説明

車載装置及びセンター装置

【課題】渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる装置を提供する。
【解決手段】車載ナビゲーション装置1は、対応付ける渋滞情報をセンター装置2から受信していなく且つバス路線に該当する道路リンクが存在すると、バス時刻表を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける。現在日時及び曜日が当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯であれば、渋滞頻度が大きい渋滞レベルを表す渋滞情報を対応付けることにより、バスの運行時間帯であるか否かを判断基準として渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センター装置から受信した渋滞情報を道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付けるように構成されてなる車載装置、車載装置から受信したプローブデータ(現在位置、方位、車速)に基づいて渋滞レベルを表す渋滞情報(渋滞線)を生成するように構成されてなるセンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センター装置が車載ナビゲーション装置から受信したプローブデータ(現在位置、方位、車速)に基づいて渋滞レベルを表す渋滞情報(渋滞線)を生成して車載ナビゲーション装置に配信し、車載ナビゲーション装置がセンター装置から受信した渋滞情報を道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付けるシステムが供されている(例えば特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平7−239997号公報
【特許文献2】特開2001−194170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記したシステムでは、車載ナビゲーション装置からセンター装置に十分なプローブデータが送信された道路リンクに対しては渋滞情報を対応付け可能であるが、一方、車載ナビゲーション装置からセンター装置にプローブデータが送信されなかった或いは車載ナビゲーション装置からセンター装置にプローブデータが送信されたがプローブデータが十分でない道路リンクに対しては渋滞情報を対応付け不可能であり、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに対しては統計で取得した渋滞情報を対応付けるようにしている。しかしながら、統計は不十分な点が多くて実情と整合していない場合が多々あり、渋滞情報を道路リンクに対して対応付ける精度が劣るという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる車載装置及びセンター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した車載装置によれば、運行計画取得手段は、予め規定されている運行計画に準じて運行する特定車両の運行計画を取得し、制御手段は、道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を渋滞情報受信手段が受信していなく且つ特定車両が運行する道路リンクが存在すると、運行計画取得手段が取得した特定車両の運行計画を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける。
【0006】
これにより、車載装置において、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在する場合であっても、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが特定車両の運行する道路リンクであれば、特定車両の運行計画を参照して渋滞レベルを決定して渋滞情報を対応付けるようになるので、特定車両の運行計画として渋滞や混雑を誘発する可能性が高い特定車両の時刻表を参照し、現在日時及び曜日が当該道路リンクにおける特定車両の運行時間帯であれば、渋滞頻度が大きい渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けることにより、特定車両の運行時間帯であるか否かを判断基準として渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる。
【0007】
請求項2に記載した車載装置によれば、制御手段は、道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を渋滞情報受信手段が受信していなく且つ特定車両が運行する道路リンクが存在するが、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を渋滞情報受信手段が受信していると、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける。
【0008】
これにより、車載装置において、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在するが、その道路リンクの前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付け可能であれば、その道路リンクに対して当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定して渋滞情報を対応付けるようになるので、前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を判断基準として渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる。
【0009】
請求項3に記載した車載装置によれば、表示制御手段は、制御手段が特定車両の運行計画を参照して決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を表示手段に表示させる。これにより、精度が高い渋滞情報をユーザに視覚的に報知することができる。
【0010】
請求項4に記載した車載装置によれば、経路探索手段は、制御手段が特定車両の運行計画を参照して決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を考慮して経路を探索する。これにより、精度が高い渋滞情報を考慮した適切な経路を探索することができ、適切な経路案内を実施することができる。
【0011】
請求項5に記載したセンター装置によれば、運行計画取得手段は、予め規定されている運行計画に準じて運行する特定車両の運行計画を取得し、制御手段は、道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を渋滞情報生成手段が生成していなく且つ特定車両が運行する道路リンクが存在すると、運行計画取得手段が取得した特定車両の運行計画を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける。
【0012】
これにより、センター装置においても、上記した請求項1に記載したもの同様にして、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在する場合であっても、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが特定車両の運行する道路リンクであれば、特定車両の運行計画を参照して渋滞レベルを決定して渋滞情報を対応付けるようになるので、特定車両の運行計画として渋滞や混雑を誘発する可能性が高い特定車両の時刻表を参照し、現在日時及び曜日が当該道路リンクにおける特定車両の運行時間帯であれば、渋滞頻度が大きい渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けることにより、特定車両の運行時間帯であるか否かを判断基準として渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる。
【0013】
請求項6に記載したセンター装置によれば、制御手段は、道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を渋滞情報生成手段が生成していなく且つ特定車両が運行する道路リンクが存在するが、渋滞情報生成手段が当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を生成していると、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける。
【0014】
これにより、センター装置においても、上記した請求項2に記載したもの同様にして、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在するが、その道路リンクの前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付け可能であれば、その道路リンクに対して当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定して渋滞情報を対応付けるようになるので、前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を判断基準として渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の車載装置を車載ナビゲーション装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は車載ナビゲーション装置の構成を機能ブロックの組み合わせで示しており、図2はシステムの全体構成を概略的に示している。
【0016】
車両に搭載されている車載ナビゲーション装置1(本発明でいう車載装置)と交通情報センターに設置されているセンター装置2とは移動通信網を介して移動体通信するように構成されている。車載ナビゲーション装置1とセンター装置2とはN(不特定多数)対1の関係にあり、センター装置2は、不特定多数の車両に搭載されている不特定多数の車載ナビゲーション装置1と移動通信網を介して通信可能に構成されている。車載ナビゲーション装置1を搭載している車両は例えばタクシーなどの用途が限定される車両でも良いし用途が限定されない車両でも良い。
【0017】
車載ナビゲーション装置1は、制御部3(本発明でいう車載装置の制御手段、車載装置の運行計画取得手段、表示制御手段、経路探索手段)と、位置検出器4と、道路地図データ記憶部5(本発明でいう車載装置の道路地図データ記憶手段)と、通信装置6(本発明でいう渋滞情報受信手段)と、操作スイッチ群7と、表示装置8(本発明でいう表示手段)と、音声出力装置9とを備えて構成されている。
【0018】
制御部3は、CPU、RAM、ROM及びI/Oバスを有し、周知のマイクロコンピュータから構成され、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。位置検出器4は、GPS受信機10、ジャイロスコープ11、車速センサ12を備え、これらの各構成要素は互いに性質の異なる検出誤差を有している。道路地図データ記憶部5は、種別や形状や車線数などを表す道路リンクを含む道路地図データと、渋滞情報を道路リンクに対して対応付けるための渋滞情報リンク対応データテーブルと、運行計画データとして予め規定されているバス(本発明でいう特定車両)の運行計画を表すバス時刻表とを記憶している。ここでいうバスとは例えば市内などの限られた所定エリアを定期的に運行する定期バスである。また、これら道路地図データ、渋滞情報リンク対応データテーブル、運行計画データは最新のデータに逐一更新可能となっている。
【0019】
通信装置6は、センター装置2との間で移動通信網を介して移動体通信する。操作スイッチ群7は、表示装置8の周辺に配置されているメカニカルスイッチや表示装置8に形成されるタッチスイッチから構成され、運転者を含む乗員が行う操作内容(例えばメニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、表示画面変更及び音量調整など)を検出して制御部3に出力する。表示装置8は、例えばカラー液晶ディスプレイから構成され、メニュー表示選択画面などの各種の表示画面を表示したり現在位置を表す現在位置図形や走行軌跡などを道路地図データにより表される道路リンクに重畳して表示したりする。尚、表示装置8は、有機ELやプラズマディスプレイなどから構成されていても良い。音声出力装置9は、スピーカから警告音や例えば経路案内の音声ガイダンスなどを出力させる。
【0020】
制御部3は、その機能毎に、現在位置を算出する現在位置算出部13、現在日時及び曜日(カレンダー)を算出する現在日時曜日算出部14、表示装置8における表示動作を制御する表示制御部15、渋滞情報を処理する渋滞情報処理部16、乗員が操作スイッチ群7を操作して入力した目的地を設定する目的地設定部17、現在位置算出部13が算出した現在位置から目的地設定部17が設定した目的地に至るまでの経路を探索する経路探索部18、経路探索部18が探索した経路を格納する経路格納部19などを備えて構成されている。また、制御部3は、車両の走行状態において現在位置と方位と車速とを1単位とするプローブデータを定期的(例えば一定距離を走行する毎或いは一定時間が経過する毎)に取得し、その定期的に取得したプローブデータを通信装置6から移動通信網を介してセンター装置2に定期的に送信させる。
【0021】
センター装置2は、制御部20(本発明でいうセンター装置の制御手段、渋滞情報生成手段、センター装置の運行計画取得手段)と、車載ナビゲーション装置1から送信されたプローブデータを受信するプローブデータ受信部21(本発明でいうプローブデータ受信手段)と、渋滞情報を配信する渋滞情報配信部22と、道路地図データ記憶部23(本発明でいうセンター装置の道路地図データ記憶手段)と、渋滞情報データベース24とを備えて構成されている。
【0022】
制御部20は、CPU、RAM、ROM及びI/Oバスを有し、周知のマイクロコンピュータから構成され、制御プログラムを実行して装置全体の動作を制御する。道路地図データ記憶部23は、上記した車載ナビゲーション装置1における道路地図データ記憶部5と同様にして、種別や形状や車線数などを表す道路リンクを含む道路地図データと、渋滞情報を道路リンクに対して対応付けるための渋滞情報リンク対応データテーブルと、運行計画データとして予め規定されているバスの運行計画を表すバス時刻表とを記憶している。また、これら道路地図データ、渋滞情報リンク対応データテーブル、運行計画データも最新のデータに逐一更新可能となっている。
【0023】
制御部20は、車載ナビゲーション装置1から送信されたプローブデータをプローブデータ受信部21により受信すると、その受信したプローブデータから現在位置及び方位を抽出し、その抽出した現在位置及び方位に対応する道路地図データを道路地図データ記憶部23から読出し、現在位置を道路地図データ記憶部23から読出した道路地図データにより表される道路リンクにマップマッチングすると共に、プローブデータから車速を抽出し、現在位置をマップマッチングした道路リンクに対して当該抽出した車速に応じて渋滞情報を生成する。
【0024】
具体的には、制御部20は、プローブデータから抽出した車速が「時速10km未満」であれば、当該道路リンクの渋滞レベルを渋滞頻度が大きいことを表す「渋滞」と特定する渋滞情報を生成し、車速が「時速20km未満」であれば、当該道路リンクの渋滞レベルを渋滞頻度が中くらいであることを表す「混雑」と特定する渋滞情報を生成し、車速が「時速20km以上」であれば、当該道路リンクの渋滞レベルを渋滞頻度が小さいことを表す「空き道」と特定する渋滞情報を生成する。そして、制御部20は、このようにして渋滞情報を生成する毎に、その生成した渋滞情報と道路リンクとの対応を渋滞情報データベース24に書込んで渋滞情報データベース24を逐一更新すると共に、最新の渋滞情報を渋滞情報配信部22から車載ナビゲーション装置1に配信させる。
【0025】
尚、制御部20は、車載ナビゲーション装置1から受信したプローブデータのデータ量が十分な場合には、プローブデータから抽出した車速に応じて渋滞情報を生成することが可能であるが、一方、車載ナビゲーション装置1からプローブデータを受信しなかった場合或いは車載ナビゲーション装置1からプローブデータを受信したがデータ量が十分でない場合には、渋滞情報を生成することは不可能である。
【0026】
車載ナビゲーション装置1において、制御部3は、センター装置2から配信された渋滞情報を通信装置6により受信すると、その受信した渋滞情報の範囲に対応する道路地図データを道路地図データ記憶部5から読出し、その受信した渋滞情報を道路地図データ記憶部5から読出した道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付け、その道路リンクに対して対応付けた渋滞情報を表示装置8に表示させたり当該渋滞情報を考慮して経路を探索したりする。
【0027】
すなわち、制御部3は、渋滞情報を表示装置8に表示させる場合には、渋滞情報を渋滞レベルに応じて表示態様(例えば表示色)を異ならせて表示させ、渋滞情報の渋滞レベルが「渋滞」であれば、その渋滞情報を赤色で表示させ、渋滞情報の渋滞レベルが「混雑」であれば、その渋滞情報を橙色で表示させ、渋滞情報の渋滞レベルが「空き道」であれば、その渋滞情報を青色で表示させる。また、制御部3は、渋滞情報を考慮して経路を探索する場合には、渋滞情報の渋滞レベルに応じて道路リンク毎の通過時間を計算し、その道路リンク毎に計算した通過時間を累計して現在位置から目的地に至るまでの経路を探索する。
【0028】
次に、上記した構成の作用について、図3ないし図6を参照して説明する。
車載ナビゲーション装置1において、制御部3は、センター装置2から配信された渋滞情報を通信装置6により受信したか否かを判定している(ステップS1)。制御部3は、センター装置2から配信された渋滞情報を通信装置6により受信した旨を判定すると(ステップS1にて「YES」)、その受信した渋滞情報の範囲に対応する道路地図データを道路地図データ記憶部5から読出し、その受信した渋滞情報を道路地図データ記憶部5から読出した道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付ける(ステップS2)。
【0029】
次いで、制御部3は、渋滞情報を対応付け不可能な(渋滞情報を対応付けることができない)道路リンクが存在するか否かを判定する(ステップS3)。ここで、制御部3は、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在する旨を判定すると(ステップS3にて「YES」)、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクがバス路線(バスが運行する道路)であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0030】
次いで、制御部3は、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクがバス路線であると判定すると(ステップS4にて「YES」)、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けたか否かを判定する(ステップS5)。そして、制御部3は、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けていない旨を判定すると(ステップS5にて「NO」)、現在日時及び曜日を現在日時曜日算出部14により算出し(ステップS6)、道路地図データ記憶部5からバス時刻表を読出す(取得する)(ステップS7)。
【0031】
次いで、制御部3は、算出した現在日時及び曜日と取得したバス時刻表とを照合し、現在日時及び曜日が当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯であるか否かを判定する(ステップS8)。すなわち、制御部3は、例えば現在時刻が「10:00」であり、当該道路リンクの途中に設置されているバス停でのバスの予定停車時刻が「10:05」であると仮定すると、バスが絶対的には定刻通りに運行しない事情を考慮して予定停車時刻の前後に10分ずつの幅を持たせた時間帯を運行時間帯と見做し、この場合であれば、現在時刻である「10:00」がバスの運行時間帯である「9:55」〜「10:15」に該当する(外れない)ことになるので、現在日時及び曜日が当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯である旨を判定する。
【0032】
一方、制御部3は、例えば現在時刻が「10:18」であれば、現在時刻である「10:18」がバスの運行時間帯である「9:55」〜「10:15」に該当しない(外れる)ことになるので、現在日時及び曜日が当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯でない旨を判定する。尚、運行時間帯と見做す時間帯は、予定停車時刻の前後に10分ずつの幅を持たせた時間帯に限らず、予定停車時刻の前後に10分を超えない幅や10分を超えた幅を持たせた時間帯でも良い。また、バス停が設置されていない道路リンクに対しては、その最も近い前後のバス停でのバスの予定停車時刻から当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯を計算するようにしても良い。
【0033】
さて、制御部3は、現在日時及び曜日が当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯である旨を判定すると(ステップS8にて「YES」)、バス時刻表を参照して渋滞レベルを決定し(ステップS9)、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける(ステップS10)。また、制御部3は、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けた旨を判定すると(ステップS5にて「YES」)、その道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して対応付けた渋滞情報を参照して渋滞レベルを決定し(ステップS11)、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける(ステップS10)。
【0034】
具体的に説明すると、制御部3は、図4(a)に示すように、道路地図データ記憶部5から読出した道路地図データのうち渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在し、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが「a1」〜「a7」にて示すバス路線の一部であり、「a1」、「a5」、「a7」の道路リンクに対してはセンター装置2から配信された渋滞情報を対応付け可能であるが、「a2」、「a3」、「a4」、「a6」に対しては渋滞情報を対応付け不可能である場合に、「a2」、「a3」、「a4」に対しては隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けていないので、現在時刻がバスの運行時間帯であれば、バス時刻表を参照して渋滞レベルを決定し、「a6」に対しては隣接する前後の道路リンクである「a5」、「a7」に対して渋滞情報を対応付けたので、それら隣接する前後の道路リンクに対して対応付けた渋滞情報の渋滞レベルに準じて渋滞レベルを決定する。
【0035】
すなわち、制御部3は、図4(b)に示すように、「a2」、「a3」、「a4」に対しては渋滞レベルを「渋滞」に決定し、「a6」に隣接する前後の道路リンクである「a5」、「a7」に対して渋滞レベルが「渋滞」の渋滞情報を対応付けたので、「a6」に対しても渋滞レベルを「渋滞」に決定する。尚、「a2」、「a3」、「a4」に対して渋滞レベルを渋滞頻度が大きい「渋滞」に決定することに代えて、「a2」、「a3」、「a4」に対して渋滞レベルを渋滞頻度が中くらいの「混雑」に決定しても良く、「渋滞」及び「混雑」のいずれを決定するかは例えば現在時刻が朝夕の通勤時間帯であるか否か、運行間隔が長いか短いか或いは該当する道路リンクの車線数が多いか少ないかなどを考慮して決定すれば良い。
【0036】
また、制御部3は、図5(a)に示すように、「a6」に隣接する前後の道路リンクである「a5」、「a7」に対して渋滞レベルが「混雑」の渋滞情報を対応付けた場合には、「a6」に対しても渋滞レベルを「混雑」に決定しても良く、渋滞レベルが「渋滞」の渋滞情報を対応付けた「a1」に近い「a2」、「a3」に対しては渋滞レベルを「渋滞」に決定し、一方、渋滞レベルが「混雑」の渋滞情報を対応付けた「a5」に近い「a4」に対しては渋滞レベルを「混雑」に決定しても良い。
【0037】
尚、制御部3は、「a2」、「a3」、「a4」に対しては隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けていない場合であっても、現在時刻がバスの運行時間帯でなければ、渋滞レベルを決定することはない。すなわち、制御部3は、図5(b)に示すように、「a2」、「a3」、「a4」に対しては渋滞レベルを決定することなく、「a6」に隣接する前後の道路リンクである「a5」、「a7」に対して渋滞レベルが「渋滞」の渋滞情報を対応付けたので、「a6」に対してのみ渋滞レベルを「渋滞」に決定する。
【0038】
要するに、制御部3は、バスが渋滞や混雑を誘発する可能性が高い車両であると見做すことにより、渋滞情報を対応付けることが不可能な道路リンクが存在し、且つ現在時刻が
当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯であれば、渋滞レベルを渋滞頻度が高い「渋滞」或いは「混雑」に決定して当該道路リンク対して対応付ける。
【0039】
ところで、以上は、車載ナビゲーション装置1において、センター装置2から受信した渋滞情報を自装置で記憶している道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付ける場合を説明したが、センター装置2において、車載ナビゲーション装置1から受信したプローブデータに基づいて渋滞情報を生成した後に、その生成した渋滞情報を自装置で記憶している道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付け、渋滞情報を車載ナビゲーション装置1に配信するようにしても良い。
【0040】
すなわち、センター装置2において、制御部20は、車載ナビゲーション装置1から送信されたプローブデータをプローブデータ受信部21により受信したか否かを判定しており(ステップS21)、車載ナビゲーション装置1から送信されたプローブデータをプローブデータ受信部21により受信した旨を判定すると(ステップS21にて「YES」)、その受信したプローブデータから車速を抽出し、その抽出した車速に応じて渋滞情報を生成する(ステップS22)。
【0041】
次いで、制御部20は、その生成した渋滞情報を渋滞情報配信部22から車載ナビゲーション装置1に配信させるのではなく、その生成した渋滞情報の範囲に対応する道路地図データを道路地図データ記憶部23から読出し、その生成した渋滞情報を道路地図データ記憶部23から読出した道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付ける(ステップS23)。
【0042】
ここで、制御部20は、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクが存在する旨を判定すると(ステップS24にて「YES」)、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクがバス路線であるか否かを判定し(ステップS25)、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクがバス路線であると判定すると(ステップS25にて「YES」)、その渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けたか否かを判定する(ステップS26)。そして、制御部20は、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けていない旨を判定すると(ステップ26にて「NO」)、現在日時及び曜日を算出し(ステップS27)、道路地図データ記憶部27からバス時刻表を読出す(取得する)(ステップS28)。
【0043】
次いで、制御部20は、算出した現在日時及び曜日と取得したバス時刻表とを照合し、現在時刻がバスの運行時間帯であるか否かを判定し(ステップS29)、現在時刻がバスの運行時間帯である旨を判定すると(ステップS29にて「YES」)、バス時刻表を参照して渋滞レベルを決定し(ステップS30)、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける(ステップS31)。また、制御部20は、渋滞情報を対応付け不可能な道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して渋滞情報を対応付けた旨を判定すると(ステップS26にて「YES」)、その道路リンクに隣接する前後の道路リンクに対して対応付けた渋滞情報を参照して渋滞レベルを決定し(ステップS32)、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付ける(ステップS31)。
【0044】
このように、センター装置2においても、車載ナビゲーション装置1が行う渋滞情報を道路リンクに対して対応付ける処理を行い、その道路リンクに対して対応付けた渋滞情報を車載ナビゲーション装置1に配信しても良い。
【0045】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ナビゲーション装置1において、対応付ける渋滞情報をセンター装置2から受信していなく且つバス路線に該当する道路リンクが存在すると、バス時刻表を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けるように構成したので、
現在日時及び曜日が当該道路リンクにおけるバスの運行時間帯であれば、渋滞頻度が大きい渋滞レベルを表す渋滞情報を対応付けることにより、バスの運行時間帯であるか否かを判断基準として渋滞情報を道路リンクに対して精度良く対応付けることができる。
【0046】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
特定車両は、渋滞や混雑を誘発する可能性が高い車両であればバスに限らず、例えば路面電車などの他の車両であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、車載ナビゲーション装置の機能ブロック図
【図2】システムの全体構成を示す図
【図3】車載ナビゲーション装置が行う処理を示すフローチャート
【図4】渋滞情報を道路リンクに対して対応付ける態様を示す図
【図5】図4相当図
【図6】センター装置が行う処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は車載ナビゲーション装置(車載装置)、2はセンター装置、3は制御部(車載装置の制御手段、車載装置の運行計画取得手段、表示制御手段、経路探索手段)、5は道路地図データ記憶部(車載装置の道路地図データ記憶手段)、6は通信装置(渋滞情報受信手段)、8は表示装置(表示手段)、20は制御部(センター装置の制御手段、渋滞情報生成手段、センター装置の運行計画取得手段)、21はプローブデータ受信部(プローブデータ受信手段)、23は道路地図データ記憶部(車載装置の道路地図データ記憶手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター装置から渋滞レベルを表す渋滞情報を受信する渋滞情報受信手段と、
道路地図データを記憶している道路地図データ記憶手段から道路地図データを読出し、前記渋滞情報受信手段が受信した渋滞情報を前記道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付ける制御手段と、
予め規定されている運行計画に準じて運行する特定車両の運行計画を取得する運行計画取得手段とを備え、
前記制御手段は、前記道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を前記渋滞情報受信手段が受信していなく且つ前記特定車両が運行する道路リンクが存在する場合に、前記運行計画取得手段が取得した特定車両の運行計画を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車載装置において、
前記制御手段は、前記道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を前記渋滞情報受信手段が受信していなく且つ前記特定車両が運行する道路リンクが存在するが、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を前記渋滞情報受信手段が受信している場合に、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した車載装置において、
渋滞情報を表示手段に表示させる表示制御手段を備え、
前記表示制御手段は、前記制御手段が特定車両の運行計画を参照して決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を前記表示手段に表示させることを特徴とすることを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載した車載装置において、
渋滞情報を考慮して経路を探索する経路探索手段を備え、
前記経路探索手段は、前記制御手段が特定車両の運行計画を参照して決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を考慮して経路を探索することを特徴とすることを特徴とする車載装置。
【請求項5】
車載装置からプローブデータを受信するプローブデータ受信手段と、
前記プローブデータ受信手段が受信したプローブデータに基づいて渋滞レベルを表す渋滞情報を生成する渋滞情報生成手段と、
道路地図データを記憶している道路地図データ記憶手段から道路地図データを読出し、前記渋滞情報生成手段が生成した渋滞情報を前記道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクに対して対応付ける制御手段と、
予め規定されている運行計画に準じて運行する特定車両の運行計画を取得する運行計画取得手段とを備え、
前記制御手段は、前記道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を前記渋滞情報生成手段が生成していなく且つ前記特定車両が運行する道路リンクが存在する場合に、前記運行計画取得手段が取得した特定車両の運行計画を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けることを特徴とするセンター装置。
【請求項6】
請求項5に記載したセンター装置において、
前記制御手段は、前記道路地図データ記憶手段から読出した道路地図データにより表される道路リンクのうち対応付ける渋滞情報を前記渋滞情報生成手段が生成していなく且つ前記特定車両が運行する道路リンクが存在するが、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を前記渋滞情報生成手段が生成している場合に、当該道路リンクの前後の道路リンクに対して対応付ける渋滞情報を参照して当該道路リンクの渋滞レベルを決定し、その決定した渋滞レベルを表す渋滞情報を当該道路リンクに対して対応付けることを特徴とするセンター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−264953(P2009−264953A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115354(P2008−115354)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】