説明

車載機器制御装置

【課題】パワーウィンドウ等の車載機器の動作を制御する車載機器制御装置において、閉め忘れたパワーウィンドウを閉める操作等、場面に応じた操作を簡易な構成で容易にできるようにすること。
【解決手段】車載機器制御装置は、エンジンが停止されており(S11:YES)、いずれかのドアが開けられており(S12:YES)、ユーザが降車したと判断した場合には(S13:YES)、降車時であるとして、通常制御(S14)とは別の条件成立時制御を実行する。すなわち、開けられたドアに設けられた操作スイッチである該当操作スイッチに対して所定の操作がされたか否かを判断する(S15)。操作されてない場合は(S15:NO)処理を終了し、操作された場合は(S15:YES)、全てのウィンドウが閉じるように制御する(S16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両に搭載されたパワーウィンドウ等の車載機器の動作を制御する車載機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアに設けられたパワーウィンドウ(ウィンドウ及びそれを開閉動作させる駆動手段)の開閉動作を制御するパワーウィンドウ制御装置が知られている。この種のパワーウィンドウ制御装置は、車両のドアごとに、各パワーウィンドウの開閉操作をするための操作スイッチが設けられる。そして、エンジンが作動されているときに、ユーザによって操作スイッチが操作された場合には、パワーウィンドウ制御装置は、駆動手段としてのモータを制御して、その操作された操作スイッチが設けられたドアのウィンドウのみを開状態にしたり閉状態にしたりする。なお、運転席のドアには、その運転席のドアのウィンドウ用の操作スイッチの他に、他のドアのウィンドウ用の操作スイッチが設けられることがある。この場合には、ユーザは、これら操作スイッチを操作することで、運転席から各ウィンドウを開閉動作させることができる。
【0003】
ところで、従来、降車時におけるウィンドウの閉め忘れを防止するための各種技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これら特許文献1、2に開示の技術は、降車時にエンジンキーを抜いてドアロック装置が作動すると、閉め忘れのウィンドウが自動的に閉まるというものである。また、特許文献1、2の技術の他、エンジン停止後の一定時間(例えば、数十秒間)は、操作スイッチでウィンドウの開閉操作を可能とする技術も提案されている。これは、エンジン停止後に閉め忘れに気付いた場合に、ウィンドウを閉めるために再度エンジンを始動させる必要がないという点で効果的である。さらに、ユーザに所持される携帯機を設け、その携帯機からウィンドウを閉める操作を可能とする技術も提案されている。これは、車両の外からウィンドウを閉めることができるという点で効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−8667号公報
【特許文献2】特開平11−334357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の技術では、ユーザの意思とは無関係にウィンドウが閉まってしまうという問題がある。また、エンジン停止後の一定時間はウィンドウの開閉操作を可能とする技術では、全てのウィンドウを一括で閉める操作は、運転席のドアに設けられた操作スイッチでしかできない。そのため、例えば、荷物の取り出しなどで後部座席のドアを開けたときにウィンドウの閉め忘れを発見した場合には、再度運転席に戻って操作する必要があり、不便である。また、携帯機からウィンドウを閉める操作を可能とする技術では、その携帯機と車両との間で、ウィンドウ制御用の通信制御をする必要があり、構成が複雑になるなどの問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、閉め忘れたウィンドウを閉める操作等、場面に応じた操作を簡易な構成で容易にできる車載機器制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、車両に設けられた所定の操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車両に搭載された所定の車載機器に対して予め定められた通常時動作をするように制御する車載機器制御装置において、
所定条件が成立したか否かを判断する条件成立判断手段と、
前記条件成立判断手段が、前記所定条件が成立したと判断した場合には、前記操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車載機器に対して、前記通常時動作とは異なる予め定められた条件成立時動作をするように制御する条件成立時制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、車載機器制御装置は、操作スイッチが操作されたことに基づいて、所定の車載機器に対して予め定められた通常時動作をするように制御するものである。そして、条件成立時制御手段が、所定条件が成立した場合には、同一の操作スイッチの操作に基づいて、通常時動作とは別の条件成立時動作をするように制御する。つまり、所定条件が成立した場合には、制御内容を変更する。このように、新たに操作スイッチ等の構成を追加することなく制御内容を変更するだけなので、場面(所定条件成立時)に応じた操作(条件成立時動作)を簡易な構成で容易にできる。また、操作スイッチの操作に基づいて条件成立時動作をさせているので、ユーザの意思と無関係にその条件成立時動作がなされてしまうのを防止できる。
【0009】
また、条件成立時には、別の車載機器の動作の制御に変更しても良い。すなわち、本発明は、車両に設けられた所定の操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車両に搭載された所定の車載機器に対して予め定められた通常時動作をするように制御する車載機器制御装置において、
所定条件が成立したか否かを判断する条件成立判断手段と、
前記条件成立判断手段が、前記所定条件が成立したと判断した場合には、前記操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車載機器とは別の予め定められた別車載機器に対して、予め定められた条件成立時動作をするように制御する条件成立時制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、条件成立時には、当初の車載機器に対する制御から別車載機器に対する制御に変更するので、新たに操作スイッチ等の構成を追加することなく、その別車載機器に予め定められた動作(条件成立時動作)をさせることができる。よって、場面(所定条件成立時)に応じた操作(条件成立時動作)を簡易な構成で容易にできる。
【0011】
また、本発明において、前記所定条件は、降車時であることを示す降車時条件であり、
前記条件成立時動作は、前記車載機器又は前記別車載機器を不使用時の状態にする動作であることを特徴とする。
【0012】
これによれば、降車時であることを示す降車時条件の成立時には、既存の操作スイッチの操作によって、車載機器又は別車載機器を不使用時の状態にする動作をさせることができる。よって、ユーザは、閉め忘れ等、不使用時の状態になっていない車載機器を降車時に発見した場合には、既存の操作スイッチの操作で、その車載機器を容易に不使用時の状態にすることができる。
【0013】
この場合、前記操作スイッチは、前記車両のドア周辺に設けられたものであるとするのが好ましい。
【0014】
これによれば、降車時に車両のドアの開け閉めをする際に、車載機器が不使用時の状態になっていないのを発見することが多いと考えられるとこと、操作スイッチがそのドア周辺に設けられているので、そのドアから車載機器を不使用時の状態にすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記車両のエンジンが停止されたか否かを判断するエンジン停止判断手段と、
前記車両のドアの開閉を判断するドア開閉判断手段と、を備え、
前記条件成立判断手段は、前記車両のエンジンが停止され、かつ、前記車両のドアが開けられた場合に前記降車時条件が成立したと判断するものであることを特徴とする。
【0016】
これによれば、降車時には、車両のエンジンが停止された状態でドアが開けられることが多いと考えられるところ、車両のエンジンが停止され、かつ、車両のドアが開けられた場合に降車時条件が成立したと判断するので、正確に降車時か否かを判断することができる。
【0017】
またこの場合、前記車両からユーザが降車したか否かを判断する降車判断手段を備え、
前記条件成立判断手段は、前記車両のエンジンの停止及び前記車両のドアの開に加え、前記ユーザが降車したと判断した場合に前記降車時条件が成立したと判断してもよい。
【0018】
これにより、ユーザが車両から降車せずに車内に残っている状態で、降車時であると判断するのを防止できる。
【0019】
また、本発明において、前記条件成立時制御手段は、前記所定条件の成立後に、前記条件成立判断手段が不成立と判断した場合には、前記条件成立時動作をさせる制御を停止するとしてもよい。
【0020】
これによれば、前記所定条件の成立後にその条件が不成立となった場合には、条件成立時動作が停止されるので、条件が不成立であるにもかかわらず条件成立時動作が継続されるのを防止できる。
【0021】
また、本発明において、前記操作スイッチの操作であって、前記通常時動作をさせるための操作とは別の予め定められた別操作がされたか否かを判断する操作判断手段を備え、
前記条件成立時制御手段は、前記別操作がされたと判断した場合に、前記条件成立時動作をするように制御するとしてもよい。
【0022】
これによれば、ユーザは、車載機器に対して条件成立時動作をさせるためには、通常時動作をさせるための操作とは別の別操作をする必要があるので、ユーザが意図しない条件成立時動作がなされることを防止できる。
【0023】
また、本発明において、前記操作スイッチは、前記車両のドアごとに設けられており、
前記車載機器は、前記車両のドアのウィンドウ及びそのウィンドウを開閉動作させる駆動手段から構成されたパワーウィンドウであり、
前記通常時動作は、前記ウィンドウのうち、操作された前記操作スイッチが設けられたドアのウィンドウのみを開状態又は閉状態にする動作であり、
前記条件成立時動作は、全ての前記ウィンドウを閉状態にする動作である。
【0024】
これによれば、車載機器制御装置は、いわゆるパワーウィンドウ制御装置であり、通常時(条件不成立時)においては、各ドアに設けられた操作スイッチの操作によって、その操作スイッチが設けられたドアのウィンドウのみを開状態又は閉状態にする。これによって、操作スイッチの操作で不意に他のウィンドウが動作してしまうのを防止できる。一方、車載機器制御装置は、条件成立時においては、操作スイッチの操作によって全てのウィンドウを閉状態にする。これによって、ユーザは、ウィンドウの閉め忘れを発見した場合には、容易に全てのウィンドウを閉状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車両1の概略構成を示したブロック図である。
【図2】パワーウィンドウを動作させるときの手順を示したフローチャートである。
【図3】降車時条件が成立したときのユーザと車両1との位置関係を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る車載機器制御装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の車載機器制御装置が適用された車両1の概略構成を示したブロック図である。車両1は、運転席、助手席、後部左席、後部右席が設けられるとともに、各座席の横には車両1に乗降するためのドアが設けられたいわゆる乗用車である。その車両1においては、各座席のドアのウィンドウが、スイッチ操作に基づいて自動で開閉動作をするパワーウィンドウとされる。すなわち、図1に示すように、運転席ドア301のウィンドウ101、助手席ドア302のウィンドウ102、後席左ドア303のウィンドウ103及び後席右ドア304のウィンドウ104には、それぞれサーボモータ及びその駆動回路から構成される駆動手段してのウィンドウ駆動部221〜224が接続されている。各ウィンドウ101〜104は、各ウィンドウ駆動部221〜224に駆動されて開閉動作を行う。それらウィンドウ駆動部221〜224は、後述するドアECU200に接続されており、そのドアECU200からの動作指示信号に基づいてサーボモータが駆動されるものである。より詳細には、ウィンドウ駆動部221〜224は、ドアECU200からの動作指示信号の種類によって、ウィンドウ101〜104を開方向に動作させ又は閉方向に動作させるようにサーボモータの駆動方向を変える。なお、各ウィンドウ101〜104及び各ウィンドウ駆動部221〜224から車載機器としてのパワーウィンドウが構成される。
【0027】
また、各ドア301〜304の内側(車室側)には、各ウィンドウ101〜104の開閉操作をするための操作スイッチ211〜214が設けられる。これら操作スイッチ211〜214は、各ウィンドウ101〜104を開方向に動作させるための開操作方向及び各ウィンドウ101〜104を閉方向に動作させるための閉操作方向が予め定められている。また、各操作スイッチ211〜214は、操作された際に、その操作方向と反対方向の反力がバネ等によって付与されるようになっている。つまり、開操作方向に操作された場合、又は閉操作方向に操作された場合には、元の操作されていない状態に戻そうとする力が付与される。よって、例えば、ユーザが操作中に操作スイッチ211〜214から手を離した場合には、操作スイッチ211〜214は元の操作されていない状態に戻ることになる。
【0028】
各操作スイッチ211〜214は、後述するドアECU200に接続されており、操作された場合にはその操作方向(開操作方向又は閉操作方向)に応じた信号をドアECU200に出力する。その際、各操作スイッチ211〜214は、操作されている間はその信号を出力し続け、その後、元の操作されていない状態に戻ったときにはその信号の出力を停止する。これは、ウィンドウ101〜104を完全に開状態又は閉状態にするだけでなく、開状態と閉状態の間の所望の位置でウィンドウ101〜104を停止できるようにするためである。
【0029】
ドアECU200は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ(例えばEEPROM)等を備えるマイクロコンピュータと、入出力インターフェース回路等により構成されている。入出力インターフェース回路には、各ウィンドウ駆動部221〜224と各操作スイッチ211〜214とが接続されている。ドアECU200(マイクロコンピュータ)は、操作スイッチ211〜214からの信号に基づいて、ウィンドウ101〜104を開閉動作させるための動作指示信号をウィンドウ駆動部221〜224に出力する。より詳細には、ドアECU200は、操作スイッチ211〜214から開操作方向の信号が出力されている間は、ウィンドウ101〜104の開方向の動作を指示する動作指示信号をウィンドウ駆動部221〜224に出力する。一方、ドアECU200は、操作スイッチ211〜214から閉操作方向の信号が出力されている間は、ウィンドウ101〜104の閉方向の動作を指示する動作指示信号をウィンドウ駆動部221〜224に出力する。これによって、操作スイッチ211〜214が操作されている間、ウィンドウ101〜104が、開方向又は閉方向に動作されることになる。
【0030】
なお、ドアECU200は、操作スイッチ211〜214から開操作方向の信号又は閉操作方向の信号を一旦受けた場合には、途中で操作スイッチ211〜214からの信号が停止された場合であっても、ウィンドウ101〜104が完全に開状態又は閉状態になるまで、ウィンドウ駆動部221〜224を制御してもよい。
【0031】
また、ドアECU200は、本発明に係る「車載機器制御装置」に相当するものであって、通常時におけるパワーウィンドウ(ウィンドウ駆動部221〜224及びウィンドウ101〜104)に対する制御と、降車時(所定条件成立時)におけるパワーウィンドウに対する制御とを異ならせている。その制御は本発明の特徴部分であるので、後に詳細に説明する。
【0032】
車両1は、各ドア301〜304の開閉を検出するドアSW311〜314を備える。これらドアSW311〜314は、対応するドア301〜304の開閉に連動して、自身のスイッチがオン又はオフされるものである。そして、ドアSW311〜314には後述するメインボデーECU300が接続されており、メインボデーECU300が各ドアSW311〜314のオンオフの状態、すなわち各ドア301〜304の開閉の状態を把握できるようになっている。
【0033】
そのメインボデーECU300は、各ドアSW311〜314やイグニッションスイッチ320等の各種センサ(各種スイッチ)が接続されており、その各種センサの信号に基づいて、車両1のボデーに関する各種機器(車室内の照明や方向指示器等の灯火系等)を制御するものである。本実施形態では、上記したように、メインボデーECU300は、各ドアSW311〜314に基づいて各ドア301〜304の開閉の状態を把握することができ、例えば、ドア301〜304が開けられている場合には、ドアが開けられていることを音や点灯によって報知する。
【0034】
また、メインボデーECU300には、車両1の各部品への電力供給のオンオフを切り替えるイグニッションスイッチ320が接続されており、メインボデーECU300は、イグニッションスイッチ320のオンオフ状態を把握できるようになっている。なお、車両1は、イグニッションスイッチ320がオンになっている状態でそのエンジンが駆動するものである。よって、イグニッションスイッチ320のオンされているときには車両1のエンジンが駆動し、オフされているときには車両1のエンジンが停止されていると判断することができる。
【0035】
シートECU400は、車両1の各座席に関する各種機器を制御するものであり、例えば、電動リクライニングを採用している場合には、各座席に設けられた操作スイッチの操作に基づいて、各座席のリクライニングを制御する。また、本実施形態では、各座席に着座しているユーザの有無を検出するための着座センサ411〜414が、各座席に設けられている。より具体的には、運転席には着座センサ411が、助手席には着座センサ412が、後部左座席には着座センサ413が、後部右座席には着座センサ414が設けられる。各着座センサ411〜414は、例えば、各座席のクッションフレームやバックフレーム等、ユーザが着座したときに荷重を受ける部分に設けられ、受けた荷重に応じた信号を出力する歪みゲージ式のセンサが用いられる。シートECU400は、各着座センサ411〜414からの信号に基づいて、各座席にユーザが着座しているか否かを把握できるようになっている。
【0036】
また、車両1は、車内LAN500を有しており、上記のドアECU200、メインボデーECU300及びシートECU400はその車内LAN500に接続される。そして、ドアECU200、メインボデーECU300及びシートECU400は、車内LAN500を介して、相互に通信できるようになっている。
【0037】
次に、ドアECU200が実行する、パワーウィンドウ(ウィンドウ駆動部221〜224及びウィンドウ101〜104)に対する制御について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2は、ドアECU200がパワーウィンドウを制御するときの手順を示したフローチャートである。なお、この図2のフローチャートは、一定間隔で繰り返し実行される。
【0038】
先ず、車両1のエンジンが停止されているか否かを判断する(S11)。具体的には、イグニッションスイッチ320がオフされているか否かに基づいて判断する。なお、エンジンを制御するエンジンECU(図示外)に問い合わせて、エンジン停止の有無を判断してもよい。ここで、イグニッションスイッチ320がオンされている場合にはエンジンが停止されていないとして(S11:NO)、ステップS14へ進む。そして、ステップS14では、降車時ではない通常時であるとして、パワーウィンドウに対して、予め定められた通常時動作をするように制御(通常制御)する。具体的には、操作スイッチ211〜214が操作されたか否かを判断する(S14)。操作された場合には、操作された操作スイッチ211〜214が設けられたドア301〜304のウィンドウ101〜104のみを動作(通常時動作)させる(S14)。例えば、運転席ドア301に設けられた操作スイッチ211が開操作方向に操作された場合には、ドアECU200は、開方向の動作を指示する動作指示信号を運転席ドア301のウィンドウ駆動部221に出力して、ウィンドウ駆動部221を駆動させてそのウィンドウ101を開方向に動作させる。これによって、例えば、不意に他のウィンドウ101〜104が動作することで、他のドア301〜304付近に居るユーザに不意打ちを与えてしまうのを防止できる。ステップS14の処理の後、図2のフローチャートの処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS11において、イグニッションスイッチ320がオフされている場合にはエンジンが停止されているとして(S11:YES)、ステップS12へ進む。そしてステップS12では、ドアSW311〜314からの信号に基づいて、ドア301〜304のうちのいずれか一つが開けられたか否かを判断する(S12)。ここで、ドア301〜304が全て閉まっている場合又は2つ以上のドア301〜304が開けられている場合には(S12:NO)、ステップS14へ進み、先に説明した通常制御を実行する(S14)。ドア301〜304が全て閉まっている場合には、未だ車内にユーザが残っている可能性があるので、通常制御としたものである。また、2つ以上のドア301〜304が開けられている場合には、2人以上のユーザが同時に降車している可能性があり、後述する降車時の制御を実行すると、降車している他のユーザに不意打ちを与えるおそれがあるので、通常制御としたものである。
【0040】
一方、ステップS12において、ドア301〜304のうちのいずれか一つが開けられた場合には(S12:YES)、ステップS13へ進む。そして、ステップS13では、着座センサ411〜414からの信号に基づいて、車内に残っているユーザが居ないか、つまりユーザが降車したか否かを判断する(S13)。なお、着座センサ411〜414とは別の方法、例えば、室内カメラによる画像解析や、シートベルトの装着の有無によって、ユーザが降車したか否かを判断してもよい。ここで、車内にユーザが居る場合には(S13:NO)、ステップS14へ進み、先に説明した通常制御を実行する(S14)。これは、車内にユーザが居る場合には、車内のユーザに不意打ちを与えるおそれがあるので、通常制御としたものである。
【0041】
一方、ステップS13において、ユーザが降車した場合には(S13:YES)、降車時であることを示す降車時条件が成立したとして、ステップS15へ進む。このように、本実施形態では、エンジンの停止(S11:YES)、いずれか一つのドア301〜304の開(S12:YES)及びユーザの降車(S13:YES)の全てを満たした場合に、降車時条件が成立する。なお、ステップS11〜S13の処理を行う順番は、図2の順番に限られるものではない。なお、ステップS11〜S13を実行するドアECU200が本発明の「条件成立判断手段」に相当する。また、ステップS11を実行するドアECU200が本発明の「エンジン停止判断手段」に相当する。また、ステップS12を実行するドアECU200が本発明の「ドア開閉判断手段」に相当する。また、ステップS13を実行するドアECU200が本発明の「降車判断手段」に相当する。
【0042】
ここで、図3は、降車時条件が成立したときのユーザと車両1との位置関係を例示した図である。図3に示すように、降車時とは、車両1のエンジンが停止され、ユーザが車両1の外に居るときにドア(図3では助手席ドア302)が開けられた状態を想定したものである。そして、降車時においては、ユーザは、各ウィンドウ101〜104の閉め忘れを発見することがある。より具体的には、例えば、ユーザが運転席から降車して、その後、助手席や後部座席の荷物を取り出すために助手席ドア302や後席ドア303、304を開けた際に、運転席ドア301のウィンドウ101の閉め忘れを発見する場合がある。この場合、先に説明した通常制御の下においては、運転席ドア301のウィンドウ101を閉めるためには、ユーザは、再度運転席に戻る必要があり不便である。そこで、本実施形態のドアECU200は、降車時である場合には、閉め忘れたウィンドウ101〜104を容易に閉められるようにするために、通常制御を変更して、以下の条件成立時制御を実行する。
【0043】
すなわち、ステップS15では、開けられている最寄りのドア301〜304(以下、該当ドアという。)に設けられた操作スイッチ211〜214(以下、該当操作スイッチという)が所定操作されたか否かを判断する(S15)。図3の例では、助手席ドア302が開けられているので、助手席ドア302が該当ドアとなり、その助手席ドア302の操作スイッチ212が該当操作スイッチとなる。さらに、該当操作スイッチが、通常制御のときの操作(単に開操作方向又は閉操作方向に操作すること)とは別の予め定められた別操作がされたか否かを判断する(S15)。具体的には、例えば、一定時間(例えば1秒間)に閉操作方向への複数回(例えば3回)の操作を上記の別操作と定める。このように、通常制御のときの操作とは別の別操作を定めることで、ユーザの意図に反して、以下で説明する条件成立時動作がなされることを防止できる。なお、別操作は、上記の例に限定されるものではなく、ユーザの意図しない条件成立時動作がなされることを防止する点を重視する場合には、厳しめの別操作(例えば操作回数を多くする)を定めることができ、操作性を向上する点を重視する場合には、緩めの別操作(例えば操作回数を少なくする)を定めることができる。なお、ステップS15を実行するドアECU200が本発明の「操作判断手段」に相当する。
【0044】
ここで、該当操作スイッチが別操作されない場合には(S15:NO)、図2のフローチャートの処理を終了する。一方、該当操作スイッチが別操作された場合は(S15:YES)、ステップS16へ進む。そして、ステップS16では、全てのウィンドウ101〜104が完全に閉状態(不使用時の状態)になるように、ウィンドウ駆動部221〜224を制御(条件成立時制御)する(S16)。図3の例では、該当操作スイッチ212の操作によって、全てのウィンドウ101〜104が完全に閉状態にされる。なお、該当操作スイッチの操作で、全てのウィンドウ101〜104が完全に閉状態にされる動作が本発明の「条件成立時動作」に相当する。
【0045】
また、ステップS16において、所定操作によるウィンドウ101〜104を閉作動中、つまりウィンドウ駆動部221〜224を制御中に、エンジン始動(S11:NO)、またはいずれか一つのドア開不成立(S12:NO)、またはユーザ乗車(S13:NO)が成立した場合(降車時条件が不成立した場合)は、ウィンドウ駆動部221〜224を制御停止する。これは、ウィンドウ101〜104閉作動中にウィンドウの挟み込みが発生した場合に、ウィンドウ閉作動をキャンセルしたいからである。なお、ステップS16を実行するドアECU200が本発明の「条件成立時制御手段」に相当する。その後、図2のフローチャートの処理を終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、降車時の場合には、ユーザが閉め忘れを発見した位置付近にある該当操作スイッチの操作で、全てのウィンドウ101〜104を閉めることができ、閉め忘れたウィンドウ101〜104に対応する座席まで戻る必要がないので、利便性を向上できる。また、全てのウィンドウ101〜104を閉めるための新たな操作スイッチを設ける必要がないので、構成を簡易にすることができる。
【0047】
なお、本発明に係る車載機器制御装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で種々変形することができる。例えば、上記実施形態では、車載機器としてのパワーウィンドウを制御する例について説明したが、本発明は他の車載機器にも適用することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、通常時と降車時とで制御対象がパワーウィンドウで同じとしていたが、降車時には、パワーウィンドウとは別の別車載機器に対して、不使用時の状態にする制御をしてもよい。具体的には、例えば、別車載機器としての室内照明の消し忘れにも応用できる。つまり、降車時において、室内照明の消し忘れを発見した場合には、パワーウィンドウの操作スイッチ211〜214の操作で、その消し忘れた室内照明を消灯できるようにしてもよい。なお、この場合、室内照明が消灯される動作が本発明の「条件成立時動作」に相当する。
【0049】
また、上記実施形態では、条件成立時動作として、車載機器を不使用時の状態にする制御をしていたが、反対に、不使用時の状態から使用時の状態にする制御をしてもよい。この場合、例えば、別車載機器としてのフューエルリッドに本発明を適用することができる。すなわち、フューエルリッドを開(使用時の状態)にする操作スイッチは運転席付近に設けられることが多く、フューエルリッドは後席ドア付近に設けられることが多い。この場合、セルフのガソリンスタンドでガソリンを補給する際には、運転席付近にある操作スイッチで予めフューエルリッドを開にする必要があるが、開け忘れることがある。そこで、降車時において、このフューエルリッドの開け忘れを発見した場合に、最寄りのパワーウィンドウの操作スイッチ211〜214の操作で、その開け忘れたフューエルリッドを開けるようにしてもよい。これによれば、フューエルリッドの開け忘れを発見した場合に、運転席に戻る必要がないので、利便性を向上できる。なお、この場合、フューエルリッドが開けられる動作が本発明の「条件成立時動作」に相当する。
【符号の説明】
【0050】
1 車両
200 ドアECU(車載機器制御装置)
211〜214 操作スイッチ
101〜104 ウィンドウ
221〜225 ウィンドウ駆動部(駆動手段)
300 メインボデーECU
301〜304 ドア
311〜314 ドアSW
320 イグニッションスイッチ
400 シートECU
411〜414 着座センサ
500 車内LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた所定の操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車両に搭載された所定の車載機器に対して予め定められた通常時動作をするように制御する車載機器制御装置において、
所定条件が成立したか否かを判断する条件成立判断手段と、
前記条件成立判断手段が、前記所定条件が成立したと判断した場合には、前記操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車載機器に対して、前記通常時動作とは異なる予め定められた条件成立時動作をするように制御する条件成立時制御手段と、を備えることを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項2】
車両に設けられた所定の操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車両に搭載された所定の車載機器に対して予め定められた通常時動作をするように制御する車載機器制御装置において、
所定条件が成立したか否かを判断する条件成立判断手段と、
前記条件成立判断手段が、前記所定条件が成立したと判断した場合には、前記操作スイッチが操作されたことに基づいて、前記車載機器とは別の予め定められた別車載機器に対して、予め定められた条件成立時動作をするように制御する条件成立時制御手段と、を備えることを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項3】
前記所定条件は、降車時であることを示す降車時条件であり、
前記条件成立時動作は、前記車載機器又は前記別車載機器を不使用時の状態にする動作であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載機器制御装置。
【請求項4】
前記操作スイッチは、前記車両のドア周辺に設けられたものであることを特徴とする請求項3に記載の車載機器制御装置。
【請求項5】
前記車両のエンジンが停止されたか否かを判断するエンジン停止判断手段と、
前記車両のドアの開閉を判断するドア開閉判断手段と、を備え、
前記条件成立判断手段は、前記車両のエンジンが停止され、かつ、前記車両のドアが開けられた場合に前記降車時条件が成立したと判断するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の車載機器制御装置。
【請求項6】
前記車両からユーザが降車したか否かを判断する降車判断手段を備え、
前記条件成立判断手段は、前記車両のエンジンの停止及び前記車両のドアの開に加え、前記ユーザが降車したと判断した場合に前記降車時条件が成立したと判断するものであることを特徴とする請求項5に記載の車載機器制御装置。
【請求項7】
前記条件成立時制御手段は、前記所定条件の成立後に、前記条件成立判断手段が不成立と判断した場合には、前記条件成立時動作をさせる制御を停止することを特徴とする請求項5又は6に記載の車載機器制御装置。
【請求項8】
前記操作スイッチの操作であって、前記通常時動作をさせるための操作とは別の予め定められた別操作がされたか否かを判断する操作判断手段を備え、
前記条件成立時制御手段は、前記別操作がされたと判断した場合に、前記条件成立時動作をするように制御するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項9】
前記操作スイッチは、前記車両のドアごとに設けられており、
前記車載機器は、前記車両のドアのウィンドウ及びそのウィンドウを開閉動作させる駆動手段から構成されたパワーウィンドウであり、
前記通常時動作は、前記ウィンドウのうち、操作された前記操作スイッチが設けられたドアのウィンドウのみを開状態又は閉状態にする動作であり、
前記条件成立時動作は、全ての前記ウィンドウを閉状態にする動作であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−251630(P2011−251630A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126860(P2010−126860)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】