車両間情報伝達システム
【課題】周囲に存在する車両に対し自車両の視界不良を改善するための情報を適切に伝達することができる車両間情報伝達システムを提供する。
【解決手段】走行する各車両100,200,300,400において前照灯101,201,301,401の光として車両固有の周波数で点滅させる。車両100においてイメージセンサ102を用いて車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良であるか否かを判定し、配光不良であると、光の周波数から配光不良である車両300を特定し、前照灯101からこの特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を発する。車両200,300,400においてイメージセンサ202,302,402を用いて特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良であると検知する。
【解決手段】走行する各車両100,200,300,400において前照灯101,201,301,401の光として車両固有の周波数で点滅させる。車両100においてイメージセンサ102を用いて車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良であるか否かを判定し、配光不良であると、光の周波数から配光不良である車両300を特定し、前照灯101からこの特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を発する。車両200,300,400においてイメージセンサ202,302,402を用いて特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良であると検知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両間情報伝達システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周囲車両の前照灯(ヘッドランプ)や尾灯(テールランプ)を検出して調光・配光制御するシステムとして特許文献1,2などがある。
特許文献1では、前方車両において後続車両の前照灯の光度を検出して送信手段により後続車両に送り、後続車両において前照灯の光の到達量を制御している。
【0003】
特許文献2では、先行車両の尾灯や対向車両の前照灯を検出して自車両のハイビームを自動的にロービームへと切り替えるようにしている。
【特許文献1】特開2001−26236号公報
【特許文献2】米国特許第6861809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、送信手段についての具体的構成が明記されていない。また、特許文献2においては、周囲車両の視界が確保されることに主眼があり、周囲車両の調光・配光不良に起因する自車両の視界不良を改善することには有効ではない。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、周囲に存在する車両に対し自車両の視界不良を改善するための情報を適切に伝達することができる車両間情報伝達システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、走行する各車両において前照灯の光として車両固有の周波数で点滅している。対面通行にて走行する車両のうちの片側の車線を走行する車両において光電変換器を用いて対向車線を走行する車両の前照灯が配光不良または光量過多であるか否かが判定される。その結果、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両が特定される。そして、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が発せられ、前記対向車線を走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知される。
【0007】
よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0008】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、走行する各車両において投光器により前方に車両固有の周波数で点滅する光を発している。対面通行にて走行する車両のうちの片側の車線を走行する車両において光電変換器を用いて対向車線を走行する車両の前照灯が配光不良または光量過多であるか否かが判定される。その結果、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両が特定される。そして、前記投光器からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が前方に発せられ、前記対向車線を走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知される。
【0010】
よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0011】
請求項4に記載のように、請求項3に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、走行する各車両において尾灯の光として車両固有の周波数で点滅している。光電変換器を用いて先行して走行する車両の尾灯が光量過多であるか否かが判定される。その結果、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両が特定される。そして、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が発せられ、前記先行して走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知される。
【0013】
よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0014】
請求項6に記載のように、請求項5に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前記尾灯が光量過多であると検知した車両において尾灯を減光すると、自動で尾灯の減光を行うことができる。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、走行する各車両において投光器により後方に車両固有の周波数で点滅する光を発している。光電変換器を用いて先行して走行する車両の尾灯が光量過多であるか否かが判定される。その結果、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両が特定される。そして、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が発せられ、前記先行して走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知される。
【0016】
よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0017】
請求項8に記載のように、請求項7に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前記尾灯が光量過多であると検知した車両において尾灯を減光すると、自動で尾灯の減光を行うことができる。
【0018】
請求項9に記載の発明によれば、走行する各車両に傾斜センサが設置されている。また、走行する各車両において前照灯の光として傾斜センサによる傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅している。そして、対向して走行する車両において光電変換器を用いて対向する車両の前照灯の光が徐々に大きくなると、点滅する光の周波数から対向車が登坂過程にあることが検知される。
【0019】
よって、対向して車両が走行し、かつ、少なくとも一方の車両が登坂過程にあり互いに視認されていないときに、前方の明るさが次第に上昇するときの点滅する光を用いて相手の車両に登板過程にあることを伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し登板過程にあるとの情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0020】
請求項10に記載のように、請求項9に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前記対向車が登坂過程にあることを検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、道路を走行する車両を示す平面図である。図1における運転状況として、片側1車線の対面通行する道路を、4台の車両100,200,300,400が走行している。車両100が自車両であり、この自車両100に対する対向車線に車両200,300,400が並んで自車両100に向かって走行している。対向車線の3台の車両200,300,400は、先頭の車両200の後ろに車両300が続き、その後ろに車両400が続いている。このようにして、自車両100に対し3台の周囲車両200,300,400が存在している。
【0022】
図2には、電気的構成を示す。
各車両100,200,300,400は、各々、LED式前照灯(ヘッドランプ)101,201,301,401を具備している。また、各車両100,200,300,400のルームミラーの裏面にはイメージセンサ(画像センサ)102,202,302,402が設けられている。このイメージセンサ102,202,302,402により、車両の進行方向における前方を撮像することができるようになっている。各車両100,200,300,400においてイメージセンサ102,202,302,402はマイクロプロセッサ(MPU)103,203,303,403に接続され、イメージセンサ102,202,302,402により撮像された撮像データがマイクロプロセッサ103,203,303,403に送られる。マイクロプロセッサ103,203,303,403は画像認識用マイクロプロセッサであって、前述の撮像データから各種の処理を実行する。
【0023】
各車両100,200,300,400においてマイクロプロセッサ103,203,303,403にはライト制御用の電子制御装置(ECU)104,204,304,404が接続されている。電子制御装置104,204,304,404にて各車両の前照灯(ヘッドランプ)101,201,301,401を制御することができる。つまり、電子制御装置104,204,304,404は前照灯101,201,301,401の配光を調整する機能を有し、光軸のずれを調整したりハイビームからロービームへの切り替えを行うことができる。
【0024】
ここで、各LED式前照灯101,201,301,401および各イメージセンサ102,202,302,402の機能に関して、各LED式前照灯101,201,301,401は、人間の眼の分解能を上回る高速点滅が可能であり、各イメージセンサ102,202,302,402は、LED式前照灯101,201,301,401の高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有する。そして、LED式前照灯101,201,301,401が高速点滅LED発信器として機能し、イメージセンサ102,202,302,402が高速点滅LEDの点滅周期(周波数)を時間分解可能な光電変換器として機能し、これらを用いて不良車両の特定および情報伝達を行うことができるようになる。
【0025】
各車両100,200,300,400は車両毎の識別番号(ID)を有しており、前照灯の点灯時には各車両100,200,300,400は自身のLED式前照灯101,201,301,401の光として自身の識別番号(ID)に対応した周波数で点滅、即ち、各車両固有の周波数で点滅させるようになっている。これにより、各車両100,200,300,400は自身の識別番号(ID)を、LED式前照灯101,201,301,401の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができる。これに加えて、自身の識別番号(ID)以外にも、他の車両に付された識別番号(ID)を、LED式前照灯の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができるようになっている。
【0026】
次に、作用について説明する。
今、自車両100に対する周囲の車両200,300,400のうちの車両300については前照灯301の配光が不良となっており(光軸がずれて不良となっている場合、対向車がいるにもかかわらずハイビームになっている場合)、これにより、自車両100に視界不良をもたらしているとする。
【0027】
走行する各車両100,200,300,400において前照灯101,201,301,401の光として車両固有の周波数で点滅している。
マイクロプロセッサ103,203,303,403はイメージセンサ102,202,302,402からの撮像データを入力して画像処理を行って配光不良となっている前照灯を探す。図3には自車両100における車両前方を示し、図4には自車両100のイメージセンサ102によるデータをマイクロプロセッサ103により画像処理した後の画像を示す。
【0028】
以下、図5を用いて作用を説明する。
図5は、各車両100,200,300,400における車載機器の処理内容を示す説明図である。
【0029】
図5において、対面通行にて走行する車両100,200,300,400のうちの片側の車線を走行する車両、即ち、自車両100においてステップ100(図5ではステップ数を「S」で表す)でイメージセンサ102により車両前方を撮像する。
【0030】
そして、自車両100においてステップ101で、画像認識用マイクロプロセッサ103が画像解析を行い、ステップ102で、配光不良となっている前照灯を検出する(前照灯が配光不良となっている車両を検出する)。
【0031】
ここまでの処理により、イメージセンサ102を用いて対向車線を走行する車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良であるか否かが判定される。配光不良は、ハイビームとなっている場合や光軸異常が考えられ、いずれも運転者は眩しいと感じる。
【0032】
引き続き、自車両100においてステップ103で、配光不良となっている車両の前照灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)を有する車両を特定する。即ち、配光不良であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から、配光不良である車両300を特定する。
【0033】
そして、自車両100においてステップ104で、特定した車両300に応じた識別番号(ID)を前照灯101の点滅周期(周波数)に対応させて送信する。具体的には、例えば、前照灯の光を一定期間において自身のIDに応じた周波数で点滅させ、かつ、これを時系列的に繰り返しており、この繰り返し期間の間において、特定した車両のIDに応じた周波数で点滅させる。このようにして、前照灯101から、特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を発する。
【0034】
周囲の車両である対向車線を走行する車両200,300,400においては、ステップ200,300,400で、イメージセンサ202,302,402により車両100のLED式前照灯101を撮像する。そして、車両200,300,400においてステップ201,301,401で画像解析し、ステップ202,302,402で、前照灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)の認識を行う。車両200,300,400においてステップ203,303,403で自身のIDと照合する(各車両200,300,400毎に付されているIDと、送られてきた車両300に対応するIDを照合する)。その結果、車両200,400においてはステップ204,404で不一致となる。車両300においてはステップ304で一致する。即ち、車両300のみが送られてきたIDと、自身に付されたIDの一致を確認し、前照灯が不良であることを認識する(特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良であると検知する)。
【0035】
そして、車両300のマイクロプロセッサ303は電子制御装置304を介してステップ305で前照灯301の配光を調整する(光軸がずれていたならばずれをなくすべく調整する。または、ハイビームとなっていたならばロービームにする)。その結果、自車両100の視界不良が改善される。
【0036】
なお、図5のステップ305で前照灯301の配光を調整したが、これに代わり、運転者に警報するようにしてもよい。例えば、「前照灯が配光不良です」とアナウンスするようにしてもよい。
【0037】
また、前照灯201,301,401が配光不良であるか否かを判定する代わりに、光量過多であるか否かを判定してもよい(前照灯の光量過多により視界不良をもたらしているか否か判定してもよい)。そして、光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から光量過多である車両を特定し、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光を発し、対向車線を走行する車両においてイメージセンサを用いて特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が光量過多であると検知するようにしてもよい。そして、前照灯を減光することにより視界不良を改善する。
【0038】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車両間情報伝達システムとして、走行する各車両100,200,300,400において前照灯101,201,301,401の光として車両固有の周波数で点滅させ、対面通行にて走行する車両100,200,300,400のうちの片側の車線を走行する車両100において光電変換器としてのイメージセンサ102を用いて対向車線を走行する車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良または光量過多であるか否かを判定し、配光不良または光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から配光不良または光量過多である車両300を特定し、前照灯101からこの特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を発し、対向車線を走行する車両200,300,400において光電変換器としてのイメージセンサ202,302,402を用いて、特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知するようにした。よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両300に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。その結果、対向車の配光不良や調光不良により自車両の視界が妨げられている状況を打開して自車両の視界を確保することができる。
【0039】
詳しくは、周囲車両の前照灯(ヘッドランプ)の配光不良や光量過多で自車両の視界が妨げられている状況において、該当する周囲車両にその旨を自動送信し、該当する周囲車両に配光調整や減光を促す。特許文献1においては、前方車両のすぐ後ろに後続車両が存在するために他の周囲車両からの識別が必要ないという検出上の大きな利点があるため、該情報伝達に困難はない。しかしながら、対向車両の前照灯(ヘッドランプ)の光量過多や配光不良で自車両の視界が妨げられている場合は、該当する車両を対向車両群から識別して、該当する車両にのみ情報伝達を行う必要があるため、技術的にさらなる工夫が求められる。本実施形態では、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。また、特許文献2においては、周囲車両の前照灯を自車両が検出し、自車両が配光制御を行っていたため、必ずしも自車両の視界は十分に確保されていなかった。これに対し本実施形態では、対向車両の前照灯の配光不良や調光不良により自車両の視界が妨げられている状況において、自車両の視界を改善すべく、その対向車両を特定し、情報伝達により適切な調光や配光を促すことができる。
【0040】
(2)前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両300において前照灯301の配光を調整する、または、前照灯301を減光するようにしたので、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【0041】
なお、前照灯101の光として、特定した車両300に固有の周波数で点滅する光、および、配光調整・減光指令を表す固有の周波数で点滅する光を、時系列的にずらして発し、これを対向車線の車両200,300,400に送り、車両300において不良を認識して配光調整・減光指令により配光調整・減光動作し、また、他の車両200,400においては一致をみないので配光調整・減光指令を受けてもその命令を無効化する手法を採ってもよい。
【0042】
また、各車両100,200,300,400に搭載するイメージセンサに代わり、フォトダイオードを用いてもよい。このフォトダイオードは、高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有している。このフォトダイオードの感度、即ち、光電変換する明るさの閾値は、車両200,300,400のうちの眩しい光を発する車両300からの光のみを選択するように設定されている。つまり、視界不良となる眩しい光のみを抽出して選択的に光電変換することにより、点滅周期(周波数)による車両の識別番号(ID)を判別することができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0043】
第1の実施の形態においては前照灯の光を車両固有の周波数で点滅させたが、本実施形態の車両間情報伝達システムでは専用の投光器を用いて車両固有の周波数で点滅させるようにしている。つまり、各車両100,200,300,400が高速点滅可能なLED式前照灯を有さない場合を想定している。
【0044】
図6には車両の正面図を示す。車両50において左右の前照灯51とは別にLED52が設置されている。LED52は高速点滅可能な非可視光LEDである。
図7には各車両100,200,300,400の構成を示す。図7において、各車両100,200,300,400には高速点滅可能な非可視光LED105,205,305,405が設置されている。各LED105,205,305,405はライト制御用の電子制御装置104,204,304,404と接続されている。他の車両の高速点滅可能な非可視光LED(105,205,305,405)の光を受けるイメージセンサ102,202,302,402は非可視光領域の分光感度も有する。
【0045】
なお、画像解析をするときに、図6の左右の前照灯51とLED式投光器(52)が同一車両上に存在することを認識する処理工程が必要となる場合、その一例として、図6での左右の前照灯51(ヘッドランプ対)とLED52で構成される3角形が相似形を維持することを用いるとよい。
【0046】
走行する各車両100,200,300,400において投光器としてのLED105,205,305,405により前方に車両固有の周波数で点滅する光を発する。そして、対面通行にて走行する車両100,200,300,400のうちの片側の車線を走行する車両100において光電変換器としてのイメージセンサ102を用いて対向車線を走行する車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良または光量過多であるか否かを判定する。配光不良または光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から配光不良または光量過多である車両300を特定する。投光器としてのLED105からこの特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を前方に発し、対向車線を走行する車両200,300,400において光電変換器としてのイメージセンサ202,302,402を用いて特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知する。よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両300に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0047】
また、前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両300において前照灯301の配光を調整する、または、前照灯301を減光する。よって、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
第1の実施形態では、車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良または光量過多であるか否かを判定した。これに代わり、本実施形態においては、車両の尾灯が光量過多であるか否かを判定するシステムを構築している。
【0049】
図8は、道路を走行する車両を示す平面図である。図8における運転状況として、片側2車線の道路を同一方向に3台の車両500,600,700が走行している。車両500が自車両であり、この自車両500の走行車線において前方に車両600が走行している。また、自車両500の走行車線とは隣りの車線において前方に車両700が走行している。このようにして、自車両500に対し2台の周囲車両600,700が存在している。
【0050】
図9には、電気的構成を示す。
各車両500,600,700は、各々、第1実施形態での各車両100,200,300,400と同様に、LED式前照灯501,601,701、イメージセンサ(画像センサ)502,602,702、画像認識用マイクロプロセッサ(MPU)503,603,703、ライト制御用の電子制御装置(ECU)504,604,704を具備している。電子制御装置504,604,704にて各車両の前照灯501,601,701を制御することができるとともに各車両の尾灯(テールランプ)505,605,705の光量を制御することができるようになっている。尾灯(テールランプ)505,605,705はLED式尾灯である。また、図8,9に示すように、各車両500,600,700には後方を撮像するイメージセンサ(画像センサ)506,606,706が搭載され、イメージセンサ506,606,706のデータはマイクロプロセッサ503,603,703に送られるようになっている。
【0051】
本実施形態においては、各LED式前照灯501,601,701および各LED式尾灯505,605,705は人間の眼の分解能を上回る高速点滅が可能であり、各イメージセンサ502,602,702および各イメージセンサ506,606,706は、LED式尾灯505,605,705およびLED式前照灯501,601,701の高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有する。
【0052】
また、各車両500,600,700は車両毎の識別番号(ID)を有しており、尾灯の点灯時には各車両500,600,700は自身のLED式尾灯505,605,705の光として自身の識別番号(ID)に対応した周波数で点滅、即ち、各車両固有の周波数で点滅させるようになっている。これにより、各車両500,600,700は自身の識別番号(ID)を、LED式尾灯505,605,705の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができる。また、各車両500,600,700は前照灯の点灯時において自身のLED式前照灯501,601,701の光として他の車両に付された識別番号(ID)に対応した周波数で点滅、即ち、各車両固有の周波数で点滅させ、識別番号(ID)を、LED式前照灯501,601,701の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができるようになっている。
【0053】
今、自車両500に対する周囲の車両600,700のうちの車両700については尾灯705が光量過多になっており、これにより、自車両500に視界不良をもたらしているとする。
【0054】
マイクロプロセッサ503,603,703はイメージセンサ502,602,702からの撮像データを入力して画像処理を行って光量過多となっている尾灯を探す。図10には自車両500における車両前方を示し、図11には自車両500のイメージセンサ502によるデータをマイクロプロセッサ503により画像処理した後の画像を示す。
【0055】
走行する各車両500,600,700において尾灯505,605,705の光として車両固有の周波数で点滅している。
図12において、自車両500は、ステップ500(図12でもステップ数を「S」で表す)でイメージセンサ502により車両前方の、先行して走行する車両600,700を撮像する。
【0056】
そして、自車両500においてステップ501で、画像認識用マイクロプロセッサ503が画像解析を行い、ステップ502で、光量過多となっている尾灯を検出する(尾灯が光量過多となっている車両を検出する)。
【0057】
ここまでの処理により、イメージセンサ502を用いて先行して走行する車両600,700の尾灯605,705が光量過多であるか否かが判定される。光量不良は運転者が眩しいと感じる。
【0058】
引き続き、自車両500においてステップ503で、光量過多となっている車両の尾灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)を有する車両を特定する。即ち、光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から、光量過多である車両700を特定する。
【0059】
そして、自車両500においてステップ504で、特定した車両700に応じた識別番号(ID)を前照灯501の点滅周期(周波数)に対応させて送信する。このようにして、前照灯501から、特定した車両700に固有の周波数で点滅する光を発する。
【0060】
先行する車両600,700においては、ステップ600,700で、イメージセンサ606,706により後方の車両500のLED式前照灯501を撮像する。そして、車両600,700においてステップ601,701で画像解析し、ステップ602,702で、前照灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)の認識を行う。車両600,700においてステップ603,703で自身のIDと照合する(各車両600,700毎に付されているIDと、送られてきた車両700に対応するIDを照合する)。その結果、車両600においてはステップ604で不一致となる。車両700においてはステップ704で一致する。即ち、車両700のみが送られてきたIDと、自身に付されたIDの一致を確認し、尾灯が光量過多であることを認識する(特定した車両700に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知する)。
【0061】
そして、車両700のマイクロプロセッサ703は電子制御装置704を介してステップ705で尾灯705を減光する。その結果、自車両500の視界不良が改善される。
なお、図12のステップ705で尾灯605の光量を減らしたが、これに代わり、運転者に警報するようにしてもよい。例えば、「尾灯が光量過多です」とアナウンスするようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(3)車両間情報伝達システムとして、走行する各車両500,600,700において尾灯505,605,705の光として車両固有の周波数で点滅させ、光電変換器としてのイメージセンサ502を用いて先行して走行する車両600,700の尾灯605,705が光量過多であるか否かを判定し、光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から光量過多である車両700を特定し、前照灯501からこの特定した車両700に固有の周波数で点滅する光を発し、先行して走行する車両600,700において光電変換器としてのイメージセンサ606,706を用いて特定した車両700に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知する。よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両700に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。その結果、先行車の調光不良により自車両の視界が妨げられている状況を打開して自車両の視界を確保することができる。
【0063】
詳しくは、周囲車両の尾灯(テールランプ)の光量過多で自車両の視界が妨げられている状況において、該当する周囲車両にその旨を自動送信し、該当する周囲車両に減光を促す。特許文献2においては周囲車両の尾灯を自車両が検出し、自車両が配光制御を行っていたため、必ずしも自車両の視界は十分に確保されていなかった。これに対し本実施形態では、先行車両の尾灯の調光不良により自車両の視界が妨げられている状況において、自車両の視界を改善すべく、その先行車両を特定し、情報伝達により適切な調光を促すことができる。
【0064】
(4)尾灯が光量過多であると検知した車両700において尾灯705を減光するようにしたので、自動で尾灯の減光を行うことができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
第3の実施の形態においては尾灯の光を車両固有の周波数で点滅させたが、本実施形態の車両間情報伝達システムでは専用の投光器を用いて車両固有の周波数で点滅させるようにしている。つまり、各車両500,600,700が高速点滅可能なLED式尾灯を有さない場合を想定している。
【0066】
図13には走行する各車両500,600,700の平面図を示す。図14には各車両500,600,700の構成を示す。
図13,14において、各車両500,600,700の後面には高速点滅可能な非可視光LED507,607,707を有する。図14において各LED507,607,707はライト制御用の電子制御装置504,604,704と接続されている。他の車両の高速点滅可能な非可視光LED(507,607,707)の光を受けるイメージセンサ502,602,702は非可視光領域の分光感度も有する。
【0067】
走行する各車両500,600,700において投光器としてのLED507,607,707により後方に車両固有の周波数で点滅する光を発する。そして、光電変換器としてのイメージセンサ502を用いて先行して走行する車両600,700の尾灯605,705が光量過多であるか否かを判定する。光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から光量過多である車両700を特定する。前照灯501からこの特定した車両700に固有の周波数で点滅する光を前方に発し、先行して走行する車両600,700において光電変換器としてのイメージセンサ606,706を用いて特定した車両700に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知する。よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両700に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0068】
また、尾灯が光量過多であると検知した車両700において尾灯705を減光する。よって、自動で尾灯の減光を行うことができる。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
図15に示すように、車両800は登坂過程に、車両900は対向する登坂過程にあり、車両800と車両900とは互いに視認されていない状況を想定する。
図15において、各車両800,900は、各々、第1実施形態での各車両100,200,300,400と同様に、LED式前照灯801,901、イメージセンサ(画像センサ)802,902、画像認識用マイクロプロセッサ(MPU)803,903、ライト制御用の電子制御装置(ECU)804,904を具備している。電子制御装置804,904にて各車両の前照灯801,901の光量を調整したり光軸を調整することができるようになっている。各LED式前照灯801,901は人間の眼の分解能を上回る高速点滅が可能であり、各イメージセンサ802,902は、LED式前照灯801,901の高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有する。
【0070】
さらに、走行する各車両800,900には傾斜センサ805,905が設置されている。また、各車両800,900は前照灯の点灯時においてLED式前照灯801,901の光として傾斜センサ805,905による傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅させ、自身の車両の傾斜角を、LED式前照灯801,901の高速点滅を用いて周囲の車両に送信するようになっている。
【0071】
車両800のイメージセンサ802の撮像によりマイクロプロセッサ803は車両900の前照灯901によってもたらされる前方全体の明るさが車両の接近とともに次第に上昇していく過程を認識する。つまり、前方明るさが次第に上昇する過程をなんらかの車両が存在するためと判断する。また、点滅周波数により相手車両の傾斜角度を検知して、対向車線が登坂であり、車両900が接近状態にあり、自車両が車両900に対して視界不良をもたらす可能性があることを認識する。これにより、自車両が対向車両に対して視界不良をもたらす前段階において、車両の光量を低減する、光軸を下げる等の処置が自動的にとられる。
【0072】
同様な処理が車両900において実行される。つまり、イメージセンサ902の撮像によりマイクロプロセッサ903は車両800の前照灯801によって前方明るさが次第に上昇する過程をなんらかの車両が存在するためと判断する。また、点滅周波数により相手車両の傾斜角度を検知して、対向車線が登坂であり、車両800が接近状態にあり、自車両が車両800に対して視界不良をもたらす可能性があることを認識する。これにより、自車両が対向車両に対して視界不良をもたらす前段階において、車両の光量を低減する、光軸を下げる等の処置が自動的にとられる。
【0073】
このようにして、点滅する光を用いて傾斜情報を自車両の視界不良の改善を促す情報として対向車に伝達することができる。
なお、自動で前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光する代わりに「前方に対向車が来ています」とアナウンスしたり、自動で前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると共にアナウンスするようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(5)車両間情報伝達システムとして、走行する各車両800,900に傾斜センサ805,905を設置し、走行する各車両800,900において前照灯801,901の光として傾斜センサ805,905による傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅させ、対向して走行する車両800,900において光電変換器としてのイメージセンサ802,902を用いて対向する車両800,900の前照灯801,901の光が徐々に大きくなると、点滅する光の周波数から対向車が登坂過程にあることを検知する。よって、対向して車両が走行し、かつ、少なくとも一方の車両が登坂過程にあり互いに視認されていないときに、前方の明るさが次第に上昇するときの点滅する光を用いて相手の車両に登板過程にあることを伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し登板過程にあるとの情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0075】
(6)対向車が登坂過程にあることを検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光するようにしたので、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態における道路を走行する車両を示す平面図。
【図2】電気的構成図。
【図3】自車両における車両前方図。
【図4】自車両のイメージセンサによるデータの画像処理後の画像図。
【図5】各車両における車載機器の処理内容を示す説明図。
【図6】第2の実施形態における車両の正面図。
【図7】第2の実施形態における電気的構成図。
【図8】第3の実施形態における道路を走行する車両を示す平面図。
【図9】第3の実施形態における電気的構成図。
【図10】自車両における車両前方図。
【図11】自車両のイメージセンサによるデータの画像処理後の画像図。
【図12】第3の実施形態における各車両における車載機器の処理内容を示す説明図。
【図13】第4の実施形態における道路を走行する車両を示す平面図。
【図14】電気的構成図。
【図15】第5の実施形態における電気的構成図。
【符号の説明】
【0077】
100…車両、101…前照灯、102…イメージセンサ、105…LED、200…車両、201…前照灯、202…イメージセンサ、205…LED、300…車両、301…前照灯、302…イメージセンサ、305…LED、400…車両、401…前照灯、402…イメージセンサ、405…LED、500…車両、501…前照灯、502…イメージセンサ、505…尾灯、600…車両、601…前照灯、602…イメージセンサ、605…尾灯、700…車両、701…前照灯、702…イメージセンサ、705…尾灯、800…車両、801…前照灯、802…イメージセンサ、805…傾斜センサ、900…車両、901…前照灯、902…イメージセンサ、905…傾斜センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両間情報伝達システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
周囲車両の前照灯(ヘッドランプ)や尾灯(テールランプ)を検出して調光・配光制御するシステムとして特許文献1,2などがある。
特許文献1では、前方車両において後続車両の前照灯の光度を検出して送信手段により後続車両に送り、後続車両において前照灯の光の到達量を制御している。
【0003】
特許文献2では、先行車両の尾灯や対向車両の前照灯を検出して自車両のハイビームを自動的にロービームへと切り替えるようにしている。
【特許文献1】特開2001−26236号公報
【特許文献2】米国特許第6861809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、送信手段についての具体的構成が明記されていない。また、特許文献2においては、周囲車両の視界が確保されることに主眼があり、周囲車両の調光・配光不良に起因する自車両の視界不良を改善することには有効ではない。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、周囲に存在する車両に対し自車両の視界不良を改善するための情報を適切に伝達することができる車両間情報伝達システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、走行する各車両において前照灯の光として車両固有の周波数で点滅している。対面通行にて走行する車両のうちの片側の車線を走行する車両において光電変換器を用いて対向車線を走行する車両の前照灯が配光不良または光量過多であるか否かが判定される。その結果、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両が特定される。そして、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が発せられ、前記対向車線を走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知される。
【0007】
よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0008】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、走行する各車両において投光器により前方に車両固有の周波数で点滅する光を発している。対面通行にて走行する車両のうちの片側の車線を走行する車両において光電変換器を用いて対向車線を走行する車両の前照灯が配光不良または光量過多であるか否かが判定される。その結果、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両が特定される。そして、前記投光器からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が前方に発せられ、前記対向車線を走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知される。
【0010】
よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0011】
請求項4に記載のように、請求項3に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、走行する各車両において尾灯の光として車両固有の周波数で点滅している。光電変換器を用いて先行して走行する車両の尾灯が光量過多であるか否かが判定される。その結果、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両が特定される。そして、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が発せられ、前記先行して走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知される。
【0013】
よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0014】
請求項6に記載のように、請求項5に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前記尾灯が光量過多であると検知した車両において尾灯を減光すると、自動で尾灯の減光を行うことができる。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、走行する各車両において投光器により後方に車両固有の周波数で点滅する光を発している。光電変換器を用いて先行して走行する車両の尾灯が光量過多であるか否かが判定される。その結果、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両が特定される。そして、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光が発せられ、前記先行して走行する車両において光電変換器を用いて前記特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知される。
【0016】
よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0017】
請求項8に記載のように、請求項7に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前記尾灯が光量過多であると検知した車両において尾灯を減光すると、自動で尾灯の減光を行うことができる。
【0018】
請求項9に記載の発明によれば、走行する各車両に傾斜センサが設置されている。また、走行する各車両において前照灯の光として傾斜センサによる傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅している。そして、対向して走行する車両において光電変換器を用いて対向する車両の前照灯の光が徐々に大きくなると、点滅する光の周波数から対向車が登坂過程にあることが検知される。
【0019】
よって、対向して車両が走行し、かつ、少なくとも一方の車両が登坂過程にあり互いに視認されていないときに、前方の明るさが次第に上昇するときの点滅する光を用いて相手の車両に登板過程にあることを伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し登板過程にあるとの情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0020】
請求項10に記載のように、請求項9に記載の車両間情報伝達システムにおいて、前記対向車が登坂過程にあることを検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、道路を走行する車両を示す平面図である。図1における運転状況として、片側1車線の対面通行する道路を、4台の車両100,200,300,400が走行している。車両100が自車両であり、この自車両100に対する対向車線に車両200,300,400が並んで自車両100に向かって走行している。対向車線の3台の車両200,300,400は、先頭の車両200の後ろに車両300が続き、その後ろに車両400が続いている。このようにして、自車両100に対し3台の周囲車両200,300,400が存在している。
【0022】
図2には、電気的構成を示す。
各車両100,200,300,400は、各々、LED式前照灯(ヘッドランプ)101,201,301,401を具備している。また、各車両100,200,300,400のルームミラーの裏面にはイメージセンサ(画像センサ)102,202,302,402が設けられている。このイメージセンサ102,202,302,402により、車両の進行方向における前方を撮像することができるようになっている。各車両100,200,300,400においてイメージセンサ102,202,302,402はマイクロプロセッサ(MPU)103,203,303,403に接続され、イメージセンサ102,202,302,402により撮像された撮像データがマイクロプロセッサ103,203,303,403に送られる。マイクロプロセッサ103,203,303,403は画像認識用マイクロプロセッサであって、前述の撮像データから各種の処理を実行する。
【0023】
各車両100,200,300,400においてマイクロプロセッサ103,203,303,403にはライト制御用の電子制御装置(ECU)104,204,304,404が接続されている。電子制御装置104,204,304,404にて各車両の前照灯(ヘッドランプ)101,201,301,401を制御することができる。つまり、電子制御装置104,204,304,404は前照灯101,201,301,401の配光を調整する機能を有し、光軸のずれを調整したりハイビームからロービームへの切り替えを行うことができる。
【0024】
ここで、各LED式前照灯101,201,301,401および各イメージセンサ102,202,302,402の機能に関して、各LED式前照灯101,201,301,401は、人間の眼の分解能を上回る高速点滅が可能であり、各イメージセンサ102,202,302,402は、LED式前照灯101,201,301,401の高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有する。そして、LED式前照灯101,201,301,401が高速点滅LED発信器として機能し、イメージセンサ102,202,302,402が高速点滅LEDの点滅周期(周波数)を時間分解可能な光電変換器として機能し、これらを用いて不良車両の特定および情報伝達を行うことができるようになる。
【0025】
各車両100,200,300,400は車両毎の識別番号(ID)を有しており、前照灯の点灯時には各車両100,200,300,400は自身のLED式前照灯101,201,301,401の光として自身の識別番号(ID)に対応した周波数で点滅、即ち、各車両固有の周波数で点滅させるようになっている。これにより、各車両100,200,300,400は自身の識別番号(ID)を、LED式前照灯101,201,301,401の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができる。これに加えて、自身の識別番号(ID)以外にも、他の車両に付された識別番号(ID)を、LED式前照灯の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができるようになっている。
【0026】
次に、作用について説明する。
今、自車両100に対する周囲の車両200,300,400のうちの車両300については前照灯301の配光が不良となっており(光軸がずれて不良となっている場合、対向車がいるにもかかわらずハイビームになっている場合)、これにより、自車両100に視界不良をもたらしているとする。
【0027】
走行する各車両100,200,300,400において前照灯101,201,301,401の光として車両固有の周波数で点滅している。
マイクロプロセッサ103,203,303,403はイメージセンサ102,202,302,402からの撮像データを入力して画像処理を行って配光不良となっている前照灯を探す。図3には自車両100における車両前方を示し、図4には自車両100のイメージセンサ102によるデータをマイクロプロセッサ103により画像処理した後の画像を示す。
【0028】
以下、図5を用いて作用を説明する。
図5は、各車両100,200,300,400における車載機器の処理内容を示す説明図である。
【0029】
図5において、対面通行にて走行する車両100,200,300,400のうちの片側の車線を走行する車両、即ち、自車両100においてステップ100(図5ではステップ数を「S」で表す)でイメージセンサ102により車両前方を撮像する。
【0030】
そして、自車両100においてステップ101で、画像認識用マイクロプロセッサ103が画像解析を行い、ステップ102で、配光不良となっている前照灯を検出する(前照灯が配光不良となっている車両を検出する)。
【0031】
ここまでの処理により、イメージセンサ102を用いて対向車線を走行する車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良であるか否かが判定される。配光不良は、ハイビームとなっている場合や光軸異常が考えられ、いずれも運転者は眩しいと感じる。
【0032】
引き続き、自車両100においてステップ103で、配光不良となっている車両の前照灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)を有する車両を特定する。即ち、配光不良であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から、配光不良である車両300を特定する。
【0033】
そして、自車両100においてステップ104で、特定した車両300に応じた識別番号(ID)を前照灯101の点滅周期(周波数)に対応させて送信する。具体的には、例えば、前照灯の光を一定期間において自身のIDに応じた周波数で点滅させ、かつ、これを時系列的に繰り返しており、この繰り返し期間の間において、特定した車両のIDに応じた周波数で点滅させる。このようにして、前照灯101から、特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を発する。
【0034】
周囲の車両である対向車線を走行する車両200,300,400においては、ステップ200,300,400で、イメージセンサ202,302,402により車両100のLED式前照灯101を撮像する。そして、車両200,300,400においてステップ201,301,401で画像解析し、ステップ202,302,402で、前照灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)の認識を行う。車両200,300,400においてステップ203,303,403で自身のIDと照合する(各車両200,300,400毎に付されているIDと、送られてきた車両300に対応するIDを照合する)。その結果、車両200,400においてはステップ204,404で不一致となる。車両300においてはステップ304で一致する。即ち、車両300のみが送られてきたIDと、自身に付されたIDの一致を確認し、前照灯が不良であることを認識する(特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良であると検知する)。
【0035】
そして、車両300のマイクロプロセッサ303は電子制御装置304を介してステップ305で前照灯301の配光を調整する(光軸がずれていたならばずれをなくすべく調整する。または、ハイビームとなっていたならばロービームにする)。その結果、自車両100の視界不良が改善される。
【0036】
なお、図5のステップ305で前照灯301の配光を調整したが、これに代わり、運転者に警報するようにしてもよい。例えば、「前照灯が配光不良です」とアナウンスするようにしてもよい。
【0037】
また、前照灯201,301,401が配光不良であるか否かを判定する代わりに、光量過多であるか否かを判定してもよい(前照灯の光量過多により視界不良をもたらしているか否か判定してもよい)。そして、光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から光量過多である車両を特定し、前照灯からこの特定した車両に固有の周波数で点滅する光を発し、対向車線を走行する車両においてイメージセンサを用いて特定した車両に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が光量過多であると検知するようにしてもよい。そして、前照灯を減光することにより視界不良を改善する。
【0038】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車両間情報伝達システムとして、走行する各車両100,200,300,400において前照灯101,201,301,401の光として車両固有の周波数で点滅させ、対面通行にて走行する車両100,200,300,400のうちの片側の車線を走行する車両100において光電変換器としてのイメージセンサ102を用いて対向車線を走行する車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良または光量過多であるか否かを判定し、配光不良または光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から配光不良または光量過多である車両300を特定し、前照灯101からこの特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を発し、対向車線を走行する車両200,300,400において光電変換器としてのイメージセンサ202,302,402を用いて、特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知するようにした。よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両300に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。その結果、対向車の配光不良や調光不良により自車両の視界が妨げられている状況を打開して自車両の視界を確保することができる。
【0039】
詳しくは、周囲車両の前照灯(ヘッドランプ)の配光不良や光量過多で自車両の視界が妨げられている状況において、該当する周囲車両にその旨を自動送信し、該当する周囲車両に配光調整や減光を促す。特許文献1においては、前方車両のすぐ後ろに後続車両が存在するために他の周囲車両からの識別が必要ないという検出上の大きな利点があるため、該情報伝達に困難はない。しかしながら、対向車両の前照灯(ヘッドランプ)の光量過多や配光不良で自車両の視界が妨げられている場合は、該当する車両を対向車両群から識別して、該当する車両にのみ情報伝達を行う必要があるため、技術的にさらなる工夫が求められる。本実施形態では、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両に伝達することができる。また、特許文献2においては、周囲車両の前照灯を自車両が検出し、自車両が配光制御を行っていたため、必ずしも自車両の視界は十分に確保されていなかった。これに対し本実施形態では、対向車両の前照灯の配光不良や調光不良により自車両の視界が妨げられている状況において、自車両の視界を改善すべく、その対向車両を特定し、情報伝達により適切な調光や配光を促すことができる。
【0040】
(2)前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両300において前照灯301の配光を調整する、または、前照灯301を減光するようにしたので、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【0041】
なお、前照灯101の光として、特定した車両300に固有の周波数で点滅する光、および、配光調整・減光指令を表す固有の周波数で点滅する光を、時系列的にずらして発し、これを対向車線の車両200,300,400に送り、車両300において不良を認識して配光調整・減光指令により配光調整・減光動作し、また、他の車両200,400においては一致をみないので配光調整・減光指令を受けてもその命令を無効化する手法を採ってもよい。
【0042】
また、各車両100,200,300,400に搭載するイメージセンサに代わり、フォトダイオードを用いてもよい。このフォトダイオードは、高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有している。このフォトダイオードの感度、即ち、光電変換する明るさの閾値は、車両200,300,400のうちの眩しい光を発する車両300からの光のみを選択するように設定されている。つまり、視界不良となる眩しい光のみを抽出して選択的に光電変換することにより、点滅周期(周波数)による車両の識別番号(ID)を判別することができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0043】
第1の実施の形態においては前照灯の光を車両固有の周波数で点滅させたが、本実施形態の車両間情報伝達システムでは専用の投光器を用いて車両固有の周波数で点滅させるようにしている。つまり、各車両100,200,300,400が高速点滅可能なLED式前照灯を有さない場合を想定している。
【0044】
図6には車両の正面図を示す。車両50において左右の前照灯51とは別にLED52が設置されている。LED52は高速点滅可能な非可視光LEDである。
図7には各車両100,200,300,400の構成を示す。図7において、各車両100,200,300,400には高速点滅可能な非可視光LED105,205,305,405が設置されている。各LED105,205,305,405はライト制御用の電子制御装置104,204,304,404と接続されている。他の車両の高速点滅可能な非可視光LED(105,205,305,405)の光を受けるイメージセンサ102,202,302,402は非可視光領域の分光感度も有する。
【0045】
なお、画像解析をするときに、図6の左右の前照灯51とLED式投光器(52)が同一車両上に存在することを認識する処理工程が必要となる場合、その一例として、図6での左右の前照灯51(ヘッドランプ対)とLED52で構成される3角形が相似形を維持することを用いるとよい。
【0046】
走行する各車両100,200,300,400において投光器としてのLED105,205,305,405により前方に車両固有の周波数で点滅する光を発する。そして、対面通行にて走行する車両100,200,300,400のうちの片側の車線を走行する車両100において光電変換器としてのイメージセンサ102を用いて対向車線を走行する車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良または光量過多であるか否かを判定する。配光不良または光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から配光不良または光量過多である車両300を特定する。投光器としてのLED105からこの特定した車両300に固有の周波数で点滅する光を前方に発し、対向車線を走行する車両200,300,400において光電変換器としてのイメージセンサ202,302,402を用いて特定した車両300に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知する。よって、対向車が配光不良または光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両300に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0047】
また、前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両300において前照灯301の配光を調整する、または、前照灯301を減光する。よって、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
第1の実施形態では、車両200,300,400の前照灯201,301,401が配光不良または光量過多であるか否かを判定した。これに代わり、本実施形態においては、車両の尾灯が光量過多であるか否かを判定するシステムを構築している。
【0049】
図8は、道路を走行する車両を示す平面図である。図8における運転状況として、片側2車線の道路を同一方向に3台の車両500,600,700が走行している。車両500が自車両であり、この自車両500の走行車線において前方に車両600が走行している。また、自車両500の走行車線とは隣りの車線において前方に車両700が走行している。このようにして、自車両500に対し2台の周囲車両600,700が存在している。
【0050】
図9には、電気的構成を示す。
各車両500,600,700は、各々、第1実施形態での各車両100,200,300,400と同様に、LED式前照灯501,601,701、イメージセンサ(画像センサ)502,602,702、画像認識用マイクロプロセッサ(MPU)503,603,703、ライト制御用の電子制御装置(ECU)504,604,704を具備している。電子制御装置504,604,704にて各車両の前照灯501,601,701を制御することができるとともに各車両の尾灯(テールランプ)505,605,705の光量を制御することができるようになっている。尾灯(テールランプ)505,605,705はLED式尾灯である。また、図8,9に示すように、各車両500,600,700には後方を撮像するイメージセンサ(画像センサ)506,606,706が搭載され、イメージセンサ506,606,706のデータはマイクロプロセッサ503,603,703に送られるようになっている。
【0051】
本実施形態においては、各LED式前照灯501,601,701および各LED式尾灯505,605,705は人間の眼の分解能を上回る高速点滅が可能であり、各イメージセンサ502,602,702および各イメージセンサ506,606,706は、LED式尾灯505,605,705およびLED式前照灯501,601,701の高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有する。
【0052】
また、各車両500,600,700は車両毎の識別番号(ID)を有しており、尾灯の点灯時には各車両500,600,700は自身のLED式尾灯505,605,705の光として自身の識別番号(ID)に対応した周波数で点滅、即ち、各車両固有の周波数で点滅させるようになっている。これにより、各車両500,600,700は自身の識別番号(ID)を、LED式尾灯505,605,705の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができる。また、各車両500,600,700は前照灯の点灯時において自身のLED式前照灯501,601,701の光として他の車両に付された識別番号(ID)に対応した周波数で点滅、即ち、各車両固有の周波数で点滅させ、識別番号(ID)を、LED式前照灯501,601,701の高速点滅を用いて周囲の車両に送信することができるようになっている。
【0053】
今、自車両500に対する周囲の車両600,700のうちの車両700については尾灯705が光量過多になっており、これにより、自車両500に視界不良をもたらしているとする。
【0054】
マイクロプロセッサ503,603,703はイメージセンサ502,602,702からの撮像データを入力して画像処理を行って光量過多となっている尾灯を探す。図10には自車両500における車両前方を示し、図11には自車両500のイメージセンサ502によるデータをマイクロプロセッサ503により画像処理した後の画像を示す。
【0055】
走行する各車両500,600,700において尾灯505,605,705の光として車両固有の周波数で点滅している。
図12において、自車両500は、ステップ500(図12でもステップ数を「S」で表す)でイメージセンサ502により車両前方の、先行して走行する車両600,700を撮像する。
【0056】
そして、自車両500においてステップ501で、画像認識用マイクロプロセッサ503が画像解析を行い、ステップ502で、光量過多となっている尾灯を検出する(尾灯が光量過多となっている車両を検出する)。
【0057】
ここまでの処理により、イメージセンサ502を用いて先行して走行する車両600,700の尾灯605,705が光量過多であるか否かが判定される。光量不良は運転者が眩しいと感じる。
【0058】
引き続き、自車両500においてステップ503で、光量過多となっている車両の尾灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)を有する車両を特定する。即ち、光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から、光量過多である車両700を特定する。
【0059】
そして、自車両500においてステップ504で、特定した車両700に応じた識別番号(ID)を前照灯501の点滅周期(周波数)に対応させて送信する。このようにして、前照灯501から、特定した車両700に固有の周波数で点滅する光を発する。
【0060】
先行する車両600,700においては、ステップ600,700で、イメージセンサ606,706により後方の車両500のLED式前照灯501を撮像する。そして、車両600,700においてステップ601,701で画像解析し、ステップ602,702で、前照灯の点滅周期(周波数)を検出して、その周波数に対応する識別番号(ID)の認識を行う。車両600,700においてステップ603,703で自身のIDと照合する(各車両600,700毎に付されているIDと、送られてきた車両700に対応するIDを照合する)。その結果、車両600においてはステップ604で不一致となる。車両700においてはステップ704で一致する。即ち、車両700のみが送られてきたIDと、自身に付されたIDの一致を確認し、尾灯が光量過多であることを認識する(特定した車両700に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知する)。
【0061】
そして、車両700のマイクロプロセッサ703は電子制御装置704を介してステップ705で尾灯705を減光する。その結果、自車両500の視界不良が改善される。
なお、図12のステップ705で尾灯605の光量を減らしたが、これに代わり、運転者に警報するようにしてもよい。例えば、「尾灯が光量過多です」とアナウンスするようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(3)車両間情報伝達システムとして、走行する各車両500,600,700において尾灯505,605,705の光として車両固有の周波数で点滅させ、光電変換器としてのイメージセンサ502を用いて先行して走行する車両600,700の尾灯605,705が光量過多であるか否かを判定し、光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から光量過多である車両700を特定し、前照灯501からこの特定した車両700に固有の周波数で点滅する光を発し、先行して走行する車両600,700において光電変換器としてのイメージセンサ606,706を用いて特定した車両700に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知する。よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両700に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し不良車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。その結果、先行車の調光不良により自車両の視界が妨げられている状況を打開して自車両の視界を確保することができる。
【0063】
詳しくは、周囲車両の尾灯(テールランプ)の光量過多で自車両の視界が妨げられている状況において、該当する周囲車両にその旨を自動送信し、該当する周囲車両に減光を促す。特許文献2においては周囲車両の尾灯を自車両が検出し、自車両が配光制御を行っていたため、必ずしも自車両の視界は十分に確保されていなかった。これに対し本実施形態では、先行車両の尾灯の調光不良により自車両の視界が妨げられている状況において、自車両の視界を改善すべく、その先行車両を特定し、情報伝達により適切な調光を促すことができる。
【0064】
(4)尾灯が光量過多であると検知した車両700において尾灯705を減光するようにしたので、自動で尾灯の減光を行うことができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
第3の実施の形態においては尾灯の光を車両固有の周波数で点滅させたが、本実施形態の車両間情報伝達システムでは専用の投光器を用いて車両固有の周波数で点滅させるようにしている。つまり、各車両500,600,700が高速点滅可能なLED式尾灯を有さない場合を想定している。
【0066】
図13には走行する各車両500,600,700の平面図を示す。図14には各車両500,600,700の構成を示す。
図13,14において、各車両500,600,700の後面には高速点滅可能な非可視光LED507,607,707を有する。図14において各LED507,607,707はライト制御用の電子制御装置504,604,704と接続されている。他の車両の高速点滅可能な非可視光LED(507,607,707)の光を受けるイメージセンサ502,602,702は非可視光領域の分光感度も有する。
【0067】
走行する各車両500,600,700において投光器としてのLED507,607,707により後方に車両固有の周波数で点滅する光を発する。そして、光電変換器としてのイメージセンサ502を用いて先行して走行する車両600,700の尾灯605,705が光量過多であるか否かを判定する。光量過多であると、車両固有の周波数で点滅する光の周波数から光量過多である車両700を特定する。前照灯501からこの特定した車両700に固有の周波数で点滅する光を前方に発し、先行して走行する車両600,700において光電変換器としてのイメージセンサ606,706を用いて特定した車両700に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知する。よって、先行車の尾灯が光量過多であると、その車両を特定し、点滅する光を用いて当該車両700に伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し車両を特定する情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0068】
また、尾灯が光量過多であると検知した車両700において尾灯705を減光する。よって、自動で尾灯の減光を行うことができる。
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
図15に示すように、車両800は登坂過程に、車両900は対向する登坂過程にあり、車両800と車両900とは互いに視認されていない状況を想定する。
図15において、各車両800,900は、各々、第1実施形態での各車両100,200,300,400と同様に、LED式前照灯801,901、イメージセンサ(画像センサ)802,902、画像認識用マイクロプロセッサ(MPU)803,903、ライト制御用の電子制御装置(ECU)804,904を具備している。電子制御装置804,904にて各車両の前照灯801,901の光量を調整したり光軸を調整することができるようになっている。各LED式前照灯801,901は人間の眼の分解能を上回る高速点滅が可能であり、各イメージセンサ802,902は、LED式前照灯801,901の高速点滅を時間分解できる光電変換機能を有する。
【0070】
さらに、走行する各車両800,900には傾斜センサ805,905が設置されている。また、各車両800,900は前照灯の点灯時においてLED式前照灯801,901の光として傾斜センサ805,905による傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅させ、自身の車両の傾斜角を、LED式前照灯801,901の高速点滅を用いて周囲の車両に送信するようになっている。
【0071】
車両800のイメージセンサ802の撮像によりマイクロプロセッサ803は車両900の前照灯901によってもたらされる前方全体の明るさが車両の接近とともに次第に上昇していく過程を認識する。つまり、前方明るさが次第に上昇する過程をなんらかの車両が存在するためと判断する。また、点滅周波数により相手車両の傾斜角度を検知して、対向車線が登坂であり、車両900が接近状態にあり、自車両が車両900に対して視界不良をもたらす可能性があることを認識する。これにより、自車両が対向車両に対して視界不良をもたらす前段階において、車両の光量を低減する、光軸を下げる等の処置が自動的にとられる。
【0072】
同様な処理が車両900において実行される。つまり、イメージセンサ902の撮像によりマイクロプロセッサ903は車両800の前照灯801によって前方明るさが次第に上昇する過程をなんらかの車両が存在するためと判断する。また、点滅周波数により相手車両の傾斜角度を検知して、対向車線が登坂であり、車両800が接近状態にあり、自車両が車両800に対して視界不良をもたらす可能性があることを認識する。これにより、自車両が対向車両に対して視界不良をもたらす前段階において、車両の光量を低減する、光軸を下げる等の処置が自動的にとられる。
【0073】
このようにして、点滅する光を用いて傾斜情報を自車両の視界不良の改善を促す情報として対向車に伝達することができる。
なお、自動で前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光する代わりに「前方に対向車が来ています」とアナウンスしたり、自動で前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光すると共にアナウンスするようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(5)車両間情報伝達システムとして、走行する各車両800,900に傾斜センサ805,905を設置し、走行する各車両800,900において前照灯801,901の光として傾斜センサ805,905による傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅させ、対向して走行する車両800,900において光電変換器としてのイメージセンサ802,902を用いて対向する車両800,900の前照灯801,901の光が徐々に大きくなると、点滅する光の周波数から対向車が登坂過程にあることを検知する。よって、対向して車両が走行し、かつ、少なくとも一方の車両が登坂過程にあり互いに視認されていないときに、前方の明るさが次第に上昇するときの点滅する光を用いて相手の車両に登板過程にあることを伝達することができる。このようにして、周囲に存在する車両に対し登板過程にあるとの情報を自車両の視界不良を改善するための情報として適切に伝達することができる。
【0075】
(6)対向車が登坂過程にあることを検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光するようにしたので、自動で前照灯の配光調整または減光を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態における道路を走行する車両を示す平面図。
【図2】電気的構成図。
【図3】自車両における車両前方図。
【図4】自車両のイメージセンサによるデータの画像処理後の画像図。
【図5】各車両における車載機器の処理内容を示す説明図。
【図6】第2の実施形態における車両の正面図。
【図7】第2の実施形態における電気的構成図。
【図8】第3の実施形態における道路を走行する車両を示す平面図。
【図9】第3の実施形態における電気的構成図。
【図10】自車両における車両前方図。
【図11】自車両のイメージセンサによるデータの画像処理後の画像図。
【図12】第3の実施形態における各車両における車載機器の処理内容を示す説明図。
【図13】第4の実施形態における道路を走行する車両を示す平面図。
【図14】電気的構成図。
【図15】第5の実施形態における電気的構成図。
【符号の説明】
【0077】
100…車両、101…前照灯、102…イメージセンサ、105…LED、200…車両、201…前照灯、202…イメージセンサ、205…LED、300…車両、301…前照灯、302…イメージセンサ、305…LED、400…車両、401…前照灯、402…イメージセンサ、405…LED、500…車両、501…前照灯、502…イメージセンサ、505…尾灯、600…車両、601…前照灯、602…イメージセンサ、605…尾灯、700…車両、701…前照灯、702…イメージセンサ、705…尾灯、800…車両、801…前照灯、802…イメージセンサ、805…傾斜センサ、900…車両、901…前照灯、902…イメージセンサ、905…傾斜センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する各車両(100,200,300,400)において前照灯(101,201,301,401)の光として車両固有の周波数で点滅させ、対面通行にて走行する車両(100,200,300,400)のうちの片側の車線を走行する車両(100)において光電変換器(102)を用いて対向車線を走行する車両(200,300,400)の前照灯(201,301,401)が配光不良または光量過多であるか否かを判定し、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両(300)を特定し、前照灯(101)からこの特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光を発し、前記対向車線を走行する車両(200,300,400)において光電変換器(202,302,402)を用いて前記特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項2】
前記前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両(300)において前照灯(301)の配光を調整する、または、前照灯(301)を減光することを特徴とする請求項1に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項3】
走行する各車両(100,200,300,400)において投光器(105,205,305,405)により前方に車両固有の周波数で点滅する光を発し、対面通行にて走行する車両(100,200,300,400)のうちの片側の車線を走行する車両(100)において光電変換器(102)を用いて対向車線を走行する車両(200,300,400)の前照灯(201,301,401)が配光不良または光量過多であるか否かを判定し、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両(300)を特定し、前記投光器(105)からこの特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光を前方に発し、前記対向車線を走行する車両(200,300,400)において光電変換器(202,302,402)を用いて前記特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項4】
前記前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両(300)において前照灯(301)の配光を調整する、または、前照灯(301)を減光することを特徴とする請求項3に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項5】
走行する各車両(500,600,700)において尾灯(505,605,705)の光として車両固有の周波数で点滅させ、光電変換器(502)を用いて先行して走行する車両(600,700)の尾灯(605,705)が光量過多であるか否かを判定し、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両(700)を特定し、前照灯(501)からこの特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光を発し、前記先行して走行する車両(600,700)において光電変換器(606,706)を用いて前記特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項6】
前記尾灯が光量過多であると検知した車両(700)において尾灯(705)を減光することを特徴とする請求項5に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項7】
走行する各車両(500,600,700)において投光器(507,607,707)により後方に車両固有の周波数で点滅する光を発し、光電変換器(502)を用いて先行して走行する車両(600,700)の尾灯(605,705)が光量過多であるか否かを判定し、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両(700)を特定し、前照灯(501)からこの特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光を発し、前記先行して走行する車両(600,700)において光電変換器(606,706)を用いて前記特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項8】
前記尾灯が光量過多であると検知した車両(700)において尾灯(705)を減光することを特徴とする請求項7に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項9】
走行する各車両(800,900)に傾斜センサ(805,905)を設置し、走行する各車両(800,900)において前照灯(801,901)の光として傾斜センサ(805,905)による傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅させ、対向して走行する車両(800,900)において光電変換器(802,902)を用いて対向する車両(800,900)の前照灯(801,901)の光が徐々に大きくなると、点滅する光の周波数から対向車が登坂過程にあることを検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項10】
前記対向車が登坂過程にあることを検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光することを特徴とする請求項9に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項1】
走行する各車両(100,200,300,400)において前照灯(101,201,301,401)の光として車両固有の周波数で点滅させ、対面通行にて走行する車両(100,200,300,400)のうちの片側の車線を走行する車両(100)において光電変換器(102)を用いて対向車線を走行する車両(200,300,400)の前照灯(201,301,401)が配光不良または光量過多であるか否かを判定し、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両(300)を特定し、前照灯(101)からこの特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光を発し、前記対向車線を走行する車両(200,300,400)において光電変換器(202,302,402)を用いて前記特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項2】
前記前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両(300)において前照灯(301)の配光を調整する、または、前照灯(301)を減光することを特徴とする請求項1に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項3】
走行する各車両(100,200,300,400)において投光器(105,205,305,405)により前方に車両固有の周波数で点滅する光を発し、対面通行にて走行する車両(100,200,300,400)のうちの片側の車線を走行する車両(100)において光電変換器(102)を用いて対向車線を走行する車両(200,300,400)の前照灯(201,301,401)が配光不良または光量過多であるか否かを判定し、配光不良または光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記配光不良または光量過多である車両(300)を特定し、前記投光器(105)からこの特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光を前方に発し、前記対向車線を走行する車両(200,300,400)において光電変換器(202,302,402)を用いて前記特定した車両(300)に固有の周波数で点滅する光の周波数から前照灯が配光不良または光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項4】
前記前照灯が配光不良または光量過多であると検知した車両(300)において前照灯(301)の配光を調整する、または、前照灯(301)を減光することを特徴とする請求項3に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項5】
走行する各車両(500,600,700)において尾灯(505,605,705)の光として車両固有の周波数で点滅させ、光電変換器(502)を用いて先行して走行する車両(600,700)の尾灯(605,705)が光量過多であるか否かを判定し、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両(700)を特定し、前照灯(501)からこの特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光を発し、前記先行して走行する車両(600,700)において光電変換器(606,706)を用いて前記特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項6】
前記尾灯が光量過多であると検知した車両(700)において尾灯(705)を減光することを特徴とする請求項5に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項7】
走行する各車両(500,600,700)において投光器(507,607,707)により後方に車両固有の周波数で点滅する光を発し、光電変換器(502)を用いて先行して走行する車両(600,700)の尾灯(605,705)が光量過多であるか否かを判定し、光量過多であると、前記車両固有の周波数で点滅する光の周波数から前記光量過多である車両(700)を特定し、前照灯(501)からこの特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光を発し、前記先行して走行する車両(600,700)において光電変換器(606,706)を用いて前記特定した車両(700)に固有の周波数で点滅する光の周波数から尾灯が光量過多であると検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項8】
前記尾灯が光量過多であると検知した車両(700)において尾灯(705)を減光することを特徴とする請求項7に記載の車両間情報伝達システム。
【請求項9】
走行する各車両(800,900)に傾斜センサ(805,905)を設置し、走行する各車両(800,900)において前照灯(801,901)の光として傾斜センサ(805,905)による傾斜の検出結果に応じた周波数で点滅させ、対向して走行する車両(800,900)において光電変換器(802,902)を用いて対向する車両(800,900)の前照灯(801,901)の光が徐々に大きくなると、点滅する光の周波数から対向車が登坂過程にあることを検知するようにしてなることを特徴とする車両間情報伝達システム。
【請求項10】
前記対向車が登坂過程にあることを検知した車両において前照灯の配光を調整する、または、前照灯を減光することを特徴とする請求項9に記載の車両間情報伝達システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−197965(P2008−197965A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33315(P2007−33315)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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