説明

車載モニタ表示装置,車両用文字情報提供装置及びそれらから成る車両用文字情報表示システム

【課題】 車載モニタ表示装置とその文字情報を提供する車両用文字情報提供装置とそれらから成る車両用文字情報表示システムに関し、モニタの大きさや解像度や乗員の着座位置によらず、適切な視認性を持った表示サイズの文字情報を提供できるようにする。
【解決手段】 車両に設けられて文字情報をモニタ4へ表示する車載モニタ表示装置1において、該文字情報に付加された該文字情報の視角寸法θの情報を検出する視角寸法情報検出手段7と、モニタ4へ表示される該文字情報の表示寸法aが、該車両の乗員に対して、該視角寸法情報検出手段7で検出された視角寸法θと等しくなるように、表示寸法aの大きさを設定する表示寸法設定手段8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられて運転者や乗員への文字情報をモニタ表示する車載モニタ表示装置,その文字情報を提供する車両用文字情報提供装置、及びそれらから成る車両用文字情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、GPS等を利用して車両の走行位置を把握するとともに、車両周囲の地図や交通情報をモニタへ表示し、車両の走行案内を行うナビゲーション装置が開発されている。このナビゲーション装置は、車両周囲の地図を画像としてモニタへ表示するとともに、予め設定された目的地までの走行ルートや地図上の地名,主要交差点の名称といった交通情報を地図画像に重ね合わせて文字で表示することができるようになっており、ナビゲーション装置に内蔵されたHDDや装置付属のDVD−ROM等に記録されたこれらの地図情報,交通情報が、適宜モニタへ表示されるようになっている。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、交通情報としての文字データが運転者や乗員にとって見やすく表示されるように、対応するモニタに対して文字データのサイズが最適化されている。つまり、一般的なナビゲーション装置には、専用のモニタ装置が付属し、あるいは、対応可能なモニタ機種が予め定められており、文字データを提供するモニタの大きさや解像度が予め想定されている。そのため、想定されたモニタ環境において、視認性の良好なサイズで文字データが表示されるように文字データが作成されるとともに、その表示サイズが設定されており、例えば、モニタ画面のサイズが小さいナビゲーション装置では、表示される文字データのサイズが画面サイズに対して比較的大きく作成,設定され、大画面のモニタを装備したナビゲーション装置では、表示される文字データのサイズが画面サイズに対して比較的小さく作成,設定されて、適切な視認性が得られるようになっている。
【0004】
また、このようなナビゲーション装置において、予め設定された文字データのサイズを任意に変更可能とする技術も開発されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、モニタに表示される文字データのサイズが予め所定のサイズに固定されていると、ユーザの年齢や視力によっては適切でない場合も生じてくることに鑑み、表示される文字サイズをユーザによって選択可能に構成して、視認性を向上させることができるようになっている。
【0005】
ところで、上述のような既存のナビゲーション装置にインターネット接続機能を搭載したものが近年開発されている。例えば、既存のナビゲーション装置では、新設,廃止された道路や施設に対応した地図情報を提供するためには、内蔵されたHDDや装置付属のDVD−ROMを交換し、記録された地図情報を更新する必要があるが、インターネットを利用したカーナビゲーションシステムでは、最新の道路の地図情報を随時ダウンロードして更新するように構成することができ、常に最新の地図画像による正確な走行案内を実施することができる。また、モニタでインターネットのウェブコンテンツを閲覧できるように構成して、より利便性,娯楽性を向上させることができる。
【特許文献1】特開平10−319940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のインターネットを利用したカーナビゲーションシステムのように、ナビゲーション装置の外部から必要な情報を取り込んでモニタへ表示させる構成にすれば、内蔵HDDやDVD−ROMといった地図情報や交通情報を記録する記録媒体をナビゲーション装置から分離することができる。つまり、例えばインターネット上に地図情報や交通情報を提供するサーバを設け、このサーバからナビゲーション装置が必要な情報を随時取り込むように構成することで、車両に装備されるナビゲーション装置の構成を簡素にして、常に最新の情報によって正確な走行案内が可能となる。
【0007】
しかし、従来のナビゲーション装置においては、交通情報が表示されるモニタ環境が予め想定されていたため、対応するモニタに最適化されたサイズの文字データを表示することができたが、上述のようにナビゲーション装置の外部から情報を取り込んでモニタへ表示させる場合には、情報を提供するサーバ側がナビゲーション装置のモニタ環境を予め想定しておくことはできないため、常に最適なサイズの文字データを表示できるとは限らない。
【0008】
つまり、車両に搭載されるモニタは、機種によってその画面サイズや解像度がまちまちであるため、多様なモニタ環境の全てに対応した情報をサーバが提供することはできず、サーバは多様なモニタ環境のうち、平均的なモニタ環境を想定して、情報を提供せざるを得ない。したがって、サーバから提供される情報の表示サイズ(実寸)は、車載モニタの機種によって変化することになり、適切な視認性が得られないことがあるという課題がある。
【0009】
このような、モニタ環境の相違による情報の表示サイズの変化は、ウェブコンテンツを一般的なパソコンで閲覧する場合にも見られるものであるが、特に車載モニタの場合は、通常のパソコンのモニタサイズ(例えば、17,19,21インチ等)と比較して、そのサイズ(例えば、6.5,7,8インチ等)が小さく設計されているため、情報の表示サイズが小さくなって、文字等の判別に難が生じやすい。
【0010】
また、一般的なパソコンモニタの場合には、たとえ情報の表示サイズが小さくても、ユーザがパソコンモニタに近寄り、パソコンモニタと視点との距離を縮めることで、文字等の判別を行うことができるが、車載モニタの場合、運転者や乗員がシートベルトを締めた状態で着座していれば、モニタと視点との距離を自ら調節することができず、文字等の判別を行うことが困難となる。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、モニタの大きさや解像度や乗員の着座位置によらず、適切な視認性を持った表示サイズの文字情報を提供できる車載モニタ表示装置,車両用文字情報提供装置及びそれらから成る車両用文字情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の車載モニタ表示装置(請求項1)は、車両に設けられて文字情報をモニタへ表示する車載モニタ表示装置において、該文字情報に付加された該文字情報の視角寸法の情報を検出する視角寸法情報検出手段と、該モニタへ表示される該文字情報の表示寸法が、該車両の乗員に対して、該視角寸法情報検出手段で検出された該視角寸法と等しくなるように、該表示寸法の大きさを設定する表示寸法設定手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
また、該視角寸法情報検出手段は、該文字情報に付加された該文字情報の該モニタ上での実寸法の情報を検出し、該表示寸法設定手段は、該モニタへ表示される該文字情報の表示寸法が、該視角寸法情報検出手段で検出された該実寸法と等しくなるように、該表示寸法の大きさを設定することが好ましい(請求項2)。すなわち、上記視角寸法に近似したものとして、実寸法を用いるようにするのである。
【0014】
また、該表示寸法設定手段は、該モニタの寸法及び解像度と該乗員の着座位置とに基づいて該表示寸法を設定することが好ましい(請求項3)。
また、本発明の車両文字情報提供装置(請求項4)は、任意の車載モニタへ表示される文字情報を提供するとともに、該車載モニタの閲覧者に対する該文字情報の視角寸法の情報を該文字情報に付加して提供することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の車両用文字情報表示システム(請求項5)は、任意の車載モニタへ表示される文字情報を提供するとともに、該車載モニタの閲覧者に対する該文字情報の視角寸法の情報を該文字情報に付加して提供する情報提供手段と、該文字情報に付加された該文字情報の視角寸法の情報を検出する視角寸法情報検出手段と、該車載モニタへ表示される該文字情報の表示寸法が、該閲覧者に対して、該視角寸法情報検出手段で検出された該視角寸法と等しくなるように、該表示寸法の大きさを設定する表示寸法設定手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載モニタ表示装置(請求項1)によれば、車両に搭載されるモニタの画面サイズや解像度によらず、モニタに表示される文字情報の表示寸法の大きさが常に視角寸法と等しくなるように文字情報を表示することができ、車両の乗員にとって文字等の判別が容易となり、モニタに表示される文字情報の視認性を向上させることができる。
また、本発明の車載モニタ表示装置(請求項2)によれば、文字情報の表示寸法の大きさが常に実寸法と等しくなるように文字情報を表示することができ、簡素な構成で、視角寸法に近似した表示を行うことができ、適切な視認性を持った表示サイズの文字情報を提供できる。
【0017】
また、本発明の車載モニタ表示装置(請求項3)によれば、簡素な構成で車両の乗員に対する視角寸法を正確に把握することができ、モニタに表示される文字情報の表示寸法の大きさを正確に設定することができる。
また、本発明の車両用文字情報提供装置(請求項4)によれば、情報提供手段が提供する文字情報にその視角情報を付加することで、情報提供者の意図した大きさで、正確に文字情報を提供することができる。また、情報提供者は、同一の文字情報を任意の車載モニタへ提供することができ、提供する情報の管理が極めて容易になる。
【0018】
また、本発明の車両用文字情報表示システム(請求項5)によれば、車両に搭載されるモニタの画面サイズや解像度によらず、情報提供者の意図した大きさで、モニタに表示される文字情報の表示寸法の大きさが常に視角寸法と等しくなるように文字情報を表示することができ、車両の乗員に対して正確かつ視認性のよい文字情報を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図5は本発明の一実施形態としての車載モニタ表示装置を示すもので、図1は本装置の構成を示す機能ブロック図、図2は本装置において乗員の視点位置を算出するための入力情報を示す模式図、図3は本装置における視角寸法について説明するための模式図、図4は本装置における文字情報の表示制御フロー図、図5は本装置によるモニタ表示例を示す模式図である。
【0020】
[構成]
本実施形態の車載モニタ表示装置1は、車両のカーナビゲーションシステムの一部として構成されており、車両に装備されて地図情報や文字情報を表示する表示手段としてのモニタ4と、モニタ4へ表示する情報を処理するECU(電子制御ユニット)2と、外部情報源との間でデータ通信を行う通信装置11とを備えて構成されている。
【0021】
なお、図1には、ECU2内部の制御機能部のうち、カーナビゲーションシステムの文字表示を行う文字表示系の機能部のみを示しており、例えば車両周辺の地図情報を表示する地図情報系や、車両の走行軌跡を演算して表示する走行軌跡系の機能部については、ここでは省略してある。
通信装置11は、モニタ4へ表示する地図情報や文字情報を収集するため、無線電話回線を介して外部情報源である表示内容提供サーバ(車両用文字情報提供装置)10との間でデータ通信を行う。この通信装置11は、本装置の作動時には、予め設定された手順で表示内容提供サーバ10との接続を行い、必要に応じて、随時、車両周辺の地図情報や文字情報を取り込むことができるようになっている。車両が走行すると、車両位置に応じた車両周辺の地図情報を取り込むとともに、地図上の地名や車両位置付近の渋滞情報等の文字情報を取り込む。これにより、常に最新の情報によって正確な走行案内ができるようになっている。
【0022】
表示内容提供サーバ10は、インターネット上に備えられて、任意の車両のカーナビゲーションシステムへ地図情報や文字情報を提供するサーバである。この表示内容提供サーバ10が提供する文字情報には、文字情報の提供者によって視角寸法θの情報が付加されており、文字情報の提供者が、文字情報が任意のモニタに表示されたときの視角寸法θを指定することができるようになっている。
【0023】
つまり、表示内容提供サーバ10から提供される文字情報には、単に文字で伝達したい文字内容だけでなく、文字情報の提供者が意図する視角寸法θが付加されているということになる。なお、視角寸法θとは、モニタ4へ文字情報が表示されたときの、その文字情報の乗員に対する視角の大きさを示すものである。例えば、文字情報の提供者がその文字情報を閲覧する乗員に対して、文字内容を強く伝えたい、又は強調したい場合には、大きい視角寸法θが文字情報に付加され、また、あまり強調したくない場合には、小さい視角寸法θが文字情報に付加される。
【0024】
なお、本実施形態では、表示内容提供サーバ10が、一般的なウェブコンテンツを提供するサーバとしての機能も備えている。これにより、通信装置11は、カーナビゲーションシステムの地図情報や文字情報だけでなく、一般的なウェブコンテンツから画像情報や文字情報を取り込んで、モニタ4へ表示させることができるようになっている。
このように、本実施形態では、車両用文字情報表示システムが、車両用文字情報提供装置としての表示内容提供サーバ10と車両に搭載された車載モニタ表示装置1とを備えて構成されている。
【0025】
ECU2は、通信装置11が収集した文字情報に付加された文字情報の視角寸法の情報を抽出する視角寸法抽出部(視角寸法情報検出手段)7と、車両に搭載されたモニタ4の大きさや解像度を記憶するデータ記憶部6と、乗員とモニタ4との視点距離に関する情報を入力されて記憶するデータ入力部3と、データ入力部3が記憶する視点距離に関する情報に基づいて、モニタ4を閲覧する乗員の視点とモニタ4との距離を算出する視点位置算出部5と、モニタ4へ表示する文字情報の表示寸法を設定する文字制御部(表示寸法設定手段)8と、文字制御部8で設定された表示寸法で文字情報をモニタ4上に描画する表示画像描画演算部9とを備えて構成されている。
【0026】
データ入力部3は、乗員の操作により、乗員とモニタ4との距離に関する情報として、乗員の水平目視高,機器設置高及びシート位置を入力されて、それを記憶するようになっている。ここでは、図2に示すように、車床を基準として、着座姿勢の乗員の視点の高さh′が水平目視高として入力され、モニタ4が設置された高さhが機器設置高として入力され、シート全体の前後方向への調整位置(及びシート背もたれの傾斜)がシート位置として入力される。そして、入力されたシート全体の前後方向への調整位置(及びシート背もたれの傾斜)に基づいて、乗員とモニタ4との水平視点距離dが算出されるようになっている。また、ここで記憶した各データは、後述する視点位置算出部5へ出力されるようになっている。
【0027】
視角寸法抽出部7は、通信装置11によって取り込まれた地図情報や文字情報から、まず文字情報のみを抽出するとともに、文字情報に付加された視角寸法θの情報を抽出して、それらを文字制御部8へ出力するようになっている。ここで抽出される文字情報は、例えば車両周辺の地図情報上に表示される地名や交差点の名称等の文字情報だけでなく、表示内容提供サーバ10から提供されるウェブコンテンツ内の文字情報も含まれる。なお、地図情報をはじめとする文字情報以外の情報は、図示しないECU2内の地図情報系の機能部を介して、表示画像描画演算部9へ出力されるようになっている。
【0028】
データ記憶部6は、車両に搭載されているモニタ4の大きさや解像度を記憶している。ここでは、ECU2が制御した情報を表示させるためのモニタ4の大きさ(モニタサイズ)bや解像度cが予め設定されて、データ記憶部6に入力されている。例えばモニタ4の大きさbは、6.5インチや7インチサイズといった実寸のサイズとして記憶されており、また、解像度cは、320×240等といった1画面を構成する画素数(1画面中のピクセル数)として記憶されている。これらのモニタ4の大きさb及び解像度cは、後述する文字制御部8へ出力されるようになっている。
【0029】
視点位置算出部5は、データ入力装置3から入力された各データに基づいて、モニタ4を閲覧する乗員の視点とモニタ4との距離daを算出する。本実施形態では、以下の式1に従って、距離daが算出されるようになっている。
a={d2+(h−h′)21/2 ・・・(式1)
また、ここで算出された距離daは、後述する文字制御部8へ出力されるようになっている。
【0030】
文字制御部8では、視点位置算出部5,データ記憶部6及び視角寸法抽出部7から入力された各情報に基づいて、モニタ4上へ表示する文字データの大きさ(画面上文字サイズe)を設定するようになっている。
まず、文字制御部8には、文字情報がモニタ4上へ表示されたときの実寸法を算出する実寸サイズ算出部が備えられている。この実寸サイズ算出部12において、視点位置算出部5で算出された距離daと、視角寸法抽出部7で抽出された視角寸法θとから、文字情報を表示すべき画面上での実寸サイズaが算出される。例えば、図3に示すように、乗員の視点の位置から距離daだけ離れた位置において、乗員に対して視角寸法θの大きさの文字を表示するためには、実寸のサイズとしてa1の大きさが必要となるが、もしも、乗員とモニタ4との距離がdaよりも大きいda′であるとすると、同じ視角寸法θの大きさの文字を表示するために必要となる実寸のサイズa1′は、a1よりも大きくなる。このように、ここで算出される実寸サイズa1は、距離daと視角寸法θとの関数として設定されるようになっている。本実施形態では、以下の式2に従って、実寸サイズaが算出される。
a=2da・tan(θ/2) ・・・(式2)
【0031】
なお、本実施形態において、文字情報がモニタ4上へ表示されたときの実寸サイズaが、距離daと視角寸法θとの関数として設定されるようになっているのは、以下のような理由がある。すなわち、例えば一般的なテレビモニタやパソコンモニタの場合、モニタの閲覧者がモニタからどの程度の離れた位置からその画面を見ているかを特定することは困難であり、モニタの閲覧者に対する視角寸法の大きさを特定することができない。しかし、車載モニタの場合、モニタの閲覧者がシートベルトを着用した状態で着座していれば、閲覧者は常に所定の視点からモニタを閲覧することになるため、モニタの位置や着座位置を把握することができれば、モニタの閲覧者がモニタからどの程度の離れた位置からその画面を閲覧しているかを特定することができる。このような車載モニタの閲覧環境の特性を利用して、本実施形態では、距離daと視角寸法θとの関数として実寸サイズaが設定されるようになっているのである。
【0032】
実寸サイズ算出部12において、表示すべき文字情報の実寸サイズaが算出されると、文字制御部8は、次に、実寸サイズaとデータ記憶部6が記憶するモニタ4の大きさbと解像度cとから、実際にモニタ4へ表示する画面上文字サイズe(画素サイズ,ピクセルサイズ)を設定する。画面上文字サイズeは、以下の式3で与えられる。
e=(a・c)/b ・・・(式3)
つまり、データ記憶部6は、モニタ4の大きさbを実寸のサイズとして記憶しており、一方、解像度cを1画面中のピクセル数として記憶しているため、モニタ4において単位実寸サイズに対して表示可能なピクセル数は、解像度cのモニタサイズbに対する比(すなわち、c/b)で与えられることになる。したがって、この解像度cのモニタサイズbに対する比(c/b)に、表示したい文字情報の実寸サイズaを乗ずることで、モニタ4を閲覧する乗員に対して視角寸法θの大きさの文字となる、表示ピクセル数が求められる。 これにより、モニタ4の大きさbや解像度cにかかわらず、閲覧する乗員に対して視角寸法θの大きさの文字を表示できるようになるのである。
【0033】
このように、文字制御部8は、モニタ4へ表示される文字情報の表示寸法eが、車両の乗員に対して、視角寸法抽出部7で検出された視角寸法θと等しくなるように、モニタの寸法b及び解像度cと乗員の着座位置とに基づいて、表示寸法eの大きさを設定するようになっている。
表示画像描画演算部9は、文字制御部8で設定された大きさの文字をモニタ4上へ描画する。つまり、視角寸法抽出部7で抽出された文字情報を、画面上文字サイズeのピクセルサイズで描画するようになっている。
【0034】
[制御フロー]
次に、図4に示す制御フロー図を用いて、本車載モニタ表示装置において文字情報の表示時における具体的な制御を説明する。
本装置の作動時には、予め設定された手順で通信装置11が、外部情報源である表示内容提供サーバ10と接続される。そして、車両の走行時には、車両位置に応じた車両周辺の地図情報や文字情報が取り込まれる。
【0035】
まず、ステップA10では、視角寸法抽出部7において、通信装置11によって取り込まれた情報中に文字情報があるか否かが判定される。ここで、文字情報があると判定されるとステップA20へ進み、文字情報がない場合にはこのフローを終了する。
ステップA20では、視角寸法抽出部7において、文字情報に付加された視角寸法θの情報が抽出され、続くステップA30では、視点位置算出部5において、データ入力部3が予め入力され記憶している視点距離に関する情報に基づいて、モニタ4と乗員の視点との距離daが算出される。
【0036】
続いて、ステップA40では、実寸サイズ算出部12において、視点位置算出部5で算出された距離daと視角寸法抽出部7で抽出された視角寸法θとから、モニタ4上における実寸サイズaが算出され、ステップA50へ進んで、文字制御部8において、実寸サイズaとモニタサイズbと解像度cとから、画面上文字サイズeが算出される。
そしてステップA60では、表示画像描画演算部9において、文字制御部8で算出された画面上文字サイズeの大きさで、モニタ4上に描画され、このフローは終了する。
【0037】
以上のように、本実施形態における車載モニタ表示装置によれば、視角寸法抽出部7が文字情報に付加された視角寸法θを抽出するとともに、実寸サイズ算出部12が視角寸法θに基づいて文字情報を表示すべき画面上での実寸サイズaを算出したうえで、文字制御部8がモニタ4のサイズbと解像度cに応じて文字情報のサイズを設定するため、車両に搭載されるモニタの画面サイズや解像度によらず、任意のモニタに対して、また、モニタと乗員との距離にかかわらず、モニタに表示される文字情報の表示寸法の大きさを常に視角寸法θと等しくすることができ、車両の乗員にとって文字等の判別がより容易となり、モニタに表示される車両周辺の地図情報とともに表示される文字情報や、表示内容提供サーバ10から提供される一般的なウェブコンテンツに含まれる文字情報の視認性をより向上させることができる。
【0038】
例えば、本実施形態にかかる車載モニタ表示装置において、同一の文字情報を、サイズ,解像度が異なるモニタに表示させた場合の表示サイズについて、図5(a)に示す高解像度・大画面のモニタと、図5(b)に示す高解像度・小画面のモニタとの文字情報の表示サイズを比較すると、それぞれのモニタの乗員からの距離daが同一の場合には、実寸サイズaの値が同一となるため、表示される文字情報のピクセルサイズfも同一となる。したがって、乗員から見たみかけの大きさ、すなわち、乗員に対する視角寸法も同一となる。
【0039】
また、それぞれのモニタの乗員からの距離daが異なる場合であっても、文字情報に付加された視角寸法の大きさの文字を表示するための実寸サイズaがそれぞれ算出されるため、表示される文字情報のピクセルサイズは異なるが、乗員から見たみかけの大きさ、すなわち、乗員に対する視角寸法は同一となる。
また、図5(c)に示す低解像度・小画面のモニタとの文字情報の表示サイズを比較した場合も同様であり、乗員から見たみかけの大きさ、すなわち、乗員に対する視角寸法は同一となる。なお、低解像度のモニタの場合には、解像度に応じて表示される文字情報の輪郭が粗くなるが、視角寸法が確保されているため、良好な視認性を確保できることはいうまでもない。
【0040】
また、文字制御部8は、モニタの寸法b及び解像度cと乗員の着座位置とに基づいて、表示寸法eの大きさを設定するようになっているため、簡素な構成で、乗員に対する視角寸法を正確に把握することができ、モニタに表示される文字情報の表示寸法の大きさを正確に設定することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述の実施形態においては、表示内容提供サーバ10が車両のカーナビゲーションシステムへ提供する文字情報に、文字情報の提供者による視角寸法θの情報が付加されているが、視角情報θ以外の代わりに、例えば文字情報の実寸法の情報が付加されてもよい。この場合、視角寸法抽出部7が文字情報に付加された実寸法の情報を抽出するように構成することで、文字情報の表示寸法の大きさが常に実寸法と等しくなるように、文字情報を表示することができるようになる。
【0042】
なお、この場合、画面サイズや解像度にかかわらず、表示サイズの実寸法を統一できる一方、乗員に対する視角寸法はモニタの設置位置や乗員の着座位置によって変化することになる。しかし、モニタの設置位置や乗員の着座位置によってモニタに表示される文字情報の見かけの大きさの変化がごく僅かである場合(つまり、モニタ設置位置と乗員との離隔距離を略一定の所定距離とみなす場合であって、例えば、車種の違いによってモニタの設置位置が違ったり、着座位置によってモニタ閲覧視点が違ったとしても、この離隔距離の差が僅かであるとみなす場合)には、実寸法で文字情報を表示したとしても良好な視認性が得られて本実施形態と同様の効果を奏し、また、モニタと乗員の視点との距離を算出する必要がないため、より簡素な構成とすることができる。
【0043】
なお、文字制御部8の実寸サイズ算出部12において実寸サイズaを算出するまでもなく、視角寸法抽出部7から実寸サイズaが文字制御部8へ出力されることになる。
また、上述の実施形態では、表示内容提供サーバ10がインターネット上に備えられたサーバとして備えられ、無線電話回線を介して通信装置11と通信を行うよう構成されているが、FM放送信号を利用したVICSサービス等の通信網を利用した形態も無論考えられる。
【0044】
また、上述の実施形態では、乗員の操作により水平目視高h′,機器設置高h及びシート位置dがデータ入力部3に入力され、記憶されるようになっているが、例えばモニタ4の設置位置が固定されている場合には、予め機器設置高hが固定値として設定され記憶されてもよいし、また、乗員のシート位置や背もたれの傾斜を検出するセンサを備え、データ入力部3がそのセンサ情報に基づいて、シート位置dや水平目視高h′を自動的に算出し記憶するよう構成してもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、乗員とモニタ4との距離daの算出にあたり、図2に示すように、乗員の水平目視高,機器設置高及びシート位置に基づく算出を行っているが、これらに加えて、車幅方向(乗員から見た左右方向)に関するモニタ4と乗員の視点との位置関係を考慮して乗員とモニタ4との距離daを算出するように構成してもよい。この場合、より正確な距離daの演算が可能となる。
【0046】
また、上述の実施形態では、データ記憶部6が車両に搭載されているモニタ4の大きさbや解像度cを予め記憶しているが、例えば、データ記憶部6がモニタ4からの出力信号に基づいてモニタ4の大きさや解像度を検出したうえで、記憶するように構成してもよい。この場合、ECU2が文字情報を表示するための表示手段としてのモニタは、予め設定された大きさ,解像度のモニタ4だけでなく、任意の大きさ,解像度のモニタを用いることができるようになり、モニタ4を容易に交換することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態としての車載モニタ表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての車載モニタ表示装置において乗員の視点位置を算出するための入力情報を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態としての車載モニタ表示装置における視角寸法を説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施形態としての車載モニタ表示装置における文字情報の表示制御フロー図である。
【図5】本発明の一実施形態としての車載モニタ表示装置によるモニタ表示例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車載モニタ表示装置
2 ECU(電子制御ユニット)
3 データ入力部
4 モニタ
5 視点位置算出部
6 データ記憶部
7 視角寸法抽出部(視角寸法情報検出手段)
8 文字制御部(表示寸法設定手段)
9 表示画像描画演算部
10 表示内容提供サーバ(車両用文字情報提供装置)
11 通信装置
12 実寸サイズ算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられて文字情報をモニタへ表示する車載モニタ表示装置において、
該文字情報に付加された該文字情報の視角寸法の情報を検出する視角寸法情報検出手段と、
該モニタへ表示される該文字情報の表示寸法が、該車両の乗員に対して、該視角寸法情報検出手段で検出された該視角寸法と等しくなるように、該表示寸法の大きさを設定する表示寸法設定手段と
を備えたことを特徴とする、車載モニタ表示装置。
【請求項2】
該視角寸法情報検出手段は、該文字情報に付加された該文字情報の該モニタ上での実寸法の情報を検出し、
該表示寸法設定手段は、該モニタへ表示される該文字情報の表示寸法が、該視角寸法情報検出手段で検出された該実寸法と等しくなるように、該表示寸法の大きさを設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の車載モニタ表示装置。
【請求項3】
該表示寸法設定手段は、該モニタの寸法及び解像度と該乗員の着座位置とに基づいて該表示寸法を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の車載モニタ表示装置。
【請求項4】
任意の車載モニタへ表示される文字情報を提供するとともに、該車載モニタの閲覧者に対する該文字情報の視角寸法の情報を該文字情報に付加して提供する
ことを特徴とする、車両用文字情報提供装置。
【請求項5】
任意の車載モニタへ表示される文字情報を提供するとともに、該車載モニタの閲覧者に対する該文字情報の視角寸法の情報を該文字情報に付加して提供する情報提供手段と、
該文字情報に付加された該文字情報の視角寸法の情報を検出する視角寸法情報検出手段と、
該車載モニタへ表示される該文字情報の表示寸法が、該閲覧者に対して、該視角寸法情報検出手段で検出された該視角寸法と等しくなるように、該表示寸法の大きさを設定する表示寸法設定手段と
を備えたことを特徴とする、車両用文字情報表示システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−30615(P2006−30615A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209728(P2004−209728)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】