説明

輸送システム

【課題】国内の輸送システムにおいて、特に都市部では地下鉄やバス路線が敷かれている。しかし地下鉄やモノレール等は建設コストが高く、事故があった場合にも負傷者の救出に手間がかかる。一方、バスは渋滞で運行が遅れやすく、渋滞も招き、排気ガスによる大気汚染が発生する。これらの問題を解決する。
【解決手段】高速道路や鉄道の高架線の下部や側部や上部にモノレール等の軌道を設置し、車両を運行できるようにする。またこのモノレールの車両にエンジンを搭載して発電機を設置し、災害や故障による停電時にも自走可能とする。更に車両の上部にモノレール用の台車を設置し、下部にタイヤを設置してエンジン等で駆動できるようにすることにより、高架線のある都市部ではモノレールとして運行し、高架線のない郊外ではバスとして走行できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や物の搬送において、渋滞の影響を受けることなく都市部でも低コストで設置可能であり、災害時に速やかに被災者を搬送でき、送電がある場合には電気で移動可能で、電気がない場合には燃料を使って移動可能で、郊外など高架線がない地域では路上を運行することも可能なフレキシビリティで効率の優れた交通手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでの人や物を陸上搬送する手段として、鉄道、自動車、モノレール等が広く使われていることはよく知られている。国内の輸送システムにおいて、特に都市部では地下鉄が多く作られてきたが、地下鉄は設置コストが高い。また地下鉄で火災が起こった場合、避難できずに被災する危険性が高い。また駅のホームで転落した場合にも危険である。一方バスは、設置コストは安価であるが渋滞で運行時間が乱れやすい。バス専用路線を敷く方法もあるが一般車両の渋滞を招き、二酸化炭素排出量が増大し、環境に悪い。さらに高速道路や地下鉄など交通手段を分けて設置すると片方で事故があった場合に利用者の安全性を著しく損ない、特に高速道路で事故が発生して渋滞した場合、救急車が被災地に近かづけず、被災者の搬送に時間を要する。一方、地下鉄等の輸送システムは都市部では渋滞から切り離されるメリットがあるが、渋滞の少ない郊外では設置コストに対する対費用効果が極めて低い。この様にこれまでの交通システムはフレキシビリティが低く効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3545316号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来の技術では設置のコスト、交通渋滞、安全性に、問題点、課題がある
【0005】
一般的な高速道路や公共交通手段である地下鉄は別々に設置されているが、新たに設置するには設置コストが高く、保守点検コストも高くなる問題点があった。
【0006】
災害や故障等で送電がストップした場合では、鉄道は、送電ができない区間で車両の運行自体が出来なくなってしまう問題点があった。さらに現在の車両の多くは、運行に必要な車両速度制御信号を代表とするさまざまな制御信号等が車両に送られているため、送電がストップした場合は、運行不可能となる問題点があった。
【0007】
高速道路で事故が発生して事故現場周辺の交通が麻痺して救急車が現場で立ち往生した場合に被災者を速やかに搬送することができない問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明にあっては、上記課題を解消するために、請求項1記載の発明では、高速走路の高架線の橋脚や橋梁の側面や下にモノレールのレールを設置することと共に、このレールで運行可能な車両を用いて運行するようにした。
【0009】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の車両に燃料タンクとエンジンと発電機とバッテリーを搭載し、このエンジンの動力で発電機を作動させて発電してバッテリーに電気を蓄え、このバッテリーの電気で車両運行用モーターを駆動させて移動できるようにした。
【0010】
請求項3記載の発明では、高速道路からモノレールの駅に降りる階段やエレベーターを設置することにより、高速道路で事故が発生して事故現場周辺の交通が麻痺することで救急車が現場で立ち往生した場合でも、併設したモノレールに被災者を移し変えて速やかに搬送することができるようにした。
【0011】
請求項4記載の発明では、請求項2記載のモノレール用の車両台車とは別に車両下部にタイヤを取付けることにより、バスのような路上の運行をも可能にするようにした。
【0012】
請求項5記載の発明ではモノレールの台車に連結機を取り付け、車両本体と連結する。連結機は長さが可変で路上から、レールに取付けられた台車に車両を引き上げたり、路上に下ろしたりすることができる装置により、モノレールの台車から車両を取り外し、車両本体が軌道から外れてバスとして路上を走れるようにした。
【0013】
請求項6記載の発明ではモノレールの台車と車両本体は固定した状態で、請求項4記載のモノレールの車両本体を路上に下ろしたりレールの運行高さに引き上げたりすることができる。またはレールそのものをスロープにして車体の高さまで傾斜をつけて、車両下部のタイヤが接地するまで車両本体が下がってレールから外れるようにした。
【0014】
請求項7記載の発明は請求項4のタイヤをエンジンまたはモーターの駆動力で回転させることができ、路上を車両が走行することができるようにした。
【0015】
請求項9記載の発明は、軌道内に、例えば、レール表面に一定区間でバーコード等の模様を刻印し、車両側のレール付近にバーコードリーダー等の画像読み取り装置を取り付け、このバーコードリーダーがレール表面に刻印されたバーコードを読み取り車両速度を制御するようにした。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9の車体に取り付けたバーコードリーダーの進行方向にハケやブレードを取り付け、レール表面のバーコード表面の汚染を除去するようにした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明では、高架線の橋梁または橋脚にモノレールを設置することによりモノレールの軌道の橋脚を別途建築する必要がなくなり、コストが下げられる。また高架線の橋梁とモノレールの軌道とを固定する固定梁を一定間隔で設置することにより、高架線とモノレールの軌道の強度が上がる。
【0018】
請求項2記載の発明では、モノレールのレールからの送電がない場合でもモノレールの車両は運行することができる。
【0019】
請求項3記載の発明では、高架線の高速道路上で車から降りて階段またはエレベーターでモノレールのホームに人や物を速やかに移動させ、モノレールの車両に乗り換えることができる。
【0020】
請求項4記載の発明では、請求項2の車両にモーターやエンジンの駆動力を伝達することのできるタイヤを取り付けることにより、モノレールの軌道を走行可能なだけでなく、路上も走行可能となり、渋滞の多い都市部ではモノレールとして運行可能で、高架線の少ない郊外では路上を走行することができる。このため、安価で路線を設置でき、広い範囲で運行できる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項4の車両がモノレールの軌道を走行する状態から、路上を走行する状態に切り替えられる。また路上からモノレールのレールの高さが、モノレールの車両の高さよりも高くても、モノレールのレールから路上に車両を着地させたり、持ち上げたりすることができる。さらにレールから垂直に車両を着地させたり持ち上げたりできるため、モノレールから路上走行に切り替える場所が狭くても可能である。
【0022】
請求項6記載の発明では、請求項4の車両がモノレールの軌道を走行する状態から、路上を走行する状態に切り替えられる。またモノレールの車両に車体を持ち上げる装置を装着しなくてすむ為、車両の軽量化が図れる。
【0023】
請求項9記載の発明では、送電が止まって信号が送れない状態になっても軌道内に印したバーコード等の模様を読み取って速度を制御できるため、カーブや駅で自動的に速度を制御でき、停止することができる。また通常の電気信号による制御システムよりも安価である。
【0024】
請求項10記載の発明では、請求項9の軌道内に印したバーコードの汚染を除去することにより、バーコードの読み取りエラーを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は本発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である、(b)は本発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である。
【図2】図1(a)、(b)の車両4の側面透視図である。
【図3】本発明の実施形態の一例を示す全体構成図である。
【図4】図1(a)、(b)の発展型、車両4の側面透視図である。
【図5】図1(a)、(b)の昇降型、車両4の構成図である。
【図6】(a)は本願発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である。(b)は本願発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である。
【図7】本発明に係る車両速度制御の方法を示し(a)は全体の説明図、(b)は(a)の拡大断面図である。(c)は(b)を下から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1(a)は本発明の実施形態の代表的な一例を示す運送システムの全体構成図である。この運送システムは、橋脚1の上に高架線2を設置し、高架線2にレール状の軌道3を取り付け、モノレール用の台車のついた車両4を運行させることができる。図1(b)本発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である。この運送システムは、橋脚1の上に高架線2を設置し、橋脚1にレール状の軌道3を取り付け、モノレール用の台車のついた車両4を運行させることができる。
【0027】
図2は図1(a)、及び図1(b)記載の車両4の側面透視図である。車両4aは吊り下げ式のモノレールの場合である。車両4aにモノレールの台車6を備え、台車6は移動用電気モーター7を備え、車両4aは発電機を備えた原動機のエンジン8とバッテリー9と電気モーター7の駆動力を制御する制御システム10を搭載し、電気モーター7と原動機のエンジン8とバッテリー9と制御システム10との間に電気的につなぐ配線11を備える。移動用電気モーター7は図1(a)の軌道3のレールから送電する電気で駆動することもできるが、軌道3のレールからの送電がない場合、原動機のエンジン8の動力で発電してバッテリー9に電力を蓄え、このバッテリー9から供給する電気を制御システム10で制御して移動用電気モーター7の駆動力を制御する。
【0028】
図3は階段で道路からモノレールのホームに移動する手段である。図3の高架線2にモノレールのレール12を取り付け、このレール12の軌道を移動する車両4のホーム13を高架線2または、高架線2の橋脚に設置する。そして高架線2からホーム13に移動できるようにするための階段14を設置し、この階段14を通って高架線2とホーム13の間を移動することができる。
【0029】
図4は図1(a)及び図1(b)の車両4の発展型、車両4bの側面透視図である。車両4bにはレール移動用の台車6と原動機8と、原動機8の原動力を伝える動力伝達装置15と車輪16を備える。車両4bをモノレールとして使用する場合は台車6を図1(a)、図1(b)の軌道3に沿って移動し、この軌道3がない場合でも図4の車輪16を回転させて路上を移動できる。
【0030】
図5は図1(a)と図1(b)の車両4の構成図である。車両4の本体はモノレールの軌道3に沿って動く台車6を装備し、台車6と車両4の本体とをつなぐ台車取り付け装置18は動力によって台車6と車両4の本体との間隔を変動させることができ、車両4の本体に取り付けた車輪16を路面17に接地させたり持ち上げたりすることができる。また車両4と台車6は台車取り付け装置18の部分で外すことができ、車両4は軌道3から離れて路面17の上を自由に移動することができる。
【0031】
図6(a)は本発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である。高架線2に取り付けた軌道のレール12は1部が動力によって上下に動くようにして車両4に装備した車輪16を路面17に接地させたり、モノレールとして運行するためにレール12の高さまで引き上げることができる。車輪16が路面17に接地している場合は、車輪16で路面17の上を自由に移動することができる。
【0032】
図6(b)は本発明の実施形態の一例を示す運送システムの全体構成図である。高架線2に取り付けたレール12にスロープをつけ、車両4bが路面17に降り、路面17の上を自由に動くことができる。
【0033】
図7(a)は車両速度制御の一例を示したもので、車両4が軌道を走行するレール12表面にバーコード19を刻印、表示したものである。図7(b)は図7(a)の拡大断面図で、レール12にそって走行するモノレールの台車6にはバーコードリーダー20が取り付けられていて、レール12表面のバーコード19をバーコードリーダー20が読み取り、台車6に取り付けられた滑車21の回転速度を制御して車両の速度を制御する。図7(c)は図7(b)を下から見た拡大図である。台車6に滑車21とバーコードリーダー20を取り付け、バーコードリーダー20よりも進行方向側にハケ22を取り付ける。そして走行中にハケ22がレール表面に刻印したバーコード19の汚染を除去する。
【符号の説明】
【0034】
1 橋脚
2 高架線
3 軌道
4 車両
5 橋脚
6 台車
7 電気モーター
8 エンジン
9 バッテリー
10 制御システム
11 配線
12 レール
13 ホーム
14 階段
15 動力伝達装置
16 車輪
17 路面
18 台車取り付け装置
19 バーコード
20 バーコードリーダー
21 滑車
22 ハケ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路や鉄道等の高架線の一部区間または全線の下部または側部または上部にレール等の軌道を設置して車両またはゴンドラを運行するシステム。
【請求項2】
高架線に設置した軌道を運行する車両にエンジンを搭載し、このエンジンで発電して車両駆動用モーターや制御装置や空調機等に電気を送ることができるシステムを備えた車両。
【請求項3】
高速道路等の交通手段からこの高架線に設置した軌道を運行する車両に乗ることが出来る通路またはエレベーター等の装置。
【請求項4】
高架線に設置した軌道レール用の台車と路上走行用のタイヤを備えた車両。
【請求項5】
請求項4の軌道レール用の台車と車両本体が取り外し可能な車両。
【請求項6】
高架線に設置したレールが、車両を路上に接地できる高さまで走行レール用台車を昇降可能にし、レール用台車付車両をレールから取り外し、取り付けが可能なシステム。
【請求項7】
請求項4の車両のタイヤをエンジンやモーター等の動力源で駆動させることができる車両または装置。
【請求項8】
請求項1〜7、9、10のいずれか1項記載のシステムを用いた運行方法。
【請求項9】
軌道内にバーコードを印し、このバーコードを読み取るバーコードリーダーを車体に取り付け、このバーコードを読み取ることにより、各区間の速度を運転席内に表示または車両速度を自動で制御することのできるシステム
【請求項10】
軌道内に印したバーコードを読み取るバーコードリーダーの進行方向手前にハケまたはブレード等を備え、レール表面のバーコードの汚れを拭き取るシステムを備えた車両

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−245981(P2011−245981A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121235(P2010−121235)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(510148522)
【出願人】(509340609)
【Fターム(参考)】