説明

車両用表示装置

【課題】 後方視野表示が可能な車両用表示装置を低コストで提供することを目的とする。
【解決手段】 共通の画面領域上に、第一映像500と第二映像400とを重ね合成した合成映像を出力するディスプレイ40と、該ディスプレ40に重ね表示され、合成映像に含まれる第一映像500の情報と第二映像400の情報とを、ディスプレイに対する予め定められた第一出射方向Bと第二出射方向Aとに分離して取り出す映像分離部41とを備えた複合表示装置2を有し、さらに、複合表示装置2に対し、第一映像500として後方撮影映像500を入力する一方、第二映像400として後方撮影映像とは異なる運転参照映像を入力する映像入力部30を有し、複合表示装置2から第一出射方向Bへ分離される後方撮影映像を、座席103から視認可能な方向へ反射させる反射部材50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置、特に車両の後方視野を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両においては、後方視野を確認するためにインナーミラーを用いることが一般的であるが、近年では、インナーミラーの代わりにディスプレイを用い、後方視野撮影用CCDカメラによって撮影した映像をそのディスプレイに映し出す後方視野表示装置(後方監視装置)が存在する(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−207661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の上記後方視野表示装置では、インナーミラーの代わりに専用のディスプレイを使用するためコスト高となるという課題がある。また、最近では、フロントウィンドシールド中央上方に取り付けられている従来のインナーミラーや上記特許文献1の後方視野表示装置を取り除いて、前方視界を一層広く取りたいといった要望や、上記ディスプレイやインナーミラーを運転者からさらに遠ざけて配置して焦点距離を長くとり、運転者の視認性を向上させたいという要望もある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもフロントウィンドシールド越しの前方視野を広く取り、かつ後方視野映像の視認性を向上させることができる後方視野表示が可能な車両用表示装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用表示装置は、
共通の画面領域上に、第一映像と該第一映像とは異なる第二映像とを重ね合成した合成映像を出力するディスプレイと、該ディスプレに重ね表示され、合成映像に含まれる第一映像の情報と第二映像の情報とを、ディスプレイに対する予め定められた第一出射方向と該第一出射方向とは異なる第二出射方向とに分離して取り出す映像分離部とを備えた複合表示装置と、
複合表示装置に対し、第一映像として車両後方視野を撮影した後方撮影映像を入力する一方、第二映像として後方撮影映像とは異なる運転参照映像を入力する映像入力部とを有し、
複合表示装置から第一出射方向へ分離される後方撮影映像を座席から視認可能な方向へ反射させる反射部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、ナビゲーション装置等に使用する表示画面を、2つの映像を重ね合成した合成映像を出力する複合表示装置にて構成する。そして、その複合表示装置に重ね出力される2つの映像のうち後方撮影映像をなす第一映像を反射部材を用いて光学的に分離抽出する。また、ナビゲーション装置の出力画面などの運転参照映像は、第二映像として複合表示装置のディスプレイから直接視認させる。その結果、複合表示装置のディスプレイは、結果的に後方撮影映像を出力するディスプレイとしても兼用され、その後方撮影映像は、ミラー等の反射部材の反射を利用して表示されるため、後方撮影映像を表示するディスプレイを別途設ける必要がなくなり、コストを抑えることができる。
【0008】
運転参照映像は、車両運転時に必要とされる映像のうち後方撮影映像以外のものを総称するものであり、上記ナビゲーション装置の映像の他、車両の前方撮影映像(特に障害物を強調表示するもの等)やエアコンコントロール映像等であってもよい。
【0009】
本発明の車両用表示装置では、座席からの複合表示装置の視認方向を第二出射方向に一致させることにより、該複合表示装置上の運転参照映像を座席から直接視認可能となるように、当該複合表示装置の配設方向を定めることができる。この構成によれば、前席の運転者は、第一映像を反射部材から視認し、第二映像をディスプレイから直接視認することが可能となる。第一映像は反射部材の反射を利用して見ることになるが、第二映像はディスプレイから直接見ることが可能となるので、反射部材を必要最低限設けたシンプルな構成とすることができ、コストも抑えることができる。
【0010】
本発明の車両用表示装置では、後方撮影映像は、反射部材からの反射映像としてみた場合に、ディスプレイ上での実縦横比と相違する見かけの縦横比を有してなり、ディスプレイ上に後方撮影映像を、実縦横比と見かけの縦横比との相違比率に応じて、対応する向きに寸法伸張して出力することができる。運転者が第二映像を直接視認できるようディスプレイを配置しつつ、そのディスプレイからの第一映像を反射させて、その反射映像を運転者が視認できるように反射部材を配置すると、運転者は反射部材の反射面を正対して見ることはできず、反射面を斜めから見ることになる。この場合、運転者にはディスプレイ上で出力された映像よりも全体が寸法圧縮された映像として見える。上記構成によれば、ディスプレイに出力される映像を予め伸張して出力することで、運転者が視認する反射映像の縦横比が、撮影された映像の実縦横比に近づき、後方撮影映像の視認及び内容把握が一層容易となる。
【0011】
本発明の車両用表示装置では、反射部材がディスプレイの上縁側に隣接して配置されており、該反射部材からの反射映像として座席から見た後方映像が見かけ上横長となるように、ディスプレイからの後方撮影映像を投影することができる。上記構成によれば、反射部材の反射面に映る反射映像は、縦方向に圧縮されて見える。これにより、運転者は通常の車両のインナーミラーと同様の横長の形状で後方撮影画像を視認することが可能となり、違和感が小さい。また、反射部材がディスプレイ上部に設けられることによって、ディスプレイに当たる直射日光を反射部材が防ぐ効果も期待できる。さらに、反射部材を拡大鏡(凹面鏡)で構成する場合は、ディスプレイをインスツルメントパネル中央上部に配置することで、フロントウィンドシールド中央上方に設けられる通常のインナーミラーよりも焦点距離を長く取ることができる利点もある。
【0012】
本発明の車両用表示装置では、ディスプレイ上での後方撮影画像は、反射部材からの反射映像として座席から見た該後方撮影映像よりも縦方向に伸張して出力することができる。これにより、縦方向に圧縮された反射映像であっても、実際に撮影された映像と同様の縦横比率で映像を見ることができ、見易い。
【0013】
本発明の車両用表示装置では、反射部材をディスプレイの幅方向の一縁側に隣接して配置することができる。この構成によれば、反射部材が上方に突出しないため、反射部材によってフロントウィンドシールド越しの前方視界が妨げられ難くなる。
【0014】
本発明の車両用表示装置では、ディスプレイの画面上にて上側の一部領域のみを用いて後方撮影画像を横長に表示することができる。これにより、運転者は通常の車両のインナーミラーと同様の横長の画面枠で後方撮影画像を視認することが可能となるとともに、ディスプレイ画面下部に別映像を出力して、他の情報(例えば、他の上記運転参照映像等)を取得することも可能となる。
【0015】
本発明の車両用表示装置では、反射部材の座席に向けた後方撮影映像の反射方向を変更可能に設けることができる。この構成によれば、反射角度を調整することができ、座高の異なる運転者が搭乗する場合であっても、角度調整によって適切な位置に反射面を配置することが可能となる。また、この場合、ディスプレイをインスツルメントパネル中央上部に配置すれば、角度調整によって、反射部材の反射面から直接後方映像を映し出せるようにすることも可能となり、ディスプレイ故障時にも対応可能となる。
【0016】
本発明の車両用表示装置では、反射部材が複合表示装置のディスプレイの一縁に沿って蝶番部を介して結合され、該蝶番部により反射部材のディスプレイに対する取付角度を変更可能することができる。これにより、反射角度の調整をマニュアルで行なうことが可能となる。
【0017】
本発明の車両用表示装置では、反射部材は、複合表示装置の表示面を覆う閉位置と、座席から後方撮影画像の反射映像を視認可能となる開位置との間で開閉可能に配置されている。これにより、未使用時に反射部材を上記閉位置とすることで、ディスプレイを覆って保護する蓋として機能させることができる。
【0018】
本発明の車両用表示装置では、反射部材を閉位置と開位置との間で開閉駆動する開閉駆動部を設けることができる。これにより、後方撮影画像の要不要に応じて、上記のように自動開閉するように構成することが可能となる。例えば、イグニッションスイッチが、アクセサリ位置に対してオン・オフされるか、あるいはイグニッション位置に対してオン・オフされるとき等に反射部材が自動開閉するように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の車両用表示装置を、図面を用いて説明する。図1及び図2は、本発明の車両用表示装置1が搭載された車両100の内部を簡略的に示す図である。図1に示すように、本発明の車両用表示装置1は、ディスプレイ40と、その上縁側でディスプレイ40を上方側から覆いかぶさるようにしてに設けられた反射部材50(例えば凹面鏡である)とが連結部60にて連結された表示装置2を備えて構成されており、ディスプレイ40の表示面と反射部材(ミラー)50の反射面とが互いに対面するようにして構成される。本実施例では、車両のハンドル101横のインスツルメントパネル(以下、インパネと略す)中央上部においてディスプレイ40が固定され、運転者90はそのディスプレイ40の表示面をほぼ正対して見ることが可能に配置される。他方、反射部材50は、運転者90の視線方向に対して傾斜して配置され、そのディスプレイ40の反射映像が反射面に映し出されて、運転者からは上下方向に圧縮された横長の画像として見える。ディスプレイ40は、異なる2つの方向から別々の映像が全画面表示される2画面表示ディスプレイである。これにより、運転者が視認するディスプレイ40と反射部材50とには、異なる画像が映し出される。
【0020】
連結部60は、本実施例では蝶番軸として構成されており、摺動摩擦により任意の角度位置を保持可能とされている。これにより、ディスプレイ40の表示面全面を覆う閉位置と、運転席103から反射部材50に映し出される画像を視認可能となる開位置との間で開閉可能となっており、閉位置にある場合にはディスプレイ40の表示面を覆って保護する蓋として機能する。
【0021】
図3は、本発明の車両用表示装置1のブロック図を示している。図3に示す車両用表示装置1は、画像取り込み部10及び20と画像データ生成部(映像入力部)30とを備えて構成される制御ECU3と、上記の表示装置2とを主として構成されている。制御ECU3の画像取り込み部1及び2はそれぞれ、入力された画像を一時記憶するフレームメモリ10a,20aを備えている。画像取り込み部1には、周知の後方撮影用CCDカメラ11(図4の後方撮影手段201)が接続されており、その後方撮影用CCDカメラ11によって撮影された車両後方の撮影映像(後方撮影映像:図3では後方画像と表示している)が入力される。画像取り込み部2には、周知のカーナビゲーション装置12、周知のエアコン装置13、及び車両前方を撮影する周知の前方撮影用CCDカメラ14(図4の前方撮影手段202)が接続されており、カーナビゲーション装置12からはナビゲーション用に画面表示する表示用データが、エアコン装置13からはエアコン操作画面として使用する表示用データが、前方撮影用CCDカメラ14からは車両前方を撮影した前方撮影映像(図3では前方画像と表示)が入力される。また、画像取り込み部2には、ナビゲーション画面を優先表示するナビ画面優先スイッチ22、エアコン操作画面を優先表示するエアコン画面優先スイッチ23、前方撮影映像を優先表示する前方画面優先スイッチ24、及び画面OFFスイッチが接続されており、これらの操作スイッチ22〜25により、入力映像のうちのどれを優先的に入力してフレームメモリ20aに記憶するかを設定することが可能となっている。画像データ生成部30では、画像取り込み部1及び2のそれぞれのフレームメモリ10a、20aに記憶された映像データを自身のフレームメモリ30aに記憶して、それらディスプレイ40の所定の画素に出力する。なお、後方撮影用CCDカメラは、少なくとも車両後方が撮影可能な位置であればよく、後席後ろのリヤウインドウ下付近等に専用のCCDカメラを設置しても良いし、その他、バックガイドモニタ用カメラを利用する形でも良い。
【0022】
ディスプレイ40は、異なる2つの方向から別々の映像が全画面表示される2画面表示ディスプレイである(複合表示装置)。ディスプレイ40は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうためのドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。ディスプレイ40として、有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器等を用いることも可能である。また、本実施例のディスプレイ40は、抵抗膜方式や静電容量方式等を利用した周知のタッチパネルとしても機能するものであり、画面上に機能操作部が設けられている。
【0023】
図5は、本発明の表示装置2の側断面を簡略的に示し、その構成例を示すものであり、ここでは周知の3D表示器を用いたものを例に挙げて説明する。図5は表示装置2の側断面を簡略的に示す図である。3D表示器は、同じ場所から同じものを一方の目で見た場合のずれである視差を利用し、平面的な印刷物を立体や動いているように見せるレンチキュラー技術を用いている。まず、図5のように、異なる2方向のうち、A方向(本発明の第二出射方向)から見ることができる映像500、B方向(本発明の第一出射方向)から見ることができる映像400を、それぞれ画面の横方向に短冊状に分割し、交互に組み合わせて1枚の映像に再合成したものをディスプレイ40のLCD上に作成する。
【0024】
そして、その映像を、LCDの全面に貼り付けられた、断面が蒲鉾状で縦長のレンチキュラーレンズシート(映像分離部)41を通して表示する。レンチキュラーレンズシート41のレンズの曲率を調整することで、A方向(第二出射方向)からは第一映像500のみを、B方向(第一出射方向)からは第二映像400のみを見ることができる。ここでは、運転席103の運転者90が映像400を直接視認可能で、かつ反射部材50によって映像500の反射映像500´が視認可能となるようにレンズの曲率が調整されている。
【0025】
なお、本実施例で採用するディスプレイ40は、特願2005−180741に記載されている表示器10と同様の構成をなすものである。この方法の他に、A方向,B方向の視角に対応してバックライトの照射方向を制御して2画面表示を行なう方法を用いてもよい。なお、2画面表示ディスプレイについては、例えば特開平6−186526等にもその技術が開示されており、本発明ではこれらいずれかで実現される2画面表示ディスプレイのいずれをも採用することが可能である。
【0026】
このように、本発明の車両用表示装置1の表示装置2は、異なる方向から視認可能な別々の映像のうち、一方の映像(第二映像)400を直接視認可能とし、他方の映像(第一映像)500を反射部材50に反射させる形で視認可能に設けられている。第一映像500は、図6に示すように、反射部材50が運転者の視線に対して手前側下方に傾斜して配置されているため、運転者が反射部材50に映る反射映像500´を見た場合には、ディスプレイ40上での実縦横比と相違する見かけの縦横比を有して見える。つまり、図7に示すように、ディスプレイ40上で縦幅Hとして出力される映像500は、運転者が反射部材50を介して見た場合には、縦方向に圧縮された縦幅H´の映像500´として見え、見かけ上横長の映像として運転者に視認される。このため、本発明では、第一映像500を、撮影された映像の実縦横比に近づけて運転者に視認可能となるよう、画像データ生成部30(図3)において、縦方向に予め伸張されるとともに、反射による反転を考慮して上下反転されてディスプレイ40上に出力している。このように、反射部材50に映る反射映像500´は縦方向に圧縮されるため、通常のインナーミラーと同様の横長のサイズで後方撮影画像を見ることが可能となる。なお、運転者が上記のような反射映像500´を見るためには、ディスプレイ40の設置角度、反射部材50の設置角度、及び運転者からの視認角度に基づいて、反射部材の設置角度を適切に調整する必要があり、これは上記の連結部60によって微調整することができる。
【0027】
本発明では、ディスプレイから出力される第一映像500は、後方撮影用CCDカメラ11(図3)によって撮影された後方撮影映像であり、反射部材50にはその後方撮影映像が映し出される(図7参照)。後方撮影映像は、車両後方側に設けられたCCDカメラ11(図4の後方撮影手段201)で撮影されるため、インナーミラーのように後部座席等に大きな積載物が置かれた時に見えなくなるようなことはなく、常時確実に後方を視認することが可能となっている。
【0028】
また、ディスプレイ40から運転者90が直接視認可能な第二映像400としては、図8の(a)のエアコンのエアコン操作画面、図8の(b)の前方撮影映像、図8の(c)のナビゲーション画面等の運転参照映像が出力可能とされている。第二映像400として出力される映像は、操作スイッチ22〜24によって切り替え可能であり、それらスイッチ22〜24の操作状態に基づいて出力映像が決定される。これらの出力映像のうち、エアコン操作画面は、画面のタッチ操作で、設定温度、風量、吹出モードの切替が可能である。設定温度は、UP、DOWNのタッチスイッチの操作で温度を上下することができる。風量は、図の所定部分に設けられたタッチスイッチを押すことで、AUTO、風量弱、風量中、風量強、AUTO、・・・の順で繰り返し切り替えられる。吹出しモードは、所定部分に設けられたタッチスイッチを押すことで、Face、Bi−level、Foot、Foot/Def、Def、Face、・・・の順で繰り返し切り替えられる。前方撮影映像を出力する場合には、単純に前方撮影用CCDカメラで撮影した画像をそのまま出力しても良いが、例えば、撮影画面内に存在する走行時の障害物(歩行者等)を検知して、該障害物を強調表示(例えば図8の(b)の符号43)するように構成することもできる。この場合、特に夜間においてこの機能を使用することで走行障害物の早期発見が可能となる。この場合、周知の暗視撮影装置(ナイトビジョン)を搭載することで実現することができる。なお、これら第二映像は静止画像,動画のいずれであってもよい。
【0029】
以上、本発明の実施例を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。以下、上記実施例を第一実施例とし、それとは異なる他の実施例について説明する。
【0030】
図9及び図10は本発明の第二実施例を示すものである。ここでは、表示装置2aを構成する反射部材50aがディスプレイ40aから切り離され、通常のインナーミラーと同様にフロントウィンドシールド102中央の上方に設けられており、通常のインナーミラーと同じ使い勝手で車両後方を視認可能となっている。なお、反射部材50aは、視認性を考慮すると、運転者が視認し易い車内前方で、運転者から可能な限り遠い位置にあることが望ましい。従って、反射部材50aをフロントウィンドシールド102中央上方よりも中央下方に設けて、この反射部材50aに第一映像(車両の後方撮影映像)が表示されるようにディスプレイ40aを配置することもできる。これにより、反射部材50a近いことで圧迫感を感じ難くなり、視認性も向上する。
【0031】
図11及び図12は本発明の第三実施例を示すものである。ここでは、表示装置2bを構成する反射部材50bがディスプレイ40bの左右いずれか又は双方の側端側(幅方向の一縁側)に隣接して配置され、ディスプレイ40bの画面上にて上側の一部領域のみを用い、反射部材50bの上側領域52に反射させて、後方撮影映像を横長に表示している。図の場合、反射部材50bは、ディスプレイ40bの助手席側に設けられている。このとき、ディスプレイ上で出力される後方撮影画像は左右反転して出力される。なお、反射部材50bの下側領域53は、他の上記運転参照映像が映し出されるようにディスプレイ40bの下側領域からの出力を行なってもよいし、反射部材50bの上側領域52に映し出される後方撮影映像をより強調するために、反射部材50bの下側領域53を非表示とする、あるいは下側領域53部分を排除して反射部材50bを構成してもよい。
【0032】
図13及び図14は本発明の第四実施例を示すものである。連結部62がモータ61等の開閉駆動部によって開閉駆動するように構成されており、反射部材50は、ディスプレイ40の表示面を覆う閉位置と、運転席から後方撮影映像の反射映像を視認可能となる開位置との間で開閉可能されている。この場合、例えばイグニッションスイッチ70がアクセサリオン位置(あるいはイグニッションオン位置)となることにより反射部材を開位置へ移動し、上記各オン位置からオフ位置へ移行することで、反射部材を閉位置に移動するように開閉駆動部を動作させることで、反射部材50の使用・未使用等の状況に応じて上記のように自動開閉することが可能となる。なお、開閉駆動するための専用の操作部(スイッチ)を設けても良い。
【0033】
なお、上記した実施例は、第二映像を運転者が直接視認可能としているが、この第二映像も第一映像と同様、第一映像反射用に使用する反射部材とは異なる反射部材によって反射させて運転者に視認可能となるように構成されていてもよい。また、ディスプレイを運転者の視線方向に対して傾斜して設ける場合には、寸法が圧縮して見えることを見越して、予めディスプレイからの出力を伸張してもよい。また、本発明の車両用表示装置の表示装置は、出力される映像は少なくとも2以上であればよく、ディスプレイを直接視認可能な映像以外を反射部材によって反射させて運転者に視認可能となるように構成することができる。この場合、反射による投影圧縮を見越してディスプレイでの映像縦横比を調整することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の車両用表示装置の第一実施例における表示装置の配置を示す第一の図。
【図2】本発明の車両用表示装置の第一実施例における表示装置の配置を示す第二の図。
【図3】本発明の車両用表示装置の第一実施例のブロック図。
【図4】本発明の車両用表示装置における前後方撮影手段の配置を説明する図。
【図5】本発明の車両用表示装置における表示装置を説明する第一の図。
【図6】本発明の車両用表示装置における表示装置を説明する第二の図。
【図7】本発明の反射部材に映し出される第二映像を示す図。
【図8】本発明のディスプレイに表示される第一映像を示す図。
【図9】本発明の車両用表示装置の第二実施例における表示装置を説明する第一の図。
【図10】本発明の車両用表示装置の第二実施例における表示装置を説明する第二の図。
【図11】本発明の車両用表示装置の第三実施例における表示装置を説明する第一の図。
【図12】本発明の車両用表示装置の第三実施例における表示装置を説明する第二の図。
【図13】本発明の車両用表示装置の第四実施例のブロック図。
【図14】本発明の車両用表示装置の第四実施例における表示装置を説明する図。
【符号の説明】
【0035】
1 車両用表示装置
2、2a,2b 表示装置
3 制御ECU
10 画像取り込み部1
10a、20a、30a フレームメモリ
11 後方撮影用CCDカメラ
12 カーナビゲーション装置
13 エアコン装置
14 前方撮影用CCDカメラ
20 画像取り込み部2
22 ナビ画像優先スイッチ
23 エアコン画像優先スイッチ
24 前方画像優先スイッチ
25 画面OFFスイッチ
30 画像データ生成部
40、40a、40b ディスプレイ(複合表示装置)
41 レンチキュラーレンズシート(映像分離部)
50、50a、50b 反射部材
52 反射部材の上側領域
53 反射部材の下側領域
60、62 連結部(蝶番部)
61 モータ(開閉駆動部)
90 運転者
100 車両
101 ハンドル
102 フロントウィンドシールド
103 運転席(前席)
400 第二映像
500 第一映像
500´ 反射映像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の画面領域上に、第一映像と該第一映像とは異なる第二映像とを重ね合成した合成映像を出力するディスプレイと、該ディスプレに重ね表示され、前記合成映像に含まれる前記第一映像の情報と前記第二映像の情報とを、ディスプレイに対する予め定められた第一出射方向と該第一出射方向とは異なる第二出射方向とに分離して取り出す映像分離部とを備えた複合表示装置と、
前記複合表示装置に対し、前記第一映像として車両後方視野を撮影した後方撮影映像を入力する一方、前記第二映像として前記後方撮影映像とは異なる運転参照映像を入力する映像入力部とを有し、
前記複合表示装置から前記第一出射方向へ分離される前記後方撮影映像を前記座席から視認可能な方向へ反射させる反射部材が設けられていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記座席からの前記複合表示装置の視認方向を前記第二出射方向に一致させることにより、該複合表示装置上の前記運転参照映像を前記座席から直接視認可能となるように、当該複合表示装置の配設方向が定められる請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記後方撮影映像は、前記反射部材からの反射映像としてみた場合に、前記ディスプレイ上での実縦横比と相違する見かけの縦横比を有してなり、前記ディスプレイ上に前記後方撮影映像を、前記実縦横比と前記見かけの縦横比との相違比率に応じて、対応する向きに寸法伸張して出力する請求項1又は請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記反射部材が前記ディスプレイの上縁側に隣接して配置されており、該反射部材からの反射映像として前記座席から見た前記後方映像が見かけ上横長となるように、前記ディスプレイからの前記後方撮影映像が投影される請求項3記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記ディスプレイ上での前記後方撮影映像は、前記反射部材からの反射映像として前記座席から見た該後方撮影映像よりも縦方向に伸張して出力される請求項4記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記反射部材が前記ディスプレイの幅方向の一縁側に隣接して配置されている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記ディスプレイの画面上にて上側の一部領域のみを用いて前記後方撮影映像を横長に表示する請求項6記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記反射部材の前記座席に向けた前記後方撮影映像の反射方向が変更可能に設けられている請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記反射部材が前記複合表示装置の前記ディスプレイの一縁に沿って蝶番部を介して結合され、該蝶番部により前記反射部材の前記ディスプレイに対する取付角度が変更可能とされてなる請求項8記載の車両用表示装置。
【請求項10】
前記反射部材は、前記複合表示装置の表示面を覆う閉位置と、前記座席から前記後方撮影映像の反射映像を視認可能となる開位置との間で開閉可能に配置されている請求項8又は請求項9記載の車両用表示装置。
【請求項11】
前記反射部材を前記閉位置と前記開位置との間で開閉駆動する開閉駆動部が設けられている請求項10記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−216794(P2007−216794A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38336(P2006−38336)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】