説明

車高調整装置

【課題】 車体と車軸の間に設けられて路面からの振動を減衰するとともに、懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御する油圧緩衝器の車高調整装置をコンパクトに構成すること。
【解決手段】 油圧緩衝器10の車高調整装置50であって、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキ51のジャッキ室54に作動油を供給する油圧ポンプ60と、懸架スプリング13のばね荷重を受ける油圧ジャッキ51のプランジャ55により加圧されるジャッキ室54のジャッキ圧を解放するブロー弁70を有してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車高調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車高調整装置として、特許文献1に記載の如く、アウターシェル内に配設されたシリンダと、シリンダ内に挿入されたピストンを具備した中空のピストンロッドと、当該ピストンロッドの中空空間に、シリンダに固定されたベースバルブに支持され且つ軸方向に設けた中空孔を介してリザーバに連通するポンプロッドと、当該ポンプロッドを収容し端部にジャッキアップシリンダを作動させるための吐出弁を装着したポンプシリンダとが配設され、前記ピストンはシリンダ内をロッド側室及び反ロッド側室とに区画し、それに対応するピストンの作動位置において、前記ポンプシリンダ内のポンプ室を前記反ロッド側室と連通するための切欠き通路及び前記ジャッキアップシリンダの圧力室を前記ポンプシリンダ内のポンプ室と連通するための制御オリフィスとをポンプシリンダに設け、且つポンプロッドの端部に吸い込み弁が配設されている自己レベル調整機能を備えた車高調整装置がある。
【0003】
この従来の車高調整装置は、車両の車体と車軸間に介装されて路面からの振動を減衰するとともに、ばね上荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御することができるとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-89034
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車高調整装置は、ピストンロッドの中空部とポンプロッドの間に挿入したポンプシリンダに切欠き通路及び制御オリフィスを設け、ポンプ室が圧送する作動油の油圧ジャッキへの給排をポンプシリンダの切欠き通路と制御オリフィスにより制御している。
【0006】
従って、特許文献1に記載の車高調整装置では、切欠き通路と制御オリフィスを設けるポンプシリンダが必要になり、このポンプシリンダをピストンロッドとポンプロッドの間に介装するものになり、ピストンロッドのロッド径が大きく、ひいてはピストンロッドが挿入されるシリンダの外径が大きくなり、車両への取付レイアウトに困難を伴なう。
【0007】
本発明の課題は、車体と車軸の間に設けられて路面からの振動を減衰するとともに、懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御する油圧緩衝器の車高調整装置をコンパクトに構成することにある。
【0008】
また、油圧緩衝器の車高調整装置にあっては、ダンパチューブに油圧ポンプを内蔵し、ダンパチューブ内の油室の作動油をポンプ室に吸込むように構成されている。そこで、油圧緩衝器の横置き保管、又は油圧緩衝器の車体取付状態での車体の転倒等により、油溜室の上部空気が油室に侵入した後、油圧緩衝器を縦置きしたり、車体を起立させると、これによって油室の上部に溜まることになる空気が油圧ポンプの吸込口からポンプ室に吸込まれるおそれがある。このような場合、油圧緩衝器の伸縮に伴って油圧ポンプがポンピング動作しても、ポンプ室内の空気を圧縮するのみになり、油圧ジャッキへの油の圧送ができなくなる。
【0009】
本発明の他の課題は、横置き保管等により油溜室の上部空気が油室に侵入しても、油圧ポンプのポンプ室への空気の吸込みを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車体側と車軸側の一方に設けられるダンパチューブと、車体側と車軸側の他方に設けられ、ダンパチューブ内の油室を摺動して該ダンパチューブに対して伸縮するピストンロッドと、ダンパチューブとピストンロッドの一方側に設けられる油圧ジャッキと、油圧ジャッキのジャッキ室に挿入されたプランジャに支持されるばね受と、ダンパチューブとピストンロッドの他方側に設けられるばね受との間に介装される懸架スプリングとを有してなる油圧緩衝器の車高調整装置であって、ダンパチューブに対するピストンロッドの伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキのジャッキ室に作動油を供給する油圧ポンプと、懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧を解放するブロー弁を有し、ピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークが小さく、車高が高い範囲では、車高が高くなるに従い、ジャッキ圧が小さくなり、ブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より小さくなるように設定され、油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧を該ブロー弁の開弁により解放して車高を下げ、ダンパ沈み込みストロークが大きく、車高が低い範囲では、車高が低くなるに従い、ジャッキ圧が大きくなり、ブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より大きくなるように設定され、油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧の解放を該ブロー弁の閉弁により停止して車高を上げるように構成したものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記油圧緩衝器がダンパチューブの底部に、該ダンパチューブ内の油室と油圧ジャッキのジャッキ室とを仕切るエンドピースを設けるとともに、該ダンパチューブに油圧ポンプとブロー弁を内蔵してなり、油圧ポンプは、ダンパチューブのエンドピースに立設した中空パイプをピストンロッドの中空部に摺動可能に挿入し、ピストンロッドの中空部と中空パイプによりポンプ室を形成し、ピストンロッドの収縮動により加圧されるポンプ室の作動油を油圧ジャッキの側に吐出させる吐出通路に吐出用チェック弁を備えるとともに、ピストンロッドの伸長動により負圧になるポンプ室にダンパチューブ内の油室の作動油を吸込む吸込通路に吸込用チェック弁を備え、ブロー弁は、ダンパチューブのエンドピースに形成されてポンプ室とジャッキ室の間の吐出通路をダンパチューブ内の油室に導くブロー通路を開閉するように該エンドピースに設けられ、該ブロー弁とピストンロッドとの間に介装される付勢手段により閉じ方向に付勢されるようにしたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において更に、前記油圧ポンプが、ダンパチューブ内の油室に開口する吸込口を、中空パイプの下端側であって、ダンパ最圧縮時におけるピストンロッドの下端部より下位に配置してなるようにしたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、第1と第2の油圧緩衝器を並置して備える車高調整装置であって、第1の油圧緩衝器は、車体側と車軸側の一方に設けられるダンパチューブと、車体側と車軸側の他方に設けられ、ダンパチューブ内の油室を摺動して該ダンパチューブに対して伸縮するピストンロッドと、ダンパチューブとピストンロッドの一方側に設けられる油圧ジャッキと、油圧ジャッキのジャッキ室に挿入されたプランジャに支持されるばね受と、ダンパチューブとピストンロッドの他方側に設けられるばね受との間に介装される懸架スプリングを有してなり、第2の油圧緩衝器は、車体側と車軸側の一方に設けられるダンパチューブと、車体側と車軸側の他方に設けられ、ダンパチューブ内の油室を摺動して該ダンパチューブに対して伸縮するピストンロッドと、ダンパチューブに対するピストンロッドの伸縮動によりポンピング動作して第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキのジャッキ室に作動油を供給する油圧ポンプと、第1の油圧緩衝器において懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧を解放するブロー弁を有し、第1の油圧緩衝器のピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークが小さく、車高が高い範囲では、車高が高くなるに従い、第1の油圧緩衝器のジャッキ圧が小さくなり、第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より小さくなるように設定され、第2の油圧緩衝器の油圧ポンプが第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキに供給するジャッキ圧を該ブロー弁の開弁により解放して車高を下げ、第1の油圧緩衝器のダンパ沈み込みストロークが大きく、車高が低い範囲では、車高が低くなるに従い、第1の油圧緩衝器のジャッキ圧が大きくなり、第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より大きくなるように設定され、第2の油圧緩衝器の油圧ポンプが第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキに供給するジャッキ圧の解放を該ブロー弁の閉弁により停止して車高を上げるように構成したようにしたものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、4に係る発明において更に、前記第2の油圧緩衝器がダンパチューブの端部にエンドハウジングを被着し、該ダンパチューブに油圧ポンプとブロー弁を内蔵してなり、油圧ポンプは、ダンパチューブのエンドハウジングに立設した中空パイプをピストンロッドの中空部により形成されるポンプ室に摺動可能に挿入して構成され、ピストンロッドの収縮動により加圧されるポンプ室の作動油を第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキの側に吐出させる吐出通路に吐出用チェック弁を備えるとともに、ピストンロッドの伸長動により負圧になるポンプ室にダンパチューブ内の作動油を吸込む吸込通路に吸込用チェック弁を備え、ブロー弁は、ダンパチューブのエンドハウジングに形成されてポンプ室と第1の油圧緩衝器のジャッキ室の間の吐出通路をダンパチューブ内の油室に導くブロー通路を開閉するように該エンドハウジングに設けられ、該ブロー弁とピストンロッドとの間に介装される付勢手段により閉じ方向に付勢されるようにしたものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに係る発明において更に、前記油圧ジャッキのジャッキ室に供給された作動油によりプランジャが該ジャッキ室から突出する突出端に達したとき、ジャッキ室の作動油をダンパチューブ内に戻す油戻り通路を該ダンパチューブに設けてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1)
(a)標準車高状態の車両から積み荷を降ろす等により懸架スプリングのばね荷重が減少することになって、ダンパ(油圧緩衝器)が伸び、ピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークStが小さくなり、車高が標準車高より高くなる範囲では、車高が高くなるに従い、ジャッキ圧Paが小さくなり、ブロー弁の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより小さくなるように設定されている。このとき、ジャッキ圧Paがブロー弁の開弁により解放されるものになり、車高を標準車高にまで下げる。
【0017】
(b)標準車高状態の車両に積み荷を積む等により、懸架スプリングのばね荷重が増加することになって、ダンパが沈み、ダンパ沈み込みストロークStが大きくなり、車高が標準車高より低くなる範囲では、車高が低くなるに従い、ジャッキ圧Paが大きくなり、ブロー弁の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより大きくなるように設定されている。このとき、車両が走行して油圧緩衝器が路面の凹凸により加振され、油圧ポンプがポンピング動作すると、この油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧Paの解放をブロー弁の閉弁により停止するものになり、車高を標準車高にまで上げる。
【0018】
(c)車高調整装置は、油圧ジャッキのジャッキ圧Paとブロー弁の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークStに対し上述(a)、(b)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく、常に一定の車高に制御することができる。
【0019】
(請求項2)
(d)前述(a)〜(c)の油圧緩衝器は、懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧Paを解放するブロー弁を有する。このとき、ブロー弁は、ダンパチューブのエンドピースに形成されてポンプ室とジャッキ室の間の吐出通路をダンパチューブ内の油室に導くブロー通路を開閉するように該エンドピースに設けられ、該ブロー弁とピストンロッドとの間に介装される付勢手段により閉じ方向に付勢される。従って、油圧ジャッキのプランジャを押下する懸架スプリングのばね特性と、ブロー弁を閉じ方向に付勢する付勢手段のばね特性を、油圧ジャッキのジャッキ圧Paとブロー弁の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークに対し前述(a)、(b)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御することができる。
【0020】
(請求項3)
(e)前述(d)の油圧緩衝器のダンパチューブに内蔵される油圧ポンプが、ダンパチューブ内の油室に開口する吸込口を、中空パイプの下端側であって、ダンパ最圧縮時におけるピストンロッドの下端部より下位に配置する。この油圧緩衝器が横置き保管、又は車体とともに転倒し、油溜室の上部空気が油室に侵入した後、この油圧緩衝器を縦置きしたり、車体を起立させると、侵入空気は油室内のピストンの下部に集まる。この空気は油圧緩衝器の伸縮によってピストンの油路を通ってピストンの上部に移動し、ピストンロッドとロッドガイドの摺動隙間から油溜室に排出される。
【0021】
一方、油圧ポンプの吸込口は、中空パイプの下端側であって、ダンパ最圧縮時におけるピストンロッドの下端部より下位に配置され、常に油中に配置される。従って、油圧緩衝器の油室に侵入した空気が油圧ポンプの吸込口に吸込まれる機会を排除でき、ポンプ室への空気の吸込みを防止できる。油圧緩衝器の伸縮に伴う油圧ポンプのポンピング動作により、ポンプ室の油を油圧ジャッキへと安定的に圧送できる。
【0022】
(請求項4)
(f)標準車高状態の車両から積み荷を降ろす等により第1の油圧緩衝器の懸架スプリングのばね荷重が減少することになって、ダンパ(油圧緩衝器)が伸び、第1の油圧緩衝器のピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークStが小さくなり、車高が標準車高より高くなる範囲では、車高が高くなるに従い、第1の油圧緩衝器のジャッキ圧Paが小さくなり、第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより小さくなるように設定されている。このとき、車両が走行して第2の油圧緩衝器が路面の凹凸により加振され、第2の油圧緩衝器の油圧ポンプがポンピング動作すると、この油圧ポンプが第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキに供給するジャッキ圧Paが第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁により解放されるものになり、車高を標準車高にまで下げる。
【0023】
(g)標準車高状態の車両に積み荷を積む等により、第1の油圧緩衝器の懸架スプリングのばね荷重が増加することになって、ダンパが沈み、第1の油圧緩衝器のダンパ沈み込みストロークStが大きくなり、車高が標準車高より低くなる範囲では、車高が低くなるに従い、第1の油圧緩衝器のジャッキ圧Paが大きくなり、第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより大きくなるように設定されている。このとき、車両が走行して第2の油圧緩衝器が路面の凹凸により加振され、第2の油圧緩衝器の油圧ポンプがポンピング動作すると、この油圧ポンプが第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキに供給するジャッキ圧Paの解放を第2の油圧緩衝器のブロー弁の閉弁により停止するものになり、車高を標準車高にまで上げる。
【0024】
(h)車高調整装置は、第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキのジャッキ圧Paと第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークStに対し上述(f)、(g)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、第1の油圧緩衝器の懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく、常に一定の車高に制御することができる。
【0025】
(請求項5)
(i)前述(f)〜(h)の第2の油圧緩衝器は、第1の油圧緩衝器において懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧Paを解放するブロー弁を有する。このとき、第2の油圧緩衝器のブロー弁は、ダンパチューブのエンドハウジングに形成されてポンプ室と第1の油圧緩衝器のジャッキ室の間の吐出通路をダンパチューブ内の油室に導くブロー通路を開閉するように該エンドハウジングに設けられ、該ブロー弁とピストンロッドとの間に介装される付勢手段により閉じ方向に付勢される。従って、第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキのプランジャを押下する懸架スプリングのばね特性と、第2の油圧緩衝器のブロー弁を閉じ方向に付勢する付勢手段のばね特性を、第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキのジャッキ圧Paと第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークに対し前述(f)、(g)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、第1の油圧緩衝器の懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御することができる。
【0026】
(請求項6)
(j)油圧ジャッキのジャッキ室に供給された作動油によりプランジャが該ジャッキ室から突出する突出端に達したとき、ジャッキ室の作動油をダンパチューブ内に戻す油戻り通路を該ダンパチューブに設けた。これにより、油圧ジャッキのジャッキ圧Paの不要な上昇を回避し、油圧系統のシール機能等を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は実施例1の車高調整装置を示す断面図である。
【図2】図2は図1のダンパチューブを示す断面図である。
【図3】図3は図2の上部断面図である。
【図4】図4は図2の下部断面図である。
【図5】図5はジャッキ圧とブロー弁の開弁圧の関係を示す線図である。
【図6】図6は実施例2の車高調整装置を示す断面図である。
【図7】図7は図6のダンパチューブを示す断面図である。
【図8】図8は図7の上部断面図である。
【図9】図9は図7の下部断面図である。
【図10】図10はばねジョイントを示し、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図11】図11は実施例3の車高調整装置を示す断面図である。
【図12】図12は第1の油圧緩衝器を示す断面図である。
【図13】図13は図12のダンパチューブを示す断面図である。
【図14】図14は第2の油圧緩衝器を示す断面図である。
【図15】図15は図14のダンパチューブを示す断面図である。
【図16】図16は図15の下部断面図である。
【図17】図17は図15の上部断面図である。
【図18】図18はジャッキ圧とブロー弁の開弁圧の関係を示す線図である。
【図19】図19は実施例4の車高調整装置を示す断面図である。
【図20】図20は図19のダンパチューブを示す断面図である。
【図21】図21は図20の上部断面図である。
【図22】図22は図20の下部断面図である。
【図23】図23はポンプの吸込状態を右半部に示し、ポンプの吐出状態を左半部に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施例1)(図1〜図5)
油圧緩衝器10は、例えば自動二輪車の後部車軸側と車体側との間に介装される後輪懸架装置を構成し、図1〜図4に示す如く、車軸側に取付けられるダンパチューブ11と、車体側に取付けられ、ダンパチューブ11内をピストン24を介して摺動して該ダンパチューブ11に対して伸縮するピストンロッド12と、ダンパチューブ11とピストンロッド12の外周沿いに配置された懸架スプリング13とを有する。
【0029】
ダンパチューブ11の底部のボトムカップ15には車軸側取付部材16が固定される。ピストンロッド12の上端部には車体側取付部材17が固定される。
【0030】
ダンパチューブ11の下端側の外周部には後述する車高調整装置50の油圧ジャッキ51のジャッキ室54に挿入されたプランジャ55に支持されるばね受18が装備され、ピストンロッド12には車体側取付部材17に支持されるばね受19が装備され、懸架スプリング13の上端がばね受19に支持され、懸架スプリング13の下端がばね受18に支持される。ばね受18は、スプリングガイド18Aを備える。
【0031】
油圧緩衝器10は、ダンパチューブ11をインナチューブ21とアウタチューブ22からなる二重管とし、インナチューブ21の下端をボトムカップ15の内周にOリング等を介して液密に挿着して固定し、アウタチューブ22の下端をボトムカップ15の外周にOリングを介して液密に挿着して固定してある。インナチューブ21とアウタチューブ22の開口端に固定したロッドガイド23にピストンロッド12を貫通支持し、ピストンロッド12のインナチューブ21への挿入端にピストン24を固定して備える。油圧緩衝器10は、インナチューブ21の内部にピストン24により区画されるピストンロッド側油室25Aとピストン側油室25Bを形成し、インナチューブ21とアウタチューブ22の間の環状隙間を油溜室26とし、それらの油室25A、25Bと油溜室26に作動油を封入している。油溜室26は作動油を収容するとともに、その上部を空気室としている。油溜室26はインナチューブ21の下端側(車軸の側)に設けた連通孔27により常にピストン側油室25Bと連通し、油圧緩衝器10の伸縮に伴なってインナチューブ21に進入/退出するピストンロッド12の容積分の作動油を補償する。
【0032】
油圧緩衝器10は、ピストン24にピストンバルブ装置30を備え、このピストンバルブ装置30によりピストンロッド側油室25Aとピストン側油室25Bを連通可能にし、かつ減衰力発生装置を構成する。油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置30が構成する減衰力発生装置により、懸架スプリング13による路面からの衝撃力の吸収に伴なうダンパチューブ11とピストンロッド12の伸縮振動を減衰する。
【0033】
ピストンバルブ装置30は、図2に示す如く、ピストン24に、油室25Aと油室25Bを連絡する伸側油路31A(不図示)と圧側油路31Bを穿設し、伸側油路31Aに伸側ディスクバルブ32を設け、圧側油路31Bに圧側ディスクバルブ33を備える。伸長時に、油室25Aの油圧により伸側ディスクバルブ32を撓み変形させて押し開くことにて伸側減衰力を発生し、圧縮時に、油室25Bの油圧により圧側ディスクバルブ33を撓み変形させて押し開くことにて圧側減衰力を発生する。34は伸側ディスクバルブ32のためのバルブストッパ、35は圧側ディスクバルブ33のためのバルブストッパを示す。
【0034】
尚、油圧緩衝器10は、最大圧縮時の衝撃力を緩衝するとともに、最大圧縮ストロークを規制する圧側緩衝ゴム41を備えるとともに、最大伸長時の衝撃力を緩衝するとともに、最大伸長ストロークを規制する伸側緩衝ゴム42を備える。
【0035】
しかるに、油圧緩衝器10は、懸架スプリング13のばね荷重にかかわりなく、車両の車高を常に一定に制御する車高調整装置50を以下の如くに有する。
【0036】
車高調整装置50は、図1、図2、図4に示す如く、ダンパチューブ11におけるアウタチューブ22の外周に油圧ジャッキ51を設けている。油圧ジャッキ51は、ジャッキハウジング52がアウタチューブ22の外周にOリングを介して液密に挿着され、該ジャッキハウジング52の下端をアウタチューブ22の外周に係着してあるストッパリング53により支持するとともに、ジャッキハウジング52がアウタチューブ22の外周との間に区画する環状ジャッキ室54にプランジャ55を挿入している。プランジャ55はジャッキハウジング52の内周とアウタチューブ22の外周のそれぞれにOリングを介して液密に挿着され、プランジャ55の上面に前述の懸架スプリング13のためのばね受18を支持している。プランジャ55はジャッキ室54に供給される作動油により該ジャッキ室54から突出可能にされ、その突出端をジャッキハウジング52の開口端側の内周に係着したストッパリング56により規制される。
【0037】
尚、油圧ジャッキ51は、プランジャ55がジャッキ室54から突出する上述の突出端に達したとき、ジャッキ室54の作動油をダンパチューブ11のアウタチューブ22内の油溜室26に戻す孔状の油戻り通路57をアウタチューブ22に設けている。
【0038】
車高調整装置50は、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキ51のジャッキ室54に作動油を給排する油圧ポンプ60と、懸架スプリング13のばね荷重を受ける油圧ジャッキ51のプランジャ55により加圧されるジャッキ室54のジャッキ圧Paを解放するブロー弁70を有する。
【0039】
車高調整装置50は、下記(1)、(2)の車高調整動作により、車両を常に一定の標準車高に制御するものである(図5)。
【0040】
(1)ピストンロッド12の伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークStが小さく、車高が標準車高より高い範囲では、車高が高くなるに従い、ジャッキ圧Paが小さくなり、ブロー弁70の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより小さくなるように設定される。これにより、油圧ポンプ60が油圧ジャッキ51に供給するジャッキ圧Paを該ブロー弁70の開弁により解放して車高を下げ、車高を標準車高にまで下げる。
【0041】
(2)ダンパ沈み込みストロークStが大きく、車高が標準車高より低い範囲では、車高が低くなるに従い、ジャッキ圧Paが大きくなり、ブロー弁70の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより大きくなるように設定される。これにより、油圧ポンプ60が油圧ジャッキ51に供給するジャッキ圧Paの解放を該ブロー弁70の閉弁により停止して車高を上げ、車高を標準車高にまで上げる。
【0042】
図5は、ジャッキ圧Pa(Pa1、Pa2)とブロー弁70の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークStに対してなす上述(1)、(2)の関係を示したものである。Pa1はダンパ沈み込みストロークStがゼロのときの懸架スプリング13の長さ(初期長さ)が短い場合のジャッキ圧Paの変化を示し、Pa2はダンパ沈み込みストロークStがゼロのときの懸架スプリング13の長さ(初期長さ)が長い場合のジャッキ圧Paの変化を示し、Pa1とPa2のダンパ沈み込みストロークStに対する変化率(勾配)は同じである。尚、車両の標準車高とは、Pa=Pbのときに、車高調整装置50が車両に付与する車高である。
【0043】
本実施例の油圧緩衝器10では、図4に示す如く、ダンパチューブ11のインナチューブ21内のピストン側油室25Bと油圧ジャッキ51のジャッキ室54とを仕切るエンドピース28をダンパチューブ11の底部たるボトムカップ15の内面上に設けるとともに、ダンパチューブ11に油圧ポンプ60とブロー弁70を内蔵している。エンドピース28はボトムカップ15の内面とインナチューブ21の下端との間に挟み固定され、ボトムカップ15の内面との間に連絡通路29を形成し、この連絡通路29はボトムカップ15に設けた連絡孔29A、アウタチューブ22に設けた連絡孔29Bを介してジャッキ室54に連絡される。
【0044】
そして、油圧ポンプ60は、図3、図4に示す如く、ダンパチューブ11のエンドピース28の中央に固定してあるブロー弁70のためのバルブストッパ71の中央孔に嵌合させて立設した中空パイプ61をピストンロッド12の中空部によって形成されているポンプ室62に摺動可能に挿入して構成される。油圧ポンプ60の後述する吐出通路63は上述の連絡通路29、連絡孔29A、29Bを介して油圧ジャッキ51のジャッキ室54に連通する。
【0045】
また、油圧ポンプ60は、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ61に進入する収縮動により加圧されるポンプ室62の作動油を油圧ジャッキ51の側に吐出させる吐出通路63に吐出用チェック弁64を備えるとともに、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ61から退出する伸長動により負圧になるポンプ室62にダンパチューブ11のインナチューブ21内の作動油を吸込む吸込通路65に吸込用チェック弁66を備える。吐出通路63は中空パイプ61の中空部により構成される。吐出用チェック弁64は中空パイプ61の中空部に装填したボール弁64Aをコイルばね64Bにより、中空パイプ61の開口端にかしめ固定してある弁シート64Cに押圧し、ポンプ室62の加圧によりボール弁64Aを弁シート64Cから離して開き、ポンプ室62の負圧時にボール弁64Aを弁シート64Cに着座させて閉じる。吸込通路65はピストンロッド12の内外に貫通してピストンロッド側油室25Aに開口する吸込孔65Aと、ピストンロッド12の内周と中空パイプ61の外周との環状間隙により形成される。吸込用チェック弁66は中空パイプ61の外周に上下スライド自在に装填され、上端面に切欠溝を備えるピストンリング66Aからなり、ポンプ室62の加圧によりピストンリング66Aを下動させて吸込通路65を閉じ、ポンプ室62の負圧時にピストンリング66Aを上動させて吸込通路65を開く。
【0046】
従って、油圧ポンプ60は、車両が走行して油圧緩衝器10が路面の凹凸により加振され、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ61に進退する収縮動によりポンピング動作する。ピストンロッド12の圧縮動によるポンピング動作によりポンプ室62が加圧されるとき、ポンプ室62の油が吐出用チェック弁64を開いて中空パイプ61の中空部の吐出通路63から油圧ジャッキ51の側に吐出される。ピストンロッド12の伸長動によるポンピング動作によりポンプ室62が負圧になると、ダンパチューブ11のピストンロッド側油室25Aの油が吸込用チェック弁66を開いて中空パイプ61の外周の吸込通路65からポンプ室62に吸込まれる。
【0047】
また、車高調整装置50は、図3、図4に示す如く、油圧ポンプ60のポンプ室62と油圧ジャッキ51のジャッキ室54の間の吐出通路63、連絡通路29、連絡孔29A、29Bをダンパチューブ11のインナチューブ21内のピストン側油室25Bに導くブロー通路72を、ダンパチューブ11のエンドピース28に形成してある。ブロー弁70は、ディスク状をなし、エンドピース28に設けたバルブストッパ71の外周に遊挿されるとともに、皿ばねによりエンドピース28のピストン側油室25Bに臨むシート面に着座され、ブロー通路72を開閉する。ブロー弁70は、該ブロー弁70とピストンロッド12に設けた伸側ディスクバルブ32のバルブストッパ34との間に介装されたコイルばねからなる付勢手段73により閉じ方向に付勢される。ブロー弁70の前述の開弁圧Pbは、付勢手段73により決定されるものであり、油圧緩衝器10の伸縮による前述のダンパ沈み込みストロークStに応ずる付勢手段73のばね長の変化とともに、図5に示した如くに変化する。
【0048】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)標準車高状態の車両から積み荷を降ろす等により懸架スプリング13のばね荷重が減少することになって、ダンパ(油圧緩衝器10)が伸び、ピストンロッド12の伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークStが小さくなり、車高が標準車高より高くなる範囲では、車高が高くなるに従い、ジャッキ圧Paが小さくなり、ブロー弁70の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより小さくなるように設定されている。このとき、車両が走行して油圧緩衝器10が路面の凹凸により加振され、油圧ポンプ60がポンピング動作すると、この油圧ポンプ60が油圧ジャッキ51に供給するジャッキ圧Paがブロー弁70の開弁によりピストン側油室25Bの側に解放されるものになり、車高を標準車高にまで下げる。
【0049】
(b)標準車高状態の車両に積み荷を積む等により、懸架スプリング13のばね荷重が増加することになって、ダンパが沈み、ダンパ沈み込みストロークStが大きくなり、車高が標準車高より低くなる範囲では、車高が低くなるに従い、ジャッキ圧Paが大きくなり、ブロー弁70の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより大きくなるように設定されている。このとき、車両が走行して油圧緩衝器10が路面の凹凸により加振され、油圧ポンプ60がポンピング動作すると、この油圧ポンプ60が油圧ジャッキ51に供給するジャッキ圧Paのピストン側油室25Bの側への解放をブロー弁70の閉弁により停止するものになり、車高を標準車高にまで上げる。
【0050】
(c)車高調整装置50は、油圧ジャッキ51のジャッキ圧Paとブロー弁70の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークStに対し上述(a)、(b)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、懸架スプリング13のばね荷重にかかわりなく、常に一定の車高に制御することができる。
【0051】
(d)前述(a)〜(c)の油圧緩衝器10は、懸架スプリング13のばね荷重を受ける油圧ジャッキ51のプランジャ55により加圧されるジャッキ室54のジャッキ圧Paを解放するブロー弁70を有する。このとき、ブロー弁70は、ダンパチューブ11のエンドピース28に形成されてポンプ室62とジャッキ室54の間の吐出通路63をダンパチューブ11内の油室25Bに導くブロー通路72を開閉するように該エンドピース28に設けられ、該ブロー弁70とピストンロッド12との間に介装される付勢手段73により閉じ方向に付勢される。従って、油圧ジャッキ51のプランジャ55を押下する懸架スプリング13のばね特性と、ブロー弁70を閉じ方向に付勢する付勢手段73のばね特性を、油圧ジャッキ51のジャッキ圧Paとブロー弁70の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークに対し前述(a)、(b)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、懸架スプリング13のばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御することができる。
【0052】
(e)油圧ジャッキ51のジャッキ室54に供給された作動油によりプランジャ55が該ジャッキ室54から突出する突出端に達したとき、ジャッキ室54の作動油をダンパチューブ11内に戻す油戻り通路57を該ダンパチューブ11に設けた。これにより、油圧ジャッキ51のジャッキ圧Paの不要な上昇を回避し、油圧系統のシール機能等を保護できる。
【0053】
(実施例2)(図6〜図10)
図6〜図10は、実施例2の油圧緩衝器10を示し、実施例1と実質的に同一の部材に同一の符号を付して示したものである。実施例2の油圧緩衝器10が実施例1の油圧緩衝器10と実質的に異なる部分は、油圧ポンプ60のポンプ室62、吐出通路63及び吐出用チェック弁64の構造、並びにブロー弁70の付勢手段73の構造である。
【0054】
油圧ポンプ60は、エンドピース28に固定した、ブロー弁70のバルブストッパ71に中空パイプ61を立設し、ピストンロッド12の中空部及び中空パイプ61の中空部によりポンプ室62を形成するとともに、バルブストッパ71に吐出通路63を形成し、この吐出通路63に吐出用チェック弁64を設けた。吐出用チェック弁64はバルブストッパ71の吐出通路63内に装填したボール弁64Aをコイルばね64Bにより、バルブストッパ71に形成した弁シート64Cに押圧し、ポンプ室62の加圧によりボール弁64Aを弁シート64Cから離して開き、ポンプ室62の負圧時にボール弁64Aを弁シート64Cに着座させて閉じるものである。尚、インナチューブ21の下端部に設けた隔壁カラー21Aがボトムカップ15の内面との間にエンドピース28を挟み固定し、隔壁カラー21Aとボトムカップ15、アウタチューブ22との間に、油圧ポンプ60の吐出通路63が開口している連絡通路29を油圧ジャッキ51のジャッキ室54の側に連絡する連絡通路29Aを形成している。
【0055】
ブロー弁70は、付勢手段73を大コイル径の上コイルばね73Aと小コイル径の下コイルばね73Bに2分し、上コイルばね73Aの下端をばねジョイント74の外周部に装填し、下コイルばね73Bの上端をばねジョイント74の内周部に装填し、上コイルばね73Aの上端をピストンロッド12に設けたピストン24のピストン側油室25Bに臨む面に支持し、下コイルばね73Bの下端をブロー弁70に支持し、結果としてブロー弁70は上コイルばね73Aと下コイルばね73Bの合成ばね力により閉じ方向に付勢される。上コイルばね73Aの下端と下コイルばね73Bの上端がばねジョイント74の内外周に装填されることにより、それらの下端と上端を軸方向で概ねばねジョイント74の長さ分重ね合せ、ピストンロッド12のピストン24とブロー弁70との間隔長の範囲内における上コイルばね73A及び下コイルばね73Bの格納長をその重ね合せ分だけ長くすることができ、ブロー弁70を付勢するコイルばね73A、73Bのばね特性を向上できる。
【0056】
ばねジョイント74は、図10に示す如く、下端の外周張出部74Aと上端の内周張出部74Cの間に、外方突出爪部74Bと内方突出爪部74Dを備える。上コイルばね73Aの下端は外方突出爪部74Bを一時的に縮径させるように弾性変形させてばねジョイント74の外周に装填され、その端末の素線を外周張出部74Aと外方突出爪部74Bの間に挟み込み保持される。下コイルばね73Bの上端は内方突出爪部74Dを一時的に拡径させるように弾性変形させてばねジョイント74の内周に装填され、その端末の素線を内周張出部74Cと内方突出爪部74Dの間に挟み込み保持される。
【0057】
尚、実施例2の油圧緩衝器10にあっては、ばね受18がスプリングガイド18Aを備える他、ジャッキハウジング52及びプランジャ55の外周を被覆するダストシール18Bを延在させて備える。
【0058】
また、実施例2の油圧緩衝器10にあっては、ピストンバルブ装置30がピストン24にピストンロッド側油室25Aとピストン側油室25Bを連絡する油路31を穿設し、油路31の油室25Aへの開口を開閉する孔あきバルブ36と、孔あきバルブ36の孔を油路31の側から塞ぐように孔あきバルブ36に添設されるディスクバルブ37を備える。伸長時に、孔あきバルブ36の孔を通った油室25Aの油圧によりディスクバルブ37を撓み変形させて押し開くことにて伸側減衰力を発生し、圧縮時に、油室25Bの油圧により孔あきバルブ36とディスクバルブ37をスライドさせて押し開くことにて圧側減衰力を発生する。38は孔あきバルブ36のためのバルブストッパ、39はバルブスプリングを示す。
【0059】
また、実施例2の油圧緩衝器10にあっては、実施例1の伸側緩衝ゴム42を伸側緩衝スプリング42に代えてある。
【0060】
(実施例3)(図11〜図18)
図11に示す油圧緩衝装置100は、第1と第2の油圧緩衝器110、210を並置してなるものである。第1と第2の油圧緩衝器110、210は、例えば自動2輪車の左右両側のそれぞれにおいて、後部車軸側と車体側との間に介装される後輪懸架装置を構成する。
【0061】
第1の油圧緩衝器110は、図12、図13に示す如く、車体側に取付けられるダンパチューブ111と、車軸側に取付けられ、ダンパチューブ111内をピストン124を介して摺動して該ダンパチューブ111に対して伸縮するピストンロッド112と、ダンパチューブ111とピストンロッド112の外周沿いに配置された懸架スプリング113とを有する。
【0062】
ダンパチューブ111の上端部には後述する車高調整装置150の油圧ジャッキ151のジャッキハウジング152が取着され、ジャッキハウジング152には車体側取付部材116が固定される。ピストンロッド112の下端部には車軸側取付部材117が固定される。
【0063】
ダンパチューブ111の上端部の外周には車高調整装置150の油圧ジャッキ151のジャッキ室154に挿入されたプランジャ155に支持されるばね受118が装備され、ピストンロッド112には車軸側取付部材117に支持されるばね受119が装備され、懸架スプリング113の上端がばね受118に支持され、懸架スプリング113の下端がばね受119に支持される。ばね受118はスプリングガイド118Aを備え、ばね受119はスプリングガイド119Aを備える。
【0064】
第1の油圧緩衝器110は、ダンパチューブ111の開口端に固定したロッドガイド123にピストンロッド112を貫通支持し、ピストンロッド112のダンパチューブ111への挿入端にピストン124を固定して備える。第1の油圧緩衝器110は、ダンパチューブ111の内部にピストン124により区画されるピストンロッド側油室125Aとピストン側油室125Bを形成し、それらの油室125A、125Bに作動油を封入し、ダンパチューブ111の内部におけるピストン側油室125Bの上部スペースを空気室126としている。空気室126は油圧緩衝器110の伸縮に伴なってダンパチューブ111に進入/退出するピストンロッド112により拡縮され、ピストンロッド112の進入/退出容積分の作動油を補償する。
【0065】
第1の油圧緩衝器110は、ピストン124にピストンバルブ装置130を備え、このピストンバルブ装置130によりピストンロッド側油室125Aとピストン側油室125Bを連通可能にし、かつ減衰力発生装置を構成する。第1の油圧緩衝器110は、ピストンバルブ装置130が構成する減衰力発生装置により、懸架スプリング113による路面からの衝撃力の吸収に伴なうダンパチューブ111とピストンロッド112の伸縮振動を減衰する。
【0066】
ピストンバルブ装置130は、図13に示す如く、ピストン124に、油室125Aと油室125Bを連絡する油路131を穿設し、油路131の油室125Aへの開口を開閉する孔あきバルブ132と、孔あきバルブ132の孔を油路131の側から塞ぐように孔あきバルブ132に添設されるディスクバルブ133を備える。伸長時に、孔あきバルブ132の孔を通った油室125Aの油圧によりディスクバルブ133を撓み変形させて押し開くことにて伸側減衰力を発生し、圧縮時に、油室125Bの油圧により孔あきバルブ132とディスクバルブ133をスライドさせて押し開くことにて圧側減衰力を発生する。134は孔あきバルブ132のためのバルブストッパ、135はバルブスプリングを示す。
【0067】
尚、第1の油圧緩衝器110は、最大圧縮時の衝撃力を緩衝するとともに、最大圧縮ストロークを規制する圧側緩衝ゴム141を備えるとともに、最大伸長時の衝撃力を緩衝するとともに、最大伸長ストロークを規制する伸側緩衝スプリング142を備える。
【0068】
しかるに、第1の油圧緩衝器110は、懸架スプリング113のばね荷重にかかわりなく、車両の車高を常に一定に制御する車高調整装置150を以下の如くに有する。
【0069】
車高調整装置150は、図13に示す如く、ダンパチューブ111の外周に油圧ジャッキ151を設けている。油圧ジャッキ151は、ジャッキハウジング152がダンパチューブ111の外周に液密に取着され、ジャッキハウジング152がダンパチューブ111の外周との間に区画する環状ジャッキ室154にプランジャ155を挿入している。プランジャ155はジャッキハウジング152の内周とダンパチューブ111の外周のそれぞれにOリングを介して液密に挿着され、プランジャ155の下面に前述の懸架スプリング113のためのばね受118を支持している。プランジャ155はジャッキ室154に供給される作動油により該ジャッキ室154から突出可能にされ、その突出端をジャッキハウジング152の開口端側の内周に係着したストッパリング156により規制される。
【0070】
車高調整装置150は、第2の油圧緩衝器210が備える油圧ポンプ260が後述する如くに圧送する作動油を油圧ジャッキ151のジャッキ室154に給排される。
【0071】
第2の油圧緩衝器210は、図14〜図17に示す如く、車体側に取付けられるダンパチューブ211と、車軸側に取付けられ、ダンパチューブ211内をピストン224を介して摺動して該ダンパチューブ211に対して伸縮するピストンロッド212と、ダンパチューブ211とピストンロッド212の外周沿いに配置された付勢スプリング213とを有する。
【0072】
ダンパチューブ211の上端部には後述する油圧ポンプ260、ブロー弁270が内蔵されるエンドハウジング215が取着され、エンドハウジング215には車体側取付部材216が固定される。ピストンロッド212の下端部には車軸側取付部材217が固定される。
【0073】
ダンパチューブ211の上端部の外周にはエンドハウジング215に内蔵されるブロー弁270に支持されるばね受218が装備され、ピストンロッド212には車軸側取付部材217に支持されるばね受219が装備され、付勢スプリング213の上端がばね受218に支持され、付勢スプリング213の下端がばね受219に支持される。ばね受218はスプリングガイド218Aを備え、ばね受219はスプリングガイド219Aを備える。
【0074】
第2の油圧緩衝器210は、ダンパチューブ211の開口端に固定したロッドガイド223にピストンロッド212を貫通支持し、ピストンロッド212のダンパチューブ211への挿入端にピストン224を固定して備える。第2の油圧緩衝器210は、ダンパチューブ211の内部にピストン224により区画されるピストンロッド側油室225Aとピストン側油室225Bを形成し、それらの油室225A、225Bに作動油を封入し、ダンパチューブ211の内部におけるピストン側油室225Bの上部スペースを空気室226としている。空気室226は第2の油圧緩衝器210の伸縮に伴なってダンパチューブ211に進入/退出するピストンロッド212により拡縮され、ピストンロッド212の進入/退出容積分の作動油を補償する。
【0075】
油圧緩衝器210は、ピストン224にピストンバルブ装置230を備え、このピストンバルブ装置230によりピストンロッド側油室225Aとピストン側油室225Bを連通可能にし、かつ減衰力発生装置を構成する。油圧緩衝器210は、ピストンバルブ装置230が構成する減衰力発生装置により、付勢スプリング213による路面からの衝撃力の吸収に伴なうダンパチューブ211とピストンロッド212の伸縮振動を減衰する。
【0076】
ピストンバルブ装置230は、図15、図16に示す如く、ピストン224に、油室225Aと油室225Bを連絡する油路231を穿設し、油路231のピストンロッド側油室225Aへの開口を開閉する孔あきバルブ232と、孔あきバルブ232の孔を油路231の側から塞ぐように孔あきバルブ232に添設されるディスクバルブ233を備える。伸長時に、孔あきバルブ232の孔を通った油室225Aの油圧によりディスクバルブ233を撓み変形させて押し開くことにて伸側減衰力を発生し、圧縮時に、油室225Bの油圧により孔あきバルブ232とディスクバルブ233をスライドさせて押し開くことにて圧側減衰力を発生する。234は孔あきバルブ232のためのバルブストッパ、235はバルブスプリングを示す。
【0077】
尚、第2の油圧緩衝器210は、最大圧縮時の衝撃力を緩衝するとともに、最大圧縮ストロークを規制する圧側緩衝ゴム241を備えるとともに、最大伸長時の衝撃力を緩衝するとともに、最大伸長ストロークを規制する伸側緩衝スプリング242を備える。
【0078】
しかるに、第2の油圧緩衝器210は、ダンパチューブ211に対するピストンロッド212の伸縮動によりポンピング動作して第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151のジャッキ室154に作動油を給排する油圧ポンプ260と、第1の油圧緩衝器110の懸架スプリング113のばね荷重を受ける油圧ジャッキ151のプランジャ155により加圧されるジャッキ室154のジャッキ圧Paを解放するブロー弁270を有する。
【0079】
車高調整装置150は、第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151、第2の油圧緩衝器210の油圧ポンプ260、ブロー弁270により構成され、下記(1)、(2)の車高調整動作により、車両を常に一定の標準車高に制御するものである(図18)。
【0080】
(1)第1の油圧緩衝器110のピストンロッド112の伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークStが小さく、車高が標準車高より高い範囲では、車高が高くなるに従い、第1の油圧緩衝器110のジャッキ圧Paが小さくなり、第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより小さくなるように設定される。これにより、第2の油圧緩衝器210の油圧ポンプ260が第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151に供給するジャッキ圧Paを該ブロー弁270の開弁により解放して車高を下げ、車高を標準車高にまで下げる。
【0081】
(2)第1の油圧緩衝器110のダンパ沈み込みストロークStが大きく、車高が標準車高より低い範囲では、車高が低くなるに従い、第1の油圧緩衝器110のジャッキ圧Paが大きくなり、第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより大きくなるように設定される。これにより、第2の緩衝器210の油圧ポンプ260が第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151に供給するジャッキ圧Paの解放を該ブロー弁270の閉弁により停止して車高を上げ、車高を標準車高にまで上げる。
【0082】
図18は、ジャッキ圧Pa(Pa1、Pa2)とブロー弁270の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークStに対してなす上述(1)、(2)の関係を示したものである。Pa1はダンパ沈み込みストロークStがゼロのときの懸架スプリング113の長さ(初期長さ)が短い場合のジャッキ圧Paの変化を示し、Pa2はダンパ沈み込みストロークStがゼロのときの懸架スプリング113の長さ(初期長さ)が長い場合のジャッキ圧Paの変化を示し、Pa1とPa2のダンパ沈み込みストロークStに対する変化率(勾配)は同じである。尚、車両の標準車高とは、Pa=Pbのときに、車高調整装置150が車両に付与する車高である。
【0083】
本実施例の第2の油圧緩衝器210では、図15、17に示す如く、ダンパチューブ211の上端部にエンドハウジング215を液密に取着するとともに、このエンドハウジング215に油圧ポンプ260とブロー弁270を内蔵している。
【0084】
そして、油圧ポンプ260は、図17に示す如く、ダンパチューブ211のエンドハウジング215の中央に螺着して固定してある油圧ポンプ260の吐出用チェック弁264のためのバルブハウジング215Aの中央孔に嵌合させて立設した中空パイプ261を、ピストンロッド212の中空部によって形成されているポンプ室262に摺動可能に挿入して構成される。油圧ポンプ260の後述する吐出通路263は、第1の油圧緩衝器110と第2の油圧緩衝器210の間に延在される作動油給排管280、第1の油圧緩衝器110のジャッキハウジング152に設けた連絡通路157を介して油圧ジャッキ151のジャッキ室154に連通する。
【0085】
また、油圧ポンプ260は、ピストンロッド212がダンパチューブ211、中空パイプ261に進入する収縮動により加圧されるポンプ室262の作動油を油圧ジャッキ151の側に吐出させる吐出通路263をエンドハウジング215及びバルブハウジング215Aに設け、バルブハウジング215Aに設けた吐出通路263に吐出用チェック弁264を備えるとともに、ピストンロッド212がダンパチューブ211、中空パイプ261から退出する伸長動により負圧になるポンプ室262にダンパチューブ211内の作動油を吸込む吸込通路265に吸込用チェック弁266を備える。吐出用チェック弁264はバルブハウジング215Aの吐出通路263に装填したボール弁264Aをコイルばね264Bにより、バルブハウジング215Aに設けてある弁シート264Cに押圧し、ポンプ室262の加圧によりボール弁264Aを弁シート264Cから離して開き、ポンプ室262の負圧時にボール弁264Aを弁シート264Cに着座させて閉じる。吸込通路265はピストンロッド212の内外に貫通してピストンロッド側油室225Aに開口する吸込孔265Aと、ピストンロッド212の内周と中空パイプ261の外周との環状間隙により形成される。吸込用チェック弁266は中空パイプ261の外周に上下スライド自在に装填され、下端面に切欠溝を備えるピストンリング266Aからなり、ポンプ室262の加圧によりピストンリング266Aを上動させて吸込通路265を閉じ、ポンプ室262の負圧時にピストンリング266Aを下動させて吸込通路265を開く。
【0086】
従って、油圧ポンプ260は、車両が走行して油圧緩衝器210が路面の凹凸により加振され、ピストンロッド212がダンパチューブ211、中空パイプ261に進退する収縮動によりポンピング動作する。ピストンロッド212の圧縮動によるポンピング動作によりポンプ室262が加圧されるとき、ポンプ室262の油が吐出用チェック弁264を開いてエンドハウジング215の吐出通路263から作動油給排管280、第1の油圧緩衝器110のジャッキハウジング152の連絡通路157を介して第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151の側に吐出される。ピストンロッド212の伸長動によるポンピング動作によりポンプ室262が負圧になると、ダンパチューブ211のピストンロッド側油室225Aの油が吸込用チェック弁266を開いて中空パイプ261の外周の吸込通路265からポンプ室262に吸込まれる。
【0087】
また、車高調整装置150は、図15、図17に示す如く、油圧ポンプ260のポンプ室262と油圧ジャッキ151のジャッキ室154の間の吐出通路263を、第2の油圧緩衝器210のエンドハウジング215がダンパチューブ211の外周との間に形成している環状バルブ室271経由で、ダンパチューブ211内のピストン側油室225Bに導くブロー通路272を、ダンパチューブ211に穿設して形成してある。ブロー弁270は、エンドハウジング215のバルブ室271に装填され、バルブ室271の吐出通路263が開口しているシート面に着座され、ブロー通路272を開閉する。ブロー弁270は、該ブロー弁270に支持されるばね受218とピストンロッド212に設けたばね受219との間に介装された付勢スプリング213を構成しているコイルばねからなる付勢手段273により閉じ方向に付勢される。ブロー弁270の前述の開弁圧Pbは、付勢手段273により決定されるものであり、第1の油圧緩衝器110の伸縮による前述のダンパ沈み込みストロークStに応ずる第2の油圧緩衝器210の付勢手段273のばね長の変化とともに、図18に示した如くに変化する。
【0088】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)標準車高状態の車両から積み荷を降ろす等により第1の油圧緩衝器110の懸架スプリング113のばね荷重が減少することになって、ダンパ(油圧緩衝器110)が伸び、第1の油圧緩衝器110のピストンロッド112の伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークStが小さくなり、車高が標準車高より高くなる範囲では、車高が高くなるに従い、第1の油圧緩衝器110のジャッキ圧Paが小さくなり、第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより小さくなるように設定されている。このとき、車両が走行して第2の油圧緩衝器210が路面の凹凸により加振され、第2の油圧緩衝器210の油圧ポンプ260がポンピング動作すると、この油圧ポンプ260が第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151に供給するジャッキ圧Paが第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁により解放されるものになり、車高を標準車高にまで下げる。
【0089】
(b)標準車高状態の車両に積み荷を積む等により、第1の油圧緩衝器110の懸架スプリング113のばね荷重が増加することになって、ダンパが沈み、第1の油圧緩衝器110のダンパ沈み込みストロークStが大きくなり、車高が標準車高より低くなる範囲では、車高が低くなるに従い、第1の油圧緩衝器110のジャッキ圧Paが大きくなり、第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁圧Pbが該ジャッキ圧Paより大きくなるように設定されている。このとき、車両が走行して第2の油圧緩衝器210が路面の凹凸により加振され、第2の油圧緩衝器210の油圧ポンプ260がポンピング動作すると、この油圧ポンプ260が第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151に供給するジャッキ圧Paの解放を第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の閉弁により停止するものになり、車高を標準車高にまで上げる。
【0090】
(c)車高調整装置150は、第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151のジャッキ圧Paと第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークStに対し上述(a)、(b)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、第1の油圧緩衝器110の懸架スプリング113のばね荷重にかかわりなく、常に一定の車高に制御することができる。
【0091】
(d)前述(a)〜(c)の第2の油圧緩衝器210は、第1の油圧緩衝器110において懸架スプリング113のばね荷重を受ける油圧ジャッキ151のプランジャ155により加圧されるジャッキ室154のジャッキ圧Paを解放するブロー弁270を有する。このとき、第2の油圧緩衝器210のブロー弁270は、ダンパチューブ211のエンドハウジング215に形成されてポンプ室262と第1の油圧緩衝器110のジャッキ室154の間の吐出通路263をダンパチューブ211内の油室225Bに導くブロー通路272を開閉するように該エンドハウジング215に設けられ、該ブロー弁270とピストンロッド212との間に介装される付勢手段273(付勢スプリング213)により閉じ方向に付勢される。従って、第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151のプランジャ155を押下する懸架スプリング113のばね特性と、第2の油圧緩衝器210のブロー弁270を閉じ方向に付勢する付勢手段273(付勢スプリング213)のばね特性を、第1の油圧緩衝器110の油圧ジャッキ151のジャッキ圧Paと第2の油圧緩衝器210のブロー弁270の開弁圧Pbがダンパ沈み込みストロークに対し前述(a)、(b)の関係となるように設定する簡易かつコンパクトな構成により、第1の油圧緩衝器110の懸架スプリング113のばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御することができる。
【0092】
(実施例4)(図19〜図23)
図19〜図23は、実施例4の油圧緩衝器を示し、実施例1、2と実質的に同一の部材に同一の符号を付したものである。実施例4の油圧緩衝器10が実施例1の油圧緩衝器10と実質的に異なる部分は、油圧ポンプ60のポンプ室62、吐出通路63及び吐出用チェック弁64の構造、吸込通路65及び吸込用チェック弁66の構造、並びにブロー弁70とその付勢手段73の構造である。
【0093】
油圧ポンプ60は、中空パイプ61の上端部に中空シールケース61Aを嵌合固定し、中空パイプ61の下端部に吸込用チェック弁66の中空弁体67を嵌合固定している。中空パイプ61の下端部、及び弁体67において中空パイプ61の下端部から突出している部分の周囲にはパッキンケース68が被着される。パッキンケース68の内周に装填されるパッキン68Aとバックアップリング68Bが、この順にパッキンケース68の下端フランジ部の上に固定的に納められてサブ組体となる。パッキンケース68、パッキン68A、バックアップリング68Bのサブ組体は、弁体67の中空パイプ61に対する突出部の周囲に遊挿され、弁体67の突出端の外周に設けられる拡径状ストッパ部67Aにより保持される。パッキンケース68の下端フランジ部、パッキン68A、及びバックアップリング68Bの軸方向合計長さは、中空パイプ61の下端面と弁体67のストッパ部67Aがなす間隔より一定長さG(図23)だけ短尺とされる。これにより、パッキンケース68、パッキン68A、バックアップリング68Bのサブ組体は、弁体67の上記突出部の周囲を一定長さGだけ軸方向移動できる。弁体67の上記突出部の周囲に遊挿されたパッキンケース68、パッキン68A、バックアップリング68Bのサブ組体は、ダンパチューブ11のエンドピース28の中央に固定してあるブロー弁70のためのバルブストッパ71の中央孔に嵌合されてかしめ止めされる。中空パイプ61の下端部がバルブストッパ71にかしめ止めされたパッキンケース68に対して上述の一定長さGだけ上下動可能に立設されるものになる。中空パイプ61の上端部はシールケース61Aの外周環状溝に設けてあるシール部材61Bを介して、ピストンロッド12の中空部に摺動可能に挿入される。
【0094】
油圧ポンプ60は、ピストンロッド12の中空部及び中空パイプ61の中空部によりポンプ室62を形成するとともに、バルブストッパ71に吐出通路63を形成し、この吐出通路63に吐出用チェック弁64を設けた。吐出用チェック弁64はバルブストッパ71の吐出通路63内に装填したボール弁64Aをコイルばね64Bにより、バルブストッパ71に形成した弁シート64Cに押圧し、ポンプ室62の加圧によりボール弁64Aを弁シート64Cから離して開き、ポンプ室62の負圧時にボール弁64Aを弁シート64Cに着座させて閉じるものである。尚、インナチューブ21の下端部に設けた隔壁カラー21Aがボトムカップ15の内面との間にエンドピース28を挟み固定し、隔壁カラー21Aとボトムカップ15、アウタチューブ22との間に、油圧ポンプ60の吐出通路63が開口している連絡通路29を油圧ジャッキ51のジャッキ室54の側に連絡する連絡通路29Aを形成している。
【0095】
油圧ポンプ60は、バルブストッパ71にかしめ止めされたパッキンケース68のピストン側油室25Bに常時臨む上端開口部を吸込通路65とし、このパッキンケース68、パッキン68A、バックアップリング68Bのサブ組体に軸方向移動可能に遊挿されている弁体67に吸込用チェック弁66の孔状吸込口65Aを穿設している。このとき、吸込口65Aは、ダンパチューブ11内のピストン側油室25Bに開口可能にされるものであり、中空パイプ61の下端側であって、ダンパチューブ11に対して最圧縮状態にあるピストンロッド12の下端部より下位に配置される。
【0096】
油圧ポンプ60は、中空パイプ61及び弁体67並びにパッキンケース68に納められたパッキン68A、バックアップリング68Bにより吸込用チェック弁66を構成する。ポンプ室62の負圧時に、中空パイプ61の上端部のシールケース61Aの端面に負圧力が作用すると、中空パイプ61及び弁体67がバルブストッパ71にかしめ止めされているパッキンケース68に対して前述の一定長さGだけ上向き移動し、弁体67に設けてある吸込用チェック弁66の吸込口65Aをパッキンケース68の吸込通路65経由でピストン側油室25Bに対して開くものになる(図23の右半部)。ポンプ室62の加圧時には、中空パイプ61の上端部のシールケース61Aの端面に加圧力が作用し、中空パイプ61及び弁体67はパッキンケース68に対して前述の一定長さGだけ下向き移動し、中空パイプ61の下端面がパッキンケース68内のバックアップリング68Bに突き当たり、弁体67に設けてある吸込用チェック弁66の吸込口65Aをピストン側油室25Bに導くパッキンケース68の吸込通路65を遮断し、吸込口65Aはピストン側油室25Bに対して閉じられるものになる(図23の左半部)。
【0097】
従って、油圧ポンプ60は、車両が走行して油圧緩衝器10が路面の凹凸により加振され、ピストンロッド12がダンパチューブ11、中空パイプ61に進退する収縮動によりポンピング動作する。ピストンロッド12の圧縮動によるポンピング動作によりポンプ室62が加圧されるとき、ポンプ室62の油が吐出用チェック弁64を開いてバルブストッパ71の吐出通路63から油圧ジャッキ51の側に吐出される。ピストンロッド12の伸長動によるポンピング動作によりポンプ室62が負圧になると、ダンパチューブ11のピストンロッド側油室25Aの油が吸込用チェック弁66を開いてパッキンケース68の吸込通路65からポンプ室62に吸込まれる。
【0098】
ブロー弁70は複数個のボール弁70Aからなり、エンドピース28に設けたバルブストッパ71の外周に遊挿したリテーナ板71Aに設けた複数の孔に各ボール弁70Aを装填し、各ボール弁70Aの下側面をエンドピース28に設けてある複数のブロー通路72に着座させる。ブロー弁70の各ボール弁70Aはバルブストッパ71の外周に設けたワッシャ71Bを介して、コイルばねからなる付勢手段73により閉じ方向に付勢される。ブロー弁70の各ボール弁70Aの開弁圧Pbは、実施例1におけると同様にして決定される。
【0099】
付勢手段73は、実施例2におけると同様に、大コイル径の上コイルばね73Aと小コイル径の下コイルばね73Bにより構成される。上コイルばね73Aの下端をばねジョイント74の外周部に装填し、下コイルばね73Bの上端をばねジョイント74の内周部に装填し、上コイルばね73Aの上端をピストンロッド12に設けたピストン24のピストン側油室25Bに臨む面に支持し、下コイルばね73Bの下端をブロー弁70の各ボール弁70Aの上のワッシャ71Bに支持し、結果としてブロー弁70の各ボール弁70Aは上コイルばね73Aと下コイルばね73Bの合成ばね力により閉じ方向に付勢される。上コイルばね73Aの下端と下コイルばね73Bの上端がばねジョイント74の内外周に装填されることにより、それらの下端と上端を軸方向で概ねばねジョイント74の長さ分重ね合せ、ピストンロッド12のピストン24とブロー弁70との間隔長の範囲内における上コイルばね73A及び下コイルばね73Bの格納長をその重ね合せ分だけ長くすることができ、ブロー弁70を付勢するコイルばね73A、73Bのばね特性を向上できる。ばねジョイント74は実施例2におけると同様に構成できる(図10)。
【0100】
尚、実施例4の油圧緩衝器10にあっては、実施例2におけると同様に、ばね受18がスプリングガイド18Aを備える他、ジャッキハウジング52及びプランジャ55の外周を被覆するダストシール18Bを延在させて備える。
【0101】
また、実施例4の油圧緩衝器10にあっては、実施例2におけると同様に、ピストンバルブ装置30がピストン24にピストンロッド側油室25Aとピストン側油室25Bを連絡する油路31を穿設し、油路31の油室25Aへの開口を開閉する孔あきバルブ36と、孔あきバルブ36の孔を油路31の側から塞ぐように孔あきバルブ36に添設されるディスクバルブ37を備える。伸長時に、孔あきバルブ36の孔を通った油室25Aの油圧によりディスクバルブ37を撓み変形させて押し開くことにて伸側減衰力を発生し、圧縮時に、油室25Bの油圧により孔あきバルブ36とディスクバルブ37をスライドさせて押し開くことにて圧側減衰力を発生する。38は孔あきバルブ36のためのバルブストッパ、39はバルブスプリングを示す。
【0102】
また、実施例4の油圧緩衝器10にあっては、実施例2におけると同様に、実施例1の伸側緩衝ゴム42を伸側緩衝スプリング42に代えてある。
【0103】
本実施例によれば、実施例1、2における作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
油圧緩衝器10が横置き保管、又は車体とともに転倒し、油溜室26の上部空気が油室25A、25Bに侵入した後、この油圧緩衝器10を縦置きしたり、車体を起立させると、侵入空気は油室25A、25B内のピストン24の下部に集まる。この空気は油圧緩衝器10の伸縮によってピストン24の油路31A、31Bを通ってピストン24の上部に移動し、ピストンロッド12とロッドガイド23の摺動隙間から油溜室26に排出される。
【0104】
一方、油圧ポンプ60の吸込口65Aは、中空パイプ61の下端側であって、ダンパ最圧縮時におけるピストンロッド12の下端部より下位に配置され、常に油中に配置される。従って、油圧緩衝器10の油室25A、25Bに侵入した空気が油圧ポンプ60の吸込口65Aに吸込まれる機会を排除でき、ポンプ室62への空気の吸込みを防止できる。油圧緩衝器10の伸縮に伴う油圧ポンプ60のポンピング動作により、ポンプ室62の油を油圧ジャッキ51へと安定的に圧送できる。
【0105】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、油圧緩衝器の車高調整装置であって、ダンパチューブに対するピストンロッドの伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキのジャッキ室に作動油を供給する油圧ポンプと、懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧を解放するブロー弁を有し、ピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークが小さく、車高が高い範囲では、車高が高くなるに従い、ジャッキ圧が小さくなり、ブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より小さくなるように設定され、油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧を該ブロー弁の開弁により解放して車高を下げ、ダンパ沈み込みストロークが大きく、車高が低い範囲では、車高が低くなるに従い、ジャッキ圧が大きくなり、ブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より大きくなるように設定され、油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧の解放を該ブロー弁の閉弁により停止して車高を上げる。これにより、車体と車軸の間に設けられて路面からの振動を減衰するとともに、懸架スプリングのばね荷重にかかわりなく常に一定の車高に制御する油圧緩衝器の車高調整装置をコンパクトに構成することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 油圧緩衝器
11 ダンパチューブ
12 ピストンロッド
13 懸架スプリング
18、19 ばね受
25A、25B 油室
28 エンドピース
50 車高調整装置
51 油圧ジャッキ
54 ジャッキ室
55 プランジャ
57 油戻り通路
60 油圧ポンプ
61 中空パイプ
62 ポンプ室
63 吐出通路
64 吐出用チェック弁
65 吸込通路
65A 吸込口
66 吸込用チェック弁
70 ブロー弁
72 ブロー通路
73 付勢手段
110 第1の油圧緩衝器
111 ダンパチューブ
112 ピストンロッド
113 懸架スプリング
118、119 ばね受
150 車高調整装置
151 油圧ジャッキ
154 ジャッキ室
155 プランジャ
210 第2の油圧緩衝器
211 ダンパチューブ
212 ピストンロッド
215 エンドハウジング
225A、225B 油室
260 油圧ポンプ
261 中空パイプ
262 ポンプ室
263 吐出通路
264 吐出用チェック弁
265 吸込通路
266 吸込用チェック弁
270 ブロー弁
272 ブロー通路
273 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側と車軸側の一方に設けられるダンパチューブと、
車体側と車軸側の他方に設けられ、ダンパチューブ内の油室を摺動して該ダンパチューブに対して伸縮するピストンロッドと、
ダンパチューブとピストンロッドの一方側に設けられる油圧ジャッキと、
油圧ジャッキのジャッキ室に挿入されたプランジャに支持されるばね受と、ダンパチューブとピストンロッドの他方側に設けられるばね受との間に介装される懸架スプリングとを有してなる油圧緩衝器の車高調整装置であって、
ダンパチューブに対するピストンロッドの伸縮動によりポンピング動作して油圧ジャッキのジャッキ室に作動油を供給する油圧ポンプと、
懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧を解放するブロー弁を有し、
ピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークが小さく、車高が高い範囲では、車高が高くなるに従い、ジャッキ圧が小さくなり、ブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より小さくなるように設定され、油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧を該ブロー弁の開弁により解放して車高を下げ、
ダンパ沈み込みストロークが大きく、車高が低い範囲では、車高が低くなるに従い、ジャッキ圧が大きくなり、ブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より大きくなるように設定され、油圧ポンプが油圧ジャッキに供給するジャッキ圧の解放を該ブロー弁の閉弁により停止して車高を上げるように構成した油圧緩衝器の車高調整装置。
【請求項2】
前記油圧緩衝器がダンパチューブの底部に、該ダンパチューブ内の油室と油圧ジャッキのジャッキ室とを仕切るエンドピースを設けるとともに、該ダンパチューブに油圧ポンプとブロー弁を内蔵してなり、
油圧ポンプは、ダンパチューブのエンドピースに立設した中空パイプをピストンロッドの中空部に摺動可能に挿入し、ピストンロッドの中空部と中空パイプによりポンプ室を形成し、ピストンロッドの収縮動により加圧されるポンプ室の作動油を油圧ジャッキの側に吐出させる吐出通路に吐出用チェック弁を備えるとともに、ピストンロッドの伸長動により負圧になるポンプ室にダンパチューブ内の油室の作動油を吸込む吸込通路に吸込用チェック弁を備え、
ブロー弁は、ダンパチューブのエンドピースに形成されてポンプ室とジャッキ室の間の吐出通路をダンパチューブ内の油室に導くブロー通路を開閉するように該エンドピースに設けられ、該ブロー弁とピストンロッドとの間に介装される付勢手段により閉じ方向に付勢される請求項1に記載の油圧緩衝器の車高調整装置。
【請求項3】
前記油圧ポンプが、ダンパチューブ内の油室に開口する吸込口を、中空パイプの下端側であって、ダンパ最圧縮時におけるピストンロッドの下端部より下位に配置してなる請求項2に記載の油圧緩衝器の車高調整装置。
【請求項4】
第1と第2の油圧緩衝器を並置して備える車高調整装置であって、
第1の油圧緩衝器は、
車体側と車軸側の一方に設けられるダンパチューブと、
車体側と車軸側の他方に設けられ、ダンパチューブ内の油室を摺動して該ダンパチューブに対して伸縮するピストンロッドと、
ダンパチューブとピストンロッドの一方側に設けられる油圧ジャッキと、
油圧ジャッキのジャッキ室に挿入されたプランジャに支持されるばね受と、ダンパチューブとピストンロッドの他方側に設けられるばね受との間に介装される懸架スプリングを有してなり、
第2の油圧緩衝器は、
車体側と車軸側の一方に設けられるダンパチューブと、
車体側と車軸側の他方に設けられ、ダンパチューブ内の油室を摺動して該ダンパチューブに対して伸縮するピストンロッドと、
ダンパチューブに対するピストンロッドの伸縮動によりポンピング動作して第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキのジャッキ室に作動油を供給する油圧ポンプと、
第1の油圧緩衝器において懸架スプリングのばね荷重を受ける油圧ジャッキのプランジャにより加圧されるジャッキ室のジャッキ圧を解放するブロー弁を有し、
第1の油圧緩衝器のピストンロッドの伸切端からの変位量であるダンパ沈み込みストロークが小さく、車高が高い範囲では、車高が高くなるに従い、第1の油圧緩衝器のジャッキ圧が小さくなり、第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より小さくなるように設定され、第2の油圧緩衝器の油圧ポンプが第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキに供給するジャッキ圧を該ブロー弁の開弁により解放して車高を下げ、
第1の油圧緩衝器のダンパ沈み込みストロークが大きく、車高が低い範囲では、車高が低くなるに従い、第1の油圧緩衝器のジャッキ圧が大きくなり、第2の油圧緩衝器のブロー弁の開弁圧が該ジャッキ圧より大きくなるように設定され、第2の油圧緩衝器の油圧ポンプが第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキに供給するジャッキ圧の解放を該ブロー弁の閉弁により停止して車高を上げるように構成した車高調整装置。
【請求項5】
前記第2の油圧緩衝器がダンパチューブの端部にエンドハウジングを被着し、該ダンパチューブに油圧ポンプとブロー弁を内蔵してなり、
油圧ポンプは、ダンパチューブのエンドハウジングに立設した中空パイプをピストンロッドの中空部により形成されるポンプ室に摺動可能に挿入して構成され、ピストンロッドの収縮動により加圧されるポンプ室の作動油を第1の油圧緩衝器の油圧ジャッキの側に吐出させる吐出通路に吐出用チェック弁を備えるとともに、ピストンロッドの伸長動により負圧になるポンプ室にダンパチューブ内の作動油を吸込む吸込通路に吸込用チェック弁を備え、
ブロー弁は、ダンパチューブのエンドハウジングに形成されてポンプ室と第1の油圧緩衝器のジャッキ室の間の吐出通路をダンパチューブ内の油室に導くブロー通路を開閉するように該エンドハウジングに設けられ、該ブロー弁とピストンロッドとの間に介装される付勢手段により閉じ方向に付勢される請求項4に記載の車高調整装置。
【請求項6】
前記油圧ジャッキのジャッキ室に供給された作動油によりプランジャが該ジャッキ室から突出する突出端に達したとき、ジャッキ室の作動油をダンパチューブ内に戻す油戻り通路を該ダンパチューブに設けてなる請求項1〜5のいずれかに記載の車高調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−47518(P2011−47518A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171179(P2010−171179)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】