説明

車群状態表示装置

【課題】周囲から車群の状態の変化を認識させることができる車群状態表示装置を提供すること。
【解決手段】車両の外部に対し点灯表示を行う点灯部3を備え、車群の状態の変化に応じ点灯部3の点灯表示状態を変化させて表示制御を行うECU4を備えている。車群の状態が変化する場合、例えば車群が分離する場合には、車群が分離する方向に向けて点灯部3の点灯表示が移動するように表示制御を実行する。これにより、車群の周囲から車群が分離することを視覚を通じて直感的に認識させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車群状態を表示する車群状態表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車群状態を表示する装置として、例えば特開2003−123180号公報に記載されるように、車群を組んで走行している車両の表示装置であって、車群を構成して隊列走行を行っている場合に車群の車両全体で所定の発光パターンで発光させることにより、車両周辺に対し車群を組んでいることを認識させようとするものが知られている。
【特許文献1】特開2003−123180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような車群状態表示装置にあっては、その車群の状態が変化する場合に、その変化状態を認識させることができない。例えば、車群を組んでいる車両の一部が車群から分離していく場合や車群に車両が合流する場合などその車群の変化を認識させることができない。
【0004】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、周囲から車群の状態の変化を認識させることができる車群状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明に係る車群状態表示装置は、複数の車両で形成される車群の状態を取得する車群状態取得手段と、前記車両の外部に対し表示を行う表示手段と、前記車群の状態の変化に応じ前記表示手段の表示状態を変化させて表示制御を行う表示制御手段とを備えて構成されている。
【0006】
この発明によれば、車群の状態の変化に応じて表示手段の表示状態を変化させて表示制御を行うことにより、表示手段の表示状態を見ることにより車群の周囲から車群の変化状態を容易に認識することができる。
【0007】
また本発明に係る車群状態表示装置において、前記表示制御手段は、前記車群が分離する場合に、前記車群が分離する方向に向けて前記表示手段の表示が移動するように表示制御することが好ましい。
【0008】
この発明によれば、車群が分離する場合に車群が分離する方向に向けて表示手段の表示が移動するように表示制御することにより、その表示手段の表示を見ることにより車群の周囲から車群が分離することを直感的に認識することができる。
【0009】
また本発明に係る車群状態表示装置において、前記表示制御手段は、前記車群が分離する場合に、前記車群の分離位置から前記車群の端部側へ向けて前記表示手段の表示が移動するように表示制御することが好ましい。
【0010】
この発明によれば、車群が分離する場合にその分離位置から車群の端部側へ向けて表示手段の表示が移動するように表示制御することにより、その表示手段の表示状態を見ることにより車群の周囲から車群が分離すること及びその分離位置を直感的に認識することができる。
【0011】
また本発明に係る車群状態表示装置において、前記表示制御手段は、前記車群に対し合流する車両がある場合に、その車両の合流位置に向けて前記表示手段の表示が移動するように表示制御することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、車群に車両が合流する場合にその合流位置に向けて表示手段の表示が移動するように表示制御することにより、その表示手段の表示状態を見ることにより合流すべき位置を直感的に認識することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車群の状態の変化に応じた表示制御を行うことにより、周囲から車群の状態の変化を容易に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る車群状態表示装置の構成概要図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る車群状態表示装置1は、車両に設置され、車両の車群の状態を表示するための装置であって、車群制御部2、点灯部3(3a〜3f)及びECU(Electronic Control Unit)4を備えて構成されている。
【0017】
車群制御部2は、車両の車群状態を取得する車群状態取得手段として機能するものであり、例えば他車の位置情報及び車速情報、自車の位置情報及び車速情報などを取得し、それらの情報などに基づいて車群の状態を制御する車群制御ECUにより構成される。また、他車の位置情報及び車速情報の取得する手段としては、例えばミリ波レーダ装置、レーザレーダ装置、車々通信装置などが用いられる。なお、車両の車群状態を取得する車群状態取得手段としては、車両の車群状態を取得できるものであれば、車群制御ECU以外のものを用いてもよい。
【0018】
点灯部3(3a〜3f)は、車両の外部に対し表示を行う表示手段として機能するものであり、例えば、車両の外側に設けられる照明器が用いられる。この点灯部3は、ECU4からの点灯制御信号に応じて点灯及び消灯によって表示状態を変えることができる。点灯部3は例えば、車両右前に設けられる点灯部3a、車両右後に設けられる点灯部3b、車両左前に設けられる点灯部3c、車両左後に設けられる点灯部3d、車両後部右側に設けられる点灯部3e、車両後部左側に設けられる点灯部3fを備えている。
【0019】
この点灯部3は、車群の状態の変化に応じ表示状態を変化させることにより、車群の周囲から車群の状態の変化を視覚を通じて容易に認識させるものである。
【0020】
なお、車両の外部に対し表示を行う表示手段としては、点灯発光する点灯部3以外のものであってもよい。例えば、表示手段は、異なる色彩を表示可能であってその色彩の表示の変更により表示状態を変更可能なものなどであってもよい。
【0021】
ECU4は、車群状態表示装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。このECU4は、点灯部3の表示状態、すなわち点灯状態を制御する表示制御手段及び点灯制御手段として機能するものである。このECU4は、車群が分離する場合に、車群が分離する方向に向けて点灯部3の表示、すなわち点灯位置が移動するように表示制御を行う。また、ECU4は、車群に対し合流する車両がある場合に、車群の合流位置に向けて点灯部3の表示が移動するように表示制御を行う。
【0022】
次に本実施形態に係る車群状態表示装置1の動作について説明する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群が前後に分離する場合の動作を示す図である。図2において、破線の矢印は車群が分離する方向を示しており、実線の矢印は車群の進行方向を示している。
【0024】
図3は、車群が前後に分離する場合における車群状態表示装置1の点灯部の点灯動作を示すタイミングチャートである。図3は点灯部の作動パルスを示しており、パルスが立ち上がってオンとなっている期間は点灯部が点灯した状態となっており、パルスがオフとなっている期間は点灯部が消灯した状態となっている。この図3における点灯部の点灯動作は、例えば車群の分離動作が完了するまで繰り返し実行される。
【0025】
図2に示すように、車両A〜Cが隊列走行して車群を組んでおり、その車群が車両Aと車両Bの間で分離する場合、車両A〜Cの点灯部3の点灯位置が車群の分離位置から車群の端部側へ向けて移動するように表示制御が行われる。
【0026】
例えば、図3に示すように、まず分離位置に近い車両Aの点灯部3b、車両Bの点灯部3aが点灯状態となり、車群の端部側に向けて順次点灯部3a、3bが点灯し、その点灯状態が移動するように表示制御が行われる。
【0027】
このように車群の状態の変化に応じて点灯部3の点灯状態を変化させて表示制御を行うことにより、点灯部3の点灯状態を見ることにより車群の周囲から車群の変化状態を容易に認識することができる。また、この場合、車群が分離する場合にその分離位置から車群の端部側へ向けて点灯部3の点灯位置が移動するように表示制御が行われるため、その点灯部3の点灯状態を見ることにより車群の周囲から車群が分離することを視覚を通じて直感的に認識できる。また、その分離位置も同様にして容易に認識することができる。特に隊列走行する車群が前後に分離する場合に有効である。
【0028】
図4は、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群が左右に分離する場合の動作を示す図である。図4において、破線の矢印は車群が分離する方向を示しており、実線の矢印は車群の進行方向を示している。
【0029】
図5は、車群が左右に分離する場合における車群状態表示装置1の点灯部の点灯動作を示すタイミングチャートである。図5は、車両Aにおける点灯部の作動パルスを示しており、パルスが立ち上がってオンとなっている期間は点灯部が点灯した状態となっており、パルスがオフとなっている期間は点灯部が消灯した状態となっている。この図5における点灯部の点灯動作は、例えば車群の分離動作が完了するまで繰り返し実行される。
【0030】
図4に示すように、車両A〜Dが隊列走行して車群を組んでおり、その車群が左右に分離する場合、すなわち車両A、Cが右側へ分離し、車両B、Dが左側へ分離する場合、車群から車両が分離する方向に向けて点灯部3の点灯位置が移動するように表示制御が行われる。
【0031】
例えば、図5に示すように、車両Aを挙げて説明すると、まず後部左側の点灯部3fが点灯状態となり、分離する方向へ点灯部3e、点灯部3b、点灯部3aが順次点灯状態となる。このように点灯状態が車両の分離する方向へ移動するように表示制御が行われる。
【0032】
このように車群の状態の変化に応じて点灯部3の点灯状態を変化させて表示制御を行うことにより、点灯部3の点灯状態を見ることにより車群の周囲から車群の変化状態を容易に認識することができる。また、この場合、車群が分離する方向へ向けて点灯部3の点灯位置が移動するように表示制御が行われるため、その点灯部3の点灯状態を見ることにより車群の周囲から車群が分離することを視覚を通じて直感的に認識できる。また、その分離位置も同様にして容易に認識することができる。特に隊列走行する車群が左右に分離する場合に有効である。
【0033】
図6は、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群に対し車両が合流(マージ)する場合の動作を示す図である。図6において、破線の矢印は車両が合流する方向及び経路を示しており、実線の矢印は車群の進行方向を示している。
【0034】
図7は、車群に対し車両が合流する場合における車群状態表示装置1の点灯部の点灯動作を示すタイミングチャートである。図7は、車両Aにおける点灯部の作動パルスを示しており、パルスが立ち上がってオンとなっている期間は点灯部が点灯した状態となっており、パルスがオフとなっている期間は点灯部が消灯した状態となっている。この図7における点灯部の点灯動作は、例えば車群の合流動作が完了するまで繰り返し実行される。
【0035】
図6に示すように、車両A〜Cが隊列走行して車群を組んで走行しており、この車群に対し車両Eが合流する場合、すなわち車両Aと車両Bとの間に車両Eが合流する場合、その車両の合流位置に向けて点灯部3の表示が移動するように表示制御が行われる。
【0036】
例えば、図7に示すように、車両Cの点灯部3dが点灯状態となり、次いで車両Cの点灯部3cが点灯状態となり、そして合流位置、すなわち車両Aの後方位置及び車両Bの前方位置に向けて、車両Bの点灯部3dと車両Aの点灯部3c、車両Bの点灯部3cと車両Aの点灯部3dが順次点灯状態となる。このように点灯状態が車両Eの合流位置に向けて点灯表示が移動するように表示制御が行われる。
【0037】
このように車群の状態の変化に応じて点灯部3の点灯状態を変化させて表示制御を行うことにより、点灯部3の点灯状態を見ることにより車群の周囲から車群の変化状態を容易に認識することができる。また、この場合、車群に対し車両Eが合流する位置に向けて点灯部3の点灯表示位置が移動するように表示制御が行われるため、その点灯部3の点灯状態を見ることにより車両Eが合流すべき位置を視覚を通じて容易に認識することができる。また、車群の周囲の車両なども車両Eが合流する位置を視覚を通じて直感的に認識することができる。
【0038】
図8は、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群の構成が変化する場合の動作を示す図である。図8において、実線の矢印は車群の進行方向を示している。
【0039】
図9は、車群の構成が変化する場合における車群状態表示装置1の点灯部の点灯動作を示すタイミングチャートである。図9は、車両Aにおける点灯部の作動パルスを示しており、パルスが立ち上がってオンとなっている期間は点灯部が点灯した状態となっており、パルスがオフとなっている期間は点灯部が消灯した状態となっている。この図9における点灯部の点灯動作は、例えば車群の構成状態が変化するまで繰り返し実行される。
【0040】
図9(a)は車群構成交渉中の構成ステータスを表すタイミングチャートであり、図9(b)は車群配置中の構成ステータスを表すタイミングチャートであり、図9(c)は車群走行中の構成ステータスを表すタイミングチャートであり、図9(d)は車群解散中の構成ステータスを表すタイミングチャートである。
【0041】
図8に示すように、車両A〜Cが隊列走行して車群を組んで走行しており、車群の構成ステータス(構成状態)が変化するに応じて、点灯部3の点灯状態を変化させるように表示制御が行われる。
【0042】
例えば、図9(a)に示すように、車両A〜Cが車群を組んで走行するか否か車群構成交渉中である場合には、車両A〜Cの点灯部3a、3cが点滅状態とされる。また、図9(b)に示すように、車両A〜Cが車群を組むように車群配置中である場合には、車両A〜Cの点灯部3a、3cが車両A、車両B、車両Cの順番で二回点滅するように点灯表示を移動させる。また、図9(c)に示すように、車両A〜Cが車群を組んで走行し車群走行中である場合には、車両A〜Cの点灯部3a、3cが車両A、車両B、車両Cの順番で一回点滅するように点灯表示を移動させる。また、図9(c)に示すように、車両A〜Cが車群を解散して車群解散中である場合には、車両A〜Cの点灯部3a、3cが同時に二回点滅するように点灯制御される。
【0043】
このように車群の状態の変化に応じて点灯部3の点灯状態を変化させて表示制御を行うことにより、点灯部3の点灯状態を見ることにより車群の周囲から車群の変化状態を容易に認識することができ、視覚を通じて直感的に認識することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る車群状態表示装置1によれば、車群の状態の変化に応じて点灯部3の点灯表示状態を変化させて表示制御を行うことにより、点灯部3の点灯表示状態を見ることにより車群の周囲から車群の変化状態を容易に認識することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群が分離する場合に車群が分離する方向に向けて点灯部3の点灯表示が移動するように表示制御することにより、その点灯部3の表示を見ることにより車群の周囲から車群が分離することを直感的に認識することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群が分離する場合にその分離位置から車群の端部側へ向けて点灯部3の点灯表示が移動するように表示制御することにより、その点灯部3の表示状態を見ることにより車群の周囲から車群が分離すること及びその分離位置を直感的に認識することができる。
【0047】
さらに、本実施形態に係る車群状態表示装置1において、車群に車両が合流する場合にその合流位置に向けて点灯部3の点灯表示が移動するように表示制御することにより、その点灯部3の表示状態を見ることにより合流すべき位置を直感的に認識することができる。
【0048】
なお、上述した本実施形態は、本発明に係る車群状態表示装置の一例を示したものである。このため、本発明に係る車群状態表示装置は、このようなものに限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る車群状態表示装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0049】
例えば、本実施形態では、車群の分離動作時の表示制御、車群の合流動作時の表示制御、車群構成変化時の表示制御を全て実行するものについて説明したが、これらの一部を表示制御するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る車群状態表示装置の構成概要図である。
【図2】図1の車群状態表示装置における車群分離動作についての説明図である。
【図3】図2の車群状態表示装置の車群分離動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図1の車群状態表示装置における車群分離動作についての説明図である。
【図5】図4の車群状態表示装置の車群分離動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図1の車群状態表示装置における車群合流動作についての説明図である。
【図7】図6の車群状態表示装置の車群合流動作を示すタイミングチャートである。
【図8】図1の車群状態表示装置における車群構成状態変化動作についての説明図である。
【図9】図8の車群状態表示装置の車群構成状態変化動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…車群状態表示装置、2…車群制御部、3(3a〜3f)…点灯部、4…ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両で形成される車群の状態を取得する車群状態取得手段と、
前記車両の外部に対し表示を行う表示手段と、
前記車群の状態の変化に応じ前記表示手段の表示状態を変化させて表示制御を行う表示制御手段と、
を備えた車群状態表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記車群が分離する場合に、前記車群が分離する方向に向けて前記表示手段の表示が移動するように表示制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の車群状態表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記車群が分離する場合に、前記車群の分離位置から前記車群の端部側へ向けて前記表示手段の表示が移動するように表示制御すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の車群状態表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記車群に対し合流する車両がある場合に、その車両の合流位置に向けて前記表示手段の表示が移動するように表示制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の車群状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−157501(P2009−157501A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332954(P2007−332954)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】