転写用フィルム、合わせガラス及びその製造方法
【課題】熱線反射層の転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、衝撃吸収性能を保持でき、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス用中間膜の製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、該基材上に、銀平板粒子を含有する熱線反射層と、少なくとも1層の易接着層とをこの順に有する転写用フィルムである。該銀平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している態様などが好ましい。
【解決手段】基材と、該基材上に、銀平板粒子を含有する熱線反射層と、少なくとも1層の易接着層とをこの順に有する転写用フィルムである。該銀平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している態様などが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写用フィルム、合わせガラス及び合わせガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラスは透明性、ファッション性、防火性などの面から見直され、自動車分野をはじめ、建築分野、更にはエレクトロニクス関連分野など各方面への利用が拡大されている。しかし、ガラスは、衝撃に弱いため、安全性の面からその利用についてはかなりの制限がある。このような安全性の要求を満たすものとして、現在、合わせガラスが破損時にガラスの破片が飛散しなくて安全性が高いことから、自動車等の交通車両の窓ガラスや建築物の窓ガラス等の用途を中心に広く利用されている。そして、最近の傾向として、合わせガラスの飛散防止の安全性機能のみならず、他の機能をも求める動きが強まっている。
【0003】
前記他の機能としては、熱線カット機能、紫外線カット機能、着色調色機能、調光機能、ミラー機能などの光学的機能、透明導電性機能、帯電防止機能、電熱機能等の電気的機能、電磁波シールド機能、透明アンテナ機能等の電磁気的機能、耐擦傷性機能等の機械的機能、防曇機能、抗菌機能、脱臭機能等の化学的機能、装飾性機能、遮音機能、断熱機能などが挙げられる。
【0004】
このような熱線カット機能等の各種の機能を備えた合わせガラスとして、例えば特許文献1には、フィルム支持体の片面上に、金属酸化物及び金属の少なくとも1種を含有する熱線カット層を設けた合わせガラス用転写材料を、熱線カット層側が合わせガラス用中間膜と対面するように重ね合わせ、合わせガラス用中間膜と熱接着させた後、前記フィルム支持体を剥して熱線カット機能を有する中間膜シートを製造し、次いで、該熱線カット機能を有する中間膜シートの両面にガラス基板を重ね合わせ加圧下に加熱して接着させ、合わせガラスを製造する方法が提案されている。この提案では、合わせガラス用中間膜と熱線カット層とを熱接着層で熱接着させており、該熱接着層は、合わせガラス用中間膜と熱線カット層との間の接着力の点では有利であるが、接着力が強すぎると合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性が失われてしまうという問題がある。また、熱接着層が十分な厚みを有していないと、接着力が低下してしまうという問題がある。
【0005】
したがって合わせガラス用中間膜に熱線反射層を転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性能を保持できる転写用フィルム、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス及び合わせガラスの製造方法の速やかな提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−219543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、合わせガラス用中間膜に熱線反射層を転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性能を保持できる転写用フィルム、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス及び合わせガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、該基材上に、銀平板粒子を含有する熱線反射層と、少なくとも1層の易接着層とをこの順に有することを特徴とする転写用フィルムである。
<2> 銀平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記<1>に記載の転写用フィルムである。
<3> 転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の転写用フィルムである。
<4> 合わせガラス用中間膜に易接着層を介して熱線反射層を転写する前記<1>から<3>のいずれかに記載の転写用フィルムである。
<5> 易接着層の軟化点が、合わせガラス用中間膜の軟化点よりも高い前記<4>に記載の転写用フィルムである。
<6> 2枚のガラス板の間に、中間膜積層体を有する合わせガラスであって、
前記中間膜積層体が、合わせガラス用中間膜と、該合わせガラス用中間膜に前記<1>から<5>のいずれかに記載の転写用フィルムを転写してなる易接着層及び熱線反射層と、を少なくとも有することを特徴とする合わせガラスである。
<7> 合わせガラス用中間膜と易接着層の接着力が、0.1N/25mm以上50N/25mm以下である前記<6>に記載の合わせガラスである。
<8> 合わせガラス用中間膜に前記<1>から<5>のいずれかに記載の転写用フィルムを転写して中間膜積層体を形成する中間膜積層体形成工程と、
前記中間膜積層体を2枚のガラスで挟み込み、これらを圧着する圧着工程と、
を含むことを特徴とする合わせガラスの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、合わせガラス用中間膜に熱線反射層を転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性能を保持できる転写用フィルム、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス及び合わせガラスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の転写用フィルムの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の転写用フィルムの他の一例を示す概略図である。
【図3A】図3Aは、銀平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略円盤形状の平板粒子を示す。
【図3B】図3Bは、銀平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略六角形状の平板粒子を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、最も理想的な存在状態を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、基材の平面と銀平板粒子の平面とのなす角度(θ)を説明する図を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、熱線反射層の転写用フィルムの深さ方向における存在領域を示す図である。
【図5】図5は、本発明の合わせガラスの一例を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の合わせガラスの他の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、実施例1の転写用フィルムSF−1の合わせガラス化前後での反射率スペクトル図である。
【図8】図8は、比較例1の転写用フィルムSF−5の合わせガラス化前後での反射率スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(転写用フィルム)
本発明の転写用フィルムは、基材と、該基材上に少なくとも1層の銀平板粒子を含有する熱線反射層と、易接着層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0012】
前記転写用フィルムの層構成としては、図1に示すように、基材11と、該基材上に熱線反射層12と、該熱線反射層上に易接着層13とを有する態様、図2に示すように、基材11と、該基材上に易接着層13と、該易接着層上に熱線反射層12と、該熱線反射層上に易接着層13とを有する態様、などが挙げられる。
【0013】
<基材>
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記転写用フィルムの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0014】
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリイミド(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的強度や熱に対する寸法安定性の点からポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
前記基材の表面には、その上の熱線反射層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
【0015】
前記基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
【0016】
<熱線反射層>
前記熱線反射層は、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記熱線反射層は、少なくとも銀平板粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0017】
−銀平板粒子−
前記銀平板粒子としては、形状などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記形状としては三角平板状、六角平板状、又はこれらの角が取れた略円盤状の銀平板粒子が好ましい。
前記銀平板粒子の前記熱線反射層における含有量は、0.01g/m2〜1g/m2であることが好ましく、0.02g/m2〜0.5g/m2であることがより好ましい。
【0018】
前記銀平板粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図3A及び図3B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略六角形状、略円盤形状、略三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、略六角形状、略円盤形状であることが特に好ましい。
前記略円盤形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀平板粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記略六角形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀平板粒子を主平面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の割合は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であり、65個数%以上が好ましく、70個数%以上が更に好ましい。前記銀平板粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光線透過率が低くなってしまうことがある。
【0020】
前記銀平板粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。前記平均粒子径が、70nm未満であると、銀平板粒子の吸収の寄与が反射より大きくなるため十分な熱線反射能が得られなくなることがあり、500nmを超えると、ヘイズ(散乱)が大きくなり、透明性が損なわれてしまうことがある。
ここで、前記平均粒子径とは、TEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
前記熱線反射層中に平均粒子径が異なる2種以上の銀平板粒子を含有することができ、この場合、銀平板粒子の平均粒子径のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径を有していてもよい。
【0021】
前記銀平板粒子の粒度分布における変動係数は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。前記変動係数が、30%を超えると、熱線反射層における熱線の反射波長域がブロードになってしまうことがある。
ここで、前記銀平板粒子の粒度分布における変動係数は、例えば前記の通り得た平均値の算出に用いた200個の銀平板粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、前記の通り得た主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径)で割った値(%)である
【0022】
前記銀平板粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光域長波長側から近赤外光領域での反射率が高くなる点から、2以上であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜25が更に好ましい。前記アスペクト比が、2未満であると、反射率が小さくなったり、ヘイズが大きくなってしまうことがある。
前記アスペクト比は、銀平板粒子の平均粒子径(L)を銀平板粒子の平均粒子厚み(d)で除算した値(L/d)を意味する。平均粒子厚みは、銀平板粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図3A及び図3Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に銀平板粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、銀平板粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
【0023】
<銀平板粒子の製造方法>
前記銀平板粒子の製造方法としては、略六角形状又は略円盤形状を合成し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形又は三角形状の銀平板粒子を合成後、例えば硝酸、亜硫酸ナトリウム、Br−、Cl−等のハロゲンイオンなどの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、又は加熱によるエージング処理を行うことにより、六角形又は三角形状の銀平板粒子の角を鈍らせて、略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子を得てもよい。
なお、前記銀平板粒子の製造方法としては、前記の他、予めフイルムやガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
【0024】
前記銀平板粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
【0025】
前記銀平板粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばTiOx、BaTiO3、ZnO、SnO2、ZrO2、NbOxなどが挙げられる。
【0026】
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀平板粒子の表面にTiOx層を形成する方法であってもよい。
【0027】
また、前記銀平板粒子に直接高屈折率金属酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、前記の通り銀平板粒子を合成した後、適宜SiO2やポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に前記金属酸化物層を形成してもよい。TiOxを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOxが光触媒活性を有することから、銀平板粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて銀平板粒子にTiOx層を形成した後、適宜SiO2層を形成してもよい。
【0028】
前記銀平板粒子は、該銀平板粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が銀平板粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiO2などの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
【0029】
前記銀平板粒子は、分散性付与を目的として、N元素、S元素、P元素を含む低分子量分散剤、例えば4級アンモニウム塩、アミン類、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
【0030】
[面配向]
前記熱線反射層において、銀平板粒子は、その主平面が基材の表面に対して所定の範囲で面配向することを一態様とする。
前記銀平板粒子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射率を高める点で基材平面に対して略水平に偏在していることが好ましい。
前記面配向としては、銀平板粒子の主平面と、基材の表面とが、所定の範囲内で略平行になっている態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、面配向の角度は、0°〜±30°が好ましく、0°〜±20°がより好ましく、0°〜±5°が更に好ましい。
【0031】
ここで、図4A〜図4Cは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図である。図4Aは、熱線反射層2中における銀平板粒子3の最も理想的な存在状態を示す。図4Bは、基材1の平面と銀平板粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図4Cは、熱線反射層2の転写用フィルムの深さ方向における存在領域を示すものである。
図4Bにおいて、基材1の表面と、銀平板粒子3の主平面又は主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、転写用フィルムの断面を観察した際、図4Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図4Aは、基材1の表面と銀平板粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。基材1の表面に対する銀平板粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図4Bにおけるθが±30°を超えると、転写用フィルムの所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまったり、ヘイズが大きくなってしまう。
【0032】
[面配向の評価]
前記基材の表面に対して銀平板粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における基材及び銀平板粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、転写用フィルムを、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて転写用フィルムの断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
【0033】
前記転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。また、転写用フィルムにおいて銀平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。
【0034】
前記の通り作製した断面サンプル又は断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて基材の表面に対して銀平板粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。前記断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、銀平板粒子の形状と傾角(図4Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
【0035】
[銀平板粒子の存在範囲]
本発明の転写用フィルムにおいて、図4Cに示すように、熱線反射層2における銀平板粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、熱線反射層2における媒質の屈折率をnとするとき、前記熱線反射層2が、転写用フィルムの水平面からの深さ方向において、(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲外であると、転写用フィルムの表面と裏面のそれぞれの空気界面での反射波の位相が強めあう効果が小さくなってしまい、可視光透過率及び熱線最大反射率が低下してしまうことがある。
【0036】
前記熱線反射層における銀平板粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光域のヘイズ(散乱性)を低くする点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
前記熱線反射層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子などの高分子、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
前記媒質の屈折率(n)は、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0037】
[銀平板粒子の面積率]
前記転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば転写用フィルムを上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
【0038】
[銀平板粒子の平均粒子間距離]
前記熱線反射層における水平方向に隣接する銀平板粒子の平均粒子間距離は、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から銀平板粒子の平均粒子径の1/10以上であることが好ましい。
前記銀平板粒子の水平方向の平均粒子間距離が、前記銀平板粒子の平均粒子径の1/10未満となると、熱線の最大反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、可視光線の吸収が起こり、透過率が低下してしまうことがある。
【0039】
ここで、前記銀平板粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の銀平板粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
【0040】
[隣接する熱線反射層間距離]
本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子は、図4A〜図4Cに示すように、銀平板粒子を含む熱線反射層の形態で配置される。
前記熱線反射層としては、図4A〜図4Cに示すように、単層で構成されてもよく、複数の熱線反射層で構成されてもよい。複数の熱線反射層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
【0041】
本発明の熱線反射材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に、銀平板粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等による塗布や、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
【0042】
また、銀平板粒子の基材表面への吸着性や面配向性を高めるために、静電的な相互作用を利用して、面配向させる方法であってもよい。具体的には、銀平板粒子の表面が負に帯電している場合(例えば、クエン酸等の負帯電性の媒質に分散した状態)は、基材の表面を正に帯電(例えば、アミノ基等で基材表面を修飾)させておき、静電的に面配向性を高めることにより、面配向させる方法であってもよい。また、銀平板粒子の表面が親水性である場合は、基材の表面をブロックコポリマーやμコンタクトスタンプ法などにより、親疎水の海島構造を形成しておき、親疎水性相互作用を利用して面配向性と銀平板粒子の粒子間距離とを制御してもよい。
なお、面配向を促進するために、銀平板粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラー等の圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
【0043】
−その他の成分−
前記熱線反射層には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、溶媒、バインダー、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、腐食防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤などを含有することができる。
前記熱線反射層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができ、例えば、上記成分を配合してなる熱線反射層塗布液を用いた塗布法により好適に形成することができる。
前記塗布法としては、例えばスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコート、ダイコートなどが挙げられる。
前記熱線反射層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜10μmが好ましい。
【0044】
<易接着層>
前記易接着層は、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記易接着層は、転写する際に熱線反射層中の銀平板粒子の保護機能を有することが、銀平板粒子自身の熱線反射性能を損なわない点で好ましい。
前記易接着層の軟化点Aは、転写対象である合わせガラス用中間膜の軟化点Bよりも高いことが、銀平板粒子の保護機能を保つ点で好ましく、両者の軟化点の差(A−B)は10℃以上であることが好ましい。
ここで、前記易接着層及び合わせガラス用中間膜の軟化点は、例えば熱機械分析装置(TMA)などにより測定することができる。
前記易接着層は、少なくとも樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0045】
−樹脂−
前記樹脂としては、上記軟化点を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記易接着層には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、腐食防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤などを含有することができる。
前記易接着層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができ、例えば、前記成分を配合してなる易接着層塗布液を用いた塗布法により好適に形成することができる。
前記塗布法としては、例えばスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコート、ダイコートなどが挙げられる。
前記易接着層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1μm〜10μmが好ましい。
【0047】
本発明の転写用フィルムは、熱線反射層を転写することが必要な各種分野に用いることができるが、以下の合わせガラス及び合わせガラスの製造方法に特に好適に用いられる。
【0048】
(合わせガラス)
本発明の合わせガラスは、2枚のガラス板の間に、中間膜積層体を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有していてもよい。
【0049】
前記合わせガラスの層構成としては、図5に示すように、2枚のガラス板5,5の間に、
合わせガラス用中間膜4と、熱線反射層12と、易接着層13と、アンダー層6とからなる中間膜積層体を有する態様、図6に示すように、2枚のガラス板5,5の間に、
合わせガラス用中間膜4と、易接着層13と、熱線反射層12と、易接着層13と、合わせガラス用中間膜4とからなる中間膜積層体を有する態様、などが挙げられる。
【0050】
前記ガラス板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば透明ガラス板、型ガラス板、網入りガラス板、線入りガラス板、強化ガラス板、熱線反射ガラス板、熱線吸収ガラス板、Low−Eガラス板、その他の各種ガラス板などが挙げられる。
【0051】
前記板ガラスは、更に、耐衝撃性を向上させて、即ち、割れにくくして、優れた防犯性能を得るには、生板ガラスを軟化点付近に加熱後、風冷強化した、又は生板ガラスの表面付近のナトリウムをカリウムなどに置換し化学強化した強化ガラス、網入り磨き板ガラスなどを用いても構わない。
【0052】
前記ガラス板の厚みは、1.8mm以上6mm以下であることが好ましく、例えば、厚さ3mm(通称、FL3)、厚さ4mm(通称、FL4)、厚さ5mm(通称、FL5)、厚さ6mm(通称、FL6)などのフロート装置で製造されたフロート板ガラス規格品を使用することができる。FL3、FL4、FL5、FL6共に、厚さに対する許容差は、JIS R3202で±0.3mmとされており、例えば、FL3は、厚み2.7mm〜3.3mmの範囲内である。
ただし、ビルのアトリウムなどに用いられる防犯防災ガラスやリブガラスなどは、前記一般向けガラスより厚いガラスが使用されており、本発明の合わせガラスは、ビル向けにも使用可能であるため、本発明の合わせガラスに使用する板ガラスについては、ガラスの厚みや種類を特定する必要はない。
なお、本発明の合わせガラスは、3枚以上の板ガラスを積層した構成としても構わない。
【0053】
<中間膜積層体>
前記中間膜積層体が、第1の合わせガラス用中間膜と、第2の合わせガラス用中間膜の間に、本発明の前記転写用フィルムから転写された熱線反射層と、易接着層とを少なくとも有する。
前記熱線反射層及び易接着層については、本発明の前記転写用フィルムと同様である。
【0054】
−合わせガラス中間膜−
前記合わせガラス中間膜は、熱可塑性樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が特に好ましい。
【0055】
前記合わせガラス中間膜には、前記熱可塑性樹脂以外にも、必要に応じて例えば可塑剤、顔料、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外吸収剤などを添加することができる。
前記合わせガラス中間膜の成形方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂及びその他の成分を含有する組成物を均一に混練りした後、押出し法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等の従来公知の方法によりシート状に作製する方法などが挙げられる。
前記合わせガラス中間膜の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3mm〜1.6mmが好ましい。
【0056】
<その他の層>
前記その他の層としては、例えばアンダー層、紫外線遮断機能を主として備えた紫外線遮断層、赤外線遮断機能を主として備えた赤外線遮断層を設けることができる。
【0057】
本発明の合わせガラスにおいては、前記合わせガラス用中間膜と前記易接着層の接着力は、1N/25mm以上50N/25mm以下であることが好ましく、5N/25mm以上30N/25mm以下であることがより好ましい。前記接着力が、1N/25mm未満であると、合わせガラス中間膜への転写が不十分となることがあり、50N/25mmを超えると、合わせガラスの耐衝撃性が損なわれやすくなることがある。
ここで、前記接着力は、例えば剥離試験機、テンシロン引張試験機などにより測定することができる。
【0058】
(合わせガラスの製造方法)
本発明の合わせガラスの製造方法は、中間膜積層体形成工程と、圧着工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0059】
<中間膜積層体形成工程>
前記中間膜積層体形成工程は、合わせガラス用中間膜に本発明の前記転写用フィルムを転写して中間膜積層体を形成する工程であり、第1の合わせガラス用中間膜に本発明の前記転写用フィルムをラミネートした後、基材を剥離し、露出した易接着層上に第2の合わせガラス用中間膜を重ね合わせて中間膜積層体を形成することが好ましい。
【0060】
<圧着工程>
前記圧着工程は、前記中間膜積層体を2枚のガラスで挟み込み、これらを圧着する工程である。
前記圧着方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が使用可能であるが、2つのガラス板の間に中間膜積層体を挟み込み、合わせガラス構成体を作製する。この合わせガラス構成体を、例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が約−65kPa〜−100kPaの減圧度となるように減圧吸引(脱気)しながら温度が70℃〜110℃の予備接着を行った後、この予備接着された合わせガラス構成体をオートクレーブの中に入れ、温度120℃〜150℃、圧力0.98MPa〜1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着を行うことにより、所望の合わせガラスを得ることができる。
【0061】
−用途−
本発明の合わせガラスは、優れた防犯防止機能を有しているので、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラス;自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスなどに幅広く用いることができる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
(製造例1)
−銀平板粒子の作製−
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mLに0.5g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を3mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作製した。
次に、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mLにイオン交換水87.1mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMのアスコルビン酸水溶液を2mL添加し、前記種溶液を42.4mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mmLを10mL/minで攪拌しながら添加した。30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1mL添加し、7質量%ゼラチン水溶液を200g添加した。
この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mLと0.47Mの硝酸銀水溶液107mLを混合してできた白色沈殿物混合液を添加した。前記白色沈殿物混合液を添加した後すぐに0.17MのNaOH水溶液72mLを添加した。このときpHが10を超えないように添加速度を調節しながらNaOH水溶液を添加した。これを300分攪拌し、銀平板粒子分散液を得た。
得られた銀平板粒子分散液中には、銀の六角平板粒子が生成していることを確認した。また、以下のようにして測定したところ、平均円相当径が230nm、平均粒子厚みが16nmであり、アスペクト比が14.3の銀平板粒子が生成していることが分かった。
【0064】
<<銀平板粒子の評価>>
−銀平板粒子の平均円相当径−
銀平板粒子の平均円相当径は、観察したSEM画像から任意に抽出した200個の粒子の形状を、略六角形状又は略円盤形状の粒子をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子100個の円相当径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均円相当径とした。
【0065】
−平均粒子厚み−
得られた銀平板粒子を含む分散液を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子1個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲は5μm、走査速度は180秒/1フレーム、データ点数は256×256とした。
【0066】
−アスペクト比−
得られた銀平板粒子の平均円相当径及び平均粒子厚みから、平均円相当径を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
【0067】
(実施例1)
−転写用フィルム(SF−1)の作製−
厚み135μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベースフィルム上に、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)をメチルエチルケトンで溶解した溶液を塗布し、乾燥させて厚み5μmの第1の易接着層を形成した。
次に、前記第1の易接着層上に製造例1の銀平板粒子分散液を、以下のようにして求めた面積率が20%になるように塗布し、乾燥させて厚み5μmの熱線反射層を形成した。
次に、前記熱線反射層上に、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)をメチルエチルケトンで溶解した溶液を塗布し、乾燥させて厚み5μmの第2の易接着層を形成した。以上により、実施例1の転写用フィルム(SF−1)を作製した。
【0068】
(実施例2)
−転写用フィルム(SF−2)の作製−
実施例1において、製造例1の銀平板粒子分散液を、以下のようにして求めた面積率が10%になるように塗布し、乾燥させて厚み5μmの熱線反射層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の転写用フィルム(SF−2)を作製した。
【0069】
(実施例3)
−転写用フィルム(SF−3)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン550)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の転写用フィルム(SF−3)を作製した。
【0070】
(実施例4)
−転写用フィルム(SF−4)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン550)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の転写用フィルム(SF−4)を作製した。
【0071】
(比較例1)
−転写用フィルム(SF−5)の作製−
厚み135μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベースフィルム上に、製造例1の銀平板粒子分散液を塗布し、厚み5μmの熱線反射層を形成し、第1及び第2の易接着層を有さない、比較例1の転写用フィルム(SF−5)を作製した。
【0072】
(実施例5)
−転写用フィルム(SF−6)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の転写用フィルム(SF−6)を作製した。
【0073】
(実施例6)
−転写用フィルム(SF−7)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリエステル樹脂(バイロン290、東洋紡績式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の転写用フィルム(SF−7)を作製した。
【0074】
次に、作製した各転写用フィルムについて、以下のようにして、面積率、及び銀平板粒子の傾き角を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
<面積率>
得られた各転写用フィルムについて、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得たSEM画像を2値化し、転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕を求めた。
【0076】
<面配向(銀平板粒子の傾き角)>
作製した各転写用フィルムを、エポキシ樹脂で包埋処理した後、液体窒素で凍結した状態で剃刀で割断し、転写用フィルムの垂直方向断面試料を作製した。この垂直方向断面試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、100個の銀平板粒子について、基材(又は易接着層)の水平面に対する傾角(絶対値)を平均値として算出した。
【0077】
−合わせガラス用中間膜への転写−
次に、作製した各転写用フィルムと、表面がエンボス加工された合わせガラス用ポリビニルブチラール中間膜(厚み0.38mm、軟化点130℃、積水化学工業株式会社製)と、厚み2mmのガラス基板(コーニング社製)をガラス基板側から合わせガラス用中間膜、転写用フィルムの順で重ね合わせ、ラミネーター(大成ラミネーター株式会社製)を用い、易接着層を介して熱反射層とポリビニルブチラール中間膜とを熱接着させた。このとき、ラミネーターロールの温度は120℃、ニップ圧力は0.2MPa、搬送速度は0.15m/分であった。熱接着直後、積層体からPETフィルムを剥離することで第2の易接着層と、熱線反射層と、第1の易接着層と、合わせガラス用中間膜と、ガラス基板とからなる中間膜積層体を作製した。
【0078】
<合わせガラス化>
−予備圧着−
作製した各中間膜積層体の第2の易接着層上に、合わせガラス用中間膜とガラス基板を重ね、ゴムバックに入れ、真空ポンプで減圧した。その後、減圧下で90℃まで昇温し30分間保持後、常温常圧まで戻し、予備圧着工程を完了した。
【0079】
−本圧着−
予備圧着後の各合わせガラスをオートクレーブ内にて圧力1.3MPa、温度130℃の条件で20分間保持し、その後常温常圧まで戻し、本圧着工程を完了した。
以上により、実施例1〜6及び比較例1の合わせガラスを作製した。
【0080】
次に、作製した実施例1〜6及び比較例1の合わせガラスについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0081】
<遮熱性の評価>
作製した各合わせガラスの分光スペクトルを(日本分光株式会社製、V−670)で測定し、300nm〜2,500nmの波長域での透過率を測定した。またリファレンスとして、合わせガラス化していない転写用フィルムの透過率も測定した。これらの結果から、下記基準により遮熱性を評価した。
〔評価基準〕
○:リファレンスに対して反射性能の低下が小さい
△:リファレンスに対して反射性能の低下が大きい
×:リファレンスに対して反射性能の低下が著しく、ほぼ無いに等しい
【0082】
<合わせガラス用中間膜と易接着層との接着力>
前記合わせガラス用中間膜への転写と同様にして、ガラス基板と中間膜、転写用フィルムを重ね合わせ、ラミネーター(大成ラミネーター株式会社製)を用い、易接着層を介して熱反射層とポリビニルブチラール中間膜とを熱接着させた。このガラス付きラミネートフィルムを幅25mm、長さ150mmにカットして試験片とし、中間膜と転写用フィルムの間で転写膜を一部剥離して、この試験片をテンシロン引張試験機(オリエンテック株式会社製)の下部掴みに取り付け、剥離した転写膜の端を上部掴みに取り付け、剥離速度100mm/分の速度で90度に引張り、そのときの剥離力(接着力)を測定した。
【0083】
<接着性の評価>
作製した各合わせガラスを−18℃で保温後、一定の衝撃力を与えてガラスを破砕し、露出した膜面を標準サンプル(熱線反射層を含まない合わせガラス用中間膜のみを有する合わせガラス)と比較し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:露出面積が標準サンプルと変わらない程度
×:完全に合わせガラス用中間膜が露出した
【0084】
<耐衝撃性試験>
JIS R3212に準じて300mm角の各合わせガラスを作製し、所定の支持枠に固定して、上から合わせガラスの中央に2.26kgの鋼球を4mの高さから落下させて、鋼球のガラス貫通性を評価した。
〔評価基準〕
○:3枚の同一サンプルについて3枚とも貫通せず
△:3枚の同一サンプルについて2枚は貫通せず
×:3枚の同一サンプルについて1枚のみ貫通せず、あるいは3枚とも貫通
【0085】
<合わせガラス化前後での反射率>
各転写用フィルムについて、前記合わせガラス化前後での波長300nm〜2300nmでの反射率スペクトルを(日本分光株式会社製、V−670)により測定した。実施例1の転写用フィルムSF−1の反射率スペクトルを図7、比較例1の転写用フィルムSF−5の反射率スペクトルを図8にそれぞれ示した。
これら図7及び図8の結果及び表1の結果から、本発明の転写用フィルムの易接着層が銀平板粒子の熱線反射性能の低下を抑制していることが分かった。
【0086】
【表1−1】
【表1−2】
【0087】
表1の結果から、実施例1の熱線反射性能がもっとも高く、リファレンスと同等の性能を有していることが分かった。実施例2、及び比較例1では合わせガラス化時に熱線反射層中の銀平板粒子の平面性(平坦性)が崩れてしまったために熱線反射性能が低下したものと考えられる。
また、接着性については、比較例1は合わせガラス用中間膜と熱線反射層との間で完全に剥離した。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の合わせガラスは、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラス;自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスなどに幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 基材
2 熱線反射層
3 銀平板粒子
4 合わせガラス用中間膜
5 板ガラス
6 アンダー層
11 基材
12 熱線反射層
13 易接着層
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写用フィルム、合わせガラス及び合わせガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラスは透明性、ファッション性、防火性などの面から見直され、自動車分野をはじめ、建築分野、更にはエレクトロニクス関連分野など各方面への利用が拡大されている。しかし、ガラスは、衝撃に弱いため、安全性の面からその利用についてはかなりの制限がある。このような安全性の要求を満たすものとして、現在、合わせガラスが破損時にガラスの破片が飛散しなくて安全性が高いことから、自動車等の交通車両の窓ガラスや建築物の窓ガラス等の用途を中心に広く利用されている。そして、最近の傾向として、合わせガラスの飛散防止の安全性機能のみならず、他の機能をも求める動きが強まっている。
【0003】
前記他の機能としては、熱線カット機能、紫外線カット機能、着色調色機能、調光機能、ミラー機能などの光学的機能、透明導電性機能、帯電防止機能、電熱機能等の電気的機能、電磁波シールド機能、透明アンテナ機能等の電磁気的機能、耐擦傷性機能等の機械的機能、防曇機能、抗菌機能、脱臭機能等の化学的機能、装飾性機能、遮音機能、断熱機能などが挙げられる。
【0004】
このような熱線カット機能等の各種の機能を備えた合わせガラスとして、例えば特許文献1には、フィルム支持体の片面上に、金属酸化物及び金属の少なくとも1種を含有する熱線カット層を設けた合わせガラス用転写材料を、熱線カット層側が合わせガラス用中間膜と対面するように重ね合わせ、合わせガラス用中間膜と熱接着させた後、前記フィルム支持体を剥して熱線カット機能を有する中間膜シートを製造し、次いで、該熱線カット機能を有する中間膜シートの両面にガラス基板を重ね合わせ加圧下に加熱して接着させ、合わせガラスを製造する方法が提案されている。この提案では、合わせガラス用中間膜と熱線カット層とを熱接着層で熱接着させており、該熱接着層は、合わせガラス用中間膜と熱線カット層との間の接着力の点では有利であるが、接着力が強すぎると合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性が失われてしまうという問題がある。また、熱接着層が十分な厚みを有していないと、接着力が低下してしまうという問題がある。
【0005】
したがって合わせガラス用中間膜に熱線反射層を転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性能を保持できる転写用フィルム、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス及び合わせガラスの製造方法の速やかな提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−219543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、合わせガラス用中間膜に熱線反射層を転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性能を保持できる転写用フィルム、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス及び合わせガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、該基材上に、銀平板粒子を含有する熱線反射層と、少なくとも1層の易接着層とをこの順に有することを特徴とする転写用フィルムである。
<2> 銀平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している前記<1>に記載の転写用フィルムである。
<3> 転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の転写用フィルムである。
<4> 合わせガラス用中間膜に易接着層を介して熱線反射層を転写する前記<1>から<3>のいずれかに記載の転写用フィルムである。
<5> 易接着層の軟化点が、合わせガラス用中間膜の軟化点よりも高い前記<4>に記載の転写用フィルムである。
<6> 2枚のガラス板の間に、中間膜積層体を有する合わせガラスであって、
前記中間膜積層体が、合わせガラス用中間膜と、該合わせガラス用中間膜に前記<1>から<5>のいずれかに記載の転写用フィルムを転写してなる易接着層及び熱線反射層と、を少なくとも有することを特徴とする合わせガラスである。
<7> 合わせガラス用中間膜と易接着層の接着力が、0.1N/25mm以上50N/25mm以下である前記<6>に記載の合わせガラスである。
<8> 合わせガラス用中間膜に前記<1>から<5>のいずれかに記載の転写用フィルムを転写して中間膜積層体を形成する中間膜積層体形成工程と、
前記中間膜積層体を2枚のガラスで挟み込み、これらを圧着する圧着工程と、
を含むことを特徴とする合わせガラスの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、合わせガラス用中間膜に熱線反射層を転写時における熱線反射性能の低下を抑制しつつ、合わせガラス用中間膜の衝撃吸収性能を保持できる転写用フィルム、優れた熱線反射性能と衝撃吸収性を兼ね備えた合わせガラス及び合わせガラスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の転写用フィルムの一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の転写用フィルムの他の一例を示す概略図である。
【図3A】図3Aは、銀平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略円盤形状の平板粒子を示す。
【図3B】図3Bは、銀平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、略六角形状の平板粒子を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、最も理想的な存在状態を示す。
【図4B】図4Bは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、基材の平面と銀平板粒子の平面とのなす角度(θ)を説明する図を示す。
【図4C】図4Cは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図であって、熱線反射層の転写用フィルムの深さ方向における存在領域を示す図である。
【図5】図5は、本発明の合わせガラスの一例を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の合わせガラスの他の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、実施例1の転写用フィルムSF−1の合わせガラス化前後での反射率スペクトル図である。
【図8】図8は、比較例1の転写用フィルムSF−5の合わせガラス化前後での反射率スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(転写用フィルム)
本発明の転写用フィルムは、基材と、該基材上に少なくとも1層の銀平板粒子を含有する熱線反射層と、易接着層とを有し、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0012】
前記転写用フィルムの層構成としては、図1に示すように、基材11と、該基材上に熱線反射層12と、該熱線反射層上に易接着層13とを有する態様、図2に示すように、基材11と、該基材上に易接着層13と、該易接着層上に熱線反射層12と、該熱線反射層上に易接着層13とを有する態様、などが挙げられる。
【0013】
<基材>
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記転写用フィルムの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0014】
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリイミド(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的強度や熱に対する寸法安定性の点からポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
前記基材の表面には、その上の熱線反射層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。前記表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
【0015】
前記基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
【0016】
<熱線反射層>
前記熱線反射層は、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記熱線反射層は、少なくとも銀平板粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0017】
−銀平板粒子−
前記銀平板粒子としては、形状などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記形状としては三角平板状、六角平板状、又はこれらの角が取れた略円盤状の銀平板粒子が好ましい。
前記銀平板粒子の前記熱線反射層における含有量は、0.01g/m2〜1g/m2であることが好ましく、0.02g/m2〜0.5g/m2であることがより好ましい。
【0018】
前記銀平板粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図3A及び図3B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略六角形状、略円盤形状、略三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、略六角形状、略円盤形状であることが特に好ましい。
前記略円盤形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀平板粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記略六角形状としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で銀平板粒子を主平面の上方から観察した際に、略六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子の割合は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であり、65個数%以上が好ましく、70個数%以上が更に好ましい。前記銀平板粒子の割合が、60個数%未満であると、可視光線透過率が低くなってしまうことがある。
【0020】
前記銀平板粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。前記平均粒子径が、70nm未満であると、銀平板粒子の吸収の寄与が反射より大きくなるため十分な熱線反射能が得られなくなることがあり、500nmを超えると、ヘイズ(散乱)が大きくなり、透明性が損なわれてしまうことがある。
ここで、前記平均粒子径とは、TEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
前記熱線反射層中に平均粒子径が異なる2種以上の銀平板粒子を含有することができ、この場合、銀平板粒子の平均粒子径のピークが2つ以上、即ち2つの平均粒子径を有していてもよい。
【0021】
前記銀平板粒子の粒度分布における変動係数は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。前記変動係数が、30%を超えると、熱線反射層における熱線の反射波長域がブロードになってしまうことがある。
ここで、前記銀平板粒子の粒度分布における変動係数は、例えば前記の通り得た平均値の算出に用いた200個の銀平板粒子の粒子径の分布範囲をプロットし、粒度分布の標準偏差を求め、前記の通り得た主平面直径(最大長さ)の平均値(平均粒子径)で割った値(%)である
【0022】
前記銀平板粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視光域長波長側から近赤外光領域での反射率が高くなる点から、2以上であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜25が更に好ましい。前記アスペクト比が、2未満であると、反射率が小さくなったり、ヘイズが大きくなってしまうことがある。
前記アスペクト比は、銀平板粒子の平均粒子径(L)を銀平板粒子の平均粒子厚み(d)で除算した値(L/d)を意味する。平均粒子厚みは、銀平板粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図3A及び図3Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に銀平板粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、銀平板粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
【0023】
<銀平板粒子の製造方法>
前記銀平板粒子の製造方法としては、略六角形状又は略円盤形状を合成し得るものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形又は三角形状の銀平板粒子を合成後、例えば硝酸、亜硫酸ナトリウム、Br−、Cl−等のハロゲンイオンなどの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、又は加熱によるエージング処理を行うことにより、六角形又は三角形状の銀平板粒子の角を鈍らせて、略六角形状又は略円盤形状の銀平板粒子を得てもよい。
なお、前記銀平板粒子の製造方法としては、前記の他、予めフイルムやガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
【0024】
前記銀平板粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
【0025】
前記銀平板粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばTiOx、BaTiO3、ZnO、SnO2、ZrO2、NbOxなどが挙げられる。
【0026】
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀平板粒子の表面にTiOx層を形成する方法であってもよい。
【0027】
また、前記銀平板粒子に直接高屈折率金属酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、前記の通り銀平板粒子を合成した後、適宜SiO2やポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に前記金属酸化物層を形成してもよい。TiOxを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOxが光触媒活性を有することから、銀平板粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて銀平板粒子にTiOx層を形成した後、適宜SiO2層を形成してもよい。
【0028】
前記銀平板粒子は、該銀平板粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が銀平板粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiO2などの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
【0029】
前記銀平板粒子は、分散性付与を目的として、N元素、S元素、P元素を含む低分子量分散剤、例えば4級アンモニウム塩、アミン類、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
【0030】
[面配向]
前記熱線反射層において、銀平板粒子は、その主平面が基材の表面に対して所定の範囲で面配向することを一態様とする。
前記銀平板粒子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射率を高める点で基材平面に対して略水平に偏在していることが好ましい。
前記面配向としては、銀平板粒子の主平面と、基材の表面とが、所定の範囲内で略平行になっている態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、面配向の角度は、0°〜±30°が好ましく、0°〜±20°がより好ましく、0°〜±5°が更に好ましい。
【0031】
ここで、図4A〜図4Cは、本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を含む熱線反射層の存在状態を示した概略断面図である。図4Aは、熱線反射層2中における銀平板粒子3の最も理想的な存在状態を示す。図4Bは、基材1の平面と銀平板粒子3の平面とのなす角度(±θ)を説明する図である。図4Cは、熱線反射層2の転写用フィルムの深さ方向における存在領域を示すものである。
図4Bにおいて、基材1の表面と、銀平板粒子3の主平面又は主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、転写用フィルムの断面を観察した際、図4Bに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図4Aは、基材1の表面と銀平板粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。基材1の表面に対する銀平板粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図4Bにおけるθが±30°を超えると、転写用フィルムの所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまったり、ヘイズが大きくなってしまう。
【0032】
[面配向の評価]
前記基材の表面に対して銀平板粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における基材及び銀平板粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、転写用フィルムを、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて転写用フィルムの断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
【0033】
前記転写用フィルムにおいて、銀平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤する場合は、液体窒素で凍結した状態の試料を、ミクロトームに装着されたダイヤモンドカッター切断することで、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。また、転写用フィルムにおいて銀平板粒子を被覆するバインダーが水で膨潤しない場合は、前記断面サンプル又は断面切片サンプルを作製してもよい。
【0034】
前記の通り作製した断面サンプル又は断面切片サンプルの観察としては、サンプルにおいて基材の表面に対して銀平板粒子の主平面が面配向しているかどうかを確認し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FE−SEM、TEM、光学顕微鏡などを用いた観察が挙げられる。前記断面サンプルの場合は、FE−SEMにより、前記断面切片サンプルの場合は、TEMにより観察を行ってもよい。FE−SEMで評価する場合は、銀平板粒子の形状と傾角(図4Bの±θ)が明瞭に判断できる空間分解能を有することが好ましい。
【0035】
[銀平板粒子の存在範囲]
本発明の転写用フィルムにおいて、図4Cに示すように、熱線反射層2における銀平板粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、熱線反射層2における媒質の屈折率をnとするとき、前記熱線反射層2が、転写用フィルムの水平面からの深さ方向において、(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲外であると、転写用フィルムの表面と裏面のそれぞれの空気界面での反射波の位相が強めあう効果が小さくなってしまい、可視光透過率及び熱線最大反射率が低下してしまうことがある。
【0036】
前記熱線反射層における銀平板粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光域のヘイズ(散乱性)を低くする点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
前記熱線反射層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子などの高分子、二酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物などが挙げられる。
前記媒質の屈折率(n)は、1.4〜1.7であることが好ましい。
【0037】
[銀平板粒子の面積率]
前記転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば転写用フィルムを上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
【0038】
[銀平板粒子の平均粒子間距離]
前記熱線反射層における水平方向に隣接する銀平板粒子の平均粒子間距離は、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から銀平板粒子の平均粒子径の1/10以上であることが好ましい。
前記銀平板粒子の水平方向の平均粒子間距離が、前記銀平板粒子の平均粒子径の1/10未満となると、熱線の最大反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、可視光線の吸収が起こり、透過率が低下してしまうことがある。
【0039】
ここで、前記銀平板粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の銀平板粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
【0040】
[隣接する熱線反射層間距離]
本発明の転写用フィルムにおいて、銀平板粒子は、図4A〜図4Cに示すように、銀平板粒子を含む熱線反射層の形態で配置される。
前記熱線反射層としては、図4A〜図4Cに示すように、単層で構成されてもよく、複数の熱線反射層で構成されてもよい。複数の熱線反射層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
【0041】
本発明の熱線反射材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材上に、銀平板粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等による塗布や、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
【0042】
また、銀平板粒子の基材表面への吸着性や面配向性を高めるために、静電的な相互作用を利用して、面配向させる方法であってもよい。具体的には、銀平板粒子の表面が負に帯電している場合(例えば、クエン酸等の負帯電性の媒質に分散した状態)は、基材の表面を正に帯電(例えば、アミノ基等で基材表面を修飾)させておき、静電的に面配向性を高めることにより、面配向させる方法であってもよい。また、銀平板粒子の表面が親水性である場合は、基材の表面をブロックコポリマーやμコンタクトスタンプ法などにより、親疎水の海島構造を形成しておき、親疎水性相互作用を利用して面配向性と銀平板粒子の粒子間距離とを制御してもよい。
なお、面配向を促進するために、銀平板粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラー等の圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
【0043】
−その他の成分−
前記熱線反射層には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、溶媒、バインダー、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、腐食防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤などを含有することができる。
前記熱線反射層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができ、例えば、上記成分を配合してなる熱線反射層塗布液を用いた塗布法により好適に形成することができる。
前記塗布法としては、例えばスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコート、ダイコートなどが挙げられる。
前記熱線反射層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜10μmが好ましい。
【0044】
<易接着層>
前記易接着層は、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては平板状などが挙げられ、前記構造としては単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては用途等に応じて適宜選択することができる。
前記易接着層は、転写する際に熱線反射層中の銀平板粒子の保護機能を有することが、銀平板粒子自身の熱線反射性能を損なわない点で好ましい。
前記易接着層の軟化点Aは、転写対象である合わせガラス用中間膜の軟化点Bよりも高いことが、銀平板粒子の保護機能を保つ点で好ましく、両者の軟化点の差(A−B)は10℃以上であることが好ましい。
ここで、前記易接着層及び合わせガラス用中間膜の軟化点は、例えば熱機械分析装置(TMA)などにより測定することができる。
前記易接着層は、少なくとも樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0045】
−樹脂−
前記樹脂としては、上記軟化点を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記易接着層には、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、腐食防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤などを含有することができる。
前記易接着層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って形成することができ、例えば、前記成分を配合してなる易接着層塗布液を用いた塗布法により好適に形成することができる。
前記塗布法としては、例えばスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコート、ダイコートなどが挙げられる。
前記易接着層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1μm〜10μmが好ましい。
【0047】
本発明の転写用フィルムは、熱線反射層を転写することが必要な各種分野に用いることができるが、以下の合わせガラス及び合わせガラスの製造方法に特に好適に用いられる。
【0048】
(合わせガラス)
本発明の合わせガラスは、2枚のガラス板の間に、中間膜積層体を有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有していてもよい。
【0049】
前記合わせガラスの層構成としては、図5に示すように、2枚のガラス板5,5の間に、
合わせガラス用中間膜4と、熱線反射層12と、易接着層13と、アンダー層6とからなる中間膜積層体を有する態様、図6に示すように、2枚のガラス板5,5の間に、
合わせガラス用中間膜4と、易接着層13と、熱線反射層12と、易接着層13と、合わせガラス用中間膜4とからなる中間膜積層体を有する態様、などが挙げられる。
【0050】
前記ガラス板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば透明ガラス板、型ガラス板、網入りガラス板、線入りガラス板、強化ガラス板、熱線反射ガラス板、熱線吸収ガラス板、Low−Eガラス板、その他の各種ガラス板などが挙げられる。
【0051】
前記板ガラスは、更に、耐衝撃性を向上させて、即ち、割れにくくして、優れた防犯性能を得るには、生板ガラスを軟化点付近に加熱後、風冷強化した、又は生板ガラスの表面付近のナトリウムをカリウムなどに置換し化学強化した強化ガラス、網入り磨き板ガラスなどを用いても構わない。
【0052】
前記ガラス板の厚みは、1.8mm以上6mm以下であることが好ましく、例えば、厚さ3mm(通称、FL3)、厚さ4mm(通称、FL4)、厚さ5mm(通称、FL5)、厚さ6mm(通称、FL6)などのフロート装置で製造されたフロート板ガラス規格品を使用することができる。FL3、FL4、FL5、FL6共に、厚さに対する許容差は、JIS R3202で±0.3mmとされており、例えば、FL3は、厚み2.7mm〜3.3mmの範囲内である。
ただし、ビルのアトリウムなどに用いられる防犯防災ガラスやリブガラスなどは、前記一般向けガラスより厚いガラスが使用されており、本発明の合わせガラスは、ビル向けにも使用可能であるため、本発明の合わせガラスに使用する板ガラスについては、ガラスの厚みや種類を特定する必要はない。
なお、本発明の合わせガラスは、3枚以上の板ガラスを積層した構成としても構わない。
【0053】
<中間膜積層体>
前記中間膜積層体が、第1の合わせガラス用中間膜と、第2の合わせガラス用中間膜の間に、本発明の前記転写用フィルムから転写された熱線反射層と、易接着層とを少なくとも有する。
前記熱線反射層及び易接着層については、本発明の前記転写用フィルムと同様である。
【0054】
−合わせガラス中間膜−
前記合わせガラス中間膜は、熱可塑性樹脂を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が特に好ましい。
【0055】
前記合わせガラス中間膜には、前記熱可塑性樹脂以外にも、必要に応じて例えば可塑剤、顔料、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外吸収剤などを添加することができる。
前記合わせガラス中間膜の成形方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂及びその他の成分を含有する組成物を均一に混練りした後、押出し法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等の従来公知の方法によりシート状に作製する方法などが挙げられる。
前記合わせガラス中間膜の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3mm〜1.6mmが好ましい。
【0056】
<その他の層>
前記その他の層としては、例えばアンダー層、紫外線遮断機能を主として備えた紫外線遮断層、赤外線遮断機能を主として備えた赤外線遮断層を設けることができる。
【0057】
本発明の合わせガラスにおいては、前記合わせガラス用中間膜と前記易接着層の接着力は、1N/25mm以上50N/25mm以下であることが好ましく、5N/25mm以上30N/25mm以下であることがより好ましい。前記接着力が、1N/25mm未満であると、合わせガラス中間膜への転写が不十分となることがあり、50N/25mmを超えると、合わせガラスの耐衝撃性が損なわれやすくなることがある。
ここで、前記接着力は、例えば剥離試験機、テンシロン引張試験機などにより測定することができる。
【0058】
(合わせガラスの製造方法)
本発明の合わせガラスの製造方法は、中間膜積層体形成工程と、圧着工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0059】
<中間膜積層体形成工程>
前記中間膜積層体形成工程は、合わせガラス用中間膜に本発明の前記転写用フィルムを転写して中間膜積層体を形成する工程であり、第1の合わせガラス用中間膜に本発明の前記転写用フィルムをラミネートした後、基材を剥離し、露出した易接着層上に第2の合わせガラス用中間膜を重ね合わせて中間膜積層体を形成することが好ましい。
【0060】
<圧着工程>
前記圧着工程は、前記中間膜積層体を2枚のガラスで挟み込み、これらを圧着する工程である。
前記圧着方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が使用可能であるが、2つのガラス板の間に中間膜積層体を挟み込み、合わせガラス構成体を作製する。この合わせガラス構成体を、例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が約−65kPa〜−100kPaの減圧度となるように減圧吸引(脱気)しながら温度が70℃〜110℃の予備接着を行った後、この予備接着された合わせガラス構成体をオートクレーブの中に入れ、温度120℃〜150℃、圧力0.98MPa〜1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着を行うことにより、所望の合わせガラスを得ることができる。
【0061】
−用途−
本発明の合わせガラスは、優れた防犯防止機能を有しているので、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラス;自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスなどに幅広く用いることができる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
(製造例1)
−銀平板粒子の作製−
2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液50mLに0.5g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液を2.5mL添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMの水素化ほう素ナトリウム水溶液を3mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液50mLを20mL/minで攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌し、種溶液を作製した。
次に、2.5mMのクエン酸ナトリウム水溶液132.7mLにイオン交換水87.1mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に10mMのアスコルビン酸水溶液を2mL添加し、前記種溶液を42.4mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液79.6mmLを10mL/minで攪拌しながら添加した。30分間攪拌した後、0.35Mのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液を71.1mL添加し、7質量%ゼラチン水溶液を200g添加した。
この溶液に、0.25Mの亜硫酸ナトリウム水溶液107mLと0.47Mの硝酸銀水溶液107mLを混合してできた白色沈殿物混合液を添加した。前記白色沈殿物混合液を添加した後すぐに0.17MのNaOH水溶液72mLを添加した。このときpHが10を超えないように添加速度を調節しながらNaOH水溶液を添加した。これを300分攪拌し、銀平板粒子分散液を得た。
得られた銀平板粒子分散液中には、銀の六角平板粒子が生成していることを確認した。また、以下のようにして測定したところ、平均円相当径が230nm、平均粒子厚みが16nmであり、アスペクト比が14.3の銀平板粒子が生成していることが分かった。
【0064】
<<銀平板粒子の評価>>
−銀平板粒子の平均円相当径−
銀平板粒子の平均円相当径は、観察したSEM画像から任意に抽出した200個の粒子の形状を、略六角形状又は略円盤形状の粒子をA、涙型などの不定形形状の粒子をBとして画像解析を行い、Aに該当する粒子100個の円相当径をデジタルノギスで測定し、その平均値を平均円相当径とした。
【0065】
−平均粒子厚み−
得られた銀平板粒子を含む分散液を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子1個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲は5μm、走査速度は180秒/1フレーム、データ点数は256×256とした。
【0066】
−アスペクト比−
得られた銀平板粒子の平均円相当径及び平均粒子厚みから、平均円相当径を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
【0067】
(実施例1)
−転写用フィルム(SF−1)の作製−
厚み135μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベースフィルム上に、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)をメチルエチルケトンで溶解した溶液を塗布し、乾燥させて厚み5μmの第1の易接着層を形成した。
次に、前記第1の易接着層上に製造例1の銀平板粒子分散液を、以下のようにして求めた面積率が20%になるように塗布し、乾燥させて厚み5μmの熱線反射層を形成した。
次に、前記熱線反射層上に、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)をメチルエチルケトンで溶解した溶液を塗布し、乾燥させて厚み5μmの第2の易接着層を形成した。以上により、実施例1の転写用フィルム(SF−1)を作製した。
【0068】
(実施例2)
−転写用フィルム(SF−2)の作製−
実施例1において、製造例1の銀平板粒子分散液を、以下のようにして求めた面積率が10%になるように塗布し、乾燥させて厚み5μmの熱線反射層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の転写用フィルム(SF−2)を作製した。
【0069】
(実施例3)
−転写用フィルム(SF−3)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン550)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の転写用フィルム(SF−3)を作製した。
【0070】
(実施例4)
−転写用フィルム(SF−4)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン550)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の転写用フィルム(SF−4)を作製した。
【0071】
(比較例1)
−転写用フィルム(SF−5)の作製−
厚み135μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベースフィルム上に、製造例1の銀平板粒子分散液を塗布し、厚み5μmの熱線反射層を形成し、第1及び第2の易接着層を有さない、比較例1の転写用フィルム(SF−5)を作製した。
【0072】
(実施例5)
−転写用フィルム(SF−6)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリビニルブチラール(電気化学工業株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の転写用フィルム(SF−6)を作製した。
【0073】
(実施例6)
−転写用フィルム(SF−7)の作製−
実施例1において、第1及び第2の易接着層におけるポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、バイロン200)を、ポリエステル樹脂(バイロン290、東洋紡績式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の転写用フィルム(SF−7)を作製した。
【0074】
次に、作製した各転写用フィルムについて、以下のようにして、面積率、及び銀平板粒子の傾き角を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
<面積率>
得られた各転写用フィルムについて、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得たSEM画像を2値化し、転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕を求めた。
【0076】
<面配向(銀平板粒子の傾き角)>
作製した各転写用フィルムを、エポキシ樹脂で包埋処理した後、液体窒素で凍結した状態で剃刀で割断し、転写用フィルムの垂直方向断面試料を作製した。この垂直方向断面試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、100個の銀平板粒子について、基材(又は易接着層)の水平面に対する傾角(絶対値)を平均値として算出した。
【0077】
−合わせガラス用中間膜への転写−
次に、作製した各転写用フィルムと、表面がエンボス加工された合わせガラス用ポリビニルブチラール中間膜(厚み0.38mm、軟化点130℃、積水化学工業株式会社製)と、厚み2mmのガラス基板(コーニング社製)をガラス基板側から合わせガラス用中間膜、転写用フィルムの順で重ね合わせ、ラミネーター(大成ラミネーター株式会社製)を用い、易接着層を介して熱反射層とポリビニルブチラール中間膜とを熱接着させた。このとき、ラミネーターロールの温度は120℃、ニップ圧力は0.2MPa、搬送速度は0.15m/分であった。熱接着直後、積層体からPETフィルムを剥離することで第2の易接着層と、熱線反射層と、第1の易接着層と、合わせガラス用中間膜と、ガラス基板とからなる中間膜積層体を作製した。
【0078】
<合わせガラス化>
−予備圧着−
作製した各中間膜積層体の第2の易接着層上に、合わせガラス用中間膜とガラス基板を重ね、ゴムバックに入れ、真空ポンプで減圧した。その後、減圧下で90℃まで昇温し30分間保持後、常温常圧まで戻し、予備圧着工程を完了した。
【0079】
−本圧着−
予備圧着後の各合わせガラスをオートクレーブ内にて圧力1.3MPa、温度130℃の条件で20分間保持し、その後常温常圧まで戻し、本圧着工程を完了した。
以上により、実施例1〜6及び比較例1の合わせガラスを作製した。
【0080】
次に、作製した実施例1〜6及び比較例1の合わせガラスについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0081】
<遮熱性の評価>
作製した各合わせガラスの分光スペクトルを(日本分光株式会社製、V−670)で測定し、300nm〜2,500nmの波長域での透過率を測定した。またリファレンスとして、合わせガラス化していない転写用フィルムの透過率も測定した。これらの結果から、下記基準により遮熱性を評価した。
〔評価基準〕
○:リファレンスに対して反射性能の低下が小さい
△:リファレンスに対して反射性能の低下が大きい
×:リファレンスに対して反射性能の低下が著しく、ほぼ無いに等しい
【0082】
<合わせガラス用中間膜と易接着層との接着力>
前記合わせガラス用中間膜への転写と同様にして、ガラス基板と中間膜、転写用フィルムを重ね合わせ、ラミネーター(大成ラミネーター株式会社製)を用い、易接着層を介して熱反射層とポリビニルブチラール中間膜とを熱接着させた。このガラス付きラミネートフィルムを幅25mm、長さ150mmにカットして試験片とし、中間膜と転写用フィルムの間で転写膜を一部剥離して、この試験片をテンシロン引張試験機(オリエンテック株式会社製)の下部掴みに取り付け、剥離した転写膜の端を上部掴みに取り付け、剥離速度100mm/分の速度で90度に引張り、そのときの剥離力(接着力)を測定した。
【0083】
<接着性の評価>
作製した各合わせガラスを−18℃で保温後、一定の衝撃力を与えてガラスを破砕し、露出した膜面を標準サンプル(熱線反射層を含まない合わせガラス用中間膜のみを有する合わせガラス)と比較し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:露出面積が標準サンプルと変わらない程度
×:完全に合わせガラス用中間膜が露出した
【0084】
<耐衝撃性試験>
JIS R3212に準じて300mm角の各合わせガラスを作製し、所定の支持枠に固定して、上から合わせガラスの中央に2.26kgの鋼球を4mの高さから落下させて、鋼球のガラス貫通性を評価した。
〔評価基準〕
○:3枚の同一サンプルについて3枚とも貫通せず
△:3枚の同一サンプルについて2枚は貫通せず
×:3枚の同一サンプルについて1枚のみ貫通せず、あるいは3枚とも貫通
【0085】
<合わせガラス化前後での反射率>
各転写用フィルムについて、前記合わせガラス化前後での波長300nm〜2300nmでの反射率スペクトルを(日本分光株式会社製、V−670)により測定した。実施例1の転写用フィルムSF−1の反射率スペクトルを図7、比較例1の転写用フィルムSF−5の反射率スペクトルを図8にそれぞれ示した。
これら図7及び図8の結果及び表1の結果から、本発明の転写用フィルムの易接着層が銀平板粒子の熱線反射性能の低下を抑制していることが分かった。
【0086】
【表1−1】
【表1−2】
【0087】
表1の結果から、実施例1の熱線反射性能がもっとも高く、リファレンスと同等の性能を有していることが分かった。実施例2、及び比較例1では合わせガラス化時に熱線反射層中の銀平板粒子の平面性(平坦性)が崩れてしまったために熱線反射性能が低下したものと考えられる。
また、接着性については、比較例1は合わせガラス用中間膜と熱線反射層との間で完全に剥離した。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の合わせガラスは、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラス;自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスなどに幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 基材
2 熱線反射層
3 銀平板粒子
4 合わせガラス用中間膜
5 板ガラス
6 アンダー層
11 基材
12 熱線反射層
13 易接着層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上に、銀平板粒子を含有する熱線反射層と、少なくとも1層の易接着層とをこの順に有することを特徴とする転写用フィルム。
【請求項2】
銀平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している請求項1に記載の転写用フィルム。
【請求項3】
転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上である請求項1から2のいずれかに記載の転写用フィルム。
【請求項4】
合わせガラス用中間膜に易接着層を介して熱線反射層を転写する請求項1から3のいずれかに記載の転写用フィルム。
【請求項5】
易接着層の軟化点が、合わせガラス用中間膜の軟化点よりも高い請求項4に記載の転写用フィルム。
【請求項6】
2枚のガラス板の間に、中間膜積層体を有する合わせガラスであって、
前記中間膜積層体が、合わせガラス用中間膜と、該合わせガラス用中間膜に請求項1から5のいずれかに記載の転写用フィルムを転写してなる易接着層及び熱線反射層と、を少なくとも有することを特徴とする合わせガラス。
【請求項7】
合わせガラス用中間膜と易接着層の接着力が、1N/25mm以上50N/25mm以下である請求項6に記載の合わせガラス。
【請求項8】
合わせガラス用中間膜に請求項1から5のいずれかに記載の転写用フィルムを転写して中間膜積層体を形成する中間膜積層体形成工程と、
前記中間膜積層体を2枚のガラスで挟み込み、これらを圧着する圧着工程と、
を含むことを特徴とする合わせガラスの製造方法。
【請求項1】
基材と、該基材上に、銀平板粒子を含有する熱線反射層と、少なくとも1層の易接着層とをこの順に有することを特徴とする転写用フィルム。
【請求項2】
銀平板粒子の主平面が、基材平面に対して0°〜±30°の範囲で面配向している請求項1に記載の転写用フィルム。
【請求項3】
転写用フィルムを上から見た時の基材の面積Aに対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕が、15%以上である請求項1から2のいずれかに記載の転写用フィルム。
【請求項4】
合わせガラス用中間膜に易接着層を介して熱線反射層を転写する請求項1から3のいずれかに記載の転写用フィルム。
【請求項5】
易接着層の軟化点が、合わせガラス用中間膜の軟化点よりも高い請求項4に記載の転写用フィルム。
【請求項6】
2枚のガラス板の間に、中間膜積層体を有する合わせガラスであって、
前記中間膜積層体が、合わせガラス用中間膜と、該合わせガラス用中間膜に請求項1から5のいずれかに記載の転写用フィルムを転写してなる易接着層及び熱線反射層と、を少なくとも有することを特徴とする合わせガラス。
【請求項7】
合わせガラス用中間膜と易接着層の接着力が、1N/25mm以上50N/25mm以下である請求項6に記載の合わせガラス。
【請求項8】
合わせガラス用中間膜に請求項1から5のいずれかに記載の転写用フィルムを転写して中間膜積層体を形成する中間膜積層体形成工程と、
前記中間膜積層体を2枚のガラスで挟み込み、これらを圧着する圧着工程と、
を含むことを特徴とする合わせガラスの製造方法。
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図5】
【図6】
【図4B】
【図4C】
【図7】
【図8】
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−218610(P2011−218610A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88191(P2010−88191)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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