説明

車体前部構造

【課題】サブフレームのクラッシュストロークを増加させ、サブフレームに衝突荷重を伝達する車体前部構造を提供する。
【解決手段】車体前部構造11は、車室26の前壁をなすダッシュボード28の下方から車両前方へキックアップ(矢印a2の方向)して延びるフロントサイドフレーム15と、フロントサイドフレーム15の前部46及び後部47にそれぞれ設けた前部取付部51と後部取付部52に吊り下げられるサブフレーム21とを有する。サブフレーム21は、ダッシュボード28の前方にステアリングギヤボックス、エンジンを順に取付け、且つ前部取付部51と後部取付部52との間に少なくとも2箇所の脆弱部(前部脆弱部54、後部脆弱部55)を乖離させて形成している。前方へ向け突出させた突出部74を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンが載置されるサブフレームを有する車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前部構造には、エンジンの左右に位置するフロントサイドフレームの前部よりサブフレームを前に出したものがある。例えば、エンジンに相当する電動機をサブフレームに載せ、サブフレームの前端部に設けた延設部をフロントサイドメンバの前端より車両前方に突出させて、剛性の低い取付部材を介して連結しているので、前面衝突時の荷重をサブフレームの前端部により確実に入力させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
また、車両前後に延びるフロントサイドフレームにサブフレームの後部に設けた突出フレームの端部を締結具で締結したので、前突時に突出フレームの端部を支点にして、締め付け力に抗して回動しつつ十分に変形し、衝撃力を吸収する技術がある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特許第3591499号公報(図7)
【特許文献2】特開平10−45022号公報(図5)
【0003】
しかし、特許文献1の車体前部構造では、衝突荷重に位相差を発生させるために、延設部をサブフレームに剛性の低い取付部材を介して連結しているので、車両同士の正面衝突などでフロントサイドフレームのみに衝突荷重が入力された場合、剛性の低い取付部材が破断し、サブフレームに衝突荷重が伝達されず、サブフレームで衝突荷重を吸収できないという問題がある。
【0004】
特許文献2の車体前部構造では、サブフレームの後方に延びる突出フレームが締結具17の周りに巻きつくように変形するため、突出フレーム近傍間に設けたクロスメンバに、ダッシュボードの前のステアリングギヤボックスを載せると、後退するステアリングギヤボックスとダッシュボードが干渉することになり、結果的に、ステアリングギヤボックスからダッシュボードまでの距離しかサブフレームのクラッシュストロークを確保することができないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サブフレームのクラッシュストロークを増加させ、サブフレームに衝突荷重を伝達する車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車室の前壁をなすダッシュボードの下方から車両前方へキックアップして延びるフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの前部及び後部にそれぞれ設けた前部取付部と後部取付部に吊り下げられるサブフレームとを有する車体前部構造であって、サブフレームは、ダッシュボードの前方にステアリングギヤボックス、エンジンを順に取付け、且つ前部取付部と後部取付部との間に少なくとも2箇所の脆弱部を乖離させて形成していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、サブフレームは、前部取付部に、フロントサイドフレームから下方へ所定距離だけ離間させて取付けられた前接合部に連なりフロントサイドフレームの前部より前方へ向け突出させた突出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明では、ダッシュボードの下方から延びるフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの前部取付部と後部取付部に吊り下げられるサブフレームとを有し、サブフレームは、ダッシュボードの前方にステアリングギヤボックス、エンジンを順に取付け、且つ前部取付部と後部取付部との間に少なくとも2箇所の脆弱部を乖離させて形成しているので、前突した時に、フロントサイドフレームの下方に沿う、サブフレームの左・右ビーム部材に設けた前後2箇所の脆弱部から座屈が起き始めて、脆弱部間が下方に下がるとともに、後部取付部又は近傍を支点にして、接近するエンジンで支持している後ビーム部材が下方へ回動し、それにともないステアリングギヤボックスを下方へ押して、ダッシュボードの下方へ滑り込ませる、従って、サブフレームのクラッシュストロークを増加させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明では、サブフレームは、前部取付部に、フロントサイドフレームから下方へ所定距離だけ離間させて取付けられた前接合部に連なりフロントサイドフレームの前部より前方へ向け突出させた突出部を有するので、前突した時に、突出部は早期に衝突荷重をサブフレームの左・右ビーム部材に伝えることができる。
また、車両の正面対正面の衝突時に、突出部は相手車両の前部構造(フロントサイドフレームの前端の下側)に引っ掛かり相手車両に乗り上げる乗り上げを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車体前部構造とエンジンや操舵装置の関係を示す平面図である。
図2は、本発明の車体前部構造の斜視図である。
車体前部構造11は、車両12に採用され、車体13の前部14に設けたフロントサイドフレーム15(左のフロントサイドフレーム16、右のフロントサイドフレーム17)と、フロントサイドフレーム15の下方(図1の図面の裏)から接続したサブフレーム21(図1に点模様で示した)と、サブフレーム21に取付けた操舵装置22のステアリングギヤボックス23と、を備える。以降で具体的に説明していく。25はサブフレーム21に載せたエンジンである。
【0011】
車両12は、車体13のフロントボデー(前部14)と、車室26と、車室26とフロントボデー14のエンジンルーム27との隔壁をなすダッシュボード28と、ダッシュボード28の前のエンジンルーム27に配置したエンジン25と、サブフレーム21に支持した操舵装置22、懸架装置31と、を備える。
【0012】
フロントボデー14は、フロントサイドフレーム15と、懸架装置31のショックアブソーバー33を締結するダンパハウジング34と、フロントサイドフレーム15の先端部35に取付けたフロントバンパビーム36と、を備える。なお、フロントボデー14を主体とすると車体前部構造11のフロントサイドフレーム15を含む。
【0013】
エンジン25は、V型6気筒で横置きに配置され、サブフレーム21に取付けて支持するエンジンリヤマウント装置38を備える。41は変速機である。
操舵装置22は、既存の構成であり、ステアリングホイール42に連なるステアリングギヤボックス23を備え、ステアリングギヤボックス23がサブフレーム21の後ビーム部材44に固定されている。
【0014】
図3は、本発明の車体前部構造の側面図である。
図4は、本発明の車体前部構造の下から見た状態を示す図である。図1、図2を併用して説明する。
【0015】
車体前部構造11は、既に述べた車室26の前壁をなすダッシュボード28の下方から車両前方(矢印a1の方向)へキックアップ(矢印a2の方向)して延びるフロントサイドフレーム15(左のフロントサイドフレーム16、右のフロントサイドフレーム17)と、フロントサイドフレーム15の前部46及び後部47にそれぞれ設けた前部取付部51と後部取付部52に吊り下げられるサブフレーム21とを有する。
サブフレーム21は、ダッシュボード28の前方にステアリングギヤボックス23、エンジン25を前方へ順に取付け、且つ前部取付部51と後部取付部52との間に少なくとも2箇所の脆弱部(前部脆弱部54、後部脆弱部55)を乖離させて形成している。
【0016】
一方の前部脆弱部54が前部取付部51に取付けられている前締結部56の近傍に形成され、他方の後部脆弱部55が後部取付部52に取付けられている後締結部57の近傍に形成されている。
「車両前方へキックアップして」とは、フロントサイドフレーム15のサイドフレームリヤエンド部61が、車室26の床をなすアンダボデー62(図10参照)から所望の高さだけ前方へ傾斜している状態である。
【0017】
フロントサイドフレーム15は、アンダボデー62に接続するフロアー取付け部64と、フロアー取付け部64を含み所定の角度で傾斜してダッシュボード28を接合しているサイドフレームリヤエンド部61と、サイドフレームリヤエンド部61の中央に設けた後部取付部52と、サイドフレームリヤエンド部61の上端に連なるハウジング取付け部65と、ハウジング取付け部65に連続する前部46と、前部46に含まれる正面先端部35と、前部46から車両下方へ延ばした前部取付部51と、を備える。
【0018】
サブフレーム21は、井桁状に形成され、車両12の正面近傍に配置した前ビーム部材67と、前ビーム部材67に連なり左のフロントサイドフレーム16の下方に位置する左ビーム部材68と、左ビーム部材68に対向し右のフロントサイドフレーム17の下方に位置する右ビーム部材71と、左ビーム部材68及び右ビーム部材71に連なる後ビーム部材44と、フロントサイドフレーム15のハウジング取付け部65に取付けたミッドマウント抜け機構72と、を備える。
【0019】
また、サブフレーム21は、前部取付部51に、フロントサイドフレーム15から下方へ所定距離だけ離間させて取付けられた前接合部(前締結部56)に連なりフロントサイドフレーム15の前部46の先端部35より前方へ向け突出させた突出部74を有する。
【0020】
左ビーム部材68は、中空形状で、左のフロントサイドフレーム16の長さに近似する長尺で、前から連続してビーム前部75、ビーム中央部76、ビーム後部77が形成され、ビーム前部75に左のフロントサイドフレーム16の前部取付部51に締結する前締結部56が形成され、前締結部56に連ねビーム前部75に突出部74が左のフロントサイドフレーム16の前部46、つまり先端部35より車両前方へ張り出して形成され、前締結部56に連ねビーム前部75に脆弱部であるところの前部脆弱部54が形成され、前部脆弱部54と前締結部56との間に前ビーム部材67を結合する前ビーム結合部81が形成されている。
【0021】
左ビーム部材68はまた、ビーム後部77に左のフロントサイドフレーム16の後部取付部52に締結する後締結部57が形成され、後締結部57に連ね車両前方側に脆弱部であるところの後部脆弱部55が形成され、後部脆弱部55より車両前方に後ビーム部材44を結合する後ビーム結合部82が形成されている。
【0022】
前部脆弱部54は、フロントサイドフレーム15の後部取付部52とサブフレーム21の後締結部57とからなる結合体84に比べ、座屈変形が容易である。そして、側面視(図3の視点)で、ビーム前部75に段差形状に形成されている。具体的には、水平(目視でほぼ水平の状態)に延びる入力部(突出部74が兼ねている)が形成され、入力部74に連ね入力部74に対して交差する前傾斜部85が車両下方且つ車両後方へ向け延ばして形成され、前傾斜部85に連ねてビーム中央部76が入力部74に平行(目視でほぼ水平の状態)に且つ、ビーム前部75より下位に形成されている。
【0023】
後部脆弱部55は、後部取付部52と後締結部57とからなる結合体84に比べ、座屈変形が容易である。そして、側面視(図3の視点)で、ビーム後部77に段差形状に形成されている。具体的には、水平(目視でほぼ水平の状態)に延びる出力部(後締結部57が兼ねている)に連ね出力部(後締結部57)に対して交差する後傾斜部86が車両下方且つ車両前方へ向け延ばして形成されている。詳しくは、後傾斜部86と出力部(後締結部57)が交差するコーナ部87である。
右ビーム部材71は、左ビーム部材68とほぼ同様である。
【0024】
後ビーム部材44は(図1参照)、操舵装置22のステアリングギヤボックス23に連なるシリンダ部91を固定するシリンダ固定部92と、エンジンリヤマウント装置38を取付けるマウントベース部93とを有する。
【0025】
次に、フロントサイドフレーム15の前部取付部51及びサブフレーム21の前締結部56を説明する。
図5は、図2の5矢視図である。
図6は、図5の6−6線断面図である。図2、図3を併用して説明する。
【0026】
前部取付部51は、左のフロントサイドフレーム16の底部に垂下した平面視、断面コ字状のベース体95と、ベース体95に連なるボックス部96と、ボックス部96に内蔵し立設したフランジ付きカラー97と、カラー97の内周面に形成しためねじ部98と、めねじ部98にねじ込むボルト101と、からなる。
【0027】
前締結部56は、ビーム前部75に開けた貫通孔102と、貫通孔102と同心にビーム前部75の内部に立設し、ボルト101が通る円筒形のカラー103とからなる。
【0028】
次に、左のフロントサイドフレーム16の後部取付部52及びサブフレーム21の後締結部57を説明する。
図7は、図2の7矢視図である。
図8は、図7の8−8線断面図である。
【0029】
後部取付部52は、サイドフレームリヤエンド部61の底部105にボルト106の軸線Cbに直交する平坦部107が形成され、平坦部107の内面に平坦部107に開けた孔に同心にナット108が固定され、平坦部107の外面にフランジ付きカラー111が孔又はナット108に同心に配置され、フランジ付きカラー111を覆うカバー112がサイドフレームリヤエンド部61に取付けられ、且つフランジ付きカラー111のフランジ113に接触させてカバー112に締結座面114が形成され、締結座面114にボルト106を通す孔が開けられている。フランジ付きカラー113は締結座面114の裏と平坦部107とに接触している。
【0030】
後締結部57は、ビーム後部77に開けてボルト106を通す貫通孔116と、貫通孔116と同心にビーム後部77の内部に立設された円筒形のカラー117とからなる。
【0031】
次に、後締結部57より前方に位置するミッドマウント抜け機構72を説明する。
図9は、図2の9矢視図である。図2〜図4、図7を併用して説明する。
ミッドマウント抜け機構72は、サブフレーム21のビーム中央部76、すなわち、後ビーム部材44又は後ビーム結合部82近傍で且つこられより車体前方に配置され、所望の負荷以上でフロントサイドフレーム15側(緩衝ブラケット121)とサブフレーム21側(固定ブラケット122)とに分断するもので、緩衝ブラケット121と固定ブラケット122とからなる。
【0032】
緩衝ブラケット121は、フロントサイドフレーム15に接合部材123を取付け、接合部材123に緩衝部材124を介して第1連結部材125を取付け、第1連結部材125に先端二股部126を形成し、先端二股部126にボルト127を通して、固定ブラケット122にねじ込むことで一体化する。
【0033】
固定ブラケット122は、サブフレーム21にベースブラケット131が固定され、ベースブラケット131に、第1連結部材125を摺動自在に面接触している第2連結部材132が立設され、第2連結部材132にボルト127を所望の軸力(例えば、トルク管理)でねじ込む、めねじ部133が形成されている。
【0034】
次に、本発明の車体前部構造11の作用を説明する。
図10は、本発明の車体前部構造の衝突荷重を吸収する機構を説明する図である。図1、図9を併用して説明する。
車体前部構造11では、車体正面に衝突荷重が矢印a4のように発生して、サブフレーム21の左ビーム部材68の突出部74に入力されると、突出部74に連なる前部脆弱部54及び後部脆弱部55により車両下方(矢印a5の方向)への座屈を誘引するとともに、前部脆弱部54及び後部脆弱部55で座屈変形を起こして車両下方へ左ビーム部材68は折れ曲がり、これらの間に設けられたビーム中央部76が車両下方へ下がる。そして、後退するエンジン25により、サブフレーム21の後締結部57を支点にして、エンジンリヤマウント装置38を介して後ビーム部材44を車両下方へ押し下げ、同時に後ビーム部材44に固定したステアリングギヤボックス23も下方へ移動し、ステアリングギヤボックス23や後ビーム部材44はダッシュボード28の下方に滑り込む。同様の作用を次図で模式的に説明する。
【0035】
サブフレーム21のビーム中央部76が下方へ押し下げられる際に、ミッドマウント抜け機構72は、入力される引っ張り力が限界を超えると、先端二股部126がボルト127の軸力に抗して抜けるので、前部脆弱部54及び後部脆弱部55の座屈変形を妨げない。
【0036】
図11(a)〜(d)は、本発明の車体前部構造が障害物に接触した時の車体前部構造の衝突荷重を吸収する機構を説明する模式図である。図1、図3、図4を参照して説明する。
(a):車両12が障害物Cに接触すると、サブフレーム21の突出部74に衝突荷重が入力される。
【0037】
(b):サブフレーム21の左ビーム部材68、右ビーム部材71は、前部脆弱部54及び後部脆弱部55を起点に座屈変形し始め、それに伴い車室26のダッシュボード28はステアリングギヤボックス23に接近する。
【0038】
ここで、仮に、前部脆弱部54及び後部脆弱部55の無いサブフレームがここまで変形してさらに潰れるとステアリングギヤボックス23にダッシュボード28が干渉してダッシュボード28は車両前方へ移動できず止まることになる。
【0039】
(c):サブフレーム21は、既に述べたように、サブフレーム21の後締結部57を支点にして、後ビーム部材44は矢印a6のように回動しながらステアリングギヤボックス23と共にダッシュボード28の下方へ潜り込む。
(d):さらには、ステアリングギヤボックス23がアンダボデー62のフロアーより下位に下がることで、車室26のダッシュボード28は前進してくる。
【0040】
このように、車体前部構造11では、後部取付部52と後締結部57とからなる結合体84より車両前方に設けられ且つ結合体84に比べ、脆弱な前部脆弱部54及び後部脆弱部55が下方に変形するのに伴い後ビーム部材44も下方に回動することで、ステアリングギヤボックス23が押し下げられダッシュボード28の下方に移動する。従って、サブフレーム21のクラッシュストロークをより増加させることができる。
【0041】
図12は、本発明の車体前部構造に含まれるサブフレームの荷重伝達の機構を説明する図である。
車体前部構造11では、衝突荷重を早期にサブフレーム21に伝達することができる。具体的には、車両12は、正面に衝突荷重が矢印b1のように発生すると、サブフレーム21に設けた突出部74が、前方へ向け突出しているため、突出部74に衝突衝撃は入力される。従って、衝突荷重を早期に左ビーム部材68、右ビーム部材71に伝達することができる。つまり、サブフレーム21に衝突荷重を伝達するという利点がある。
【0042】
図13は、本発明の車体前部構造の乗り上げを防止する機構を説明する図である。
車体前部構造11は、接触した対向車Cfに乗り上げることを防止する。具体的には、車両12は、高さ(地上高)の異なる対向車Cfと正面同士で接触した時、すなわち、対向車Cfのフロントサイドフレーム201の位置がより高いと、車体前部構造11のサブフレーム21に設けた突出部74が対向車Cfのフロントサイドフレーム201の先端下部202に当接し、車両12は対向車Cfに乗り上がらない。
【0043】
なお、前部脆弱部54及び後部脆弱部55は、くの字に曲げた段差形状としたが、くの字に曲げた段差形状を形成しないで、例えば、孔や開口を開けて、孔や開口によって下方へ座屈させる構造でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の車体前部構造は、車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の車体前部構造とエンジンや操舵装置の関係を示す平面図である。
【図2】本発明の車体前部構造の斜視図である。
【図3】本発明の車体前部構造の側面図である。
【図4】本発明の車体前部構造の下から見た状態を示す図である。
【図5】図2の5矢視図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図2の7矢視図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】図2の9矢視図である。
【図10】本発明の車体前部構造の衝突荷重を吸収する機構を説明する図である。
【図11】本発明の車体前部構造が障害物に接触した時の車体前部構造の衝突荷重を吸収する機構を説明する模式図である。
【図12】本発明の車体前部構造に含まれるサブフレームの荷重伝達の機構を説明する図である。
【図13】本発明の車体前部構造の乗り上げを防止する機構を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
11…車体前部構造、15…フロントサイドフレーム、21…サブフレーム、23…ステアリングギヤボックス、25…エンジン、26…車室、28…ダッシュボード、35…先端部、46…フロントサイドフレームの前部、47…フロントサイドフレームの後部、51…前部取付部、52…後部取付部、54…脆弱部(前部脆弱部)、55…脆弱部(後部脆弱部)、56…前接合部(前締結部)、74…突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前壁をなすダッシュボードの下方から車両前方へキックアップして延びるフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームの前部及び後部にそれぞれ設けた前部取付部と後部取付部に吊り下げられるサブフレームとを有する車体前部構造であって、
前記サブフレームは、前記ダッシュボードの前方にステアリングギヤボックス、エンジンを順に取付け、且つ前記前部取付部と前記後部取付部との間に少なくとも2箇所の脆弱部を乖離させて形成していることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記サブフレームは、前記前部取付部に、フロントサイドフレームから下方へ所定距離だけ離間させて取付けられた前接合部に連なり前記フロントサイドフレームの前部より前方へ向け突出させた突出部を有することを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−132180(P2010−132180A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311213(P2008−311213)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】