説明

車両用運転支援装置

【課題】 運転状態の変化と呼吸の変化に基づき運転者の精神状態を高精度に判定でき、運転支援を高精度に行うことができる車両用運転支援方法及びそのを提供する。
【解決手段】 運転者の呼吸の変化を検出し、その検出結果に基づき判定した運転者の精神状態に対応して運転支援を行う車両用運転支援装置で、運転者の呼吸の変化を検出する呼吸状態検出部11と、呼吸の変化に基づき心理的動転を検出する心理的動転検出部12と、該運転者による車両の運転操作の変化を検出する運転状態検出部12と、運転状態検出部17で検出された運転操作の変化により、心理的動転検出部11からの運転者の心理的動転を正確に判定する心理的動転判定部18と、心理的動転があれば以降の運転支援システム20で使用するためその危険状態の情報を蓄積する危険状態記憶部19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転する運転者の状況に対応して適切な運転支援を行う車両用運転支援装置、特に、車両用運転支援装置で用いる運転者の状況を認識する方法及びその構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者の運転支援を行う手法としては、運転環境(例えば、道路状況や車両状態など)を認識して、情報提供したり運転者の操作による運転制御を変更したりする方法と、運転者自身の状態(個体差や健康・精神状態など)を検知あるいは認識して、情報提供したり運転者の操作による運転制御を変更したりする方法とがある。この中で、後者の運転者自身の状態を検知あるいは認識する技術、検知あるいは認識結果に基づいて所定情報を報知する技術や運転制御に反映する技術が、種々提案されてきつつある。
【0003】
例えばその一例として、運転者の生体周期情報(呼吸や心拍など)を検知して、運転者の肉体的・精神的状態を認識し、その認識結果に基づいて情報提供や運転制御への反映を行う技術がある。呼吸数をシートへの圧力から検出する例としては、特許文献1に、シート下部あるいは背上部で人体による圧力を検知して、この圧力変化や振動波形から呼吸数を検出し、着席者の肉体的・精神的状態を認識する例が示されている。
【特許文献1】特開平5−312966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、呼吸自体は人の意志により変化する傾向があるため、誤差が多く、呼吸のみにより運転者の心理的動転度合い(例えば、恐怖や驚き等により心が動転している度合いを示すもの)を判別することによる運転支援を行なおうとしても、不適切な運転支援となってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、運転状態の変化と呼吸の変化に基づき運転者の心理的動転度合いを高精度に判定でき、運転支援を高精度に行うことができる車両用運転支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明の車両用運転支援装置は、運転者の呼吸の変化を検出し、その検出結果に基づき判定した運転者の心理的動転度合いに対応して運転支援を行う車両用運転支援装置であって、運転者の呼吸の変化を検出する呼吸状態検出手段と、該運転者による車両の運転操作の変化を検出する運転状態検出手段と、検出された前記運転操作の変化と呼吸の変化とに基づき、前記運転者の心理的動転度合いを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、前記判定手段は、運転操作の変化直前の呼吸の変化に基づき運転者の心理的動転度合い判定する。また、前記判定手段は、運転操作の急激な変化があったときの呼吸の変化に基づき運転者の心理的動転度合いを判定する。また、車両のシートに設けられ、運転者の体圧を計測する体圧計測手段を更に備え、前記呼吸状態検出手段は、計測された運転者の体圧に基づいて呼吸を検知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転操作の変化と呼吸の変化に基づき運転者の心理的動転度合いを高精度に判定でき、運転支援を高精度に行うことができる。特に、呼吸の変化が発生した時に、運転操作の変化に基づいて、心理的動転度合いが変化しているののかそうでないのかが高精度に判定できる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、呼吸の変化の検出時期を運転操作の変化直前に限定し、運転者の心理的動転度合いの判定をより信頼性よくでき、運転支援を高精度に行うことができる。例えば、車両前方に急カーブがあった場合には、通常運転者はハッと息を飲んでからハンドルあるいはブレーキを操作するため、そのような状況での心理的動転度合いを確実に判定できる一方、そうでないときには意図的な呼吸停止である可能性があり、請求項2に係る発明によればそれらを切り分けて判定できるので、判定の精度を向上できる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、更に、運転操作に急激な変化が生じている時に判定するので、運転者の心理的動転度合いの判定をより信頼性よくでき、運転支援を高精度に行うことができる。例えば、ハンドルあるいはブレーキ操作を行なったことにより車両挙動が思っていたのとは異なってしまい運転者がハッと息を飲んだ場合であっても、そのような状況での心理的動転度合いを確実に判定できる一方、そうでないときには意図的な呼吸停止である可能性があり、請求項3に係る発明によればそれらを切り分けて判定できるので、判定の精度を向上できる。
【0011】
請求項4に係る発明によれば、運転者の負担になることなく呼吸を容易に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素の相対配置、表示画面等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
又、以下の実施形態では呼吸の検出をシートバックに埋めこまれた感圧センサによる体圧信号によって行う例を示すが、本発明は呼吸の検出方法を限定するものではなく、他の呼吸の検出方法も適用可能である。又、運転支援については、煩雑さを避けるために速度制御に限定して説明したが、他の運転支援においても同様に実施され、これらも本発明に含まれる。
【0014】
<本実施形態の車両用運転支援装置の構成例>
図1は、本実施形態の車両用運転支援装置の構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1で、10は以下で説明するシートバック下部に埋めこまれた感圧センサ10aを有するシートである。かかる感圧センサ10aで測定された乗員の体圧の変動から呼吸信号が抽出される。
【0016】
(本実施形態の呼吸情報検出例)
図2は、本実施形態の車両用運転支援装置における呼吸情報検出例を示す図である。図2は、乗員が座る座席(シート)で体圧の変動を検知して、この体圧の変動に基づいて呼吸を検出、呼吸の変化を検出する。
【0017】
シートへの乗員体圧にて呼吸を検出する場合に、シートクッション1(座席下部)で検出しようとすると乗員の荷重が大きすぎて、呼吸を精度良く検出することが出来ない。また、シートバック上部2で検出しようとすると、シートにもたれて静止していれば良いが、乗員の体勢変化(例えば猫背姿勢など)によって荷重がゼロになってしまう場合があり、呼吸や心拍などを検出すること自体が出来なくなる。
【0018】
そこで、本例では、安定してしかも出来るだけ強い圧力を検出できる位置として、シートバックに接触する人体の部位の内から乗員の腰部3を選択した。選択は次の基準から行われた。乗員の荷重に比して大きな体圧の変動が検出できる部位はシートバックである。シートバックで強い体圧を受ける部位は上部2のシートバックにで運転者の肩に対応する位置2a、シートバックにで運転者の腰部に対応する位置3、シートバックにで運転者の尻部に対応する位置4の各部位である。乗員の体勢変化によってもシートバックとの接触の変化が少ない部位は腰部3である。複式呼吸による体圧の周期変動が強く現われる部位も腰部3である。
【0019】
以上の選択結果から、シートバックにで運転者の腰部に対応する位置3に複数のセンサを取り付けて、体圧を測定して呼吸による体圧の変化を確認した。その結果、乗員の腰部に相当する、シートバック下部内のシートクッションから10〜25cmの高さに設けられたセンサにおいて、乗員の体勢変化に関係なく安定した且つ大きな圧力の周期変動を検出できた。
【0020】
本実施形態は、以上の選択と測定結果とに基づいて、シートバック内の特定位置、すなわちシートバック下部内のシートクッションから10〜25cmの範囲3aの高さに体圧センサを設けて、呼吸情報検出を実施する。
【0021】
図1に戻って、11は検出された呼吸信号から呼吸の変化を検出する呼吸状態検出部である。本例では、呼吸信号の周期から呼吸数の増減を検出、特に呼吸数の減少を検出する。
【0022】
尚、本実施形態では、かかるセンサ10aからの体圧検出信号に基づく呼吸信号の抽出、呼吸信号からの呼吸数の算出などの制御については、本発明に必須の構成ではなく課題解決の主要な構成ではないので詳説しない。体圧検出信号からフィルタで呼吸信号でない信号、例えば車両の振動や乗員のブレーキ/アクセル操作時の体圧変化、その他の雑音は取り除かれて、あるいは呼吸信号のみが増幅されて、呼吸信号が抽出される。更に、乗員の呼吸数を学習してゲートパルスにより選別することも可能である。呼吸信号が抽出できれば、かかる呼吸信号をカウントすることで、あるいは呼吸周期から呼吸数を得ることができる。
【0023】
12は、呼吸状態検出部11からの呼吸の変化の情報に基づいて乗員の心理的動転を検出する心理的動転検出部である。かかる検出において種々の状況が検討されるが、この心理的動転検出そのものが本発明の主旨ではなく、この検出結果と乗員の運転操作との関連が本願の主旨であるので、ここでは呼吸数の所定数以上の減少を乗員が心理的に動転している状況(すなわち、心理的動転度合いが大)と判定する例で説明する。
【0024】
一方、13はエンジン制御等を行うECUであり、例えばハンドル14の操作量、ブレーキ15の操作量、アクセル16の操作量などを読み込んで制御を実施する。尚、図1では、ECU13を本例の各制御部とは別個に図示しているが、ECU13が全体を制御する構成でもよい。
【0025】
17は、ハンドル14の操作量、ブレーキ15の操作量、アクセル16の操作量などを含む各種センサからの走行状態量から運転操作の変化を検出する運転状態検出部、18は、心理的動転検出部12からの呼吸の変化に基づく心理的動転の情報を受けて、運転状態検出部17からの運転操作の変化の情報に基づいて、乗員の意図的な呼吸停止などでなく乗員の本当の心理的動転であると判定する心理的動転判定部である。かかる心理的動転判定部18で乗員の心理的動転が大きいと判定された時の、乗員の心理的動転の原因となった危険状態は呼吸の変化と運転操作の変化とに関連付けられて、危険状態記憶部19に蓄積される(図6参照)。すなわち、図6に図示されているような呼吸の変化、例えば呼吸数の減少が有った場合の、運転操作の変化、ハンドル操作としては急ハンドルやハンドル切りたし、アクセル操作としては急加速、ブレーキ操作としては急ブレーキや高減速や踏み増し、などの操作と操作状況がある場合に、乗員の本当の心理的動転であると判定して、その原因と回避のための運転支援の制御を呼吸の変化と運転操作の変化に対応付けて蓄積する。例えば、呼吸が乱れた後にブレーキが踏まれて車速の急低下があった場合は、その原因は速度超過と判断され、運転支援としてはブレーキの力を増強が行われるようにする。
【0026】
危険状態記憶部19に蓄積された内容は、以降の運転支援において同様の呼吸の変化と運転操作の変化とが発生した場合に、運転支援システム20に対して学習情報として利用され、以前と同じ状態で行った速度制御やハンドル制御等の運転支援と同様の制御、あるいはより強い制御を行う。尚、運転支援システム20における速度制御やハンドル制御などは既知であるので詳説はしない。
【0027】
(運転支援ユニットの構成例)
図3は、図1の各制御部を実現する運転支援ユニットのハードウエア構成例を示す図である。
【0028】
図3で、30は運転支援ユニットであり、1チップで実現されても、図1のECU13と共に1チップで実現されてもよい。運転支援ユニット30には、入力情報として、呼吸信号、各種センサからの走行状態量、運転支援を行うか否かを乗員が選択する運転支援ON/OFF信号が入力され、出力情報として、速度制御信号あるいはその他の制御信号がエンジン制御部等に、速度情報等の表示情報が例えばナビシステムに出力される。
【0029】
運転支援ユニット30は、演算制御用のCPU31、固定パラメータやCPU31が実行するプログラムが格納されるROM32、入出力情報あるいはCPU31の演算処理中のデータの一時記憶であるRAM33とを有している。
【0030】
ROM32には、本例では例えば、以下に図4で示す運転支援プログラム32a、運転支援プログラム32aの中で使用される呼吸数検出を含む呼吸数判定モジュール32b、乗員の心理的動転を呼吸の変化と運転操作の変化から判定する心理的動転判定モジュール32c、乗員の心理的動転の原因が速度である場合に速度制御を行う速度制御モジュール32d、表示情報を作成出力すると共に乗員の選択操作信号を入力する表示・操作モジュール32e、その他の制御モジュール32fが記憶されている。
【0031】
RAM33は、本例では例えば、呼吸信号の履歴を呼吸数が算出できる時間幅記憶する呼吸信号記憶領域33a、ハンドル14の操作量、ブレーキ15の操作量、アクセル16の操作量などを含む各種センサからの走行状態量を記憶する走行状態量記憶領域33b、呼吸の変化と運転操作の変化に基づいて乗員の心理的動転が大きいと判定された時の乗員の心理的動転の原因となった危険状態を、呼吸の変化と運転操作の変化とに関連付けて過去の履歴として記憶する危険状態履歴領域33c(図1の記憶状態記憶部に相当、図6参照)、乗員が運転支援を求めるか否かを記憶する運転支援フラグ33d、その他のフラグ33eを備えている。
【0032】
ここで、図6を参照して、危険状態履歴領域33cに蓄積されたデータの一例を示す。
【0033】
図6で、61は心理的動転判定時に乗員が何を操作していたかを示す操作対象、62は操作対象をどのように操作していたかを示す操作状況、63は心理的動転判定時の呼吸数の状態を示す呼吸判断、64は推定した危険状態と運転支援の対処操作である。ここで、運転操作と呼吸状態との時間的な関係は、運転操作の変化直前の呼吸の変化、あるいは運転操作の急激な変化があったときの呼吸の変化である。又、呼吸判断63の「減少」は、所定時間(例えば2秒程)より前の呼吸状態よりも呼吸減少(停止を含む)となっていると判断された場合であり、本例では呼吸周期が長くなった場合に呼吸減少が有ったと判断している。
【0034】
上記CPU31は、ROM32に格納されたプログラムをRAM33を使用しながら実行して、本実施形態の呼吸数の減少と運転操作とに基づく運転支援処理を実現する。
【0035】
<本実施形態の車両用運転支援装置の動作手順例>
上記構成の車両用運転支援装置による、本実施形態の運転支援動作の例を、CPU31が実行する図4のフローチャートに従って説明する。
【0036】
まず、ステップS41で呼吸信号を検出する。ステップS42では、ステップS41で検出し所定時間蓄積された呼吸信号に基づいて、呼吸周期から呼吸数が判定される。
【0037】
図5は、本実施形態での感圧センサ10aからの体圧の入力信号、アクセル及びブレーキの走行状態量と(図5の(b)参照)、その体圧信号と走行状態量から呼吸信号(図5の(a))を抽出した一例を示す図である。このように、体圧の入力信号にはアクセル及びブレーキの操作に基づく体圧変動かあるが、走行状態量によってアクセル及びブレーキの操作に基づく体圧変動が取り除かれて、正確な呼吸信号が得られる。この呼吸信号のパルス数を数える(例えば、簡単な方法では所定の閾値によって)ことで呼吸数が算出される。
【0038】
次にステップS43では、呼吸数の変化、本例では呼吸数の減少が所定量αより大きいか否かが判断される。大きくなければ運転支援なしにステップS51に進む。所定量αより大きければステップS44に進んで、ハンドル14の操作量、ブレーキ15の操作量、アクセル16の操作量などを含む各種センサからの走行状態量を求める。走行状態量が得られれば、ステップS45で呼吸の変化と運転操作の変化とに基づいて、乗員の心理的動転が大きいか否かが判定される。尚、呼吸の変化の直後に運転操作の変化があった場合、あるいは急激な運転操作があった場合の呼吸の変化等が、乗員の心理的動転が大きいと判断される。しかし、かかる条件に限定はされない。
【0039】
乗員の心理的動転が小さいあるいは無いと判定されれば、運転支援はせずにステップS51に進む。乗員の心理的動転が大きいと判定されると、ステップS46で運転支援フラグ(乗員がON/OFFする)がONで、且つ車両速度が所定速度βを越えるか否かが判定される。尚、運転支援フラグの判定は、図4の最初で行ってもよい。しかし、運転支援はしなくても学習はしておくのが望ましいので、ステップS46で判定を行った。上記条件を満足しなければ、運転支援無しのステップS51に進む。上記条件を満足すればステップS47に進んで、乗員の心理的動転の要因を判定する。かかる、乗員の心理的動転の要因は、前述した図6の過去の履歴を基に判断される。尚、初めての状況であれば予測が出来ないので、履歴を記憶するのみで運転支援は行わない。返って、過去の履歴なしに運転支援を行うのは危険である。但し、他の運転支援の条件があれば、その制御手順に従って運転支援が行われ、その履歴も記憶される。
【0040】
本例では、ステップS47で走行速度が要因、例えば図6で呼吸数が減少した直後に、急ハンドル操作や急ブレーキ操作、ブレーキによる高減速や踏み増し操作があった場合に走行速度が要因と判断し、ステップS48で速度制御が行われ、ステップS49で速度情報が乗員に提示されて、注意を促す。一方、走行速度が要因でなければステップS50で他の制御を行う。
【0041】
尚、ステップS46で判定する運転支援フラグは、図4の制御とは別に乗員が運転支援を望むか否かのスイッチなどによる選択に従ってON/OFFされる。
【0042】
<本実施形態の車両用運転支援装置の動作具体例>
上記の構成及びその動作手順例に従って、具体的にどのような運転支援が行われるかを、図7を例に具体的に示す。図7のようなカーブの多い道路上を、車両70が走っている場合を説明する。
【0043】
まず、車両70aの位置で高速走行中に、カーブに気付いた乗員は急ブレーキを踏む。そのブレーキ操作の前には、カーブに気付いて乗員の呼吸が乱れる。多くは、呼吸数が減少した後に安心した状態で呼吸数が増加する。本例では、呼吸数の減少とその直後の急ブレーキの操作から、ブレーキ遅れがあって乗員に心理的動転があったと判断して、図6に記憶する。例えば、図6の4番目のブレーキ操作(操作対象)、急ブレーキ(操作状況)、減少(呼吸判断)、速度超過/危険回避(危険状態)のように記憶される。車両は70bから通常のカーブ走行となり、乗員の呼吸数も平常になる。
【0044】
次に、車両70cの位置で、再び急カーブに気付き呼吸数の減少が検知される、その後にブレーキ操作が開始されるが、同じ状況が図6に蓄積されているので、速度過多と判断されて、車両のブレーキにおいて運転支援の制御介入をして、ブレーキの力を増強するように制御される。
【0045】
このようにして、同じ呼吸の変化と運転操作の変化とから、現在の状況を予測してハンドル、アクセル、ブレーキの制御に介入することによって、安全性を高める運転支援が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態の車両用運転支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の車両用運転支援装置における呼吸情報検出の概略を示す図である。
【図3】本実施形態の車両用運転支援装置における運転支援ユニットの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の車両用運転支援装置における運転支援ユニットの動作手順例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る呼吸情報検出の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る危険状態履歴の記憶例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る車両用運転支援装置の運転支援の具体例を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
1 シートクッション
2 シートバック上部
2a シートバックにで運転者の肩に対応する位置
3 シートバックにで運転者の腰部に対応する位置
4 シートバックにで運転者の尻部に対応する位置
10 シート
10a 感圧センサ
14 ハンドル
15 ブレーキ
16 アクセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の呼吸の変化を検出し、その検出結果に基づき判定した運転者の心理的動転度合いに対応して運転支援を行う車両用運転支援装置であって、
運転者の呼吸の変化を検出する呼吸状態検出手段と、
該運転者による車両の運転操作の変化を検出する運転状態検出手段と、
検出された前記運転操作の変化と呼吸の変化とに基づき、前記運転者の心理的動転度合いを判定する判定手段とを備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記判定手段は、運転操作の変化直前の呼吸の変化に基づき運転者の心理的動転度合い判定することを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
前記判定手段は、運転操作の急激な変化があったときの呼吸の変化に基づき運転者の心理的動転度合いを判定することを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
車両のシートに設けられ、運転者の体圧を計測する体圧計測手段を更に備え、
前記呼吸状態検出手段は、計測された運転者の体圧に基づいて呼吸を検知することを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−42903(P2006−42903A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224515(P2004−224515)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】