説明

車両用表示装置及び情報表示方法

【課題】自車両が走行する進行方向における状況把握を簡単にさせることができる車両用表示装置及び情報表示方法を提供する。
【解決手段】自車両進行方向における自車両周囲状況を把握する情報提示注視物(サイドミラー5)を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位にディスプレイ1の表示画面を設置し、表示制御装置2は、外界環境検出装置3からの情報を元に、当該表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周囲の状況を表示する車両用表示装置及び情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車両に対する他車両の動きを提示する技術としては、下記の特許文献1に記載された相対位置表示装置が知られている。
【0003】
この相対位置表示装置は、自車両の走行時に、自車両の走行位置と走行方位と走行速度とを含む自車走行情報を順次取得すると共に、他車両の走行位置と走行方位と走行速度とを含む他車走行情報を順次取得する。そして、相対位置表示装置は、自車走行情報と他車走行情報とに基づいて相対位置関係を求め、この相対位置関係を所定の表示態様により提示する。このとき、相対位置表示装置は、自車両と他車両との相対位置関係を算出し、相対位置関係と表示態様とを対応させた対応情報を参照して、所定の表示態様を決定している。
【0004】
また、従来より知られている他の技術としては、自車両位置を基準とした道路形状、周囲車両状況をセンシングして、ナビゲーション画面上に周囲車両(アイコン)を重ね合わせて表示することにより、周囲環境の総合的な情報を1つの画面上で把握可能としたものがある。
【特許文献1】特開2005−43187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、運転者の運転行動は、数種類の階層的小行動である、周囲情報把握行動、判断行動、操作行動、視認行動下の直接視認行動、間接(ミラー)視認行動、周囲情報把握における位置情報、速度情報、位置・速度情報における精度・速度の把握行動をフレキシブルに切り替えて、繋ぎ合わせて実行する必要がある。しかし、上述した技術では、ディスプレイ視認とサイドミラー視認時の切り替え時、及び、相対位置・相対速度の取得情報精度切り替え時の負荷抵抗(遷移抵抗、転導抵抗)が高い。特に、合流時のように実行時間が限られている運転環境においては、小行動の単独実行では把握しやすい情報であっても、実際の運転場面では実行が困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、自車両が走行する進行方向における状況把握を簡単にさせることができる車両用表示装置及び情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用表示装置及び情報表示方法は、自車両進行方向における自車両周囲状況を把握する情報提示注視物を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位に表示画面を設置し、当該表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示することにより、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用表示装置及び情報表示方法によれば、自車両進行方向における自車両周囲状況を把握する情報提示注視物を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位に、当該表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示するので、情報提示注視物を視認するという単一の視認行動によって表示画面の情報を把握させて、自車両進行方向における情報を把握させることができるので、自車両が走行する進行方向における状況把握を簡単にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本発明は、例えば図1に示すように構成された車両用表示装置に適用される。この車両用表示装置は、自車両進行方向における自車両周囲状況を把握する情報提示注視物であるサイドミラー5を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位に表示画面が設置されたディスプレイ1を備える。このディスプレイ1は、表示画面が、サイドミラー5を視認した時の有効視野内に設置されている。ディスプレイ1としては、液晶ディスプレイ等の種々のディスプレイが使用可能であり、また、映像ではなく点状に情報を提示する場合には、LED(Light Emitting Diode)を集積したものであっても良い。
【0011】
また、車両用表示装置は、ディスプレイ1で表示させる映像を作成する表示制御装置2と、当該表示制御装置2によって映像を作成するための情報を取得する外界環境検出装置3とを備える。表示制御装置2は、ディスプレイ1の表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示させる。
【0012】
この車両用表示装置によってディスプレイ1に表示する映像は、自車両に対して後方に存在する他車両を含み、自車両と後方車両との相対的位置関係を上方から見たプランビュー映像である。例えば図2(a)に示すように自車両の後方に、自車両の走行車線と隣接する隣接車線を走行する後方他車両が存在する場合、図2(b)に示すディスプレイ1への表示映像100のように、固定位置の自車位置画像102と他車両画像101との表示画面内における距離を調整して、自車両と他車両との相対的位置関係を表示することができる。また、自車両と自車両と同一車線を走行する他車両と隣接車線の他車両とを表示する場合、図2(c)の表示映像100に示すように、自車画像103に対して、隣接車線を走行する自車両前方の前方他車両画像101c、隣接車線を走行する自車両後方の後方他車両画像101a、同一車線を走行する自車両後方の後方他車両画像101bを表示できる。
【0013】
なお、図2(b)、(c)に示す表示映像100は、詳細は後述するが、表示映像100の空間周波数及び/又は時間周波数についてフィルタリング処理が施されたものである。このフィルタリング処理によって、運転者が自車両後方の状況を確認するためにサイドミラー5を注視した時に、当該運転者にとってディスプレイ1の表示内容が目障りとなることによる眼球運動を誘発しない表示映像100を表示している。
【0014】
このように、自車両の実際の進行方向と同一ベクトル上で表示映像100を表示させることに対して、図1に示すように、自車両に搭載されているセンターディスプレイ4に自車両と他車両との相対的位置関係を表示させている場合には、当該センターディスプレイ4内において表示している車両進行方向と、実際の自車両の進行方向とは異なるものとなる。本発明を適用した車両用表示装置は、自車両のサイドガラスの直下にディスプレイ1の表示画面が形成されているために、当該ディスプレイ1の長手方向と実際の自車両の進行方向とを同一ベクトルとすることができている。
【0015】
つぎに、本発明を適用した車両用表示装置の詳細な構成について、図3を参照して説明する。
【0016】
外界環境検出装置3は、周囲車両位置検出装置11と、周囲道路形状検出装置12とを備える。この外界環境検出装置3は、自車両を取り巻く外界環境、すなわち、周囲の他車両の位置、道路形状を把握し、表示制御装置2によってディスプレイ1で表示する映像を作成するためのパラメータ、各種情報を取得して出力する。
【0017】
周囲車両位置検出装置11としては、測距センサ、カメラ及び画像解析装置、車車間通信装置、路車間通信装置等が挙げられる。周囲の他車両の自車両に対する相対位置を検出する構成として、周囲車両位置検出装置11は、例えば、カメラによって周囲映像を撮像して、当該撮像した周囲映像に対してエッジ検出等の画像解析により自車両に対する他車両の距離を検出する、又は、レーザレーダや超音波センサのように直接自車両に対する他車両の距離を測距する。また、周囲車両位置検出装置11は、車車間通信装置によって周囲の他車両との間で座標信号を通信して距離情報を得る、又は、路車間通信装置によって道路インフラ上にある周囲他車両の位置データを得ても良い。この周囲車両位置検出装置11によって検出された自車両に対する他車両の相対的位置情報は、予め設定されたサンプリング周期で表示制御装置2に出力される。
【0018】
周囲道路形状検出装置12は、例えば、ナビゲーションシステムのGPS(Global Positioning System)から得られた自車両座標に基づいてナビゲーションシステムの地図データのうち自車両が走行している道路の形状を抽出する処理を行う。なお、自車両座標は、カメラの撮像と画像解析によるデータや、操舵信号と車両速度データなどで補完しても良い。また、周囲道路形状検出装置12は、実際に走行している道路の形状をカメラによって撮像してエッジ検出等の画像解析により道路形状を検出する処理を行っても良い。この周囲道路形状検出装置12によって検出された周囲道路形状情報は、予め設定されたサンプリング周期で表示制御装置2に出力される。
【0019】
表示制御装置2は、外界環境検出装置3から得られた相対的位置情報及び周囲道路形状情報に基づいて、運転者へ提示する表示映像100を作成する。表示制御装置2は、相対的位置情報によって自車両と他車両との距離を、予め設定された縮尺に変換して、運転者が運転行動中に把握可能な表示形態であって、サイドミラー5を視認している状態でディスプレイ1に視線を誘目させないような情報量の表示映像100に加工する。これにより、表示制御装置2は、ディスプレイ1で表示映像100を表示させた時に、自車両の進行方向と略一致する方向に他車両の情報を提示する。また、表示制御装置2は、外界環境検出装置3と同様にリアルタイムで行われ、実際の自車両周囲の他車両位置に対応した表示映像100を作成する。
【0020】
図3に示す車両用表示装置は、表示制御装置2に、提示情報設定操作装置6が接続されている。提示情報設定操作装置6は、運転者が情報提示させたい仕様を示す表示設定情報を入力するに際して操作される操作インターフェースを備えている。この操作インターフェースとしては、独立したスイッチ、ナビゲーションスイッチに組み込まれたマルチファンクションスイッチが使用可能である。ここで、運転中に運転者が活用可能な情報量は、運転スキル、運転者が学習した運転実行モデル(メンタルモデル)により異なるため、運転者自ら必要な情報を設定可能であることが望ましいため、ディスプレイ1に表示させる表示映像100の設定を行う提示情報設定操作装置6を備えている。
【0021】
この提示情報設定操作装置6で入力された表示設定情報は、優先してディスプレイ1に表示映像100を表示する運転場面を示す優先設定情報、道路形状を補正して表示するための道路形状補正設定情報、自車両からどの程度の距離までの他車両を表示するかを設定する表示範囲設定情報、表示映像100の空間周波数及び時間周波数のフィルタリング特性を設定するフィルタリング設定情報、実際の他車両との対応関係を設定する対応車両表示設定情報、周囲車両状態表示設定情報が含まれる。これら表示設定情報は、表示制御装置2のドライバ設定情報記憶部21によって記憶、更新される。優先設定情報は優先情報設定記憶部31に記憶され、道路形状補正設定情報は道路形状補正設定記憶部32に記憶され、表示範囲設定情報は表示範囲設定記憶33に記憶され、フィルタリング設定情報はフィルタリング設定記憶部34に記憶され、対応車両表示設定情報は対応車両表示設定記憶部35に記憶され、周囲車両状態表示設定情報は周囲車両状態情報表示設定記憶部36に記憶される。
【0022】
優先情報設定記憶部31に記憶される優先設定情報は、自車両が合流地点に差し掛かったとき、どの地点で合流本線側の情報を提示するか、加速車線に複数の車線が存在する場合にはどの地点で本線側の情報を提供するか、どの地点で加速車線内の情報を提供するかといった情報である。
【0023】
道路形状補正設定記憶部32に記憶される道路形状補正設定情報は、運転者が設定した道路形状に応じた相対的な距離の補正処理を行うか行わないかを示す。
【0024】
表示範囲設定記憶33に記憶される表示範囲設定情報は、運転者が設定した他車両を表示する距離の表示範囲を記憶する。具体的には、運転者が利用可能は表示範囲は運転者の運転スキルにより変わるため、前後方向の距離、横方向である車線数が設定される。
【0025】
フィルタリング設定記憶部34に記憶されるフィルタリング設定情報は、運転者が設定した空間周波数及び時間周波数フィルタリングの特性及びデフォルトのフィルタリング特性を記憶する。周辺視野での情報把握可能な特性は、人間の生理的な特性のみならず、運転者の運転モデル特性の影響を受けるため、煩わしさを感じないように運転者の好みに応じてフィルタリング特性で設定できる。
【0026】
対応車両表示設定記憶部35に記憶される対応車両表示設定情報は、中心視で視認される視覚情報デバイス(サイドミラー5)内の視認対象物と、周辺視野で視認される視覚情報デバイス(ディスプレイ1)内の視認対象物とが、対応した視認対象物であることを認識しやすくするための重畳表示を行うか、行わないか、運転者によって設定される情報である。
【0027】
周囲車両状態情報表示設定記憶部36に記憶される周囲車両状態情報は、周囲車両の走行状態に基づき、その把握性を向上させるための周囲車両状態情報を重畳表示させるか否か、また、重畳表示を行わせる場合の設定仕様が運転者によって設定される情報である。
【0028】
表示制御装置2は、周囲車両位置検出装置11から送られた相対的位置情報を周囲車両位置一時記憶部22に一時的に記憶して、周囲車両選択部24に送信する。また、表示制御装置2は、周囲道路形状検出装置12から送られた周囲道路形状情報を周囲道路形状一時記憶部23に一時的に記憶して、運転場面判断部25及び周囲車両走行状態演算部28に送信する。周囲車両位置検出装置11から送信される相対的位置情報と周囲道路形状検出装置12から送信される周囲道路形状情報とは、同期して送信される。
【0029】
運転場面判断部25は、周囲道路形状一時記憶部23に記憶された周囲道路形状情報に基づいて現在自車両が直面している運転場面を判断する。運転場面判断部25は、自車両を基準に、予め設定した範囲内の道路形状から、合流地点、通常の直進状態といった自車両の運転場面を判断する。例えば、優先情報設定記憶部31に記憶されている優先設定情報が、合流地点で優先してディスプレイ1に表示を行うと設定されている場合、合流地点との判断をしやすくする。この運転場面判断部25で判断された運転場面情報は、周囲車両選択部24及び道路線形上の距離算出部26に供給される。
【0030】
周囲車両選択部24は、運転場面判断部25により判断された現在の運転場面、表示範囲設定記憶33に記憶された表示範囲設定情報に基づいて、自車両の周囲で走行する他車両のうち表示する必要がある他車両の選択結果を示す必要情報を選択する。例えば、自車両の運転場面が一般道である場合、情報提示するために必要となる周囲の他車両は、表示範囲で特定された距離内に存在し且つ同一道路を走行中の他車両を表示する必要情報を作成する。また、自車両が合流地点にさしかかる運転場面の場合、表示する必要がある他車両は、自車両が走行中の道路(ランプ、加速車線)ではなく、本線側の他車両のうち表示範囲で特定された距離内に存在する他車両を表示する必要情報を作成する。この必要情報は、選択された他車両の相対的位置情報として道路線形上の距離算出部26に供給される。
【0031】
道路線形上の距離算出部26は、道路形状補正設定記憶部32に記憶された道路形状補正設定情報が道路形状に応じた距離の補正を行うとされている場合に、道路形状により周囲の他車両の表示を補正するために、道路形状による相対的な距離の誤差を低減させる。道路線形上の距離算出部26は、道路形状補正設定記憶部32に記憶された道路形状補正設定情報と、運転場面判断部25により判断された運転場面とに基づき、周囲車両選択部24で選択された他車両の相対的位置情報(必要情報に含まれる)から、道路線形上における自車両と他車両との相対的な距離(道程の距離)を算出する。これは、車両位置画像作成部41で表示映像100の元となる画像を作成する際に、道路形状を補正して直線状態に変換した上で、画像を作成するためである。道路を直線状態に変換するのは、ディスプレイ1の表示画面の幅方向が制限されているために、実際の道路形状に合わせて曲線状に表示した場合には、表示可能な範囲から外れることを防止するためである。また、道路形状が曲線状である場合のみならず、合流場面である場合、加速車線(ランプを含む)と本線の走行方向とは角度を有するために、自車両と他車両との距離の補正が必要となる。
【0032】
運転者が設定する表示範囲(表示する後方範囲)によっては、道路形状の補正を必要としない場合もある。道路形状の補正を行わない場合は、横方向の情報も運転に有効な情報となる場合があるので、本実施例では、道路形状の補正の有無は運転者によって提示情報設定操作装置6及び道路形状補正設定記憶部32によって、運転者による設定を可能としている。道路形状の横方向の情報も運転に有効な情報となる場合とは、情報提示範囲が車両近接部である時に、本実施例のようにサイドミラー5の周辺部にディスプレイ1を設けることにより、サイドミラー5によって把握される後側方の車両と、ディスプレイ1により提示される車両位置情報との対応が容易になる場合である。このように道路形状の横方向の情報もディスプレイ1に表示することにより、サイドミラー5を通して見える他車両の左右方向の挙動と同期してディスプレイ1に表示を更新させるため、他車両に対する把握性を向上させる。
【0033】
このように、道路線形上の距離算出部26によって算出された道路形状に応じた他車両ごとの相対的位置情報は、画像加工部27の車両位置画像作成部41に送られる。
【0034】
車両位置画像作成部41は、道路形状に応じた他車両ごとの相対的位置情報に基づいて、自車両位置を基準とした周囲車両の相対位置にマーキング(車両位置にアイコン布置)した画像を作成する。この画像の画像作成範囲は、表示範囲設定記憶33に記憶された表示範囲設定情報を基に自車両進行方向における範囲が決められる。この画像は、サイドミラー5を視認した時に運転者の周辺視野で表示映像100を表示させるために、サイドミラー5の視認時の視線方向と直交した視線方向の画像となる。この車両位置画像作成部41によって作成された画像データは、周波数フィルタリング処理部42に送られる。
【0035】
周波数フィルタリング処理部42は、車両位置画像作成部41により作成された画像に対して、運転者がサイドミラー5を注視した時の視野周辺部位で運転者にコントラスト感度が得られる時間周波数及び空間周波数であって、時間的なエッジ及び空間的なエッジのない時間周波数及び空間周波数の範囲の周波数成分からなるフィルタリング処理を行う。
【0036】
ここで、人間の視覚特性として、視野周辺部において移動する視覚情報(画像)がある場合、特定の時間周波数帯域内において空間周波数の高い視覚情報が存在すると、その視覚情報に注意が引かれる。通常、視線方向において他に注意を向ける対象物がない場合、当該注意をひきつけられる箇所と視線移動方向とは略一致し、その情報に視線移動が誘発される。言い換えると、運転者が能動的に注意を向ける強さ(誘目性の度合い)と、受動的に注意が引かれる強さとの相対的なバランスにより視線が向けられる箇所が変わり、視野周辺部に注意が引かれる視覚情報があると、能動的に注意を向けて視覚情報を得ようとしている視認行為に対してディストラクションとなることを意味している。
【0037】
したがって、運転者の中心視でサイドミラー5を視認している時に、ディスプレイ1に視線を誘目させずに周辺視野でディスプレイ1の表示内容を把握させる場合、ディスプレイ1への視線移動が誘発されないように周辺視野で提供する情報提供の強度をコントロールする必要がある。この車両用表示装置では、情報提供の強度をコントロールするために表示映像100における空間周波数のフィルタリング処理を行っている。
【0038】
周波数フィルタリング処理部42は、ディスプレイ1に表示させる表示映像100に対して、運転者の周辺視野における空間周波数及び時間周波数の感度を示すコントラスト感度特性に応じてフィルタリング処理を行い、表示映像100内の情報提供の強度をコントロールする。このフィルタリング処理においても、運転者のスキルや好みによって設定を変えられるように、フィルタリング設定記憶部34に保存されたフィルタリング設定情報に基づき、フィルタリングの設定を変えられる。なお、この周波数フィルタリング処理部42によるフィルタリング処理は、後に詳述する。フィルタリング処理された画像は対応車両補助情報重畳加工部43に送られる。
【0039】
対応車両補助情報重畳加工部43は、対応車両補助情報重畳加工部43から送られた画像に、中心視で視認されるサイドミラー5の視認対象物と、周辺視野で視認されるディスプレイ1の視認対象物とが、対応した視認対象物であることを認識しやすくするための識別情報を重畳表示させる。対応車両補助情報重畳加工部43は、対応車両表示設定記憶部35に記憶された車両表示設定情報が対応関係を表示すると設定されている場合に動作する。
【0040】
対応車両補助情報重畳加工部43は、例えば、サイドミラー5とディスプレイ1とで提示される同一の視認対象物(他車両)を、色、形(パターン)等を一致させた画像を識別情報として重畳させる。この対応車両補助情報重畳加工部43で対応関係を示す識別情報が重畳された画像は、周囲車両状態情報重畳加工部44に送られる。また、対応車両補助情報重畳加工部43は、予め対応車両表示設定記憶部35に記憶された対応車両表示設定情報を参照して、サイドミラー5で視認されている他車両とディスプレイ1内の他車両の対応を示す識別情報の表示形態を変更させる。
【0041】
また、サイドミラー5によって運転者に視認されている他車両と、ディスプレイ1で表示している他車両との対応は、サイドミラー5内のミラー型ディスプレイに表示させても良く、この例については、後に詳述する。
【0042】
周囲車両走行状態演算部28は、道路線形上の距離算出部26で算出された道路線形上の相対的位置情報とから、周囲の他車両の走行状態を演算する。この他車両の走行状態としては、自車両と他車両との相対車速、車間距離、当該車間距離を相対車速で除した値のTTC(time-to-collision)、車間時間であるTHW(time-headway)、車種等が挙げられる。周囲車両走行状態演算部28は、例えば、道路線形上の距離算出部26で相対的な距離が算出される各サンプリング時刻の距離から、相対距離を判断し、その差分値を基に相対速度を判断し、相対距離と相対速度を基にTTCを判断する。
【0043】
周囲車両状態情報重畳加工部44は、対応車両補助情報重畳加工部43からの画像に、周囲車両の走行状態の把握をしやすくするために、走行状態に応じて周囲車両状態の把握を支援する周囲車両状態情報を重畳する。周囲車両状態情報重畳加工部44は、周囲車両状態情報表示設定記憶部36に記憶された周囲車両状態情報が周囲車両状態情報を表示すると設定されている場合に動作する。
【0044】
周囲車両状態情報としては、相対車速、車間距離、TTC、THW、車種などを表す情報を画像の重畳する。この周囲車両状態情報重畳加工部44で周囲車両状態情報が重畳された画像である表示映像100は、画像出力部29に送られる。これらの周囲車両状態情報は、運転者によって必要とされるものと必要ではないものがあるため、どの情報を提示するかは、周囲車両状態情報表示設定記憶部36に保存された周囲車両状態表示設定情報により運転者によって設定可能にしている。例えば、運転者のスキルによっては、合流場面や車線変更場面時に車間距離のみを把握して運転方法を判断していたり、車速情報を主に把握して運転方法を判断している場合がある。また、運転スキルの高い運転者は、相対車速と車間距離とを組み合わせたTTCにより運転方法を判断していたり、さらに運転スキルの高い運転者は、後側方車両の車種を把握して、その車種に応じて加減速度の変化を予測して運転を実行している。運転スキルの高い運転者では、例えば、スポーツタイプの車種では急加速の可能性があるために、より多くの注意を払い、トラックなどの急加速が行えない車種ではTTCが少ない状況においても合流可能と判断できる。
【0045】
画像出力部29は、画像加工部27の周囲車両状態情報重畳加工部44から送られた表示映像100をディスプレイ1に表示可能な信号形態に変換して、ディスプレイ1に出力して表示映像100を表示させる。
【0046】
つぎに、上述したように構成された車両用表示装置によって、表示映像100をディスプレイ1に表示させる処理手順について、図4のメインルーチンのフローチャート及び図5乃至図11のサブルーチンのフローチャートを参照して説明する。
【0047】
車両用表示装置が起動しており、自車両が走行している場合に、車両用表示装置は、ステップS1〜ステップS11の処理を所定の期間ごとに実行する。
【0048】
先ず車両用表示装置は、ステップS1において、周囲車両位置一時記憶部22によって周囲車両位置検出装置11からの相対的位置情報(相対位置座標)をリアルタイムで入力すると共に、ステップS2において、周囲道路形状一時記憶部23によって周囲道路形状検出装置12からの周囲道路形状情報をリアルタイムで入力する。このとき、周囲車両位置検出装置11及び周囲道路形状検出装置12に略同時にトリガーを掛けて、相対的位置情報と周囲道路形状情報とを同時刻に入力する。
【0049】
次に、車両用表示装置は、ステップS1及びステップS2にて同時刻の相対的位置情報及び周囲道路形状情報が入力されたことに応じて、ステップS3において、提示情報設定操作装置6から、各種の設定情報を提示情報設定操作装置6から読み込んで保存する。
【0050】
次に、車両用表示装置は、ステップS4において、ステップS2で入力した周囲道路形状情報及び優先情報設定記憶部31に記憶された優先設定情報から、ディスプレイ1に表示映像100を表示させる運転場面であることが運転場面判断部25で判断され、周囲車両選択部24によって、ステップS1で入力した相対的位置情報のうち、表示範囲設定記憶33で設定された表示範囲内に含まれる表示映像100で表示させる他車両の相対的位置情報のみを抽出する。
【0051】
次に、車両用表示装置は、ステップS5において、道路線形上の距離算出部26によって、ステップS4で抽出された必要な相対的位置情報から、ステップS2で入力された周囲道路形状に基づいて、道路形状上の距離を算出する。
【0052】
次に、車両用表示装置は、ステップS6において、車両位置画像作成部41により、ステップS2で入力した周囲道路形状情報に基づいて、表示映像100の背景となる道路画像を作成し、ステップS5で得られた道路形状上での距離(表示映像100内での位置)に周囲車両のアイコンを布置した画像を作成する。
【0053】
次に、車両用表示装置は、ステップS7において、周波数フィルタリング処理部42により、ステップS6で作成された画像に、フィルタリング設定記憶部34で設定された空間周波数及び時間周波数でフィルタリング処理を行い、周辺視野内に置かれたディスプレイ1上に提示する視覚情報量をコントロールする。
【0054】
次に、車両用表示装置は、ステップS8において、対応車両補助情報重畳加工部43により、ステップS7でフィルタリング処理が行われた画像中の他車両(視認対象物)のうち、中心視で視認されるサイドミラー5内の視認対象物で一致する他車両に識別情報を重畳させる。
【0055】
次に、車両用表示装置は、ステップS9において、周囲車両状態情報重畳加工部44により、対応車両補助情報重畳加工部43から送られた画像に、周囲車両走行状態演算部28で演算された周囲車両の走行状態により、それらの周囲道路形状情報を重畳させる。
【0056】
次に、車両用表示装置は、ステップS10において、画像出力部29により、周囲車両状態情報重畳加工部44から送られた表示映像100の画像信号を出力し、ディスプレイ1に表示可能な信号を送り出す。
【0057】
次に、車両用表示装置は、ステップS11において、当該車両用表示装置が継続使用されるか否かを電源状態から判断し、車両用表示装置を継続して使用している場合、ステップS1に処理を戻し、車両用表示装置の電源がオフとなっている場合には処理を終了する。
【0058】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS3の運転者の設定情報をドライバ設定情報記憶部21で記憶させるサブルーチンを図5を参照して説明する。
【0059】
先ず、ステップS21において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6からの情報を読み込み、ステップS22において、ドライバ設定情報記憶部21は、車両用表示装置が起動直後で最初に設定情報を読み込んだものか否かを判断する。最初の読み込みである場合には、ステップS24に処理を進める。一方、最初の読み込みではない場合にはステップS23において、既にドライバ設定情報記憶部21に記憶されている設定情報に対して、ステップS21で読み込んだ設定情報が変更されているか否かを判定する。車両用表示装置の使用中に提示情報設定操作装置6の操作によって設定情報の変更があったと判定したステップS23において、ドライバ設定情報記憶部21は、変更があった設定情報を保存するためにステップS24に進め、設定情報の変更が無かった場合には、処理を終了する。
【0060】
次のステップS24において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6にて設定された設定情報の中から、合流地点付近での提供情報を自車両走行車線情報優先にするか、本線走行車両優先にするかの設定情報を抽出し、抽出した設定情報を優先情報設定記憶部31に記憶する。
【0061】
次のステップS25において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6にて設定された設定情報の中から、道路の線形形状が直線状ではなく曲率を有していた場合に道路形状の補正を行うか、また、合流地点での道路形状に沿った道路形状の補正を行うかについての道路形状補正設定情報を抽出し、抽出した道路形状補正設定情報を道路形状補正設定記憶部32に記憶する。
【0062】
次のステップS26において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6にて設定された設定情報の中から、表示対象とする隣接車線数の数と、表示対象とする前後方向の距離範囲の設定情報を抽出し、抽出した設定情報を表示範囲設定記憶33に記憶する。
【0063】
次のステップS27において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6にて設定された設定情報の中から、画像に対するフィルタリング処理の有無、及び、空間周波数フィルタリング特性と時間周波数フィルタリング特性の設定情報を抽出し、抽出した設定情報をフィルタリング設定記憶部34に記憶する。
【0064】
次のステップS28において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6にて設定された設定情報の中から、運転者の中心視で視認されるサイドミラー5内の視認対象物と、周辺視野で視認されるディスプレイ1内の視認対象物とが、対応した視認対象物であることを認識しやすくするための情報を提示するかについての設定情報を抽出し、抽出した設定情報を対応車両表示設定記憶部35に記憶する。
【0065】
次のステップS29において、ドライバ設定情報記憶部21は、提示情報設定操作装置6にて設定された設定情報の中から、車両の走行状態に応じた視覚補助表示を行うかについての設定情報を抽出し、抽出した設定情報を周囲車両状態情報表示設定記憶部36に記憶する。
【0066】
このように、ドライバ設定情報記憶部21によって、ステップS21〜ステップS29の処理を行うことにより、提示情報設定操作装置6によって設定情報が生成されたことに応じて、各記憶部31〜36の設定情報を更新できる。
【0067】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS4の道路形状に基づいて表示する必要がある他車両の相対的位置情報(必要車両データ)を選択するサブルーチンを図6を参照して説明する。
【0068】
先ずステップS31において、周囲車両選択部24は、表示範囲設定記憶33に記憶された表示対象となる隣接車線数と前後方向の範囲の設定情報を呼び出す。
【0069】
次のステップS32において、周囲車両選択部24は、運転場面判断部25から運転場面の判断結果を入力し、ステップS31で呼び出した範囲(距離)内に、合流地点があるか否かを判断する。合流地点がある場合には、ステップS33に処理を進め、無い場合にはステップS37に処理を進める。
【0070】
ステップS33において、周囲車両選択部24は、合流地点がある場合において、自車両が走行中の加速車線が1車線道路か複数車線道路であるかを判断する。自車両が複数車線道路を走行している場合には、合流地点近辺であっても同一道路(加速車線)上の周囲車両を情報提示することを望む場合があるため、その判断を行うためにステップS34に処理を進める。一方、自車両が走行している加速車線が1車線道路の場合には、本線道路における表示映像100を表示するものと判断して、ステップS36に処理を進める。
【0071】
ステップS34においては、運転場面判断部25により、合流地点付近、且つ、加速車線(ランプ)が複数車線道路であるので、運転者が加速車線側を含む表示映像100を優先させるか、本線側(合流先道路)を含む表示映像100を優先させるかの優先設定情報を優先情報設定記憶部31から呼び出す。
【0072】
ステップS35において、運転場面判断部25は、ステップS34にて呼び出した設定情報を基に、優先設定情報を判断し、本線を走行している他車両を優先して表示映像100で表示させる場合にはステップS36に進み、自車両が走行している道路の他車両を優先して表示映像100で表示させる場合にはステップS37に進む。
【0073】
ステップS36において、周囲車両選択部24は、合流地点における本線(合流先)道路を走行している他車両の相対的位置情報を選択するために、周囲車両位置一時記憶部22から送られた他車両の相対的位置情報のうち、自車両が走行している加速車線に隣接する本線の相対的位置情報を選択する。
【0074】
ステップS37において、周囲車両選択部24は、自車両と同じ道路又は加速車線を走行している他車両の相対的位置情報を選択する。
【0075】
このように、周囲車両選択部24は、優先情報設定記憶部31及び表示範囲設定記憶33に記憶されている設定情報、運転場面判断部25で判断した運転場面に応じて、表示映像100内に優先して表示させる他車両の相対的位置情報を選択できる。
【0076】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS5の道路形状に基づいて他車両との距離を補正するサブルーチンを図7を参照して説明する。
【0077】
先ずステップS41において、道路線形上の距離算出部26は、道路形状補正設定記憶部32から道路形状の補正の道路形状補正設定情報を呼び出す。
【0078】
次のステップS42において、道路線形上の距離算出部26は、ステップS41で呼び出した設定情報を用いて、道路形状に応じた距離補正を行うか否かを判断する。道路形状に応じた距離補正を行う場合には、ステップS43に進み、道路形状に応じた距離補正を行わない場合はサブルーチンを終了する。
【0079】
ステップS43において、道路線形上の距離算出部26は、表示範囲設定記憶33から表示範囲(距離)の設定情報を呼び出す。
【0080】
次のステップS44において、道路線形上の距離算出部26は、運転場面判断部25から運転場面の判断結果を入力し、ステップS43で呼び出した範囲(距離)内に、合流地点があるか否かを判断する。合流地点がある場合には、ステップS45に処理を進め、無い場合にはステップS52に処理を進める。
【0081】
ステップS45において、道路線形上の距離算出部26は、合流地点がある場合において、自車両が走行中の加速車線が1車線道路か複数車線道路であるかを判断する。自車両が複数車線道路を走行している場合には、合流地点近辺であっても同一道路(加速車線)上の周囲車両を情報提示することを望む場合があるため、その判断を行うためにステップS46に処理を進める。一方、自車両が走行している加速車線が1車線道路の場合には、本線道路における表示映像100を表示するものと判断して、ステップS48に処理を進める。
【0082】
ステップS46においては、運転場面判断部25により、合流地点付近、且つ、加速車線(ランプ)が複数車線道路であるので、運転者が加速車線側を含む表示映像100を優先させるか、本線側(合流先道路)を含む表示映像100を優先させるかの設定情報を優先情報設定記憶部31から呼び出す。
【0083】
ステップS47において、運転場面判断部25は、ステップS46にて呼び出した設定情報を基に、優先設定情報を判断し、本線を走行している他車両を優先して表示映像100で表示させる場合にはステップS48に進み、自車両が走行している道路の他車両を優先して表示映像100で表示させる場合にはステップS52に進む。
【0084】
ステップS48において、道路線形上の距離算出部26は、合流地点の道路形状が、図12(a)に示す平行式か図12(b)に示す直接式かを判断する。図12(a)に示す平行式の合流地点の場合、時刻T1における自車両50は、本線に平行して走行して、時刻T2における加速車線の終了点の手前で本線に進入する。一方、図12(b)に示す直線式の合流地点の場合、時刻T1における自車両50は、本線に対して斜め方向に走行して、時刻T2における加速車線の終了点の手前で本線に進入する。合流地点における平行式の場合にはステップS49に進み、平行式で無く直接式である場合には、ステップS50に進む。
【0085】
ステップS49において、道路線形上の距離算出部26は、平行式での合流地点の道路形状に基づく道路線形上での他車両との距離算出を行う。図12(a)に示すように、自車両が進入する本線と自車両が走行している加速車線(合流車線)とが平行になった地点が一致する地点を基準点として本線と加速車線との相対距離(座標)を算出する。すなわち、自車両50が時刻T1に位置する地点に直交するラインを距離補正の基準位置として自車両50と走行車線後車51、52との距離を補正する。
【0086】
ステップS50において、道路線形上の距離算出部26は、直接式での合流道路形状に基づく道路線形上での他車両との距離算出を行う。図12(b)に示すように、自車両が進入する本線と自車両が走行している加速車線(合流車線)とが交差する地点を基準点として本線と加速車線との相対距離(座標)を算出する。すなわち、合流車線と本線とが交差する地点に直交するラインを距離補正の基準位置として自車両50と走行車線後車51、52との距離を補正する。
【0087】
ステップS49又はステップS50の次のステップS51において、道路線形上の距離算出部26は、ステップS49又はステップS50で算出した相対的位置(座標)に基づき、周囲車両選択部24から送られた相対的位置情報を修正する。
【0088】
ステップS52において、道路線形上の距離算出部26は、図13に走行状態の一例を示すように、自車両が走行している道路(加速車線上)の線形形状に合わせて、周囲車両の距離補正を行う。すなわち、曲線道路を走行している場合に、周囲車両に対する直線距離から、実際の道路形状に応じた道路線形上の距離に補正する。
【0089】
このように、道路線形上の距離算出部26は、合流地点、加速車線の車線数、加速車線の形状などの道路形状に応じて相対的位置情報を補正して、一次元のディスプレイ1における他車両の相対的位置とすることができる。
【0090】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS6のディスプレイ1に提示する画像を作成するサブルーチンを図8を参照して説明する。
【0091】
先ず画像加工部27の車両位置画像作成部41は、ステップS61において、表示範囲設定記憶33から表示範囲の設定情報を呼び出し、次のステップS62において、道路形状補正設定記憶部32から、道路形状による補正の道路形状補正設定情報を呼び出す。
【0092】
次のステップS63において、車両位置画像作成部41は、ステップS62で呼び出した道路形状による補正の設定情報に基づき、直線状に道路形状を補正して表示するか、補正せずに表示を行うかを判断する。道路形状を補正して表示を行う場合は、ステップS64に進み、道路形状を補正して表示を行わない場合はステップS66に進む。
【0093】
ステップS64において、車両位置画像作成部41は、ステップS61で呼び出した表示範囲内で、周囲道路形状一時記憶部23から周囲道路形状情報を直線に補正して、周囲の道路形状を布置する元となる道路形状の画像データを作成する。
【0094】
次のステップS65において、車両位置画像作成部41は、ステップS64で作成した道路形状の画像データに、道路線形上の距離算出部26で補正された周囲車両の相対的位置情報に対応した画像内位置に他車両を布置する画像処理を行う。
【0095】
ステップS66において、車両位置画像作成部41は、ステップS61で呼び出した表示範囲内で、周囲の道路形状を布置する元となる道路形状の画像データを作成する。この場合、ステップS63において道路形状の補正を行わないことが判断されているために、車両位置画像作成部41は、周囲道路形状一時記憶部23に記憶された周囲道路形状情報から、実環境における道路形状を示す画像データを作成する。
【0096】
次のステップS67において、車両位置画像作成部41は、ステップS64で作成した道路形状の画像データに、センシングされた周囲車両の位置情報に基づいた画像内位置に車両位置画像データを布置する。
【0097】
このように、車両位置画像作成部41は、周囲道路形状一時記憶部23に記憶された周囲道路形状情報を、ディスプレイ1に直線状に表示するために補正した画像データを作成し、当該画像データに、相対的位置情報に対応した他車両を示す画像を重畳させることができる。
【0098】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS7のフィルタリングを行うサブルーチンを図9を参照して説明する。
【0099】
先ずステップS71において、周波数フィルタリング処理部42は、フィルタリング設定記憶部34からフィルタリング処理の設定情報を呼び出す。
【0100】
次のステップS72において、周波数フィルタリング処理部42は、ステップS71で呼び出したフィルタリング処理の設定情報から、車両位置画像作成部41で作成された画像データにフィルタリング処理を行うか否かを判断する。フィルタリング処理を行う場合、ステップS73に進み、処理を行わない場合はサブルーチンを終了する。
【0101】
ステップS73において、周波数フィルタリング処理部42は、ステップS71で呼び出したフィルタリング処理の設定情報から、空間周波数フィルタ特性が設定されているか否かを判断する。空間周波数フィルタリング特性が設定されている場合にはステップS74に進み、空間周波数フィルタリング特性に応じた空間周波数フィルタリング処理を行い、設定されていない場合にはステップS75に進み、デフォルト値による空間周波数フィルタリング処理を行う。
【0102】
ステップS76において、周波数フィルタリング処理部42は、ステップS71で呼び出したフィルタリング処理の設定情報から、時間周波数フィルタ特性が設定されているか否かを判断する。時間周波数フィルタリング特性が設定されている場合にはステップS77に進み、当該時間周波数フィルタリング特性に応じたフィルタリング処理を行い、設定されていない場合にはステップS78に進み、デフォルト値による時間周波数フィルタリング処理を行う。
【0103】
このようなフィルタリング処理によれば、例えば図14(a)に示すような画像が車両位置画像作成部41で作成された場合に、空間周波数フィルタリング及び時間周波数フィルタリングを行うことによって図14(b)に示すような画像データとする。
【0104】
フィルタリング処理は、視野周辺部位における表示映像100に含まれる空間周波数に対して運転者が情報としてどの程度認知できるかという視認分解能、表示映像100の視野周辺部位における時間周波数に対して運転者が情報としてどの程度認知できるかという視認分解能を利用している。すなわち、フィルタリング処理は、運転者が情報として読み取り可能な視野範囲が表示映像100の空間周波数及び時間周波数によって変化することを利用して、視野周辺部位で読み取り可能と判断できる空間周波数及び時間周波数の範囲を設定しておく。そして、当該空間周波数及び時間周波数の範囲に該当する表示映像100を、運転者の周辺視野に表示させて情報として伝達している。
【0105】
これによって、運転者が車両走行方向である前方を注視する必要があるような眼球運動を誘発することが望ましくない運転場面で情報提示を行いたいときに、上述の条件を満たすような時間周波数及び空間周波数の表示映像100を表示させる。
【0106】
つぎに、視野範囲の部位によって変化する視覚特性の差異を説明する。
【0107】
時間周波数が0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzと変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの上方向の離心角(0度〜50度)ごとにどのように変化するかを図15(a)、図15(b)、図15(c)に示す。また、時間周波数が0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzと変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの左右方向の離心角(0度〜50度)ごとにどのように変化するかを図16(a)、図16(b)、図16(c)に示す。更に、時間周波数が0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzと変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの下方向の離心角(0度〜50度)ごとにどのように変化するかを図17(a)、図17(b)、図17(c)に示す。
【0108】
この図15乃至図17は、運転者による実測結果に基づいており、2名の運転者に対して、同じ輝度の表示映像を提示し、コントラスト感度を測定し、運転者ごとにコントラスト感度の最大値で標準化し、また、空間周波数は標準化したコントラスト感度0.01を有する最大空間周波数で標準化した後、視野周辺部位によるコントラスト感度が連続的に変化するという仮定のもとで離心角毎に求めた回帰曲線である。また、離心角は、0度が視野中心であり、当該視野中心から離れるほど、5度、10度、20度、30度、50度、70度、90度と大きくなる。
【0109】
図15乃至図17における横軸は、空間周波数であり、表示映像100一枚内における空間的な輝度変化の荒さ及び細かさを表す。また、時間周波数は、任意の表示映像100内位置における輝度変化の速さを表し、表示映像100の切り換え間隔(フレーム間隔)に依存する。
【0110】
図15乃至図17における縦軸は、コントラスト感度であり、各表示映像100の空間内において正弦波的に輝度が変化する表示映像100において、輝度変化が視認できる最小のコントラスト((最大輝度−最小輝度)/(最大輝度+最小輝度))の逆数である。
【0111】
更に、図15乃至図17において、縦軸の数値は、コントラスト((最大輝度−最小輝度)/(最大輝度+最小輝度))の逆数で求めた最大値のコントラスト感度を1として標準化した数値である。また、横軸の数値は、コントラスト感度として検出される最も高い空間周波数(カットオフ周波数の最大値)を1として標準化した数値である。
【0112】
図15乃至図17の全体で見ると、時間周波数が低い条件(0.57 Hz)、且つ、中心視(離心角0度)である場合には、コントラスト感度が空間周波数に対してバンドパス型の特性となっている。一方、時間周波数が中程度の条件(2.28Hz)及び時間周波数が高い条件(9.12Hz)である場合、及び、離心角が中心視ではない条件(5度〜90度)である場合には、コントラスト感度が空間周波数に対してローパス型の特性になっている。
【0113】
すなわち、時間周波数が低く且つ中心視である条件でのみ、空間周波数に対するコントラスト感度のピーク値が存在し、他の条件では、空間周波数が低いほどコントラスト感度が高い。換言すれば、運転者の視野中心で表示させている表示映像100の輝度変化の速さが遅い場合には、運転者にとって最も表示映像100が正確に視認される空間周波数帯が存在する。
【0114】
また、図15乃至図17において、離心角が増加するに従って、全ての方位において、コントラスト感度の値が0.01となる空間周波数であるカットオフ周波数が低下している(視力の低下)。すなわち、視野中心からの方位に拘わらず、視野中心から離れた位置に表示されるほど、空間周波数が高く輝度変化が細かい表示映像100が視認できなくなる。
【0115】
更に、図15乃至図17において、離心角が増加するに従って、全ての方位において、最大のコントラスト感度の低下が起こっている。すなわち、視野中心からの方位に拘わらず、視野中心から離れた位置に表示されるほど、空間周波数が低い表示映像100であっても視認しにくくなる。
【0116】
つぎに、実測値に基づいた図15乃至図17のように、時間周波数が変わった場合に、空間周波数に対するコントラスト感度が、視野中心からの上下左右方向の離心角(0度〜90度)ごとにどのように変化するかを計算によって求めることができる。
【0117】
この計算方法としては、時間周波数が低い状態且つ離心角が0度のバンドパス型の特性を除く、ローパス型の特性を算出する。このローパス型のコントラスト感度の特性を求める関数は、下記の式1に示すように、
S=1−EXP(−EXP(−(Fs−Pp)/Sp)) (式1)
で表現される。この式1において、S(Contrast Sensitivity)はコントラスト感度を示し、Fs(Spatial Frequency)は空間周波数である。また、式1におけるパラメータSp(Spread Parameter)は式2で表され、パラメータPp(Position Parameter)は式2で表される。
【0118】
Sp=(S1+S2)×Ec^S3 (式2)
Pp=(P1+P2)×Ec^P3 (式3)
ここで、式2,式3におけるEc(Eccentricity)は、網膜離心角[Deg]であり、S1,S2,S3及びP1,P2,P3は、時間周波数及び視野中心に対する方位によって決まる値が代入される。
【0119】
そして、離心角Ecの値を連続的に変化させてコントラスト感度Sを求めることによって、図15乃至図17における離心角ごとのコントラスト感度の特性に対して、図15乃至図17に存在しない離心角での空間周波数に対するコントラスト感度の値を補間することができる。
【0120】
なお、時間周波数が低い状態且つ離心角が0度のバンドパス型の特性を求める計算方法は、下記の式4に示すように、
S=-0.015777+0.8141×EXP(-POWER(LOG10(Fs)+1.513,2)/POWER(0.815,2)) (式4)
で表現される。この式4において、空間周波数Fsは、中心視の視力に対応した空間周波数であり、コントラスト感度Sは、最大感度を1として標準化した数値として算出できる。
【0121】
次に、図18(a)〜(c)に、時間周波数がそれぞれ0.57Hz,2.28Hz,9.12Hzである場合に、最大感度の10%のコントラスト感度を有する視野範囲を空間周波数毎に示す。
【0122】
この図18における縦軸及び横軸は、視野の垂直軸及び水平軸に対応し、ディスプレイ1とサイドミラー5との距離に相当する離心角を表している。また、図18においては、図15と同様に、0〜1の範囲で標準化した空間周波数の値(最小値0.025)を示している。なお、図18における空間周波数の数値は、中心視の視力Va(視角の分で標記した最小分離値の逆数)に対応した、運転者が視認できる空間周波数Faを1とした時の値である。ここで、空間周波数Fa=30Va(Visual Acuiy:視力)であるから、視力0.7のときには、運転者が視認できる空間周波数Fa=21cpd(cycles per degree)となる。なお、図18中における数値が例えば0.025である場合には、0.025×21=0.53cpdを表す。
【0123】
また、この図18に示す視野範囲の変化についても、運転者による視野範囲の変化に対する実測定値に基づいており、実測定値のない方位に関しては、隣接する方位間で楕円を回帰させている。
【0124】
この図18(a)、(b)、(c)を見ると、時間周波数の変化に拘わらず、上方向の視野において、10%というコントラスト感度が得られる範囲が狭くなっている。この図18から、空間周波数に対する視認可能な視野範囲を推定できる。すなわち、視野中心部において視認可能な空間周波数は、図18(a)〜(c)に示すように、0.40,0.24,0.16と時間周波数の上昇と共に低下するが、視野周辺部でも視認可能な低い空間周波数は、中程度の時間周波数の条件(2.28 Hz)であって最も広範囲で視認可能である。
【0125】
このように時間周波数の条件及び空間周波数の条件によって、視認範囲が変化する。図19に、時間周波数の変化によって、視認可能な範囲である離心角がどのように変化するかを空間周波数ごとに推定した結果を示す。この図19において、横軸は時間周波数であり、縦軸は離心角である。この図19より、空間周波数が低下するに従ってコントラスト感度が得られる離心角が大きくなり、コントラスト感度が得られる視認可能な視野範囲が広くなることが分かり、空間周波数が低いほど離心角のピーク値に相当する最適な時間周波数が高くなる傾向がある。
【0126】
このように、図15乃至図19に示したような視覚特性から、運転者にとって視認可能な視野範囲を設定した時、表示映像100の時間周波数の条件及び空間周波数の条件の組合せを決定することができる。
【0127】
すなわち、運転者の視野範囲の任意の部位において、図15に示したようなコントラスト感度を有する最も高い空間周波数(カットオフ周波数)より低い空間周波数、且つ、当該空間周波数に対する時間周波数が図19に示す最適な時間周波数から±0.5logunitの範囲の時間周波数を決定する。そして、正弦波を基調とした時間的空間的輝度変化(フーリエ成分)から構成される表示映像100を表示させることによって、運転者の視野範囲の任意の部位において視認可能な表示映像100を提示することができる。
【0128】
換言すれば、特定の視野周辺部位におけるカットオフ周波数の空間周波数以下の空間周波数成分の条件(図15参照)と、当該空間周波数での離心角のピーク値が得られる最適な時間周波数から±0.5logunitの範囲であるという時間周波数の条件(図19参照)との双方の条件を満たす表示映像100を生成するフィルタリング処理を周波数フィルタリング処理部42で行う。
【0129】
これによって、周波数フィルタリング処理部42は、運転者に映像を提示することによって情報を伝達するに際して、標準的な姿勢にある場合の運転者の中心視野から離れた視野周辺部位に対して、当該視野周辺部位で運転者のコントラスト感度が得られる時間周波数及び空間周波数であって、時間的なエッジ及び空間的なエッジのない時間周波数及び空間周波数の範囲の周波数成分からなる映像である表示映像100を表示させる。
【0130】
すなわち、表示映像100内の縦方向又は横方向、又は任意の斜め方向において正弦波状に輝度変化された複数の画像を時間周波数に従って連続的に切り換えて表示映像100を表示させる時の各画像の空間周波数を、視野周辺部位での運転者のコントラスト感度が0.01などの所定値まで小さくなるカットオフ周波数以下の範囲とする。同時に、時間周波数を、運転者の中心視野から離れた視野周辺部位が最も広くなる最適時間周波数から±0.5logunitの範囲とする。
【0131】
このように、周波数フィルタリング処理部42は、運転者がサイドミラー5を視認している時の視点と、ディスプレイ1の位置との位置関係から、運転者がサイドミラー5からディスプレイ1に視線を誘目する空間周波数成分及び時間周波数成分を含まないように表示映像100に対してフィルタリング処理を施すことができる。また、図14(b)に示すように、運転者の誘目性が低い範囲内で、サイドミラー5からの距離が小さく離心角が小さいディスプレイ1部分では、コントラストが高い状態(空間周波数:高)での他車両表示111を行い、サイドミラー5からの距離が大きく離心角が大きいディスプレイ1部分では、コントラストが低い状態(空間周波数:低)での他車両表示112などを行うこともできる。また、図14(b)に示す表示映像100において、図19に示す空間周波数と時間周波数との関係に従ってディスプレイ1部分に対する空間周波数に応じた時間周波数のフィルタリングを行うことができる。
【0132】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS8の対応車両の補助情報を重畳するサブルーチンを図10を参照して説明する。
【0133】
先ずステップS81において、対応車両補助情報重畳加工部43は、対応車両表示設定記憶部35から、対応車両表示設定情報を読み込む。
【0134】
次のステップS82において、対応車両補助情報重畳加工部43は、ステップS81で読み込んだ対応車両表示設定情報に基づき、対応車両補助表示を行うか否かを判断し、対応車両補助表示を行う場合にはステップS83に進み、行わない場合にはサブルーチンを終了する。
【0135】
ステップS83において、対応車両補助情報重畳加工部43は、周囲車両位置一時記憶部22から他車両の相対的位置情報を読み込む。
【0136】
ステップS84において、対応車両補助情報重畳加工部43は、ステップS83で読み込んだ相対的位置情報に基づいて、周波数フィルタリング処理部42でフィルタリング処理が施された画像中の他車両と同じ位置付近に識別情報を重畳する。
【0137】
次のステップS85において、対応車両補助情報重畳加工部43は、周囲道路形状一時記憶部23から周囲道路形状情報を呼び出す。
【0138】
次のステップS86において、対応車両補助情報重畳加工部43は、ステップS85で呼び出した周囲道路形状情報から、各周辺車両がサイドミラー5で視認可能な状態にあるか否かを判断する。この場合、対応車両補助情報重畳加工部43は、サイドミラー5の角度と、周囲道路形状情報と、ステップS83で読み出した相対的位置情報とから、現在サイドミラー5で視認されている他車両の相対的位置情報を取得して、サイドミラー5で視認されている他車両がある場合にはステップS87に進み、サイドミラー5で視認されている他車両がない場合にはサブルーチンを終了する。
【0139】
ステップS87において、対応車両補助情報重畳加工部43は、サイドミラー5で視認されている他車両の相対的位置情報を選択する。
【0140】
次のステップS88において、対応車両補助情報重畳加工部43は、ステップS87で選択された他車両と対応するサイドミラー5上に重畳表示された識別情報と同種の識別情報を作成する。
【0141】
ステップS89において、対応車両補助情報重畳加工部43は、ステップS88で作成された識別情報を含む画像を周囲車両状態情報重畳加工部44に送る。
【0142】
このように、対応車両補助情報重畳加工部43は、周波数フィルタリング処理部42でフィルタリング処理が施された画像に含まれる他車両と、サイドミラー5で視認されている他車両との対応関係を把握させる識別情報を画像内に重畳させることができる。例えば、サイドミラー5で視認されている他車両の車体色が赤である場合には、当該他車両を示す画像を赤色に変換させることによって、対応関係を把握させやすくする。
【0143】
つぎに、上述のメインルーチンにおけるステップS9の周囲車両の走行状態の補助情報を画像に重畳するサブルーチンを図11を参照して説明する。
【0144】
先ずステップS91において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、周囲車両状態情報表示設定記憶部36から、周囲車両の走行状態に基づき、その把握性を向上させるための周囲車両状態情報を重畳表示させるか否か、また、重畳表示を行わせる場合の設定仕様を示す周囲車両状態情報を読み出す。
【0145】
次のステップS92において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS91で呼び出した周囲車両状態情報を参照して、周囲車両状態補助表示を行うか否かを判断し、補助表示を行う場合はステップS93に進み、行わない場合はサブルーチンを終了する。
【0146】
ステップS93において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、道路線形上の距離算出部26で距離が補正された相対的位置情報を呼び出す。
【0147】
次のステップS94において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS91で呼び出した周囲車両状態情報をもとに、車間距離に応じた補助表示を行うか否かを判断し、補助表示を行う場合にはステップS95に進み、行わない場合はステップS97に進む。
【0148】
ステップS95において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS93で読み込んだ相対的位置情報に基づく車両位置(車間距離)を示す仕様の補助表示を行うと判断する。次のステップS96において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS95で判断した車間距離を自車両と他車両との対応位置に重畳表示を行う。
【0149】
次のステップS97において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS91で呼び出した周囲車両状態情報をもとに、車速の補助表示を行うか否かを判断する。車速の補助表示を行う場合にはステップS98に進み、車速の補助表示を行わない場合はステップS101に進む
ステップS98において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、車両位置の時系列変化から車速を算出する。次のステップS99において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS98で算出した車速情報により、その車速に対応した仕様の表示をすると判断し、ステップS100において、ステップS99で選択した表示仕様に従って、自車両と重なるように車速情報を重畳する。
【0150】
ステップS101において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS91で呼び出した周囲車両状態情報をもとに、TTCの補助表示を行うか否かを判断し、TTCの補助表示を行う場合にはステップS102に進み、行わない場合にはステップS105に進む。
【0151】
周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS102において、相対位置と相対車速からTTCを算出し、ステップS103において、ステップS102で算出したTTC情報により、当該TTCに対応した仕様の表示をすると判断し、ステップS104において、ステップS103で選択した表示仕様に従って、自車両と重なるようにTTCを重畳する。
【0152】
ステップS105において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS91で呼び出した周囲車両状態情報をもとに、THWを示す補助表示を行うか否かを判断し、THWを示す補助表示を行う場合にはステップS106に進み、THWを示す補助表示を行わない場合にはステップS109に進む。
【0153】
周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS106において、相対位置と周囲車両の車速からTHWを算出し、ステップS107において、ステップS106で算出したTHW情報により、そのTHWに対応した仕様の表示をすると判断し、ステップS108において、ステップS107で選択した表示仕様に従って、車両と重なるようにTHWを示す補助表示を重畳させる。
【0154】
ステップS109において、周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS91で呼び出した周囲車両状態情報をもとに、リスク度の補助表示を行うか否かを判断し、リスク度の補助表示を行う場合にはステップS110に進み、リスク度の補助表示を行わない場合にはサブルーチンを終了する。
【0155】
周囲車両状態情報重畳加工部44は、ステップS110において、TTCとTHWからリスク度を算出し、ステップS111において、ステップS110で算出したリスク度に対応した仕様の表示を行うと判断し、ステップS112において、ステップS111で選択した表示仕様に従って、自車両と重なるようにリスク度を示す補助表示を重畳させる。
【0156】
このように周囲車両状態情報重畳加工部44で補助表示が重畳された画像は、表示映像100として画像出力部29に出力されて、ディスプレイ1に表示されることになる。
【0157】
つぎに、上述した車両用表示装置における他の実施の形態について説明する。
【0158】
車両用表示装置は、図1に示したように、サイドガラスの直下にディスプレイ1の表示画面が形成されているために、図2等に示す表示映像100を表示させて、サイドミラー5を直接視した時の周辺視野で表示映像100を視認させる場合について説明したが、図1に示すディスプレイ1よりも下方であって、ドアノブ上部にディスプレイ1を設けた場合には、図20に示すように、自車両と他車両との相対関係をサイドビュー形式で表示させても良い。例えば図20に示すように、自車両の後方に他車両が存在する場合に、図20(b)に示すような画像を作成して、フィルタリング処理を施すことによって、図20(c)に示すような表示映像100を作成することができる。
【0159】
このような図20(c)に示す表示映像100であっても、当該ディスプレイ1の長手方向と実際の自車両の進行方向とを同一ベクトルとすることができている。
【0160】
また、車両用表示装置は、サイドミラー5で視認されている他車両と、ディスプレイ1内の他車両との対応関係を把握させる識別表示をディスプレイ1内に重畳させる場合について説明したが、これに限らず、図21に示すように、ディスプレイ1に他車両の識別表示121をすると共に、サイドミラー5内に他車両の識別表示120を行っても良い。
【0161】
このようにサイドミラー5に識別表示120を行う場合、車両用表示装置は、サイドミラー5に対する識別表示の位置を求めるために、運転者のアイポイントとサイドミラー5の角度と他車両の位置とからサイドミラー5に映る他車両位置を推定又はマップから取得して、この推定したサイドミラー5内の他車両位置に識別表示を行う。この場合、サイドミラー5は、背面投影型で識別表示120を行うために、サイドミラー表示面をハーフミラーで構成し、プロジェクタをサイドミラー5内に組み込んで、当該プロジェクタに識別表示120の映像信号を供給することによって実現できる。また、サイドミラー5を液晶ディスプレイとしても良い。
【0162】
更に、車両用表示装置は、図2に示すように、自車両と他車両の相対的位置に従って画像内にアイコンを配置して表示映像100を作成しても良いが、自車両後部に搭載されたカメラによって撮像した他車両映像を重畳した表示映像100をディスプレイ1に表示しても良い。例えば図22(a)のように自車両後方に存在する他車両を撮像した映像から、エッジ検出等によって他車両画像を抽出し、ディスプレイ1に表示される画像内に他車両画像を貼り付けて図22(b)に示す画像を作成し、フィルタリング処理を施すことによって図22(c)に示すような表示映像100を作成する。このようにカメラで撮像した他車両映像を表示することによって、実際にサイドミラー5で視認される他車両と同じ向き、色、形状となり、サイドミラー5で視認されている他車両とディスプレイ1に表示されている他車両映像との対応関係を把握しやすくできる。
【0163】
更にまた、車両用表示装置は、図2に示すように、自車位置の表示を予め設定された表示映像100内の位置としても良いが、図23に示すように、自車位置表示131のようにディスプレイ1の前端を自車位置としても良く、自車位置表示132のようにサイドミラー5の注視点(中心点)と運転者のアイポイントとを結んだライン上を自車位置としても良く、自車位置表示133のようにサイドミラー5とディスプレイ1との距離(離心角)が小さいディスプレイ1上の点を自車位置としても良い。
【0164】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した車両用表示装置によれば、自車両進行方向における自車両周囲状況を把握するサイドミラー5(情報提示注視物)を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位にディスプレイ1(表示画面)を設置し、当該表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示するので、サイドミラー5を注視している時の周辺視野で簡単に自車両が走行する進行方向における状況把握ができる。
【0165】
すなわち、運転者が周囲の状況把握のために、運転者が新たな視認行動を付加することなく、サイドミラー5を見るといった基本的な運転行動を変えずに運転支援情報を提供することができる。また、サイドミラー5の視認時に、当該サイドミラー5で視認できる視線方向と略直行する視線方向情報を、運転者が同時に把握できるように提示し、1デバイスの1視線方向の視覚情報のみでは把握が困難な奥行き方向の情報を補い、かつ、補助的支援情報を中心視で直視しなくても把握できるように提示することで、ディスプレイ1を見るといった視認行動の変更を強いることなく、空間把握性を向上させている。
【0166】
また、車両用表示装置によれば、ディスプレイ1を、サイドミラー5を視認した時の有効視野内に設置するので、表示映像100を同一視野内で提示し、一つの視認行動で後側方の空間把握ができる構成となっているため、空間把握に対する行動数を減少させて、運転環境のように短時間内で実行できる行動数が限られる環境下において空間把握性を向上させることができる。
【0167】
更に、車両用表示装置によれば、自車両に対して後方に存在する他車両を含み、自車両と後方車両との相対的位置関係を上方又は側方から見た表示映像100を表示するので、後方空間を把握するための行動数を減少させて、運転環境のように短時間内で実行できる行動数が限られる環境下において後方における空間把握性を向上させることができる。
【0168】
更にまた、車両用表示装置によれば、図22に示したように、自車両に対して後方に存在する他車両の映像を、カメラといった撮像手段によって撮像された映像にして表示映像100に重畳させるので、実際にサイドミラー5で見ている他車両との一致性を高めることができる。
【0169】
更にまた、車両用表示装置によれば、図2に示したように、自車両の位置を示す映像と、自車両に対して後方に存在する他車両の映像と、自車両に対して前方に存在する他車両の映像とを含む表示映像100を表示するので、距離把握の容易な平面ミラー(間接視界の視野角が小さく視野カバー範囲が少ないミラー)を使用しているルームミラーでは把握しにくい距離情報を補い、周囲の空間把握性を向上させることができる。
【0170】
更にまた、車両用表示装置によれば、自車両が走行する走行車線に隣接する車線に存在する他車両を含む表示映像100を表示するので、自車両が車線変更などの行動を実行する際に影響を受ける優先度の高い他車両の情報を提供することができ、実際の運転行動を決定するために必要な情報が得られる。
【0171】
更にまた、車両用表示装置によれば、自車両が走行する道路の形状が湾曲している場合に、当該道路の形状を直線状に変換し、他車両の距離を直線状に変換した距離として表示するので、周囲車両が自車両近辺に到達する時刻を容易に把握させることができる。例えば、合流時の加速車線と本線走行車線の道路形状は、並行式と直接式があり、本線道路形状が直線で、加速車線が並行式の時には変換しなくとも後側方の状況を表示することができるが、直接式や道路形状が直線で無く、曲率を持っているときには表示範囲から外れることがあるが、この場合であっても、実際の相対的位置に対する、ディスプレイ1上での相対的位置を違和感無く提供できる。
【0172】
更にまた、車両用表示装置によれば、運転者に操作される操作入力手段である提示情報設定操作装置6によって、表示映像100で表示させる車線数及び進行方向における表示範囲を調整するので、運転者の運転スキルや好みに応じた提示範囲を指定することができる。例えば、サイドミラー5を中心に周囲環境の情報を収集する運転者と、ルームミラーを中心に周囲環境の情報を収集する運転者が存在するため、ルームミラーを中心に情報を収集する運転者はルームミラーでの奥行き方向の情報はサイドミラー5よりも得やすく、サイドミラー5を視認した時の距離情報取得量は少なくて済む。一方、サイドミラー5中心で情報取得を行っている運転者や、運転スキルが向上し、より広い範囲に注意資源を低負荷で収集することが可能な運転者にとっては、合流時にサイドミラー5周辺で広い範囲で奥行き方向の情報も得られた方が運転性が向上する。1つのデバイスで広い範囲で情報を得られることにより、連続性のある情報取得時間が広がり、運転を容易にすることができる。例えば合流時には周囲車両とのTTCとが難易度を左右する指標となっており、TTCの変化予測、タイミングの把握、心理的行動準備が容易になる。
【0173】
更にまた、車両用表示装置によれば、表示映像100を、運転者がサイドミラー5を注視した時の視野周辺部位で運転者にコントラスト感度が得られる時間周波数及び空間周波数であって、時間的なエッジ及び空間的なエッジのない時間周波数及び空間周波数の範囲の周波数成分からなるフィルタリング処理を施した表示映像100としたので、サイドミラー5の注視時に誘目性が生じないよう空間周波数及び時間周波数によるフィルタリング処理を行い表示映像100の情報量を軽減し、視覚に対する刺激を弱めることができる。これにより、ディスプレイ1への誘目性を軽減し、運転スキルの低い運転者においても、一つの視認行動で支援情報を把握させることができる。
【0174】
ここで、複数の視覚情報を同一視野内に提示すると、刺激(情報量)の多いところに注意が引かれる特性があり、注意が引かれる強さは、中心視の視覚情報への主体的注意資源投入度と、周囲の視覚情報の刺激の強さとの相対的な関係により決まる。例えばサイドミラー5への注意資源投入が強く働く合流時状況においては、視線を移動させる時間的な余裕も無く、ディストラクション率は低くなるが、運転者の運転スキルにより、情報収集のポイントが絞れていない場合、ドアミラーへの注意資源投入が削がれ、視線移動が誘発され、ディストラクションと成る可能性がある。これに対し、サイドミラー5からの視線を誘目することなく、余分な視認行動をさせることなく有用な情報を提供できる。
【0175】
更にまた、車両用表示装置によれば、運転者がサイドミラー5を注視した時の注視点から離れた距離に応じて異なる周波数特性でフィルタリング処理が施された表示映像100としたので、注視点近辺での位置情報精度を周辺視野に対して向上させることができ、連続時間における予測性と情報精度を両立させることができる。
【0176】
更にまた、車両用表示装置によれば、他車両を示す映像と前記サイドミラー5を視認して得られる他車両とを同定する識別表示を含む表示映像100を表示するので、サイドミラー5から得られる他車両とディスプレイ1内の他車両との同定が容易にできる。
【0177】
更にまた、車両用表示装置によれば、自車両の位置を示す映像と、自車両に対して後方に存在する他車両の映像と、自車両に対して前方に存在する他車両の映像とを含む表示映像100又は自車両が走行する走行車線に隣接する車線に存在する他車両を含む映像を、運転者がサイドミラー5を注視した時の注視点から離れた距離に応じて異なる周波数特性でフィルタリング処理を施したので、サイドミラー5に対する中心視野からの相対距離に応じた適切な時間周波数及び空間周波数の表示映像100を表示でき、ディスプレイ1が中心視により視認されるサイドミラー5の近接位置に設置できなかった場合でも、周辺視野での情報提示が可能になり、ディスプレイ1のレイアウト自由度が向上する。
【0178】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明を適用した車両用表示装置の車両内における構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した車両用表示装置によって表示する画像を説明する図であり、(a)は実際の相対的位置、(b)は、フィルタリング処理を施した画像、(b)は自車両及び他車両をアイコン表示してフィルタリング処理を施した画像である。
【図3】本発明を適用した車両用表示装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用した車両用表示装置のメインとなる処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した車両用表示装置において運転者の設定情報を記憶するフローチャートである。
【図6】本発明を適用した車両用表示装置において道路形状に基づいて必要な相対的位置情報を選択する処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した車両用表示装置において道路形状に基づいて相対的位置を補正する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明を適用した車両用表示装置においてディスプレイに表示する元となる画像を作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明を適用した車両用表示装置においてフィルタリング処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明を適用した車両用表示装置においてサイドミラーで視認している他車両とディスプレイに表示する他車両との対応関係を画像に重畳する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明を適用した車両用表示装置において他車両の走行状態の補助情報を重畳させる処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明を適用した車両用表示装置において距離補正の基準位置を設定する処理を説明する図であり、(a)は平行式の合流地点、(b)は直接指揮の合流地点である。
【図13】本発明を適用した車両用表示装置において曲率のある道路形状を走行している時における距離補正を説明する図である。
【図14】本発明を適用した車両用表示装置においてフィルタリング処理の処理結果を説明する図であり、(a)は道路上に他車両をアイコン表示した画像であり、(b)は(a)の画像にフィルタリング処理を施した結果である画像である。
【図15】本発明を適用した車両用表示装置におけるフィルタリング処理の原理を説明する図であり、運転者の上方向の視野周辺部位における空間周波数に対するコントラスト感度の変化を示す図であって、(a)は時間周波数が0.57Hz、(b)は時間周波数が2.28Hz、(c)は時間周波数が9.12Hzである場合を示す。
【図16】本発明を適用した車両用表示装置におけるフィルタリング処理の原理を説明する図であり、運転者の左右方向の視野周辺部位における空間周波数に対するコントラスト感度の変化を示す図であって、(a)は時間周波数が0.57Hz、(b)は時間周波数が2.28Hz、(c)は時間周波数が9.12Hzである場合を示す。
【図17】本発明を適用した車両用表示装置におけるフィルタリング処理の原理を説明する図であって、運転者の下方向の視野周辺部位における空間周波数に対するコントラスト感度の変化を示す図であって、(a)は時間周波数が0.57Hz、(b)は時間周波数が2.28Hz、(c)は時間周波数が9.12Hzである場合を示す。
【図18】本発明を適用した車両用表示装置において特定の空間周波数に対するコントラスト感度を有する視野範囲について説明するための図であって、(a)は時間周波数が0.57Hz、(b)は時間周波数が2.28Hz、(c)は時間周波数が9.12Hzである場合を示す。
【図19】本発明を適用した車両用表示装置におけるフィルタリング特性を示す図であって、時間周波数に対する離心角を空間周波数ごとに示す図である。
【図20】本発明を適用した車両用表示装置において、サイドビューによって自車両と他車両との相対的位置を表示する図であり、(a)は実際の相対的位置、(b)は相対的位置をアイコン表示した画像であり、(c)はフィルタリング処理後の表示映像である。
【図21】本発明を適用した車両用表示装置において、サイドミラーで視認されている他車両とディスプレイに表示させている他車両との対応関係を重畳する他の例を示す図である。
【図22】本発明を適用した車両用表示装置において、(a)はカメラによって自車両後方を撮像した映像、(b)はディスプレイに撮像映像を表示させることの説明図、(c)は撮像映像に対してフィルタリング処理を施した結果の図である。
【図23】本発明を適用した車両用表示装置において、自車両の位置をディスプレイで表示させる他の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0180】
1 ディスプレイ
2 表示制御装置
3 外界環境検出装置
4 センターディスプレイ
5 サイドミラー
6 提示情報設定操作装置
11 周囲車両位置検出装置
12 周囲道路形状検出装置
21 ドライバ設定情報記憶部
22 周囲車両位置一時記憶部
23 周囲道路形状一時記憶部
24 周囲車両選択部
25 運転場面判断部
26 距離算出部
27 画像加工部
28 周囲車両走行状態演算部
29 画像出力部
31 優先情報設定記憶部
32 道路形状補正設定記憶部
33 表示範囲設定記憶
34 フィルタリング設定記憶部
35 対応車両表示設定記憶部
36 周囲車両状態情報表示設定記憶部
41 車両位置画像作成部
42 周波数フィルタリング処理部
43 対応車両補助情報重畳加工部
44 周囲車両状態情報重畳加工部
50 自車両
51 走行車線後車
100 表示映像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両進行方向における自車両周囲状況を把握する情報提示注視物を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位に表示画面を設置し、当該表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示画面を、前記情報提示注視物を視認した時の有効視野内に設置することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
自車両に対して後方に存在する他車両を含み、自車両と後方車両との相対的位置関係を上方から見た映像を表示することを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
自車両に対して後方に存在する他車両を含み、自車両と後方車両との相対的位置関係を側方から見た映像を表示することを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
自車両に対して後方に存在する他車両の映像を、撮像手段によって撮像された映像とすることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記映像を、運転者が情報提示注視物を注視した時の視野周辺部位で運転者にコントラスト感度が得られる時間周波数及び空間周波数であって、時間的なエッジ及び空間的なエッジのない時間周波数及び空間周波数の範囲の周波数成分からなるフィルタリング処理を施した映像としたこと特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記映像を、運転者が情報提示注視物を注視した時の注視点から離れた距離に応じて異なる周波数特性でフィルタリング処理が施された映像としたことを特徴とする請求項6に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
他車両を示す映像と前記情報提示注視物を視認して得られる他車両とを同定する識別表示を含む映像を表示することを特徴とする請求項7に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
自車両の位置を示す映像と、自車両に対して後方に存在する他車両の映像と、自車両に対して前方に存在する他車両の映像とを含む映像を表示することを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
自車両が走行する走行車線に隣接する車線に存在する他車両を含む映像を表示することを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
自車両が走行する道路の形状が湾曲している場合に、当該道路の形状を直線状に変換し、他車両の距離を直線状に変換した距離として表示することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項12】
運転者に操作される操作入力手段と接続され、当該操作入力手段で操作されて指定された車線数及び進行方向における表示範囲を調整することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項13】
自車両の位置を示す映像と、自車両に対して後方に存在する他車両の映像と、自車両に対して前方に存在する他車両の映像とを含む映像又は自車両が走行する走行車線に隣接する車線に存在する他車両を含む映像を、運転者が情報提示注視物を注視した時の注視点から離れた距離に応じて異なる周波数特性でフィルタリング処理を施して表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項14】
自車両進行方向における自車両周囲状況を把握する情報提示注視物を運転者が注視している時の中心視野から離れた視野周辺部位に設置された表示画面に、当該表示画面の自車両進行方向と略同一ベクトル上に、自車両と略同一進行方向で走行する他車両を示す情報を表示することを特徴とする情報表示方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−94292(P2008−94292A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279704(P2006−279704)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】