車両車庫入れ支援装置
【課題】車両車庫入れ時の衝突防止の支援をする車庫入れ支援装置において、より劣化に強く、車庫側に能動的な機能を必要としない、信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供する。
【解決手段】車両の後方のナンバープレートの付近にモノパルスレーダ20を取り付ける。モノパルスレーダ20は、地面に向かって、直線偏波の電波パルスを照射する。車庫の地面には、入力された電波の偏波を直行する偏波に変換して反射するコーナーリフレクタが埋め込まれ、電波を通過するレドームによって蓋がされている。モノパルスレーダ20は2つの受信アンテナを有しており、2つの受信アンテナで受信した反射波の位相差からコーナーリフレクタの位置が、車両の中央か、左右にずれているかを検出する。コーナーリフレクタの位置が車両の左右にずれている場合には、その旨を運転者に通知し、コーナーリフレクタが中央に来るように運転者に車両を操作させることにより、車庫入れを容易にできるようにする。
【解決手段】車両の後方のナンバープレートの付近にモノパルスレーダ20を取り付ける。モノパルスレーダ20は、地面に向かって、直線偏波の電波パルスを照射する。車庫の地面には、入力された電波の偏波を直行する偏波に変換して反射するコーナーリフレクタが埋め込まれ、電波を通過するレドームによって蓋がされている。モノパルスレーダ20は2つの受信アンテナを有しており、2つの受信アンテナで受信した反射波の位相差からコーナーリフレクタの位置が、車両の中央か、左右にずれているかを検出する。コーナーリフレクタの位置が車両の左右にずれている場合には、その旨を運転者に通知し、コーナーリフレクタが中央に来るように運転者に車両を操作させることにより、車庫入れを容易にできるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車庫入れを支援する車両車庫入れ支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両車庫入れシステムにおいてはレーダを用いた方法が提案されている(特許文献1)。
図12は、第1の従来技術を示す図である。
【0003】
車両後方に画像センサ10を取り付け、路面上に描かれた線11と自車との相対的位置関係をドライバーに指示することで車庫での車両位置計測が可能となる。しかし、従来の位置検出レーダシステムでは、路面上に直接白線を引く必要があるが、白線の塗装が劣化した場合などには、車両位置計測機能が十分に機能しないなどの問題があった。
【0004】
図13は、第2の従来技術を示す図である。
図13の構成は、特許文献2や特許文献3に記載されている。この方式では道路に埋め込まれた磁気マーカー13を用い、車両がその上を通過した場合のみその磁場の変化を検出し、車庫などでの車両位置計測を可能としていた。しかし、磁気マーカー13を通電するための電源が必要であること、また、車両が磁気マーカー上部に車体が有るか無いかを判断するだけで車体自体がどちらよりなのかを判断するのが困難であった。
【0005】
以上の従来技術のほかにも、特許文献4のような従来技術がある。
【特許文献1】特開平10−83500号公報
【特許文献2】特開2005−193742号公報
【特許文献3】特開平10−269497号公報
【特許文献4】特開2001−33550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、より信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供するためには、装置の風雪などの影響による劣化を押さえ、かつ、車庫側にはパッシブな構成のみを設けることによって実現可能な装置を考案する必要がある。
【0007】
本発明の課題は、車両車庫入れ時の衝突防止の支援をする車庫入れ支援装置において、より劣化に強く、車庫側に能動的な機能を必要としない、信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両の車庫入れ支援装置は、入射した電波の偏波を、それとは直交する偏波に変換して反射する、車庫の地面に設けられた複数の反射体と、該複数の反射体の1つからの反射波を複数の受信アンテナで受信し、各受信アンテナが受信した信号の位相差を用いて、該1つの反射体が該車両の左右、中央のいずれに位置するかを検出する、該車両に設けられたレーダ手段と、該1つの反射体が予め定められた位置にない場合には、車両の運転者に警告を発する警告手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車庫側に電源などの能動的な構成を設ける必要がなく、風雪などにより劣化も抑えられ、かつ、信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態では、車両後方のナンバー付近にレーダ送受信機を設置する。レーダ送信波には方向検知が可能なモノパルスレーダを用いる。
例えば、送信機アンテナを垂直偏波、受信アンテナを水平偏波とする。入射した電波の偏波を変換して反射する異偏波検出反射体を地面に埋め込んで配置し、防水や、ごみなどの蓄積の防止等、外からの影響による劣化などを防ぐためにレドームなどをつける。異偏波検出反射体は、入射と反射の偏波を互いに直交する偏波に変換して、レーダに折り返すようにする。
【0011】
上記手段により、不要な対象物からの電波の反射波の偏波は、送信波と同一偏波となるため、どの電波が車両の位置を検出するための異偏波検出反射体からの反射波かが判別でき、誤動作を抑圧できる。また、異偏波検出反射体は、地面に埋めこんだ空洞まわりは電波吸収体で覆うことにより不要反射を生じず、直接レーダから送られてきた電波を偏波を変えてレーダに折り返すようになる。
【0012】
上記のように、送信波は垂直偏波で送信しているため、偏波変更検出反射体上部にレーダがくると水平偏波で受信することとなる(送信を水平偏波とし、受信を垂直偏波としても可能)。また、レーダ自体はモノパルスレーダを用いているため、方向検知が可能であり、もし車体が右にかたむけば位相差が生じ、もし、検出反射体上をまっすぐ走行できていれば、位相差は0になる。このように受信した方位を識別することで、地面からの不要反射もなく車体がどちらにむいているか判別が可能となる。
【0013】
更に、本発明の実施形態では、以下のようにする。
異偏波検出反射体の設置位置を車庫の地面中央ではなく、車両の右側か左側に寄せて設置する。複数の異偏波検出反射体を車庫の入り口側から、右左左右というように配置するようにして、異偏波検出反射体の位置が右ならば10といったID(位相差では+側)、異偏波検出反射体が左ならば01といったID(位相差では-側)、異偏波検出反射体が左右両方にあるならば00といったID(位相差では0)と意味づけする。ここで、車両にはこの上記路側IDを事前に登録し、このID(位相差)を車庫内への侵入と同時に確認していく。もしIDが同じであれば確認済みとし登録をする。異なっている場合は車体が傾いていることを通知する。
【0014】
このように受信した方位を識別することで、該当車両がこの駐車場にとめることが可能かを判断することが可能となる。
図1は、本発明の車庫入れ支援装置の第1の実施形態を説明する図である。
【0015】
車両後方のナンバープレート付近にレーダ送受信機20を設置する。レーダ送信波には方向検知が可能なモノパルスレーダを用いる。例えば、送信機アンテナを垂直偏波、受信アンテナを水平偏波とする。異偏波検出反射体(コーナーリフレクタ)を図1に示すように、車庫中央の地面に埋め込むように配置し、外からの劣化などを防ぐためにレドームなどをつける。つまり、コーナーリフレクタは、地面に作られた空洞に入れるようにする。空洞の開口部は電波を通過する性質を持つ材質でできたレドームでふさぐ。レドームで蓋をするので、コーナーリフレクタの風雪等による劣化を防ぐことができる。コーナーリフレクタは、入射波と反射波の偏波が直交偏波となるように反射して、レーダに折り返す。この手段により不要な対象物からの反射波の偏波は送信波と同一偏波となるため、コーナーリフレクタからの反射波と区別でき、誤動作を抑圧できる。コーナーリフレクタが配置されていない車庫の地面には、電波吸収体を設けるのが好ましい。
【0016】
上記のように、送信波は垂直偏波で送信しているため、偏波変更検出体上部にレーダがくると水平偏波で受信することとなる(送信を水平偏波とし、受信を垂直偏波としても可能)。また、レーダ自体はモノパルスレーダを用いているため、方向検知が可能であり、もし車体が右にかたむけば位相差が生じ、もし、検出反射体上をまっすぐ走行できていれば、位相差は0になる。このように受信した方位を識別することで、地面からの不要反射もなく検出体がどちらにむいているか判別が可能となる。車両が左右にずれている場合には、運転者に警告を鳴らし、コーナーリフレクタが車両の中央に来るように車両を操作させる。これにより、正しく車庫入れを行わせることができる。
【0017】
上記の構成では、コーナーリフレクタは、パッシブな構成であるので、車庫に電源等を設ける必要がないので、余分なメンテナンス等の作業をなくすことができる。
図2は、コーナーリフレクタの構成を説明する図である。
【0018】
コーナーリフレクタは、電波の反射板を4面体の底面が空いた形状に組み立て、底面の半分を偏波変更膜21で覆うことによって構成することができる。電波は、4面体内部に入ると、3回反射して、元の方向に戻っていくようになる。このとき、偏波変更膜21の作用により、入射波の偏波が垂直偏波の場合には、水平偏波に、水平偏波の場合には、垂直偏波に変換される。
【0019】
図2のコーナーリフレクタの構成の詳細については、特願2004−323417号明細書に記載されている。
図3は、コーナーリフレクタの動作を説明する図である。
【0020】
レーダシステム22の送信アンテナ23から、水平偏波の電波が送信されたとする。この電波がコーナーリフレクタ24に入ると、内部で反射し、水平偏波のまま偏波変更膜21に入射する。偏波変更膜21によって電波の偏波は、水平偏波から垂直偏波に変換される。そして、垂直偏波の電波として、レーダシステム22の方に戻っていく。
【0021】
図4は、車載レーダのブロック構成図を示す図である。
アンテナ部25は、送信アンテナと受信アンテナからなる。送信アンテナから水平あるいは垂直の偏波を有する電波パルスをターゲットに向けて送信する。受信アンテナは、ターゲットから反射されてきた電波を受信し、レーダセンサ部26に送る。本実施形態では、ターゲットの水平位置を検出するため、2個の受信アンテナが水平方向に並べられて設けられる。レーダセンサ部26では、受信した電波を復調し、信号成分のみを取り出す。フィルタリング処理部27では、余分な雑音成分を取り除き、2つの受信アンテナで受信された信号の位相差を検出することによって、ターゲットが左右のどちら側にあるのかのデータを表示部28に渡す。2つの受信アンテナで受信された信号の位相差がない場合には、ターゲットは中央にあると判断される。
【0022】
図5及び図6は、モノパルスレーダの動作の概念を説明する図である。
図5のレーダシステムには、1つの送信アンテナ30と、2つの受信アンテナ31−1、31−2が設けられる。送信アンテナ30からは、垂直偏波、あるいは、水平偏波の電波パルスを送信するようにする。送信アンテナ30から送信された電波は、地面に埋め込まれたコーナーリフレクタ32によって、反射される。このとき、偏波が元の偏波とは直交する偏波に変換される。受信アンテナ31−1、31−2は、送信電波が垂直偏波のときは、水平偏波受信用、送信電波が水平偏波のときは、垂直偏波受信用とする。
【0023】
図6(a)に示すように、車両の後部に搭載されたレーダ33の真下にコーナーリフレクタ32がある場合には、レーダ33の2つの受信アンテナで受信される信号の位相差が0となる。この位相差が完全に0でなくても、閾値±X度(Xは当業者が適宜設定する)以内の場合には、車両は正常に車庫入れされつつあると判断する。図6(b)に示すように、レーダ33の真下にコーナーリフレクタ32がない場合には、レーダ33の2つの受信アンテナが受信する信号間に位相差が生じる。この位相差を、閾値Xと比較することにより、位相差が±X度より大きい場合には、車庫入れにおいて、車両が異常な状態になっているとして、アラームをあげるようにする。
【0024】
図7は、第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
ステップS10において、レーダの送信アンテナから垂直偏波を送信する。ステップS11において、レーダの受信アンテナで水平偏波を受信したか否かを判断する。ステップS11の判断がNoの場合には、水平偏波が受信されるまで待つ。ステップS11の判断がYesの場合には、ステップS12において、受信方位を算出し、ステップS13において、角度が右よりか否かを判断する。ステップS13の判断がYesの場合には、ステップS16に進む。ステップS13の判断がNoの場合には、ステップS14において、角度が左よりか否かを判断する。ステップS14の判断がYesの場合には、ステップS16に進む。ステップS14の判断がNoの場合には、ステップS15において、運転者に正常通知を行う。ステップS16では、右あるいは左に何度ずれているかを運転者に通知する。そして、処理は、ステップS11に戻る。
【0025】
ずれの角度αは、受信アンテナ間の距離をd、電波の波長をλ、2つの受信アンテナで受信した信号の位相差をφとすると、
α=cos−1{φλ/(2πd)}
で計算できる。
【0026】
図8及び図9は、本発明の車庫入れ支援装置の第2の実施形態を説明する図である。
本実施形態においても、第1の実施形態のコーナーリフレクタと同様のものを異偏波検出反射体として用いる。ただし、本実施形態においては、コーナーリフレクタを車庫の地面中央に配置するのではなく、中央から左右にずれた位置に配置する。配置の仕方はさまざまなものが考えられ、場合によって最適なものを選択するようにすれば良い。ここで、車両側には、ID記憶装置40を搭載し、IDの値を記憶しておくようにする。図9に示されるように、車両は、レーダ20を使って、コーナーリフレクタが車両の右側にあるか左側にあるかを検出する。そして、コーナーリフレクタが車両の左側にある場合には、「01」、右側にある場合には、「10」というように、コーナーリフレクタのある位置にしたがって、数値を読み取っていく。この数値は、車両が車庫内を進むにつれ順次得られるものである。そこで、車両に搭載されたID記憶装置40に記憶されたIDと、順番に比較していく。たとえば、車両が車庫の入り口に来たときに、コーナーリフレクタの位置を読み取ることにより、ID値「01」が得られたとすると、これをID記憶装置40に記憶されている最初のID値「01」と比較する。今の場合、ID値が双方で一致するので、車両は正しく車庫に入れられていると判断できる。以後同様に、車両が車庫の中を進むにつれ、レーダ20で読み取ったコーナーリフレクタの位置に従い、ID値が読み取れるので、これを車載のID記憶装置40に記憶されたID値と順次比較していく。最後まで、ID値の一致が得られれば、車両は正常に車庫に入れられたと判断できる。車両が傾いた場合には、ID値に不一致が発生するので、この場合には、運転者にアラームを通知するようにする。図9では、コーナーリフレクタは、車庫の両端に設けられるように示しているが、実際には、車両の傾き等を検出するためには、車庫の両端より、若干中央よりに配置する必要がある。すなわち、コーナーリフレクタが車庫の両端にあると、ID値が不一致となったときにはすでに、車両が、車庫からはみ出す、あるいは、車庫の壁に衝突していることになってしまうからである。
【0027】
また、このID値は、他の用途にも使うことができる。すなわち、車載のID記憶装置40に記憶されたID値と一致するコーナーリフレクタの配置を有する車庫に駐車しようとすると、アラームがあがるので、各車両について、駐車許可が下りた車庫と駐車禁止となっている車庫とを検出させることができる。したがって、このようなIDを使った車庫入れ支援装置は、車両の駐車規制に使用することができる。
【0028】
なお、コーナーリフレクタの配置方法の詳細は、本発明を利用する当業者に任されるものであるが、車庫入れの最中に車両が前進すると、IDをどこまで読んだかわからなくなるので、連続して同じIDとなるようなコーナーリフレクタの配置の仕方はしないようにするのが好ましい。
【0029】
図10は、第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
図10(a)のステップS20において、車庫側のIDと一致する車両IDを登録し、車両IDの位置を示す変数Nを0に設定する。車両に登録されるIDは、図10(b)のように、車両IDの位置を示す変数Nの数値にしたがって、順次「01」、「10」などの値を格納するものである。ステップS21において、レーダから垂直偏波の電波を送信する。ステップS22において、レーダの受信アンテナで水平偏波の電波が受信されるか否かを判断し、水平偏波の電波が受信されるまで待つ。ここで、レーダからの電波が水平偏波である場合には、レーダの受信アンテナで垂直偏波が受信されるまで待つ。ステップS23において、コーナーリフレクタの受信方位を算出し、これをID化する。すなわち、前述したように、コーナーリフレクタが右、左のいずれにあるかにしたがって、「01」や「10」のIDを取得する。ステップS24において、コーナーリフレクタの位置に従って得られたIDが前回取得したものから変化したか否かを判断する。ステップS24における判断がNoの時には、ステップS22に戻る。ステップS24における判断がYesの場合には、ステップS25において、車両のギアがバックギアに設定されているか否かを判断する。ステップS25の判断がYesの場合には、車両はバックしながら車庫に入っているので、ステップS26において、N番目の車両に登録されたIDと、読みとったIDとを比較し、ステップS27において、車両に登録されたIDの位置をNからN+1に更新する。ステップS25の判断がNoの場合には、車両は前進して、車庫から出る方向に動いているので、ステップS28において、N−2番目の車両登録IDと受信されたIDとを比較し、ステップS29において、NをN−2に更新する。
【0030】
ステップS30においては、車両に登録されたIDとレーダで読み取られたIDとが同一であるか否かを判断する。ステップS30の判断がYesの場合には、ステップS31において、受信IDを登録し、ステップS32において、運転者に正常通知を行い、ステップS22に戻る。ステップS30の判断がNoの場合には、ステップS33において、車両が傾いていることの警告を運転者に通知する。このとき、車両が右よりか左よりかを通知しても良い。ステップS34において、Nを0に初期化し、ステップS22に戻る。
【0031】
図11は、本発明の実施形態で使用するモノパルスレーダを説明する図である。
送信アンテナ30からは、所定の直線偏波の電波パルスが送信される。電波パルスは、ターゲット45で反射され、2つの受信アンテナ31で受信される。このとき、ターゲットの位置が受信アンテナ31の位置からずれた位置にあると、2つの受信アンテナ31のそれぞれで受信される電波パルスに位相差が生じる。受信アンテナ31で受信された電波パルスは、信号成分が取り出され、前置処理部46において、2つの受信アンテナ31からの信号の和(Σ)と差(Δ)が計算される。差(Δ)は、90°位相器47によって位相シフトされ、演算器48に入力される。演算器48には、和(Σ)も入力され、−jΔ/Σ(jは虚数単位)が演算され、位相差値が算出される。ここで得られた位相差値が0の場合には、ターゲット45は、受信アンテナ31の正面にあることになる。
【0032】
本発明の実施形態では、ターゲット45は、コーナーリフレクタである。
(付記1)
車両の車庫入れを支援する装置であって、
入射した電波の偏波を、それとは直交する偏波に変換して反射する、車庫の地面に設けられた複数の反射体と、
該複数の反射体の1つからの反射波を複数の受信アンテナで受信し、各受信アンテナが受信した信号の位相差を用いて、該1つの反射体が該車両と相対しての左右、中央のいずれに位置するかを検出する、該車両に設けられたレーダ手段と、
該1つの反射体が予め定められた位置にない場合には、車両の運転者に警告を発する警告手段と、
を備えることを特徴とする車庫入れ支援装置。
【0033】
(付記2)
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央に設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の位置が前記車両の中央からずれた場合に警告を発することを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0034】
(付記3)
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央より端よりに設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の設置パターンが、予め決められたパターンでない場合に警告を発することを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0035】
(付記4)
前記複数の反射体の設置パターンを符号に変換し、予め格納された符号と比較することにより、該複数の反射体の設置パターンが、予め決められたパターンであるか否かを判断することを特徴とする付記3に記載の車庫入れ支援装置。
【0036】
(付記5)
前記レーダ手段はモノパルスレーダであることを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0037】
(付記6)
前記レーダ手段は、前記車両後方のナンバープレート付近に設置されることを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0038】
(付記7)
モノパルスを用いた位置検知レーダシステムにおいて、
対象物に対して設けられたレーダ送信機とレーダ受信機と、
それぞれに設けられた異偏波の送受信用アンテナと、
レーダ送信波を反射し、レーダ受信波とする偏波変更検出反射体と、
を設け、
対象物の位置検出を行うことを特徴とする位置検知レーダシステム。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の車庫入れ支援装置の第1の実施形態を説明する図である。
【図2】コーナーリフレクタの構成を説明する図である。
【図3】コーナーリフレクタの動作を説明する図である。
【図4】車載レーダのブロック構成図を示す図である。
【図5】モノパルスレーダの動作の概念を説明する図(その1)である。
【図6】モノパルスレーダの動作の概念を説明する図(その2)である。
【図7】第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の車庫入れ支援装置の第2の実施形態を説明する図(その1)である。
【図9】本発明の車庫入れ支援装置の第2の実施形態を説明する図(その2)である。
【図10】第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態で使用するモノパルスレーダを説明する図である。
【図12】第1の従来技術を示す図である。
【図13】第2の従来技術を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 画像センサ
11 白線
13 磁気マーカー
20、33 レーダ(モノパルスレーダ)送受信機
21 偏波変更膜
22 レーダシステム
23 送信アンテナ
24、32 コーナーリフレクタ(異偏波検出反射体)
25 アンテナ部
26 レーダセンサ部
27 フィルタリング処理部27
28 表示部
30 送信アンテナ
31、31−1、31−2 受信アンテナ
40 ID記憶装置
45 ターゲット
46 前置処理器
47 90°位相器
48 演算器
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車庫入れを支援する車両車庫入れ支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両車庫入れシステムにおいてはレーダを用いた方法が提案されている(特許文献1)。
図12は、第1の従来技術を示す図である。
【0003】
車両後方に画像センサ10を取り付け、路面上に描かれた線11と自車との相対的位置関係をドライバーに指示することで車庫での車両位置計測が可能となる。しかし、従来の位置検出レーダシステムでは、路面上に直接白線を引く必要があるが、白線の塗装が劣化した場合などには、車両位置計測機能が十分に機能しないなどの問題があった。
【0004】
図13は、第2の従来技術を示す図である。
図13の構成は、特許文献2や特許文献3に記載されている。この方式では道路に埋め込まれた磁気マーカー13を用い、車両がその上を通過した場合のみその磁場の変化を検出し、車庫などでの車両位置計測を可能としていた。しかし、磁気マーカー13を通電するための電源が必要であること、また、車両が磁気マーカー上部に車体が有るか無いかを判断するだけで車体自体がどちらよりなのかを判断するのが困難であった。
【0005】
以上の従来技術のほかにも、特許文献4のような従来技術がある。
【特許文献1】特開平10−83500号公報
【特許文献2】特開2005−193742号公報
【特許文献3】特開平10−269497号公報
【特許文献4】特開2001−33550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、より信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供するためには、装置の風雪などの影響による劣化を押さえ、かつ、車庫側にはパッシブな構成のみを設けることによって実現可能な装置を考案する必要がある。
【0007】
本発明の課題は、車両車庫入れ時の衝突防止の支援をする車庫入れ支援装置において、より劣化に強く、車庫側に能動的な機能を必要としない、信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両の車庫入れ支援装置は、入射した電波の偏波を、それとは直交する偏波に変換して反射する、車庫の地面に設けられた複数の反射体と、該複数の反射体の1つからの反射波を複数の受信アンテナで受信し、各受信アンテナが受信した信号の位相差を用いて、該1つの反射体が該車両の左右、中央のいずれに位置するかを検出する、該車両に設けられたレーダ手段と、該1つの反射体が予め定められた位置にない場合には、車両の運転者に警告を発する警告手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車庫側に電源などの能動的な構成を設ける必要がなく、風雪などにより劣化も抑えられ、かつ、信頼性の高い車庫入れ支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態では、車両後方のナンバー付近にレーダ送受信機を設置する。レーダ送信波には方向検知が可能なモノパルスレーダを用いる。
例えば、送信機アンテナを垂直偏波、受信アンテナを水平偏波とする。入射した電波の偏波を変換して反射する異偏波検出反射体を地面に埋め込んで配置し、防水や、ごみなどの蓄積の防止等、外からの影響による劣化などを防ぐためにレドームなどをつける。異偏波検出反射体は、入射と反射の偏波を互いに直交する偏波に変換して、レーダに折り返すようにする。
【0011】
上記手段により、不要な対象物からの電波の反射波の偏波は、送信波と同一偏波となるため、どの電波が車両の位置を検出するための異偏波検出反射体からの反射波かが判別でき、誤動作を抑圧できる。また、異偏波検出反射体は、地面に埋めこんだ空洞まわりは電波吸収体で覆うことにより不要反射を生じず、直接レーダから送られてきた電波を偏波を変えてレーダに折り返すようになる。
【0012】
上記のように、送信波は垂直偏波で送信しているため、偏波変更検出反射体上部にレーダがくると水平偏波で受信することとなる(送信を水平偏波とし、受信を垂直偏波としても可能)。また、レーダ自体はモノパルスレーダを用いているため、方向検知が可能であり、もし車体が右にかたむけば位相差が生じ、もし、検出反射体上をまっすぐ走行できていれば、位相差は0になる。このように受信した方位を識別することで、地面からの不要反射もなく車体がどちらにむいているか判別が可能となる。
【0013】
更に、本発明の実施形態では、以下のようにする。
異偏波検出反射体の設置位置を車庫の地面中央ではなく、車両の右側か左側に寄せて設置する。複数の異偏波検出反射体を車庫の入り口側から、右左左右というように配置するようにして、異偏波検出反射体の位置が右ならば10といったID(位相差では+側)、異偏波検出反射体が左ならば01といったID(位相差では-側)、異偏波検出反射体が左右両方にあるならば00といったID(位相差では0)と意味づけする。ここで、車両にはこの上記路側IDを事前に登録し、このID(位相差)を車庫内への侵入と同時に確認していく。もしIDが同じであれば確認済みとし登録をする。異なっている場合は車体が傾いていることを通知する。
【0014】
このように受信した方位を識別することで、該当車両がこの駐車場にとめることが可能かを判断することが可能となる。
図1は、本発明の車庫入れ支援装置の第1の実施形態を説明する図である。
【0015】
車両後方のナンバープレート付近にレーダ送受信機20を設置する。レーダ送信波には方向検知が可能なモノパルスレーダを用いる。例えば、送信機アンテナを垂直偏波、受信アンテナを水平偏波とする。異偏波検出反射体(コーナーリフレクタ)を図1に示すように、車庫中央の地面に埋め込むように配置し、外からの劣化などを防ぐためにレドームなどをつける。つまり、コーナーリフレクタは、地面に作られた空洞に入れるようにする。空洞の開口部は電波を通過する性質を持つ材質でできたレドームでふさぐ。レドームで蓋をするので、コーナーリフレクタの風雪等による劣化を防ぐことができる。コーナーリフレクタは、入射波と反射波の偏波が直交偏波となるように反射して、レーダに折り返す。この手段により不要な対象物からの反射波の偏波は送信波と同一偏波となるため、コーナーリフレクタからの反射波と区別でき、誤動作を抑圧できる。コーナーリフレクタが配置されていない車庫の地面には、電波吸収体を設けるのが好ましい。
【0016】
上記のように、送信波は垂直偏波で送信しているため、偏波変更検出体上部にレーダがくると水平偏波で受信することとなる(送信を水平偏波とし、受信を垂直偏波としても可能)。また、レーダ自体はモノパルスレーダを用いているため、方向検知が可能であり、もし車体が右にかたむけば位相差が生じ、もし、検出反射体上をまっすぐ走行できていれば、位相差は0になる。このように受信した方位を識別することで、地面からの不要反射もなく検出体がどちらにむいているか判別が可能となる。車両が左右にずれている場合には、運転者に警告を鳴らし、コーナーリフレクタが車両の中央に来るように車両を操作させる。これにより、正しく車庫入れを行わせることができる。
【0017】
上記の構成では、コーナーリフレクタは、パッシブな構成であるので、車庫に電源等を設ける必要がないので、余分なメンテナンス等の作業をなくすことができる。
図2は、コーナーリフレクタの構成を説明する図である。
【0018】
コーナーリフレクタは、電波の反射板を4面体の底面が空いた形状に組み立て、底面の半分を偏波変更膜21で覆うことによって構成することができる。電波は、4面体内部に入ると、3回反射して、元の方向に戻っていくようになる。このとき、偏波変更膜21の作用により、入射波の偏波が垂直偏波の場合には、水平偏波に、水平偏波の場合には、垂直偏波に変換される。
【0019】
図2のコーナーリフレクタの構成の詳細については、特願2004−323417号明細書に記載されている。
図3は、コーナーリフレクタの動作を説明する図である。
【0020】
レーダシステム22の送信アンテナ23から、水平偏波の電波が送信されたとする。この電波がコーナーリフレクタ24に入ると、内部で反射し、水平偏波のまま偏波変更膜21に入射する。偏波変更膜21によって電波の偏波は、水平偏波から垂直偏波に変換される。そして、垂直偏波の電波として、レーダシステム22の方に戻っていく。
【0021】
図4は、車載レーダのブロック構成図を示す図である。
アンテナ部25は、送信アンテナと受信アンテナからなる。送信アンテナから水平あるいは垂直の偏波を有する電波パルスをターゲットに向けて送信する。受信アンテナは、ターゲットから反射されてきた電波を受信し、レーダセンサ部26に送る。本実施形態では、ターゲットの水平位置を検出するため、2個の受信アンテナが水平方向に並べられて設けられる。レーダセンサ部26では、受信した電波を復調し、信号成分のみを取り出す。フィルタリング処理部27では、余分な雑音成分を取り除き、2つの受信アンテナで受信された信号の位相差を検出することによって、ターゲットが左右のどちら側にあるのかのデータを表示部28に渡す。2つの受信アンテナで受信された信号の位相差がない場合には、ターゲットは中央にあると判断される。
【0022】
図5及び図6は、モノパルスレーダの動作の概念を説明する図である。
図5のレーダシステムには、1つの送信アンテナ30と、2つの受信アンテナ31−1、31−2が設けられる。送信アンテナ30からは、垂直偏波、あるいは、水平偏波の電波パルスを送信するようにする。送信アンテナ30から送信された電波は、地面に埋め込まれたコーナーリフレクタ32によって、反射される。このとき、偏波が元の偏波とは直交する偏波に変換される。受信アンテナ31−1、31−2は、送信電波が垂直偏波のときは、水平偏波受信用、送信電波が水平偏波のときは、垂直偏波受信用とする。
【0023】
図6(a)に示すように、車両の後部に搭載されたレーダ33の真下にコーナーリフレクタ32がある場合には、レーダ33の2つの受信アンテナで受信される信号の位相差が0となる。この位相差が完全に0でなくても、閾値±X度(Xは当業者が適宜設定する)以内の場合には、車両は正常に車庫入れされつつあると判断する。図6(b)に示すように、レーダ33の真下にコーナーリフレクタ32がない場合には、レーダ33の2つの受信アンテナが受信する信号間に位相差が生じる。この位相差を、閾値Xと比較することにより、位相差が±X度より大きい場合には、車庫入れにおいて、車両が異常な状態になっているとして、アラームをあげるようにする。
【0024】
図7は、第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
ステップS10において、レーダの送信アンテナから垂直偏波を送信する。ステップS11において、レーダの受信アンテナで水平偏波を受信したか否かを判断する。ステップS11の判断がNoの場合には、水平偏波が受信されるまで待つ。ステップS11の判断がYesの場合には、ステップS12において、受信方位を算出し、ステップS13において、角度が右よりか否かを判断する。ステップS13の判断がYesの場合には、ステップS16に進む。ステップS13の判断がNoの場合には、ステップS14において、角度が左よりか否かを判断する。ステップS14の判断がYesの場合には、ステップS16に進む。ステップS14の判断がNoの場合には、ステップS15において、運転者に正常通知を行う。ステップS16では、右あるいは左に何度ずれているかを運転者に通知する。そして、処理は、ステップS11に戻る。
【0025】
ずれの角度αは、受信アンテナ間の距離をd、電波の波長をλ、2つの受信アンテナで受信した信号の位相差をφとすると、
α=cos−1{φλ/(2πd)}
で計算できる。
【0026】
図8及び図9は、本発明の車庫入れ支援装置の第2の実施形態を説明する図である。
本実施形態においても、第1の実施形態のコーナーリフレクタと同様のものを異偏波検出反射体として用いる。ただし、本実施形態においては、コーナーリフレクタを車庫の地面中央に配置するのではなく、中央から左右にずれた位置に配置する。配置の仕方はさまざまなものが考えられ、場合によって最適なものを選択するようにすれば良い。ここで、車両側には、ID記憶装置40を搭載し、IDの値を記憶しておくようにする。図9に示されるように、車両は、レーダ20を使って、コーナーリフレクタが車両の右側にあるか左側にあるかを検出する。そして、コーナーリフレクタが車両の左側にある場合には、「01」、右側にある場合には、「10」というように、コーナーリフレクタのある位置にしたがって、数値を読み取っていく。この数値は、車両が車庫内を進むにつれ順次得られるものである。そこで、車両に搭載されたID記憶装置40に記憶されたIDと、順番に比較していく。たとえば、車両が車庫の入り口に来たときに、コーナーリフレクタの位置を読み取ることにより、ID値「01」が得られたとすると、これをID記憶装置40に記憶されている最初のID値「01」と比較する。今の場合、ID値が双方で一致するので、車両は正しく車庫に入れられていると判断できる。以後同様に、車両が車庫の中を進むにつれ、レーダ20で読み取ったコーナーリフレクタの位置に従い、ID値が読み取れるので、これを車載のID記憶装置40に記憶されたID値と順次比較していく。最後まで、ID値の一致が得られれば、車両は正常に車庫に入れられたと判断できる。車両が傾いた場合には、ID値に不一致が発生するので、この場合には、運転者にアラームを通知するようにする。図9では、コーナーリフレクタは、車庫の両端に設けられるように示しているが、実際には、車両の傾き等を検出するためには、車庫の両端より、若干中央よりに配置する必要がある。すなわち、コーナーリフレクタが車庫の両端にあると、ID値が不一致となったときにはすでに、車両が、車庫からはみ出す、あるいは、車庫の壁に衝突していることになってしまうからである。
【0027】
また、このID値は、他の用途にも使うことができる。すなわち、車載のID記憶装置40に記憶されたID値と一致するコーナーリフレクタの配置を有する車庫に駐車しようとすると、アラームがあがるので、各車両について、駐車許可が下りた車庫と駐車禁止となっている車庫とを検出させることができる。したがって、このようなIDを使った車庫入れ支援装置は、車両の駐車規制に使用することができる。
【0028】
なお、コーナーリフレクタの配置方法の詳細は、本発明を利用する当業者に任されるものであるが、車庫入れの最中に車両が前進すると、IDをどこまで読んだかわからなくなるので、連続して同じIDとなるようなコーナーリフレクタの配置の仕方はしないようにするのが好ましい。
【0029】
図10は、第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
図10(a)のステップS20において、車庫側のIDと一致する車両IDを登録し、車両IDの位置を示す変数Nを0に設定する。車両に登録されるIDは、図10(b)のように、車両IDの位置を示す変数Nの数値にしたがって、順次「01」、「10」などの値を格納するものである。ステップS21において、レーダから垂直偏波の電波を送信する。ステップS22において、レーダの受信アンテナで水平偏波の電波が受信されるか否かを判断し、水平偏波の電波が受信されるまで待つ。ここで、レーダからの電波が水平偏波である場合には、レーダの受信アンテナで垂直偏波が受信されるまで待つ。ステップS23において、コーナーリフレクタの受信方位を算出し、これをID化する。すなわち、前述したように、コーナーリフレクタが右、左のいずれにあるかにしたがって、「01」や「10」のIDを取得する。ステップS24において、コーナーリフレクタの位置に従って得られたIDが前回取得したものから変化したか否かを判断する。ステップS24における判断がNoの時には、ステップS22に戻る。ステップS24における判断がYesの場合には、ステップS25において、車両のギアがバックギアに設定されているか否かを判断する。ステップS25の判断がYesの場合には、車両はバックしながら車庫に入っているので、ステップS26において、N番目の車両に登録されたIDと、読みとったIDとを比較し、ステップS27において、車両に登録されたIDの位置をNからN+1に更新する。ステップS25の判断がNoの場合には、車両は前進して、車庫から出る方向に動いているので、ステップS28において、N−2番目の車両登録IDと受信されたIDとを比較し、ステップS29において、NをN−2に更新する。
【0030】
ステップS30においては、車両に登録されたIDとレーダで読み取られたIDとが同一であるか否かを判断する。ステップS30の判断がYesの場合には、ステップS31において、受信IDを登録し、ステップS32において、運転者に正常通知を行い、ステップS22に戻る。ステップS30の判断がNoの場合には、ステップS33において、車両が傾いていることの警告を運転者に通知する。このとき、車両が右よりか左よりかを通知しても良い。ステップS34において、Nを0に初期化し、ステップS22に戻る。
【0031】
図11は、本発明の実施形態で使用するモノパルスレーダを説明する図である。
送信アンテナ30からは、所定の直線偏波の電波パルスが送信される。電波パルスは、ターゲット45で反射され、2つの受信アンテナ31で受信される。このとき、ターゲットの位置が受信アンテナ31の位置からずれた位置にあると、2つの受信アンテナ31のそれぞれで受信される電波パルスに位相差が生じる。受信アンテナ31で受信された電波パルスは、信号成分が取り出され、前置処理部46において、2つの受信アンテナ31からの信号の和(Σ)と差(Δ)が計算される。差(Δ)は、90°位相器47によって位相シフトされ、演算器48に入力される。演算器48には、和(Σ)も入力され、−jΔ/Σ(jは虚数単位)が演算され、位相差値が算出される。ここで得られた位相差値が0の場合には、ターゲット45は、受信アンテナ31の正面にあることになる。
【0032】
本発明の実施形態では、ターゲット45は、コーナーリフレクタである。
(付記1)
車両の車庫入れを支援する装置であって、
入射した電波の偏波を、それとは直交する偏波に変換して反射する、車庫の地面に設けられた複数の反射体と、
該複数の反射体の1つからの反射波を複数の受信アンテナで受信し、各受信アンテナが受信した信号の位相差を用いて、該1つの反射体が該車両と相対しての左右、中央のいずれに位置するかを検出する、該車両に設けられたレーダ手段と、
該1つの反射体が予め定められた位置にない場合には、車両の運転者に警告を発する警告手段と、
を備えることを特徴とする車庫入れ支援装置。
【0033】
(付記2)
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央に設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の位置が前記車両の中央からずれた場合に警告を発することを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0034】
(付記3)
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央より端よりに設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の設置パターンが、予め決められたパターンでない場合に警告を発することを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0035】
(付記4)
前記複数の反射体の設置パターンを符号に変換し、予め格納された符号と比較することにより、該複数の反射体の設置パターンが、予め決められたパターンであるか否かを判断することを特徴とする付記3に記載の車庫入れ支援装置。
【0036】
(付記5)
前記レーダ手段はモノパルスレーダであることを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0037】
(付記6)
前記レーダ手段は、前記車両後方のナンバープレート付近に設置されることを特徴とする付記1に記載の車庫入れ支援装置。
【0038】
(付記7)
モノパルスを用いた位置検知レーダシステムにおいて、
対象物に対して設けられたレーダ送信機とレーダ受信機と、
それぞれに設けられた異偏波の送受信用アンテナと、
レーダ送信波を反射し、レーダ受信波とする偏波変更検出反射体と、
を設け、
対象物の位置検出を行うことを特徴とする位置検知レーダシステム。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の車庫入れ支援装置の第1の実施形態を説明する図である。
【図2】コーナーリフレクタの構成を説明する図である。
【図3】コーナーリフレクタの動作を説明する図である。
【図4】車載レーダのブロック構成図を示す図である。
【図5】モノパルスレーダの動作の概念を説明する図(その1)である。
【図6】モノパルスレーダの動作の概念を説明する図(その2)である。
【図7】第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の車庫入れ支援装置の第2の実施形態を説明する図(その1)である。
【図9】本発明の車庫入れ支援装置の第2の実施形態を説明する図(その2)である。
【図10】第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態で使用するモノパルスレーダを説明する図である。
【図12】第1の従来技術を示す図である。
【図13】第2の従来技術を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 画像センサ
11 白線
13 磁気マーカー
20、33 レーダ(モノパルスレーダ)送受信機
21 偏波変更膜
22 レーダシステム
23 送信アンテナ
24、32 コーナーリフレクタ(異偏波検出反射体)
25 アンテナ部
26 レーダセンサ部
27 フィルタリング処理部27
28 表示部
30 送信アンテナ
31、31−1、31−2 受信アンテナ
40 ID記憶装置
45 ターゲット
46 前置処理器
47 90°位相器
48 演算器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車庫入れを支援する装置であって、
入射した電波の偏波を、それとは直交する偏波に変換して反射する、車庫の地面に設けられた複数の反射体と、
該複数の反射体の1つからの反射波を複数の受信アンテナで受信し、各受信アンテナが受信した信号の位相差を用いて、該1つの反射体が該車両の左右、中央のいずれに位置するかを検出する、該車両に設けられたレーダ手段と、
該1つの反射体が予め定められた位置にない場合には、車両の運転者に警告を発する警告手段と、
を備えることを特徴とする車庫入れ支援装置。
【請求項2】
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央に設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の位置が前記車両の中央からずれた場合に警告を発することを特徴とする請求項1に記載の車庫入れ支援装置。
【請求項3】
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央より端よりに設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の設置パターンが、予め決められたパターンでない場合に警告を発することを特徴とする請求項1に記載の車庫入れ支援装置。
【請求項4】
前記複数の反射体の設置パターンを符号に変換し、予め格納された符号と比較することにより、該複数の反射体の設置パターンの反射信号が、予め決められたパターンであるか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の車庫入れ支援装置。
【請求項5】
モノパルスを用いた位置検知レーダシステムにおいて、
対象物に対して設けられたレーダ送信機とレーダ受信機と、
それぞれに設けられた異偏波の送受信用アンテナと、
レーダ送信波を反射し、レーダ受信波とする偏波変更検出反射体と、
を設け、
対象物の位置検出を行うことを特徴とする位置検知レーダシステム。
【請求項1】
車両の車庫入れを支援する装置であって、
入射した電波の偏波を、それとは直交する偏波に変換して反射する、車庫の地面に設けられた複数の反射体と、
該複数の反射体の1つからの反射波を複数の受信アンテナで受信し、各受信アンテナが受信した信号の位相差を用いて、該1つの反射体が該車両の左右、中央のいずれに位置するかを検出する、該車両に設けられたレーダ手段と、
該1つの反射体が予め定められた位置にない場合には、車両の運転者に警告を発する警告手段と、
を備えることを特徴とする車庫入れ支援装置。
【請求項2】
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央に設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の位置が前記車両の中央からずれた場合に警告を発することを特徴とする請求項1に記載の車庫入れ支援装置。
【請求項3】
前記複数の反射体は、前記車庫の地面中央より端よりに設けられ、
前記警告手段は、該複数の反射体の設置パターンが、予め決められたパターンでない場合に警告を発することを特徴とする請求項1に記載の車庫入れ支援装置。
【請求項4】
前記複数の反射体の設置パターンを符号に変換し、予め格納された符号と比較することにより、該複数の反射体の設置パターンの反射信号が、予め決められたパターンであるか否かを判断することを特徴とする請求項3に記載の車庫入れ支援装置。
【請求項5】
モノパルスを用いた位置検知レーダシステムにおいて、
対象物に対して設けられたレーダ送信機とレーダ受信機と、
それぞれに設けられた異偏波の送受信用アンテナと、
レーダ送信波を反射し、レーダ受信波とする偏波変更検出反射体と、
を設け、
対象物の位置検出を行うことを特徴とする位置検知レーダシステム。
【図4】
【図7】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図7】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−326514(P2007−326514A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160633(P2006−160633)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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