車両用衝撃吸収構造体
【課題】車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体の提供を課題とする。
【解決手段】車体パネル10と該車体パネル10よりも車室SP1側の内装部材20との間に設置される車両用衝撃吸収構造体30に、車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所L1に取り付けるための変形可能な不織布シート40と、衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材50とを設ける。複数の衝撃吸収部材50は、不織布シート40の少なくとも一つの面に対して間隔を空けて配列されて固定されている。
【解決手段】車体パネル10と該車体パネル10よりも車室SP1側の内装部材20との間に設置される車両用衝撃吸収構造体30に、車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所L1に取り付けるための変形可能な不織布シート40と、衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材50とを設ける。複数の衝撃吸収部材50は、不織布シート40の少なくとも一つの面に対して間隔を空けて配列されて固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネルと内装部材との間に設置される車両用衝撃吸収構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体パネルの車室側では、内装部材が車体パネルを覆って車室を装飾している。内装部材には、天井部内装材、ピラーガーニッシュ内装材、ドアトリム内装材、等の内装部品がある。これらの内装部材のうち衝突事故の際に乗員が接触する可能性が高い部位には、裏面(車外側の面)に衝撃を吸収可能な部材が取り付けられる。
【0003】
上述した技術の一つとして、特許文献1には、合成樹脂発泡体からなる上部と下部の径が異なる筒状体を同一方向、一定間隔で多数配置し、継ぎ合わせた緩衝体を設け、この緩衝体を中空部の軸芯方向を車体の内外方向に向けて配置した衝撃吸収装置が記載されている。
特許文献2には、筒状の衝撃吸収体である中空体を複数個、相互に連結したクラスターを形成し、該クラスターから延出した可撓性のハーフブリッジを他のクラスターから延出したハーフブリッジに嵌合させることによって、相互に結合、および、分離可能とした、衝撃吸収構造体が記載されている。前記ハーフブリッジには小さな突起および小さな開孔が形成されており、前記突起と前記開孔とが嵌め合わされるとクラスターどうしが連結される。
特許文献3には、樹脂成形材料を用いて成形された可撓性を有する板状部材に樹脂成形材料を用いて成形されたカップ状の衝撃吸収部材を複数配列させて固定した車両用衝撃吸収構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−150692号公報
【特許文献2】欧州特許第1544051号明細書
【特許文献3】特開2008−87669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体パネルと内装部材との間の設置箇所は、凹凸があることがある。従って、車両用衝撃吸収構造体を設置箇所に固定する際に容易に設置箇所の形状に追従させて固定することができると、好適である。
【0006】
以上を鑑み、本発明は、車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、車体パネルと該車体パネルよりも車室側の内装部材との間に設置される車両用衝撃吸収構造体であって、前記車体パネルと前記内装部材との間の設置箇所に取り付けるための変形可能な不織布シートと、衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材とを備え、該複数の衝撃吸収部材が前記不織布シートの少なくとも一つの面に対して間隔を空けて配列されて固定されていることを特徴とする。
上記不織布シートは、設置箇所の形状に合わせて変形可能である。従って、車両用衝撃吸収構造体を設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる。
【0008】
ここで、上記不織布は、JIS L0222:2001(不織布用語)に定義されるように、繊維シート、ウェブ又はバットで、繊維が一方向又はランダムに配向しており、交絡、及び/又は融着、及び/又は接着によって繊維間が結合されたものであり、紙、織物、編物、タフト及び縮じゅうフェルトが除かれるものである。
上記不織布シートは、変形可能であれば、全体的に平らな形状でもよいし、全体的に曲がった形状でもよいし、凹凸が形成された形状でもよい。上記衝撃吸収部材は、不織布シートの一つの面にのみ固定されてよいし、不織布シートの表裏両面に固定されてもよく、いずれの場合も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体を提供することができる。
請求項2に係る発明では、アンカー効果によって不織布シートから衝撃吸収部材が剥離され難くなる。
請求項3に係る発明では、衝撃吸収部材の凹部に他の衝撃吸収構造体の衝撃吸収部材の凸部を挿入して衝撃吸収構造体を積み重ねることができるので、輸送効率を向上させることができる。
請求項4に係る発明では、不織布シートを設置箇所に固定すると衝撃吸収部材の被固定部が不織布シートと設置箇所とで挟まれるので、衝撃吸収部材の凸方向とは異なる方向から衝撃が加わっても衝撃吸収部材が横倒れし難くなり、衝撃吸収性能の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】自動車AU1の要部を前後方向D1と平行な垂直断面にて例示する要部断面図である。
【図2】衝撃吸収構造体30を車体パネル10と内装部材20との間に配置した状態を例示する要部断面図である。
【図3】衝撃吸収構造体30を車体パネル10と内装部材20との間に配置した状態を例示する要部断面図である。
【図4】衝撃吸収構造体30の外観を例示する斜視図である。
【図5】図4に示す衝撃吸収構造体30を同図のA1−A1の位置で断面視して示す要部垂直断面図である。
【図6】図4に示す衝撃吸収構造体30を同図のA2−A2の位置で断面視して示す要部垂直断面図である。
【図7】衝撃吸収部材50を例示する斜視図である。
【図8】図4に示す衝撃吸収構造体30を分解して示す分解斜視図である。
【図9】変形例の衝撃吸収構造体30を断面視して示す要部垂直断面図である。
【図10】不織布シート40に固定する衝撃吸収部材50の数を変える様子を例示する要部斜視図である。
【図11】積み重ねた衝撃吸収構造体30を例示する要部垂直断面図である。
【図12】変形例に係る衝撃吸収構造体30の外観を示す斜視図である。
【図13】図12に示す衝撃吸収構造体30を分解して示す分解斜視図である。
【図14】衝撃試験方法を模式的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)衝撃吸収構造体の構成:
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用衝撃吸収構造体30を採用した路上走行自動車AU1の要部を前後方向D1と平行な垂直断面にて示している。図1に示す乗用自動車AU1では、車体パネル10が車室SP1を囲んで車体を形成している。車体パネル10の車室側には、各種内装部材20が設置されている。本実施形態の衝撃吸収構造体30は、車体パネル10と内装部材20との間に設置されている。
【0012】
車体パネル10は、例えば金属製とされ、車体の天井部を形成するルーフパネル11、ルーフパネルを支えるピラー、ドアを形成するドアパネル、車体の床部を形成するフロアパネル、等から構成される。内装部材20は、ルーフパネル11の車室側に設けられるルーフライナ内装材21、ピラーの車室側に設けられるピラーガーニッシュ内装材22、ドアパネルの車室側に設けられるドアトリム内装材23、等から構成される。これらの内装部材20と車体パネル10との間に形成された隙間SP2に衝撃吸収構造体30が配置される。車体パネルと内装部材との間隔L1は例えば15〜40mm程度とされ、衝撃吸収構造体の厚み(衝撃吸収部材50の高さh1)はL1以下とされる。
【0013】
内装部材20は、通常、内装基材の車室側の面に表皮材が積層されて一体成形により形成される。内装基材には、熱可塑性樹脂等の樹脂成形材料をプレス成形等により成形したもの、樹脂成形材料を発泡させて成形したもの、発泡させた樹脂にバインダを含浸ないし塗布して成形したもの、熱可塑性樹脂繊維等の繊維を集合させて成形したもの、等が用いられる。表皮材には、不織布、織物、編物、等が用いられる。
【0014】
図2〜8に示すように、衝撃吸収構造体30は、車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所LO1に取り付けるための変形可能な不織布シート40と、衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材50とを備えている。複数の衝撃吸収部材50は、不織布シート40の少なくとも一つの面(凸部側面40a)に対して間隔を空けて配列されて固定されている。本実施形態の衝撃吸収部材50は、略円錐台状(カップ状)に形成され、不織布シート40側が凹部51とされ、不織布シート40とは反対側が凸部52とされている。
【0015】
図2,3は、自動車のルーフパネル11とルーフライナ内装材21との間に設置された衝撃吸収構造体30を乗員99とともに模式的に示す要部垂直断面図である。図2に示す衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材の凸部52がルーフパネル11に向けられて不織布シート40がルーフライナ内装材21の裏面20a(設置箇所LO1)に取り付けられて固定されている。例えば、不織布シート40において衝撃吸収部材の凸部52とは反対側となる凹部側面40bに接着剤を塗布して凹部側面40bをルーフライナ内装材21に貼り付けることにより、衝撃吸収構造体30がルーフライナ内装材21に固定される。
衝撃吸収構造体30は、車体パネル10と内装部材20との間に設置されればよいため、図3に示すように、不織布シート40がルーフパネル11の車室側面10aに取り付けられて固定されてもよい。
【0016】
不織布シート40を形成する繊維には、熱可塑性の樹脂材料といった合成樹脂の繊維等を用いることができ、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、等、通常用いられる種々の材料を用いることができる。
【0017】
不織布シート40の製造には、シート状のフリース(fleece)の形成から繊維の結合まで通常用いられる種々の方法を用いることができる。ここで、フリースは、薄いシート状の繊維群を意味する。不織布シートを構成する繊維が長いと、不織布シートに衝撃吸収部材を接着又は溶着したときにアンカー効果によって不織布シートから衝撃吸収部材が剥離され難くなるので好ましい。従って、フリースの形成には、熱可塑性の樹脂材料を溶融させて長繊維状に押し出してシート状に成形するスパンボンド法等を用いるのが好ましい。
【0018】
また、不織布シート40がフリースに対して起毛加工を行って得られるシートとされると、不織布シートに衝撃吸収部材を接着又は溶着したときにアンカー効果によって不織布シートから衝撃吸収部材が剥離され難くなるので好ましい。従って、フリースの繊維の結合には、返しのある針を突き刺して機械的に繊維を結合させるニードルパンチ法等(起毛加工)を用いるのが好ましい。熱圧着エンボス加工無しにニードルパンチ法等により表面を毛羽立たせた起毛タイプの不織布シートとすると、衝撃吸収部材50の固定箇所の剥離強度がアンカー効果によって増し、設置時や衝撃入力時の衝撃吸収部材の破損や脱落が抑制されて衝撃吸収性能が向上する。
【0019】
変形可能な不織布シート40は、車体パネルと内装部材との間の設置箇所LO1の形状に追従可能とされる。これにより、内装部材や車体パネルが屈曲した形状であっても、衝撃吸収構造体30を内装部材や車体パネルに取り付ける際に可撓性の基材をこれらの形状に追従させることができるので、衝撃吸収構造体を設置する作業が行いやすくなる。
不織布シート40の形状は、両面40a,40bが全体的に平らな面とされた形状でもよいし、両面が全体的に曲がった面とされた形状でもよい。また、シート状基材の表裏両面は、凹凸の無い平坦面や曲面でもよいし、平坦面や曲面に凹凸が形成されていてもよい。
【0020】
不織布シート40の厚みは、例えば、0.16〜1.2mm、より好ましくは0.2〜1.1mmとすることができる。不織布シートの厚みを前記下限以上にすると、不織布シートを設置箇所に配置したりホットメルト等で接着したりする時に不織布シートの皺や破れの発生を少なくすることができる。一方、厚みを前記上限以下とすると、不織布シートを自動車天井等の設置箇所に配置する際に設置箇所の形状に十分に追従させることができ、ホットメルト等で接着する際に長時間のプレス保持をしなくても不織布シートの端末部の浮きや剥がれを少なくすることができる。
【0021】
不織布シート40の縦方向引張強さは、例えば、100〜700N/5cm、より好ましくは200〜500N/5cmとすることができる。ここで、縦方向引張強さは、JIS L1906:2000(一般長繊維不織布試験方法)に規定される標準時の不織布のたて方向の引張強さとする。縦方向引張強さを前記下限以上にすると、不織布シートを設置箇所に配置したりホットメルト等で接着したりする時に不織布シートの皺や破れの発生を少なくすることができる。一方、縦方向引張強さを前記上限以下にすると、不織布シートを自動車天井等の設置箇所に配置する際に設置箇所の形状に十分に追従させることができ、ホットメルト等で接着する際に長時間のプレス保持をしなくても不織布シートの端末部の浮きや剥がれを少なくすることができる。
【0022】
不織布シート40の縦方向ペンジュラム引裂強さは、例えば、3〜150N、より好ましくは4〜120Nとすることができる。ここで、ペンジュラム引裂強さは、JIS L1906:2000に規定されるペンジュラム法の引裂強さとする。ペンジュラム引裂強さを前記下限以上にすると、不織布シートを設置箇所に配置したりホットメルト等で接着したりする時に不織布シートの皺や破れの発生を少なくすることができる。一方、ペンジュラム引裂強さを前記上限以下にすると、不織布シートを自動車天井等の設置箇所に配置する際に設置箇所の形状に十分に追従させることができ、ホットメルト等で接着する際に長時間のプレス保持をしなくても不織布シートの端末部の浮きや剥がれを少なくすることができる。
【0023】
また、不織布シート40には、固定する衝撃吸収部材50の凹部51の位置に合わせて衝撃吸収部材50の凸部52を挿入可能な複数の開口(凸部挿入用穴)41が形成されている。本実施形態の開口41は、衝撃吸収部材50の開口部51aよりも広い円形の打ち抜き穴とされている。従って、開口41は、衝撃吸収部材の凸部52を貫通させることが可能である。
なお、開口41の形状は、円形以外にも、楕円形、三角形、四角形など、様々な形状とすることができる。また、各開口41は、同形状とされる以外にも、大きさや形状の異なる複数種類の組み合わせで構成されてもよい。
【0024】
本実施形態の各開口41は、固定後の衝撃吸収部材50どうしの間隔を空けさせる位置で等間隔に配列されている。むろん、各開口は、非等間隔など様々な間隔で配列されてもよい。開口41の外径(半径r1;図5参照)は、衝撃吸収部材50の開口部51aの大きさ等に応じて設定すればよく、例えば3.0〜10.0mm程度とすることができる。
【0025】
本実施形態の衝撃吸収部材50は、図11に示すように凹部51内に凸部52の一部が挿入可能とされ、積み重ね可能な形状に形成されている。図4〜6に示すように、衝撃吸収部材50は、凹部51側が不織布シート40に固定されている。
【0026】
衝撃吸収部材50を形成する材料は、衝撃を吸収する材料であればよく、樹脂成形材料、ゴム、金属、等を用いることができる。衝撃吸収部材50は、発泡させた材質でもよいが、衝撃を適度に吸収する観点から樹脂成形材料を発泡させることなく成形した樹脂成形品が好ましい。樹脂成形材料を構成する樹脂には、合成樹脂が好ましく、衝撃吸収部材に適度な衝撃吸収性を付与する観点から熱可塑性樹脂が特に好ましいが、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。熱可塑性樹脂には、特に好適な衝撃吸収性を衝撃吸収部材に付与する観点から、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂等が好ましい。樹脂成形材料には、充てん材等の添加剤が添加されてもよい。添加剤の配合比は、樹脂の性質を十分に発揮させる観点から、例えば樹脂の重量比以下の重量比とされる。樹脂成形材料の成形には、射出成形、プレス成形、押出成形、等を用いることができる。
【0027】
図4〜7に示すように、各衝撃吸収部材50は、開口部51aの大きさと該開口部とは反対側の上底部(狭径側の面)52bの大きさとが異なる略円錐台状部材(カップ状部材)とされ、上底部52bを除いて内部に中空部HO1を有する筒状に形成されている。本衝撃吸収部材50は、断面円形の筒状とされ、開口部51aの内径(半径r2)が上底部の内径(半径r3)よりも大きくされ、開口部51aから上底部52bに向けて徐々に内径が小さくなるように延出して上底部52bに繋がる側面部52aを有している。衝撃吸収部材50に中空部HO1があるので、車室SP1と車外とを結ぶ方向に衝撃が入力されたときに衝撃吸収部材50が潰れてその衝撃が吸収される。
【0028】
側面部52aには、衝撃入力時に割れを誘起させる複数のスリット(線状の誘起部位)53が広径側の縁部52fから狭径側の縁部52eへ向かう途中まで形成されている。図4〜7における衝撃吸収部材の側面部52aには180°反対側となる2箇所にスリット53が形成されていることが示されている。衝撃吸収構造体30に衝撃が入力されるとき、複数の衝撃吸収部材50は変位の初期で荷重(反力)を発生させた後にスリット53によって割れる傾向がある。衝撃入力時に複数の衝撃吸収部材50が割れると、変位初期の荷重を発生させた後の荷重が小さくなる。これにより、衝撃発生時に乗員が内装部材に複数の箇所で当たるような場合に衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0029】
本実施形態の衝撃吸収部材50は、凹部51の縁部がフランジ部54とされ、このフランジ部54から外方へ出た被固定部55が複数形成されている。図7には、フランジ部54から90°間隔で4本の被固定部55が突出していることが示されている。図8に示すように、衝撃吸収部材50は、凸部52が不織布シート40の穴41を貫通した状態で被固定部55における凸部52側の部分55aが不織布シート40に固定される。不織布シート40に対する衝撃吸収部材50の固定は、被固定部の凸部側部分55aを接着剤によって不織布シート40の凹部側面40bに接着したり、被固定部の凸部側部分55aを超音波溶着等によって不織布シートの凹部側面40bに溶着したりすることにより行うことができる。
【0030】
衝撃吸収部材50の高さh1は、車体パネルと内装部材との間隔L1に応じて設定すればよく、例えば10.0〜30.0mm程度とすることができる。衝撃吸収部材を断面円形とする場合、開口部の内径r2は例えば3.0〜10.0mm程度とすることができ、上底部の内径r3は例えば2.0〜8.0mm程度とすることができる。また、中空部HO1を有する衝撃吸収部材の肉厚は、例えば、0.5〜2.0mm程度とすることができる。
【0031】
衝撃吸収部材50の形状は、円錐台状以外の楕円錐台状や角錐台状といった錐台状(カップ状)等でもよく、断面三角形の筒状、断面四角形の筒状、底部を開口させた筒状など、様々な形状とすることができる。各衝撃吸収部材50は、要求される衝撃吸収性能を持たせるため、同形状とされる以外にも、大きさや形状の異なる複数種類の組み合わせで構成されてもよい。
また、不織布シートの開口41の全てに合わせて衝撃吸収部材50を不織布シート40に組み付けるのみならず、一部の開口41に合わせた位置に衝撃吸収部材50を組み付けずに衝撃吸収部材50を不織布シート40に組み付けてもよい。これにより、衝撃吸収構造体30の配置の自由度が高められ、種々の衝撃を適切に吸収することが可能になる。例えば、開口41に合わせた位置に対して衝撃吸収部材50を不織布シート40に対して選択的に組み付けることによって、衝撃吸収部材50どうしの間隔を自由に調節することができる。
【0032】
本衝撃吸収構造体30は、不織布シート40と複数の衝撃吸収部材50とを個別に形成し、両者を接着や溶着といった後工程で組み付けることにより形成される。これにより、不織布シート40と衝撃吸収部材50の成形型を作製した後、衝撃吸収試験を行った結果、性能不足等による衝撃吸収部材50の数、配置、等を修正することになっても、不織布シート40に対する衝撃吸収部材50の配置を変えるだけでよく、成形型を作り直す必要が無い。従って、不織布シート40上の衝撃吸収部材50の配置を変える際に成形型の作製時間や作製コストが不要になり、その結果、衝撃吸収構造体30の製造工数や製造コストを低減させることが可能になる。むろん、クラスターの小さな突起と小さな開孔とを嵌め合わせるような、手間のかかる作業は不要である。従って、車体パネル10と内装部材20との間の限られたスペースに衝撃吸収構造体30を設置する作業が軽減される。
【0033】
上述した不織布シート40と複数の衝撃吸収部材50のみから本発明の衝撃吸収構造体30を構成することができるが、図9に示す衝撃吸収構造体31のように、不織布シート40において衝撃吸収部材の凸部52とは反対側の凹部側面40bに粘着層48が形成されてもよい。粘着層48は、例えば、不織布シートの凹部側面40bに両面テープを貼り付けて離型紙を剥がしたり、凹部側面40bに接着剤を塗布したり、接着剤が塗布された樹脂シートを凹部側面40bに積層したりすることにより、形成される。すると、粘着層48を車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所LO1に付着させるだけで本衝撃吸収構造体30が車体パネル10と内装部材20との間に設置されるので、衝撃吸収構造体を固定する作業が軽減される。
【0034】
本衝撃吸収構造体30を製造するには、例えば、以下のようにすればよい。
不織布シート40や衝撃吸収部材50は、種々の公知技術を用いて形成可能である。不織布シート40については、例えば、上述したスパンボンド法及びニードルパンチ法により形成することができる。衝撃吸収部材50については、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性の樹脂成形材料の粒状原反を加熱機付き射出成形機に供給し、原反を加熱機にて加熱して溶融させ、衝撃吸収部材の形状とされた所定の金型内に溶融状態の樹脂成形材料を射出して成形し、同金型を冷却して樹脂を固化させることにより、形成することができる。
【0035】
別々に不織布シート40と衝撃吸収部材50を形成した後、不織布シート40の開口41の周囲に各衝撃吸収部材の被固定部55を接着剤で接着したり超音波溶着等の溶着を行ったりして衝撃吸収部材50を不織布シート40に固定すればよい。ここで、各衝撃吸収部材の凸部52を挿入可能な凹みを有する型を用意し、該凹みを上に向けた型の各凹みに凹部側面40bを上に向けた不織布シート40の各開口41の位置を合わせて型に不織布シート40を載置し、各衝撃吸収部材の凸部52を不織布シートの開口41及び型の凹みに挿入すれば、複数の衝撃吸収部材50をまとめて不織布シート40に接着又は溶着することができる。
【0036】
そして、複数の衝撃吸収部材50を固定した不織布シートの凹部側面40bに接着剤を塗布したり予め粘着層48を形成したりする等して車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所LO1に貼り付けて固定すると、図2,3に示すように本衝撃吸収構造体30が車体パネル10と内装部材20との間に設置される。
【0037】
(2)衝撃吸収構造体の作用、効果:
以下、本衝撃吸収構造体30の作用、効果を説明する。
衝撃吸収構造体30を構成する不織布シート40は、設置箇所LO1の形状に合わせて変形可能である。一方、不織布シート40は、紙のように破れ易いということは無い。従って、本衝撃吸収構造体30は、設置箇所LO1の形状に追従させて固定するのが容易である。その結果、衝撃吸収構造体を接着等により設置箇所に取り付けて固定する際の時間を短縮することができ、衝撃吸収構造体の端末部の浮きや剥がれを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材50が積み重ね可能な形状に形成され、衝撃吸収部材の凹部51の位置に合わせて不織布シート40に衝撃吸収部材の凸部52を挿入可能な開口41が形成されている。これにより、図11に示すように衝撃吸収部材50の凹部51に他の衝撃吸収構造体30の衝撃吸収部材50の凸部52を挿入して衝撃吸収構造体30を積み重ねることができるので、荷姿がよくなり、輸送効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、本実施形態の衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材の凸部52が不織布シートの開口41を貫通した状態で衝撃吸収部材の被固定部55における凸部52側の部分55aが不織布シート40に固定されている。これにより、図5に示すように不織布シート40を設置箇所LO1に固定すると衝撃吸収部材50の被固定部55が不織布シート40と設置箇所LO1とで挟まれる。従って、衝撃吸収部材50の凸方向とは異なる方向から衝撃が加わっても衝撃吸収部材50が横倒れし難くなり、衝撃吸収部材50の脱落も抑制され、衝撃吸収性能の安定性を向上させることができる。
【0040】
なお、図10に示すように、本衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材50の配置を容易に変更することができる。図10の上段の衝撃吸収構造体30aでは、不織布シートの凸部側面40a全体に開口41が略均一な密度で形成され、不織布シート40の周縁部に衝撃吸収部材50が比較的高密度で配置され、該周縁部よりも内側で衝撃吸収部材50が比較的低密度で配置されていることが示されている。
ここで、不織布シート40の周縁部よりも内側のある領域R1で衝撃吸収エネルギーを多くさせる設計変更が衝撃吸収構造体に求められたとする。この場合、図10の下段に示すように、領域R1内の開口41zの位置に合わせて新たな衝撃吸収部材50zを不織布シート40に固定させるだけで、領域R1での衝撃吸収エネルギーを多くさせることができる。その際、衝撃吸収構造体用の新たな成形型を作製する必要が無い。一方、図10の下段に示す衝撃吸収構造体30bについて領域R1の衝撃吸収エネルギー量を大きくする必要が無い場合には、図10の上段に示すように、領域R1内の衝撃吸収部材を一部あるいは全部外してもよい。すると、衝撃吸収構造体用の新たな成形型が不要であるとともに、衝撃吸収構造体に必要な衝撃吸収部材の数を減らすことができ、部材のコストを低減させ、衝撃吸収構造体を形成する作業コストを低減させることができる。
なお、互いに形状や大きさの異なる複数種類の衝撃吸収部材を用意しておけば、設計変更の際に衝撃吸収部材の種類を変更するだけで衝撃吸収性能を調整することができる。
【0041】
以上のことから、車種によって設置スペースや要求される衝撃吸収性能が異なっても、予め複数種類の衝撃吸収部材50を作製しておけば、不織布シート40に固定する衝撃吸収部材50の種類や組み合わせや配置を変えることにより、車種に応じて適切な車両用衝撃吸収構造体30を容易に作製することが可能となる。その際、衝撃吸収構造体用の成形型の修正や新規の型作製を行う必要は無い。また、不織布シート40に固定する衝撃吸収部材50どうしの間隔を容易に変更可能となるため、衝撃吸収部材50の配置の自由度が高められる。その際、新たな成形型を作製する必要が無いので、不織布シート40に対する衝撃吸収部材50の配置を変える際に成形型の作製時間や作製コストが不要になる。
【0042】
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
車体パネルが比較的車外側のアウターパネルと比較的車内側のインナーパネルとから構成される場合、このインナーパネルと内装部材との間に本発明の衝撃吸収構造体を設置してもよい。
衝撃吸収部材は、不織布シートの裏面と表面の両方に固定されてもよいし、表面にのみ固定されてもよい。
また、衝撃吸収部材は、側面部52aにスリット53が形成されていなくてもよい。
さらに、衝撃吸収部材の被固定部55は、不織布シート40と設置箇所LO1とで挟まれないことになるものの、不織布シートの凸部側面40aに固定されてもよい。
さらに、衝撃吸収部材は、突出した被固定部55が形成されていなくてもよく、フランジ部54が不織布シート40に固定されてもよいし、開口部51aの周縁部が不織布シート40に固定されてもよい。
【0043】
さらに、不織布シートの開口41は、衝撃吸収部材の上底部52bを通す一方で広径側の縁部52fを通さない大きさとされても、衝撃吸収部材の凸部52の一部を挿入可能であり、衝撃吸収構造体30を積み重ね可能とする。
さらに、衝撃吸収部材が積み重ね不能な形状とされたり、不織布シートに開口41が設けられなかったりしても、衝撃吸収構造体は設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる作用、効果を奏する。
さらに、シート状のフリースに対してニードルパンチ等の起毛加工が行われていない不織布シートが用いられても、衝撃吸収構造体は設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる作用、効果を奏する。むろん、スパンボンド法以外の方法で得られるフリースの繊維を結合した不織布シートが用いられても、衝撃吸収構造体は設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる作用、効果を奏する。
【0044】
図12,13は、変形例に係る衝撃吸収構造体32を示している。本変形例の不織布シート40には、固定する衝撃吸収部材50の凹部(51)の位置に合わせて衝撃吸収部材の凸部52を挿入可能な米字状のスリット(凸部挿入用穴)42が形成されている。図示のスリット42は中心から放射状に8方向へ向かう切れ込みで形成されているが、凸部52を挿入可能とするスリットは、中心から放射状に4方向へ向かう切れ込みで形成される十字状スリット等でもよい。
本変形例では、衝撃吸収部材の被固定部55が不織布シート40の凸部側面40aに固定される。むろん、本変形例でも、凸部52が不織布シートのスリット42を貫通した状態で被固定部55における凸部52側の部分55aが不織布シート40の凹部側面(40b)に固定された衝撃吸収構造体とすることが可能である。
【0045】
本変形例でも、衝撃吸収部材の凹部51に他の衝撃吸収構造体30の衝撃吸収部材の凸部52を挿入して衝撃吸収構造体30を積み重ねることができるので、輸送効率を向上させることができる。
【0046】
(4)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0047】
[衝撃吸収構造体サンプルの作製]
衝撃吸収構造体サンプルS1を構成する不織布シートには、旭化成せんい社製スマッシュY1 5100のスパンボンド不織布(以下「Y1 5100」と記載)、及び、ユニチカ社製マリックス21102BNZのスパンボンド不織布(以下「21102BNZ」と記載)を用いた。ここで、Y1 5100は目付が100g/m2であり、21102BNZは起毛タイプの不織布で目付が110g/m2である。
衝撃吸収構造体サンプルを構成する衝撃吸収部材には、ポリプロピレンを材料とし図7で示した形状で板厚0.8mm、高さ20mmに成形したものを用いた。
【0048】
全ての実施例について不織布シートに縦方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を3個、計12個配列し、衝撃吸収部材の被固定部を超音波溶着で不織布シートに固定した。ここで、実施例1のサンプルは、不織布シートにY1 5100を用いて図4〜8で示した開口41を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。実施例2のサンプルは、不織布シートにY1 5100を用いて図12〜13で示したスリット42を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。実施例3のサンプルは、不織布シートに21102BNZを用いて図4〜8で示した開口41を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。実施例4のサンプルは、不織布シートに21102BNZを用いて図12〜13で示したスリット42を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。
【表1】
【0049】
比較例1の衝撃吸収構造体サンプルは、特許文献1の図1に記載されるように筒状体を継ぎ合わせた一体成形品とした。具体的には、実施例1〜4の衝撃吸収部材の成形に用いた材料を用い、肉厚0.8mmで、実施例1〜4と同様、縦方向に30mm間隔で筒状体を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で筒状体を3個、計12個配列した一体成形品とした。
比較例2の衝撃吸収構造体サンプルは、特許文献2の図1に記載されるように中空体を相互に連結した一体成形品とした。具体的には、実施例1〜4の衝撃吸収部材の成形に用いた材料を用い、肉厚0.8mmで、実施例1〜4と同様、縦方向に30mm間隔で中空体を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で中空体を3個、計12個配列した一体成形品とした。
比較例3の衝撃吸収構造体サンプルは、特許文献3の図2〜5に記載されるように実施例1〜4の衝撃吸収部材の成形に用いた材料で板厚0.8mmに成形したシート状基材に実施例1〜4と同様、縦方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を3個、計12個配列して取り付けて形成した。
【0050】
[試験方法]
曲面のある板に衝撃吸収構造体サンプルを当て、板の曲面に対する衝撃吸収構造体サンプルの追従性を見た。
また、米国連邦自動車安全基準(FMVSS;Federal Motor Vehicle Safety Standards)201(U)に規定された試験方法に従い、衝撃吸収構造体サンプルの変位s及び応答荷重Fを測定し、荷重−変位曲線を得た。具体的には、図14の模式図に示すように、仰角50°で傾斜させた剛体101に設置した衝撃吸収構造体サンプルS1に対して質量4.54kgのフリーモーションヘッドフォーム(FMH)と呼ばれるダミー人形の頭部を24km/hの速度で衝突させたときの荷重−変位曲線を得た。
【0051】
[試験結果]
実施例1〜4の衝撃吸収構造体サンプルは、比較例1〜3の衝撃吸収構造体サンプルよりも、板の曲面に対する追従性及び接着性が良好であった。
また、実施例1〜4の衝撃吸収構造体サンプルの衝撃吸性能は、比較例1〜3の衝撃吸収構造体サンプルの衝撃吸収性能と比べて遜色が無いことが確認された。
【0052】
(5)まとめ:
なお、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる車両用衝撃吸収構造体でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0053】
また、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10…車体パネル、10a…車室側面、11…ルーフパネル、
20…内装部材、20a…裏面、
21…ルーフライナ内装材、22…ピラーガーニッシュ内装材、
23…ドアトリム内装材、
30,31,32…車両用衝撃吸収構造体、
40…不織布シート、40a…凸部側面、40b…凹部側面、
41…開口(凸部挿入用穴)、42…スリット(凸部挿入用穴)、
48…粘着層、
50…衝撃吸収部材、
51…凹部、51a…開口部、
52…凸部、53…スリット(線状の誘起部位)、54…フランジ部、
55…被固定部、55a…凸部側の部分、
AU1…自動車、D1…前後方向、
LO1…設置箇所、
SP1…車室、SP2…隙間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネルと内装部材との間に設置される車両用衝撃吸収構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体パネルの車室側では、内装部材が車体パネルを覆って車室を装飾している。内装部材には、天井部内装材、ピラーガーニッシュ内装材、ドアトリム内装材、等の内装部品がある。これらの内装部材のうち衝突事故の際に乗員が接触する可能性が高い部位には、裏面(車外側の面)に衝撃を吸収可能な部材が取り付けられる。
【0003】
上述した技術の一つとして、特許文献1には、合成樹脂発泡体からなる上部と下部の径が異なる筒状体を同一方向、一定間隔で多数配置し、継ぎ合わせた緩衝体を設け、この緩衝体を中空部の軸芯方向を車体の内外方向に向けて配置した衝撃吸収装置が記載されている。
特許文献2には、筒状の衝撃吸収体である中空体を複数個、相互に連結したクラスターを形成し、該クラスターから延出した可撓性のハーフブリッジを他のクラスターから延出したハーフブリッジに嵌合させることによって、相互に結合、および、分離可能とした、衝撃吸収構造体が記載されている。前記ハーフブリッジには小さな突起および小さな開孔が形成されており、前記突起と前記開孔とが嵌め合わされるとクラスターどうしが連結される。
特許文献3には、樹脂成形材料を用いて成形された可撓性を有する板状部材に樹脂成形材料を用いて成形されたカップ状の衝撃吸収部材を複数配列させて固定した車両用衝撃吸収構造体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−150692号公報
【特許文献2】欧州特許第1544051号明細書
【特許文献3】特開2008−87669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車体パネルと内装部材との間の設置箇所は、凹凸があることがある。従って、車両用衝撃吸収構造体を設置箇所に固定する際に容易に設置箇所の形状に追従させて固定することができると、好適である。
【0006】
以上を鑑み、本発明は、車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、車体パネルと該車体パネルよりも車室側の内装部材との間に設置される車両用衝撃吸収構造体であって、前記車体パネルと前記内装部材との間の設置箇所に取り付けるための変形可能な不織布シートと、衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材とを備え、該複数の衝撃吸収部材が前記不織布シートの少なくとも一つの面に対して間隔を空けて配列されて固定されていることを特徴とする。
上記不織布シートは、設置箇所の形状に合わせて変形可能である。従って、車両用衝撃吸収構造体を設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる。
【0008】
ここで、上記不織布は、JIS L0222:2001(不織布用語)に定義されるように、繊維シート、ウェブ又はバットで、繊維が一方向又はランダムに配向しており、交絡、及び/又は融着、及び/又は接着によって繊維間が結合されたものであり、紙、織物、編物、タフト及び縮じゅうフェルトが除かれるものである。
上記不織布シートは、変形可能であれば、全体的に平らな形状でもよいし、全体的に曲がった形状でもよいし、凹凸が形成された形状でもよい。上記衝撃吸収部材は、不織布シートの一つの面にのみ固定されてよいし、不織布シートの表裏両面に固定されてもよく、いずれの場合も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体を提供することができる。
請求項2に係る発明では、アンカー効果によって不織布シートから衝撃吸収部材が剥離され難くなる。
請求項3に係る発明では、衝撃吸収部材の凹部に他の衝撃吸収構造体の衝撃吸収部材の凸部を挿入して衝撃吸収構造体を積み重ねることができるので、輸送効率を向上させることができる。
請求項4に係る発明では、不織布シートを設置箇所に固定すると衝撃吸収部材の被固定部が不織布シートと設置箇所とで挟まれるので、衝撃吸収部材の凸方向とは異なる方向から衝撃が加わっても衝撃吸収部材が横倒れし難くなり、衝撃吸収性能の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】自動車AU1の要部を前後方向D1と平行な垂直断面にて例示する要部断面図である。
【図2】衝撃吸収構造体30を車体パネル10と内装部材20との間に配置した状態を例示する要部断面図である。
【図3】衝撃吸収構造体30を車体パネル10と内装部材20との間に配置した状態を例示する要部断面図である。
【図4】衝撃吸収構造体30の外観を例示する斜視図である。
【図5】図4に示す衝撃吸収構造体30を同図のA1−A1の位置で断面視して示す要部垂直断面図である。
【図6】図4に示す衝撃吸収構造体30を同図のA2−A2の位置で断面視して示す要部垂直断面図である。
【図7】衝撃吸収部材50を例示する斜視図である。
【図8】図4に示す衝撃吸収構造体30を分解して示す分解斜視図である。
【図9】変形例の衝撃吸収構造体30を断面視して示す要部垂直断面図である。
【図10】不織布シート40に固定する衝撃吸収部材50の数を変える様子を例示する要部斜視図である。
【図11】積み重ねた衝撃吸収構造体30を例示する要部垂直断面図である。
【図12】変形例に係る衝撃吸収構造体30の外観を示す斜視図である。
【図13】図12に示す衝撃吸収構造体30を分解して示す分解斜視図である。
【図14】衝撃試験方法を模式的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)衝撃吸収構造体の構成:
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用衝撃吸収構造体30を採用した路上走行自動車AU1の要部を前後方向D1と平行な垂直断面にて示している。図1に示す乗用自動車AU1では、車体パネル10が車室SP1を囲んで車体を形成している。車体パネル10の車室側には、各種内装部材20が設置されている。本実施形態の衝撃吸収構造体30は、車体パネル10と内装部材20との間に設置されている。
【0012】
車体パネル10は、例えば金属製とされ、車体の天井部を形成するルーフパネル11、ルーフパネルを支えるピラー、ドアを形成するドアパネル、車体の床部を形成するフロアパネル、等から構成される。内装部材20は、ルーフパネル11の車室側に設けられるルーフライナ内装材21、ピラーの車室側に設けられるピラーガーニッシュ内装材22、ドアパネルの車室側に設けられるドアトリム内装材23、等から構成される。これらの内装部材20と車体パネル10との間に形成された隙間SP2に衝撃吸収構造体30が配置される。車体パネルと内装部材との間隔L1は例えば15〜40mm程度とされ、衝撃吸収構造体の厚み(衝撃吸収部材50の高さh1)はL1以下とされる。
【0013】
内装部材20は、通常、内装基材の車室側の面に表皮材が積層されて一体成形により形成される。内装基材には、熱可塑性樹脂等の樹脂成形材料をプレス成形等により成形したもの、樹脂成形材料を発泡させて成形したもの、発泡させた樹脂にバインダを含浸ないし塗布して成形したもの、熱可塑性樹脂繊維等の繊維を集合させて成形したもの、等が用いられる。表皮材には、不織布、織物、編物、等が用いられる。
【0014】
図2〜8に示すように、衝撃吸収構造体30は、車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所LO1に取り付けるための変形可能な不織布シート40と、衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材50とを備えている。複数の衝撃吸収部材50は、不織布シート40の少なくとも一つの面(凸部側面40a)に対して間隔を空けて配列されて固定されている。本実施形態の衝撃吸収部材50は、略円錐台状(カップ状)に形成され、不織布シート40側が凹部51とされ、不織布シート40とは反対側が凸部52とされている。
【0015】
図2,3は、自動車のルーフパネル11とルーフライナ内装材21との間に設置された衝撃吸収構造体30を乗員99とともに模式的に示す要部垂直断面図である。図2に示す衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材の凸部52がルーフパネル11に向けられて不織布シート40がルーフライナ内装材21の裏面20a(設置箇所LO1)に取り付けられて固定されている。例えば、不織布シート40において衝撃吸収部材の凸部52とは反対側となる凹部側面40bに接着剤を塗布して凹部側面40bをルーフライナ内装材21に貼り付けることにより、衝撃吸収構造体30がルーフライナ内装材21に固定される。
衝撃吸収構造体30は、車体パネル10と内装部材20との間に設置されればよいため、図3に示すように、不織布シート40がルーフパネル11の車室側面10aに取り付けられて固定されてもよい。
【0016】
不織布シート40を形成する繊維には、熱可塑性の樹脂材料といった合成樹脂の繊維等を用いることができ、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、等、通常用いられる種々の材料を用いることができる。
【0017】
不織布シート40の製造には、シート状のフリース(fleece)の形成から繊維の結合まで通常用いられる種々の方法を用いることができる。ここで、フリースは、薄いシート状の繊維群を意味する。不織布シートを構成する繊維が長いと、不織布シートに衝撃吸収部材を接着又は溶着したときにアンカー効果によって不織布シートから衝撃吸収部材が剥離され難くなるので好ましい。従って、フリースの形成には、熱可塑性の樹脂材料を溶融させて長繊維状に押し出してシート状に成形するスパンボンド法等を用いるのが好ましい。
【0018】
また、不織布シート40がフリースに対して起毛加工を行って得られるシートとされると、不織布シートに衝撃吸収部材を接着又は溶着したときにアンカー効果によって不織布シートから衝撃吸収部材が剥離され難くなるので好ましい。従って、フリースの繊維の結合には、返しのある針を突き刺して機械的に繊維を結合させるニードルパンチ法等(起毛加工)を用いるのが好ましい。熱圧着エンボス加工無しにニードルパンチ法等により表面を毛羽立たせた起毛タイプの不織布シートとすると、衝撃吸収部材50の固定箇所の剥離強度がアンカー効果によって増し、設置時や衝撃入力時の衝撃吸収部材の破損や脱落が抑制されて衝撃吸収性能が向上する。
【0019】
変形可能な不織布シート40は、車体パネルと内装部材との間の設置箇所LO1の形状に追従可能とされる。これにより、内装部材や車体パネルが屈曲した形状であっても、衝撃吸収構造体30を内装部材や車体パネルに取り付ける際に可撓性の基材をこれらの形状に追従させることができるので、衝撃吸収構造体を設置する作業が行いやすくなる。
不織布シート40の形状は、両面40a,40bが全体的に平らな面とされた形状でもよいし、両面が全体的に曲がった面とされた形状でもよい。また、シート状基材の表裏両面は、凹凸の無い平坦面や曲面でもよいし、平坦面や曲面に凹凸が形成されていてもよい。
【0020】
不織布シート40の厚みは、例えば、0.16〜1.2mm、より好ましくは0.2〜1.1mmとすることができる。不織布シートの厚みを前記下限以上にすると、不織布シートを設置箇所に配置したりホットメルト等で接着したりする時に不織布シートの皺や破れの発生を少なくすることができる。一方、厚みを前記上限以下とすると、不織布シートを自動車天井等の設置箇所に配置する際に設置箇所の形状に十分に追従させることができ、ホットメルト等で接着する際に長時間のプレス保持をしなくても不織布シートの端末部の浮きや剥がれを少なくすることができる。
【0021】
不織布シート40の縦方向引張強さは、例えば、100〜700N/5cm、より好ましくは200〜500N/5cmとすることができる。ここで、縦方向引張強さは、JIS L1906:2000(一般長繊維不織布試験方法)に規定される標準時の不織布のたて方向の引張強さとする。縦方向引張強さを前記下限以上にすると、不織布シートを設置箇所に配置したりホットメルト等で接着したりする時に不織布シートの皺や破れの発生を少なくすることができる。一方、縦方向引張強さを前記上限以下にすると、不織布シートを自動車天井等の設置箇所に配置する際に設置箇所の形状に十分に追従させることができ、ホットメルト等で接着する際に長時間のプレス保持をしなくても不織布シートの端末部の浮きや剥がれを少なくすることができる。
【0022】
不織布シート40の縦方向ペンジュラム引裂強さは、例えば、3〜150N、より好ましくは4〜120Nとすることができる。ここで、ペンジュラム引裂強さは、JIS L1906:2000に規定されるペンジュラム法の引裂強さとする。ペンジュラム引裂強さを前記下限以上にすると、不織布シートを設置箇所に配置したりホットメルト等で接着したりする時に不織布シートの皺や破れの発生を少なくすることができる。一方、ペンジュラム引裂強さを前記上限以下にすると、不織布シートを自動車天井等の設置箇所に配置する際に設置箇所の形状に十分に追従させることができ、ホットメルト等で接着する際に長時間のプレス保持をしなくても不織布シートの端末部の浮きや剥がれを少なくすることができる。
【0023】
また、不織布シート40には、固定する衝撃吸収部材50の凹部51の位置に合わせて衝撃吸収部材50の凸部52を挿入可能な複数の開口(凸部挿入用穴)41が形成されている。本実施形態の開口41は、衝撃吸収部材50の開口部51aよりも広い円形の打ち抜き穴とされている。従って、開口41は、衝撃吸収部材の凸部52を貫通させることが可能である。
なお、開口41の形状は、円形以外にも、楕円形、三角形、四角形など、様々な形状とすることができる。また、各開口41は、同形状とされる以外にも、大きさや形状の異なる複数種類の組み合わせで構成されてもよい。
【0024】
本実施形態の各開口41は、固定後の衝撃吸収部材50どうしの間隔を空けさせる位置で等間隔に配列されている。むろん、各開口は、非等間隔など様々な間隔で配列されてもよい。開口41の外径(半径r1;図5参照)は、衝撃吸収部材50の開口部51aの大きさ等に応じて設定すればよく、例えば3.0〜10.0mm程度とすることができる。
【0025】
本実施形態の衝撃吸収部材50は、図11に示すように凹部51内に凸部52の一部が挿入可能とされ、積み重ね可能な形状に形成されている。図4〜6に示すように、衝撃吸収部材50は、凹部51側が不織布シート40に固定されている。
【0026】
衝撃吸収部材50を形成する材料は、衝撃を吸収する材料であればよく、樹脂成形材料、ゴム、金属、等を用いることができる。衝撃吸収部材50は、発泡させた材質でもよいが、衝撃を適度に吸収する観点から樹脂成形材料を発泡させることなく成形した樹脂成形品が好ましい。樹脂成形材料を構成する樹脂には、合成樹脂が好ましく、衝撃吸収部材に適度な衝撃吸収性を付与する観点から熱可塑性樹脂が特に好ましいが、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。熱可塑性樹脂には、特に好適な衝撃吸収性を衝撃吸収部材に付与する観点から、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂等が好ましい。樹脂成形材料には、充てん材等の添加剤が添加されてもよい。添加剤の配合比は、樹脂の性質を十分に発揮させる観点から、例えば樹脂の重量比以下の重量比とされる。樹脂成形材料の成形には、射出成形、プレス成形、押出成形、等を用いることができる。
【0027】
図4〜7に示すように、各衝撃吸収部材50は、開口部51aの大きさと該開口部とは反対側の上底部(狭径側の面)52bの大きさとが異なる略円錐台状部材(カップ状部材)とされ、上底部52bを除いて内部に中空部HO1を有する筒状に形成されている。本衝撃吸収部材50は、断面円形の筒状とされ、開口部51aの内径(半径r2)が上底部の内径(半径r3)よりも大きくされ、開口部51aから上底部52bに向けて徐々に内径が小さくなるように延出して上底部52bに繋がる側面部52aを有している。衝撃吸収部材50に中空部HO1があるので、車室SP1と車外とを結ぶ方向に衝撃が入力されたときに衝撃吸収部材50が潰れてその衝撃が吸収される。
【0028】
側面部52aには、衝撃入力時に割れを誘起させる複数のスリット(線状の誘起部位)53が広径側の縁部52fから狭径側の縁部52eへ向かう途中まで形成されている。図4〜7における衝撃吸収部材の側面部52aには180°反対側となる2箇所にスリット53が形成されていることが示されている。衝撃吸収構造体30に衝撃が入力されるとき、複数の衝撃吸収部材50は変位の初期で荷重(反力)を発生させた後にスリット53によって割れる傾向がある。衝撃入力時に複数の衝撃吸収部材50が割れると、変位初期の荷重を発生させた後の荷重が小さくなる。これにより、衝撃発生時に乗員が内装部材に複数の箇所で当たるような場合に衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0029】
本実施形態の衝撃吸収部材50は、凹部51の縁部がフランジ部54とされ、このフランジ部54から外方へ出た被固定部55が複数形成されている。図7には、フランジ部54から90°間隔で4本の被固定部55が突出していることが示されている。図8に示すように、衝撃吸収部材50は、凸部52が不織布シート40の穴41を貫通した状態で被固定部55における凸部52側の部分55aが不織布シート40に固定される。不織布シート40に対する衝撃吸収部材50の固定は、被固定部の凸部側部分55aを接着剤によって不織布シート40の凹部側面40bに接着したり、被固定部の凸部側部分55aを超音波溶着等によって不織布シートの凹部側面40bに溶着したりすることにより行うことができる。
【0030】
衝撃吸収部材50の高さh1は、車体パネルと内装部材との間隔L1に応じて設定すればよく、例えば10.0〜30.0mm程度とすることができる。衝撃吸収部材を断面円形とする場合、開口部の内径r2は例えば3.0〜10.0mm程度とすることができ、上底部の内径r3は例えば2.0〜8.0mm程度とすることができる。また、中空部HO1を有する衝撃吸収部材の肉厚は、例えば、0.5〜2.0mm程度とすることができる。
【0031】
衝撃吸収部材50の形状は、円錐台状以外の楕円錐台状や角錐台状といった錐台状(カップ状)等でもよく、断面三角形の筒状、断面四角形の筒状、底部を開口させた筒状など、様々な形状とすることができる。各衝撃吸収部材50は、要求される衝撃吸収性能を持たせるため、同形状とされる以外にも、大きさや形状の異なる複数種類の組み合わせで構成されてもよい。
また、不織布シートの開口41の全てに合わせて衝撃吸収部材50を不織布シート40に組み付けるのみならず、一部の開口41に合わせた位置に衝撃吸収部材50を組み付けずに衝撃吸収部材50を不織布シート40に組み付けてもよい。これにより、衝撃吸収構造体30の配置の自由度が高められ、種々の衝撃を適切に吸収することが可能になる。例えば、開口41に合わせた位置に対して衝撃吸収部材50を不織布シート40に対して選択的に組み付けることによって、衝撃吸収部材50どうしの間隔を自由に調節することができる。
【0032】
本衝撃吸収構造体30は、不織布シート40と複数の衝撃吸収部材50とを個別に形成し、両者を接着や溶着といった後工程で組み付けることにより形成される。これにより、不織布シート40と衝撃吸収部材50の成形型を作製した後、衝撃吸収試験を行った結果、性能不足等による衝撃吸収部材50の数、配置、等を修正することになっても、不織布シート40に対する衝撃吸収部材50の配置を変えるだけでよく、成形型を作り直す必要が無い。従って、不織布シート40上の衝撃吸収部材50の配置を変える際に成形型の作製時間や作製コストが不要になり、その結果、衝撃吸収構造体30の製造工数や製造コストを低減させることが可能になる。むろん、クラスターの小さな突起と小さな開孔とを嵌め合わせるような、手間のかかる作業は不要である。従って、車体パネル10と内装部材20との間の限られたスペースに衝撃吸収構造体30を設置する作業が軽減される。
【0033】
上述した不織布シート40と複数の衝撃吸収部材50のみから本発明の衝撃吸収構造体30を構成することができるが、図9に示す衝撃吸収構造体31のように、不織布シート40において衝撃吸収部材の凸部52とは反対側の凹部側面40bに粘着層48が形成されてもよい。粘着層48は、例えば、不織布シートの凹部側面40bに両面テープを貼り付けて離型紙を剥がしたり、凹部側面40bに接着剤を塗布したり、接着剤が塗布された樹脂シートを凹部側面40bに積層したりすることにより、形成される。すると、粘着層48を車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所LO1に付着させるだけで本衝撃吸収構造体30が車体パネル10と内装部材20との間に設置されるので、衝撃吸収構造体を固定する作業が軽減される。
【0034】
本衝撃吸収構造体30を製造するには、例えば、以下のようにすればよい。
不織布シート40や衝撃吸収部材50は、種々の公知技術を用いて形成可能である。不織布シート40については、例えば、上述したスパンボンド法及びニードルパンチ法により形成することができる。衝撃吸収部材50については、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性の樹脂成形材料の粒状原反を加熱機付き射出成形機に供給し、原反を加熱機にて加熱して溶融させ、衝撃吸収部材の形状とされた所定の金型内に溶融状態の樹脂成形材料を射出して成形し、同金型を冷却して樹脂を固化させることにより、形成することができる。
【0035】
別々に不織布シート40と衝撃吸収部材50を形成した後、不織布シート40の開口41の周囲に各衝撃吸収部材の被固定部55を接着剤で接着したり超音波溶着等の溶着を行ったりして衝撃吸収部材50を不織布シート40に固定すればよい。ここで、各衝撃吸収部材の凸部52を挿入可能な凹みを有する型を用意し、該凹みを上に向けた型の各凹みに凹部側面40bを上に向けた不織布シート40の各開口41の位置を合わせて型に不織布シート40を載置し、各衝撃吸収部材の凸部52を不織布シートの開口41及び型の凹みに挿入すれば、複数の衝撃吸収部材50をまとめて不織布シート40に接着又は溶着することができる。
【0036】
そして、複数の衝撃吸収部材50を固定した不織布シートの凹部側面40bに接着剤を塗布したり予め粘着層48を形成したりする等して車体パネル10と内装部材20との間の設置箇所LO1に貼り付けて固定すると、図2,3に示すように本衝撃吸収構造体30が車体パネル10と内装部材20との間に設置される。
【0037】
(2)衝撃吸収構造体の作用、効果:
以下、本衝撃吸収構造体30の作用、効果を説明する。
衝撃吸収構造体30を構成する不織布シート40は、設置箇所LO1の形状に合わせて変形可能である。一方、不織布シート40は、紙のように破れ易いということは無い。従って、本衝撃吸収構造体30は、設置箇所LO1の形状に追従させて固定するのが容易である。その結果、衝撃吸収構造体を接着等により設置箇所に取り付けて固定する際の時間を短縮することができ、衝撃吸収構造体の端末部の浮きや剥がれを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態の衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材50が積み重ね可能な形状に形成され、衝撃吸収部材の凹部51の位置に合わせて不織布シート40に衝撃吸収部材の凸部52を挿入可能な開口41が形成されている。これにより、図11に示すように衝撃吸収部材50の凹部51に他の衝撃吸収構造体30の衝撃吸収部材50の凸部52を挿入して衝撃吸収構造体30を積み重ねることができるので、荷姿がよくなり、輸送効率を向上させることができる。
【0039】
さらに、本実施形態の衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材の凸部52が不織布シートの開口41を貫通した状態で衝撃吸収部材の被固定部55における凸部52側の部分55aが不織布シート40に固定されている。これにより、図5に示すように不織布シート40を設置箇所LO1に固定すると衝撃吸収部材50の被固定部55が不織布シート40と設置箇所LO1とで挟まれる。従って、衝撃吸収部材50の凸方向とは異なる方向から衝撃が加わっても衝撃吸収部材50が横倒れし難くなり、衝撃吸収部材50の脱落も抑制され、衝撃吸収性能の安定性を向上させることができる。
【0040】
なお、図10に示すように、本衝撃吸収構造体30は、衝撃吸収部材50の配置を容易に変更することができる。図10の上段の衝撃吸収構造体30aでは、不織布シートの凸部側面40a全体に開口41が略均一な密度で形成され、不織布シート40の周縁部に衝撃吸収部材50が比較的高密度で配置され、該周縁部よりも内側で衝撃吸収部材50が比較的低密度で配置されていることが示されている。
ここで、不織布シート40の周縁部よりも内側のある領域R1で衝撃吸収エネルギーを多くさせる設計変更が衝撃吸収構造体に求められたとする。この場合、図10の下段に示すように、領域R1内の開口41zの位置に合わせて新たな衝撃吸収部材50zを不織布シート40に固定させるだけで、領域R1での衝撃吸収エネルギーを多くさせることができる。その際、衝撃吸収構造体用の新たな成形型を作製する必要が無い。一方、図10の下段に示す衝撃吸収構造体30bについて領域R1の衝撃吸収エネルギー量を大きくする必要が無い場合には、図10の上段に示すように、領域R1内の衝撃吸収部材を一部あるいは全部外してもよい。すると、衝撃吸収構造体用の新たな成形型が不要であるとともに、衝撃吸収構造体に必要な衝撃吸収部材の数を減らすことができ、部材のコストを低減させ、衝撃吸収構造体を形成する作業コストを低減させることができる。
なお、互いに形状や大きさの異なる複数種類の衝撃吸収部材を用意しておけば、設計変更の際に衝撃吸収部材の種類を変更するだけで衝撃吸収性能を調整することができる。
【0041】
以上のことから、車種によって設置スペースや要求される衝撃吸収性能が異なっても、予め複数種類の衝撃吸収部材50を作製しておけば、不織布シート40に固定する衝撃吸収部材50の種類や組み合わせや配置を変えることにより、車種に応じて適切な車両用衝撃吸収構造体30を容易に作製することが可能となる。その際、衝撃吸収構造体用の成形型の修正や新規の型作製を行う必要は無い。また、不織布シート40に固定する衝撃吸収部材50どうしの間隔を容易に変更可能となるため、衝撃吸収部材50の配置の自由度が高められる。その際、新たな成形型を作製する必要が無いので、不織布シート40に対する衝撃吸収部材50の配置を変える際に成形型の作製時間や作製コストが不要になる。
【0042】
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
車体パネルが比較的車外側のアウターパネルと比較的車内側のインナーパネルとから構成される場合、このインナーパネルと内装部材との間に本発明の衝撃吸収構造体を設置してもよい。
衝撃吸収部材は、不織布シートの裏面と表面の両方に固定されてもよいし、表面にのみ固定されてもよい。
また、衝撃吸収部材は、側面部52aにスリット53が形成されていなくてもよい。
さらに、衝撃吸収部材の被固定部55は、不織布シート40と設置箇所LO1とで挟まれないことになるものの、不織布シートの凸部側面40aに固定されてもよい。
さらに、衝撃吸収部材は、突出した被固定部55が形成されていなくてもよく、フランジ部54が不織布シート40に固定されてもよいし、開口部51aの周縁部が不織布シート40に固定されてもよい。
【0043】
さらに、不織布シートの開口41は、衝撃吸収部材の上底部52bを通す一方で広径側の縁部52fを通さない大きさとされても、衝撃吸収部材の凸部52の一部を挿入可能であり、衝撃吸収構造体30を積み重ね可能とする。
さらに、衝撃吸収部材が積み重ね不能な形状とされたり、不織布シートに開口41が設けられなかったりしても、衝撃吸収構造体は設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる作用、効果を奏する。
さらに、シート状のフリースに対してニードルパンチ等の起毛加工が行われていない不織布シートが用いられても、衝撃吸収構造体は設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる作用、効果を奏する。むろん、スパンボンド法以外の方法で得られるフリースの繊維を結合した不織布シートが用いられても、衝撃吸収構造体は設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易となる作用、効果を奏する。
【0044】
図12,13は、変形例に係る衝撃吸収構造体32を示している。本変形例の不織布シート40には、固定する衝撃吸収部材50の凹部(51)の位置に合わせて衝撃吸収部材の凸部52を挿入可能な米字状のスリット(凸部挿入用穴)42が形成されている。図示のスリット42は中心から放射状に8方向へ向かう切れ込みで形成されているが、凸部52を挿入可能とするスリットは、中心から放射状に4方向へ向かう切れ込みで形成される十字状スリット等でもよい。
本変形例では、衝撃吸収部材の被固定部55が不織布シート40の凸部側面40aに固定される。むろん、本変形例でも、凸部52が不織布シートのスリット42を貫通した状態で被固定部55における凸部52側の部分55aが不織布シート40の凹部側面(40b)に固定された衝撃吸収構造体とすることが可能である。
【0045】
本変形例でも、衝撃吸収部材の凹部51に他の衝撃吸収構造体30の衝撃吸収部材の凸部52を挿入して衝撃吸収構造体30を積み重ねることができるので、輸送効率を向上させることができる。
【0046】
(4)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0047】
[衝撃吸収構造体サンプルの作製]
衝撃吸収構造体サンプルS1を構成する不織布シートには、旭化成せんい社製スマッシュY1 5100のスパンボンド不織布(以下「Y1 5100」と記載)、及び、ユニチカ社製マリックス21102BNZのスパンボンド不織布(以下「21102BNZ」と記載)を用いた。ここで、Y1 5100は目付が100g/m2であり、21102BNZは起毛タイプの不織布で目付が110g/m2である。
衝撃吸収構造体サンプルを構成する衝撃吸収部材には、ポリプロピレンを材料とし図7で示した形状で板厚0.8mm、高さ20mmに成形したものを用いた。
【0048】
全ての実施例について不織布シートに縦方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を3個、計12個配列し、衝撃吸収部材の被固定部を超音波溶着で不織布シートに固定した。ここで、実施例1のサンプルは、不織布シートにY1 5100を用いて図4〜8で示した開口41を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。実施例2のサンプルは、不織布シートにY1 5100を用いて図12〜13で示したスリット42を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。実施例3のサンプルは、不織布シートに21102BNZを用いて図4〜8で示した開口41を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。実施例4のサンプルは、不織布シートに21102BNZを用いて図12〜13で示したスリット42を形成した不織布シートに衝撃吸収部材を固定したものとした。
【表1】
【0049】
比較例1の衝撃吸収構造体サンプルは、特許文献1の図1に記載されるように筒状体を継ぎ合わせた一体成形品とした。具体的には、実施例1〜4の衝撃吸収部材の成形に用いた材料を用い、肉厚0.8mmで、実施例1〜4と同様、縦方向に30mm間隔で筒状体を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で筒状体を3個、計12個配列した一体成形品とした。
比較例2の衝撃吸収構造体サンプルは、特許文献2の図1に記載されるように中空体を相互に連結した一体成形品とした。具体的には、実施例1〜4の衝撃吸収部材の成形に用いた材料を用い、肉厚0.8mmで、実施例1〜4と同様、縦方向に30mm間隔で中空体を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で中空体を3個、計12個配列した一体成形品とした。
比較例3の衝撃吸収構造体サンプルは、特許文献3の図2〜5に記載されるように実施例1〜4の衝撃吸収部材の成形に用いた材料で板厚0.8mmに成形したシート状基材に実施例1〜4と同様、縦方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を4個、縦方向と直交する横方向に30mm間隔で衝撃吸収部材を3個、計12個配列して取り付けて形成した。
【0050】
[試験方法]
曲面のある板に衝撃吸収構造体サンプルを当て、板の曲面に対する衝撃吸収構造体サンプルの追従性を見た。
また、米国連邦自動車安全基準(FMVSS;Federal Motor Vehicle Safety Standards)201(U)に規定された試験方法に従い、衝撃吸収構造体サンプルの変位s及び応答荷重Fを測定し、荷重−変位曲線を得た。具体的には、図14の模式図に示すように、仰角50°で傾斜させた剛体101に設置した衝撃吸収構造体サンプルS1に対して質量4.54kgのフリーモーションヘッドフォーム(FMH)と呼ばれるダミー人形の頭部を24km/hの速度で衝突させたときの荷重−変位曲線を得た。
【0051】
[試験結果]
実施例1〜4の衝撃吸収構造体サンプルは、比較例1〜3の衝撃吸収構造体サンプルよりも、板の曲面に対する追従性及び接着性が良好であった。
また、実施例1〜4の衝撃吸収構造体サンプルの衝撃吸性能は、比較例1〜3の衝撃吸収構造体サンプルの衝撃吸収性能と比べて遜色が無いことが確認された。
【0052】
(5)まとめ:
なお、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる車両用衝撃吸収構造体でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、車体パネルと内装部材との間に取り付ける際に設置箇所の形状に追従させて固定するのが容易な車両用衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0053】
また、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10…車体パネル、10a…車室側面、11…ルーフパネル、
20…内装部材、20a…裏面、
21…ルーフライナ内装材、22…ピラーガーニッシュ内装材、
23…ドアトリム内装材、
30,31,32…車両用衝撃吸収構造体、
40…不織布シート、40a…凸部側面、40b…凹部側面、
41…開口(凸部挿入用穴)、42…スリット(凸部挿入用穴)、
48…粘着層、
50…衝撃吸収部材、
51…凹部、51a…開口部、
52…凸部、53…スリット(線状の誘起部位)、54…フランジ部、
55…被固定部、55a…凸部側の部分、
AU1…自動車、D1…前後方向、
LO1…設置箇所、
SP1…車室、SP2…隙間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルと該車体パネルよりも車室側の内装部材との間に設置される車両用衝撃吸収構造体であって、
前記車体パネルと前記内装部材との間の設置箇所に取り付けるための変形可能な不織布シートと、
衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材とを備え、
該複数の衝撃吸収部材が前記不織布シートの少なくとも一つの面に対して間隔を空けて配列されて固定されていることを特徴とする車両用衝撃吸収構造体。
【請求項2】
前記不織布シートは、シート状のフリースに対して起毛加工を行って得られるシートとされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収構造体。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材は、前記不織布シート側が凹部とされ該不織布シートとは反対側が凸部とされて積み重ね可能な形状に形成され、前記凹部側が前記不織布シートに固定され、
前記不織布シートは、固定した前記衝撃吸収部材の凹部の位置に合わせて前記衝撃吸収部材の凸部を挿入可能な穴が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用衝撃吸収構造体。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は、前記凹部の縁部から外方へ出た被固定部が形成され、前記凸部が前記不織布シートの穴を貫通した状態で前記被固定部における前記凸部側の部分が前記不織布シートに固定されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用衝撃吸収構造体。
【請求項1】
車体パネルと該車体パネルよりも車室側の内装部材との間に設置される車両用衝撃吸収構造体であって、
前記車体パネルと前記内装部材との間の設置箇所に取り付けるための変形可能な不織布シートと、
衝撃を吸収する材料を用いて形成された複数の衝撃吸収部材とを備え、
該複数の衝撃吸収部材が前記不織布シートの少なくとも一つの面に対して間隔を空けて配列されて固定されていることを特徴とする車両用衝撃吸収構造体。
【請求項2】
前記不織布シートは、シート状のフリースに対して起毛加工を行って得られるシートとされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝撃吸収構造体。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材は、前記不織布シート側が凹部とされ該不織布シートとは反対側が凸部とされて積み重ね可能な形状に形成され、前記凹部側が前記不織布シートに固定され、
前記不織布シートは、固定した前記衝撃吸収部材の凹部の位置に合わせて前記衝撃吸収部材の凸部を挿入可能な穴が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用衝撃吸収構造体。
【請求項4】
前記衝撃吸収部材は、前記凹部の縁部から外方へ出た被固定部が形成され、前記凸部が前記不織布シートの穴を貫通した状態で前記被固定部における前記凸部側の部分が前記不織布シートに固定されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用衝撃吸収構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−131707(P2011−131707A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292439(P2009−292439)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(390031451)株式会社林技術研究所 (83)
【Fターム(参考)】
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