説明

車載ナビゲーション装置

【課題】検索にて得られた各施設から目的とする施設を決める際により有用な情報をその検索結果とともに提供することのできる「車載ナビゲーション装置」を提供することである。
【解決手段】所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置であって、車両の現在位置を取得する車両位置取得手段(S11)と、前記検索により得られた各施設に対して、当該車両が前記車両位置取得手段により得られた現在位置から当該施設まで走行する際に前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物があるか否かを判定する必要物有無判定手段(S15)と、前記検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて前記必要物有無判定手段にて得られた判定結果を前記表示部に表示させる表示制御手段(S18、S19、S20、S23)とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ナビゲーションに関する処理のほか、所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図データ記憶手段に、ジャンルと、このジャンルそれぞれに属する施設の名称及びこれらの施設の所在地である行政区域の名称の各情報とともに、上記施設の所在地である行政区域に隣接する行政区域の名称の情報についても格納しておき、施設検索手段が、入力手段により指定されたジャンルに属し、かつ指定された行政区域を所在地にする施設の名称の情報と併せ、指定された行政区域に隣接する行政区域を所在地にする施設の名称の情報について地図データ記憶手段を検索し該当する施設の名称の情報を抽出するように構成された施設検索装置が提案されている(特許文献1参照)。このように構成された施設検索装置では、ユーザが検索したい施設の所在地である行政区域の情報を正確に記憶しておらず、このためにユーザが誤って隣接する行政区域を指定した場合でも所望の施設を容易に検索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−331114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車載ナビゲーション装置では、現在地点の近傍のコンビニエンスストア等の施設検索や設定されたルート沿いのガソリンスタンド等の施設検索等、所定の検索条件に従って施設を検索するPOI(POI:Point Of Interest)検索が可能である。このような施設検索では、車両が前述した複数の行政区域の境界付近を走行する場合、現在車両が走行中の行政区域と異なる行政区域の施設が検索結果として得られる可能性がある。また、同様に国境付近を車両が走行する場合には、現在車両が走行する国と異なる国の施設が検索結果として得られる可能性がある。
【0005】
このような場合、検索により得られた各施設に対応付けてその施設が属する国名を単に表示させても、運転に集中する運転者が検索により得られた施設まで行くためにパスポートが必要かどうかをとっさに判断し難い。また、車両の現在位置が属する国と施設の位置が属する国とが同じであっても、その施設が車両の現在位置が属する国の飛び地にある場合には、単に国名だけでは、その施設に行くためにパスポートが必要であるか否かを判断することができない。このことは、パスポートだけでなく、車両が現在位置から当該施設まで走行する際に前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物、例えば、地域毎に発行される通行許可証、地域毎に走行可能な車両を証明する証書等でも同じ問題が生ずる。
【0006】
また、例えば、米国では、物品に対する税金が州独自に決められていることから、州境を走行する車両の乗員にとっては、検索された施設の属する州の物品に対する税金が分かれば便利である。このように、物品に対する税金のように、検索結果により得られた各施設が属する国の固有な情報がその施設に対応付けて提供されることは、運転者にとって検索された各施設から目的とする施設を決める際に役立つ。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、検索にて得られた各施設から目的とする施設を決める際により有用な情報をその検索結果とともに提供することのできる車載ナビゲーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載ナビゲーション装置は、所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置であって、車両の現在位置を取得する車両位置取得手段と、前記検索により得られた各施設に対して、当該車両が前記車両位置取得手段により得られた現在位置から当該施設まで走行する際に前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物があるか否かを判定する必要物有無判定手段と、前記検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて前記必要物有無判定手段にて得られた判定結果を前記表示部に表示させる表示制御手段とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応づけて車両が現在位置から当該施設まで走行する際に前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物があるか否かの判定結果が表示されるので、検索により得られた各施設から目的の施設を、その施設まで走行する際に必要となる物があるか否かの判定結果を考慮して決めることができるようになる。
【0010】
本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記車両の乗員が前記物を所持しているか否かを判定する必要物所持判定手段と、該必要物所持判定手段により、乗員が前記物を所持していないと判定されたときに、前記検索により得られた各施設のうち、現在位置から当該車両が走行する際に前記物が必要となる施設の情報を前記表示部に表示させることを禁止する表示禁止制御手段とを有する構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、車両が現在位置からある施設まで走行する際にその現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物を乗員が所持していない場合には、検索により得られた施設のうちそのような物を必要としない施設だけを表示することができるようになるので、乗員は、検索結果として表示された施設からその物の所持を考慮せずに目的とする施設を決めることができるようになる。
【0012】
また、本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記検索により得られた各施設が、前記現在位置の属する国の飛び地に位置するか否かを判定する飛び地判定手段を有し、前記表示制御手段は、各施設に対応付けて、更に、前記飛び地判定手段にて得られた判定結果を前記表示部に表示させる構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、検索により得られた各施設に対して、当該施設が車両の現在位置が属する国の飛び地に位置するか否かの判定結果が表示されるので、その飛び地であるか否かの判定結果を考慮して検索により得られた各施設から目的とする施設を決めることができるようになる。
【0014】
更に、本発明に係る車載ナビゲーション装置において、前記検索により得られた各施設が属する地域に固有となる地域固有情報を取得する地域固有情報取得手段を有し、前記表示制御手段は、各施設に対応付けて、更に、当該施設に属する地域に固有となる地域固有情報を前記表示部に表示させる構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて当該施設に属する地域に固有となる地域固有情報が表示されるので、そのような地域固有情報を考慮して検索により得られた各施設から目的とする施設を決めることができる。
【0016】
前記地域固有情報は、その地域での物品に対する税金についての情報とすることができる。この場合、各施設が属する地域での物品に対する税金を考慮して検索により得られた各施設から目的とする施設を決めることができる。
【0017】
また、前記車両の現在位置から当該施設まで走行する際に、前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物は、パスポートとすることができる。この場合、検索により得られた各施設から目的の施設を、その施設まで走行する際にパスポートが必要であるか否かを考慮して決めることができるようになる。車両の現在位置と施設の位置との相対的な関係により必要となる物は、前記パスポートの他、例えば、地域毎に通行証を課している場合には、その通行証、また、地域毎に走行可能な車両の性能が規定されている場合には、その車両の性能を証明する証書等とすることができる。
【0018】
本発明に係る車載ナビゲーション装置は、所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置であって、前記検索により得られた各施設が属する地域に固有となる地域固有情報を取得する地域固有情報取得手段を有し、前記検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて前記地域固有情報を前記表示部に表示させる表示制御手段とを有する構成となる。
【0019】
このような構成により、検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて当該施設に属する地域に固有となる地域固有情報が表示されるので、そのような地域固有情報を考慮して検索により得られた各施設から目的とする施設を決めることができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る車載ナビゲーション装置によれば、検索により得られた各施設の情報とともに、各施設に対応づけて車両が現在位置から当該施設まで走行する際に前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物があるか否かの判定結果、あるいは、各施設に対応付けて当該施設に属する地域に固有となる地域固有情報が表示されるので、検索にて得られた各施設から目的とする施設を決める際により有用な情報がその検索結果とともに提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したナビゲーション装置の処理ユニットにおいて実行されるPOI検索に係る処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】POI検索により得られた施設(ガソリンスタンド)を地図上に表した表示画面の一例を示す図である。
【図4】POI検索により得られた施設(ガソリンスタンド)についてのリスト表の一例を示す図である。
【図5】図4に示すリスト表に従って表示部に表示された検索結果画面の一例を示す図である。
【図6】POI検索により得られた施設(ガソリンスタンド)を地図上に表した表示画面の他の一例を示す図である。
【図7】POI検索により得られた施設(ガソリンスタンド)について、パスポートが必要となる施設が除かれたリスト表の一例を示す図である。
【図8】図4に示すリスト表に従って表示部に表示された検索結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
本発明の実施の一形態に係る車載ナビゲーション装置は、図1に示すように構成される。本発明の実施の一形態に係る車載ナビゲーション装置は、図1に示すように構成される。図1において、車載ナビゲーション装置100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11は、車載ナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17及びセンサ類18(ジャイロセンサ、加速度センサ)、地図情報及び各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット11には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等の操作部12、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0024】
処理ユニット11は、GPSユニット17及びセンサ類18からの位置情報と、記憶部14から読み出した地図情報に基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行する。この車両ナビゲーションに係る処理では、例えば、GPSユニット17及びセンサ類18により得られる車両の現在位置と目的地の位置とに基づいて車両の現在位置から目的地までのルート(経路)が検索及び設定され、表示部13に車載ナビゲーションに係る地図とともに車両の現在位置及び設定ルートを表示させて、車両のルート案内に係るガイダンスの出力(表示または音声出力)等がなされる。
【0025】
一方、処理ユニット11は、POI検索により得られた各施設に対して、現在位置から当該施設まで走行する際に、現在位置と施設の位置との相対的な関係により必要となる物があるか否かを判定するように構成される。この実施の形態では、上記施設はガソリンスタンドであり、上記必要物はパスポートである。また、処理ユニット11は、車両Sの乗員が上記パスポートを所持しているか否かを判定するように構成される。具体的には、予め車両Sのエンジンの始動直後に、車両Sの乗員にパスポートを所持しているか否かを表示部13に表示してまたは音声で問い合わせて確認し、その回答を記憶部14に記憶するように構成される。但し、POI検索の都度、乗員にパスポートを所持しているか否かを表示部13に表示してまたは音声で問い合わせるように構成してもよい。
【0026】
処理ユニット11は、POI検索により得られた各ガソリンスタンドが属する地域に固有となる地域固有情報を取得するように構成される。この地域固有情報は、この実施の形態では、A国の各州での物品に対する税金(税率)、及びB国の各地方での物品に対する税金(税率)である。また、処理ユニット11は、POI検索により得られた各ガソリンスタンドが、車両Sの現在位置の属する国の飛び地に位置するか否かを判定するように構成される。この実施の形態では、A国はC州及びD州を有するとともに、B国のG地方及びH地方を挟んで、E州及びF州からなる飛び地を有する。更に、処理ユニット11は、上記POI検索により得られたガソリンスタンドについての情報とともに、各ガソリンスタンドに対応付けて上記判定結果であるパスポートの要否、A国の飛び地であるか否か、及び各州または各地方での物品(ガソリン)に対する税金(税率)を表示部13に表示させるように構成される。
【0027】
このように構成された車載ナビゲーション装置100の動作を説明する。車両Sの乗員は、図3に示すように、A国からB国を通り、更にA国の飛び地を通って、A国の飛び地の向こう側の所定の国を目的地に設定して車両Sを走行させている。この車両Sが走行している道路は、A国のC州及びD州の州境に沿って延びた後、B国のG地方及びH地方の境界に沿って延び、更にA国の飛び地に達し、この飛び地のE州及びF州の州境に沿って延びて設けられる。また車両Sの始動直後に、処理ユニット11は乗員にパスポートを所持している否かを問い合わせ、この問い合わせに対し乗員はパスポートを所持していると回答したため、処理ユニット11はこの回答を既に記憶部14に記憶している。この状態で車両Sの乗員は車両Sのガソリンが残り少なくなったことに気付き、図2に示す手順に従ってガソリンスタンドをPOI検索する。具体的には、操作部12から或いは音声によりガソリンスタンドと入力する。すると、処理ユニット11は、GPSユニット17及びセンサ類18の検出出力と、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報とに基づいて車両Sの位置を取得する(S11)。そして、処理ユニット11は、図3に示すように、車両SがA国のC州及びD州の州境に沿って延びる道路上に位置していることを取得する。次いで処理ユニット11は、検索対象施設としてガソリンスタンドを、記憶部14に記憶された地図情報から取得した後(S12)、乗員が上記取得されたガソリンスタンドのうち車両Sの走行する道路沿いであって車両Sの進行方向に所在するものという条件を操作部12から或いは音声により入力すると、処理ユニット11は、この入力に基づいて、ガソリンスタンドa〜f(図3)を検索して取得する(S13)。
【0028】
次に処理ユニット11は、上記取得されたガソリンスタンドa〜fを1つずつ選択して(S14)、車両の現在位置であるA国から各ガソリンスタンドa〜fに行くのにパスポートが必要か否か(S15)と、各ガソリンスタンドa〜fがA国の飛び地であるか否か(S17)と、各ガソリンスタンドa〜fの属する国の州または地方によって異なる物品(ガソリン)に対する税金(税率)とを記憶手段14に登録する。
【0029】
処理ユニット11は、上記取得されたガソリンスタンドa〜fのうちガソリンスタンドaを選択し(S14)、このガソリンスタンドaがA国のC州に属するので、パスポートが不要であると判定し(S15でNO)、パスポート不要のガソリンスタンドであると記憶部14に登録した後(S20)、このガソリンスタンドaの属するC州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から12%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドaで販売されるガソリンには12%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。次に処理ユニット11は、ガソリンスタンドbを選択し(S14)、このガソリンスタンドbがA国のD州に属するので、パスポートが不要であると判定し(S15でNO)、パスポート不要のガソリンスタンドであると記憶部14に登録した後(S20)、このガソリンスタンドbの属するD州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から10%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドbで販売されるガソリンには10%のガソリンに対する税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。
【0030】
また処理ユニット11は、ガソリンスタンドcを選択し(S14)、このガソリンスタンドcがB国のG地方に属するので、パスポートが必要であると判定し(S15でYES)、また乗員がパスポートを所持していることを既に確認しているため(S16でYES)、ガソリンスタンドcに行くことができ、更にガソリンスタンドcがA国の飛び地に属しないので(S17でNO)、パスポート必要のガソリンスタンドであると記憶部に登録する(S18)。そして処理ユニット11は、ガソリンスタンドcの属するG地方のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から5%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドcで販売されるガソリンには5%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。次に処理ユニット11は、ガソリンスタンドdを選択し、このガソリンスタンドdがB国のH地方に属するので、パスポートが必要であると判定し(S15でYES)、また乗員がパスポートを所持していることを既に確認しているため(S16でYES)、ガソリンスタンドdに行くことができ、更にガソリンスタンドdがA国の飛び地に属しないので(S17でNO)、パスポート必要のガソリンスタンドであると記憶部14に登録する(S18)。そして処理ユニット11は、ガソリンスタンドdの属するH地方のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から7%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドdで販売されるガソリンには7%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。
【0031】
更に処理ユニット14は、ガソリンスタンドeを選択し(S14)、このガソリンスタンドeがA国の飛び地のE州に属するので、パスポートが必要であると判定し(S15でYES)、また乗員がパスポートを所持していることを既に確認しているため(S16でYES)、ガソリンスタンドeに行くことができ、パスポート必要かつ飛び地のガソリンスタンドであると記憶部14に登録する(S19)。そして処理ユニット11は、ガソリンスタンドeの属するE州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から0%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドeで販売されるガソリンには税金がかからないことを記憶部14に登録する(S21)。次に処理ユニット11は、ガソリンスタンドfを選択し(S14)、このガソリンスタンドfがA国の飛び地のF州に属するので、パスポートが必要であると判定し(S15でYES)、また乗員がパスポートを所持していることを既に確認しているため(S16でYES)、ガソリンスタンドfに行くことができ、パスポート必要かつ飛び地のガソリンスタンドであると記憶部14に登録する(S19)。そして処理ユニット11は、ガソリンスタンドfの属するF州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から1%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドfで販売されるガソリンには1%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。
【0032】
全てのガソリンスタンドa〜fに関する情報の記憶部14への登録が完了すると(S22でYES、図4)、処理ユニット11は、上記記憶部14に登録されたガソリンスタンドa〜fがパスポートの要否、A国の飛び地であるか否か、及びガソリンに対する税金(税率)とともに表示部13に表示する(S23、図5)。この表示部13に表示されたガソリンスタンドの情報を見た乗員は、ガソリンの残量とガソリンスタンドまでの距離とを考慮し、残量が比較的多い場合にはガソリンに対する税金のかからないA国の飛び地であるE州に所在するガソリンスタンドeを選択する。すると処理ユニット11はガソリンスタンドeを目的地とするルートを設定する。この結果、乗員は最も安価なガソリンを補給することができる。またガソリンの残量が比較的少ない場合には消費税が5%と比較的少ないB国のG地方に所在するガソリンスタンドcを選択する。すると処理ユニット11はガソリンスタンドcを目的地とするルートを設定する。この結果、乗員は比較的安価なガソリンを、ガソリン切れにならずに補給することができる。このように、POI検索により得られた各ガソリンスタンドの情報とともに、各ガソリンスタンドに対応づけて車両が現在位置から当該ガソリンスタンドまで走行する際に車両の現在位置と各ガソリンスタンドの位置との相対的な関係により必要となるパスポートがあるか否かの判定結果、及び、各ガソリンスタンドに対応付けて当該ガソリンスタンドに属する州または地方に固有となるガソリンに対する税金(税率)が表示されるので、POI検索にて得られた各ガソリンスタンドから目的とするガソリンスタンドを決める際により有用な情報をその検索結果とともに車両の乗員に提供できる。
【0033】
一方、車両の乗員は、図6に示すように、A国の内方からA国及びB国の国境を通り、再びA国の上記とは別の内方にを目的地に設定して車両Sを走行させている。この車両Sが走行している道路は、A国のC州及びD州の州境をA国及びB国の国境に向って延び、A国及びB国の国境に沿って延びた後、A国のC州の内方に向って延びて設けられる。また車両Sの始動直後に、処理ユニット11は乗員にパスポートを所持している否かを問い合わせ、この問い合わせに対し乗員はパスポートを所持していないと回答したため、処理ユニット11はこの回答を既に記憶部14に記憶している。この状態で車両Sの乗員は車両Sのガソリンが残り少なくなったことに気付き、図2に示す手順に従ってガソリンスタンドをPOI検索する。具体的には、操作部12から或いは音声によりガソリンスタンドと入力する。すると、処理ユニット11は、GPSユニット17及びセンサ類18の検出出力と、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報とに基づいて車両Sの位置を取得する(S11)。そして、処理ユニット11は、図6に示すように、車両SがA国のC州及びD州の州境に沿って延びる道路上に位置していることを取得する。次いで処理ユニット11は、検索対象施設としてガソリンスタンドを、記憶部14に記憶された地図情報から取得した後(S12)、乗員が上記取得されたガソリンスタンドのうち車両Sの走行する道路沿いであって車両Sの進行方向に所在するものという条件を操作部12から或いは音声により入力すると、処理ユニット11は、この入力に基づいて、ガソリンスタンドa,b,g,h(図6)を検索して取得する(S13)。
【0034】
次に処理ユニット11は、上記取得されたガソリンスタンドa,b,g,hを1つずつ選択して(S14)、そのガソリンスタンドa,b,g,hに行くのにパスポートが必要か否かと(S15)、そのガソリンスタンドの属する州によって異なるガソリンに対する税金(税率)とを記憶手段14に登録する。
【0035】
処理ユニット11は、上記取得されたガソリンスタンドa,b,g,hのうちガソリンスタンドaを選択し(S14)、このガソリンスタンドaがA国のC州に属するので、パスポートが不要であると判断し(S15でNO)、パスポート不要のガソリンスタンドであると記憶部14に登録した後(S20)、このガソリンスタンドaの属するC州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から12%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドaで販売されるガソリンには12%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。次に処理ユニット11は、ガソリンスタンドbを選択し(S14)、このガソリンスタンドbがA国のD州に属するので、パスポートが不要であると判断し(S15でYES)、パスポート不要のガソリンスタンドであると記憶部14に登録した後(S20)、このガソリンスタンドbの属するD州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から10%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドbで販売されるガソリンには10%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。
【0036】
また処理ユニット11は、ガソリンスタンドgを選択し(S14)、このガソリンスタンドgがB国のG地方に属するので、パスポートが必要であると判断した後(S15でYES)、乗員がパスポートを所持していないことを既に確認しているため(S16でNO)、ガソリンスタンドgに行くことが禁止され、ガソリンスタンドgを記憶部14に登録しない。次に処理ユニット11は、ガソリンスタンドhを選択し(S14)、このガソリンスタンドhがA国のC州に属するので、パスポートが不要であると判断し(S15でNO)、パスポート不要のガソリンスタンドであると記憶部14に登録した後(S20)、このガソリンスタンドhの属するC州のガソリンに対する税金(税率)が、記憶部14に記憶された地図情報及び各種情報から12%であることを検索して取得し、ガソリンスタンドhで販売されるガソリンには12%の税金(税率)がかかることを記憶部14に登録する(S21)。
【0037】
行くことが禁止されたガソリンスタンドgを除く全てのガソリンスタンドa,b,hに関する情報の記憶部14への登録が完了すると(S22でYES、図7)、処理ユニット11は、上記記憶部14に登録されたガソリンスタンドa,b,hを消費税とともに表示部13に表示する(S23、図8)。この表示部13に表示されたガソリンスタンドの情報を見た乗員は、消費税が10%と最も少ないガソリンスタンドbを選択する。すると処理ユニット11はガソリンスタンドbを目的地とするルートを設定する。このように、車両の乗員がパスポートを所持していないので、POI検索により得られたガソリンスタンドから、パスポートを必要とするB国及びA国の飛び地を除外し、A国内に属するガソリンスタンドに限定することにより、車両の運転に集中する乗員に対し、POI検索により得られたガソリンスタンドまで行くためにパスポートが必要か否かというとっさに判断し難い事項の判断を乗員に要求せずに済む。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上、説明したように、本発明に係る車載ナビゲーション装置は、検索にて得られた各施設から目的とする施設を決める際により有用な情報をその検索結果とともに提供することができるという効果を有し、車両ナビゲーションに関する処理のほか、所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置として有用である。
【符号の説明】
【0039】
100 車載ナビゲーション装置
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 GPSユニット
18 センサ類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置であって、
車両の現在位置を取得する車両位置取得手段と、
前記検索により得られた各施設に対して、当該車両が前記車両位置取得手段により得られた現在位置から当該施設まで走行する際に前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物があるか否かを判定する必要物有無判定手段と、
前記検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて前記必要物有無判定手段にて得られた判定結果を前記表示部に表示させる表示制御手段とを有する車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記車両の乗員が前記物を所持しているか否かを判定する必要物所持判定手段と、
該必要物所持判定手段により、乗員が前記物を所持していないと判定されたときに、前記検索により得られた各施設のうち、現在位置から当該車両が走行する際に前記物が必要となる施設の情報を前記表示部に表示させることを禁止する表示禁止制御手段とを有する請求項1記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検索により得られた各施設が、前記現在位置の属する国の飛び地に位置するか否かを判定する飛び地判定手段を有し、
前記表示制御手段は、各施設に対応付けて、更に、前記飛び地判定手段にて得られた判定結果を前記表示部に表示させる請求項1または2記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記検索により得られた各施設が属する地域に固有となる地域固有情報を取得する地域固有情報取得手段を有し、
前記表示制御手段は、各施設に対応付けて、更に、当該施設に属する地域に固有となる地域固有情報を前記表示部に表示させる請求項1乃至3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記地域固有情報は、その地域での物品に対する税金についての情報である請求項4記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記車両が前記車両位置取得手段により得られた現在位置から当該施設まで走行する際に、前記現在位置と前記施設の位置との相対的な関係により必要となる物は、パスポートである請求項1乃至5のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
所定の検索条件に従って施設を検索し、その施設に関する情報を表示部に表示させるようにした車載ナビゲーション装置であって、
前記検索により得られた各施設が属する地域に固有となる地域固有情報を取得する地域固有情報取得手段を有し、
前記検索により得られた各施設についての情報とともに、各施設に対応付けて前記地域固有情報を前記表示部に表示させる表示制御手段とを有する車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記地域固有情報は、その地域での物品に対する税金についての情報である請求項7記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−47620(P2012−47620A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190554(P2010−190554)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】