説明

軸受け構造および画像形成装置

【課題】摺動時に摺動部と被摺動部との間に起こる動作不良を低減できる軸受け構造を提供する。
【解決手段】回転軸66は、その両端を、軸受け70a,70bによって回転自在に支持されている。軸受け70a,70bは、押圧ばね72a,72bに支持されており、押圧ばね72a,72bによってZ方向に付勢された軸受け70a,70bは、軸受け70a,70bを摺動自在に支持する案内部74a,74bによってZ方向に案内される。また、軸受け70a,70bは、案内部74a,74bに摺接する摺動面82a,82bを形成し、案内部74a,74bを摺動する。摺動面82a,82bは、摺動方向に対して曲面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール装置、シート供給装置およびこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1は、柔らかい第1材料で製造された被摺動部材上を硬い第2材料で製造された摺動部材が摺動するようにすることによって、摺動部材および被摺動部材ともに摩耗が少なくなるようにした電子写真複写機用摺動装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開平1−37566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、摺動時に摺動部と被摺動部との間に起こる動作不良を低減できるロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明にかかるロール装置は、ロール本体と、このロール本体が設けられた回転軸と、この回転軸を回転自在に支持する軸受けと、この軸受けを一方向で摺動自在に案内する案内部と、前記軸受けを一方向に押圧する押圧部材とを有し、前記軸受けの案内部との摺動面は、摺動方向に対して曲面状に形成されている。
【0006】
好適には、前記案内部の前記軸受けとの接触面は、平面状に形成されている。
【0007】
好適には、前記軸受けの前記案内部との摺動面は、球面状に形成されている。
【0008】
好適には、前記案内部は前記軸受けの摺動方向以外の面を囲むように形成されている。
【0009】
本発明は、上記のロール装置を有するシート供給装置を含むものである。
また、好適には、前記ロール装置は、シートの供給方向と直交する方向における当該シートの中央部と対向した位置に一つのみ配置されている。
【0010】
本発明は、上記のシート供給装置を有する画像形成装置を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロール装置によれば、軸受けの案内部との摺動面は、摺動方向に対して曲面に形成されているので、摺動時に摺動部と被摺動部との間に起こる動作不良を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1において、本発明の実施形態にかかる画像形成装置10の概要が示されている。
【0013】
画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に像形成手段14が搭載され、この画像形成装置本体12の上部に排出部16が設けられていると共に、この画像形成装置本体12の下部に給紙ユニット18が配置されている。また、画像形成装置本体12内には用紙を搬送する用紙搬送路17が形成され、この用紙搬送路17は、後述する両面印刷用搬送路としての反転路50を有する。
【0014】
給紙ユニット18は、被転写材としての用紙が収納され、画像形成装置本体12に引き出し自在に設けられた給紙カセット20と給紙ロール22a、22b、捌きロール23とを有し、この給紙ロール22bと捌きロール23との協働により給紙カセット20に積載された用紙がレジストロール24に分離給送される。
【0015】
このレジストロール24の下流側には、後述するプロセスカートリッジ(現像カートリッジ)46の像坦持体28と転写装置36とが対峙し、さらにその下流側には定着装置40が設けられている。
【0016】
したがって、給紙ユニット18の給紙カセット20から給紙ロール22a及び22bにより用紙搬送路17に送り出された用紙は、レジストロール24により一時停止され、タイミングをとって像坦持体28と転写装置36との間を通って現像剤像が転写され、この転写された現像剤像が定着装置40により定着され、排出ロール26により排出部16へ排出される。
【0017】
ただし、両面印刷の場合には、両面印刷手段としての両面印刷ユニット48に戻される。即ち、両面印刷ユニット48には、排出ロール26の手前は2股に分かれ、その分かれた部分に切換爪(図示せず)が設けられていると共に、分かれた部分からレジストロール24まで戻る両面印刷用搬送路としての反転路50が形成されている。この反転路50には搬送ロール52a〜52cが設けられており、両面印刷の場合には切換爪(図示せず)が反転路50を開く側に切換えられ、排出ロール26に用紙の後端手前がかかる時点で排出ロール26が反転し、用紙が反転路50に導かれ、レジストロール24、転写装置36と像担持体28との間及び定着装置40を通って排出部16へ排出される。
【0018】
像形成手段14は電子写真式のもので、感光体からなる像坦持体28と、この像坦持体28を一様帯電する例えば帯電ロールからなる帯電装置30と、この帯電装置30により帯電された像坦持体28に、光により潜像を書き込む光書込み装置32と、この光書込み装置32により形成された像坦持体28の潜像を可視化する現像装置34と、現像装置34による現像剤像を用紙に転写する転写装置36と、像坦持体28に残存する現像剤をクリーニングするクリーニング装置38と、転写装置36により転写された用紙上の現像剤像を用紙に定着させる例えば加圧ロールと加熱ロールとからなる定着装置40とから構成されている。光書込み装置32は、例えば走査型のレーザ露光装置からなり、プロセスカートリッジ46内を横切り、像坦持体28に潜像を形成する。クリーニング装置38は、像坦持体28に接触するクリーニングブレード42と、このクリーニングブレード42で掻き落とされた現像剤を収納する現像剤回収部44とを有する。なお、光書込み装置32は、他の実施形態としてLEDや面発光レーザなどを用いることができる。
【0019】
プロセスカートリッジ46は、像担持体28、帯電装置30、現像装置34及びクリーニング装置38を一体化したものであり、これらを一体として交換できるようになっている。
【0020】
また、上述した給紙カセット20には用紙搬送パス60が設けられている。この用紙搬送パス60により、複数の用紙カセットを多段に重ねて配置した場合、下側に配置された他の給紙カセットより給紙された用紙が搬送されるようになっている。
【0021】
また、画像形成装置本体12の側面(図1の左側面)には、手差し給紙手段としての手差しユニット54が配設されている。この手差しユニット54には用紙を収容する手差しトレイ56と手差しピックロール58とを有し、この手差しピックロール58の回転により手差しトレイ56に収容された用紙がピックされる。この手差しピックロール58より送り出された用紙は、給紙ユニット18より送り出された用紙と同様に、レジストロール24、転写装置36と像担持体28との間及び定着装置40を通って排出部16へ排出されるようになっている。
【0022】
手差しユニット54に設けられた手差しトレイ56は、図1に示す矢印の方向に回動すると開くようになっており、画像形成装置本体12に開閉自在に支持されている。
また、手差しトレイ56には、サイドガイド62及び手差し捌きロール64が設けられている。サイドガイド62は、手差しトレイ56に収容された用紙の側面に当接するよう該用紙のサイズに合わせて移動自在に設けられている。手差し捌きロール64は、手差しピックロール58と対向する位置に配設され、この手差し捌きロール64と手差しピックロール58との協働により手差しトレイ56に収容された用紙が分離給送されるようになっている。
【0023】
図2において、手差し捌きロール64の詳細が示されている。
手差し捌きロール64は、後述する手差し捌きロール装置68に備わっており、手差し捌きロール装置68は、手差しトレイ56の上に配設されている。
【0024】
図3〜図6において、手差し捌きロール装置68および軸受け70a,70bの詳細が示されている。
図3は、手差し捌きロール装置68の平面図であり、図4(A)は、図3に示すA−A線断面図であり、図4(B)は、図3に示すB−B線断面図であり、図4(C)は、図3に示すC−C線断面図である。また、図3〜図4に示すように、回転軸方向をX方向、軸方向と直交する方向をY,Z方向とする。
【0025】
手差し捌きロール64は、回転軸66に装着されている。回転軸66は、その両端を、軸受け70a,70bによって回転自在に支持されている。
また、軸受け70a,70bには軸受け筒80a,80bが形成され、軸受け筒80a,80bの内部に回転軸66が挿入されている。
【0026】
軸受け70a,70bは、押圧ばね72a,72bにZ方向に押圧され、支持されている。押圧ばね72a,72bによってZ方向に付勢された軸受け70a,70bは、案内部74a,74bによってZ方向で摺動自在に案内される。案内部74a,74bにはガイド部76a,76bが形成されており、ガイド部76a,76bによって軸受け70a,70bのY方向の動作が規制されている
また、軸受け70a,70bは、案内部74a,74bに摺接する摺動面82a,82bを形成し、案内部74a,74bをZ方向に摺動する。摺動面82a,82bは、摺動方向に対して曲面状に形成されている。
【0027】
なお、以後、例えば軸受け70a,70bなど、複数ある構成部分のいずれかが、特定されずに示されるときには、単に、軸受け70などと略記されることがある。
【0028】
手差し捌きロール装置68は、2つの押圧ばね72a,72bの付勢力のバランスがとれていない場合等に、図6(A)に示すように、X方向からZ方向にわずかに傾くことがある。
軸受け70の案内部74との摺動面82は曲面状に形成されているので、手差し捌きロール装置68がX方向からZ方向に傾いても、軸受け70は案内部74と滑らかに接触している。
【0029】
図6(B)に示すように、軸受け70の案内部74との摺動面が平面に形成されている場合と比較すると、摺動面が平面に形成されている場合はD部で案内部74と突き当たるように接触するので、摺動面が曲面に形成されている場合の方が、軸受け70の摺動動作は良好となる。
【0030】
次に、本発明にかかる第2の実施形態を説明する。
なお、以後、第1の実施形態で説明した構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
図7および図8において、第2の実施形態にかかる手差し捌きロール装置88の詳細が示されている。
図7(A)は、手差し捌きロール装置88の平面図であり、図7(B)は、図7(A)示すE−E線断面図であり、図7(C)は、図7(B)に示すF−F線断面図である。また、図7(A)〜(C)に示すように、回転軸方向をX方向、軸方向と直交する方向をY,Z方向とする。
【0032】
手差し捌きロール装置88は、手差し捌きロール64、手差し捌きロール64を装着する回転軸66、および、回転軸66の両端を回転自在に支持する軸受け90a,90bから構成される。
軸受け90a,90bは、その全面を球面状に形成されている。
軸受け90a,90bは、押圧ばね72a,72bにZ方向に押圧され、支持されている。押圧ばね72a,72bによってZ方向に付勢された軸受け90a,90bは、案内部94a,94bによってZ方向に案内される。軸受け90a,90bに支持された回転軸66は、案内部94a,94bに形成された回転軸用隙間96a,96bを通る。
【0033】
案内部94a,94bは、軸受け90a,90bのX,Y方向の面を囲むようにして形成され、軸受け90a,90bのX,Y方向の動作を規制する。
軸受け90a,90bは、案内部94a,94bの内面をZ方向に摺動する。
また、押圧ばね72a,72bは、その中心が軸受け90の重心のほぼ真下に位置するように配設されている。
【0034】
軸受け90の案内部94との摺動面が球面状に形成されているので、図8(A)に示すように、手差し捌きロール装置88がX方向からZ方向に傾いても、軸受け90は、案内部94と滑らかに接触している。さらに、図8(B)に示すように、手差し捌きロール装置88がX方向からY方向に傾いても、軸受け90は、案内部94と滑らかに接触している。したがって、軸受け90の摺動動作は良好となる。
さらに、軸受け90においては、押圧ばね72を軸受け90の重心のほぼ真下に配設することができるので、押圧ばね72は軸受け90に対して安定して押圧することが可能になる。
【0035】
なお、上記実施例では、本実施形態にかかるロール装置は、手差し捌きロール装置としたが、軸受けが押圧ばねで支持された回転軸を有するロール装置ならば、捌きロール23を有するロール装置等どのロール装置であってもよい。
また、上記実施例では、第2の実施形態にかかる軸受け90は球面状に形成されているとしたが、軸受け90は完全な球体である必要はなく、案内部94と摺接する面以外は球面状でなくてもよいし、曲面状でなくてもよい。
【0036】
また、ロール装置は、供給されるシートの供給方向と直交する方向における当該シートの中央部と対向した位置に一つのみ配置させた形態のように、供給されるシートが供給方向と直交する方向にズレを持っていたり斜行していたりする等によって、供給されるシートから前述の一方向とは異なる力が加わった際に影響を受けやすい場合であって、摺動時に摺動部と被摺動部との間に起こる動作不良を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる手差し捌きロールを示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる手差し捌きロール装置を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる手差し捌きロール装置を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる軸受けを示す斜視図である。
【図6】手差し捌きロール装置が傾く様子を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる手差し捌きロール装置を示す平面図および断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる手差し捌きロール装置が傾く様子を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 像形成手段
64 手差し捌きロール
66 回転軸
68 手差し捌きロール装置
70 軸受け
72 押圧ばね
74 案内部
80 軸受け筒
82 摺動面
88 手差し捌きロール装置
90 軸受け
94 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール本体と、
このロール本体が設けられた回転軸と、
この回転軸を回転自在に支持する軸受けと、
この軸受けを一方向で摺動自在に案内する案内部と、
前記軸受けを一方向に押圧する押圧部材と
を有し、
前記軸受けの案内部との摺動面は、摺動方向に対して曲面状に形成されている
ロール装置。
【請求項2】
前記案内部の前記軸受けとの接触面は、平面状に形成されている
請求項1に記載のロール装置。
【請求項3】
前記軸受けの前記案内部との摺動面は、球面状に形成されている
請求項1または2に記載のロール装置。
【請求項4】
前記案内部は前記軸受けの摺動方向以外の面を囲むように形成されている
請求項1から3のいずれかに記載のロール装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のロール装置を有するシート供給装置。
【請求項6】
前記ロール装置は、シートの供給方向と直交する方向における当該シートの中央部と対向した位置に一つのみ配置されている
請求項5に記載のシート供給装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシート供給装置を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−94529(P2008−94529A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276251(P2006−276251)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】