説明

車両用給電装置

【課題】電力伝送効率を高く維持することのできる車両用給電装置を提供する。
【解決手段】この車両用給電装置は、系統電源10から送電コイル12への給電に基づきその共振周波数で振動する磁場を形成する。そして、送電コイル12が車両20に設けられている受電コイル21と磁気共鳴することで、系統電源10から送電コイル12に供給される電力を受電コイル21を介して車載バッテリ23に充電する。ここでは、第1及び第2のCCDカメラ14,15を用いて送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測するとともに、計測された各コイル12,21の間の距離に基づき周波数調整部30を通じて送電コイル12の共振周波数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴現象を利用して車載バッテリにワイヤレスで給電を行う車両用給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用給電装置は、電気自動車やハイブリッド車などの電動車両に搭載されているバッテリにワイヤレスで充電することのできる装置として、近年、注目されている。そして従来、この種の車両用給電装置としては、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。この特許文献1に記載の車両用給電装置では、地面に設置された送電コイルに高周波電力を供給することによってその共振周波数で振動する磁界を形成する。一方、電動車両には、送電コイルと同じ共振周波数を有する受電コイルが設けられている。すなわち、この給電装置では、送電コイルが設置されている場所にユーザが電動車両を停車させるなどして送電コイルの近傍に受電コイルが位置すると、送電コイルと受電コイルとが磁気共鳴により磁気的に結合して、送電コイルから受電コイルに電力が伝達される。そしてこの受電コイルに伝達された電力が車載バッテリに充電されることとなる。
【0003】
このような車両用給電装置によれば、車載バッテリを充電する際に、電動車両に送電ケーブルなどを接続する必要がなくなることから、ユーザの利便性が大きく向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような車両用給電装置にあっては、例えば車両の高さや車両の停車位置などによって、送電コイルと受電コイルとの間の距離が変化する。そして、これら各コイルの間の距離に変化が生じると、それらの共振周波数が予め定められた共振周波数からずれてしまい、電力伝送効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力伝送効率を高く維持することのできる車両用給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、交流電源から送電コイルへの給電に基づきその共振周波数で振動する磁場を形成し、前記送電コイルが車両に設けられている受電コイルと磁気共鳴することで、前記交流電源から前記送電コイルに供給される電力を前記受電コイルを介して車載バッテリに充電する車両用給電装置において、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を計測する距離計測手段と、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離に基づき前記送電コイルの共振周波数を調整する周波数調整手段とを備えることを要旨としている。
【0008】
同構成によれば、送電コイルと受電コイルとの間の距離がずれた場合であれ、それらの間の距離に基づいて、その都度送電コイルの共振周波数が調整されるため、電力伝送効率を高く維持することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用給電装置において、前記車両の外面には、前記受電コイルが設置されている位置に対応してマークが設けられ、前記距離計測手段は、前記マークの位置を検出するとともに、検出された前記マークの位置に基づいて前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を計測するものであることを要旨としている。
【0010】
同構成によれば、マークの位置を検出することで、車両における受電コイルの位置を正確に検出することができるため、送電コイルと受電コイルとの間の距離を高い精度で計測することができるようになる。したがって、送電コイルの共振周波数をより的確に調整することができ、ひいては電力伝送効率を高めることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用給電装置において、前記送電コイル及び受電コイルは、それぞれの中心軸が鉛直方向に平行となるように設けられるものであって、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離の計測が、それらの鉛直方向の距離及び水平方向の距離をそれぞれ計測することに基づいて行われ、前記周波数調整手段は、前記鉛直方向の距離及び水平方向の距離に基づき前記送電コイルの共振周波数を調整するものであることを要旨としている。
【0012】
送電コイル及び受電コイルのそれぞれの中心軸を鉛直方向に平行となるように設けた場合には、それらの鉛直方向の距離及び水平方向の距離が、各コイルの共振周波数を決定する上で重要なパラメータとなる。したがって、上記構成によるように、送電コイルと受電コイルとの間の鉛直方向の距離及び水平方向の距離をそれぞれ計測するとともに、計測されたそれぞれの距離に基づき送電コイルの共振周波数を調整することとすれば、各コイルの共振周波数を的確に設定することが可能となる。このため、電力伝送効率をより的確に維持することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる車両用給電装置によれば、電力伝送効率を高く維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる車両用給電装置の一実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】(a),(b)は、車両の底面及び側面をそれぞれ模式的に示す図。
【図3】同実施形態の車両用給電装置について送電コイルと受電コイルとの間の距離を計測する方法の一例を模式的に示す図。
【図4】同実施形態の車両用給電装置についてその周波数調整部の具体的な構成例を示すブロック図。
【図5】同実施形態の車両用給電装置による送電コイルの共振周波数を変更する処理の手順を示すフローチャート。
【図6】送電コイルと受電コイルとの間の水平方向の距離及びそれらの間の鉛直方向の距離から共振周波数を求めるためのマップ。
【図7】共振周波数から可変コイルのリアクタンス及び可変コンデンサの静電容量を求めるためのマップ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる車両用給電装置の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかる車両用給電装置のシステム構成をブロック図として示したものであり、はじめに、同図1参照して、この車両用給電装置の概要について説明する。なお、本実施形態では、給電を行う対象車両が、いわゆる電気自動車である場合について例示している。
【0016】
同図1に示されるように、この車両用給電装置には、交流電源としての系統電源10から供給される交流電力を高周波の電力に変換する高周波電力ドライバ11が設けられている。また、この高周波電力ドライバ11には、地面に設置された送電コイル12が接続されており、高周波電力ドライバ11で変換された高周波電力は送電コイル12に供給される。そして、送電コイル12に高周波の電力が供給されることによって、その共振周波数で振動する磁場が送電コイル12の周辺に形成される。ちなみに、送電コイル12は、その中心軸が鉛直方向と平行になるように設置されている。また、高周波電力ドライバ11から送電コイル12への給電は、不揮発性のメモリ13aなどを備える制御装置13によって制御されている。
【0017】
一方、車両20には、送電コイル12と同じ共振周波数を有する受電コイル21が設けられている。なお、この受電コイル21も、その中心軸が鉛直方向に平行となるように設置されている。また、受電コイル21には、整流器22を介して車載バッテリ23が接続されており、受電コイル21で発生した電力は、整流器22で整流された後、車載バッテリ23に充電される。また、この車両20には、車載バッテリ23に充電されている電力を交流電力に変換してモータ25に供給するインバータ24が設けられている。そして、この車両20では、インバータ24から供給される交流電力によってモータ25が駆動することで、その動力が得られるようになっている。
【0018】
このように構成された車両用給電装置にあって、送電コイル12が設置されている場所にユーザが車両20を停車させるなどして、送電コイル12に対向するかたちで受電コイル21が位置したとすると、同給電装置は次のように動作する。すなわち、送電コイル12及び受電コイル21が磁気共鳴により磁気的に結合し、送電コイル12から受電コイル21に電力を伝送することが可能となる。これにより、系統電源10から送電コイル12に供給される電力が受電コイル21を介して車載バッテリ23に充電されることとなる。
【0019】
ところで、このような車両用給電装置にあっては、前述のように、送電コイル12と受電コイル21との間の距離が、例えば車両20の高さやその停車位置によって変化する。そして、それらの間の距離が変化すると、各コイル12,21の共振周波数が予め定められた共振周波数からずれてしまい、電力伝送効率が低下するおそれがあることも前述の通りである。
【0020】
そこで本実施形態では、同図1に併せ示すように、車両20を撮像対象とする第1及び第2のCCDカメラ14,15を送電コイル12に併設するとともに、各カメラ14,15を通じて撮像される画像に基づいて、各コイル12,21の間の距離を計測するようにしている。具体的には、各コイル12,21のそれぞれの中心軸を鉛直方向に平行となるように設けた場合には、それらの間の鉛直方向の距離及び水平方向の距離が、各コイル12,21の共振周波数を決定する上で重要なパラメータとなる。このため、本実施形態では、各コイル12,21の間の鉛直方向の距離及び水平方向の距離を検出するようにしている。また、本実施形態では、送電コイル12の共振周波数を調整するための周波数調整部30を設けるようにしている。そして、各コイル12,21の間の水平方向の距離及び鉛直方向の距離に基づき、送電コイル12の共振周波数を周波数調整部30を通じて変更することで、電力伝送効率を高く維持する。以下、図2〜図7を参照して、その詳細を説明する。
【0021】
まず、図2及び図3を参照して、第1及び第2のCCDカメラ14,15を通じて撮像される画像に基づいて送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測する方法について説明する。図2(a),(b)は、車両20の底面及び側面をそれぞれ模式的に示したものである。
【0022】
同図2(a),(b)に示されるように、車両20の底面には、受電コイル21の中心軸上に位置するかたちでマーク27が設けられている。なお、図2(b)に示されるように、マーク27から受電コイル21の中心位置P2までの距離、換言すれば車両20の底面から受電コイル21の中心位置P2までの距離Lは予め設定された長さとなっている。
【0023】
一方、図3に示すように、上記第1及び第2のCCDカメラ14,15のそれぞれの撮像範囲は、車両20が送電コイル12の付近に位置している状況で上記マーク27が入るように調整されている。そして、上記第1及び第2のCCDカメラ14,15は、マーク27を含む車両20の底面の一部を撮像するとともに、その画像データを制御装置13にそれぞれ転送する。このとき、制御装置13は、各カメラ14,15から転送される画像データに基づいて、各カメラ14,15から見たマーク27の位置をそれぞれ取得した後、それらのマーク27の位置の差異に基づいてステレオ視によりマーク27の3次元位置を検出する。具体的には、同図に示されるように、送電コイル12の中心位置P1を原点とする3次元位置(x1,y1,z1)としてマーク27の位置が検出される。なお、図中のx軸方向及びy軸方向は、水平方向に平行な2軸の方向を、また、z軸方向は、鉛直方向に平行な方向を示している。そして制御装置13は、マーク27の3次元位置(x1,y1,z1)に基づいて、各コイル12,21の間の水平方向の距離及び鉛直方向の距離を次の(b1),(b2)に示すように算出する。
【0024】
(b1)「x1」の値の2乗及び「y1」の値の2乗をそれぞれ加算してその平方根を算出し、算出された値を各コイル12,21の間の水平方向の距離dとする。
(b2)「z1」の値に上記距離Lの値を加算し、その値を各コイル12,21の間の鉛直方向の距離hとする。
【0025】
このような構成によれば、マーク27の位置を検出することで、車両20における受電コイル21の位置を正確に検出することができるため、各コイル12,21の間の水平方向の距離d及び鉛直方向の距離hを高い精度で計測することができるようになる。
【0026】
次に、図4を参照して、上記周波数調整部30の構成について説明する。図4は、同周波数調整部30の基本構成を示したものである。
同図4に示されるように、この周波数調整部30は、基本的には、上記送電コイル12をインダクタンス(L)成分として、このコイル12にコンデンサ31が電気的に並列に接続されるLC並列共振回路を有している。そして、送電コイル12には、可変コイル32が電気的に直列に接続されるとともに、コンデンサ31には、可変コンデンサ33が電気的に並列に接続されている。すなわち、この周波数調整部30では、コイル12,32によるインダクタンス成分(Lo,Lv)、及びコンデンサ31,33におけるキャパシタンス成分(Co,Cv)により、送電コイル12の共振周波数が定められている。そして、制御装置13は、上記各コイル12,21の間の水平方向の距離d及び鉛直方向の距離hに基づいて上記可変コイル32のインダクタンスLv及び上記可変コンデンサ33の静電容量Cvを可変操作することで、送電コイル12の共振周波数を変更する。
【0027】
図5は、制御装置13を通じて実行される、送電コイル12の共振周波数frを変更する処理についてその手順をフローチャートとして示したものであり、次に、同図を参照して、この処理の手順を詳述する。なおこの処理は、例えば上記第1及び第2のCCDカメラ14,15から転送される画像データに基づいて送電コイル12の付近にマーク27が位置していることが検知されたときに実行される。
【0028】
同図5に示されるように、この処理では、はじめに、送電コイル12と受電コイル21との間の距離が計測される(ステップS1)。具体的には、前述のように、各カメラ14,15から転送される画像データに基づいて各カメラ14,15から見たマーク27の位置がそれぞれ取得された後、それぞれのマーク27の位置の差異に基づいてステレオ視によりマーク27の3次元位置が検出される。また、このマーク27の3次元位置に基づいて、各コイル12,21の間の水平方向の距離d及び鉛直方向の距離hがそれぞれ算出される。そして、このステップS1の処理に続いて、各コイル12,21の間の距離に基づいて共振周波数frがマップ演算される(ステップS2)。この処理では、具体的には、図6に示す第1のマップ、すなわち各コイル12,21の間の水平方向の距離d及び鉛直方向の距離hをパラメータとしてそれらから共振周波数frを求めるためのマップを用いて共振周波数frがマップ演算される。なお、各コイル12,21の間の水平方向の距離d、それらの間の鉛直方向の距離h、及び共振周波数frの関係は、最適な電力伝送効率を得ることができるように予め実験等により求められており、ここではそれらの関係を図6に例示する態様でマップ化している。なお、図6に例示したマップは、制御装置13に内蔵される不揮発性のメモリ13aに予め記憶されている。
【0029】
また、図5に示されるように、ステップS2の処理に続いて、演算された共振周波数frに基づいて可変コイル32のインダクタンスLv及び可変コンデンサ33の静電容量Cvがそれぞれ設定される(ステップS3)。この処理では、具体的には、図7に示す第2のマップ、すなわち共振周波数frをパラメータとして同共振周波数frから可変コイル32のインダクタンスLv及び可変コンデンサ33の静電容量Cvを求めるためのマップを用いて、それらの値が選定される。そして、選定した値に基づいて、可変コイル32のインダクタンスLv及び可変コンデンサ33の静電容量Cvがそれぞれ操作される。なお、共振周波数fr、可変コイル32のインダクタンスLv、及び可変コンデンサ33の静電容量Cvの関係は予め実験等により求められており、ここではそれらの関係を図7に示す態様でマップ化している。なお、図7に例示したマップも、制御装置13に内蔵される不揮発性のメモリ13aに記憶されている。
【0030】
そして、図5に示されるように、可変コイル32のインダクタンスLv及び可変コンデンサ33の静電容量Cvが設定された後(ステップS3)、上記高周波電力ドライバ11を通じて送電コイル12への給電を行う給電制御が実行されて(ステップS4)、制御装置13は、この一連の処理を終了する。
【0031】
車両用給電装置としてのこうした構成によれば、送電コイル12と受電コイル21との間の距離がずれた場合であれ、それらの間の距離に基づいて、その都度送電コイル12の共振周波数が適切に調整されるようになる。このため、電力伝送効率を高く維持することができるようになる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両用給電装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測するとともに、計測された距離に基づいて送電コイル12の共振周波数を調整するようにした。これにより、送電コイル12と受電コイル21との間の距離がずれた場合であれ、それらの間の距離に基づいて、その都度送電コイル12の共振周波数が調整されるため、電力伝送効率を高く維持することができるようになる。
【0033】
(2)車両20の底面には、受電コイル21の中心軸上に位置するかたちでマーク27を設けるようにした。そしてこのマーク27の位置に基づいて、送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測するようにした。これにより、各コイル12,21の間の距離を高い精度で計測することができるようになるため、送電コイルの共振周波数をより的確に調整することができ、ひいては電力伝送効率を高めることが可能となる。
【0034】
(3)送電コイル12と受電コイル21との間の水平方向の距離d及び鉛直方向の距離hに基づいて送電コイル12の共振周波数を調整するようにした。これにより、各コイル12,21の共振周波数を的確に設定することが可能となるため、電力伝送効率を的確に維持することができるようになる。
【0035】
(4)LC並列共振回路のインダクタンス(L)成分及びキャパシタンス(C)成分の変更を通じて送電コイル12の共振周波数を調整するようにした。これにより、送電コイル12の共振周波数を決定するパラメータ操作にかかる自由度が向上し、ひいては電力伝送効率の維持にかかる自由度も高められるようになる。
【0036】
(5)マーク27を撮像するための第1及び第2のCCDカメラ14,15を設けた上で、これらのカメラ14,15を通じて撮像される画像の差異からステレオ視によりマーク27の位置を検出するようにした。これにより、マーク27の位置を的確に検出することができるようになる。
【0037】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、本発明にかかる車両用給電装置を、車両の底部から給電を行う給電装置に適用したが、これに代えて、例えば車両の後部や側部から給電を行う給電装置に適用してもよい。なおこの場合、上記マーク27を車両の後部に設けるなど、マーク27の位置を適宜変更してもよい。
【0038】
・上記実施形態では、受電コイル21の中心軸上にマーク27を設けるようにしたが、その中心軸からずれた位置にマーク27を設けてもよい。要は、受電コイル21が設けられている位置に対応して車両の外面にマークが設けられるとともに、マークの位置に基づいて送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測するものであればよい。
【0039】
・上記実施形態では、マーク27を撮像するための撮像装置として、CCDカメラ14,15を利用したが、これに代えて、例えば赤外線カメラなどを利用してもよい。
・上記実施形態では、送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測するための距離計測手段として、第1及び第2のCCDカメラ14,15を用いるようにしたが、これに代えて、例えばレーザや超音波装置などを用いてもよい。要は、送電コイル12と受電コイル21との間の距離を計測することができるものであればよい。
【0040】
・上記実施形態では、周波数調整手段としての周波数調整部30に、可変コイル32及び可変コンデンサ33をそれぞれ設けるようにしたが、これに代えて、例えば可変コイル32のみを設けるようにしてもよい。すなわちこの場合には、LC並列共振回路のインダクタンス(L)成分のみの変更を通じて送電コイル12の共振周波数を変更する。また、周波数調整部30に可変コンデンサ33のみを設けるようにしてもよい。すなわちこの場合には、LC並列共振回路のキャパシタンス(C)成分のみの変更を通じて送電コイル12の共振周波数を変更する。
【0041】
・上記実施形態では、送電コイル12と受電コイル21との間の水平方向の距離及び鉛直方向の距離に基づいて送電コイル12の共振周波数を変更するようにした。これに代えて、例えば各コイル12,21の間の水平方向のずれがほとんど生じない場合では、それらの間の鉛直方向の距離のみに基づいて送電コイル12の共振周波数を変更してもよい。また、各コイル12,21の間の鉛直方向のずれがほとんど生じない場合では、それらの間の水平方向の距離のみに基づいて送電コイル12の共振周波数を変更してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、本発明にかかる車両用給電装置を、電気自動車に給電を行う給電装置に適用したが、これに代えて、例えばハイブリッド車や、外部から電力供給されて充電される機能を有するプラグインハイブリッド車など、適宜の電動車両に給電を行う給電装置に適用してもよい。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0043】
(イ)請求項2に記載の車両用給電装置において、前記マークは、前記受電コイルの中心軸上に設けられてなることを特徴とする車両用給電装置。同構成によるように、受電コイルの中心軸上にマークを設けることとすれば、受電コイルの位置を容易に検出することが可能となり、ひいては送電コイルと受電コイルとの間の距離を容易に計測することができるようになる。
【0044】
(ロ)請求項1〜3、及び付記イのいずれか一項に記載の車両用給電装置において、前記共振周波数が、前記送電コイルをインダクタンス(L)成分とするLC並列共振回路の回路定数を通じて決定され、前記周波数調整手段は、前記LC並列共振回路のインダクタンス(L)成分及びキャパシタンス(C)成分の少なくとも一方の変更を通じて前記送電コイルの共振周波数を調整するものであることを特徴とする車両用給電装置。同構成によるように、周波数調整手段による送電コイルの共振周波数調整方法として、
(a1)LC並列共振回路のインダクタンス(L)成分のみを変更する。
(a2)LC並列共振回路のキャパシタンス(C)成分のみを変更する。
(a3)LC並列共振回路のインダクタンス(L)成分及びキャパシタンス(C)成分の両者を変更する。
といった方法が自由に選択可能となることで、送電コイルの共振周波数を決定するパラメータ操作にかかる自由度が向上し、ひいては電力伝送効率の維持にかかる自由度も高められるようになる。
【0045】
(ハ)請求項2又は付記イに記載の車両用給電装置において、前記距離計測手段は、前記マークを撮像するための複数の撮像装置を有するとともに、同複数の撮像装置を通じて撮像される画像の差異からステレオ視により前記マークの位置を検出するものであることを特徴とする車両用給電装置。同構成によるように、複数の撮像装置を通じて撮像される画像の差異からステレオ視によりマークの位置を検出することとすれば、マークの位置を的確に検出することができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
10…系統電源、11…高周波電力ドライバ、12…送電コイル、13…制御装置、13a…メモリ、14…第1のCCDカメラ、15…第2のCCDカメラ、20…車両、21…受電コイル、22…整流器、23…車載バッテリ、24…インバータ、25…モータ、27…マーク、30…周波数調整部、31…コンデンサ、32…可変コイル、33…可変コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から送電コイルへの給電に基づきその共振周波数で振動する磁場を形成し、前記送電コイルが車両に設けられている受電コイルと磁気共鳴することで、前記交流電源から前記送電コイルに供給される電力を前記受電コイルを介して車載バッテリに充電する車両用給電装置において、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を計測する距離計測手段と、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離に基づき前記送電コイルの共振周波数を調整する周波数調整手段とを備える
ことを特徴とする車両用給電装置。
【請求項2】
前記車両の外面には、前記受電コイルが設置されている位置に対応してマークが設けられ、前記距離計測手段は、前記マークの位置を検出するとともに、検出された前記マークの位置に基づいて前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離を計測するものである
請求項1に記載の車両用給電装置。
【請求項3】
前記送電コイル及び受電コイルは、それぞれの中心軸が鉛直方向に平行となるように設けられるものであって、前記送電コイルと前記受電コイルとの間の距離の計測が、それらの鉛直方向の距離及び水平方向の距離をそれぞれ計測することに基づいて行われ、前記周波数調整手段は、前記鉛直方向の距離及び水平方向の距離に基づき前記送電コイルの共振周波数を調整するものである
請求項1又は2に記載の車両用給電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−259585(P2011−259585A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131055(P2010−131055)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】