調ユニットA/Uを示す横断平面図である。図3は実施例1の空調ユニットA/Uにベントダクトとフットダクトを設定した状態での吹き出し温センサの設置位置を示す図である。
【0011】
実施例1における空調ユニットA/Uは、図1及び図2に示すように、空調ケース1と、エバポレータ2(冷却用熱交換器)と、ヒータコア3(暖房用熱交換器)と、デフドア4と、ベントドア5R,5L(第1モードドア、第2モードドア)と、フットドア6R,6L(第1モードドア、第2モードドア)と、リアモードドア9R,9Lと、フロント冷風ドア10R,10L(エアミックスドア)と、フロント暖風ドア11R,11L(エアミックスドア)と、リアフット接続口13と、リアベント接続口14と、ブロワ接続口15と、インテークドア17と、ブロワモータ18と、ブロワユニット19(送風機)と、センター仕切り板20(隔壁)と、右側通路21(第1通路)と、左側通路22(第2通路)と、を備えている。
【0012】
実施例1における空調ユニットA/Uは、図1に示すように、空調ケース1内に上流のブロワユニット19側から下流のケース吹き出し口側に向かって順に、エバポレータ2、フロント冷風ドア10R,10L及びフロント暖風ドア11R,11L、ヒータコア3を配置している。
【0013】
前記エバポレータ2は、インテークドア17により選択された内気または外気をブロワユニット19により吸い込み、ブロワ接続口15を介して入口側に導かれる送風を冷却する熱交換器である。前記インテークドア17は、内外気ドアアクチュエータ16により内外気の切り替え制御が行われる。
【0014】
前記ヒータコア3は、前記エバポレータ2、前記フロント冷風ドア10R,10L及び前記フロント暖風ドア11R,11Lの下流位置に配置され、加熱媒体としてエンジン冷却水等を循環させることで、通過する風を暖める熱交換器である。
【0015】
前記デフドア4は、デフモードの選択時に開かれるドアで、図1に示すように、空調ケース1のデフ吹き出し口に配置される。このデフドア4は、デフドアアクチュエータ23によりドア開度が制御される。
【0016】
前記ベントドア5R,5Lは、図2に示すように、ベントモードの選択時に開かれるドアで、空調ケース1のデフ吹き出し口に左右一対配置される。このベントドア5R,5Lは、右ベントドアアクチュエータ24R(第1ドア駆動手段)と左ベントドアアクチュエータ24L(第2ドア駆動手段)により左右独立にドア開度が制御される。
【0017】
前記フットドア6R,6Lは、フットモードの選択時に開かれるドアで、図2に示すように、空調ケース1のデフ吹き出し口に左右一対配置される。このフットドア6R,6Lは、右フットドアアクチュエータ25R(第1ドア駆動手段)と左フットドアアクチュエータ25L(第2ドア駆動手段)により左右独立にドア開度が制御される。
【0018】
前記リアモードドア9R,9Lは、リアベントモードやリアフットモードの選択時に開かれるドアで、図2に示すように、空調ケース1のリアベント接続口14及びブロワ接続口15の上流位置に左右一対配置される。このリアモードドア9R,9Lは、右リアモードドアアクチュエータ26Rと左リアモードドアアクチュエータ26Lにより左右独立にドア開度が制御される。
【0019】
前記フロント冷風ドア10R,10Lは、前記エバポレータ2の下流位置に配置され、エバポレータ2を経過した冷風量を左右独立に制御する。このフロント冷風ドア10R,10Lは、右フロント冷風ドアアクチュエータ27Rと左フロント冷風ドアアクチュエータ27Lにより左右独立にドア開度が制御される。
【0020】
前記フロント暖風ドア11R,11Lは、前記ヒータコア3の上流位置に配置され、ヒータコア3の熱交換面に流入させる温風入口風量を左右独立に制御する。このフロント暖風ドア11R,11Lは、右フロント暖風ドアアクチュエータ28Rと左フロント暖風ドアアクチュエータ28Lにより左右独立にドア開度が制御される。
【0021】
そして、前記フロント冷風ドア10R,10L及び前記フロント暖風ドア11R,11Lにより、エバポレータ2を経過した冷風と、ヒータコア3を経過した温風と、の混合割合を各ドア開度により左右独立制御する。つまり、冷風と温風の混合割合で決まる吹出風温度を左右独立制御する。なお、この温調ドアとしては、冷風バイパス通路を塞ぐフルホット位置からヒータコア3の上流側を塞ぐフルクール位置までのストローク域でスライド移動可能なスライド式ドアを採用しても良い。
【0022】
実施例1における空調ユニットA/Uは、図2に示すように、エバポレータ2から下流側の通路をセンター仕切り板20により右側通路21と左側通路22とに画成し、右側通路吹出風温度と左側通路吹出風温度を独立に制御する吹出風温度制御と、右側通路配風量と左側通路配風量を独立に制御する配風量制御を行うようにしている。
実施例1での吹出風温度制御は、フロント冷風ドア10R,10L及びフロント暖風ドア11R,11Lのドア開度制御により行う。実施例1での配風量制御は、モードドアのドア開度制御とファン風量制御との併用により行う。
【0023】
前記右側通路21と連通するベント吹き出し口には、図3に示すように、右側フロントベントダクト7Rが接続され、前記右側通路21と連通するフット吹き出し口には、図3に示すように、右側フロントフットダクト8Rが接続される。
【0024】
前記左側通路22と連通するベント吹き出し口には、図3に示すように、左側フロントベントダクト7Lが接続され、前記左側通路22と連通するフット吹き出し口には、図3に示すように、左側フロントフットダクト8Lが接続される。
【0025】
そして、左右のフロントベントダクト7R,7Lの左右位置の前席側乗員のそれぞれに向かって2方向から温調風を吹き出すベントグリル7a,7b,7c,7dの各位置に吹き出し温センサ30が設けられる。また、左右のフロントフットダクト8R,8Lの左右位置の前席側乗員のそれぞれに向かって温調風を吹き出すフットグリル8a,8bの各位置に吹き出し温センサ30が設けられる。
【0026】
次に、空調制御系の構成について説明する。
図4は実施例1の空調ユニットA/Uにおける空調制御ブロック図である。
空調制御系の空調コントロールユニット40に入力情報をもたらす情報源として、吹き出し温センサ30と、外気温センサ31と、室内温Rセンサ32と、室内温Lセンサ33と、吸い込み温センサ34と、日射量センサ35と、コントロールパネル36と、を備えている。
【0027】
前記コントロールパネル36には、左右独立の温度設定手段として、右温度設定ダイアル36aと、左温度設定ダイアル36bと、を備えている。そして、内外気切替手段として、内外気切替スイッチ36cを備えている。そして、吹出口モード(ベントモード、バイレベルモード、フットモード、デフモード等)を選択する手段として吹出しモードスイッチ36dを備えている。そして、風量アップや風量ダウンの操作手段として、風量切替スイッチ36eを備えている。そして、左右独立の配風量設定手段として、右風量調整ダイアル36fと、左風量調整ダイアル36gと、を備えている。
【0028】
加えて、前記コントロールパネル36には、空調制御を開始するためのエアコンスイッチ36hと、吸込口,吹出口,ファンスピード及び吹出風温度を自動制御するオートスイッチ36iと、空調制御を終了するためのオフスイッチ36jと、を有する。
【0029】
前記空調コントロールユニット40により制御される出力系として、コンプレッサ制御用のコンプレッサクラッチ37と、風量制御用のブロワモータ18と、吸込口制御用の内外気ドアアクチュエータ38と、を備えている。そして、吹出口制御及び左右独立の配風量制御用として、右ベントドアアクチュエータ24Rと、左ベントドアアクチュエータ24Lと、右フットドアアクチュエータ25Rと、左フットドアアクチュエータ25Lと、を備えている。そして、左右独立の吹出風温度制御用として、右冷風ドアアクチュエータ27Rと、左冷風ドアアクチュエータ27Lと、右暖風ドアアクチュエータ28Rと、左暖風ドアアクチュエータ28Lと、を備えている。そして、後席側吹出風温度制御用として、右リアモードドアアクチュエータ26Rと、左リアモードドアアクチュエータ26Lと、を備えている。
【0030】
図5(a)は実施例1の空調コントロールユニット30により実行される空調制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この空調制御処理は、エアコンスイッチ36hの操作により開始し、所定の制御周期により繰り返し実行され、オフスイッチ36jの操作により終了する。
【0031】
ステップS1は、各制御に必要な入力情報を読み込む。
具体的には、吹き出し温センサ30、外気温センサ31、室内温Rセンサ32、室内温Lセンサ33、吸い込み温センサ34、日射量センサ35からのセンサ情報と、コントロールパネル36からの各設定情報やスイッチ情報を読み込む。
【0032】
ステップS2は、ステップS1での入力情報の読み込みに続き、入力されたセンサ情報に基づいて入力データ処理を行う。
具体的には、外気温センサ31からの入力データは、空調制御用及び外気温度表示用に外気温度補正を行う。室内温Rセンサ32及び室内温Lセンサ33からの入力データは、運転席側空調制御用と助手席側空調制御用にそれぞれ室内温度補正を行う。吸い込み温センサ34からの入力データは、空調制御用に吸込温度補正を行う。日射量センサ35からの入力データは、運転席側空調制御用と助手席側空調制御用にそれぞれ日射量補正を行う。
【0033】
ステップS3は、ステップS2での入力データ処理に続き、図5(b)に示すフローチャートにしたがって、左右独立の吹出風温度制御を行う(吹出風温度制御手段)。
この吹出風温度制御は、空調作動時、作動状態にかかわらず、常に吹出風温度の自動制御を行っている。そして、吹出風温度の自動制御は、左右の温度設定ダイアル36a,36bに対する操作で乗員が希望する温度に設定すると、図5(b)に示すように、設定温度を読み込み(ステップS301)、外気温に応じて設定温度に対して乗員の体感温度に合わせるように設定温度の補正を行い(ステップS302)、各センサからの信号を用いて演算処理を行い、温調ドア10R,10L,11R,11Lのドア開度値を決定する(ステップS303)。そして、目標ドア開度値と現時点のドア開度値を基に、ドアアクチュエータ27R,27L,28R,28Lの制御値を算出し(ステップS304)、算出した制御値を出力し(ステップS305)、常に最適な温調ドア開度となるように制御する。
【0034】
ステップS4は、ステップS3での左右独立の吹出風温度制御に続き、後述する図6に示すフローチャートにしたがって、左右独立の配風量制御を行う(配風量制御手段)。
なお、図6に示すフローチャートでは、風量切替スイッチ36eや左右の風量調整ダイアル36f,36gへの調整操作に基づく、手動風量制御について説明する。しかし、手動風量制御以外に、図外のデフスイッチを押した場合の自動風量制御、起動風量制御、低水温起動風量制御、車室内高温時起動風量制御、アクチュエータ作動時風量制御、音声認識時風量制御等を加えても良い。
【0035】
ステップS5は、ステップS4での左右独立の配風量制御に続き、吹出口制御(モード制御)を行う。
この吹出口制御のうち、手動制御では、吹出しモードスイッチ36dにて選択された吹出口モード(ベントモード、バイレベルモード、フットモード、デフモード等)を得るようにモードドアの開閉を制御する。オートスイッチ36iをONにしての自動制御では、目標温調ドア開度や日射量等に基づいて算出した吹出風温度に応じて、吹出口モードのいずれかを自動選択する。
【0036】
ステップS6では、ステップS5での吹出口制御に続き、外気導入か内気循環かの吸込口制御を行う。
この吹出口制御のうち、手動制御では、内外気切替スイッチ36cにて選択された外気導入/内気循環にしたがってインテークドア17のドア位置を制御する。オートスイッチ36iをONにしての自動制御では、車室内温度、外気温度、日射量等に基づいて算出した温調ドア開度に応じて、外気導入、20%〜80%外気導入、内気循環のいずれかを自動選択する。
【0037】
ステップS7では、ステップS6での吸込口制御に続き、エバポレータ2を有する冷凍サイクルに設定されたコンプレッサの作動制御を行う。
基本的には、エアコンスイッチ36hやオートスイッチ36iを押すと、コンプレッサクラッチ37を接続し、コンプレッサを作動させる。
また、コンプレッサ保護制御(圧力異常時コンプレッサ保護制御、コンプレッサオイル循環制御、エバポレータ凍結保護制御、稼働率制御等)、エンジン高負荷時のエアコンカット制御、フェイルセーフ制御等も併せて行われる。
【0038】
図6は実施例1の空調コントロールユニット30により実行される左右独立の配風量制御処理(図5(a)のステップS4)の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0039】
ステップS401は、風量切替スイッチ36eや左右の風量調整ダイアル36f,36gへの調整操作による風量情報を読み込むと共に、吹出しモードスイッチ36dへの操作にて選択されている吹出口モード(ベントモード、バイレベルモード、フットモード、デフモード等)を特定するモード情報を読み込む。
【0040】
ステップS402は、ステップS401での風量情報とモード情報の読み込みに続き、右側通路21と左側通路22への風量指令が左右均等の風量指令時であるか否かを判断する。このステップS402にて、YESと判断された場合はステップS403へ移行し、NOと判断された場合はステップS406へ移行する。
【0041】
ステップS403は、ステップS402での左右均等の風量指令時であるとの判断に続き、読み込まれた風量情報に基づいて目標風量を算出する。なお、選択されている吹出口モードでのモードドアの目標開度は、左右共に全開とする。
【0042】
ステップS404は、ステップS403での目標風量の算出に続き、目標風量を得るブロワモータ18へのブロワ電圧制御値を算出する。
【0043】
ステップS405は、ステップS404でのブロワ電圧制御値を算出、あるいは、ステップS411での温調ドアアクチュエータ制御値の算出に続き、図6の処理にて算出されたブロワ電圧制御値、モードドアアクチュエータ制御値、温調ドアアクチュエータ制御値の各制御値を出力する。
【0044】
ステップS406は、ステップS402での左右不均等の風量指令時であるとの判断に続き、選択されている吹出口モードでのモードドア(例えば、ベントモード選択時にはベントドア5R,5L、フットモード選択時にはフットドア6R,6L)のドア開度を、左右の風量情報と開度特性と用いて算出する。
ここで用いる「開度特性」は、風量変化量に対するドア開度変化量の関係特性であり、左右の風量情報から風量変化量を求め、この風量変化量を関係特性と照合することでドア開度変化量が算出される。つまり、左右一方の風量増加時には、風量を増加する側のドア開度を算出されたドア開度だけ開くことで左右の風量変化量を得るし、左右一方の風量減少時には、風量を減少する側のドア開度を算出されたドア開度だけ閉じることで左右の風量変化量を得る。
【0045】
ステップS407は、ステップS406での左右モードドア開度の算出に続き、算出された左右モードドア開度と現時点での左右モードドア開度とに基づき、モードドアアクチュエータ制御値を算出する。
【0046】
ステップS408は、ステップS407でのモードドアアクチュエータ制御値の算出に続き、ドア開度制御により発生する配風量増加分や配風量不足分を補償するためのブロワユニット19による総風量制御としてのブロワ電圧制御値を算出する。
すなわち、左右一方のモードドアを開くと、一方のモードドア側での配風量が増加すると共に、他方のモードドア側では通気抵抗が相対的に上昇し、配風量が減少する。また、左右一方のモードドアを閉じると、一方のモードドア側での配風量が減少すると共に、他方のモードドア側では通気抵抗が相対的に減少し、配風量が増加する。よって、モードドア開度制御により発生する配風量維持側での配風量増加分や配風量不足分を、総風量制御により補償する必要があることによる。
【0047】
ステップS409は、ステップS408でのブロワ電圧制御値の算出に続き、吹き出し温センサ30からの吹き出し温度情報と、左右の風量差情報と、温度特性を読み込む。
ここで、「温度特性」は、図7(a)及び図8(a)に示すように、風量差をパラメータとし、車室吹き出し口から乗員までの距離Lを経過することで、車室吹き出し口温度から乗員到達温度への温度変化をあらわす温度特性である(温度特性設定手段)。
【0048】
ステップS410は、ステップS409での吹き出し温度、風量差、温度特性の読み込みに続き、温調ドアであるフロント冷風ドア10R,10Lとフロント暖風ドア11R,11Lの吹出風温度補正のためのドア開度を温度特性から算出する。
すなわち、吹出風温度補正のためのドア開度は、吹き出し温度情報と風量差情報を入力し、設定された温度特性と照合することにより、配風量増減による温度変化幅を決定し、この温度変化幅を温度補正代として算出する。
具体的には、配風量を変更する通路でのフロント冷風ドア10Rとフロント暖風ドア11R、または、フロント冷風ドア10Lとフロント暖風ドア11Lによるドア開口総面積を維持したまま、冷風ドアと暖風ドアのドア開度割合を調整することで、温度補正代のみを変化させる。
【0049】
ステップS411は、ステップS410での温調ドア開度の算出に続き、算出された左右温調ドア開度と現時点での左右温調ドア開度とに基づき、温調ドアアクチュエータ制御値を算出する。
【0050】
なお、ステップS409〜ステップS411は、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正を行う吹出風温度補正手段に相当する。
【0051】
次に、作用を説明する。
実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/Uでは、エアコンスイッチ36hの操作により空調制御処理が開始され、図5(a)に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む流れが、所定の制御周期により繰り返し実行される。
これによって、右側通路21の吹出風温度と左側通路22の吹出風温度を独立に制御する左右独立の吹出温度制御、右側通路21の配風量と左側通路22の配風量を独立に制御する左右独立の配風量制御、吹出口制御(モード制御)、吸込口制御、コンプレッサ制御による一連の空調制御が実行される。そして、一連の空調制御は、オフスイッチ36jの操作により終了する。
【0052】
以下、実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/Uにおける「左右独立の配風量制御作用」並びに「吹出風温度補正作用」について説明する。
【0053】
[左右独立の配風量制御作用]
実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/Uでの左右独立の配風量制御は、図6のフローチャートにおいて、ステップS401→ステップS402→ステップS406→ステップS407→ステップS408へと進み、モードドア開度制御と、モードドア開度制御により発生する配風量維持側での配風量増加分や配風量不足分を補償する総風量制御とを併用することで行われる。
【0054】
すなわち、実施例1の空調ユニットA/Uにあっては、右側通路21の右ベントケース吹き出し口の位置に右ベントドアアクチュエータ24Rを有する右ベントドア5Rが設けられ、左側通路22の左ベントケース吹き出し口の位置に左ベントドアアクチュエータ24Lを有する左ベントドア5Lが設けられる。そして、右ベントドア5Rと左ベントドア5Lがドア開とされるベントモード選択時における配風量制御時、右側通路配風量と左側通路配風量を制御する配風量制御ドアとして、それぞれ単独にドア開度を制御可能な右ベントドア5Rと左ベントドア5Lが用いられる。なお、フットモードやバイレベルモード等の選択時においても全く同様であり、以下、ベントモードを空調モードの代表例として説明する。
【0055】
そして、エバポレータ2を通過して右側通路21と左側通路22に分かれた風を、ケース吹き出し口の位置に設けられた右ベントドア5Rまたは左ベントドア5Lにより通気抵抗を与えることで、右側通路21の配風量と左側通路22の配風量を異ならせる配風量制御が行われる。このため、配風量制御時、エバポレータ2の出口風速分布は、配風量の差に応じた変化が見られるだけである。したがって、1つの配風比制御用回転式ドアによりエバポレータの入口開口面積を変える従来例とは異なり、エバポレータ2の出口風速分布や出口温度分布は安定した特性を保ち、出口風速分布の変化による騒音の発生や出口温度分布の変化による部分凍結の発生を防止することができる。
【0056】
また、右ベントドア5Rと左ベントドア5Lは、エアミックス部の下流側のケース吹き出し口の位置に設けられ、ベントモードの選択に応じてドア開とされるものである。つまり、右ベントドア5Rと左ベントドア5Lを用いた配風量制御は、左右のフロント冷風ドア10R,10L及び左右のフロント暖風ドア11R,11Lによる温度調整制御とは独立に、しかも、エアミックス部の下流側で行われる。このため、温調ドアを配風ドアとして利用する場合とは異なり、配風量制御と温度調整制御との間での制御干渉が無く、風量変化によるエアミックス性への影響が小さく抑えられ、温度コントロール性を損なうことなく配風量制御を行うことができる。
【0057】
さらに、右ベントドア5Rと左ベントドア5Lのうち、一方のベントドアを閉じると、閉じ側の通気抵抗が増して配風量が減少する。このとき、ドア開度を維持した側の通気抵抗が相対的に低下することで、ドア開度維持側の配風量が僅かに増大する。そして、総風量としては、配風制御前の総風量より配風制御後の総風量が低下するという特性を示す。
【0058】
これに対し、実施例1の配風量制御では、右側通路21と左側通路22のうち、一方の通路の通気抵抗を変化させる左右ベントドア5R,5Lのドア開度制御と、ドア開度制御により発生する配風量増加分や配風量不足分を補償する総風量増減制御と、を併用するようにしている。このため、一方の通路への配風量はそのまま維持し、他方の通路への配風量のみを増加要求や減少要求に応えて変更することができる。
【0059】
このように、左右独立の配風量制御の際、騒音の発生や部分凍結の発生を防止しながら、温度コントロール性を損なうことなく、モードドアを活用して2つの通路の配風量を増減要求に応えて独立に制御することができる。
【0060】
[吹出風温度補正作用]
実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/Uでの吹出風温度補正は、図6のフローチャートにおいて、ステップS408から、ステップS409→ステップS410→ステップS411→ステップS405へと進み、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正が行われる。
【0061】
すなわち、上記のように左右独立の配風量制御を実行することにより車室吹き出し口からの風量が変化すると、車室吹き出し口から乗員に向かって吹き付けられる温風や冷風の乗員への到達速度(到達時間)が変化し、車室吹き出し口から所定距離だけ離れた位置の乗員に到達する際の到達温度も変化してしまう。
【0062】
そして、到達温度の変化は、乗員の体感温度の変化としてあらわれる。例えば、ベントモードを選択しての冷房時、図7(a),(b)に示すように、風量が150m3/hから100m3/hに減少すると、車室内に向けられるベント吹き出し口から所定距離Lだけ離れた位置の乗員の上半身に到達するまでの風速は、風量が150m3/hの時の風速よりも、風量が100m3/hの時の風速が遅くなる。このため、風量が150m3/hの時の乗員に到達するまでの冷熱の損失よりも、風量が100m3/hの時の乗員に到達するまでの冷熱の損失が大きくなり、風量が150m3/hから100m3/hに減少することにより、到達温度が高くなり、乗員の体感温度が上昇する。
【0063】
例えば、フットモードを選択しての暖房時、図8(a),(b)に示すように、風量が100m3/hから50m3/hに減少すると、車室内に向けられるフット吹き出し口から所定距離Lだけ離れた位置の乗員の足元に到達するまでの風速は、風量が100m3/hの時の風速よりも、風量が50m3/hの時の風速が遅くなる。このため、風量が100m3/hの時の乗員に到達するまでの温熱の損失よりも、風量が50m3/hの時の乗員に到達するまでの温熱の損失が大きくなり、風量が100m3/hから50m3/hに減少することにより、到達温度が低くなり、乗員の体感温度が低下する。
【0064】
これに対し、実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/Uでは、左右独立の配風量制御を実行することにより車室吹き出し口からの風量が変化しても、吹き出し温度情報と風量差情報を入力し、設定された温度特性と照合することにより、配風量増減による温度変化幅を決定し、この温度変化幅を温度補正代とする吹出風温度補正を実行する。
【0065】
このため、車室吹き出し口から乗員に向かって吹き付けられる温風や冷風の乗員への到達速度(到達時間)の変化にかかわらず、車室吹き出し口から所定距離だけ離れた位置の乗員に到達する際の到達温度の変化が、風量変化の前後において変わらない、あるいは、風量変化の前後において小さく抑えられたものとなる。
【0066】
次に、効果を説明する。
実施例1の空調ユニットA/Uにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0067】
(1) 空調ケース1内に上流のブロワユニット19と下流のケース吹き出し口との間に、エバポレータ2、フロント冷風ドア10R,10L及びフロント暖風ドア11R,11L、ヒータコア3、を配置し、前記空調ケース1内を流れる送風通路をセンター仕切り板20により第1通路と第2通路とに画成し、第1通路吹出風温度と第2通路吹出風温度を独立に制御する吹出風温度制御手段(ステップS3)と、第1通路配風量と第2通路配風量を制御する配風量制御手段(ステップS4)と、を備えた車両用空気調和装置において、前記配風量制御手段(ステップS4)は、第1通路配風量と第2通路配風量のうち少なくとも一方の配風量を増減制御する場合(ステップS406〜ステップS408)、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正を行う吹出風温度補正手段(ステップS409〜ステップS411)を有するため、配風量制御の際、風量変化による乗員への到達温度の変化が抑えられ、乗員に与える体感温度が変わることによる違和感を解消することができる。
【0068】
(2) 前記ケース吹き出し口に連通する車室吹き出し口の位置に吹き出し温センサ30を設けると共に、風量差をパラメータとし、車室吹き出し口から乗員までの距離Lを経過することで、車室吹き出し口温度から乗員到達温度への温度変化をあらわす温度特性を設定した温度特性設定手段を設け、前記吹出風温度補正手段(ステップS409〜ステップS411)は、吹き出し温度情報と風量差情報を入力し、設定された温度特性と照合することにより、配風量増減による温度変化幅を決定し、この温度変化幅を温度補正代とするため、風量変化による乗員への到達温度の変化が精度良く抑えられ、乗員に与える体感温度を同じに保つことができる。
【0069】
(3) 前記エアミックスドアは、前記第1通路でのフロント冷風ドア10Rとフロント暖風ドア11Rと、前記第2通路でのフロント冷風ドア10Lとフロント暖風ドア11Lを有し、前記吹出風温度補正手段(ステップS409〜ステップS411)は、配風量を変更する通路での冷風ドアと暖風ドアによるドア開口総面積を維持したまま、冷風ドアと暖風ドアのドア開度割合を調整することで、温度補正代のみを変化させるため、吹出風温度補正による左右独立の配風量制御への配風量の変動影響を最初に抑えることができる。
【0070】
(4) 前記第1通路の各ケース吹き出し口の位置にそれぞれ第1ドア駆動手段を有する第1モードドアを設け、前記第2通路の各ケース吹き出し口の位置にそれぞれ第2ドア駆動手段を有する第2モードドアを設け、前記配風量制御手段(ステップS4)は、選択された吹出口モードでドア開とされる第1モードドアと第2モードドアを配風量制御ドアとして配風量を制御するため、左右独立の配風量制御の際、騒音の発生や部分凍結の発生を防止しながら、温度コントロール性を損なうことなく、モードドアを活用して2つの通路の配風量を増減要求に応えて独立に制御することができる。
【0071】
(5) 前記配風量制御手段(ステップS406〜ステップS408)は、配風量制御時、第1通路配風量と第2通路配風量の増減要求に応えて、前記第1モードドアと前記第2モードドアのうち一方のドア開度を制御するドア開度制御と、該ドア開度制御により発生する配風量増加分や配風量不足分を補償するための前記送風機による総風量制御と、の併用によって配風量制御を行うため、モードドア開度制御に伴う配風量変動影響が総風量制御により補償され、一方の配風量を維持したままで他方の配風量の増加要求や減少要求に応える左右独立の配風量制御を行うことができる。
【0072】
(6) 前記第1通路は、右側モードドアを介して車両の右側車室に向かって温調風を吹き出す右側通路21であり、前記第2通路は、左側モードドアを介して車両の左側車室に向かって温調風を吹き出す左側通路22であるため、左右車室の配風量を左右席の一方の乗員からの増減要求に応じ、最適に制御することができる。
【0073】
以上、本発明の車両用空気調和装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0074】
実施例1では、左右独立の配風量制御として、モードドア開度制御と総風量制御の併用による制御例を示したが、温調ドア開度制御と総風量制御の併用による制御としても良いし、従来技術に示したように、新たに設定した配風量制御用ドアによる制御としても、温調ドアのみのドア開度制御によるもの等、他の制御であっても良い。要するに、第1通路配風量と第2通路配風量のうち少なくとも一方の配風量を増減制御する場合、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正を行う吹出風温度補正手段を有するものであれば本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
実施例1では、車両用空気調和装置として、左右独立温調タイプの空調ユニットへの適用例を示したが、前後独立温調タイプの空調ユニットにも勿論適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1の左右独立温調タイプの空調ユニットA/U(車両用空気調和装置の一例)を示す縦断面図である。
【図2】実施例1の空調ユニットA/Uを示す横断平面図である。
【図3】図3は実施例1の空調ユニットA/Uにベントダクトとフットダクトを設定した状態での吹き出し温センサの設置位置を示す図である。
【図4】実施例1の空調ユニットA/Uにおける空調制御ブロック図である。
【図5】実施例1の空調コントロールユニット30により実行される制御処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は空調制御処理の流れを示し、(b)は左右独立の吹出風温度制御処理の流れを示す。
【図6】実施例1の空調コントロールユニット30により実行される左右独立の配風量制御処理(図5(a)のステップS4)の流れを示すフローチャートである。
【図7】冷房時の風量差による到達温度の変化を説明する図で、(a)は吹出口温度を一定値にしたときに風量を異ならせたときの温度特性を示し、(b)はベント吹き出し口から乗員の上半身に冷風が吹き付けられている状態を示す。
【図8】暖房時の風量差による到達温度の変化を説明する図で、(a)は吹出口温度を一定値にしたときに風量を異ならせたときの温度特性を示し、(b)はフット吹き出し口から乗員の足元に温風が吹き付けられている状態を示す。
【符号の説明】
【0077】
A/U 空調ユニット
1 空調ケース
2 エバポレータ(冷却用熱交換器)
3 ヒータコア(暖房用熱交換器)
4 デフドア
5R 右ベントドア(第1モードドア)
5L 左ベントドア(第2モードドア)
6R 右フットドア(第1モードドア)
6L 左フットドア(第2モードドア)
9R 右リアモードドア(第1モードドア)
9L 左リアモードドア(第2モードドア)
10R 右フロント冷風ドア(第1冷風ドア)
10L 左フロント冷風ドア(第2冷風ドア)
11R 右フロント暖風ドア
11L 左フロント暖風ドア
13 リアフット接続口
14 リアベント接続口
15 ブロワ接続口
16 内外気ドアアクチュエータ
17 インテークドア
18 ブロワモータ
19 ブロワユニット(送風機)
20 センター仕切り板(隔壁)
21 右側通路(第1通路)
22 左側通路(第2通路)
23 デフドアアクチュエータ
24R 右ベントドアアクチュエータ(第1ドア駆動手段)
24L 左ベントドアアクチュエータ(第2ドア駆動手段)
25R 右フットドアアクチュエータ(第1ドア駆動手段)
25L 左フットドアアクチュエータ(第2ドア駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ケース内に上流の送風機と下流のケース吹き出し口との間に、冷房用熱交換器、エアミックスドア、暖房用熱交換器、を配置し、前記空調ケース内を流れる送風通路を隔壁により第1通路と第2通路に画成し、第1通路吹出風温度と第2通路吹出風温度を独立に制御する吹出風温度制御手段と、第1通路配風量と第2通路配風量を制御する配風量制御手段と、を備えた車両用空気調和装置において、
前記配風量制御手段は、第1通路配風量と第2通路配風量のうち少なくとも一方の配風量を増減制御する場合、配風量増減制御の実行に伴って乗員が体感する体感温度の変化を抑えるように吹出風温度の補正を行う吹出風温度補正手段を有することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用空気調和装置において、
前記ケース吹き出し口に連通する車室吹き出し口の位置に吹き出し温センサを設けると共に、風量差をパラメータとし、車室吹き出し口から乗員までの距離を経過することで、車室吹き出し口温度から乗員到達温度への温度変化をあらわす温度特性を設定した温度特性設定手段を設け、
前記吹出風温度補正手段は、吹き出し温度情報と風量差情報を入力し、設定された温度特性と照合することにより、配風量増減による温度変化幅を決定し、この温度変化幅を温度補正代とすることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項3】
請求項2に記載された車両用空気調和装置において、
前記エアミックスドアは、前記第1通路での第1冷風ドアと第1暖風ドアと、前記第2通路での第2冷風ドアと第2暖風ドアを有し、
前記吹出風温度補正手段は、配風量を変更する通路での冷風ドアと暖風ドアによるドア開口総面積を維持したまま、冷風ドアと暖風ドアのドア開度割合を調整することで、温度補正代のみを変化させることを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された車両用空気調和装置において、
前記第1通路の各ケース吹き出し口の位置にそれぞれ第1ドア駆動手段を有する第1モードドアを設け、
前記第2通路の各ケース吹き出し口の位置にそれぞれ第2ドア駆動手段を有する第2モードドアを設け、
前記配風量制御手段は、選択された吹出口モードでドア開とされる第1モードドアと第2モードドアを配風量制御ドアとして配風量を制御することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項5】
請求項4に記載された車両用空気調和装置において、
前記配風量制御手段は、配風量制御時、第1通路配風量と第2通路配風量の増減要求に応えて、前記第1モードドアと前記第2モードドアのうち一方のドア開度を制御するドア開度制御と、該ドア開度制御により発生する配風量増加分や配風量不足分を補償するための前記送風機による総風量制御と、の併用によって配風量制御を行うことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された車両用空気調和装置において、
前記第1通路は、右側モードドアを介して車両の右側車室に向かって温調風を吹き出す右側通路であり、
前記第2通路は、左側モードドアを介して車両の左側車室に向かって温調風を吹き出す左側通路であることを特徴とする車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−254642(P2008−254642A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100591(P2007−100591)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】