説明

転写箔

【課題】 転写面に、人の手・指の脂・汗等のヨゴレが付きにくく、付いたヨゴレが拭き取りやすい、さらに、転写面の光沢度が高い転写箔を提供する。
【解決手段】 表面がヘアーライン加工された基材フィルム上に、複数の離型層、金属光沢樹脂層および接着層が順次積層された転写箔。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
転写箔は、プラスチック等の被転写体に接着層を介して熱圧着により、樹脂層を転写する加工法に用いられる。
【0002】
転写加工法は、比較的簡便な装置で行うことができ、有機溶剤等を用いることなく、また、色、柄が任意に選べる等の利点から、家電製品、自動車内・外装品、音響製品、家具調度製品等に、表示、装飾、表面保護、帯電防止等の機能付与を目的として多用されている。
【0003】
特に、ヘアーライン加工された基材フィルムと金属光沢樹脂層を持つヘアーライン転写箔を使用した場合、転写面はアルミニウム、クロム、ステンレス等の金属を使用したときと同様の外観を得ることができる。このため、ヘアーライン転写箔は、省資源、軽量化素材として重用されている。
【0004】
一方、転写箔には、次の様な問題点があり、改善が望まれていた。
【0005】
第1の問題は、転写面に人の手・指の脂・汗等のヨゴレが付き易く、また、付いたヨゴレが拭き取りにくいことであり、特に人の手が触れやすい家電・音響製品等で強く対策が望まれていた。
【0006】
通常基材フィルムのヘアーライン加工面には、比較的太く深い溝状ラインの他に無数の
極微細なキズがあり、これがそのまま転写面に転移されるため、見掛けのヌレ張力が下が
り、脂・汗等の汚れが付着しやすく、また付着してしまったヨゴレは、極微細キズに吸着状態となって拭き取りにくい状況を作っていた。
【0007】
さらに次の問題として、上述の極微細キズが転写面に存在することにより、転写面の光
沢度を下げてしまい白濁化した色調となって、金属外観を損ねてしまうことであり、特に
家電製品等での高品位化として更なる改善が望まれていた。
【0008】
転写面の防汚性に関して、CVD法でF・Si等の薄膜を設ける方法(特許文献1参照)が開示されている。該方法はCVD特殊蒸着により防汚物質を薄膜形成するものであり防汚性向上に役立つが、該薄膜にはヘアーラインは転写しないので、ヘアーライン転写箔に使用することができない。
【0009】
また、転写面の高光沢化には、板状アルミニウム層を設ける方法(特許文献2参照)が開示されている。該方法によれば、金属光沢外観を得ることができるが、板状アルミニウム層中の板状アルミニウムが、転写面におけるヘアーラインの発現を阻害するため、ヘアーライン転写箔には適用不適であった。
【特許文献1】特開2005−96322号公報
【特許文献2】特開2004−223755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の目的は、転写面に、人の手・指の脂・汗等のヨゴレが付きにくく、付いたヨゴレが拭き取りやすい、さらに、転写面の光沢度が高い転写箔を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の転写箔は、表面がヘアーライン加工された基材フィルム上に、複数の離型層、金属光沢樹脂層および接着層が順次積層された転写箔である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の転写箔は、転写面の極微細キズの存在を防止することができ、これによって脂・汗等のヨゴレ付着を防止し、また付着したヨゴレを拭き取りやすく、同時に光沢度の高い優れた金属外観の転写面となるヘアーライン転写箔を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の転写箔は、表面がヘアーライン加工された基材フィルム上に、複数の離型層、金属光沢樹脂層および接着層が順次積層された転写箔である。
【0014】
本発明に用いられる基材フィルムとしては、加工適性の点で、有機高分子材料からなるフィルムが好適である。
【0015】
有機高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
非晶ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサ
ルホン、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン
および環状オレフィン系樹脂等のフィルムが使用できるが、耐熱性、強度、生産性の点で
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましい。
【0016】
本発明で用いられる基材フィルムの厚みは、8μm〜100μmが好ましく、12μm〜25μmが最も好適である。基材フィルムが8μmを下回ると、ヘアーライン加工適性および機械強度的に問題を生じる場合があり、また、100μmを上回ると熱転写時の転写不良を生ずる場合があるため好ましくない。
【0017】
本発明の転写箔は、表面がヘアーライン加工された基材フィルムを用いる。本発明における基材フィルムの表面にヘアーライン加工を施す方法としては、好ましくは、研摩基布を巻き付けたロールにフィルムを接触させて、ロールの回転による表面速度とフィルムの走行速度に差をもたせる、もしくは逆方向に走行させて行う。
【0018】
研摩基布には、好ましくは、クラフト紙、ラテックス処理紙、ラテックス処理布等の表面にアルミナ、シリカ、カーボン、金属粒子、ダイヤモンド、ガーネット等の研摩材を接着剤で固着したものが用いられるが、金属ブラシや目の粗い凹凸のある布巾等も使用することができる。
【0019】
本発明の転写箔は、ヘアーラインの本数、深さ、密度は、研摩基布とフィルムの接触強さ、接触長さおよび研摩布の研摩材粒度、粒径、硬度、突起高さの調整によって、デザイン上目的とするヘアーラインを得ることができる。
【0020】
本発明の転写箔は、ヘアーラインの深さは、0.5μm以上が好ましい。ヘアーラインの深さが、0.5μmを下回ると、ライン効果が乏しくなる場合がある。ヘアーラインの深さの上限は、ベースフィルム厚みの60%以下が好ましく、ヘアーラインの深さの上限が、ベースフィルム厚みの60%を上回るとライン部で破れを生じやすくなる場合がある。
【0021】
本発明の転写箔は、基材フィルム上に、複数の離型層を設けている。離型層の数は、着色・図柄等意匠性から決定することができる。本発明の転写箔は、好ましくは、離型層が、離型層(1)、離型層(2)の2層構成である。
【0022】
本発明の転写箔では、好ましくは、離型層(1)がメラミン樹脂を主成分とし、さらに好ましくは、離型層(1)は、メラミン樹脂、アクリル樹脂およびアミン系硬化剤からなる。
【0023】
本発明の転写箔は、好ましくは、離型層(2)がアクリル樹脂を主成分とし、さらに好ましくは、離型層(2)は、アクリル樹脂およびポリエチレンワックス樹脂からなる。
【0024】
本発明の転写箔は、好ましくは、離型層(1)は、基材フィルムのヘアーライン加工面に塗工形成する。離型層(1)の塗工厚は、0.05μm〜2.0μmが好ましく、最も好ましくは、0.2μm〜0.5μmである。塗工厚が、0.05μm〜2.0μmであると、ヘアーライン面の極微細キズを包埋でき、転写面へ極微細キズを転写することはなく、太く深い本来のヘアーラインの転写面への発現を阻害しない。
【0025】
本発明の転写箔は、好ましくは、離型層(2)は、離型層(1)の上に塗工形成する。が、離型層(2)の塗工厚は、0.1μm〜2.0μmが好ましく、0.5μm〜1.0μmがより好ましい。離型層(2)の塗工厚が0.1μm〜2.0μmであると、離型層(1)との剥離が十分となり、転写時に箔バリ発生等の転写不良を起こさない。
【0026】
本発明の転写箔は、好ましくは、離型層(1)および離型層(2)の形成は、グラビア方式、リバースローラー方式、キスローラー方式、ダイ方式等の塗工機で行う。乾燥温度は、離型層(1)が180℃〜230℃で行うのが好ましく、離型層(2)は、100℃〜150℃で行うのが好ましい。
【0027】
離型層(1)の塗工時乾燥温度が180℃〜230℃であると、ポリエチレンテレフタレート等基材フィルムとの密着が十分であり、離型層(2)の乾燥温度が100℃〜150℃であると、離型層(1)と、適度な密着となるので、好ましい。
【0028】
本発明の転写箔は、好ましくは、離型層は、離型層(1)が基材フィルム側に密着し、離型層(2)は後続積層する樹脂層側に密着する。
【0029】
本発明の転写箔は、好ましくは、熱圧転写時の剥離界面は離型層(1)と離型層(2)の間となる。離型層(1)と離型層(2)は、相容性が低いことが好ましい。
【0030】
本発明の転写箔は、好ましくは、転写後の被転写体表面が、離型層(2)である。
【0031】
本発明による転写箔は、好ましくは、転写時に離型層(1)が基材フィルムのヘアーライン加工側に残存するため、ヘアーライン面の極微細キズが包埋されて離型層(2)へ転移しないので、転写面には極微細キズを除外した本来の太く深いヘアーラインのみ発現する。これにより転写面への人の脂、汗等のヨゴレの吸着を防止し、同時付着したヨゴレを拭き取りやすくすると同時に、極微細キズによる白濁化を防止し、高光沢な金属色ヘアーライン面を得ることができる。
【0032】
本発明の転写箔は、複数の離型層に、金属光沢樹脂層を積層する。
【0033】
本発明における金属光沢樹脂層を得る好ましい方法は、金属粉末含有樹脂層を設ける方法である。添加する金属粉末は、アルミニウム、銀、銅、錫、亜鉛、鉛、クロム、ニッケルが好ましく、最も好ましくはアルミニウム粉末である。
【0034】
本発明の転写箔の金属光沢樹脂層は、好ましくは、金属粉末含有樹脂層を使用する場合、アルミニウム粉末の粒子を分散させる樹脂として、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が用いる。アルミニウム粉末の粒子を分散させる樹脂は、最も好ましくは、アクリルモノマー共重合体樹脂である。
【0035】
本発明の転写箔の金属光沢樹脂層は、好ましくは、金属粉末含有樹脂層を使用する場合、アルミニウム粉末の添加量は、固形分で1%〜30%であり、最も好ましくは2%〜20%である。
【0036】
本発明の転写箔の金属光沢樹脂層は、好ましくは、金属粉末含有樹脂層を使用する場合、樹脂層の厚さは、固形分で0.1μm〜4.0μmが好ましく、より好ましくは0.5
μm〜2.5μmである。
【0037】
本発明における金属光沢樹脂層を得る好ましい第2の方法は、透明樹脂層に金属蒸着加工する方法である。
【0038】
本発明の転写箔の金属光沢樹脂層は、好ましくは、透明樹脂層に金属蒸着する場合、透明樹脂層として、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましく、最も好ましくはマレイン酸樹脂とアミノ樹脂等の混合樹脂である。
【0039】
透明樹脂層の厚さは、固形分で0.1μm〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.3μm〜1.0μmである。
【0040】
透明樹脂層に金属蒸着する場合、蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタリング蒸着法、電子ビーム蒸着法等を使用することができる。
【0041】
透明樹脂層に金属蒸着する場合、金属蒸着層に使用される金属として、アルミニウム、銀、銅、錫、亜鉛、鉛、クロム、ニッケル等の金属を用いることができ、金属蒸着層に使用される金属は、アルミニウム、もしくは、錫が最も好ましい。
【0042】
透明樹脂層に錫蒸着層を設けた場合、錫蒸着層は、耐静電性機能を発揮するため、印加電圧15KVでもスパークしない特性を持っている。
【0043】
透明樹脂層に金属蒸着する場合、蒸着層の厚さは、5nm〜200nmが好ましく、より好ましくは7nm〜60nmである。 特に、錫蒸着の場合は、蒸着層の厚さは、7nm〜50nmが最も好ましい。
【0044】
本発明における金属光沢樹脂層は、金属粉末含有樹脂層と透明樹脂層を積層した後、該透明樹脂層に金属蒸着加工をすることもできる。金属粉末含有樹脂層と透明樹脂層の厚さは、それぞれ、0.1μm〜5.0μmが好ましい。
【0045】
本発明の転写箔は、金属光沢樹脂層に、接着層を積層する。
【0046】
本発明の転写箔における接着層は、好ましくは、アクリル樹脂である。接着層は、より好ましくは、アクリルモノマー共重合体、変性アクリル酸エステル、および、メチルメタアクリレート樹脂からなる塗液をケトン・トルエン混合溶剤にて希釈後、撹拌機にて撹拌した塗液を、グラビアコート法等のコーティング方式で塗布して得ることがでる。
【0047】
本発明の転写箔における接着層の厚さは、固形分で0.5μm〜4.0μmが好ましく、より好ましくは、1.0μm〜3.5μmである。接着層の厚さが、固形分で0.5μm〜4.0μmであると、転写性、接着性がよく、密着不良とならない。
【0048】
本発明の転写箔は、好ましくは、被転写体表面のヌレ張力指数が、JIS K6768(1983)法で37dyne/cm以下である。
【0049】
本発明の転写箔は、好ましくは、被転写体表面が、工指脂評価法で2級以上である。
【0050】
本発明の転写箔は、好ましくは、被転写体表面の光沢度が、JIS Z8741(1983)法で80%以上である。
【0051】
本発明の転写箔は、ABS樹脂板、PS樹脂板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、塩ビ酢ビ板等を被転写体として使用することができる。
【0052】
本発明の転写箔は、熱圧転写を行う場合、加熱転写機(ロール式転写機、アップダウン式転写機等)を使用することができる。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
以下に、評価法について説明する。
【0054】
<熱圧転写法>
ロール式熱転写機は、大平工業株式会社製 RT−300Xタイプを用いた。転写条件
は、転写温度が220℃、転写圧力25kg/cm2、転写速度が50mm/秒にて行った。
【0055】
アップダウン式熱転写機は、大平工業株式会社製 VB−10タイプを用いた。転写条
件は、転写温度が180℃、転写時間が1.5秒にて行った。
【0056】
<ヌレ張力指数>
JIS K6768(1983)に従って、脱脂綿棒に、試薬(和光純薬製 ぬれ張力試験用混合液)を浸し、100mm×170mmの大きさの被転写体表面に約6cm2になるよう塗布し、2秒後のちぢみ状態により指数(dyne/cm)を決定した。
【0057】
<人工指脂評価法>
人工指脂液を被転写体表面に簡易スポイトにて1滴(約0.04ml)滴下し、70℃のオーブンに15分間放置した後、滴下した箇所を、日本薬局方 脱脂綿(約0.4g)を用いて、手で10往復拭き取った後、目視観察で拭き取りの度合いを調べ、3段階で評価した。
【0058】
(人工指脂液の組成)
尿素1g、乳酸4.6g、塩化ナトリウム7g、エチルアルコール20ml、酢酸5g、ピロリン酸ナトリウム8gを、蒸留水で希釈し、1リットルとした。
【0059】
(評価基準)
1級 人工指脂が完全に拭き取れ、痕跡も残らない。
2級 痕跡は僅かに残るが、人工指脂は完全に拭き取れる。
3級 人工指脂がほとんど拭き取れない。
【0060】
<光沢度>
光沢度は、スガ試験機株式会社の変角光沢度計 タイプ:UGV−5Dを用いて、JI
S Z8741(1983)に従って、入射角60゜/反射角60゜で、ヘアーライン方
向に沿って測定した。 測定サンプルの大きさは、100mm×170mmであった。
【0061】
<目視観察>
標準光源下で、表面のライン効果、輝度等の外観特性を目視観察し、最も良好な場合◎、良好な場合○、好ましくない場合△とした。測定サンプルの大きさは、100mm×1
70mmであった。
【0062】
実施例1
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名:ルミラーF65)に研摩紙法によるヘアーライン加工を施した面に離型層(1)として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
ブチル化メラミン(三羽研究所製:RP−50) 15重量部
パラトルエンスルホン酸アミン(三羽研究所製:CP硬化剤) 1重量部
アクリルモノマー共重合体(日立化成工業製:ヒタロイド3004) 3重量部
トルエン 100重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、0.3μmの塗工膜を形成した。
【0063】
その上に離型層(2)として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メタクリル酸エステル+ポリエチレンワックス(大日精化工業製:TM−600)
15重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 85重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0064】
その上に、金属粉末含有樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体+Al粉末(大日精化工業製:TM−04) 29重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 71重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約2.0μmの塗工膜を形成した。
【0065】
更にその上に、接着層として、下記組成からなる塗液を、グラビアコート法で塗布した後、
メチルメタアクリレート(コニシ製:KT−595) 20重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 60重量部
オーブン温度150℃で乾燥し、約1.5μmの塗工膜を形成した。
【0066】
この様に積層して得た転写箔を、ABS樹脂板にロール式加熱転写機を使用して転写し、特性を評価した。転写箔を転写した後、離型層(1)と離型層(2)の間で剥離していた。評価結果を表1に示す。
【0067】
実施例2
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名:ルミラーF65)に研摩紙法によるヘアーライン加工を施した面に離型層(1)として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
ブチル化メラミン(三羽研究所製:RP−50) 15重量部
パラトルエンスルホン酸アミン(三羽研究所製:CP硬化剤) 1重量部
アクリルモノマー共重合体(日立化成工業製:ヒタロイド3004) 3重量部
トルエン 100重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、0.3μmの塗工膜を形成した。
【0068】
その上に離型層(2)として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メタクリル酸エステル+ポリエチレンワックス(大日精化工業製:TM−600) 15重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 85重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0069】
その上に透明樹脂層として下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
マレイン酸樹脂(センショウ化成製:SH−150) 22重量部
アミノ樹脂(和信化学工業製:203クリヤー) 10重量部 アルコール系溶剤 48重量部
ケトン系溶剤 20重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。その上に、真空蒸着機にて、50nmのAl蒸着層を形成した。
【0070】
更にその上に、接着層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体(和信化学工業製:SE−70) 33重量部
変性アクリル酸エステル(三羽研究所製:100ED) 19重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 98重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約2.5μmの塗工膜を形成した。
【0071】
この様に積層して得た転写箔を、ABS樹脂板にロール式加熱転写機を使用して、実施
例1と同様にして転写し、特性を評価した。
【0072】
転写箔を転写した後、離型層(1)と離型層(2)の間で剥離していた。評価結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名:ルミラーF65)に研摩紙法によるヘアーライン加工を施した面に離型層(1)として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
ブチル化メラミン(三羽研究所製:RP−50) 15重量部
パラトルエンスルホン酸アミン(三羽研究所製:CP硬化剤) 1重量部
アクリルモノマー共重合体(日立化成工業製:ヒタロイド3004) 3重量部
トルエン 100重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、0.3μmの塗工膜を形成した。
【0074】
その上に離型層(2)として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メタクリル酸エステル+ポリエチレンワックス(大日精化工業製:TM−600) 15重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 85重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0075】
その上に、金属粉末含有樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体+Al粉末(大日精化工業製:TM−04)29重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 71重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約1.0μmの塗工膜を形成した。
【0076】
その上に、透明樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
マレイン酸樹脂(センショウ化成製:SH−150) 22重量部
アミノ樹脂(和信化学工業製:203クリヤー) 10重量部 アルコール系溶剤 48重量部
ケトン系溶剤 20重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0077】
その上に、真空蒸着機にて、20nmのSn蒸着層からなる、蒸着膜を形成した。
【0078】
更にその上に、接着層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体(和信化学工業製:SE−70) 33重量部
変性アクリル酸エステル(三羽研究所製:100ED) 19重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 98重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約2.5μmの塗工膜を形成した。
【0079】
この様に積層して得た転写箔を、ABS樹脂板にロール式加熱転写機を使用して、実施
例1と同様にして転写し、特性を評価した。転写箔を転写した後、離型層(1)と離型層(2)の間で剥離していた。評価結果を表1に示す。
【0080】
比較例1
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名:ルミラーF65)に、研摩紙法によるヘアーライン加工を施した面に、離型層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メタクリル酸エステル+ポリエチレンワックス(大日精化工業製:TM−600) 15重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 85重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0081】
その上に、金属粉末含有樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体+Al粉末(大日精化工業製:TM−04)29重量部 ケトン・トルエン混合溶剤 71重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約2.0μmの塗工膜を形成した。
【0082】
更にその上に、接着層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メチルメタアクリレート(コニシ製:KT−595) 20重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 60重量部
オーブン温度150℃で乾燥し、約1.5μmの塗工膜を形成した。
【0083】
この様に積層して得た転写箔を、ABS樹脂板にロール式加熱転写機を使用して転写し、特性を評価した。
【0084】
転写箔を転写した後、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにヘアーライン加工を施した面と、メタクリル酸エステル系離型層の間で剥離していた。評価結果を表1に示す。
【0085】
比較例2
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名:ルミラーF65)に、研摩紙法によるヘアーライン加工を施した面に、離型層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メタクリル酸エステル+ポリエチレンワックス(大日精化工業製:TM−600) 15重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 85重量部 オーブン温度130℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0086】
その上に、透明樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
マレイン酸樹脂(センショウ化成製:SH−150) 22重量部 アミノ樹脂(和信化学工業製:203クリヤー) 10重量部 アルコール系溶剤 48重量部
ケトン系溶剤 20重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0087】
その上に、真空蒸着機にて、50nmのAl蒸着層または、20nmのSn蒸着層から
なる、蒸着膜を形成した。
【0088】
更にその上に、接着層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体(和信化学工業製:SE−70) 33重量部
変性アクリル酸エステル(三羽研究所製:100ED) 19重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 98重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約2.5μmの塗工膜を形成した。
【0089】
この様に積層して得た転写箔を、ABS樹脂板にロール式加熱転写機を使用して、実施
例1と同様にして転写し、特性を評価した。
【0090】
転写箔を転写した後、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにヘアーライン加工を施した面とメタクリル酸エステル系離型層の間で剥離していた。評価結果を表1に示す。
【0091】
比較例3
厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名:ルミラーF65)に、研摩紙法によるヘアーライン加工を施した面に、離型層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
メタクリル酸エステル+ポリエチレンワックス
(大日精化工業製:TM−600剥離剤) 15重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 85重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0092】
その上に、金属粉末含有樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体+Al粉末(大日精化工業製:TM−04)29重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 71重量部
オーブン温度180℃で乾燥し、約1.0μmの塗工膜を形成した。
【0093】
その上に、透明樹脂層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
マレイン酸樹脂(センショウ化成製:SH−150) 22重量部 アミノ樹脂(和信化学工業製:203クリヤー) 10重量部 アルコール系溶剤 48重量部
ケトン系溶剤 20重量部 オーブン温度180℃で乾燥し、約0.8μmの塗工膜を形成した。
【0094】
その上に、真空蒸着機にて、20nmのSn蒸着層からなる、蒸着膜を形成した。
【0095】
更にその上に、接着層として、下記組成からなる塗液をグラビアコート法で塗布した後、
アクリルモノマー共重合体(和信化学工業製:SE−70) 33重量部
変性アクリル酸エステル(三羽研究所製:100ED) 19重量部
ケトン・トルエン混合溶剤 98重量部
オーブン温度130℃で乾燥し、約2.5μmの塗工膜を形成した。
【0096】
この様に積層して得た転写箔を、ABS樹脂板にロール式加熱転写機を使用して、実施
例1と同様にして転写し、特性を評価した。
【0097】
転写箔を転写した後、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにヘアーライン加工を施した面と、メタクリル酸エステル系離型層の間で剥離していた。評価結果を表1に示す。
【0098】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面がヘアーライン加工された基材フィルム上に、複数の離型層、金属光沢樹脂層および接着層が順次積層された転写箔。
【請求項2】
離型層が、離型層(1)と離型層(2)の2層である請求項1記載の転写箔。
【請求項3】
離型層(1)がメラミン樹脂を主成分とし、離型層(2)がアクリル樹脂を主成分とする、請求項1または2に記載の転写箔。
【請求項4】
熱圧転写時の剥離界面が離型層(1)と離型層(2)の間であり、転写後
の被転写体表面が、離型層(2)である、請求項1〜3のいずれかに記載の転写箔。
【請求項5】
金属光沢樹脂層が、金属粉末含有樹脂層である請求項1〜4のいずれかに記載の転写箔。
【請求項6】
金属光沢樹脂層が、透明樹脂層に金属蒸着する請求項1〜5のいずれかに記載の転写箔。
【請求項7】
被転写体表面の、人工指脂評価法で2級以上である請求項1〜6のいずれかに記載の転写箔。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の転写箔を転写した成型品。

【公開番号】特開2008−273127(P2008−273127A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122190(P2007−122190)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000222462)東レフィルム加工株式会社 (142)
【Fターム(参考)】