説明

車載通信装置

【課題】車両の停車位置が無線通信部と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である場合に、その旨をユーザに適切に認識させる。
【解決手段】車載通信装置1は、車両が停車状態であると判定し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると判定すると、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示すアラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりハザードランプ14を点滅させたりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信網との間で無線通信を行うことが可能な車載通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両盗難が発生したときに盗難通報信号を無線通信部から移動体通信網を通じてサービスセンターに設置されているセンター装置に送信したり、ユーザが携帯する携帯電話機から送信された遠隔操作信号を移動体通信網を通じて無線通信部により受信したときにエンジンを始動させたりドアを施錠・解錠したりする車載通信装置が供されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−51499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した車載通信装置は、車両が移動体通信網の通信圏内に停車されたことを条件として、盗難通報信号や遠隔操作信号を無線通信部により送受信することが可能であり、換言すれば、車両が移動体通信網の通信圏外又は受信環境が良好でない(微弱電波な)区域に停車されれば、盗難通報信号や遠隔操作信号を無線通信部により送受信することが不可能である。
【0005】
車両位置が移動体通信網の通信圏内又は通信圏外の何れであるかをユーザに認識させる手段としては例えばナビゲーション画面にアイコンを表示させる手段があるが、ナビゲーション画面に表示されるアイコンのサイズが小さく、又、ユーザがナビゲーション画面を操作しないとアイコンが表示されない場合もある。そのため、車両の停車位置が移動体通信網の通信圏外である場合に、その旨をユーザが認識しないまま車両から離れることが少なくないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である場合に、その旨をユーザに適切に認識させることができる車載通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、停車状態判定手段は、車両が停車状態であるか非停車状態であるかを判定し、通信可否判定手段は、無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定する。制御手段は、車両が停車状態であると停車状態判定手段が判定し且つ無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると通信可否判定手段が判定すると、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示す通知情報を通知手段により通知する。
【0008】
これにより、車両の停車位置が移動体通信網の通信圏外又は受信環境が良好でない(微弱電波な)区域であると、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示す通知情報を通知手段により通知することにより、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、通知手段は、通知情報を車内に向けて通知する車内向け通知手段と、通知情報を車外に向けて通知する車外向け通知手段とを備え、制御手段は、通知情報を車内向け通知手段により通知する態様、通知情報を車外向け通知手段により通知する態様、通知情報を車内向け通知手段と車外向け通知手段との双方により通知する態様を選択的に切換え、通知情報を通知手段により通知する。
【0010】
これにより、例えばユーザが車内に居る可能性が高いと想定される場合や通知情報を車外に向けて通知してしまうとユーザにとって不利益となる場合に、通知情報を車内に向けてのみ通知し、ユーザが車外に居る可能性が高いと想定される場合や通知情報を車外に向けて通知してもユーザにとって不利益とならない場合に、通知情報を車外に向けてのみ通知し、ユーザが車内又は車外の何れに居るかが不確かであると想定される場合や通知情報を車外に向けて通知してもユーザにとって不利益とならない場合に、通知情報を車内と車外との双方に向けて通知する等、ユーザの挙動や周囲の状況に追従しつつ、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、通知情報を通知手段により通知する必要があると判定すると、通知情報を通知手段により通知し、通知情報を通知手段により通知する必要がないと判定すると、通知情報を通知手段により通知しない。
【0012】
これにより、例えばユーザが無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を認識していない可能性が高いと想定される場合や通知情報を通知してもユーザにとって不利益とならない場合に、通知情報を通知することにより、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。一方、ユーザが無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を認識している可能性が高いと想定される場合や通知情報を通知してしまうとユーザにとって不利益となる場合に、通知情報を通知しないことにより、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、車両が停車状態であるときに車両位置取得手段により取得された今回の車両位置と車両位置履歴記憶手段に履歴として記憶されている過去の車両位置との関係が所定条件を満たしていると判定すると、通知情報を通知手段により通知する必要があると判定し、今回の車両位置と過去の車両位置との関係が所定条件を満たしていないと判定すると、通知情報を通知手段により通知する必要がないと判定する。
【0014】
これにより、例えば今回の停車位置を中心とする半径が所定距離の区域内に車両位置履歴である過去の停車位置が所定個数以上記憶されていない場合、即ち、ユーザが過去にあまり停車していない区域(ユーザが初めて訪れる旅行先等)に停車した場合に、通知情報を通知することにより、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。一方、今回の停車位置を中心とする半径が所定距離の区域内に車両位置履歴である過去の停車位置が所定個数以上記憶されている場合、即ち、ユーザが過去に頻繁に停車したことがある区域(ユーザが頻繁に利用する施設の地下駐車場等)に停車した場合に、通知情報を通知しないことにより、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。
【0015】
請求項5に記載した発明によれば、制御手段は、車両が停車状態であるときに車両位置取得手段により取得された今回の車両位置と登録地点記憶手段に記憶されている登録地点との関係が所定条件を満たしていると判定すると、通知情報を通知手段により通知する必要があると判定し、今回の車両位置と登録地点との関係が所定条件を満たしていないと判定すると、通知情報を通知手段により通知する必要がないと判定する。
【0016】
これにより、例えば今回の停車位置がユーザにより予め登録された登録地点を中心とする半径が所定距離の区域外である場合に、通知情報を通知することにより、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。一方、今回の停車位置がユーザにより予め登録された登録地点を中心とする半径が所定距離の区域内である場合に、通知情報を通知しないことにより、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。
【0017】
請求項6に記載した発明によれば、制御手段は、ユーザが車両に対して乗降するドアが開けられたこと及び閉じられたことの少なくとも何れかが行われたと判定すると、通知情報を通知手段により通知する必要がないと判定する。
【0018】
これにより、ドアが開けられたこと及び閉じられたことの少なくとも何れかが行われた場合、即ち、ユーザが車両から離れる可能性が高い場合に、通知情報を通知しないことにより、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。又、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を車両の周囲に居る第三者に知られてしまうことを未然に回避することができ、セキュリティを高めることができる。
【0019】
請求項7に記載した発明によれば、制御手段は、通知情報を通知手段により通知中であるときに通知情報の通知手段による通知を中止する必要があるか否かを判定し、制御手段は、通知情報を通知手段により通知中であるときに通知情報の通知手段による通知を中止する必要があると通知中止判定手段が判定すると、通知情報の通知手段による通知を中止する。これにより、通知情報の通知を中止することにより、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。
【0020】
請求項8に記載した発明によれば、制御手段は、通知情報を通知手段により通知中であるときにユーザが車両に対して乗降するドアが開けられたこと及び閉じられたことの少なくとも何れかが行われたと判定すると、通知情報の通知手段による通知を中止する必要があると判定する。
【0021】
これにより、通知情報を通知中であるときにドアが開けられたこと及び閉じられたことの少なくとも何れかが行われた場合、即ち、ユーザが車両から離れる可能性が高い場合に、通知情報の通知を中止することにより、これ以降に通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。又、この場合も、車両の停車位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を車両の周囲に居る第三者に知られてしまうことを未然に回避することができ、セキュリティを高めることができる。
【0022】
請求項9に記載した発明によれば、停車状態可能性判定手段は、車両が停車状態になる可能性があるか否かを判定する。制御手段は、車両が停車状態になる可能性があると停車状態可能性判定手段が判定し且つ無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると通信可否判定手段が判定すると、無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示す通知情報を通知手段により通知する。
【0023】
これにより、車両の停車位置が移動体通信網の通信圏外又は受信環境が良好でない区域である場合に加え、車両が停車状態になる可能性があると判定した位置が移動体通信網の通信圏外又は受信環境が良好でない区域である場合にも、無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示す通知情報を通知手段により通知することにより、車両がこれから停車する可能性がある位置が無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。即ち、車両が停車した後に通知情報を通知する構成では、移動体通信網の通信圏内に車両を停車させたいと考えるユーザが通知情報を認識した後に車両を再起動(エンジンを再始動)させる必要があり、ユーザにとって車両を再起動させる操作が煩雑であるが、一方、車両が停車する前に通知情報を通知する構成では、ユーザが車両を再起動させる必要がなく、移動体通信網の通信圏内に車両を停車させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】本発明の第2の実施形態を示すフローチャート
【図4】図3相当図
【図5】本発明の第3の実施形態を示すフローチャート
【図6】図5相当図
【図7】本発明の第4の実施形態を示すフローチャート
【図8】本発明の第5の実施形態を示す機能ブロック図
【図9】図2相当図
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、車載通信装置の全体構成を機能ブロック図として示している。車載通信装置1は、車両に搭載可能に構成されており、制御部2(本発明でいう停車状態判定手段、通信可否判定手段、制御手段)、無線通信部3(本発明でいう無線通信手段)、計時部4、測位部5(本発明でいう車両位置取得手段)、メモリ部6(本発明でいう車両位置履歴記憶手段、登録地点記憶手段)、LAN送受信部7及び音声処理部8を備えて構成されている。
【0026】
制御部2は、CPU、RAM、ROM等を有する周知のマイクロコンピュータを主体として構成され、車載通信装置1の動作全般を制御する。無線通信部3は、サービスセンターに設置されているセンター装置9やユーザが携帯する携帯電話機10との間で移動体通信網を通じた無線通信を行う。制御部2は、例えば車両盗難が発生したと判定すると、盗難通報信号を無線通信部3から移動体通信網を通じてセンター装置9に送信したり、携帯電話機10から送信された遠隔操作信号を移動体通信網を通じて無線通信部3により受信したと判定すると、エンジンを始動させたりドアを施錠・解錠したりする。
【0027】
計時部4は、制御部2から計時開始信号を入力すると計時を開始し、予め規定されている規定時間の計時を終了すると(タイムアップすると)、計時終了信号を制御部2に出力する。測位部5は、制御部2から車両位置取得信号を入力すると、GPS衛星から受信したGPS電波のパラメータを演算して取得した車両位置を制御部2に出力する。
【0028】
LAN送受信部7は、車両に搭載されているボデーECU11やアラームECU12等の各種ECUや各種システムと車両LAN13を通じて接続されており、本実施形態では、ボデーECU11から送信されたシートベルトが装着状態にあるか非装着状態にあるかを示すシートベルト信号、ドアが開閉されたか否かを示すドア開閉信号及びドアが施錠状態にあるか解錠状態にあるかを示すドアロック信号を車両LAN13を通じて受信すると、それらシートベルト信号、ドア開閉信号及びドアロック信号を制御部2に出力し、制御部2からハザード信号を入力すると、そのハザード信号を車両LAN13を通じてボデーECU11に送信する。ボデーECU11は、LAN送受信部7から送信されたハザード信号を受信すると、ハザードランプ14(本発明でいう通知手段、車外向け通知手段)を点滅させる。
【0029】
音声処理部8は、マイクロホン15により入力された送話音声を音声処理すると共に、スピーカ16(本発明でいう通知手段、車内向け通知手段)から出力される受話音声を音声処理する。又、音声処理部8は、制御部2から音声出力指令信号を入力すると、その音声出力指令信号に応じた音声情報をスピーカ16から音声出力させる。
【0030】
操作装置17(本発明でいう操作手段)は、車載通信装置1とは別体に設けられており、ユーザ(車両に乗車している乗員)の操作を受付けると、その受付けた操作内容を示す操作検出信号を制御部2に出力する。尚、操作装置17は、ハードキーや表示装置18(本発明でいう通知手段)の表示画面上に形成されるタッチパネルキー等から構成されている。表示装置18は、車載通信装置1とは別体に設けられ、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、制御部2から表示指令信号を入力すると、その表示指令信号に応じた表示情報を表示する。
【0031】
メモリ部6は、各種情報を保存し、上記した測位部5により取得された過去の車両位置を履歴として記憶したりユーザが操作装置17を操作して登録した登録地点を記憶したりする。メモリ部6が記憶可能な車両位置や登録地点の件数は規定されており、車両位置については、記憶可能な最大件数分の車両位置が記憶されている状態で新たな車両位置を記憶する場合には、その時点で記憶されている最大件数分の車両位置のうち最古の車両位置を消去して最新の車両位置を記憶する。
【0032】
キースイッチ19は、IG(イグニッション)スイッチのオンオフ状態を示すIG信号やACC(アクセサリ)スイッチのオンオフ状態を示すACC信号を制御部2に出力する。制御部2は、キースイッチ19から入力したIG信号に基づいてIGスイッチがオンである旨又はACC信号に基づいてACCスイッチがオンである旨を判定すると、車載通信装置1を電源オン状態として通常動作させる一方、キースイッチ19から入力したIG信号に基づいてIGスイッチがオフである旨又はACC信号に基づいてACCスイッチがオフである旨を判定すると、車載通信装置1を電源オフ状態として低消費電力動作させる。パーキングブレーキ20は、パーキングブレーキ20のオンオフ状態を示すパーキングブレーキ信号を制御部2に出力する。トランスミッション21は、ギアのシフト位置を示すシフト位置信号を制御部2に出力する。
【0033】
尚、本実施形態では測位部5が自律測位して車両位置を取得する構成を示しているが、ナビゲーションシステム(図示せず)から送信された車両位置を車両LAN13を通じてLAN送受信部7が受信することにより、ナビゲーションシステムがGPS電波から抽出したパラメータを演算して取得した車両位置を採用するように構成しても良い。この場合、測位部5が自律測位して取得する車両位置とナビゲーションシステムが取得する車両位置とを比較すると、後者は車速信号やジャイロセンサの検出結果や加速度センサの検出結果等が併用されていると共にマップマッチング処理により補正されているので、前者よりも位置精度が高いものである。
【0034】
次に、上記した構成の作用について、図2を参照して説明する。図2は制御部2が行う処理をフローチャートとして示している。尚、後述する停車状態とは、一般的に解釈される車両が停まっている時間が相対的に短い場合(渋滞中や信号待ち等は含まない)のみを含むものでなく、車両が停まっている時間が相対的に長いか短いかは問わず、駐車状態をも含むものとして扱うこととする。
【0035】
車載通信装置1において、制御部2は、車載通信装置1が電源オン状態にあるときには、キースイッチ19から入力するIG信号及びACC信号、パーキングブレーキ20から入力するパーキングブレーキ信号、トランスミッション21から入力するシフト位置信号、ボデーECU11からLAN送受信部7を通じて入力するシートベルト信号、ドア開閉信号及びドアロック信号を監視し、車両が非停車状態(走行状態)から停車状態に移行したか否か監視している(ステップS1)。
【0036】
ここで、制御部2は、キースイッチ19から入力したIG信号に基づいてIGスイッチがオンからオフに切換ったこと、キースイッチ19から入力したACC信号に基づいてACCスイッチがオンからオフに切換ったこと、パーキングブレーキ20から入力したパーキングブレーキ信号に基づいてパーキングブレーキがオフからオンに切換ったこと、トランスミッション21から入力したシフト位置信号に基づいてギアのシフト位置がパーキングレンジ以外のレンジからパーキングレンジに移動したこと、ボデーECU11からLAN送受信部7を通じて入力したシートベルト信号に基づいてシートベルトが装着状態から非装着状態に切換ったこと、ボデーECU11からLAN送受信部7を通じて入力したドア開閉信号及びドアロック信号に基づいてドアが開閉されて(開けられた後に閉じられて)から所定時間内に施錠されたこと、のうち何れかの条件が成立したと判定し、車両が非停車状態から停車状態に移行したと判定すると(ステップS1にて「YES)、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0037】
制御部2は、例えば移動体通信網から無線通信部3により受信した受信電波の受信電界強度を閾値と判定し、移動体通信網からの受信電波の受信電界強度が閾値以上であれば、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であると判定し、一方、移動体通信網からの受信電波の受信電界強度が閾値未満であれば、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると判定する。尚、制御部2は、移動体通信網からの受信電波の受信電界強度に基づいて無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定することに限らず、例えば移動体通信網の通信圏外であるか通信圏内であるかを示す地図情報を取得し、その取得した地図情報と車両位置とを照合することにより、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定しても良い。又、これらを併用し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定しても良い。
【0038】
ここで、制御部2は、車両の停車位置が移動体通信網の通信圏外又は受信環境が良好でない(微弱電波な)区域であり、移動体通信網からの受信電波の受信電界強度を閾値未満であると判定し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でない(不可能である)と判定すると(ステップS2にて「NO」)、計時開始信号を計時部4に出力し、計時部4による計時を開始し(ステップS3)、計時部4からの計時終了信号を監視することにより、予め規定されている規定時間が経過したか否かを判定する(ステップS4)。ここでいう規定時間は例えばユーザがキースイッチ19を操作したりパーキングブレーキを操作したりギアを移動させたりシートベルトを外したりしてから降車するまでに要する時間よりも短い時間、即ち、ユーザが車内に留まる時間よりも短い時間であることが望ましい。
【0039】
制御部2は、計時部4から計時終了信号を入力したと判定し、予め規定されている規定時間が経過したと判定すると(ステップS4にて「YES」)、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示す通知情報の通知を開始する(ステップS5)。具体的には、制御部2は、表示指令信号を表示装置18に出力し、例えば「通信圏外です」というアラーム表示情報を表示装置18に表示させたり、音声出力指令信号を音声処理部8に出力し、「通信圏外です」というアラーム音声情報をスピーカ16から音声出力させたり、ハザード信号をLAN送受信部7から車両LAN13を通じてボデーECU11に出力し、ハザードランプ14を点滅させたりすることにより、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨をユーザに対して通知する。
【0040】
そして、制御部2は、通知情報の通知を終了する条件が成立したか否かを判定し(ステップS6)、例えば通知情報の通知を終了してからの経過時間が規定時間に到達したり、ユーザの操作を操作装置17により受付けたりしたことにより、通知情報の通知を終了する条件が成立したか否かを判定すると(ステップS6にて「YES」)、通知情報の通知を終了し(ステップS7)、一連の処理を終了する。
【0041】
ところで、以上は、IGスイッチがオンからオフに切換ったこと、ACCスイッチがオンからオフに切換ったこと、パーキングブレーキがオフからオンに切換ったこと、ギアのシフト位置がパーキングレンジ以外のレンジからパーキングレンジに移動したこと、シートベルトが装着状態から非装着状態に切換ったこと、ドアが開閉されてから所定時間内に施錠されたことのうち何れかの条件が成立したと判定することにより、車両が停車状態であると判定する場合を説明したが、上記した複数の条件のうち幾つか(2つ以上)を組み合わせて車両が停車状態であると判定するようにしても良い。
【0042】
又、これら複数の条件のうち成立した条件に応じて通知情報を通知する態様を選択するようにしても良い。即ち、IGスイッチがオンからオフに切換ったこと、ACCスイッチがオンからオフに切換ったこと、パーキングブレーキがオフからオンに切換ったこと、ギアのシフト位置がパーキングレンジ以外のレンジからパーキングレンジに移動したこと、シートベルトが装着状態から非装着状態に切換ったことの何れかの条件が成立した場合には、ユーザが車内に居る可能性が高いことから、アラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりし、一方、ドアが開閉されてから所定時間内に施錠されたことの条件が成立した場合には、ユーザが車外に居る(車内に居ない)可能性が高いことから、ハザードランプ14を点滅させるようにしても良い。
【0043】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、車載通信装置1において、車両が停車状態であると判定し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると判定すると、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示すアラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりハザードランプ14を点滅させたりするように構成したので、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第2の実施形態は、通知情報を通知する必要があるか否かを判定し、通知情報を通知する必要があると判定すれば、通知情報を通知し、一方、通知情報を通知する必要がないと判定すれば、通知情報を通知しないものであり、通知情報を通知する必要があるか否かを今回の停車位置と過去の停車位置との関係に基づいて判定するものである。
【0045】
制御部2は、車両が停車状態であると判定すると(ステップS1にて「YES)、車両位置取得信号を測位部5に出力し、測位部5から最新の車両位置(例えば停車状態に移行する直前に測位した車両位置又は停車状態に移行した直後に測位した車両位置)を今回の停車位置として取得し(ステップS11)、メモリ部6に履歴として記憶されている過去の車両位置である過去の停車位置を参照し(ステップS12)、それら今回の停車位置と過去の停車位置とを照合する(ステップS13)。そして、制御部2は、今回の停車位置と過去の停車位置との関係が所定条件を満たしているか否かを判定し、通知情報を通知する必要があるか否かを判定する(ステップS14)。
【0046】
ここで、制御部2は、例えば今回の停車位置を中心とする半径が所定距離の区域内に過去の停車位置が所定個数以上記憶されていないと判定すると、通知情報を通知する必要があると判定し(ステップS14にて「YES」)、これ以降、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定し(ステップS2)、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、上記したステップS3以降の処理を行う。一方、制御部2は、例えば今回の停車位置を中心とする半径が所定距離の区域内に過去の停車位置が所定個数以上記憶されていると判定すると、通知情報を通知する必要がないと判定し(ステップS14にて「NO」)、これ以降、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定することなく、一連の処理を終了する。
【0047】
尚、以上は、今回の停車位置と過去の停車位置との関係に基づいて通知情報を通知する必要があるか否かを判定し、通知情報を通知する必要があると判定した後に、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定する場合を説明したが、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定した後に、今回の停車位置と過去の停車位置との関係に基づいて通知情報を通知する必要があるか否かを判定するようにしても良い。
【0048】
即ち、制御部2は、図4に示すように、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、測位部5から車両位置を今回の停車位置として取得し(ステップS21)、メモリ部6に履歴として記憶されている過去の車両位置である過去の停車位置を参照し(ステップS22)、それら今回の停車位置と過去の停車位置とを照合し(ステップS23)、今回の停車位置と過去の停車位置との関係が所定条件を満たしているか否かを判定し、通知情報を通知する必要があるか否かを判定する(ステップS24)。
【0049】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、車載通信装置1において、今回の停車位置を中心とする半径が所定距離の区域内に過去の停車位置が所定個数以上記憶されていない、即ち、ユーザが過去にあまり停車していない区域(ユーザが初めて訪れる旅行先等)に停車したと判定すると、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示すアラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりハザードランプ14を点滅させたりするように構成したので、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。一方、今回の停車位置を中心とする半径が所定距離の区域内に過去の停車位置が所定個数以上記憶されている、即ち、ユーザが過去に頻繁に停車したことがある区域(ユーザが頻繁に利用する施設の地下駐車場等)に停車したと判定すると、通知情報を通知しないように構成したので、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。尚、上記した第2の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第3の実施形態は、通知情報を通知する必要があるか否かを今回の停車位置とユーザにより予め登録された登録地点との関係に基づいて判定するものである。
【0051】
制御部2は、車両が停車状態であると判定すると(ステップS1にて「YES)、車両位置取得信号を測位部5に出力し、測位部5から車両位置を今回の停車位置として取得し(ステップS31)、メモリ部6に記憶されている登録地点を参照し(ステップS32)、それら今回の停車位置と登録地点とを照合する(ステップS33)。そして、制御部2は、今回の停車位置と登録地点との関係が所定条件を満たしているか否かを判定し、通知情報を通知する必要があるか否かを判定する(ステップS34)。
【0052】
ここで、制御部2は、例えば今回の停車位置が登録地点を中心とする半径が所定距離の区域外であると判定すると、通知情報を通知する必要があると判定し(ステップS34にて「YES」)、これ以降、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定し(ステップS2)、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、上記したステップS3以降の処理を行う。一方、制御部2は、例えば今回の停車位置が登録地点を中心とする半径が所定距離の区域内であると判定すると、通知情報を通知する必要がないと判定し(ステップS34にて「NO」)、これ以降、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定することなく、一連の処理を終了する。
【0053】
尚、この場合も、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定した後に、今回の停車位置と登録地点との関係に基づいて通知情報を通知する必要があるか否かを判定するようにしても良い。
【0054】
即ち、制御部2は、図6に示すように、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、測位部5から車両位置を今回の停車位置として取得し(ステップS41)、メモリ部6に記憶されている登録地点を参照し(ステップS42)、それら今回の停車位置と登録地点とを照合を照合し(ステップS43)。今回の停車位置と登録地点との関係が所定条件を満たしているか否かを判定し、通知情報を通知する必要があるか否かを判定する(ステップS44)。
【0055】
以上に説明したように第3の実施形態によれば、車載通信装置1において、今回の停車位置がユーザにより予め登録された登録地点を中心とする半径が所定距離の区域外であると判定すると、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示すアラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりハザードランプ14を点滅させたりするように構成したので、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。一方、今回の停車位置がユーザにより予め登録された登録地点を中心とする半径が所定距離の区域内であると判定すると、通知情報を通知しないように構成したので、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができる。
【0056】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図7を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第4の実施形態は、通知情報を通知する必要があるか否かをドアが開閉されたか否かに基づいて判定するものである。
【0057】
制御部2は、車両が停車状態であると判定し(ステップS1にて「YES)、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定すると(ステップS2にて「NO」)、計時部4による計時を開始し(ステップS3)、予め規定されている規定時間が経過したか否かを判定すると共に、ボデーECU11からLAN送受信部7を通じて入力したドア開閉信号に基づいてドアが開閉されたか否かを判定する(ステップS4、S51)。
【0058】
制御部2は、ドアが開閉される前に予め規定されている規定時間が経過したと判定すると(ステップS4にて「YES」)、これ以降、上記したステップS5以降の処理を行い、アラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりハザードランプ14を点滅させたりする。一方、制御部2は、予め規定されている規定時間が経過する前にドアが開閉された判定すると(ステップS51にて「YES」)、これ以降、アラーム表示情報を表示させることなくアラーム音声情報を音声出力させることなくハザードランプ14を点滅させることなく、一連の処理を終了する。
【0059】
又、制御部2は、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示す通知情報の通知を開始すると(ステップS5)、通知情報の通知を終了する条件が成立したか否かを判定すると共に、ここでも、ボデーECU11からLAN送受信部7を通じて入力したドア開閉信号に基づいてドアが開閉されたか否かを判定する(ステップS6、S52)。
【0060】
制御部2は、ドアが開閉される前に通知情報の通知を終了する条件が成立したと判定すると(ステップS6にて「YES」)、これ以降、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示す通知情報の通知を終了し(ステップS7)、一連の処理を終了する。一方、制御部2は、通知情報の通知を終了する条件が成立する前にドアが開閉されたと判定すると(ステップS52にて「YES」)、通知情報の通知を終了する条件が成立していないが、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示す通知情報の通知を終了し(通知を中止し)(ステップS7)、一連の処理を終了する。
【0061】
以上に説明したように第4の実施形態によれば、車載通信装置1において、ドアが開閉されたと判定すると、通知情報を通知しないように構成したので、通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができ、車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を車両の周囲に居る第三者に知られてしまうことを未然に回避することができ、セキュリティを高めることができる。又、通知情報を通知中であるときにドアが開閉されたと判定すると、通知情報の通知を終了する条件が成立する前に通知情報の通知を中止するように構成したので、これ以降に通知情報を不要に通知してしまうことを未然に回避することができ、セキュリティを高めることができる。
【0062】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第5の実施形態は、車両が非停車状態から停車状態に移行したか否か監視することに加え、車両が停車状態になる可能性があるか否かを監視し、車両が停車状態になる可能性があると判定すれば、通知情報を通知するものである。
【0063】
車載通信装置31は、車両に搭載可能に構成されており、制御部32(本発明でいう停車状態判定手段、通信可否判定手段、制御手段、停車状態可能性判定手段)、LAN送受信部33、第1の実施形態で説明した無線通信部3、計時部4、測位部5、メモリ部6及び音声処理部8を備えて構成されている。
【0064】
制御部32は、CPU、RAM、ROM等を有する周知のマイクロコンピュータを主体として構成され、車載通信装置31の動作全般を制御する。LAN送受信部33は、車両に搭載されているボデーECU11やアラームECU12等の各種ECUや各種システムと車両LAN13を通じて接続されており、本実施形態では、第1の実施形態で説明したシートベルト信号、ドア開閉信号及びドアロック信号を車両LAN13を通じて受信すると、それらシートベルト信号、ドア開閉信号及びドアロック信号を制御部32に出力すると共に、ハザードランプ14から当該ハザードランプ14が点滅状態にあるか否かを示すハザード点滅信号を車両LAN13を通じて受信すると、そのハザード点滅信号を制御部32に出力する。
【0065】
ナビゲーション装置34は、第1の実施形態で説明した操作装置17と同等の機能を有する操作部35、第1の実施形態で説明した表示装置18と同等の機能を有する表示部36、周知のナビゲーション機能に関する処理を行うナビゲーション機能部37を備え、ナビゲーション機能に関する情報を示すナビゲーション信号を制御部32との間で入出力する。ナビゲーション機能とは、車両の現在位置を特定する機能、目的地を設定する機能、車両の現在位置から目的地までの経路を探索する機能、地図を描画する機能、車両の現在位置や経路を地図上に重畳表示する機能、探索した経路にしたがって目的地までの到着時刻を予測する機能、探索した経路を案内する機能等である。車速センサ38は、車速を示す車速信号を制御部32に出力する。
【0066】
この場合、車載通信装置31において、制御部32は、車両が非停車状態から停車状態に移行したか否か監視し(ステップS1)、車両が非停車状態から停車状態に移行していないと判定すると(ステップS1にて「NO」)、車両が非停車状態から停車状態に移行する可能性があるか否かを判定する(ステップS61)。
【0067】
ここで、制御部2は、キースイッチ19から入力したIG信号及びトランスミッション21から入力したシフト位置信号に基づいてIGスイッチがオフからオンに切換った時点から所定時間経過後にギアのシフト位置が後退レンジに移動したこと、ハザードランプ14から入力したハザード点滅信号に基づいてハザードランプ14が一定時間点滅した後に消灯したこと、ナビゲーション装置34から入力したナビゲーション信号に基づいて車両が目的地に接近したこと(例えば車両の現在位置が目的地を中心とする半径所定距離内に進入したこと、車両の現在位置から目的地までの経路上での距離が所定距離内になったこと)、ナビゲーション装置34から入力したナビゲーション信号及び車速センサ38から入力した車速信号に基づいて車両の現在位置の道路種別が駐車場であり且つ車速が零であること、のうち何れかの条件が成立したと判定し、車両が非停車状態から停車状態に移行する可能性があると判定すると(ステップS61にて「YES)、この場合も、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定する(ステップS2)。そして、制御部2は、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でない(不可能である)と判定すると(ステップS2にて「NO」)、第1の実施形態で説明したステップS5以降を行う。
【0068】
尚、車両が非停車状態から停車状態に移行する可能性があると判定した場合には、ユーザが車内に居ることから、アラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりするが、第1の実施形態とは異なって、ハザードランプ14を点滅させる必要はない。又、第1の実施形態とは異なって、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を可能でないと判定した後に、予め規定されている規定時間が経過したか否かを判定することなく、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を示す通知情報の通知を開始すれば良い。
【0069】
以上に説明したように第5の実施形態によれば、車載通信装置31において、車両が停車状態になる可能性があると判定し、無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると判定すると、車両が停車状態になる可能性があると判定した位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示すアラーム表示情報を表示させたりアラーム音声情報を音声出力させたりするように構成したので、車両がこれから停車する可能性がある位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨をユーザに適切に認識させることができる。即ち、車両が停車した後に通知情報を通知する構成では、移動体通信網の通信圏内に車両を停車させたいと考えるユーザが通知情報を認識した後に車両を再起動(エンジンを再始動)させる必要があり、ユーザにとって車両を再起動させる操作が煩雑であるが、一方、車両が停車する前に通知情報を通知する構成では、ユーザが車両を再起動させる必要がなく、移動体通信網の通信圏内に車両を停車させることができる。
【0070】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
車両盗難が発生したと判定したときに盗難通報信号を移動体通信網を通じてセンター装置に送信することに加え、例えばウィンドウが破壊されたりナビゲーション装置の本体等が不正に取外されたりした等の異常が発生したと判定したときに異常通報信号を移動体通信網を通じてセンター装置に送信するようにしても良い。又、無線通信部3が他の信号を移動体通信網を通じて送受信するようにしても良い。
【0071】
車両が停車状態であるか否かを判定する方法として、ドアが開けられたと判定したときに車両が非停車状態から停車状態に移行したと判定しても良い。又、ユーザが着座しているか否かを検知するシートセンサから出力される着座信号や、ユーザを撮影する車室内カメラから出力される映像信号等を用いても良い。
車両の停車位置が無線通信部3と移動体通信網との間で無線通信を不可能である旨を通知する方法として、ヘッドライトを点滅させたりホーンを鳴動させたりすることを加えても良い。
【0072】
第2の実施形態において、今回の停車位置と過去の停車位置とを照合する場合に、メモリ部6に記憶された日時が新しい(所定日以降に記憶された)過去の停車位置とは照合する一方で、メモリ部6に記憶された日時が古い(所定日以前に記憶された)過去の停車位置とは照合しない(照合する対象から除外する)ようにしても良い。
【0073】
第3の実施形態において、今回の停車位置と登録地点とを照合する場合に、メモリ部6に記憶された日時が新しい(所定日以降に登録された)登録地点とは照合する一方で、メモリ部6に記憶された日時が古い(所定日以前に登録された)登録地点とは照合しない(照合する対象から除外する)ようにしても良い。
第4の実施形態において、ドアが少なくとも開けられた場合に(閉められていなくても)、これ以降、アラーム表示情報を表示させることなくアラーム音声情報を音声出力させることなくハザードランプ14を点滅させることないようにしても良い。
【0074】
第5の実施形態において、過去に車両が停車状態になった状況(車両の停車位置、停車回数、停車日時等)を履歴として記憶しておき、その履歴を参照することにより、車両が停車状態になる可能性があるか否かを判定するようにしても良い。
第5の実施形態において、車速センサ38から出力された車速信号を制御部32が直接入力することに限らず、車速センサ38から出力された車速信号を車両LAN13を介して制御部32が入力するようにしても良い。
【符号の説明】
【0075】
図面中、1は車載通信装置、2は制御部(停車状態判定手段、通信可否判定手段、制御手段)、3は無線通信部(無線通信手段)、5は測位部(車両位置取得手段)、6はメモリ部(車両位置履歴記憶手段、登録地点記憶手段)、14はハザードランプ14(通知手段、車外向け通知手段)、16はスピーカ(通知手段、車内向け通知手段)、17は操作装置(操作手段)、18は表示装置(通知手段、車内向け通知手段)、31は車載通信装置、32は制御部(停車状態判定手段、通信可否判定手段、制御手段、停車状態可能性判定手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信網との間で無線通信を行う無線通信手段を備えた車載通信装置であって、
車両が停車状態であるか非停車状態であるかを判定する停車状態判定手段と、
前記無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を可能であるか否かを判定する通信可否判定手段と、
車両が停車状態であると前記停車状態判定手段が判定し且つ前記無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると前記通信可否判定手段が判定した場合に、車両の停車位置が前記無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示す通知情報を通知手段により通知する制御手段と、を備えたことを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車載通信装置において、
前記通知手段は、通知情報を車内に向けて通知する車内向け通知手段と、通知情報を車外に向けて通知する車外向け通知手段とを備え、
前記制御手段は、通知情報を前記車内向け通知手段により通知する態様、通知情報を前記車外向け通知手段により通知する態様、通知情報を前記車内向け通知手段と前記車外向け通知手段により通知する態様を選択的に切換え、通知情報を前記通知手段により通知することを特徴とする車載通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した車載通信装置において、
前記制御手段は、通知情報を前記通知手段により通知する必要があると判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知し、通知情報を前記通知手段により通知する必要がないと判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知しないことを特徴とする車載通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載した車載通信装置において、
車両位置を取得する車両位置取得手段と、
前記車両位置取得手段により取得された車両位置を履歴として記憶する車両位置履歴記憶手段とを備え、
前記制御手段は、車両が停車状態であるときに前記車両位置取得手段により取得された今回の車両位置と前記車両位置履歴記憶手段に履歴として記憶されている過去の車両位置との関係が所定条件を満たしていると判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知する必要があると判定し、今回の車両位置と過去の車両位置との関係が所定条件を満たしていないと判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知する必要がないと判定することを特徴とする車載通信装置。
【請求項5】
請求項3に記載した車載通信装置において、
車両位置を取得する車両位置取得手段と、
ユーザが任意地点を登録地点として登録する操作を受付可能な操作手段により受付けられた登録地点を記憶する登録地点記憶手段とを備え、
前記制御手段は、車両が停車状態であるときに前記車両位置取得手段により取得された今回の車両位置と前記登録地点記憶手段に記憶されている登録地点との関係が所定条件を満たしていると判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知する必要があると判定し、今回の車両位置と登録地点との関係が所定条件を満たしていないと判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知する必要がないと判定することを特徴とする車載通信装置。
【請求項6】
請求項3に記載した車載通信装置において、
前記制御手段は、ユーザが車両に対して乗降するドアが開けられたこと及び閉じられたことの少なくとも何れかが行われたと判定した場合に、通知情報を前記通知手段により通知する必要がないと判定することを特徴とする車載通信装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れかに記載した車載通信装置において、
前記制御手段は、通知情報を前記通知手段により通知中であるときに通知情報の前記通知手段による通知を中止する必要があると判定した場合に、通知情報の前記通知手段による通知を中止することを特徴とする車載通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載した車載通信装置において、
前記制御手段は、通知情報を前記通知手段により通知中であるときにユーザが車両に対して乗降するドアが開けられたこと及び閉じられたことの少なくとも何れかが行われたと判定した場合に、通知情報の前記通知手段による通知を中止する必要があると判定することを特徴とする車載通信装置。
【請求項9】
請求項1に記載した車載通信装置において、
車両が停車状態になる可能性があるか否かを判定する停車状態可能性判定手段を備え、
前記制御手段は、車両が停車状態になる可能性があると前記停車状態可能性判定手段が判定し且つ前記無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能であると前記通信可否判定手段が判定した場合に、前記無線通信手段と移動体通信網との間で無線通信を不可能な区域である旨を示す通知情報を通知手段により通知することを特徴とする車載通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−187040(P2011−187040A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141535(P2010−141535)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】