説明

車輌用前照灯

【課題】 灯具外筐の内部の密閉性を確保した上で放熱性の向上を図る。
【解決手段】 光源51とリフレクター50とヒートシンク49、49、・・・を有する光源ユニット12と、灯具外筐4の内部において固定された固定フレーム9と、固定フレームに上下方向へ移動自在に支持された可動フレーム8と、投影レンズ14とレンズホルダー13を有し可動フレームに左右方向へ移動自在に支持されたレンズユニット7と、可動フレームを上下方向へ移動させて光軸調整を行う第1のエイミング操作軸10と、レンズユニットを左右方向へ移動させて光軸調整を行う第2のエイミング操作軸11と、リフレクターによって反射される光の焦点から投影レンズまでの距離が一定の状態でレンズユニットが固定フレームに対して左右方向及び上下方向へ移動され、光源ユニットはヒートシンクが灯具外筐の外側に位置された状態でランプハウジングに固定された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用前照灯に関する。詳しくは、ヒートシンクが灯具外筐の外側に位置された状態で光源ユニットをランプハウジングに固定して灯具外筐の内部の密閉性を確保した上で放熱性の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用前照灯には、例えば、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に灯具ユニットが配置されたものがある。灯具ユニットは光源から出射される光を投影して前方へ投影するための投影レンズと投影レンズを保持するレンズホルダーとを有するレンズユニットを備えている。
【0003】
このような車輌用前照灯には、光源の駆動時、即ち、光源からの光の出射時に発生する熱を放出するためのヒートシンクを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、車輌用前照灯には車輌の出荷時や車検時等に光軸の向きの調整を行うためのエイミング調整機構が設けられており、エイミング調整機構のエイミング操作軸を軸回り方向へ回転させることにより、灯具ユニットが上下方向又は左右方向へ回動されて光軸の向きが調整される。
【0005】
特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、灯具外筐の内部に配置されたフレームにレンズユニットとヒートシンクが取り付けられ、ヒートシンクがランプハウジングに形成された突出孔から後方へ突出された状態とされている。フレームにはエイミング操作軸が螺合されており、エイミング操作軸を回転させることによりフレームとレンズユニットとヒートシンクが一体になって傾動されて光軸の向きが調整される。
【0006】
車輌用前照灯においては、光源の駆動時に発生する熱がランプハウジングから後方へ突出されたヒートシンクを介して外部へ放出され、良好な放熱性が確保される。光源の駆動時に発生する熱が外部へ放出されることにより、光源の温度上昇が抑制されて光源の正常な駆動状態が確保される。
【0007】
【特許文献1】特開2008−257959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載された車輌用前照灯にあっては、エイミング調整が行われたときにヒートシンクがレンズユニットとともに傾動してしまい、ヒートシンクとランプハウジングの間に隙間が生じるおそれがある。
【0009】
ヒートシンクとランプハウジングの間に隙間が生じてしまうと、灯具外筐の内部の密閉性が低下して灯具外筐の内部に塵埃や水分が侵入し、前方へ照射される光量の低下が生じたり各部の円滑な動作が妨げられる可能性がある。
【0010】
そこで、本発明車輌用前照灯は、上記した問題点を克服し、灯具外筐の内部の密閉性を確保した上で放熱性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
車輌用前照灯は、上記した課題を解決するために、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐に灯具ユニットが配置され、前記灯具ユニットは、光源と前記光源が配置された光源配置部と前記光源から出射される光を反射するリフレクターと前記光源の駆動時に発生する熱を放出するヒートシンクとを有する光源ユニットと、前記灯具外筐の内部において固定された固定フレームと、前記灯具外筐の内部において前記固定フレームに左右方向又は上下方向のうち一方へ移動自在に支持された可動フレームと、前記光源から出射された光を投影する投影レンズと前記投影レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に前記灯具外筐の内部において前記可動フレームに左右方向又は上下方向のうち他方へ移動自在に支持されたレンズユニットと、前記可動フレームを前記固定フレームに対して左右方向又は上下方向のうち前記一方へ移動させて光軸調整を行う第1のエイミング操作軸と、前記レンズユニットを前記可動フレームに対して左右方向又は上下方向のうち前記他方へ移動させて光軸調整を行う第2のエイミング操作軸と、前記光源から出射され前記リフレクターによって反射される光の焦点から前記投影レンズまでの距離が一定の状態で前記レンズユニットが前記固定フレームに対して左右方向及び上下方向へ移動され、前記光源ユニットは前記ヒートシンクが前記灯具外筐の外側に位置された状態で前記ランプハウジングに固定されたものである。
【0012】
従って、車輌用前照灯にあっては、エイミング調整時にヒートシンクを有する光源ユニットがランプハウジングに対して移動しない。
【発明の効果】
【0013】
本発明車輌用前照灯は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、前記灯具ユニットは、光源と前記光源が配置された光源配置部と前記光源から出射される光を反射するリフレクターと前記光源の駆動時に発生する熱を放出するヒートシンクとを有する光源ユニットと、前記灯具外筐の内部において固定された固定フレームと、前記灯具外筐の内部において前記固定フレームに左右方向又は上下方向のうち一方へ移動自在に支持された可動フレームと、前記光源から出射された光を投影する投影レンズと前記投影レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に前記灯具外筐の内部において前記可動フレームに左右方向又は上下方向のうち他方へ移動自在に支持されたレンズユニットと、前記可動フレームを前記固定フレームに対して左右方向又は上下方向のうち前記一方へ移動させて光軸調整を行う第1のエイミング操作軸と、前記レンズユニットを前記可動フレームに対して左右方向又は上下方向のうち前記他方へ移動させて光軸調整を行う第2のエイミング操作軸と、前記光源から出射され前記リフレクターによって反射される光の焦点から前記投影レンズまでの距離が一定の状態で前記レンズユニットが前記固定フレームに対して左右方向及び上下方向へ移動され、前記光源ユニットは前記ヒートシンクが前記灯具外筐の外側に位置された状態で前記ランプハウジングに固定されたことを特徴とする。
【0014】
従って、エイミング調整が行われたときにヒートシンクがレンズユニットとともに移動することがなく、灯具外筐の内部の密閉性を確保した上で放熱性の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載した発明にあっては、本体部と前記本体部に対して上下方向へ移動可能とされ前記可動フレーム又は前記レンズユニットに連結された駆動部とを有し前記固定フレームに対して上下方向へ移動可能とされると共に光軸調整を行う前記レベリングアクチュエーターを設け、前記第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸が軸回り方向へ回転することにより前記レベリングアクチュエーターが前記固定フレームに対して上下方向へ移動され、前記レベリングアクチュエーターの移動に伴って前記レンズユニットが前記固定フレームに対して上下方向へ移動されるようにしたことを特徴とする。
【0016】
従って、レベリング調整とエイミング調整を互いに干渉することなく独立して行うことができ、光軸調整の動作の適正化及び信頼性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載した発明にあっては、前記光源ユニットに前記光源を駆動する駆動回路を設けたことを特徴とする。
【0018】
従って、一つの光源ユニットに駆動回路と駆動回路によって駆動される光源とが設けられているため、製造コストの低減及び小型化を図ることができる。
【0019】
請求項4に記載した発明にあっては、前記レンズユニットに連結される連結部を有し前記第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸の操作によって前記レンズユニットと一体になって左右方向又は上下方向のうち一方へ移動される連結部材を設け、前記レンズユニットが前記連結部材に対して左右方向又は上下方向のうち他方へ移動されるようにしたことを特徴とする。
【0020】
従って、レンズユニットの移動時にレンズユニットに連結部材から不必要な負荷がかかることがなく、レンズユニットの移動を円滑に行うことができる。
【0021】
請求項5に記載した発明にあっては、前記ランプハウジングにおける前記投影レンズの中心部の後方に位置する部分に前記光源に駆動電流を供給するためのコネクターが取り付けられ、前記第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸が前記投影レンズの中心を通る垂線より左方又は右方に位置されたことを特徴とする。
【0022】
従って、治具によって第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸を操作するときに、治具にコネクターが干渉することがなく、治具によって第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸を操作するときの良好な操作性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明車輌用前照灯を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
車輌用前照灯1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0025】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0026】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された取付孔2aが形成されている(図2参照)。ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された軸挿通孔2b、2cが形成され、軸挿通孔2bは取付孔2aの下方に位置され、軸挿通孔2cは取付孔2aの側方に位置されている(図1及び図2参照)。
【0027】
ランプハウジング2には前方へ突出された取付軸部2d、2d、・・・が上下左右に離隔して設けられている。
【0028】
灯具外筐4には灯具ユニット6が配置されている(図1及び図2参照)。
【0029】
灯具ユニット6はレンズユニット7と可動フレーム8と固定フレーム9と第1のエイミング操作軸10と第2のエイミング操作軸11と光源ユニット12を有している(図1乃至図3参照)。
【0030】
レンズユニット7はレンズホルダー13とレンズホルダー13の前端部に取り付けられた投影レンズ14とを有している。レンズホルダー13は前端部が円筒状に形成されたホルダー部15とホルダー部15の一方の側面に設けられたスライド部16とホルダー部15の後端部に設けられた被支持軸17、17とから成る。
【0031】
スライド部16の前後両端部は上下に延びる摺動部16a、16aとして設けられ、摺動部16a、16aにはそれぞれ上下及び内方に開口された溝が形成されている。
【0032】
被支持軸17、17はホルダー部15を左右に貫通し上下に離隔した状態で左右にそれぞれ二つずつが設けられ、それぞれ左右両端部がホルダー部15の左右両側面から外方へ突出されている。被支持軸17、17の左右両端部はそれぞれ被支持部17a、17a、・・・として設けられている。
【0033】
上記のように、二つの被支持軸17、17をホルダー部15に貫通した状態で設けることにより、レンズユニット7の強度の向上を図ることができる。
【0034】
レンズホルダー13のスライド部16には連結部材18が連結される。連結部材18は左右方向を向く板状の連結部19と連結部19から側方へ突出された螺合軸20とから成る。螺合軸20の外周面には螺溝20aが形成されている。連結部材18は連結部19の前後両端部がそれぞれ摺動部16a、16aに挿入されてスライド部16に連結される。
【0035】
連結部材18は、後述するように、上下方向へ移動不能とされ、レンズホルダー13が連結部材18に対して上下方向へ移動可能とされる。
【0036】
連結部材18の螺合軸20にはギヤ21が螺合されている。ギヤ21はかさ歯車であり略円環状に形成され、外面にギヤ部21aを有し、内周面に螺溝部21bを有している。ギヤ21は螺溝部21bが螺合軸20の螺溝20aに螺合されている。
【0037】
ギヤ21が回転されると螺合軸20の螺溝20aが送られ、ギヤ21の回転方向に応じてレンズユニット7が左右方向へ移動される。
【0038】
可動フレーム8は枠状に形成された支持枠部22と支持枠部22から上下に突出された連結軸23、23、・・・と支持枠部22の下端部の左右方向における中央部から上方に突出された連結突部24とから成る。
【0039】
支持枠部22には上下左右に離隔して前方及び内方に開口された軸支持凹部22a、22a、・・・が形成されている。
【0040】
連結軸23、23、・・・は左右に離隔して上下にそれぞれ二つずつが設けられている。
【0041】
連結突部24には後方及び下方に開口された連結用凹部24aが形成されている(図1参照)。連結突部24の下端寄りの位置には互いに近付く方向へ突出された突部24b、24bが左右に離隔して設けられている。
【0042】
可動フレーム8にはレンズユニット7が左右方向へ移動自在に支持される(図1乃至図3参照)。レンズユニット7は被支持軸17、17の被支持部17a、17a、・・・がそれぞれ軸支持凹部22a、22a、・・・に前側から挿入され、被支持部17a、17a、・・・がそれぞれ軸支持凹部22a、22a、・・・に摺動可能な状態で可動フレーム8に支持される(図4参照)。
【0043】
レンズユニット7が可動フレーム8に支持されると、第1の押さえ部材25と第2の押さえ部材26がそれぞれ可動フレーム8の支持枠部22における左右両端部に前側からネジ止め等によって取り付けられる(図3参照)。第1の押さえ部材25と第2の押さえ部材26が支持枠部22に取り付けられることにより、被支持軸17、17の軸支持凹部22a、22a、・・・からの脱落が防止される。
【0044】
固定フレーム9は、図1乃至図4に示すように、前後方向を向くベース部27とベース部27の左右両端部からそれぞれ上方へ突出された側部28、28と側部28、28の上端部間に設けられた上部29とを有している。
【0045】
ベース部27の上端部には部材挿通孔27aが形成され、部材挿通孔27aは左右方向における中央部に位置されている。ベース部27には前方へ突出された規制片27b、27bが設けられ、規制片27b、27bは上下に延び左右に離隔して位置されている。
【0046】
ベース部27の上端部には前方へ突出されたギヤ支持突部30、30が設けられ、ギヤ支持突部30、30は部材挿通孔27aの左右に位置されている。
【0047】
一方の側部28には部材挿通孔28aが形成され、部材挿通孔28aは上下方向における中央部に位置されている。側部28には前方へ突出された支持突部31、31が設けられ、支持突部31、31は部材挿通孔28aの上下に位置されている。
【0048】
固定フレーム9にはベース部27の上端部と上部29にそれぞれ前方に開口された支持凹部9a、9a、・・・が左右に離隔して形成されている。
【0049】
固定フレーム9はベース部27が、例えば、ネジ止め等によって取付軸部2d、2d、・・・に結合されてランプハウジング2に固定される。
【0050】
固定フレーム9には可動フレーム8が上下方向へ移動自在に支持される。可動フレーム8は連結軸23、23、・・・がそれぞれ支持凹部9a、9a、・・・に前側から挿入され、連結軸23、23、・・・がそれぞれ支持凹部9a、9a、・・・に摺動可能な状態で可動フレーム8に支持される(図4参照)。
【0051】
レンズユニット7が可動フレーム8に支持され可動フレーム8が固定フレーム9に支持された状態において、ギヤ21が支持突部31、31に前側から挿入され、ギヤ21が左右方向へ移動不能な状態で支持突部31、31に対して回転可能とされる。
【0052】
固定フレーム9のギヤ支持突部30、30には駆動ギヤ32が支持される。駆動ギヤ32はかさ歯車であり略円環状に形成され、外面にギヤ部32aを有し、内周面に螺溝部32bを有している。
【0053】
駆動ギヤ32は、レンズユニット7が可動フレーム8に支持され可動フレーム8が固定フレーム9に支持された状態において、ギヤ支持突部30、30に前側から挿入される。駆動ギヤ32は上下方向へ移動不能な状態でギヤ支持突部30、30に対して回転可能とされる。
【0054】
可動フレーム8が固定フレーム9に支持されると、第3の押さえ部材33と第4の押さえ部材34がそれぞれ上部29とベース部27の上端部とに前側からネジ止め等によって取り付けられる(図3参照)。第3の押さえ部材33と第4の押さえ部材34がそれぞれ上部29とベース部27に取り付けられることにより、連結軸23、23、・・・の支持凹部9a、9a、・・・からの脱落が防止される。
【0055】
可動フレーム8にはレベリングアクチュエーター35が取り付けられる(図1、図3及び図4参照)。レベリングアクチュエーター35は本体部36と本体部36に対して上下方向へ移動される駆動部37と本体部36に結合された結合体38とを有している。
【0056】
本体部36は内部に駆動部37を上下方向へ移動させるための図示しない駆動機構を有している。
【0057】
駆動部37は上下に延びる略軸状に形成され、上端部が球状連結部37aとして設けられ、球状連結部37aの下側に連続する部分が径の細くされた括れ部37bとして設けられている。
【0058】
結合体38は上下方向を向く結合板部39と結合板部39から上方へ突出された円筒状の螺合筒40とから成る。螺合筒40の外周面には螺溝40aが形成されている。結合体38は結合板部39が本体部36の上面にネジ止め等によって結合されている。
【0059】
結合体38が本体部36に結合された状態においては、駆動部37が螺合筒40から上方へ突出される。
【0060】
レベリングアクチュエーター35は駆動部37が連結突部24の連結用凹部24aに挿入されて可動フレーム8に連結される(図1参照)。このとき駆動部37は括れ部36bが突部24b、24b間に挿入されて可動フレーム8からの脱落が防止される。
【0061】
レベリングアクチュエーター35はベース部27の前面側において本体部36の左右両側面がそれぞれ規制片27b、27bに近接した状態で位置され(図4参照)、規制片27b、27bによって駆動部37の軸回り方向への回転が規制されている。
【0062】
結合体38は螺合筒40の螺溝40aが駆動ギヤ32の螺溝部32bに螺合される。
【0063】
従って、駆動ギヤ32が回転されると螺合筒40の螺溝40aが送られ、駆動ギヤ32の回転方向に応じて可動フレーム8とレンズユニット7とレベリングアクチュエーター35が一体になって上下方向へ移動される。
【0064】
また、レベリングアクチュエーター35の駆動部37が上下方向へ移動されると、駆動部37の移動方向に応じて可動フレーム8とレンズユニット7が一体になって上下方向へ移動される。
【0065】
第1のエイミング操作軸10は前後に延びる軸部41と軸部41の後端に連続された回転操作部42とから成る。軸部41の前端部は非円形状に形成された回り止め部41aとして設けられている(図2参照)。
【0066】
第1のエイミング操作軸10は軸部41がランプハウジング2に形成された下側の軸挿通孔2bに挿通され、回り止め部41aが第1の連結部材43に連結される。
【0067】
第1の連結部材43は前端部にギヤ部43aを有している(図3参照)。第1の連結部材43には後方に開口された非円形状の結合穴43bが形成されている。
【0068】
第1のエイミング操作軸10は回り止め部41aが結合穴43bに挿入されて第1の連結部材43に連結される。従って、第1のエイミング操作軸10が回転操作部42に対する操作によって軸回り方向へ回転されたときに、第1の連結部材43が第1のエイミング操作軸10と一体になって回転される。
【0069】
第1の連結部材43は固定フレーム9の部材挿通孔27aを前方から挿通され、レベリングアクチュエーター35の螺合筒40に螺合された駆動ギヤ32に噛合される(図1参照)。従って、第1のエイミング操作軸10が回転されて第1の連結部材43が回転されると、駆動ギヤ32が第1のエイミング操作軸10の回転方向に応じた方向へ回転され、螺合筒40の螺溝40aが送られ、連結軸23、23、・・・がそれぞれ支持凹部9a、9a、・・・に案内されて可動フレーム8とレンズユニット7とレベリングアクチュエーター35が一体になって上下方向へ移動される(図5参照)。
【0070】
可動フレーム8とレンズユニット7とレベリングアクチュエーター35が一体になって上下方向へ移動されるときには、レンズユニット7のレンズホルダー13に設けられたスライド部16が連結部材18に対して上下方向へスライドされる。
【0071】
従って、レンズユニット7の上下方向における移動時にレンズユニット7に連結部材18から不必要な負荷がかかることがなく、可動フレーム8とレンズユニット7とレベリングアクチュエーター35の上下方向への移動を円滑に行うことができる。
【0072】
第1のエイミング操作軸10の操作によってレンズユニット7が上下方向へ移動されることにより、上下方向におけるエイミング調整が行われる。
【0073】
また、レベリングアクチュエーター35の駆動部37が上下方向へ移動されることにより、上記したように、駆動部37の移動方向に応じて可動フレーム8とレンズユニット7が一体になって上下方向へ移動される(図6参照)。
【0074】
レベリングアクチュエーター35の駆動によってレンズユニット7が上下方向へ移動されることにより、レベリング調整が行われる。
【0075】
上記したエイミング調整及びレベリング調整においては、光源51から出射されリフレクター50によって反射される光の焦点から投影レンズ14までの距離が一定の状態でレンズユニット7が固定フレーム9に対して左右方向及び上下方向へ移動される。
【0076】
第2のエイミング操作軸11は前後に延びる軸部44と軸部44の後端に連続された回転操作部45とから成る。軸部44の前端部は非円形状に形成された回り止め部44aとして設けられている(図2参照)。
【0077】
第2のエイミング操作軸11は軸部44がランプハウジング2に形成された上側の軸挿通孔2cに挿通され、回り止め部44aが第2の連結部材46に連結される。
【0078】
第2の連結部材46は前端部にギヤ部46aを有している(図3参照)。第2の連結部材46には後方に開口された非円形状の結合穴46bが形成されている。
【0079】
第2のエイミング操作軸11は回り止め部44aが結合穴46bに挿入されて第2の連結部材46に連結される。従って、第2のエイミング操作軸11が回転操作部45に対する操作によって軸回り方向へ回転されたときに、第2の連結部材46が第2のエイミング操作軸11と一体になって回転される。
【0080】
第2の連結部材46は固定フレーム9の部材挿通孔28aを前方から挿通され、レンズユニット7に連結された連結部材18の螺合軸20に螺合されたギヤ21に噛合される(図1参照)。従って、第2のエイミング操作軸11が回転されて第2の連結部材46が回転されると、ギヤ21が第2のエイミング操作軸11の回転方向に応じた方向へ回転され、螺合軸20の螺溝20aが送られ、被支持軸17、17の被支持部17a、17a、・・・がそれぞれ軸支持凹部22a、22a、・・・に案内されてレンズユニット7が左右方向へ移動される(図4にレンズユニット7の移動状態を仮想線で示す。)。
【0081】
第2のエイミング操作軸11の操作によってレンズユニット7が左右方向へ移動されることにより、左右方向におけるエイミング調整が行われる。
【0082】
尚、上記には、エイミング調整機構の他にレベリング調整機構が設けられた例を示したが、レベリング調整機構を有さずエイミング調整機構のみを有する構成とすることも可能である。この場合には車輌用前照灯1にレベリングアクチュエーター35が設けられない。
【0083】
光源ユニット12は、図2及び図7に示すように、前後方向を向く板状の被固定部47と被固定部47から前方へ突出され上下方向を向く板状の光源配置部48と被固定部47から後方へ突出された複数のヒートシンク49、49、・・・と光源配置部48に取り付けられたリフレクター50と光源配置部48に配置された光源51とを有している。
【0084】
被固定部47には前方へ突出された環状の嵌合部47aが設けられ、嵌合部47aは光源配置部48の後端部を囲むように位置されている。
【0085】
光源配置部48には上方及び前方に開口された配置用凹部48aが形成されている。配置用凹部48aには保持体52が取り付けられ、保持体52に光源51が保持された状態で光源配置部48に配置されている。光源51としては、例えば、発光ダイオード(LED)が用いられている。リフレクター50は光源51を上方から覆うようにして光源配置部48に取り付けられている。
【0086】
保持体52は蓋部52aを有している。保持体52の内部には光源51を駆動する駆動回路53が配置され、駆動回路53は蓋部52aによって上方から閉塞されている。
【0087】
上記のように車輌用前照灯1にあっては、一つの光源ユニット12に駆動回路53と駆動回路53によって駆動される光源51とが設けられているため、製造コストの低減及び小型化を図ることができる。
【0088】
尚、光源51や駆動回路53を保持する保持体52は光源配置部48と一体に形成されていてもよく、この場合には、部品点数の削減による一層の製造コストの低減を図ることができる。
【0089】
また、光源51と駆動回路53を光源配置部48に配置することにより、光源51と駆動回路53を接続するための接続コードが不要となり、部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0090】
光源ユニット12は嵌合部47aにゴム等によって形成されたパッキン54が外嵌状に取り付けられた状態で被固定部47が、例えば、ネジ止め等によってランプハウジング2の後端部に後方から固定される。光源ユニット12がランプハウジング2に固定された状態においては、取付孔2aに光源配置部48とリフレクター50が後方から挿入され、光源配置部48、リフレクター50、光源51、保持体52及び駆動回路53が灯室5に配置される。光源ユニット12のヒートシンク49、49、・・・は灯具外筐4の外側(後方)に位置される。
【0091】
ランプハウジング2の後端部には図示しない電源回路に接続された図示しないコネクターが接続され、駆動回路53にはコネクターを介して電源回路から電源が供給される。
【0092】
コネクターはランプハウジング2の左右方向における中央部に位置され、取付孔2aの上方又は下方に位置されている。コネクターをランプハウジング2の左右方向における中央部に位置させることにより、左右の車輌用前照灯1、1において同一のランプハウジング2等を使用することが可能となり、左右の車輌用前照灯1、1において部品の共通化を図ることができる。
【0093】
上記には、取付孔2aの下方に軸挿通孔2bが形成され、取付孔2aの側方に軸挿通孔2cが形成され、軸挿通孔2b、2cにそれぞれ第1のエイミング操作軸10の軸部41と第2のエイミング操作軸11の軸部44とが挿通された例を示した。
【0094】
しかしながら、軸挿通孔2bも軸挿通孔2cと同様に取付孔2aの側方に形成し、軸挿通孔2bに第1のエイミング操作軸10の軸部41を挿通させる構成とすることが可能である。
【0095】
このように取付孔2aの側方に形成された軸挿通孔2b、2cにそれぞれ軸部41と軸部44を挿通することにより、第1のエイミング操作軸10と第2のエイミング操作軸11は投影レンズ14の中心を通る垂線H(図4参照)より側方(左方又は右方)に位置され、回転操作部42、45が駆動回路53に電源を供給するためのコネクターの側方に位置される。
【0096】
回転操作部42、45はドライバー等の治具によって上方側又は下方側から操作されて回転される場合があるため、上記のように、回転操作部42、45がコネクターの側方に位置されることにより、回転操作部42、45の操作時にドライバー等の治具にコネクターが干渉することがない。
【0097】
従って、ドライバー等の治具を用いて回転操作部42、45を操作するときの良好な操作性を確保することができる。
【0098】
以上に記載した通り、車輌用前照灯1にあっては、ランプハウジング2に光源ユニット12が固定されヒートシンク49、49、・・・が灯具外筐4の外側に位置されている。
【0099】
従って、エイミング調整が行われたときにヒートシンク49、49、・・・がレンズユニット7とともに移動することがなく、灯具外筐4の内部の密閉性を確保した上で放熱性の向上を図ることができる。
【0100】
また、ヒートシンク49、49、・・・が灯具外筐4の内部に存在しないため、その分、灯具外筐4を小さくすることができ、また、放熱性が高いためヒートシンク49、49、・・・を小さくすることができ、車輌用前照灯1の小型化を図ることができる。
【0101】
さらに、放熱性の向上を図ることができるため、放熱ファン等の他の放熱用の部材が不要となり、部品点数の削減による製造コストの低減を図ることができる。
【0102】
さらにまた、車輌用前照灯1にあっては、レンズユニット7と光源ユニット12が別体で構成されているため、光源ユニット12をレンズユニット7とは別に単独で交換したりランプハウジング2に単独で着脱することが可能であり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0103】
加えて、車輌用前照灯1にあっては、光源51から出射されリフレクター50によって反射される光の焦点から投影レンズ14までの距離が一定の状態でレンズユニット7が固定フレーム9に対して左右方向及び上下方向へ移動されてエイミング調整又はレベリング調整が行われる。
【0104】
従って、エイミング調整又はレベリング調整によって配光パターンに悪影響が及ぶことがない。
【0105】
上記には、左右方向におけるエイミング調整時にレンズユニット7が可動フレーム8に対して左右方向へ移動され、上下方向におけるエイミング調整時にレンズユニット7と可動フレーム8が固定フレーム9に対して上下方向へ移動される構成を示したが、逆に、左右方向におけるエイミング調整時にレンズユニットと可動フレームが固定フレームに対して左右方向へ移動され、上下方向におけるエイミング調整時にレンズユニットが可動フレームに対して上下方向へ移動される構成とすることも可能である。
【0106】
この場合には可動フレームに左右方向に延びる連結軸を設けレンズユニットに上下方向に延びる被支持軸を設け、レンズユニットを可動フレームに対して上下方向へ移動させ、レンズユニットと可動フレームを固定フレームに対して左右方向へ移動させることが可能である。このとき第1のエイミング操作軸10又は第2のエイミング操作軸11の一方の回転操作によってレンズユニットを可動フレームに対して上下方向へ移動させ、第1のエイミング操作軸10又は第2のエイミング操作軸11の他方の回転操作によってレンズユニットと可動フレームを固定フレームに対して左右方向へ移動させることが可能である。
【0107】
また、上記には、ランプハウジング2に固定フレーム9が固定された例を示したが、例えば、光源ユニットに前方へ突出する部分を設け、この突出する部分に固定フレーム9を固定することが可能である。
【0108】
さらに、上記には、光源51として発光ダイオードを用いた例を示したが、光源51は発光ダイオードに限られることはなく、光源51として、例えば、セラミックメタルハライドランプ等の放電灯等の他の種類の光源を用いることも可能である。
【0109】
さらにまた、車輌用前照灯1にあっては、第1のエイミング操作軸10が軸回り方向へ回転することによりレベリングアクチュエーター35が固定フレーム9に対して上下方向へ移動され、レベリングアクチュエーター35の移動に伴ってレンズユニット7が固定フレーム9に対して上下方向へ移動される。
【0110】
従って、レベリング調整と上下方向におけるエイミング調整とを互いに干渉することなく独立して行うことができ、光軸調整の動作の適正化及び信頼性の向上を図ることができる。
【0111】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図2乃至図7と共に本発明車輌用前照灯の実施の形態を示すものであり、本図は、灯具外筐を断面にして示す車輌用前照灯の概略側面図である。
【図2】一部を省略して示す車輌用前照灯の分解斜視図である。
【図3】レンズユニットと可動フレーム等を示す分解斜視図である。
【図4】レンズユニットと可動フレーム等を示す正面図である。
【図5】上下方向におけるエイミング調整が行われた状態を示す正面図である。
【図6】レベリング調整が行われた状態を示す正面図である。
【図7】光源ユニットの拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0113】
1…車輌用前照灯、2…ランプハウジング、3…カバー、4…灯具外筐、6…灯具ユニット、7…レンズユニット、8…可動フレーム、9…固定フレーム、10…第1のエイミング操作軸、11…第2のエイミング操作軸、12…光源ユニット、13…レンズホルダー、14…投影レンズ、18…連結部材、19…連結部、35…レベリングアクチュエーター、36…本体部、37…駆動部、48…光源配置部、49…ヒートシンク、50…リフレクター、51…光源、53…駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングの前記開口を覆うカバーとによって構成された灯具外筐に灯具ユニットが配置された車輌用前照灯であって、
前記灯具ユニットは、
光源と前記光源が配置された光源配置部と前記光源から出射される光を反射するリフレクターと前記光源の駆動時に発生する熱を放出するヒートシンクとを有する光源ユニットと、
前記灯具外筐の内部において固定された固定フレームと、
前記灯具外筐の内部において前記固定フレームに左右方向又は上下方向のうち一方へ移動自在に支持された可動フレームと、
前記光源から出射された光を投影する投影レンズと前記投影レンズを保持するレンズホルダーとを有すると共に前記灯具外筐の内部において前記可動フレームに左右方向又は上下方向のうち他方へ移動自在に支持されたレンズユニットと、
前記可動フレームを前記固定フレームに対して左右方向又は上下方向のうち前記一方へ移動させて光軸調整を行う第1のエイミング操作軸と、
前記レンズユニットを前記可動フレームに対して左右方向又は上下方向のうち前記他方へ移動させて光軸調整を行う第2のエイミング操作軸と、
前記光源から出射され前記リフレクターによって反射される光の焦点から前記投影レンズまでの距離が一定の状態で前記レンズユニットが前記固定フレームに対して左右方向及び上下方向へ移動され、
前記光源ユニットは前記ヒートシンクが前記灯具外筐の外側に位置された状態で前記ランプハウジングに固定された
ことを特徴とする車輌用前照灯。
【請求項2】
本体部と前記本体部に対して上下方向へ移動可能とされ前記可動フレーム又は前記レンズユニットに連結された駆動部とを有し前記固定フレームに対して上下方向へ移動可能とされると共に光軸調整を行う前記レベリングアクチュエーターを設け、
前記第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸が軸回り方向へ回転することにより前記レベリングアクチュエーターが前記固定フレームに対して上下方向へ移動され、
前記レベリングアクチュエーターの移動に伴って前記レンズユニットが前記固定フレームに対して上下方向へ移動されるようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用前照灯。
【請求項3】
前記光源ユニットに前記光源を駆動する駆動回路を設けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用前照灯。
【請求項4】
前記レンズユニットに連結される連結部を有し前記第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸の操作によって前記レンズユニットと一体になって左右方向又は上下方向のうち一方へ移動される連結部材を設け、
前記レンズユニットが前記連結部材に対して左右方向又は上下方向のうち他方へ移動されるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用前照灯。
【請求項5】
前記ランプハウジングにおける前記投影レンズの中心部の後方に位置する部分に前記光源に駆動電流を供給するためのコネクターが取り付けられ、前記第1のエイミング操作軸又は前記第2のエイミング操作軸が前記投影レンズの中心を通る垂線より左方又は右方に位置された
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221760(P2012−221760A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86721(P2011−86721)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】