説明

車載用電子機器及びプログラム

【課題】シフトレバーの操作や状態を忘れて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することのできる車載用電子機器を提供する。
【解決手段】走行状態から停車状態になったことが検出され、シフトポジションがDレンジであることが検出されたことを前提に、「前進します。」という音声による警告を行い、走行状態から停車状態になったことが検出され、シフトポジションがRレンジであることが検出されたことを前提に、「バックします。」という音声による警告を行う。このとき、ドライバーの顔の向きを検出し、検出した顔の向きも加味して警告を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌の発進及び停車状態等に基づく制御を行う車載用電子機器及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両が運転者の安全確認を必要とする状況にあるかを判別し、顔向きカメラの撮像画像の処理結果によって運転者による安全確認が既に行われていたか否かを判別し、車両が運転者の安全確認を必要とする状況においてその安全確認が未だ行われていなかったと判別された場合に、運転者に対して警告を与える車両用警報装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−233476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、高齢者のドライバーにおいて、AT車の前進・後進操作を忘れ、自分の意思と反対に動き慌ててアクセルとブレーキを踏み間違える事故が発生するなど、顔向きカメラの撮像画像の処理結果によって運転者による安全確認が未だ行われていなかったと判別された場合に運転者に対して警告を与えるだけでは十分でない場合があった。例えば、高齢者のなかには、駐車中でもドライブレンジにした状態であったり、逆にバックギアのままにしてサイドブレーキを引いて駐車したりする事がある。AT車の便利さから、シフト操作を忘れ、前記の様な事故を起こしている。今後の高齢化社会では、同種の事故が起こりやすいと思われ、未然に防止する製品が求められる。
【0005】
そこで、本発明は、係る問題を解決するためになされたもので、AT車等のシフトレバーの操作や状態を忘れて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することのできる車載用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載用電子機器は、(1)シフトポジションを検出するシフトポジション検出手段と、停車状態を検出する停車状態検出手段を備え、前記シフトポジション検出手段によって検出されたシフトポジションと前記停車状態検出手段によって検出された停車状態に基づいて警告を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このようにすれば、AT車のシフトレバーの操作や状態を忘れて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することができる。
【0008】
例えば、走行状態から停車状態になったことが検出され、シフトポジションがDレンジであることが検出された場合に、「前進します。」という音声による警告を行い、走行状態から停車状態になったことが検出され、シフトポジションがRレンジであることが検出された場合に、「バックします。」という音声による警告を行う。このようにすれば、バックしようとしているのに前進してしまったり、前進しようとしているのにバックしてしまったりと自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することができる。
【0009】
(2)ドライバーの顔の向きを検出する顔の向き検出手段を備え、前記報知手段は、前記顔の向き検出手段によって検出された顔の向きも加味して警告を報知する構成とするとよい。
【0010】
このようにすれば、例えば、バックしようとして後ろを向いているにも関わらず、「バックします。」という音声による警告を行われたり、前進しようとして前を向いているにも関わらず「前進します。」という音声による警告が行われたりして煩わしさを感じるという問題を解決できる。
【0011】
(3)前記報知手段は、前記停車状態検出手段によって停車状態が検出された後、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがDレンジであって顔の向きが前向きでない場合には警告を報知し、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがDレンジであって顔の向きが前向きの場合には警告を報知しない構成とするとよい。
【0012】
(4)(3)の構成を前提として、前記警告は、前進する旨の警告である構成とするとよい。
【0013】
(5)前記報知手段は、前記停車状態検出手段によって停車状態が検出された後、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがRレンジであって顔の向きが後ろ向きでない場合には警告を報知し、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがRレンジであって顔の向きが後ろ向きである場合には警告を報知しない構成とするとよい。
【0014】
(6)(5)の構成を前提として、前記警告は、後退する旨の警告である構成とするとよい。
【0015】
(7)前記報知手段は、前記停車状態検出手段によって停車状態であると検出された時間が所定の時間を超えた場合にのみ前記警告の報知を行う構成とするとよい。
【0016】
停車からの経過時間が長いと、シフトポジションを忘れやすい。また、頻繁に警告するとわずらわしいという問題がある。しかし、このようにすれば、停車時間が所定の時間を超えない場合には、警告がなされず、停車時間が所定の時間を超えた場合には、警告がなされうるため、シフトポジションを忘れやすい停車からの経過時間が長い場合にのみ警告が報知される。したがって、煩わしさを感じることを軽減できるとともに、シフトポジションが意図と異なるポジションとなっていて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうといった問題を防止することもできる。
【0017】
(8)前記警告は、前記シフトポジション検出手段によって検出された現在のシフトポジションに関する情報を含む構成とするとよい。
【0018】
このようにすれば、現在のシフトポジションがどのポジションであるかを容易に知ることができる。
【0019】
(9)前記警告は、現在のシフトポジションをPレンジにさせるための情報を含む構成とするとよい。このようにすれば、どのレンジにシフトポジションをすればよいのかが容易にわかる。
【0020】
(10)なお、(1)〜(9)のいずれかに記載の車載用電子機器の機能は、コンピュータに実現させるためのプログラムとして実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、AT車のシフトレバーの操作や状態を忘れて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することのできる車載用電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示す図である。
【図2】レーダー探知機のブロック図である。
【図3】待ち受け画面・レーダースコープ・GPS警報の表示例を示す図である。
【図4】レーダー波警報機能における警報画面の表示例を示す図である。
【図5】シフトポジション警告処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】停車時間タイマの設定画面を示す図である。
【図7】シフトポジション警告処理によるシフトポジション警告画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1,図2は、本発明の車載用電子機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。本レーダー探知機は通常ダッシュボード上に取り付けられる。本レーダー探知機は、図1に示すように、ケース本体1の上面にソーラーパネル2並びにスイッチ部3を配置し、ケース本体1の前面側(車両前方へ配置される側(フロントガラス側))の内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器4を配置する。一方、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側(ドライバー側))には、表示部5と警報ランプ6と赤外線通信機7とリモコン受信器16と赤外線プロジェクタ21と車内撮影カメラ3を配置している。また、ケース本体1の上面側内部には、GPS受信器8を配置する。さらに、ケース本体1の一方の側面には、アダプタージャック9を配置し、他方の側面には電源スイッチ10並びに図示省略するDCジャックを配置する。ケース本体1の下面にはシフトポジションセンサ接続コネクタ11を配置している。また、ケース本体1内には、スピーカ20も内蔵している。本実施形態では、表示部5は2.4インチの小型液晶ディスプレイであり、ケース本体1の後面側(車両後方へ配置される側(ユーザ側(ドライバー側))を表示面としている。表示部5を実装するケース本体1の後方側の高さHは、その他の部位の高さH0よりも大きくしている。
【0024】
図2に示すように、赤外線通信機7は携帯電話機12等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。アダプタージャック9は、メモリカードリーダ13を接続する端子である。アダプタージャック9にメモリカードリーダ13を接続することで、そのメモリカードリーダ13に装着されたメモリカード14に格納されたデータを内部に取り込んだり、データベース19や制御部18のメモリの内容をメモリカード14に書き込んだりすることができる。より具体的には、メモリカード14に格納されたデータに、新規な目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報がある場合、その更新情報を制御部18が装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)し、データベース19のデータを更新する。なお、メモリカードリーダ13の機能は、本体ケース1内に内蔵するように構成してもよい。
【0025】
シフトポジションセンサ接続コネクタ11は、シフトポジションセンサ25へ接続されたケーブルが接続されるコネクタである。シフトポジションセンサ25は、車両のシフトポジションを検出するスイッチから構成され、現在の車両のシフトポジションが、パーキングレンジ(Pレンジ)、リバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、ドライブレンジ(Dレンジ(Dレンジ以外の1・2等のレンジ(前進するレンジ)も含む。このようなN・R・Pレンジ以外のレンジを、以下Dレンジという。))のいずれにあるかを出力する。
【0026】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の目標物に関する情報と注意を要する車両のナンバープレートに関する情報を登録しており、その後に追加された目標物についてのデータ等が上記のようにしてデータ更新することができる。また、データ更新は、赤外線通信機7を介して行なうこともできる。
【0027】
DCジャックは、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。また、スイッチ部3も制御部18に接続され(図示省略)、リモコン17と同様の設定を行えるようになっている。リモコン17には、待受切替ボタン、設定ボタン、選択ボタン、キャンセルボタン、決定ボタンと、上下左右の十字ボタンを備えている。
【0028】
また、制御部18は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器を利用して所定の警報・メッセージや情報を出力する。なお、これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
【0029】
本実施形態のレーダー探知機における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0030】
制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、GPSログ機能、映像表示機能、映像記録機能、映像再生機能、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能、シフトポジション警告機能などがある。
【0031】
GPSログ機能は、制御部18が1秒ごとにGPS受信器8によって検出された現在位置をその検出した時刻および速度(車速)と関連づけて位置履歴として不揮発性メモリに記憶する機能である。この位置履歴は例えばNMEA形式で記録する機能である。
【0032】
映像表示機能は、制御部18が車内撮影カメラ23から受け取った映像データを表示部5に表示させる機能である。映像記録機能は、制御部18が車内撮影カメラ23から受け取った映像データを制御部18のマイコンに外付けした不揮発性メモリに圧縮して記録する機能である。映像再生機能は、制御部18のマイコンに外付けした不揮発性メモリに圧縮して記録した映像データを伸張し、表示部5に表示する機能である。
【0033】
車内撮影カメラ23は、可視光線及び赤外線の帯域での撮影が可能なCCDカメラであり、制御部18のマイコンに備えるUSBポートに内部接続されている。車内撮影カメラ23は、CCDカメラで撮影した映像をA/D変換して映像データとして制御部18へ送る機能を備える。この機能は、いわゆるUSBカメラと同様の構成である。制御部18は、ドライバーの顔の向きの読み取りに必要な照度が不足するか否かをCCDカメラで撮影した映像の映像データの明さから判定し、照度が不足する場合には、赤外線プロジェクタ21をオンにし、赤外線を照射する。
【0034】
表示部5の表示方向(表示面の法線方向)と車内撮影カメラ23の撮影方向(CCDの撮像面の法線方向)は同一方向であり、赤外線プロジェクタ21の発光軸方向と表示部5の表示方向は同一方向にしてあるため、ドライバーは、運転席に着席した状態で、表示部5が見やすいように、ケース本体1の向きを調整すれば、赤外線プロジェクタ21の赤外光の照射方向はドライバーの顔の方向となり、車内撮影カメラ3の撮影方向もドライバーの顔の方向を向くことになるので、改めて赤外線プロジェクタ21の照射方向や車内撮影カメラ3の撮影方向を調整する必要がなく、簡単に適切な設置を行うことができる。
【0035】
待ち受け画面表示機能は、図3(a)に示すように、GPS受信器8によって検出した自車両の速度、緯度、経度、高度を表示部5に表示する機能である。
【0036】
レーダースコープ表示機能は、図3(b)に示すように、GPS受信器8によって検出した現在位置から所定の範囲内(例えば約1kmの範囲内)にある目標物をデータベース19に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車位置と目標物の位置との相対的な位置関係を表示部5に表示させる機能である。図3(b)中の左側の「W」が西、右側の「E」が東、上側の「N」が北の方角を示し、「W」と「E」を結ぶ左右方向の線と「N」から下へ伸びる上下方向の線との交点にあるアイコンが自車位置を示している。また「L」「RD」「P」「N」等の文字を有するアイコンが目標物の種類と位置を示す。
【0037】
図3(a)に示すような待ち受け画面表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、図3(b)に示すようなレーダースコープ表示機能に切り替える。また、レーダースコープ表示機能実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、映像表示機能に切り替える。また、映像表示機能の実行中にリモコン17に設けた待受切替ボタンの押下が検出された場合、待ち受け画面表示機能に切り替える処理を行う。
【0038】
制御部18は、映像表示機能、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能(以下これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能、シフトポジション警告機能等の各機能を実現する処理を実行する。各機能の優先度は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能、シフトポジション警告機能の順に設定している。
【0039】
GPS警報機能は、制御部18に有するタイマからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース19に記憶された目標物の緯度経度とGPS受信器8によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離(例えば500m以内)になった場合に、表示部5にその旨を表示し、スピーカ20からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0040】
こうした目標物としては、居眠り運転事故地点、レーダー、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目標物の種別情報とその位置を示す緯度経度情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータと音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0041】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信器4によって速度測定装置(移動式レーダー等(以下、単に「レーダー」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、図4に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ20から出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0042】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ20からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。音声出力中は、警報ランプ6を点燈させる。
【0043】
本実施形態のレーダー探知機は、これらの機能に加え、シフトポジション警告機能を備える。シフトポジション警告機能は、シフトポジションセンサ25によって検出されたシフトポジションと、GPS受信器8から得た車速(停車状態)に基づいて警告を、スピーカ20や表示部5から報知する機能である。
【0044】
このシフトポジション警告機能を実現するための制御部18の処理(シフトポジション警告処理)の内容を、図5を参照しながら説明する。シフトポジション警告機能は、制御部18に有するタイマからのイベントにより所定時間間隔(例えば5秒間隔)で実行される処理である。
【0045】
この処理では、まず図5のS110に示すように、停車状態にあるか否かを判定する。停車状態にあるか否かは、GPS受信器8から出力された車速情報が0である場合に停車状態にあると判定し、GPS受信器8から出力された車速情報が0でない場合に停車状態にないと判定する。停車状態にある場合には(S110:Y)、S120へ移行し、停車状態にない場合(S110:N)には、S200へ移行する。
【0046】
S120では、制御部18に備えた停車時間タイマが停止しているか否かを判定し、停止している場合には停止時間タイマをスタートさせ、S130へ移行する。停車時間タイマが停止していない場合(動作している場合)には、S130へ移行する。停車時間タイマは停車時間をカウントするためのものである。
一方、S200では、停車時間タイマを停止してリセットし、この処理を終了する。
【0047】
S130では、停車時間タイマの値が不揮発性メモリに記憶された設定時間以上か否かを判定する。設定時間は、工場出荷時には、制御部18の不揮発性メモリに「5分」として記憶しているが、この値は、ユーザの設定処理によって変更可能である。この設定処理は、リモコン受信器16を介してリモコン17の設定ボタンの2回連続押下を検出した場合に開始し、図6に示す設定画面を表示部5に表示させる。この状態でリモコン17の十字ボタンの上ボタンの押下を検出した場合、設定時間52の値を+1し、下ボタンの押下が検出された場合、設定時間52の値を−1する。そして、リモコン17の決定ボタンが押下された際の設定時間52の値を設定時間の設定値として制御部18の不揮発性メモリに上書き記憶する。
【0048】
停車時間タイマの値が不揮発性メモリに記憶された設定時間以上である場合(S130:Y)、S140へ移行する。一方、停車時間タイマの値が不揮発性メモリに記憶された設定時間以上でない場合(S130:N)、この処理を終了する。
【0049】
S140では、シフトポジションセンサ25から出力されたシフトポジションがDレンジであるか否かを判定する。Dレンジである場合(S140:Y)、S150へ移行し、Dレンジでない場合(S140:N)、S170へ移行する。
【0050】
S150では、制御部18が車内撮影カメラ23から受け取った映像データ中の顔の特徴量によって顔の向きが前方であるか否かを判定する。例えば映像データと両目の位置に着目したパターンマッチングにより、両目に相当するパターンがある場合には、顔の向きが前方にあると判定し、両目に相当するパターンがない場合には、顔の向きが前方にないと判定する。顔の向きが前方である場合には(S150:Y)、この処理を終了する。一方、顔の向きが前方でない場合には(S150:N)、S160へ移行する。
【0051】
S160では、「前進します」の音声をスピーカ20から出力するとともに、図7(a)に示すように、表示部5に「前進します!」の文字列を含むシフトポジション警告画面を所定時間(例えば10秒間)表示して、この処理を終了する。
【0052】
S170では、シフトポジションセンサ25から出力されたシフトポジションがRレンジであるか否かを判定する。Rレンジである場合(S170:Y)、S180へ移行し、Rレンジでない場合(S170:N)、この処理を終了する。
【0053】
S180では、制御部18が車内撮影カメラ23から受け取った映像データ中の顔の特徴量によって顔の向きが後方であるか否かを判定する。例えば映像データと両目の位置に着目したパターンマッチングにより、両目に相当するパターンがない場合には、顔の向きが後方にあると判定し、両目に相当するパターンがある場合には、顔の向きが後方にないと判定する。顔の向きが後方である場合には(S180:Y)、この処理を終了する。一方、顔の向きが後方でない場合には(S180:N)、S190へ移行する。
【0054】
S190では、「バックします」の音声をスピーカ20から出力するとともに、図7(b)に示すように、表示部5に「バックします!」の文字列を含むシフトポジション警告画面を所定時間(例えば10秒間)表示して、この処理を終了する。
以上のような処理により、次のような動作がなされる。
【0055】
1.走行状態から停車 → N又はPレンジ → ドライバーの顔の向きに関係無く警告しない。
2.走行状態から停車 → Dレンジ → 顔が前向き → 警告しない。
走行状態から停車 → Dレンジ → 顔が後ろ向き又は横向き → 「前進します」の警告をする。
3.走行状態から停車 → Rレンジ → 顔が後ろ向き → 警告しない。
走行状態から停車 → Rレンジ → 顔が前向き → 「バックします」の警告をする。
【0056】
このように、走行状態から停車状態になったことが検出され、シフトポジションがDレンジであることが検出されたことを前提に、「前進します。」という音声による警告を行われ、走行状態から停車状態になったことが検出され、シフトポジションがRレンジであることが検出されたことを前提に、「バックします。」という音声による警告を行われる。したがって、バックしようとしているのに前進してしまったり、前進しようとしているのにバックしてしまったりと自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することができる。また、シフトレバーの操作や状態を忘れて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうことを防止することができる。
【0057】
また、ドライバーの顔の向きを検出し、検出した顔の向きも加味して警告を報知するので、例えば、バックしようとして後ろを向いているにも関わらず、「バックします。」という音声による警告を行われたり、前進しようとして前を向いているにも関わらず「前進します。」という音声による警告が行われたりして煩わしさを感じるという問題を解決できる。
【0058】
特に、停車状態が検出された後、シフトポジションがDレンジであって顔の向きが前向きでない場合には警告を報知し、シフトポジションがDレンジであって顔が前向きの場合には警告を報知しない。そして、この場合の警告は、前進する旨の警告としている。
【0059】
また、停車状態が検出された後、シフトポジションがRレンジであって顔の向きが後ろ向きでない場合には警告を報知し、シフトポジションがRレンジであって顔の向きが後ろ向きである場合には警告を報知しない。そして、この場合の警告は、後退する旨の警告としている。
【0060】
さらに、停車状態であると検出された時間が所定の時間を超えた場合にのみ警告の報知を行う構成としている。停車からの経過時間が長いと、シフトポジションを忘れやすい。また、頻繁に警告するとわずらわしいという問題がある。しかし、このような構成により、停車時間が所定の時間を超えない場合には、警告がなされず、停車時間が所定の時間を超えた場合には、警告がなされうるため、シフトポジションを忘れやすい停車からの経過時間が長い場合にのみ警告が報知される。したがって、煩わしさを感じることを軽減できるとともに、シフトポジションが意図と異なるポジションとなっていて、自己の意志と異なる方向へ発進してしまうといった問題を防止することもできる。
【0061】
さらに次のような処理を行うモードを設けるようにしてもよい。
4.走行状態から停車 → Dレンジ → 「前進します」の警告を行う
5.走行状態から停車 → Rレンジ → 「バックします」の警告を行う。
【0062】
上記、項目4,5だけでも製品として成立するが、項目1〜3の処理(例えば図5に示した処理)を行うか、項目4,5の処理を行うかを、選択可能にしても良い。
【0063】
また、本実施形態では、S160で、「前進します」の音声をスピーカ20から出力するとともに、図7(a)に示すように、表示部5に「前進します!」の文字列を含むシフトポジション警告画面を表示することとし、S190では、「バックします」の音声をスピーカ20から出力するとともに、図7(b)に示すように、表示部5に「バックします!」の文字列を含むシフトポジション警告画面を表示することとしたが、警報の具体的な態様は各種の態様を採りうる。
【0064】
例えば、S160では、「Dレンジになっています。安全の為、停車中はPレンジにして下さい。」の音声出力と表示による警告を行い、S190では、「Rレンジになっています。安全の為、停車中はPレンジにして下さい。」の音声出力と表示による警告を行うようにしてもよい。
【0065】
このようにすれば、警告に検出された現在のシフトポジションに関する情報を含むので、現在のシフトポジションがどのポジションであるかを容易に知ることができる。また、この警告には、現在のシフトポジションをPレンジにさせるための情報を含むので、どのレンジにシフトポジションをすればよいのかが容易にわかる。
【0066】
本実施形態では、GPS受信機8から出力された車速情報から停車状態にあるか否かを判定することとしたが、これに限らず、各種の方法で停車状態にあるか否かを判定することができる。例えば、車両の車速パルス信号線に制御部18を接続し、車速パルスが検出されない場合に、停車状態にあると判定し、車速パルスが検出された場合には停車状態にないと判定するようにしてもよい。
【0067】
本実施形態では、シフトポジションの検出は、シフトポジションセンサ25のスイッチで行うこととしたが、これに限らず、各種の方法でシフトポジションは検出することができる。例えば、シフトポジションの状態を車両のECUに伝送する信号線、シフトポジションの状態を示すランプの信号線、シフトポジションの状態が伝送される車内LAN等と制御部18を接続し、その状態からシフトポジションを検出するようにしてもよい。
【0068】
本実施形態では、図6のような設定画面で、設定時間を設定することとしたが、所定の設定時間のリストの中から選択して設定する構成としてもよい。例えば、設定画面を1分・3分・5分から選択可能な画面として構成し、これらの中から、リモコン17により選択を行う構成としてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、レーダー探知機の例で説明したが、車載用の各種の電子機器の機能として実施することができる。たとえば、ナビゲーション装置や、ドライブレコーダ、カーオーディオの機能として組み込んでもよい。また本実施形態で記載した数値の値は、実験等を行って適宜、効果を奏する値に変更してもよい。表示部5の画面サイズなども任意のものとすることができる。また表示による警告は行わず、音声による警告のみとしてもよい。また、制御部18には、各機能や警報の優先順位をリモコン17等からのユーザからの指示に基づいて設定する機能を設け、この設定された優先順位で制御部18が処理を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 ケース本体
2 ソーラーパネル
4 マイクロ波受信器
5 表示部
6 ランプ
7 赤外線通信機
8 GPS受信器
9 アダプタージャック
10 電源スイッチ
11 シフトポジションセンサ接続コネクタ
12 携帯電話機
13 メモリカードリーダ
14 メモリカード
15 無線受信器
16 リモコン受信器
17 リモコン
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ
21 赤外線プロジェクタ
23 車内撮影カメラ
25 シフトポジションセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトポジションを検出するシフトポジション検出手段と、
停車状態を検出する停車状態検出手段を備え、
前記シフトポジション検出手段によって検出されたシフトポジションと前記停車状態検出手段によって検出された停車状態に基づいて警告を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする車載用電子機器。
【請求項2】
ドライバーの顔の向きを検出する顔の向き検出手段を備え、
前記報知手段は、前記顔の向き検出手段によって検出された顔の向きも加味して警告を報知すること
を特徴とする請求項1に記載の車載用電子機器。
【請求項3】
前記報知手段は、前記停車状態検出手段によって停車状態が検出された後、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがDレンジであって顔の向きが前向きでない場合には警告を報知し、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがDレンジであって顔の向きが前向きの場合には警告を報知しないこと
を特徴とする請求項2に記載の車載用電子機器。
【請求項4】
前記警告は、前進する旨の警告であること
を特徴とする請求項3に記載の車載用電子機器。
【請求項5】
前記報知手段は、前記停車状態検出手段によって停車状態が検出された後、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがRレンジであって顔の向きが後ろ向きでない場合には警告を報知し、前記シフトポジション検出手段によってシフトポジションがRレンジであって顔の向きが後ろ向きである場合には警告を報知しないこと
を特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項6】
前記警告は、後退する旨の警告であること
を特徴とする請求項5に記載の車載用電子機器。
【請求項7】
前記報知手段は、前記停車状態検出手段によって停車状態であると検出された時間が所定の時間を超えた場合にのみ前記警告の報知を行うこと
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項8】
前記警告は、前記シフトポジション検出手段によって検出された現在のシフトポジションに関する情報を含むこと
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項9】
前記警告は、現在のシフトポジションをPレンジにさせるための情報を含むこと
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の車載用電子機器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の車載用電子機器の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−183881(P2011−183881A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49483(P2010−49483)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】