輪郭成形複合構造物を製造する方法と本方法によって製造された構造物
輪郭成形された複合構造物は、実質的に一定の幅を有する単向性繊維プリプレグ層セグメントによって形成された少なくとも一つの層を含む複合チャージを積層することによって製作される。層セグメントは隣り合わせで重なり合った状態に配置され、層セグメントの長手方向の中央線は、構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせされている。チャージは構造物の形に成形され硬化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、複合構造物を製作する技術に関し、さらに具体的には、単向性の予め含浸させた複合テープと自動テープ配置装置を使用して、高度に輪郭成形された非デカルト座標複合構造物を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い強度を持ち、軽量である、高度に輪郭成形されたマルチレッグ構造物は、例えば航空宇宙機等の様々な用途に使用することができる。例えば、航空宇宙フレーム、スパー、リブ、ストリンガー、及び同様の構造物は多数のレッグを有し、このレッグは構造物の長さに沿って輪郭成形されている。複合材料から上記の高度に輪郭成形された構造物を製作することは難しく、したがって、大きな労働力を要するばかりか高生産量の用途に好適でない可能性がある、ハンドレイアップ技術に主に制限される。自動繊維配置(AFP)機械を使用して、ある形の複合構造物を製造することが可能であるが、これらの機械は半径の狭い高度に輪郭成形されたマルチレッグ構造物を製造するのに効率的でない可能性がある。その理由は一つには、これらの構造物の構造的特徴がより複雑なため、機械が比較的頻繁に開始及び停止するだけでなく、方向を変える必要があり得るためである。さらに、特定の構造物の形状、例えばZ又はJ断面を含む構造物の形状は、これらの構造物の内側の隅に材料を積むことができない可能性があるため、AFP機械を使用して製作することができない。
【0003】
したがって、大量生産環境における高性能仕様に則したマルチレッグ機能を含む、輪郭成形された、特に高度に輪郭成形された連続的な複合構造物を製作する方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、例えばプリプレグ繊維テープ等の単向性の複合材料を使用して高度に輪郭成形された連続的な複合構造物を製作する方法を提供する。本方法により、ゆがみが少なく、樹脂/繊維含有量が一貫しており、表面の滑らかな、ほぼ無制限に配向した層が提供され得る。結果的に得られる複合構造物は軽量であり、正確な機能配置により航空機の組立工程における取付けが非常にしやすくなる。本発明の方法を用いて、航空機及び他のビークルのシャータイ、ストリンガー、フレーム、スパー及びリブを非限定的に含む多様な構造物を製作することができる。
【0005】
例えばフレーム、スパー、リブ及びストリンガー等の高度に輪郭成形されたマルチレッグ複合構造物の製作中に繊維の極性配向を維持するような方法で一定幅のテープセグメントを配置し、位置合わせした連続的な輪郭成形された複合構造物を製作することができる。本方法は、自動繊維テープ配置装置を使用して機械のヘッドの動きを最小限に抑えながら、テープセグメントを素早く位置合わせし配置することによって実行することができる。単向性のプリプレグテープを使用し、繊維を歪みなく非常に正確に配置することによって、他の方法を使用して製作された構造物と比較して重量の軽い構造物を得ることができる。
【0006】
ある開示の実施形態によれば、輪郭成形された複合構造物を製作する方法が提供されている。本方法は、複合チャージを積層することを含み、複合チャージには単向性の繊維の少なくとも一つの層、実質的に一定の幅を有するプリプレグ層セグメントが含まれる。層セグメントは隣り合わせに重なった状態で配置され、層セグメントの長手方向の中央線は、構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせされる。複合チャージは構造物の形状に実質的に成形され、成形チャージはその後硬化される。層セグメントは、層セグメント間の重なり量が実質的に一定に保たれるように配置される。層セグメントは複合テープの長さをカットすることによって形成することができる。
【0007】
別の開示の実施形態によれば、自動制御されたテープ配置ヘッドを使用して複合チャージを製造することを含む、輪郭成形された複合構造物を製作する方法が提供される。ヘッドを使用して基板上に複数の実質的に一定幅のプリプレグテープセグメントをそれぞれ隣り合わせに重なった状態で配置する。またヘッドを使用して、テープセグメントを構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせも行う。チャージを実質的に構造物の形状に成形した後で硬化させる。層セグメントは、ヘッドを基板を横切るように動かすことによって配置し、複合テープの長さをカットしてセグメントを作製し、その後ヘッドで基板上に配置する。
【0008】
さらなる実施形態によれば、輪郭成形された複合フレーム部分を形成する方法が提供されている。本方法は、繊維強化されたプリプレグ層の平坦なスタックを形成することを含み、これには実質的に一定幅の複合繊維テープセグメントを個々に隣り合わせに重なった状態で、構造物の輪郭線に対して極性配向に配置することが含まれる。本方法は、フレーム部分の第1及び第2レッグを形成し、形成されたスタックを圧縮して硬化させることを含むことができる。
【0009】
開示の実施形態により、高度に輪郭成形された複合構造物、特に複数のレッグを有し、大量生産環境において自動テープ配置機械との使用に好適な複合構造物を製作する方法の必要が満たされる。
【0010】
10.輪郭成形された複合構造物を製作する方法であって:
自動制御されたテープ配置ヘッドを使用して複合チャージを製造し、これには、ヘッドを使用して複数の実質的に一定幅のプリプレグテープセグメントをそれぞれ、隣り合わせに重なりあった状態で基板上に配置して、テープセグメントを構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせすることが含まれ;
チャージを実質的に構造物の形状に成形し;
成形されたチャージを硬化させる
ことを含む方法。
【0011】
11.ヘッドを使用して層セグメントを配置することが、ヘッドを基板を横切るように動かして、複合テープの長さをカットしてセグメントを作製することを含む、請求項10に記載の方法。
【0012】
12.テープの長さをカットすることが、構造物の輪郭線におおむね一致する角度においてテープの長さをカットすることを含む、請求項11に記載の方法。
【0013】
13.ヘッドを使用してテープセグメントを位置合わせすることが、テープセグメントの長手方向の中央線を極座標系の動径座標に沿って位置合わせすることを含む、請求項10に記載の方法。
【0014】
14.ヘッドを使用してテープセグメントを配置することが、ヘッドを使用して、テープセグメントが配置されている時にテープセグメント間の重なり量を実質的に一定に保つことを含む、請求項10に記載の方法。
【0015】
15.テープセグメントの極性配向に起因して、隣接したテープセグメント間に間隙ができ、ヘッドを使用してテープセグメントを配置することが、実質的に間隙を最小限に抑えることを含む、請求項10に記載の方法。
【0016】
16.テープセグメントの縁部をトリミングして、構造物の輪郭線におおむね一致させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0017】
17.請求項10の方法によって製作された輪郭成形された複合構造物。
【0018】
18.輪郭成形された複合フレーム部分を成形する方法であって:
繊維強化されたプリプレグ層の平坦なスタックを形成し、これには実質的に一定幅の複合繊維テープセグメントを個々に、隣り合わせに重なった状態に、構造物の輪郭線に対して極性配向に配置することが含まれ;
フレーム部分の第1レッグを形成し;
形成されたスタックを圧縮し硬化させる
ことを含む方法。
【0019】
19.フレーム部の第1レッグを形成することが、スタックの第1縁部に沿ってスタックを曲げることによって行われる、請求項18に記載の方法。
【0020】
20.スタックの第2縁部に沿ってスタックを曲げることによりフレーム部の第2レッグを形成することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【0021】
21.テープセグメントを個々に配置することが、構造物の輪郭線とおおむね一致するテープセグメントの端部をトリミングすることを含む、請求項18に記載の方法。
【0022】
22.繊維セグメントを個々に配置することが、自動制御テープ配置ヘッドを使用することによって行われ、
ヘッドを使用してテープセグメントを個々に配置することが、極座標系の動径座標に沿ってテープセグメントの長手方向の中央線を位置合わせすることを含む、
請求項18に記載の方法。
【0023】
23.テープを使用してテープセグメントを個々に配置することが、テープセグメントが配置されている時にテープセグメント間の重なり量をほぼ一定に維持することを含む、請求項18に記載の方法。
【0024】
24.請求項10に記載の方法によって形成されたビークルの複合フレーム部。
【0025】
25.航空機のマルチレッグ曲線複合フレーム部を製作する方法であって:
自動繊維テープ配置機械を使用して、複合層の平坦なスタックを形成し、これには、一定幅の単向性繊維プリプレグテープのセグメントを、スタックの長さに沿って隣り合わせに重なった状態に自動的に配置することによって少なくとも特定の層を形成することが含まれ、ここではテープセグメントの長手方向の中央線がフレーム部の湾曲を画定する極座標系の動径座標におおむね位置合わせされ、また、プリプレグ単向性テープをスタックの長さに沿って自動的に配置することによって他の層を形成する
ことによってフレーム部を形成し、
平坦なスタックの第1縁部に沿って平坦なスタックに間隔を置いたカットアウトを形成し、
ドレープ成形を使用してツール上で平坦なスタックの第2縁部を曲げて、フレーム部の第1レッグを形成し、
高温ドレープ成形を使用してツール上で平坦なスタックの第1縁部を曲げて、フレーム部の第2レッグを形成し、
ツール上にフレーム部を配置し、
フレーム部とツールを真空バッグ処理し、
フレーム部を圧縮して硬化させる
ことを含む方法。
【0026】
開示の実施形態の他の機構、利点及び長所は、添付の図面及び添付の請求項に従って下記の実施形態の説明を読むときに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は航空機の機体のバレル部分の斜視図である。
【図2】図2は図1に示す機体で使用する高度に輪郭成形された複合フレーム部の斜視図である。
【図3】図3は図1の線3−3に沿って切り取った断面図である。
【図4】図4は図2に示すフレーム部の層の作成を示す断面図である。
【図5】図5は図2に示すフレーム部の製作に使用する平坦な層のスタックの斜視図である。
【図6】図6は層のスタックを配置するのに使用するAFPロボット機械の斜視図である。
【図7】図7は図6に示すロボット上のエンドディフェクタとして使用するAFP機械の斜視図である。
【図8】図8は図2のフレーム部の層の配向を画定するのに使用する、極座標系及びデカルト座標系を示す図である。
【図9】図9は0度に配向する繊維を含有する層の平面図である。
【図10】図10は45度及び90度に配向する繊維をそれぞれ含有する層を示す図であり、トウ及びテープウェッジの使用を示している。
【図11】図11は層の平坦なスタックの斜視図である。
【図12】図12は図11と同様の斜視図であるが、層のスタックの一つの縁部に沿って形成されているカットアウトを示す図である。
【図13】図13はフレーム部の内側翼弦をドレープ成形するのに使用するドレープ成形装置を示す断面図である。
【図14】図14は図13のドレープ成形装置の一部を含む成形マンドレルに位置づけされた平坦な層のスタックの斜視図である。
【図15】図15は図14と同様の図であるが、成形マンドレル周囲に完全に形成された内側翼弦を示す。
【図16】図16は柔軟膜が開放位置に開かれているドレープ成形装置の斜視図である。
【図17】図17は図16と同様の図であるが、閉じられてツールアセンブリ周囲に覆いかぶさっている柔軟膜を示す。
【図18】図18はフレーム部の外側翼弦をドレープ成形するための高温ドレープ成形装置の断面図である。
【図19】図19は図18に示す高温ドレープ成形装置の斜視図である。
【図20】図20は図18のドレープ成形ツールアセンブリの一部を含む成形/硬化マンドレルの斜視図であり、その上に位置づけされた部分的に形成されたフレーム部を図示している。
【図21】図21は図20と同様の図であるが、成形/硬化マンドレルの上に完全に形成された外側翼弦を示す。
【図22】図22はフレーム部を硬化させるのに使用する成形/硬化マンドレルバッグアセンブリの断面図である。
【図23】図23は連続的な、輪郭成形された複合構造物を製作する方法を示すフロー図である。
【図24】図24は開示の実施形態に従って形成することができる連続的な複合構造物の断面形状の図である。
【図25】図25は極座標系でのテープセグメントの位置合わせと関連させて、基板上に配置されているテープセグメントの平面図である。
【図26】図26は図25の「A」で指定された領域の拡大図である。
【図27】図27は端部カットの代替形態を示す単一のテープセグメントの平面図である。
【図28】図28は自動テープ配置機械の斜視図である。
【図29】図29は一定幅のテープセグメントを使用して輪郭成形された複合構造物を製作する方法のフロー図である。
【図30】図30は航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【図31】図31は航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず図1〜3を参照すると、バレル形状の機体部分30は、フレーム構造物32の上に形成され、フレーム構造物32に固定された外板34を含む。フレーム構造物32は、複数の、長手方向に間隔を置いて配置されたバレルフレーム32a及びバレルフレーム32aを貫通する長手方向に延びたストリンガー32bを含む。各バレルフレーム32aは、例えば非限定的に、接合板(図示せず)及び留め具(図示せず)等の好適な任意の手段を使用して互いに接合された多数のフレーム部36を含むことができる。ある応用形態ではしかしながら、半フレーム及び全フレーム部(図示せず)が可能であり得る。
【0029】
図3で良くわかるように、フレーム部36はおおむねZ形状の断面を有することができ、おおまかなウェブ42によって内側翼弦40に接続される外側翼弦38を含む。外側翼弦38及び内側翼弦40は、断面(図3)で見た場合、ウェブ42に対して横方向に延びる「レッグ」を効果的に形成する。したがって本明細書で使用されるように、「レッグ」又は「複数のレッグ」という用語は、例えば非限定的にウェブ等の輪郭成形された構造物の他の機構に対して横方向に延びるキャップ又はフランジ等の一以上の構造的特徴を指すものである。図示した実施形態では、ウェブ42は任意の強化パッド44を含むことができる。外側翼弦38は外板34を接合する及び/又は固定することができるシャータイを形成する。外側翼弦38とウェブ42の一縁部は、複数の間隔を置いて配置された、小さい形状のカットアウト53を含むことができ、このカットアウトの中をストリンガー32bが延在する。後に説明するように、フレーム部36は繊維強化合成樹脂、例えばカーボンファイバーエポキシ樹脂の積層された層から形成される。図4に示すように、フレーム部36は完全層46と部分層48を含む層の積み重ねを含むことができ、完全層46と部分層48は最大限の構造性能を提供する一方で、後に説明する、効率的で且つ繰り返し可能な製作方法の使用を促進するように、配置され配向されている。
【0030】
ここで図5〜7を参照すると、AFP機械58をロボット60のエンドエフェクタとして使用して、繊維プリプレグテープの繊維トウ又はストリップを配置して平坦な層のスタック50を形成することができる。AFP機械58は、トウカッター68によって切断される前に、リボナイザー66を通過して入ってくるプリプレグトウ62を受け入れるクシ状部64を含むことができる。カットされたトウ72は、従属ローラ70の下を通過し、従属ローラ70によってトウ62が基板(図示せず)、又は下部層(図示せず)上に適用され圧縮される。図5で良く分かるように、AFP機械58を使用して、繊維トウ62又はテープを配置することができ、繊維トウ62又はテープにおいて繊維はデカルト座標系47の予め選択した角度に配向されている。図示した実施例では、層のスタック50は0度に配向した繊維トウ52、+45度に配向した繊維トウ56及び−45度に配向した繊維トウ54を含む。図に示していないが、層スタック50には90度に配向した繊維トウが組み込まれている。
【0031】
図8は、単向性の繊維トウ又はテープが層のスタック50に配置されるデカルト座標系47の配向と、フレーム部36の輪郭線を画定する極座標系との関係をより良く示す。番号37で指定されるフレーム部36の輪郭線は、極39から始まり、0度で表される基準座標に対して極角度θを形成する動径座標「r」によって画定することができる。したがって、フレーム部36によってそれぞれ輪郭成形された特徴は、角度θでの値「r」(動径座標)によって画定することができる。ここで注記したいのは、図示したフレーム部36は一定半径(曲率)を有し、ウェブ42は一定のゲージ(厚さ)を有し、フレーム部36の曲率、ウェブ42のゲージ、内側翼弦40のゲージ及び外側翼源38のゲージはそれぞれ、フレーム部36の長さに沿って可変であり得る。
【0032】
図示した実施例では、層のスタック50は多数の層52でできており、多数の層52では、単向性プリプレグ繊維は、動径座標「r」に接して位置あわせされたデカルト座標系47内に配向されている。後にさらに詳しく説明するが、図示した実施例では、0度、−45度、+45度、及び+90度の繊維配向が用いられているが、特定の応用形態、及びフレーム部36の形状等を含む様々な要因によって他の配向角度も可能である。
【0033】
ここで、平坦な層のスタック50の幾つかの層の繊維配向を示す図9〜12に注目する。図9は、トウ又はテープストリップがAFP機械58によって0度配向に配置され、フレーム部36の全長に渡って延びた層52を示す。本明細書で使用されるように、「テープ」は予め含浸させた単向性繊維を指し、「トウ」は長さに沿って切り込みが入れられた幅の狭い帯状のテープを含み、例えば非限定的に、幅は0.125、0.25又は0.5インチであってよい。「コース」は、AFP機械58によって帯状に適用されたトウをさす。「ドロップ」は、AFP機械58が一又は複数のトウを中断することを指し、隣接したトウ又はテープとの間隔を含むことができる。カット/追加収束ゾーンは、同じ層内の異なる配向のコースにおいて、一つのコースが終わることを意味し、これにより間隙及び重なり合った領域ができる。
【0034】
0度層52は、AFP機械58を使用して、切り込みテープの配置を「誘導」することによって形成することができ、ここでは一致性とドロップオフにより層52の幅が決まる。完全な層52が図9に示されているが、部分層又はドロップオフのある層もまた可能である。後に外側翼弦、内側翼弦及びウェブとなる層52の部分はそれぞれ、番号38、40及び42で指定される。ここで注記すべきことは、ある応用形態では、外側翼弦40を形成する層は、AFP機械58を使用して配置するのではなく、幅が予めカットされており且つ後に説明するツール上に配置された個別の帯状のトウ又はテープ層を使用して形成することができる。
【0035】
0度以外の角度に配向したトウ又はテープを含む層は、それぞれテーパウェッジ形状を有するトウ/テープの隣り合ったグループ又はセグメント55、74で形成されている。セグメント55、74は側面を決める上向き角度とドロップ許容量を有するテープを使用して形成することができる。例えば、図10は、各セグメント55の繊維配向がおおむね+45度であるセグメント55によって形成された層54を示す。
【0036】
図11は、隣り合わせに配置されたセグメント74によって形成された層76を示し、ここでは各セグメント74の繊維はおおむね90度に配向し、フレーム部36の輪郭線37(図8)を画定する動径座標「r」の角度にほぼ位置合わせされている。トウ72が配置されてセグメント74を形成するところでは、個々のトウは層76の湾曲方向に角度をなしている。角度をなしたトウ72は独立して互いに隣り合わせに配置されている。あるいは、セグメントは、AFP機械58又は類似の装置によって互いに隣り合わせの状態に配置された繊維テープのテーパウェッジ75によって形成することができる。
【0037】
ここで図12を参照する。平坦な層のスタック50が完全に配置された後で、層のスタック50の一縁部51に沿って小さなカットアウト53を開けることができる。カットアウト53は、例えば非限定的にNC制御超音波カッター(図示せず)を使用して等、任意の様々な技術を使用して開けることができる。
【0038】
図示した実施例では、カットアウト53によりストリンガー32bが通って延びる開口部が得られる(図1)。しかしながら他の応用形態では、重量を減らし、及び/又は続く製作工程において層に皺ができる可能性を低減するために同様のカットアウト53を設けることが望ましくあり得る。
【0039】
ここで、ドレープ成形工程を利用して内側翼弦40を形成する様子を示す図13〜17に注目する。層のスタック50は成形マンドレル80の上部の平坦な表面80aに配置される。成形マンドレル80は、図示した実施例では、上部の平坦な表面80aに対してほぼ90度の角度を形成する湾曲した、又は輪郭成形された表面80bを含む。外側翼弦40を形成するのに使用可能な全ての0度層が輪郭成形された表面80bの上に直接配置される。層のスタック50の外側縁部50aは、湾曲した縁部80bを通過して延び、層が配置される間、続いて図13に示す位置に移動する積層シェルフ86によって支持されることが可能である。成形マンドレル80は真空バッグツール84上に支持され、グラスファイバーブリーザ82によって分離される。真空バッグ88は層のスタック50と成形マンドレル80の上に配置される。ブリーザ90及びFEPの層92(フッ素化エチレンプロピレン)をバッグ88と層のスタック50の間に配置することができる。バッグ88はまた、内側表面上にチャネル(図示せず)を有することができ、この場合ブリーザ90は必要ない。
【0040】
層のスタック50の縁部50aがツールの縁部80bに覆いかぶさった状態で、バッグ88を真空化して層のスタック50に圧力をかけて、縁部50aが成形マンドレル80の前面80bに接触してほぼ平坦になり、成形マンドレル80の前面80bの輪郭線とほぼ同じになるまで、縁部50aを図13の矢印94の方向に下向きに曲げる。層のスタックの縁部50aはこのように、前部のツール面80bの半径Rとほぼ同一の半径を有する内側翼弦40に成形される。
【0041】
上述した成形工程は、図16及び17に示すドレープ成形装置96において実施することができる。バッグ88は、例えば非限定的にシリコーンでできた気体不透過性膜を含むことができ、この気体不透過性膜は、レッグ100に支持された真空テーブル98に回転可能に取り付けられたフレーム102に装着されている。真空テーブル98は、空気がテーブル98を通って流れ込むことを可能にするポート又は貫通部(図示せず)を含む。成形マンドレル80は層のスタック50及び積層シェルフ86とともに、真空テーブル98に配置することができ、フレーム102はこの時真空テーブル98に接触して閉じている。
【0042】
図17に示すように、真空システム(図示せず)を使用して、フレーム102及びテーブル98によって形成された密閉空間の空気を排出させることができる。この空間の排出により、膜88が成形マンドレル80の上に引き下ろされ、これにより成形マンドレル80の前面80bの上で縁部50aが形成される。成形工程中は積層シェルフ86が膜88を部分的に支持し、これにより膜88の縁50aにかかる力を制御し、方向づけする。
【0043】
内側翼弦40が完成したら、製作方法の次のステップは、外側翼弦38が形成される図18〜21に示される。外側翼弦38は、張力、高温ドレープ成形によって、例えば非限定的に図19に示すドレープ成形装置124を使用して製作することができる。ドレープ成形装置124は、レッグ134によって支持される下部フレーム128に保持される加熱された真空テーブル130を含む。上部の回転可能なフレーム126は、例えばシリコーンを含むことができる気体不透過性膜132を含む。成形/硬化マンドレル106の形態のツール及び輪郭成形されたブロック112は、真空テーブル130に支持されており、フレーム126が閉じて下部フレーム128に接して密閉されている時に、膜132によってカバーされている。
【0044】
図18で良く分かるように、成形/硬化マンドレル106は層のスタック50を支持する平坦な上部ツール面106aを含む。成形/硬化マンドレル106の第2の平坦面106bはツール面106aから上向きに延びており、内側翼弦40と係合する。成形/硬化マンドレル106はさらに、ツール面106aから下向きに延びており且つ外側翼弦38を形成するのに使用する第3面106cを含む。
【0045】
成形/硬化マンドレル106は、真空テーブル130上に支持される。グラスファイバー又は他の好適な材料からできた任意のブリーザ110を真空テーブル130と成形/硬化マンドレル106の間に配置することができる。輪郭成形された増圧器120を、半径122が内側翼弦40に隣接して完全に維持されるように、層のスタック50上に配置することができる。非限定的に、テフロン(登録商標)等の材料でできた層116及びブリーザ118を、増圧器及び層のスタック50の間に配置することができる。FEPの追加層123を、成形/硬化マンドレルの縁部と層のスタック50の間に配置することができる。FEP層123はブロック112に覆いかぶさり、この組み合わせは、ドレープ成形工程中に、バッグ膜132が層のスタック50の外側の縁部50bに圧力を印加する角度を制御する働きをする。
【0046】
外側翼弦38は、成形/硬化マンドレル106の上に高温ドレープ成形することができ、その後にオーブン内部で、又は赤外線ランプ等の他の手段により予め選択した温度、例えば約140度(華氏)に加熱することができる。バッグ膜132を真空化して予め選択された時間保持する。張力が制御された高温ドレープ成形工程では、加熱によりマトリックス樹脂の粘度が低下するために繊維が層の中で滑動することができる。これにより繊維が必要に応じて、束になったり、広がったり、またはそうでなければ繊維自体で再配置を行うことが可能になる。スタック50の張力を維持することにより、皺の形成が最小限に抑えられる。半径増圧器120は、外側翼弦38が形成される間、内側翼弦の半径122(図3の40a)を保持する。
【0047】
図20は、形成された内側翼弦40がツール表面106aに接して保持されている成形/硬化マンドレル106に位置づけされた、部分的に形成された層のスタック50を示す。層のスタック50の外側縁部50bはツール表面106bの上でカンチレバーの構造になっている。図21に示すように、膜132が成形/硬化マンドレル106の上に覆いかぶさると、膜132は、ブロック112によって部分的に制御される角度において外側縁部50bに圧力をかける。層のスタック50の縁部50bは次に、ツール表面106cに接して完全に成形され、外側翼弦38を形成するまで、矢印114の方向に下向きに曲がる。
【0048】
フレーム部36の内側及び外側翼弦38、40が形成されたら、その次にフレーム部36を硬化させる必要があり、これに関連して図22を注目する。形成されたフレーム部36と成形/硬化マンドレル106を高温ドレープ成形装置124から取り外す。半径141を圧縮しやすくするために、コールプレート139を外側翼弦38の上に配置することができる。同様に、増圧器142を半径122の圧縮を助けるために取り付けることができる。従来の真空バッグ138をフレーム部36の上に配置して、密封材140で硬化マンドレル136に密封することができる。ブリーザ(図示せず)とFEPの剥離層(図示せず)を成形/硬化マンドレル106及びバッグ138のあいだに配置することもできる。
【0049】
ここで、輪郭成形された複合構造物を製造する方法で使用される全体的なステップを示す図23に注目する。プリプレグ繊維トウ及び/又はテープを含む原材料をステップ144にて受け入れ、検査する。ステップ146においては、前述した成形マンドレル80、及び成形/硬化マンドレル106を洗浄し、準備する。次にステップ148において外側のグラスファイバー層を成形マンドレル80の上に配置することができる。
【0050】
ステップ150において、スタック50の様々な層の全てを一以上のAFP機械58を使用して配置する。平坦な層のスタック50が形成されたら、必要に応じてステップ152において小さなカットアウト53を次に層のスタック50に形成する。次に、ステップ154において層のスタック50を成形マンドレル80と積層シェルフ86上に配置する。次にステップ156において、積層シェルフ86を続く成形工程で使用する位置に移動する。ステップ158において、内側翼弦40を上述したドレープ成形技術を使用して形成する。
【0051】
ステップ160では、部分的に形成された層のスタック50を成形/硬化マンドレル106に配置する。ステップ162では、外側翼弦38を成形/硬化マンドレル106上で高温ドレープ成形する。次にステップ164において、形成されたフレーム部36を硬化ツール136に移し、内側グラスファイバー層をフレームの上に配置する。次にステップ166において、コールプレート139と増圧器142を取り付け、その後でオートクレーブ硬化の準備としてアセンブリを真空バッグ処理する。ステップ168において、フレーム部36をオートクレーブ(図示せず)において硬化させ、その次にステップ170において硬化された完成したフレーム部36をデバッグ及びデフラッシュ処理する。フレーム部36はステップ172において数値制御カッターを使用してトリミングすることができ、トリミングされたフレーム部36は次に従来の非破壊検査技術を使用してステップ174において検査することができる。
【0052】
開示の実施形態では、Z形状の断面を有する、輪郭成形された複合構造物を製作する方法の使用を示したが、一以上のレッグが例えばウェブ等の構造的機構から外向きに延びた、他の様々な輪郭成形された構造物が可能である。例えば、図24で示すように、開示の実施形態を用いて、例えば非限定的に、C形状176、J形状178、L形状180、I形状182、修正J形状184及びU形状186の一以上の形態等の他のレッグ構成又は断面形状を有する、輪郭成形された連続的な構造物を製作することができる。
【0053】
ここで、ほぼ一定幅の単向性プリプレグ繊維テープでできた、重なり合った層セグメント188を使用して輪郭成形された層201を配置する別の方法を示す図25及び26に注目する。一定幅の層セグメント188を、標準幅の又は非標準幅のテープのスプール(図示せず)から引き出したテープからカットすることができる。図25及び26に示す実施例では、層セグメント188の形状はほぼ長方形であるが、層セグメント188は、幅が実質的に同じであれば、他の形状を有してもよい。層セグメント188を基板(図示せず)上に配置し、配置される輪郭成形された層201の輪郭成形された中央線192に沿って配置する。層セグメント188はそれぞれ、内側及び外側翼弦38、40を越えて半径方向に延びて延長部200を形成し、この延長部は後にトリミングを行って、これにより層セグメント188によって形成された完全層201が構造物36の輪郭とほぼ一致するようにする(図2)。
【0054】
各層セグメント188は、動径座標「r」が極座標系190の極39から始まる配置工程中に位置合わせされる長手方向の中央線194を含む。各中央線194は、図25において「0°」と示される基準線に対して角度θを形成する。極座標系190は構造物36の一以上の輪郭線を画定するのに使用される(図2)。開示の実施形態によれば、一定幅のテープセグメント188を、重なり量が好ましくはほぼ一定に保たれるように、互いに重なり合った状態191に配置する。各層セグメント188が配置されるときに、事前に配置された隣接するセグメント188からわずかな角度193(図26)をなして配向される。層セグメント188を重なり合った状態191に配置することにより、隣接した層セグメント188a、188bが内側翼弦38近辺でパイ形状の重なり部分196と、外側翼弦40に隣接してパイ形状の間隙198を形成することになる。重なり部分196と間隙198は、テープセグメント188の幅を変えることによって、特定の応用形態の構造要件を満たすように調節することができる。上述した一定幅のテープの積層方法により、小規模の高度に輪郭成形された複合構造物においてさえも、比較的早い速度で非ゼロ層を積層することが可能になる。
【0055】
図26から良く分かるように、重なり部分196は層201の中央線192からおおむね延びており、層201においては、重なり部分196の幅204は中央線192から距離が離れるにつれて徐々に広くなる。同様に、隣接する層セグメント188a、188bの間の間隙198の幅202は、中央線192からの距離が広がるにつれて大きくなる。開示の実施形態によれば、重なり部分196と間隙198はいずれも実質的に最小限に抑えられる。図11に示す実施形態において使用される外周カットテープセグメント74とは対照的に、単純な、一定幅の端部カット層セグメント188を使用することで、重なり部分196と間隙198が最小限に抑えられる所定の方法で層セグメント188を配置する(後に説明する)自動化装置の使用が促進される。
【0056】
上述した一定幅の層セグメント188を重なり合わせて配置することにより、重なり部分196と間隙198によって画定されるほぼ均等に変位した切れ目を有する層201が出来上がる。
【0057】
テープセグメント188のために選択される幅は応用形態によって様々である。狭いテープセグメント188を用いて、重なり部分196及び/又は間隙198を減らすことができる。同様に広いテープ幅を採用して積層速度を速めることができる。45度層201の重なり部分196と間隙199は、層セグメント188を+/−60度の配向に変更することによって減らすことができる。
【0058】
図27を参照すると、各テープセグメント188の重なり合った端部200をステップ206で角度Фにおいてカットすることができ、これにより内側翼弦38と外側翼弦40の外形がそれぞれ実質的に一致するようになる。セグメント188のカットされた端部206はしたがって、構造物36(図2)の輪郭線にほぼ追随することができ、セグメント188がおおむね台形の形状を有するようになる。
【0059】
開示の実施形態によれば、各層セグメント188は、極配向における中央線194(図25及び26)を構造物36(図2)の輪郭線に対して位置合わせする、図28に示す自動テープ配置装置208を使用して、基板(図示せず)上に配置することができる。図28を参照すると、自動テープ配置装置208は、ツールであってよい、基板214の輪郭線に対して回転運動をするためのガントリー214上に取り付けられた回転可能なテープ配置ヘッド210、212を含む。各ヘッド210、212は、テープをある長さにカットし、テープのカットした長さを基板214上に配置するカット及び配置機構(図示せず)とともに、複合テープ(図示せず)の供給を含む。テープヘッド210、212及び/又は基板214は、テープヘッド210、212が基板214全体を横切って、通常CNCコントローラ(図示せず)の制御下において複合テープを自動的に配置するように、互いに相対的に移動する。好適な自動テープ配置機械208のさらなる詳細は、参照することによって本明細書に全体の内容が組み込まれる、2006年11月21日発行の米国特許第7137182号明細書に開示されている。
【0060】
ここで、一以上のレッグを有する輪郭成形された複合構造物を製作する方法の全体ステップを示す図29に注目する。層21は、ステップ218において開始する一連のステップ216において配置され、層セグメント188は一定幅の単向性繊維プリプレグテープを所望の長さにカットすることによって製造される。次にステップ220において、層セグメント188は、複合構造物の輪郭線を追随する隣り合わせの重なり合った状態で基板上に配置される。配置工程中、層セグメント188の長手方向の中央線194は、構造物の輪郭線に対して極配向に位置合わせされる。ステップ222では、隣接する層セグメント188a、188b間の重なり部分196及び間隙198が制御される。通常、この制御は、図28に示す種類の、自動テープ配置装置を使用している時は自動的に実行される。
【0061】
ステップ224では、各完全層201、又は層201のスタックを次に、必要に応じて最終的な形状にトリミングすることができる。ステップ226では、完成した層のスタック50(図8)を、一以上のレッグを形成することを含むことができる、本明細書に予め説明した技術を使用してある形状に成形することができる。最後にステップ228において、成形された層のスタック50を圧縮し硬化させることができる。
【0062】
本発明の実施形態は、様々な可能性のある用途、特に例えば航空宇宙、海洋、及び自動車用途を含む運送業において使用することができる。したがって、ここで図30及び31を参照すると、本発明の実施形態は図30に示すような航空機の製造及び就航方法230及び図31に示すような航空機232において、使用可能である。開示の実施形態の航空機への用途は例えば非限定的に、スティフナー、ビーム、及びストリンガー等の複合補強部材が挙げられるが、これはほんの一部にすぎない。試作段階においては、例示の方法230は、開示の輪郭成形された構造物が航空機232への使用に特定される、航空機232の仕様及び設計234と、材料調達236を含むことができる。製造段階においては、開示の方法を用いて様々な部品及びサブアセンブリが製作される、航空機232の部品及びサブアセンブリの製造238と、システム統合240がおこなわれる。そのあとに、航空機232は、認可及び納品242を経て就航244される。顧客によって就航されている間、航空機232には開示の輪郭成形された構造物の使用を含むことができる、所定の整備及び保守246(変更、再構成、改装も含むことができる)が予定される。
【0063】
本方法230の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客等)によって行う又は実施することができる。この説明のために、システムインテグレータは限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請け業者を含むことができ;第三者は限定しないが、任意の数の供給メーカー、下請け業者、及びサプライヤを含むことができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0064】
図31に示すように、例示の方法230で製造された航空機232は、複数のシステム250と内装252を有する機体248を備えることができる。高レベルシステム250の例は、一又は複数の推進システム254、電気システム256、油圧システム258、及び環境システム260が挙げられる。任意の数の他のシステムを含むことができる。航空宇宙での実施例を示したが、本発明の原理は例えば海洋及び自動車産業等の他の産業分野に応用することが可能である。
【0065】
本明細書に具現化されたシステム及び方法は、製造及び就航方法230の任意の一又は複数の段階において採用することができる。例えば、製造プロセス208に対応する部品又はサブアセンブリは、航空機232が就航している間に製造される部品又はサブアセンブリと同じ方法で加工又は製造することができる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば、航空機232を実質的に組立てしやすくする、又は航空機232にかかる費用を削減することによって、製造段階238及び240において用いることが可能である。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機232が就航している間に、例えば限定しないが、整備及び保守246に用いることができる。
【0066】
本発明の実施形態を特定の実例となる実施形態に関連させて説明してきたが、当然ながら特定の実施形態は説明のためであり、限定するものではなく、当業者が他の変形例を発想することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、複合構造物を製作する技術に関し、さらに具体的には、単向性の予め含浸させた複合テープと自動テープ配置装置を使用して、高度に輪郭成形された非デカルト座標複合構造物を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高い強度を持ち、軽量である、高度に輪郭成形されたマルチレッグ構造物は、例えば航空宇宙機等の様々な用途に使用することができる。例えば、航空宇宙フレーム、スパー、リブ、ストリンガー、及び同様の構造物は多数のレッグを有し、このレッグは構造物の長さに沿って輪郭成形されている。複合材料から上記の高度に輪郭成形された構造物を製作することは難しく、したがって、大きな労働力を要するばかりか高生産量の用途に好適でない可能性がある、ハンドレイアップ技術に主に制限される。自動繊維配置(AFP)機械を使用して、ある形の複合構造物を製造することが可能であるが、これらの機械は半径の狭い高度に輪郭成形されたマルチレッグ構造物を製造するのに効率的でない可能性がある。その理由は一つには、これらの構造物の構造的特徴がより複雑なため、機械が比較的頻繁に開始及び停止するだけでなく、方向を変える必要があり得るためである。さらに、特定の構造物の形状、例えばZ又はJ断面を含む構造物の形状は、これらの構造物の内側の隅に材料を積むことができない可能性があるため、AFP機械を使用して製作することができない。
【0003】
したがって、大量生産環境における高性能仕様に則したマルチレッグ機能を含む、輪郭成形された、特に高度に輪郭成形された連続的な複合構造物を製作する方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、例えばプリプレグ繊維テープ等の単向性の複合材料を使用して高度に輪郭成形された連続的な複合構造物を製作する方法を提供する。本方法により、ゆがみが少なく、樹脂/繊維含有量が一貫しており、表面の滑らかな、ほぼ無制限に配向した層が提供され得る。結果的に得られる複合構造物は軽量であり、正確な機能配置により航空機の組立工程における取付けが非常にしやすくなる。本発明の方法を用いて、航空機及び他のビークルのシャータイ、ストリンガー、フレーム、スパー及びリブを非限定的に含む多様な構造物を製作することができる。
【0005】
例えばフレーム、スパー、リブ及びストリンガー等の高度に輪郭成形されたマルチレッグ複合構造物の製作中に繊維の極性配向を維持するような方法で一定幅のテープセグメントを配置し、位置合わせした連続的な輪郭成形された複合構造物を製作することができる。本方法は、自動繊維テープ配置装置を使用して機械のヘッドの動きを最小限に抑えながら、テープセグメントを素早く位置合わせし配置することによって実行することができる。単向性のプリプレグテープを使用し、繊維を歪みなく非常に正確に配置することによって、他の方法を使用して製作された構造物と比較して重量の軽い構造物を得ることができる。
【0006】
ある開示の実施形態によれば、輪郭成形された複合構造物を製作する方法が提供されている。本方法は、複合チャージを積層することを含み、複合チャージには単向性の繊維の少なくとも一つの層、実質的に一定の幅を有するプリプレグ層セグメントが含まれる。層セグメントは隣り合わせに重なった状態で配置され、層セグメントの長手方向の中央線は、構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせされる。複合チャージは構造物の形状に実質的に成形され、成形チャージはその後硬化される。層セグメントは、層セグメント間の重なり量が実質的に一定に保たれるように配置される。層セグメントは複合テープの長さをカットすることによって形成することができる。
【0007】
別の開示の実施形態によれば、自動制御されたテープ配置ヘッドを使用して複合チャージを製造することを含む、輪郭成形された複合構造物を製作する方法が提供される。ヘッドを使用して基板上に複数の実質的に一定幅のプリプレグテープセグメントをそれぞれ隣り合わせに重なった状態で配置する。またヘッドを使用して、テープセグメントを構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせも行う。チャージを実質的に構造物の形状に成形した後で硬化させる。層セグメントは、ヘッドを基板を横切るように動かすことによって配置し、複合テープの長さをカットしてセグメントを作製し、その後ヘッドで基板上に配置する。
【0008】
さらなる実施形態によれば、輪郭成形された複合フレーム部分を形成する方法が提供されている。本方法は、繊維強化されたプリプレグ層の平坦なスタックを形成することを含み、これには実質的に一定幅の複合繊維テープセグメントを個々に隣り合わせに重なった状態で、構造物の輪郭線に対して極性配向に配置することが含まれる。本方法は、フレーム部分の第1及び第2レッグを形成し、形成されたスタックを圧縮して硬化させることを含むことができる。
【0009】
開示の実施形態により、高度に輪郭成形された複合構造物、特に複数のレッグを有し、大量生産環境において自動テープ配置機械との使用に好適な複合構造物を製作する方法の必要が満たされる。
【0010】
10.輪郭成形された複合構造物を製作する方法であって:
自動制御されたテープ配置ヘッドを使用して複合チャージを製造し、これには、ヘッドを使用して複数の実質的に一定幅のプリプレグテープセグメントをそれぞれ、隣り合わせに重なりあった状態で基板上に配置して、テープセグメントを構造物の輪郭線に対して極性配向に位置合わせすることが含まれ;
チャージを実質的に構造物の形状に成形し;
成形されたチャージを硬化させる
ことを含む方法。
【0011】
11.ヘッドを使用して層セグメントを配置することが、ヘッドを基板を横切るように動かして、複合テープの長さをカットしてセグメントを作製することを含む、請求項10に記載の方法。
【0012】
12.テープの長さをカットすることが、構造物の輪郭線におおむね一致する角度においてテープの長さをカットすることを含む、請求項11に記載の方法。
【0013】
13.ヘッドを使用してテープセグメントを位置合わせすることが、テープセグメントの長手方向の中央線を極座標系の動径座標に沿って位置合わせすることを含む、請求項10に記載の方法。
【0014】
14.ヘッドを使用してテープセグメントを配置することが、ヘッドを使用して、テープセグメントが配置されている時にテープセグメント間の重なり量を実質的に一定に保つことを含む、請求項10に記載の方法。
【0015】
15.テープセグメントの極性配向に起因して、隣接したテープセグメント間に間隙ができ、ヘッドを使用してテープセグメントを配置することが、実質的に間隙を最小限に抑えることを含む、請求項10に記載の方法。
【0016】
16.テープセグメントの縁部をトリミングして、構造物の輪郭線におおむね一致させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0017】
17.請求項10の方法によって製作された輪郭成形された複合構造物。
【0018】
18.輪郭成形された複合フレーム部分を成形する方法であって:
繊維強化されたプリプレグ層の平坦なスタックを形成し、これには実質的に一定幅の複合繊維テープセグメントを個々に、隣り合わせに重なった状態に、構造物の輪郭線に対して極性配向に配置することが含まれ;
フレーム部分の第1レッグを形成し;
形成されたスタックを圧縮し硬化させる
ことを含む方法。
【0019】
19.フレーム部の第1レッグを形成することが、スタックの第1縁部に沿ってスタックを曲げることによって行われる、請求項18に記載の方法。
【0020】
20.スタックの第2縁部に沿ってスタックを曲げることによりフレーム部の第2レッグを形成することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【0021】
21.テープセグメントを個々に配置することが、構造物の輪郭線とおおむね一致するテープセグメントの端部をトリミングすることを含む、請求項18に記載の方法。
【0022】
22.繊維セグメントを個々に配置することが、自動制御テープ配置ヘッドを使用することによって行われ、
ヘッドを使用してテープセグメントを個々に配置することが、極座標系の動径座標に沿ってテープセグメントの長手方向の中央線を位置合わせすることを含む、
請求項18に記載の方法。
【0023】
23.テープを使用してテープセグメントを個々に配置することが、テープセグメントが配置されている時にテープセグメント間の重なり量をほぼ一定に維持することを含む、請求項18に記載の方法。
【0024】
24.請求項10に記載の方法によって形成されたビークルの複合フレーム部。
【0025】
25.航空機のマルチレッグ曲線複合フレーム部を製作する方法であって:
自動繊維テープ配置機械を使用して、複合層の平坦なスタックを形成し、これには、一定幅の単向性繊維プリプレグテープのセグメントを、スタックの長さに沿って隣り合わせに重なった状態に自動的に配置することによって少なくとも特定の層を形成することが含まれ、ここではテープセグメントの長手方向の中央線がフレーム部の湾曲を画定する極座標系の動径座標におおむね位置合わせされ、また、プリプレグ単向性テープをスタックの長さに沿って自動的に配置することによって他の層を形成する
ことによってフレーム部を形成し、
平坦なスタックの第1縁部に沿って平坦なスタックに間隔を置いたカットアウトを形成し、
ドレープ成形を使用してツール上で平坦なスタックの第2縁部を曲げて、フレーム部の第1レッグを形成し、
高温ドレープ成形を使用してツール上で平坦なスタックの第1縁部を曲げて、フレーム部の第2レッグを形成し、
ツール上にフレーム部を配置し、
フレーム部とツールを真空バッグ処理し、
フレーム部を圧縮して硬化させる
ことを含む方法。
【0026】
開示の実施形態の他の機構、利点及び長所は、添付の図面及び添付の請求項に従って下記の実施形態の説明を読むときに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は航空機の機体のバレル部分の斜視図である。
【図2】図2は図1に示す機体で使用する高度に輪郭成形された複合フレーム部の斜視図である。
【図3】図3は図1の線3−3に沿って切り取った断面図である。
【図4】図4は図2に示すフレーム部の層の作成を示す断面図である。
【図5】図5は図2に示すフレーム部の製作に使用する平坦な層のスタックの斜視図である。
【図6】図6は層のスタックを配置するのに使用するAFPロボット機械の斜視図である。
【図7】図7は図6に示すロボット上のエンドディフェクタとして使用するAFP機械の斜視図である。
【図8】図8は図2のフレーム部の層の配向を画定するのに使用する、極座標系及びデカルト座標系を示す図である。
【図9】図9は0度に配向する繊維を含有する層の平面図である。
【図10】図10は45度及び90度に配向する繊維をそれぞれ含有する層を示す図であり、トウ及びテープウェッジの使用を示している。
【図11】図11は層の平坦なスタックの斜視図である。
【図12】図12は図11と同様の斜視図であるが、層のスタックの一つの縁部に沿って形成されているカットアウトを示す図である。
【図13】図13はフレーム部の内側翼弦をドレープ成形するのに使用するドレープ成形装置を示す断面図である。
【図14】図14は図13のドレープ成形装置の一部を含む成形マンドレルに位置づけされた平坦な層のスタックの斜視図である。
【図15】図15は図14と同様の図であるが、成形マンドレル周囲に完全に形成された内側翼弦を示す。
【図16】図16は柔軟膜が開放位置に開かれているドレープ成形装置の斜視図である。
【図17】図17は図16と同様の図であるが、閉じられてツールアセンブリ周囲に覆いかぶさっている柔軟膜を示す。
【図18】図18はフレーム部の外側翼弦をドレープ成形するための高温ドレープ成形装置の断面図である。
【図19】図19は図18に示す高温ドレープ成形装置の斜視図である。
【図20】図20は図18のドレープ成形ツールアセンブリの一部を含む成形/硬化マンドレルの斜視図であり、その上に位置づけされた部分的に形成されたフレーム部を図示している。
【図21】図21は図20と同様の図であるが、成形/硬化マンドレルの上に完全に形成された外側翼弦を示す。
【図22】図22はフレーム部を硬化させるのに使用する成形/硬化マンドレルバッグアセンブリの断面図である。
【図23】図23は連続的な、輪郭成形された複合構造物を製作する方法を示すフロー図である。
【図24】図24は開示の実施形態に従って形成することができる連続的な複合構造物の断面形状の図である。
【図25】図25は極座標系でのテープセグメントの位置合わせと関連させて、基板上に配置されているテープセグメントの平面図である。
【図26】図26は図25の「A」で指定された領域の拡大図である。
【図27】図27は端部カットの代替形態を示す単一のテープセグメントの平面図である。
【図28】図28は自動テープ配置機械の斜視図である。
【図29】図29は一定幅のテープセグメントを使用して輪郭成形された複合構造物を製作する方法のフロー図である。
【図30】図30は航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【図31】図31は航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず図1〜3を参照すると、バレル形状の機体部分30は、フレーム構造物32の上に形成され、フレーム構造物32に固定された外板34を含む。フレーム構造物32は、複数の、長手方向に間隔を置いて配置されたバレルフレーム32a及びバレルフレーム32aを貫通する長手方向に延びたストリンガー32bを含む。各バレルフレーム32aは、例えば非限定的に、接合板(図示せず)及び留め具(図示せず)等の好適な任意の手段を使用して互いに接合された多数のフレーム部36を含むことができる。ある応用形態ではしかしながら、半フレーム及び全フレーム部(図示せず)が可能であり得る。
【0029】
図3で良くわかるように、フレーム部36はおおむねZ形状の断面を有することができ、おおまかなウェブ42によって内側翼弦40に接続される外側翼弦38を含む。外側翼弦38及び内側翼弦40は、断面(図3)で見た場合、ウェブ42に対して横方向に延びる「レッグ」を効果的に形成する。したがって本明細書で使用されるように、「レッグ」又は「複数のレッグ」という用語は、例えば非限定的にウェブ等の輪郭成形された構造物の他の機構に対して横方向に延びるキャップ又はフランジ等の一以上の構造的特徴を指すものである。図示した実施形態では、ウェブ42は任意の強化パッド44を含むことができる。外側翼弦38は外板34を接合する及び/又は固定することができるシャータイを形成する。外側翼弦38とウェブ42の一縁部は、複数の間隔を置いて配置された、小さい形状のカットアウト53を含むことができ、このカットアウトの中をストリンガー32bが延在する。後に説明するように、フレーム部36は繊維強化合成樹脂、例えばカーボンファイバーエポキシ樹脂の積層された層から形成される。図4に示すように、フレーム部36は完全層46と部分層48を含む層の積み重ねを含むことができ、完全層46と部分層48は最大限の構造性能を提供する一方で、後に説明する、効率的で且つ繰り返し可能な製作方法の使用を促進するように、配置され配向されている。
【0030】
ここで図5〜7を参照すると、AFP機械58をロボット60のエンドエフェクタとして使用して、繊維プリプレグテープの繊維トウ又はストリップを配置して平坦な層のスタック50を形成することができる。AFP機械58は、トウカッター68によって切断される前に、リボナイザー66を通過して入ってくるプリプレグトウ62を受け入れるクシ状部64を含むことができる。カットされたトウ72は、従属ローラ70の下を通過し、従属ローラ70によってトウ62が基板(図示せず)、又は下部層(図示せず)上に適用され圧縮される。図5で良く分かるように、AFP機械58を使用して、繊維トウ62又はテープを配置することができ、繊維トウ62又はテープにおいて繊維はデカルト座標系47の予め選択した角度に配向されている。図示した実施例では、層のスタック50は0度に配向した繊維トウ52、+45度に配向した繊維トウ56及び−45度に配向した繊維トウ54を含む。図に示していないが、層スタック50には90度に配向した繊維トウが組み込まれている。
【0031】
図8は、単向性の繊維トウ又はテープが層のスタック50に配置されるデカルト座標系47の配向と、フレーム部36の輪郭線を画定する極座標系との関係をより良く示す。番号37で指定されるフレーム部36の輪郭線は、極39から始まり、0度で表される基準座標に対して極角度θを形成する動径座標「r」によって画定することができる。したがって、フレーム部36によってそれぞれ輪郭成形された特徴は、角度θでの値「r」(動径座標)によって画定することができる。ここで注記したいのは、図示したフレーム部36は一定半径(曲率)を有し、ウェブ42は一定のゲージ(厚さ)を有し、フレーム部36の曲率、ウェブ42のゲージ、内側翼弦40のゲージ及び外側翼源38のゲージはそれぞれ、フレーム部36の長さに沿って可変であり得る。
【0032】
図示した実施例では、層のスタック50は多数の層52でできており、多数の層52では、単向性プリプレグ繊維は、動径座標「r」に接して位置あわせされたデカルト座標系47内に配向されている。後にさらに詳しく説明するが、図示した実施例では、0度、−45度、+45度、及び+90度の繊維配向が用いられているが、特定の応用形態、及びフレーム部36の形状等を含む様々な要因によって他の配向角度も可能である。
【0033】
ここで、平坦な層のスタック50の幾つかの層の繊維配向を示す図9〜12に注目する。図9は、トウ又はテープストリップがAFP機械58によって0度配向に配置され、フレーム部36の全長に渡って延びた層52を示す。本明細書で使用されるように、「テープ」は予め含浸させた単向性繊維を指し、「トウ」は長さに沿って切り込みが入れられた幅の狭い帯状のテープを含み、例えば非限定的に、幅は0.125、0.25又は0.5インチであってよい。「コース」は、AFP機械58によって帯状に適用されたトウをさす。「ドロップ」は、AFP機械58が一又は複数のトウを中断することを指し、隣接したトウ又はテープとの間隔を含むことができる。カット/追加収束ゾーンは、同じ層内の異なる配向のコースにおいて、一つのコースが終わることを意味し、これにより間隙及び重なり合った領域ができる。
【0034】
0度層52は、AFP機械58を使用して、切り込みテープの配置を「誘導」することによって形成することができ、ここでは一致性とドロップオフにより層52の幅が決まる。完全な層52が図9に示されているが、部分層又はドロップオフのある層もまた可能である。後に外側翼弦、内側翼弦及びウェブとなる層52の部分はそれぞれ、番号38、40及び42で指定される。ここで注記すべきことは、ある応用形態では、外側翼弦40を形成する層は、AFP機械58を使用して配置するのではなく、幅が予めカットされており且つ後に説明するツール上に配置された個別の帯状のトウ又はテープ層を使用して形成することができる。
【0035】
0度以外の角度に配向したトウ又はテープを含む層は、それぞれテーパウェッジ形状を有するトウ/テープの隣り合ったグループ又はセグメント55、74で形成されている。セグメント55、74は側面を決める上向き角度とドロップ許容量を有するテープを使用して形成することができる。例えば、図10は、各セグメント55の繊維配向がおおむね+45度であるセグメント55によって形成された層54を示す。
【0036】
図11は、隣り合わせに配置されたセグメント74によって形成された層76を示し、ここでは各セグメント74の繊維はおおむね90度に配向し、フレーム部36の輪郭線37(図8)を画定する動径座標「r」の角度にほぼ位置合わせされている。トウ72が配置されてセグメント74を形成するところでは、個々のトウは層76の湾曲方向に角度をなしている。角度をなしたトウ72は独立して互いに隣り合わせに配置されている。あるいは、セグメントは、AFP機械58又は類似の装置によって互いに隣り合わせの状態に配置された繊維テープのテーパウェッジ75によって形成することができる。
【0037】
ここで図12を参照する。平坦な層のスタック50が完全に配置された後で、層のスタック50の一縁部51に沿って小さなカットアウト53を開けることができる。カットアウト53は、例えば非限定的にNC制御超音波カッター(図示せず)を使用して等、任意の様々な技術を使用して開けることができる。
【0038】
図示した実施例では、カットアウト53によりストリンガー32bが通って延びる開口部が得られる(図1)。しかしながら他の応用形態では、重量を減らし、及び/又は続く製作工程において層に皺ができる可能性を低減するために同様のカットアウト53を設けることが望ましくあり得る。
【0039】
ここで、ドレープ成形工程を利用して内側翼弦40を形成する様子を示す図13〜17に注目する。層のスタック50は成形マンドレル80の上部の平坦な表面80aに配置される。成形マンドレル80は、図示した実施例では、上部の平坦な表面80aに対してほぼ90度の角度を形成する湾曲した、又は輪郭成形された表面80bを含む。外側翼弦40を形成するのに使用可能な全ての0度層が輪郭成形された表面80bの上に直接配置される。層のスタック50の外側縁部50aは、湾曲した縁部80bを通過して延び、層が配置される間、続いて図13に示す位置に移動する積層シェルフ86によって支持されることが可能である。成形マンドレル80は真空バッグツール84上に支持され、グラスファイバーブリーザ82によって分離される。真空バッグ88は層のスタック50と成形マンドレル80の上に配置される。ブリーザ90及びFEPの層92(フッ素化エチレンプロピレン)をバッグ88と層のスタック50の間に配置することができる。バッグ88はまた、内側表面上にチャネル(図示せず)を有することができ、この場合ブリーザ90は必要ない。
【0040】
層のスタック50の縁部50aがツールの縁部80bに覆いかぶさった状態で、バッグ88を真空化して層のスタック50に圧力をかけて、縁部50aが成形マンドレル80の前面80bに接触してほぼ平坦になり、成形マンドレル80の前面80bの輪郭線とほぼ同じになるまで、縁部50aを図13の矢印94の方向に下向きに曲げる。層のスタックの縁部50aはこのように、前部のツール面80bの半径Rとほぼ同一の半径を有する内側翼弦40に成形される。
【0041】
上述した成形工程は、図16及び17に示すドレープ成形装置96において実施することができる。バッグ88は、例えば非限定的にシリコーンでできた気体不透過性膜を含むことができ、この気体不透過性膜は、レッグ100に支持された真空テーブル98に回転可能に取り付けられたフレーム102に装着されている。真空テーブル98は、空気がテーブル98を通って流れ込むことを可能にするポート又は貫通部(図示せず)を含む。成形マンドレル80は層のスタック50及び積層シェルフ86とともに、真空テーブル98に配置することができ、フレーム102はこの時真空テーブル98に接触して閉じている。
【0042】
図17に示すように、真空システム(図示せず)を使用して、フレーム102及びテーブル98によって形成された密閉空間の空気を排出させることができる。この空間の排出により、膜88が成形マンドレル80の上に引き下ろされ、これにより成形マンドレル80の前面80bの上で縁部50aが形成される。成形工程中は積層シェルフ86が膜88を部分的に支持し、これにより膜88の縁50aにかかる力を制御し、方向づけする。
【0043】
内側翼弦40が完成したら、製作方法の次のステップは、外側翼弦38が形成される図18〜21に示される。外側翼弦38は、張力、高温ドレープ成形によって、例えば非限定的に図19に示すドレープ成形装置124を使用して製作することができる。ドレープ成形装置124は、レッグ134によって支持される下部フレーム128に保持される加熱された真空テーブル130を含む。上部の回転可能なフレーム126は、例えばシリコーンを含むことができる気体不透過性膜132を含む。成形/硬化マンドレル106の形態のツール及び輪郭成形されたブロック112は、真空テーブル130に支持されており、フレーム126が閉じて下部フレーム128に接して密閉されている時に、膜132によってカバーされている。
【0044】
図18で良く分かるように、成形/硬化マンドレル106は層のスタック50を支持する平坦な上部ツール面106aを含む。成形/硬化マンドレル106の第2の平坦面106bはツール面106aから上向きに延びており、内側翼弦40と係合する。成形/硬化マンドレル106はさらに、ツール面106aから下向きに延びており且つ外側翼弦38を形成するのに使用する第3面106cを含む。
【0045】
成形/硬化マンドレル106は、真空テーブル130上に支持される。グラスファイバー又は他の好適な材料からできた任意のブリーザ110を真空テーブル130と成形/硬化マンドレル106の間に配置することができる。輪郭成形された増圧器120を、半径122が内側翼弦40に隣接して完全に維持されるように、層のスタック50上に配置することができる。非限定的に、テフロン(登録商標)等の材料でできた層116及びブリーザ118を、増圧器及び層のスタック50の間に配置することができる。FEPの追加層123を、成形/硬化マンドレルの縁部と層のスタック50の間に配置することができる。FEP層123はブロック112に覆いかぶさり、この組み合わせは、ドレープ成形工程中に、バッグ膜132が層のスタック50の外側の縁部50bに圧力を印加する角度を制御する働きをする。
【0046】
外側翼弦38は、成形/硬化マンドレル106の上に高温ドレープ成形することができ、その後にオーブン内部で、又は赤外線ランプ等の他の手段により予め選択した温度、例えば約140度(華氏)に加熱することができる。バッグ膜132を真空化して予め選択された時間保持する。張力が制御された高温ドレープ成形工程では、加熱によりマトリックス樹脂の粘度が低下するために繊維が層の中で滑動することができる。これにより繊維が必要に応じて、束になったり、広がったり、またはそうでなければ繊維自体で再配置を行うことが可能になる。スタック50の張力を維持することにより、皺の形成が最小限に抑えられる。半径増圧器120は、外側翼弦38が形成される間、内側翼弦の半径122(図3の40a)を保持する。
【0047】
図20は、形成された内側翼弦40がツール表面106aに接して保持されている成形/硬化マンドレル106に位置づけされた、部分的に形成された層のスタック50を示す。層のスタック50の外側縁部50bはツール表面106bの上でカンチレバーの構造になっている。図21に示すように、膜132が成形/硬化マンドレル106の上に覆いかぶさると、膜132は、ブロック112によって部分的に制御される角度において外側縁部50bに圧力をかける。層のスタック50の縁部50bは次に、ツール表面106cに接して完全に成形され、外側翼弦38を形成するまで、矢印114の方向に下向きに曲がる。
【0048】
フレーム部36の内側及び外側翼弦38、40が形成されたら、その次にフレーム部36を硬化させる必要があり、これに関連して図22を注目する。形成されたフレーム部36と成形/硬化マンドレル106を高温ドレープ成形装置124から取り外す。半径141を圧縮しやすくするために、コールプレート139を外側翼弦38の上に配置することができる。同様に、増圧器142を半径122の圧縮を助けるために取り付けることができる。従来の真空バッグ138をフレーム部36の上に配置して、密封材140で硬化マンドレル136に密封することができる。ブリーザ(図示せず)とFEPの剥離層(図示せず)を成形/硬化マンドレル106及びバッグ138のあいだに配置することもできる。
【0049】
ここで、輪郭成形された複合構造物を製造する方法で使用される全体的なステップを示す図23に注目する。プリプレグ繊維トウ及び/又はテープを含む原材料をステップ144にて受け入れ、検査する。ステップ146においては、前述した成形マンドレル80、及び成形/硬化マンドレル106を洗浄し、準備する。次にステップ148において外側のグラスファイバー層を成形マンドレル80の上に配置することができる。
【0050】
ステップ150において、スタック50の様々な層の全てを一以上のAFP機械58を使用して配置する。平坦な層のスタック50が形成されたら、必要に応じてステップ152において小さなカットアウト53を次に層のスタック50に形成する。次に、ステップ154において層のスタック50を成形マンドレル80と積層シェルフ86上に配置する。次にステップ156において、積層シェルフ86を続く成形工程で使用する位置に移動する。ステップ158において、内側翼弦40を上述したドレープ成形技術を使用して形成する。
【0051】
ステップ160では、部分的に形成された層のスタック50を成形/硬化マンドレル106に配置する。ステップ162では、外側翼弦38を成形/硬化マンドレル106上で高温ドレープ成形する。次にステップ164において、形成されたフレーム部36を硬化ツール136に移し、内側グラスファイバー層をフレームの上に配置する。次にステップ166において、コールプレート139と増圧器142を取り付け、その後でオートクレーブ硬化の準備としてアセンブリを真空バッグ処理する。ステップ168において、フレーム部36をオートクレーブ(図示せず)において硬化させ、その次にステップ170において硬化された完成したフレーム部36をデバッグ及びデフラッシュ処理する。フレーム部36はステップ172において数値制御カッターを使用してトリミングすることができ、トリミングされたフレーム部36は次に従来の非破壊検査技術を使用してステップ174において検査することができる。
【0052】
開示の実施形態では、Z形状の断面を有する、輪郭成形された複合構造物を製作する方法の使用を示したが、一以上のレッグが例えばウェブ等の構造的機構から外向きに延びた、他の様々な輪郭成形された構造物が可能である。例えば、図24で示すように、開示の実施形態を用いて、例えば非限定的に、C形状176、J形状178、L形状180、I形状182、修正J形状184及びU形状186の一以上の形態等の他のレッグ構成又は断面形状を有する、輪郭成形された連続的な構造物を製作することができる。
【0053】
ここで、ほぼ一定幅の単向性プリプレグ繊維テープでできた、重なり合った層セグメント188を使用して輪郭成形された層201を配置する別の方法を示す図25及び26に注目する。一定幅の層セグメント188を、標準幅の又は非標準幅のテープのスプール(図示せず)から引き出したテープからカットすることができる。図25及び26に示す実施例では、層セグメント188の形状はほぼ長方形であるが、層セグメント188は、幅が実質的に同じであれば、他の形状を有してもよい。層セグメント188を基板(図示せず)上に配置し、配置される輪郭成形された層201の輪郭成形された中央線192に沿って配置する。層セグメント188はそれぞれ、内側及び外側翼弦38、40を越えて半径方向に延びて延長部200を形成し、この延長部は後にトリミングを行って、これにより層セグメント188によって形成された完全層201が構造物36の輪郭とほぼ一致するようにする(図2)。
【0054】
各層セグメント188は、動径座標「r」が極座標系190の極39から始まる配置工程中に位置合わせされる長手方向の中央線194を含む。各中央線194は、図25において「0°」と示される基準線に対して角度θを形成する。極座標系190は構造物36の一以上の輪郭線を画定するのに使用される(図2)。開示の実施形態によれば、一定幅のテープセグメント188を、重なり量が好ましくはほぼ一定に保たれるように、互いに重なり合った状態191に配置する。各層セグメント188が配置されるときに、事前に配置された隣接するセグメント188からわずかな角度193(図26)をなして配向される。層セグメント188を重なり合った状態191に配置することにより、隣接した層セグメント188a、188bが内側翼弦38近辺でパイ形状の重なり部分196と、外側翼弦40に隣接してパイ形状の間隙198を形成することになる。重なり部分196と間隙198は、テープセグメント188の幅を変えることによって、特定の応用形態の構造要件を満たすように調節することができる。上述した一定幅のテープの積層方法により、小規模の高度に輪郭成形された複合構造物においてさえも、比較的早い速度で非ゼロ層を積層することが可能になる。
【0055】
図26から良く分かるように、重なり部分196は層201の中央線192からおおむね延びており、層201においては、重なり部分196の幅204は中央線192から距離が離れるにつれて徐々に広くなる。同様に、隣接する層セグメント188a、188bの間の間隙198の幅202は、中央線192からの距離が広がるにつれて大きくなる。開示の実施形態によれば、重なり部分196と間隙198はいずれも実質的に最小限に抑えられる。図11に示す実施形態において使用される外周カットテープセグメント74とは対照的に、単純な、一定幅の端部カット層セグメント188を使用することで、重なり部分196と間隙198が最小限に抑えられる所定の方法で層セグメント188を配置する(後に説明する)自動化装置の使用が促進される。
【0056】
上述した一定幅の層セグメント188を重なり合わせて配置することにより、重なり部分196と間隙198によって画定されるほぼ均等に変位した切れ目を有する層201が出来上がる。
【0057】
テープセグメント188のために選択される幅は応用形態によって様々である。狭いテープセグメント188を用いて、重なり部分196及び/又は間隙198を減らすことができる。同様に広いテープ幅を採用して積層速度を速めることができる。45度層201の重なり部分196と間隙199は、層セグメント188を+/−60度の配向に変更することによって減らすことができる。
【0058】
図27を参照すると、各テープセグメント188の重なり合った端部200をステップ206で角度Фにおいてカットすることができ、これにより内側翼弦38と外側翼弦40の外形がそれぞれ実質的に一致するようになる。セグメント188のカットされた端部206はしたがって、構造物36(図2)の輪郭線にほぼ追随することができ、セグメント188がおおむね台形の形状を有するようになる。
【0059】
開示の実施形態によれば、各層セグメント188は、極配向における中央線194(図25及び26)を構造物36(図2)の輪郭線に対して位置合わせする、図28に示す自動テープ配置装置208を使用して、基板(図示せず)上に配置することができる。図28を参照すると、自動テープ配置装置208は、ツールであってよい、基板214の輪郭線に対して回転運動をするためのガントリー214上に取り付けられた回転可能なテープ配置ヘッド210、212を含む。各ヘッド210、212は、テープをある長さにカットし、テープのカットした長さを基板214上に配置するカット及び配置機構(図示せず)とともに、複合テープ(図示せず)の供給を含む。テープヘッド210、212及び/又は基板214は、テープヘッド210、212が基板214全体を横切って、通常CNCコントローラ(図示せず)の制御下において複合テープを自動的に配置するように、互いに相対的に移動する。好適な自動テープ配置機械208のさらなる詳細は、参照することによって本明細書に全体の内容が組み込まれる、2006年11月21日発行の米国特許第7137182号明細書に開示されている。
【0060】
ここで、一以上のレッグを有する輪郭成形された複合構造物を製作する方法の全体ステップを示す図29に注目する。層21は、ステップ218において開始する一連のステップ216において配置され、層セグメント188は一定幅の単向性繊維プリプレグテープを所望の長さにカットすることによって製造される。次にステップ220において、層セグメント188は、複合構造物の輪郭線を追随する隣り合わせの重なり合った状態で基板上に配置される。配置工程中、層セグメント188の長手方向の中央線194は、構造物の輪郭線に対して極配向に位置合わせされる。ステップ222では、隣接する層セグメント188a、188b間の重なり部分196及び間隙198が制御される。通常、この制御は、図28に示す種類の、自動テープ配置装置を使用している時は自動的に実行される。
【0061】
ステップ224では、各完全層201、又は層201のスタックを次に、必要に応じて最終的な形状にトリミングすることができる。ステップ226では、完成した層のスタック50(図8)を、一以上のレッグを形成することを含むことができる、本明細書に予め説明した技術を使用してある形状に成形することができる。最後にステップ228において、成形された層のスタック50を圧縮し硬化させることができる。
【0062】
本発明の実施形態は、様々な可能性のある用途、特に例えば航空宇宙、海洋、及び自動車用途を含む運送業において使用することができる。したがって、ここで図30及び31を参照すると、本発明の実施形態は図30に示すような航空機の製造及び就航方法230及び図31に示すような航空機232において、使用可能である。開示の実施形態の航空機への用途は例えば非限定的に、スティフナー、ビーム、及びストリンガー等の複合補強部材が挙げられるが、これはほんの一部にすぎない。試作段階においては、例示の方法230は、開示の輪郭成形された構造物が航空機232への使用に特定される、航空機232の仕様及び設計234と、材料調達236を含むことができる。製造段階においては、開示の方法を用いて様々な部品及びサブアセンブリが製作される、航空機232の部品及びサブアセンブリの製造238と、システム統合240がおこなわれる。そのあとに、航空機232は、認可及び納品242を経て就航244される。顧客によって就航されている間、航空機232には開示の輪郭成形された構造物の使用を含むことができる、所定の整備及び保守246(変更、再構成、改装も含むことができる)が予定される。
【0063】
本方法230の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客等)によって行う又は実施することができる。この説明のために、システムインテグレータは限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請け業者を含むことができ;第三者は限定しないが、任意の数の供給メーカー、下請け業者、及びサプライヤを含むことができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0064】
図31に示すように、例示の方法230で製造された航空機232は、複数のシステム250と内装252を有する機体248を備えることができる。高レベルシステム250の例は、一又は複数の推進システム254、電気システム256、油圧システム258、及び環境システム260が挙げられる。任意の数の他のシステムを含むことができる。航空宇宙での実施例を示したが、本発明の原理は例えば海洋及び自動車産業等の他の産業分野に応用することが可能である。
【0065】
本明細書に具現化されたシステム及び方法は、製造及び就航方法230の任意の一又は複数の段階において採用することができる。例えば、製造プロセス208に対応する部品又はサブアセンブリは、航空機232が就航している間に製造される部品又はサブアセンブリと同じ方法で加工又は製造することができる。また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば、航空機232を実質的に組立てしやすくする、又は航空機232にかかる費用を削減することによって、製造段階238及び240において用いることが可能である。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機232が就航している間に、例えば限定しないが、整備及び保守246に用いることができる。
【0066】
本発明の実施形態を特定の実例となる実施形態に関連させて説明してきたが、当然ながら特定の実施形態は説明のためであり、限定するものではなく、当業者が他の変形例を発想することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪郭成形された複合構造物を製作する方法であって:
複合チャージを積層することであって、実質的に一定の幅を有する単向性の繊維プリプレグ層セグメントの少なくとも一つの層を積層することを含み、層セグメントを隣り合わせに重なり合った状態で配置することと、層セグメントの長手方向の中央線を構造物の輪郭線に対して極配向に位置合わせすることとを含むこと、
複合チャージを実質的に構造物の形状に成形すること、及び
成形したチャージを硬化させること
を含む方法。
【請求項2】
層セグメントを隣り合わせの状態に配置することが、層セグメントが配置されている時に、層セグメント間の重なり量を実質的に一定に保つことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
層を積層することが、ある長さの複合テープから層セグメントをカットすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
テープをカットすることが、ある長さのテープを構造物の輪郭線におおむね一致する角度でカットすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
層セグメントの極配向に起因して、隣接している層セグメント間に間隙ができ、層を積層することが、さらに、間隙を実質的に最小限に抑えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構造物の輪郭線とおおむね一致するように、層セグメントの縁部をトリミングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
層セグメントを配置し、中央線を位置合わせすることが、自動制御されたテープ適用ヘッドによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
層を積層することが、ある長さの複合繊維テープからセグメントをカットすることによって層セグメントを製造することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法によって製作される輪郭成形された複合構造物。
【請求項1】
輪郭成形された複合構造物を製作する方法であって:
複合チャージを積層することであって、実質的に一定の幅を有する単向性の繊維プリプレグ層セグメントの少なくとも一つの層を積層することを含み、層セグメントを隣り合わせに重なり合った状態で配置することと、層セグメントの長手方向の中央線を構造物の輪郭線に対して極配向に位置合わせすることとを含むこと、
複合チャージを実質的に構造物の形状に成形すること、及び
成形したチャージを硬化させること
を含む方法。
【請求項2】
層セグメントを隣り合わせの状態に配置することが、層セグメントが配置されている時に、層セグメント間の重なり量を実質的に一定に保つことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
層を積層することが、ある長さの複合テープから層セグメントをカットすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
テープをカットすることが、ある長さのテープを構造物の輪郭線におおむね一致する角度でカットすることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
層セグメントの極配向に起因して、隣接している層セグメント間に間隙ができ、層を積層することが、さらに、間隙を実質的に最小限に抑えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構造物の輪郭線とおおむね一致するように、層セグメントの縁部をトリミングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
層セグメントを配置し、中央線を位置合わせすることが、自動制御されたテープ適用ヘッドによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
層を積層することが、ある長さの複合繊維テープからセグメントをカットすることによって層セグメントを製造することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法によって製作される輪郭成形された複合構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2012−519098(P2012−519098A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552980(P2011−552980)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/025110
【国際公開番号】WO2010/101741
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/025110
【国際公開番号】WO2010/101741
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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