説明

車載用音響装置

【課題】 車速連動型イコライザとアクティブノイズコントローラを同時に動作させたときにも、アクティブノイズコントローラによる車室内騒音の消音量を考慮した聴感上自然な車室内騒音に対するオーディオ信号の補償をすることができる車載用音響装置を提供する。
【解決手段】 車速に応じてオーディオ信号の特性を変更する車速連動型イコライザ101と、車室内騒音と相関の高いリファレンス信号から騒音抑圧信号を作り出して車室内騒音を抑圧するアクティブノイズコントローラ102と、消音量推定器103とを備え、消音量推定器103はアクティブノイズコントローラ102の出力信号から車室内騒音の抑圧量を推定し、その情報に基づいて車速連動型イコライザの特性を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の騒音によって聴こえにくくなったオーディオ信号を聴こえやすくするために、車速に応じてオーディオ信号の再生ボリュームやオーディオ信号にかけるイコライザ特性を変更する車速連動型ボリュームまたは車速連動型イコライザや、車室内の騒音を、騒音と同振幅逆位相の音を出力することで打ち消すアクティブノイズコントローラを備えた車載用音響装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車速連動型ボリュームとして、自動車の車速の変化を直流に変換する回路手段と、この回路手段からの直流の変化によってインピーダンスが変化する回路手段と、この回路手段でのインピーダンスの変化によってハイパスフィルタの遮断周波数が変化する可変利得増幅回路を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、従来のアクティブノイズコントローラとして、種々の運転状態下に於いて車室内で発生する空洞共振騒音に対応して、これを相殺可能とする種々の信号情報を予めコントロールユニットに記憶させておくと共に、車体に設けた検出器からの検出信号により自動車の運転状態を判断し、該判断に対応して選定された上記信号情報を基に、スピーカから空洞共振騒音の相殺音を出力させることを特徴とするものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−230314号公報
【特許文献2】特開昭59−9699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の車載用音響装置においては、車速連動型イコライザとアクティブノイズコントローラを同時に動作させると、車速連動型イコライザは車室内の騒音によって聴こえにくくなったオーディオ信号を聴こえやすくするために車速に応じてオーディオ信号にかけるイコライザ特性を変更するが、アクティブノイズコントローラによって車室内の騒音が抑圧された分、車速連動型イコライザによって制御されたオーディオ信号が聴感上大きすぎてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、車速連動型イコライザとアクティブノイズコントローラを同時に動作させても、オーディオ信号を聴感上適切な特性で再生できる車載用音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載用音響装置は、車速に応じてオーディオ信号にかけるイコライザの特性を変更する車速連動型イコライザと、車室内の騒音を、その騒音と同振幅逆位相の信号を出力することで打ち消すアクティブノイズコントローラと、前記アクティブノイズコントローラによる車室内騒音の消音量を推定する消音量推定器とを備えた構成を有している。
【0008】
この構成により、車速連動型イコライザとアクティブノイズコントローラとを同時に動作させたときに、アクティブノイズコントローラによる車室内の騒音の消音量をアクティブノイズコントローラの出力信号から推定し、その推定した消音量に応じて車速連動型イ
コライザの制御を変えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、車速連動型イコライザとアクティブノイズコントローラを同時に動作させたときに、アクティブノイズコントローラの出力信号から車室内騒音の消音量を推定する消音量推定器を設けることにより、アクティブノイズコントローラによる車室内騒音の消音量を推定し、その推定した消音量に応じて車速連動型イコライザのゲインを変えることで、車室内騒音の消音を行い、かつ消音車室内騒音の量に応じた聴感上自然なオーディオ信号の補償ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車載用音響装置のブロック図
【図2】本発明の第2の実施の形態における車載用音響装置のブロック図
【図3】車室内に設置したマイクからオーディオ信号を除去し車室内騒音だけを検出するのに必要なオーディオ信号除去装置のブロック図
【図4】車室内騒音特性図
【図5】車速連動型イコライザのイコライザ特性図
【図6】補償量変更フィルタのフィルタ特性図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態の車載用音響装置について、図面を用いて説明する。本発明の第1の実施の形態の車載用音響装置を図1に示す。
【0012】
図1において、車載用音響装置100は、図示していないオーディオ信号を出力するCDプレーヤなどのオーディオ信号発生装置、車速信号を出力する車速信号発生装置、車室内騒音の消音用信号を生成するのに必要なリファレンス信号を出力するリファレンス信号発生装置に接続可能に構成される。
【0013】
車載用音響装置100は、車速信号発生装置が発生した車速信号に基づいて、オーディオ信号発生装置が発生したオーディオ信号の振幅周波数特性を変更する車速連動型イコライザ101と、リファレンス信号発生装置が発生したリファレンス信号の振幅と位相特性を変更して出力するアクティブノイズコントローラ102と、アクティブノイズコントローラ102の出力信号からアクティブノイズコントローラによる消音量を推定する消音量推定器103とを有する構成である。
【0014】
車載用音響装置100はまた、車速連動型イコライザ101の出力を車109内に放射するオーディオ用スピーカ110と、アクティブノイズコントローラ102の出力を車109内に放射する消音用スピーカ111と、車109内の消音状態を検出するセンシングマイク112に接続されている。
【0015】
なお、車速連動型イコライザ101とオーディオ用スピーカ110との間、アクティブノイズコントローラ102と消音用スピーカ111との間、およびアクティブノイズコントローラ102とセンシングマイク112との間に信号を増幅するためのアンプが設けられていても良い。
【0016】
車速連動型イコライザ101は、オーディオ信号の振幅特性を変更するイコライザ104と、イコライザ104のイコライザ係数を変更するイコライザ制御器105と、イコライザ104のイコライザ係数を格納するイコライザ係数格納器106とから構成されている。
【0017】
また、アクティブノイズコントローラ102は、リファレンス信号の振幅と位相特性を変更する適応フィルタ107と、適応フィルタ107の係数を更新するフィルタ係数更新器108とから構成されている。
【0018】
以上のように構成された車載用音響装置について、図1を用いてその動作を説明する。まず、車速連動型イコライザ104の動作について説明する。
【0019】
CDプレーヤなどから得られたオーディオ信号がイコライザ104に入力されると、イコライザ104は、オーディオ信号の振幅特性が所望の特性になるように制御して出力する。
【0020】
イコライザ104の出力は、オーディオ用スピーカ110から、車109内に放射され音として受聴者に知覚される。ただし、イコライザ104の所望の特性は、次のように設定される。
【0021】
すなわち、イコライザ制御器105は、車速信号から現在の車速を推定し、あらかじめ設定してあるイコライザ係数格納器106内の推定した車速に対応するイコライザ104のイコライザ係数を選択する。次に、イコライザ制御器105は、イコライザ104のイコライザ係数を、選択した係数に入れ替える。
【0022】
ここで、イコライザ係数格納器106に格納するイコライザ係数の設定例を、図4および図5を用いて説明する。
【0023】
図4に示す波形(a)は車速が20km/hのとき、波形(b)は車速が60km/hのとき、波形(c)は100km/hのときのそれぞれの車室内走行騒音の測定値を示す例である。
【0024】
図4に示すように、車室内騒音は低周波数の成分が大きく周波数が上がるほど小さくなり、また車速が早くなるほど騒音のレベルが大きくなることがわかる。
【0025】
図5に示す波形(a)は車速が20km/hのとき、波形(b)は車速が60km/hのとき、波形(c)は車速が100km/hのときのそれぞれのイコライザ特性設定例である。
【0026】
図4の走行騒音に対応して、高周波成分のイコライザゲインよりも低周波数成分のゲインを大きく、また車速が早くなるほどその低周波数成分のゲインを大きく設定している。イコライザ係数格納器106には、このように車速に対応して図5に示すような所望のイコライザ特性になるイコライザ係数を格納しておく。
【0027】
このように、あらかじめ車速に対応したイコライザ係数をイコライザ係数格納器106に格納しておき、車速に応じてイコライザ制御器105がイコライザ係数格納器106に格納してあるイコライザ係数を選択し、イコライザ104のイコライザ係数を入れ替えることで、車速に応じた所望のイコライザ特性に制御することができる。
【0028】
車速を用いることで、車室内の騒音特性を分析する必要がなく、装置の構成が簡単になるという利点もある。
【0029】
次に、アクティブノイズコントローラ102の動作について説明する。
アクティブノイズコントローラ102にはリファレンス信号が入力され、リファレンス信
号は適応フィルタ107によって所望の振幅および位相特性に変更され、車109内に設定された消音用スピーカ111から放射される。
【0030】
消音用スピーカ111から放射された信号は、車109内の騒音と空間中で重ね合わされる。消音用スピーカ111から放射された信号が、車室内の騒音信号と同振幅逆位相の信号であれば、空間で重ね合わされた後の信号は騒音が打ち消されたようになる。
【0031】
リファレンス信号としては車室内騒音と相関の高い信号を用いることが必要で、例えばエンジン騒音と相関の高いエンジンパルスを用いたり、ロードノイズと相関の高い車室内床面に設置した加速度センサで検出された信号を用いる。
【0032】
適応フィルタ108は、例えばFIR(Finit Impulse Response)フィルタで構成され、FIRフィルタの係数を更新することで、フィルタの特性を所望の振幅および位相特性になるようにする。
【0033】
適応フィルタ107の係数は、次のようにして更新する。フィルタ係数更新器108には、適応フィルタ107と同じリファレンス信号が入力される。
フィルタ係数更新器108にはまた、車109内に設置したセンシングマイク112で検出された信号が入力される。
【0034】
センシングマイク112は、車室内の騒音と消音用スピーカ111から出力された信号の車室内空間での重ね合わせの状態を検出するためのものである。
【0035】
フィルタ係数更新器108は、このリファレンス信号とセンシングマイク112の出力信号から、例えばFiltered−x LMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いて適応フィルタ107の係数を更新する。
【0036】
Filtered−x LMSアルゴリズムは、FIRフィルタの係数を誤差の2乗和が最小になるように逐次更新するアルゴリズムである。誤差をセンシングマイク112の出力として、適応フィルタ107の係数を更新すれば、車室内でのアクティブノイズコントローラ102の出力と車室内騒音とが車室内空間で重ね合わせられた後の信号が、最小になるように適応フィルタ107の係数を設定することができる。
【0037】
このように、車109内に設置したセンシングマイク112で車室内の消音状態を検出し、車室内騒音と相関の高い信号をリファレンス信号として、適応フィルタ107の係数をフィルタ係数更新器108で逐次更新することで、リファレンス信号と相関の高い車室内騒音を消音することができる。
【0038】
次に消音量推定器103の動作について説明する。 消音量推定器103は、適応フィルタ107の出力信号から、車109内のアクティブノイズコントローラ102による消音後の騒音特性を推定する。
【0039】
適応フィルタ107の出力信号が抑圧しようとする騒音信号と同振幅逆位相の場合に消音量が大きくなり、振幅が小さければ消音量は小さくなると考えられるため、例えば、適応フィルタ107の出力信号の振幅を分析すれば、消音量の大小が推定できる。
【0040】
また、適応フィルタ107の出力信号の周波数分析をすれば、どの周波数帯域の信号が抑圧されているかが推定できる。アクティブノイズコントローラ102による車室内騒音の消音量が推定できれば、図4に示したような車速ごとの車室内騒音特性から、消音後の車室内騒音特性が推定できる。
【0041】
消音量推定器103は、そのようにして推定したアクティブノイズコントローラ102による車室内騒音の消音量または消音後の車室内騒音特性をイコライザ制御器105に通知する。
【0042】
イコライザ制御器105は、消音量推定器103によって通知された情報によって、消音後の車室内騒音特性に適したイコライザ104のイコライザ係数を、イコライザ係数格納器106から選択し、イコライザ104のイコライザ係数を入れ替える。
【0043】
そのため、アクティブノイズコントローラ102により車室内騒音特性が変化しても、その変化した後の騒音特性に応じた車速連動型イコライザ104のイコライザ特性を設定することができる。
【0044】
このような本発明の第1の実施の形態の車室内音響装置によれば、車速連動型イコライザと、アクティブノイズコントローラと、消音量推定器とを設けることにより、アクティブノイズコントローラによって車室内騒音特性が変化しても、その変化後の騒音特性に応じた適切な制御が行われるため、車速連動型イコライザによって制御されたオーディオ信号が聴感上大きくなってしまうことなく自然な聴感を得ることができる車速連動型イコライザ特性を設定することができる。
【0045】
次に、本発明の第1の実施の形態の車室内音響装置における装置構成の簡易性について、図3を用いて説明する。
【0046】
図3は、本発明の第1の実施の形態の車室内音響装置とは異なる方法による車室内騒音特性推定方法を示す図である。
【0047】
図3において、300はオーディオ信号除去装置であり、車304内に設置されたセンシングマイク306で検出された信号から、車304内の騒音を推定するために必要な装置である。センシングマイク306には、車室内騒音の他に、オーディオ用スピーカ305から車304内に放射されたオーディオ信号も入力される。
【0048】
そのため、センシングマイク306で検出された信号から車室内騒音を推定するためには、オーディオ信号を除去する必要がある。オーディオ信号除去装置300は、オーディオ信号を除去するための適応フィルタ301と、適応フィルタ301の係数を更新するフィルタ係数更新器302と、センシングマイク306の出力信号から適応フィルタ301の出力信号を減算する減算器303とから構成されている。
【0049】
減算器303は、センシングマイク306の出力信号から適応フィルタ301の出力信号を減算し、減算器303の出力信号は、誤差信号としてフィルタ係数更新器302に入力される。フィルタ係数更新器302は、その誤差信号とオーディオ信号から、誤差信号の2乗和が最小になるように適応フィルタ301の係数を逐次更新する。
【0050】
適応フィルタ301の係数が十分収束した後は、減算器303の出力は、センシングマイク306の出力信号から、オーディオ信号が除去された特性となる。したがって、減算器303の出力信号を分析すれば、車304内の騒音信号だけを分析することができる。
【0051】
このように、第1の実施の形態の車室内音響装置によれば、消音量推定器を設けることにより、図3に示したようなオーディオ信号除去装置が必要なくなり、装置を複雑な構成にしなくても良いという効果を有する。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の第2の実施の形態の車載用音響装置を図2に示す。
図2において、車載用音響装置200は、オーディオ信号の振幅周波数特性を変更する車速連動型イコライザ201と、リファレンス信号の振幅と位相特性を変更して出力するアクティブノイズコントローラ202と、アクティブノイズコントローラ202の出力信号からアクティブノイズコントローラによる消音量を推定する消音量推定器203と、車速連動型イコライザ201によるオーディオ信号の補償量を変更する補償量変更フィルタ213とを有する構成である。
【0052】
車載用音響装置200は、補償量変更フィルタ213の出力を車209内に放射するオーディオ用スピーカ210と、アクティブノイズコントローラ202の出力を車209内に放射する消音用スピーカ211と、車209内の消音状態を検出するセンシングマイク212に接続可能に構成されている。
【0053】
車速連動型イコライザ201は、オーディオ信号の振幅特性を変更するイコライザ204と、イコライザ204の係数を変更するイコライザ制御器205と、イコライザ204の係数を格納するイコライザ係数格納器206とから構成されている。
【0054】
また、アクティブノイズコントローラ202は、リファレンス信号の振幅と位相特性を変更する適応フィルタ207と、適応フィルタ207の係数を更新するフィルタ係数更新器208とから構成されている。
【0055】
また、補償量変更フィルタ213は、車速連動型イコライザ201の出力信号の特性を変更するオーディオ特性変更フィルタ214と、オーディオ信号特性変更フィルタ214の係数を変更するフィルタ制御器215と、オーディオ特性変更フィルタ214の係数を格納するフィルタ係数格納器216とから構成されている。
【0056】
以上のように構成された車載用音響装置について、図2を用いてその動作を説明する。図2において、車速連動型イコライザ201およびアクティブノイズコントローラ202の動作は、図1と同様である。
【0057】
ただし、アクティブノイズコントローラ202で抑圧しようとする車209内の騒音はエンジンノイズのような狭帯域ノイズであり、リファレンス信号としてエンジンノイズと相関の高い、例えばエンジンパルスを用いている場合とする。
【0058】
この場合には、ノイズが抑圧される帯域だけイコライザ204のゲインを小さくすれば良いが、イコライザ特性格納器206に格納してある特性は、図5に示したような低域のゲインを持ち上げたような特性になっているため、イコライザ制御器205では狭帯域のゲインだけを小さくすることはできない。そこで、補償量変更フィルタ213によって、狭帯域のゲインを小さくするように制御する。
【0059】
図6は、エンジンノイズが約200Hzの狭帯域ノイズであり、アクティブノイズコントローラ202による騒音抑圧量が小、中、大のときそれぞれの補償量変更フィルタ213のフィルタ特性設定例を示す図である。
【0060】
図6において、波形(a)は騒音抑圧量が小のとき、波形(b)は騒音抑圧量が中のとき、波形(c)は騒音抑圧量が大のときの、それぞれのフィルタ特性設定値を表す。
消音量推定器203は、適応フィルタ207の出力信号から、消音後の車室内騒音の特性を推定し、フィルタ制御器215にその情報を通知する。
【0061】
フィルタ制御器215は、消音量推定器203によって通知された情報によって、消音
後の車室内騒音特性に対応したオーディオ特性変更フィルタ214の係数を、フィルタ係数格納器216に格納してある係数から選択し、オーディオ特性変更フィルタ214の係数を入れ替える。
【0062】
オーディオ特性変更フィルタ214は、フィルタ制御器215によって変えられた係数に基づいて車速連動型イコライザによって制御されたオーディオ信号の特性を変更する。
【0063】
そのため、アクティブノイズコントローラ202により狭帯域の車室内騒音特性が変化しても、その変化した後の騒音特性に応じたオーディオ特性に制御することができる。
【0064】
このような本発明の第2の実施の形態の車室内音響装置によれば、車速連動型イコライザと、アクティブノイズコントローラと、補償量変更フィルタと、消音量推定器を設けることにより、アクティブノイズコントローラによって狭帯域の車室内騒音特性が変化しても、その変化後の騒音特性に応じた適切な制御が行われるため、車速連動型イコライザによって制御されたオーディオ信号が聴感上大きくなってしまうことなく自然な聴感を得ることができるオーディオ信号の補償ができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる車載用音響装置は、車速連動型イコライザとアクティブノイズコントローラを同時に動作させたときに、アクティブノイズコントローラの出力信号から車室内騒音の消音量を推定する消音量推定器を設けることにより、アクティブノイズコントローラによる車室内騒音の消音量を推定し、その推定した消音量に応じて車速連動型イコライザのゲインを変えることで、車室内騒音の減衰を行い、かつ車室内騒音の量に応じた聴感上自然なオーディオ信号の補償ができるという効果を有し、車室内の騒音によって聴こえにくくなったオーディオ信号を聴こえやすくするために、車速に応じてオーディオ信号の再生ボリュームやオーディオ信号にかけるイコライザ特性を変更する車速連動型ボリュームまたは車速連動型イコライザや、車室内の騒音を、騒音と同振幅逆位相の音を出力することで打ち消すアクティブノイズコントローラを含む車載用音響装置等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
100 車載用音響装置
101 車速連動型イコライザ
102 アクティブノイズコントローラ
103 消音量推定器
104 イコライザ
105 イコライザ制御器
106 イコライザ係数格納器
107 適応フィルタ
108 フィルタ係数更新器
109 車
110 オーディオ用スピーカ
111 消音用スピーカ
112 センシングマイク
200 車載用音響装置
201 車速連動型イコライザ
202 アクティブノイズコントローラ
203 消音量推定器
204 イコライザ
205 イコライザ制御器
206 イコライザ係数格納器
207 適応フィルタ
208 フィルタ係数更新器
209 車
210 オーディオ用スピーカ
211 消音用スピーカ
212 センシングマイク
213 補償量変更フィルタ
214 オーディオ特性変更フィルタ
215 フィルタ制御器
216 フィルタ係数格納器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車速に応じてオーディオ信号にかけるイコライザの特性を変更するイコライザ制御器を有した車速連動型イコライザと、
車室内の騒音を、その騒音と同振幅逆位相の信号を出力することで打ち消すアクティブノイズコントローラと、
前記アクティブノイズコントローラによる車室内騒音の消音量を推定する消音量推定器とを備え、
前記消音量推定器は、前記アクティブノイズコントローラの出力信号から車室内騒音の消音量を推定し、その推定した消音量に応じて前記イコライザ制御器が前記車速連動型イコライザのイコライザ特性を制御することを特徴とする車載用音響装置。
【請求項2】
車速に応じてオーディオ信号にかけるイコライザの特性を変更する車速連動型イコライザと、
車室内の騒音を、その騒音と同振幅逆位相の信号を出力することで打ち消すアクティブノイズコントローラと、
前記オーディオ信号の特性を変更する補償量変更フィルタをと、
前記アクティブノイズコントローラによる車室内騒音の消音量を推定する消音量推定器とを備え、
前記消音量推定器は、前記アクティブノイズコントローラの出力信号から車室内騒音の消音量を推定し、前記補償量変更は、前記消音推定器が推定した消音量に応じてフィルタの制御を変えることを特徴とする車載用音響装置。
【請求項3】
前記車速連動型イコライザが、オーディオ特性を変えるイコライザと、車速に応じた前記イコライザの特性を格納するイコライザ特性格納器と、前記イコライザの特性を変えるイコライザ制御器からなり、前記イコライザ制御器は、入力された車速信号に応じて前記イコライザ特性格納器に格納されたイコライザ特性を選択し、前記イコライザの特性を変更することを特徴とする請求項1または2記載の車載用音響装置。
【請求項4】
前記補償量変更フィルタが、オーディオ信号の特性を変えるオーディオ特性変更フィルタと、前記アクティブノイズコントローラの消音量に応じた前記オーディオ特性変更フィルタの特性を格納するフィルタ特性格納器と、前記オーディオ特性変更フィルタの特性を変えるフィルタ制御器からなり、前記フィルタ制御器は、前記消音量推定器の出力信号に応じて、前記フィルタ特性格納器に格納されたフィルタ特性を選択し、前記オーディオ特性変更フィルタの特性を変更することを特徴とする請求項2記載の車載用音響装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−161965(P2011−161965A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23893(P2010−23893)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】