説明

車両用運転支援装置

【課題】本発明は、車両用運転支援装置に係り、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にある状況において、不必要な注意喚起が行われるのを抑制することにある。
【解決手段】自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき対象施設の近傍にあるときに車両運転者に対して注意喚起を行う車両用運転支援装置において、データベースから読み出した自車位置周辺の地図データに基づいて、自車位置から所定距離R1内に存在する対象施設に隣接する隣接道路を特定すると共に、その隣接道路に直接に接する第1接続道路を特定する(ステップ106)。そして、対象施設から半径R1の距離までの第1所定範囲内に存在する道路のうち、上記の隣接道路および第1接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対して注意喚起を行う(ステップ110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転支援装置に係り、特に、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にあるときに車両運転者に対して注意喚起を行ううえで好適な車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定範囲内の道路を自車両が走行する場合に車両運転者に対して注意喚起を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置においては、学校を中心とする所定エリア内がスクールゾーンとして設定され、そのスクールゾーン内の道路上に自車位置がある場合に車両運転者に対して注意喚起が行われる。
【特許文献1】特開2002−250632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、学校を中心とする所定エリア内であっても、通学路とは関係が低く児童や生徒がほとんど通らない道路も存在する。しかし、上記従来の装置では、学校を中心とする所定エリア内のすべてが注意喚起対象の道路として設定されるため、注意喚起の不必要な道路に自車両が進入しても注意喚起が行われることがあり、運転者に違和感を与える可能性があった。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にある状況において、不必要な注意喚起が行われるのを抑制することが可能な車両用運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき対象施設の近傍にあるときに車両運転者に対して注意喚起を行う車両用運転支援装置であって、前記対象施設に隣接する隣接道路を特定する隣接道路特定手段と、前記隣接道路特定手段により特定された前記隣接道路に接する第1接続道路を特定する第1の接続道路特定手段と、前記対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち、前記隣接道路特定手段により特定された前記隣接道路および前記第1の接続道路特定手段により特定された前記第1接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対して注意喚起を行う注意喚起手段と、を備える車両用運転支援装置により達成される。
【0006】
この態様の発明においては、車両運転者に注意喚起を促すべき対象施設に隣接する隣接道路が特定されると共に、また、その隣接道路に接続する第1接続道路が特定される。そして、対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち隣接道路および第1接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対して注意喚起が行われる。対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち隣接道路および第1接続道路は、対象施設に行く或いは帰る比較的多くの人が通行する道路であると判断でき、走行車両の運転者に対する注意喚起の必要性の高い道路であると判断できる。一方、対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち隣接道路及び第1接続道路以外の道路は、あまり多くの人が通行する道路ではないと判断でき、注意喚起の必要性の低い道路であると判断できる。従って、本発明の構成によれば、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にある状況において、対象施設から第1所定範囲内に存在するすべての道路のうち、注意喚起の必要性の高い道路では確実に注意喚起を行いつつ、注意喚起のあまり必要のない道路では車両運転者に対する注意喚起が行われるのを防止することができる。
【0007】
ところで、第1所定範囲内において更に対象施設に比較的近い範囲では、隣接道路及び第1接続道路以外でも、その第1接続道路に接する道路では、対象施設に行く或いは帰る人が多くなることが想定される。従って、上記した車両用運転支援装置において、前記第1の接続道路特定手段により特定された前記第1接続道路に接する、前記隣接道路以外の第2接続道路を特定する第2の接続道路特定手段を備え、前記注意喚起手段は、更に、前記対象施設から前記第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲内に存在する道路のうち、前記第2の接続道路特定手段により特定された前記第2接続道路上に自車位置がある場合にも、車両運転者に対して注意喚起を行うこととしてもよい。
【0008】
尚、上記した車両用運転支援装置において、前記注意喚起手段は、自車両が前記隣接道路、前記第1接続道路、又は前記第2接続道路に進入した時点で、該進入を示す音声案内又は表示案内を開始することとすればよい。
【0009】
また、上記した車両用運転支援装置において、前記注意喚起手段は、自車両が前記隣接道路、前記第1接続道路、又は前記第2接続道路から退出した時点で、該進入を示す音声案内又は表示案内を終了することとすればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にある状況において、不必要な注意喚起が行われるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の第1実施例である車両に搭載される車両用運転支援装置10のシステム構成図を示す。本実施例の車両用運転支援装置10は、自車両の位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にあるときに車両運転者に対して注意喚起を行うシステムである。
【0013】
図1に示す如く、車両用運転支援装置10は、統合マネージャ部12と、ナビゲーション部14と、制御デバイス群16と、を備えている。統合マネージャ部12は、コンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、制御ECUと称す)20を有している。制御ECU20は、予め定められた処理プログラムに従って車両運転者に対して注意喚起を行うための各種処理や制御を行う。
【0014】
統合マネージャ部12には、ナビゲーション部14が接続されている。ナビゲーション部14は、CD−ROMやDVD−ROM,ハードディスク,メモリカードなどにより構成されたデータベース22を有している。データベース22は、少なくとも、車両運転者に対する注意喚起の対象として設定される対象施設の位置情報を含む地図データや、その対象施設の周辺道路を含む道路ごとのリンクIDやリンク座標データ,自動車専用道路や国道,県道などの道路種別を示すデータ,対象施設の周辺道路において後述の隣接道路と第1接続道路と第2接続道路とを区別するデータなどを格納している。尚、データベース22に位置情報が格納される上記の対象施設は、主に保育園や幼稚園,小学校,中学校などの学校施設など、人の出入りが短時間に集中して周囲の道路に多くの人が歩行し得る施設である。
【0015】
ナビゲーション部14は、また、GPS受信機や車速センサ,方位センサなどを有している。ナビゲーション部14は、これら受信機やセンサの出力信号に基づいて自車両の現在位置(緯度及び経度)を検出する。そして、データベース22から、自車両の現在位置周辺の地図データや道路種別を示すデータを読み出す。ナビゲーション部14は、検出した自車位置および各種データを統合マネージャ部12の制御ECU20へ供給する。制御ECU20は、ナビゲーション部14からのデータに基づいて自車位置や自車位置周辺に関する各種情報を取得する。
【0016】
統合マネージャ部12には、また、制御デバイス群16が接続されている。統合マネージャ部12の制御ECU20が取得した各種情報は、制御デバイス群16に供給される。制御デバイス群16は、ディスプレイ装置24及びスピーカ装置26を有している。ディスプレイ装置24は、車両運転者による視認が可能な車内位置に配置された表示ディスプレイを有しており、制御ECU20からの各種情報に基づく地図および自車両の現在位置を示すマークなどをその表示ディスプレイに表示する。また、スピーカ装置26は、車内に配置されたスピーカを有しており、制御ECU20からの各種情報に基づく経路案内などをスピーカを通じて音声出力する。
【0017】
次に、図2及び図3を参照して、本実施例の車両用運転支援装置10の動作について説明する。図2は、本実施例の車両用運転支援装置10において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。また、図3は、本実施例の車両用運転支援装置10において車両運転者に対して注意喚起が行われるタイミングを説明するための図を示す。
【0018】
まず、ナビゲーション機能について説明する。車両運転者が所定操作により車両用運転支援装置10を起動すると、ナビゲーション部14がGPS受信機や車速センサ,方位センサからの各出力信号に基づいて自車両の現在位置を検出する。そして、データベース22から自車両の現在位置周辺の地図データを読み出し、自車両の現在位置及びその周辺の地図データを統合マネージャ部12の制御ECU20へ供給する。
【0019】
制御ECU20は、ナビゲーション部14から自車両の現在位置及びその周辺の地図データの供給を受けると、ディスプレイ装置24に対してその地図や現在位置を示すマークを表示ディスプレイに表示するように指令する。ディスプレイ装置24は、制御ECU20からの情報に基づいて、表示ディスプレイに、自車位置周辺の地図を運転者の操作により指定された縮尺に応じた倍率で表示すると共に、その地図に重畳して自車両の現在位置を示すマークを表示する。かかる処理は繰り返し行われ、表示ディスプレイに表示される自車位置周辺の地図および自車位置を示すマークは順次更新される。
【0020】
また、制御ECU20は、自車両の目的地が指定されている場合は、自車両の現在位置からその目的地までに自車両が走行すべき経路を算出して、ディスプレイ装置24に対してその経路を表示ディスプレイに表示するように指令する。ディスプレイ装置24は、制御ECU20からかかる指令を受けると、自車両の現在位置周辺の地図が表示された表示ディスプレイに、その経路を示すマークを重畳して表示する。尚、このように経路を示すマークが表示ディスプレイに表示される状況においては、自車両が経路中の分岐点などの案内地点に差し掛かると、制御ECU20は、スピーカ装置26に対してその案内地点に対して付加された案内(例えば、「100メートル先を右折です。」など)を音声出力するように指令する。スピーカ装置26は、制御ECU20からの指令に従って、その案内地点に対して付加された音声案内をスピーカから出力する。
【0021】
また、本実施例において、ナビゲーション部14が自車両の現在位置の検出後にデータベース22から読み出し制御ECU20へ供給する地図データには、車両運転者に対する注意喚起の対象として設定される対象施設の位置情報、及び、その対象施設の周辺道路を含む道路の情報が含まれている。ナビゲーション部14は、自車両の現在位置を検出する(ステップ100)と、その後、データベース22から読み出した自車両の現在位置周辺の地図データに基づいて、その自車位置から所定距離R1内に上記の対象施設が存在するか否かを判別する(ステップ102)。尚、この所定距離R1は、後述の対象施設を中心にした所定範囲(以下、第1所定範囲と称す)を規定するうえでの半径を表したものであればよく、例えば500メートルに設定されている。また、この所定距離R1は、対象施設の種別に応じて可変するもの(例えば、小学校では比較的狭く、中学校では比較的広くするもの)であってもよい。
【0022】
ナビゲーション部14は、上記ステップ102の結果、自車位置から所定距離R1内に上記の対象施設が存在しないと判別した場合は、以後、何ら処理を進めることなく今回のルーチンを終了するが、一方、自車位置から所定距離R1内に上記の対象施設が存在すると判別した場合は、次に、データベース22からその対象施設を中心として半径R1の距離までの第1所定範囲内の道路地図データを読み出す処理を行い(ステップ104)、そして、その第1所定範囲内の道路地図データを自車両の現在位置情報と共に制御ECU20へ供給する。
【0023】
統合マネージャ部12の制御ECU20は、ナビゲーション部14から自車両の現在位置情報および対象施設を中心にして半径R1の距離までの第1所定範囲内の道路地図データの供給を受けると、まず、その道路地図データに基づいて、自車位置から所定距離R1内に存在する対象施設に隣接する道路(以下、隣接道路と称す)、及び、その隣接道路に接する道路(以下、第1接続道路と称す)を特定する(ステップ106)。
【0024】
尚、「隣接道路」とは、対象施設の敷地(例えば、図3において斜線で囲まれる領域)に隣接する道路であって、2つの交差点間を結んだ道路である。例えば図3に示す如く四方が道路で囲まれている対象施設に対しては、それら四方の道路すべて(図3において太実線で示す)が隣接道路となる。また、「第1接続道路」とは、上記した隣接道路に直接に接している道路である。例えば、図3に示す状況においては、太破線で示す道路が第1接続道路となる。
【0025】
制御ECU20は、ステップ106の処理により隣接道路および第1接続道路を特定すると、自車両の現在位置が、上記の対象施設を中心にした第1所定範囲内において上記の隣接道路又は第1接続道路上にあるか否かを判別する(ステップ108)。その判別の結果、自車両の現在位置が第1所定範囲内にない又は第1所定範囲内にあるが隣接道路上にも第1接続道路上にもない場合は、以後、何ら処理を進めることなく今回のルーチンを終了する。一方、自車両の現在位置が第1所定範囲内において隣接道路又は第1接続道路上にある場合は、ディスプレイ装置24及びスピーカ装置26に対して、自車両が対象施設の近傍にあるとして車両運転者に対する注意喚起を行うように指令する(ステップ110)。
【0026】
ディスプレイ装置24は、制御ECU20から注意喚起の指令を受けると、表示ディスプレイに、例えば「近くに学校があります。児童に注意して走行してください。」などの文字表示や表示色変更などにより、車両運転者が注意すべき対象施設が近くにある旨の注意喚起を示す表示案内を行う。このディスプレイ装置24による表示ディスプレイにおける表示案内は、自車両が第1所定範囲内かつ隣接道路又は第1接続道路に進入した時点で開始され、その後継続され、第1所定範囲内かつ隣接道路又は第1接続道路から退出した時点で終了される。
【0027】
また、スピーカ装置26は、制御ECU20から注意喚起の指令を受けると、スピーカから、例えば「近くに学校があります。児童に注意して走行してください。」などの、車両運転者が注意すべき対象施設が近くにある旨の注意喚起を示す音声案内を行う。このスピーカ装置26によるスピーカからの音声案内は、自車両が第1所定範囲内かつ隣接道路又は第1接続道路に進入した時点で行われる。尚、この音声案内は、かかる進入後、第1所定範囲内かつ隣接道路又は第1接続道路から退出するまで、所定時間又は所定走行距離ごとにその都度行われてもよい。また、自車両が第1所定範囲内かつ隣接道路又は第1接続道路から退出した際には、例えば「学校近傍の地域から出ました。」などの音声案内を行うこととしてもよい。
【0028】
このように、本実施例の車両用運転支援装置10においては、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にあるときに、ディスプレイ装置24及びスピーカ装置26を用いて車両運転者に対して注意喚起を行うが、その注意喚起を行うタイミングが、単に対象施設を中心にして半径R1の第1所定範囲内の何れかの道路上に自車位置があるときではなく、その第1所定範囲内においてその対象施設に隣接する隣接道路およびその隣接道路に直接に接する第1接続道路(図3においては太実線及び太破線で示す)上に自車位置があるときに限られる。
【0029】
対象施設から半径R1の第1所定範囲内に存在する道路のうち上記の隣接道路および第1接続道路は、その対象施設に行く或いは帰る比較的多くの人が通行する道路であると判断でき、走行車両の運転者に対する注意喚起の必要性の高い道路であると判断できる。一方、対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち隣接道路及び第1接続道路以外の道路(例えば、第1所定範囲内にあるが対象施設に隣接することのない高架式や地下式の自動車専用道路,第1所定範囲内にあるが隣接道路や第1接続道路に該当しない住宅地内の細街路など)は、あまり多くの人が通行する道路ではないと判断でき、注意喚起の必要性の低い道路であると判断できる。
【0030】
従って、本実施例の車両用運転支援装置10によれば、自車両が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍(具体的には対象施設から第1所定範囲内に存在する道路)に位置する状況において、そのすべての道路のうち注意喚起の必要性の高い道路では確実に注意喚起を行いつつ、注意喚起のあまり必要のない道路では車両運転者に対する注意喚起が行われるのを防止することが可能となっており、この点、不必要な注意喚起が行われるのを抑制することが可能となっている。このため、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にある状況で、車両運転者に不必要な注意喚起によって違和感や煩わしさを与えるのを防止することが可能である。
【0031】
尚、上記の第1実施例においては、統合マネージャ部12の制御ECU20が、ナビゲーション部14からの道路地図データに基づいて、自車位置から所定距離R1内に存在する対象施設に隣接する隣接道路を特定することにより特許請求の範囲に記載した「隣接道路検出手段」が、その隣接道路に直接に接する第1接続道路を特定することにより特許請求の範囲に記載した「第1の接続道路特定手段」が、図2に示すルーチン中ステップ108,110の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「注意喚起手段」が、それぞれ実現されている。
【実施例2】
【0032】
上記した第1実施例では、対象施設を中心にして半径R1の距離までの第1所定範囲内においてその対象施設に隣接する隣接道路およびその隣接道路に直接に接する第1接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対してディスプレイ装置24及びスピーカ装置26を用いた注意喚起が行われる。
【0033】
これに対して、本発明の第2実施例においては、更に、第1所定範囲内における対象施設から半径R2(<R1)の距離までのその第1所定範囲よりも狭い範囲(以下、第2所定範囲と称す)内において、上記の第1接続道路に接する、隣接道路以外の道路(以下、第2接続道路と称す)上に自車位置がある場合にも、車両運転者に対してディスプレイ装置24及びスピーカ装置26を用いた注意喚起を行うこととしている。本実施例の車両用運転支援装置10は、図2に代えて図4に示すルーチンを実行することにより実現される。
【0034】
図4は、本実施例の車両用運転支援装置10において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、図4において、上記図2に示す処理と同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。また、図5乃至図7はそれぞれ、本実施例の車両用運転支援装置10において車両運転者に対して注意喚起が行われるタイミングを説明するための図を示す。尚、図5には対象施設が四方を道路で囲まれている場合を、図6には対象施設の近傍にその対象施設には隣接しない高架道路が存在する場合を、また、図7には対象施設が一つの道路にのみ面している場合を、それぞれ示す。
【0035】
本実施例において、統合マネージャ部12の制御ECU20は、ナビゲーション部14から自車両の現在位置情報および対象施設を中心にして半径R1の距離までの第1所定範囲内の道路地図データの供給を受けると、まず、その道路地図データに基づいて、自車位置から所定距離R1内に存在する対象施設に隣接する隣接道路、その隣接道路に接する第1接続道路、およびその第1接続道路に接する道路(以下、第2接続道路と称す)を特定する(ステップ200)。尚、「第2接続道路」とは、上記した第1接続道路に直接に接している道路であって、上記した隣接道路を含まない道路のことである。例えば、図5〜図7に示す状況においては、点線で示す道路が第2接続道路となる。
【0036】
制御ECU20は、ステップ200の処理により隣接道路、第1接続道路、及び第2接続道路を特定すると、自車両の現在位置が、上記の対象施設を中心にした第1所定範囲内において上記の隣接道路若しくは第1接続道路上にあるか、又は、上記の対象施設を中心にした第2所定範囲内において上記の第2接続道路上にあるか否かを判別する(ステップ202)。
【0037】
尚、この第2所定範囲は、第1所定範囲内における対象施設から半径R2(<R1)の距離までの範囲のことであり、その第1所定範囲よりも狭い範囲である。また、この所定距離R2は、第2所定範囲を規定するうえでの対象施設からの半径を表したものであって、少なくとも所定距離R1よりも短く、例えば300メートルに設定されている。また、この所定距離R2は、対象施設の種別に応じて可変するもの(例えば、小学校では比較的狭く、中学校では比較的広くするもの)であってもよい。
【0038】
上記の判別の結果、自車両の現在位置が第1所定範囲内にない、第1所定範囲内にあるが隣接道路上にも第1接続道路上にもない、又は第2所定範囲内にあるが第2接続道路上にない場合は、以後、何ら処理を進めることなく今回のルーチンを終了する。一方、自車両の現在位置が第1所定範囲内において隣接道路若しくは第1接続道路上にある又は第2所定範囲内において第2接続道路上にある場合は、ディスプレイ装置24及びスピーカ装置26に対して、自車両が対象施設の近傍にあるとして車両運転者に対する注意喚起を行うように指令する(ステップ110)。
【0039】
ディスプレイ装置24は、制御ECU20から注意喚起の指令を受けると、表示ディスプレイに、例えば「近くに学校があります。児童に注意して走行してください。」などの文字表示や表示色変更などにより、車両運転者が注意すべき対象施設が近くにある旨の注意喚起を示す表示案内を行う。このディスプレイ装置24による表示ディスプレイにおける表示案内は、自車両が第1所定範囲内かつ隣接道路若しくは第1接続道路に進入した時点又は第2所定範囲内かつ第2接続道路に進入した時点で開始され、その後継続され、第1所定範囲内かつ隣接道路若しくは第1接続道路から退出した時点又は第2所定範囲内かつ第2接続道路から退出した時点で終了される。
【0040】
また、スピーカ装置26は、制御ECU20から注意喚起の指令を受けると、スピーカから、例えば「近くに学校があります。児童に注意して走行してください。」などの、車両運転者が注意すべき対象施設が近くにある旨の注意喚起を示す音声案内を行う。尚、この音声案内は、かかる進入後、第1所定範囲内かつ隣接道路若しくは第1接続道路から退出するまで又は第2所定範囲内かつ第2接続道路から退出するまで、所定時間又は所定走行距離ごとにその都度行われてもよい。また、自車両が第1所定範囲内かつ隣接道路若しくは第1接続道路から退出した際又は第2所定範囲内かつ第2接続道路から退出した際には、例えば「学校近傍の地域から出ました。」などの音声案内を行うこととしてもよい。
【0041】
このように、本実施例の車両用運転支援装置10においては、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にあるときに、ディスプレイ装置24及びスピーカ装置26を用いて車両運転者に対して注意喚起を行うが、その注意喚起を行うタイミングが、単に対象施設を中心にして半径R1の第1所定範囲内の何れかの道路上に自車位置があるときではなく、その第1所定範囲内においてはその対象施設に隣接する隣接道路およびその隣接道路に直接に接する第1接続道路(図5〜図7においては太実線及び太破線で示す)上に並びにその第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲内においては更に第1接続道路に直接に接する隣接道路以外の第2接続道路(図5〜図7においては点線で示す)上に自車位置があるときに限られる。
【0042】
上記の如く、対象施設から半径R1の第1所定範囲内に存在する道路のうち上記の隣接道路および第1接続道路は、その対象施設に行く或いは帰る比較的多くの人が通行する道路であると判断でき、走行車両の運転者に対する注意喚起の必要性の高い道路であると判断できる。また、対象施設から第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲内においては、隣接道路及び第1接続道路以外でも、その第1接続道路に接する第2接続道路は、その対象施設に行く或いは帰る人が多くなる道路であると判断でき、走行車両の運転者に対する注意喚起の必要性の高い道路であると判断できる。一方、対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち隣接道路及び第1接続道路以外の道路であってかつ第2所定範囲内に存在する道路のうち第2接続道路以外の道路(例えば、第1所定範囲内にあるが対象施設に隣接することのない高架式や地下式の自動車専用道路、第2所定範囲内にあるが隣接道路や第1接続道路,第2接続道路に該当しない住宅地内の細街路など)は、あまり多くの人が通行する道路ではないと判断でき、注意喚起の必要性の低い道路であると判断できる。
【0043】
従って、本実施例の車両用運転支援装置10においても、上記第1実施例と同様に、自車両が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍(具体的には対象施設から第1所定範囲内に存在する道路)に位置する状況において、そのすべての道路のうち注意喚起の必要性の高い道路では確実に注意喚起を行いつつ、注意喚起のあまり必要のない道路では車両運転者に対する注意喚起が行われるのを防止することが可能となっており、この点、不必要な注意喚起が行われるのを抑制することが可能となっている。このため、自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき学校などの対象施設の近傍にある状況で、車両運転者に不必要な注意喚起によって違和感や煩わしさを与えるのを防止することが可能である。
【0044】
尚、上記の第2実施例においては、統合マネージャ部12の制御ECU20が、ナビゲーション部14からの道路地図データに基づいて、対象施設に隣接する隣接道路に直接に接する第1接続道路に直接に接する、その隣接道路以外の第2接続道路を特定することにより特許請求の範囲に記載した「第2の接続道路特定手段」が、実現されている。
【0045】
また、上記の第2実施例においては、第1所定範囲内において隣接道路及び第1接続道路上に並びにその第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲内において第2接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対する注意喚起が行われるが、更に、その第2所定範囲よりも狭い第3所定範囲(対象施設を中心にして半径R2よりも短い半径(例えば100メートル)の距離までの範囲)を設定したうえで、その第3所定範囲内において第2接続道路に直接に接する第1接続道路や隣接道路以外の第3接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対する注意喚起を行うこととしてもよい。
【0046】
ところで、上記の第1及び第2実施例においては、車両運転者に対する注意喚起として、ディスプレイ装置24による表示ディスプレイへの表示案内およびスピーカ装置26によるスピーカからの音声案内が行われるが、それら表示案内及び音声案内の何れか一方のみが行われるものであってもよく、また、それら以外に、ブザーやチャイムなどの音が発せられるものであってもよく、更に、車両のブレーキ作動、スロットル制限、最高速度制限、或いは車両シートやステアリングホイールの振動等が行われるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例である車両用運転支援装置のシステム構成図である。
【図2】本実施例の車両用運転支援装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】本実施例の車両用運転支援装置において車両運転者に対して注意喚起が行われるタイミングを説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施例である車両用運転支援装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図5】本実施例の車両用運転支援装置において車両運転者に対して注意喚起が行われるタイミングを説明するための図である。
【図6】本実施例の車両用運転支援装置において車両運転者に対して注意喚起が行われるタイミングを説明するための図である。
【図7】本実施例の車両用運転支援装置において車両運転者に対して注意喚起が行われるタイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
10 車両用運転支援装置
12 統合マネージャ部
14 ナビゲーション部
16 制御デバイス群
20 制御ECU
22 データベース
24 ディスプレイ装置
26 スピーカ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置が車両運転者に注意喚起を促すべき対象施設の近傍にあるときに車両運転者に対して注意喚起を行う車両用運転支援装置であって、
前記対象施設に隣接する隣接道路を特定する隣接道路特定手段と、
前記隣接道路特定手段により特定された前記隣接道路に接する第1接続道路を特定する第1の接続道路特定手段と、
前記対象施設から第1所定範囲内に存在する道路のうち、前記隣接道路特定手段により特定された前記隣接道路および前記第1の接続道路特定手段により特定された前記第1接続道路上に自車位置がある場合に、車両運転者に対して注意喚起を行う注意喚起手段と、
を備えることを特徴とする車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記第1の接続道路特定手段により特定された前記第1接続道路に接する、前記隣接道路以外の第2接続道路を特定する第2の接続道路特定手段を備え、
前記注意喚起手段は、更に、前記対象施設から前記第1所定範囲よりも狭い第2所定範囲内に存在する道路のうち、前記第2の接続道路特定手段により特定された前記第2接続道路上に自車位置がある場合にも、車両運転者に対して注意喚起を行うことを特徴とする請求項1記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
前記注意喚起手段は、自車両が前記隣接道路、前記第1接続道路、又は前記第2接続道路に進入した時点で、該進入を示す音声案内又は表示案内を開始することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記注意喚起手段は、自車両が前記隣接道路、前記第1接続道路、又は前記第2接続道路から退出した時点で、該進入を示す音声案内又は表示案内を終了することを特徴とする請求項3記載の車両用運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−333699(P2007−333699A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169186(P2006−169186)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】