説明

農産物用フリートレイの送出装置および農産物の選別包装装置

【課題】多段のプールコンベアにプールした農産物の載ったトレイ(実トレイ)を長い傾動コンベアで選択的に箱詰装置に送出していたので、スペースの有効利用が要望されていた。
【解決手段】実トレイTをプールする複数段、複数列のプールコンベア2の取出端の前部にフリートレイTを取出す取出コンベア20を各段に設け、上下の取出コンベア20の送出端部同士を折返しスロープ式のコンベア23により接続し、箱詰供給用コンベア4に対し、最下段の取出コンベア20の送出端部を接続させ、又は前記折返しスロープ式のコンベア23を接続させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリンゴ、梨、トマト、メロンなどの農産物をフリートレイ方式により選別包装する選果場において用いられ、上下方向に複数段に配置された選別装置から農産物入りのフリートレイを選択的に取り出して箱詰装置へ送出する農産物用フリートレイの送出装置およびこの農産物用フリートレイの送出装置を備えた農産物の選別包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物を選別し包装する選果場を空間的に使用し、限られた平面スペースで効率の高い選別包装処理を行なう農産物の選別包装装置として、選別装置を上下方向に複数段に配置し、また選別装置に対する農産物の供給から仕分済みの農産物を箱詰位置へ移動させるまでをフリートレイ(以下トレイと称す)を用いて行うようにしている。
【0003】
各段の選別装置には、選別コンベアに沿って多数の排出装置が配置され、各排出装置に対応して該選別コンベアの側方にプールコンベアが設けられている。各排出装置に対しては仕分区分が設定され、前記選別コンベアを移動する選別済みの農産物を載せたトレイ(以下実トレイと称す)が該当する仕分区分の排出装置に到達するタイミングに合わせて当該排出装置に仕分信号が出力され、この実トレイが対応するプールコンベアに排出される。
【0004】
このように、各段には仕分区分別に実トレイをプールする多数のプールコンベアが配列されており、各段の多数のプールコンベアを例えば端から順に複数のプールコンベア列を1組として複数組に組分けしている。この組分けされた1組のプールコンベア列は、さらに、上下方向において対応する各段の1組のプールコンベア列と組み合わせて1群のプールコンベア部を構成し、箱詰包装部には、これら1群のプールコンベア部に対してそれぞれ1つの箱詰装置が用意されている。
【0005】
また、1群のプールコンベア部には、m列×n段のプールコンベアが存在しており、仕分区分を同じとするプールコンベア、仕分区分のそれぞれ異なるプールコンベアが混在する。この場合、1群のプールコンベア部を構成するm列×n段のプールコンベアの中から一つのプールコンベアを指定し、この指定したコンベアにプールされている実トレイを取出して箱詰装置に送出する農産物用フリートレイの送出装置が設けられている。
【0006】
農産物用フリートレイの送出装置として、箱詰装置に通じる共通の箱詰供給用コンベアに対し、該箱詰供給用コンベアと対向する前記1群のコンベア部との間に上下方向に傾動可能な送出しコンベアを配置し、この送出しコンベアを上下方向に傾動させることにより、1群のコンベア部の上段あるいは下段のコンベア列の排出端側と、該送出しコンベアの傾動端とを一致させ、該コンベア列の該当するプールコンベアの排出端に設けているストッパを解除することにより、このプールコンベアにプールされていた実トレイを前記送出しコンベアを介して前記箱詰供給用コンベアに送出され、この箱詰供給用コンベアの箱詰待機位置で実トレイが待機する(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−175610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した農産物用フリートレイの送出装置は、1群のコンベア部と箱詰供給用コンベアとの間に長い送出しコンベアを配置しているので、選別コンベアと箱詰部との距離が長くなり、このため選果場の平面スペースの有効利用の点から選別コンベアと箱詰部との距離をより短くすることが望まれていた。
【0008】
また、送出しコンベアを傾動して上下方向の停止位置を切替えるようにしているので、この切り替えの間は選別装置からの実トレイの供給が一時的に停止し、選別包装装置の稼動効率が低下することから、箱詰部への実トレイの供給をできる限り休止時間を少なくすることが望まれていた。
【0009】
さらに、送出しコンベアを傾動させるための装置、及びこの送出しコンベアの傾動制御のための制御装置が必要となり、これらの装置がコストアップの要因となっていた。
【0010】
本発明の目的は、これらの観点に鑑みなされたもので、選果場の平面スペースをより一層有効に利用でき、プールコンベアを切り替えて実トレイを箱詰用コンベアへ送出す時間を短縮でき、しかも低コスト化を図ることのできる農産物用フリートレイの送出装置およびこの農産物用フリートレイの送出装置を備えた農産物の選別包装装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を実現する農産物用フリートレイの送出装置の第1の構成は、請求項1に記載のように、フリートレイ上に載置した農産物を貯留する貯留部が上下方向に複数段に配置され、該各段の貯留部に貯留されている農産物を載せたフリートレイを箱詰部の箱詰供給用コンベアへ選択的に送出する農産物用フリートレイの送出装置において、前記貯留部の取出端の前部に各段毎に配置され、該貯留部から取出された農産物を載せたフリートレイを搬送する取出コンベアと、
前記複数段に配置された上下の取出コンベアの送出端部同士を接続する折返しスロープ式のコンベアと、を有し、前記箱詰供給用コンベアに対し、前記取出コンベアの送出端部を接続させ、又は前記折返しスロープ式のコンベアを接続させたことを特徴とする。
【0012】
本発明の目的を実現する農産物用フリートレイの送出装置の第2の構成は、請求項2に記載のように、上記した第1の構成において、前記折返しスロープ式のコンベアに前記箱詰供給用コンベアを接続する構成では、前記箱詰供給用コンベアとの上下方向における接続レベルに対し、下方のスロープを構成する傾斜コンベアは上り搬送方向とし、上方のスロープを構成する傾斜コンベアは下り搬送方向とすることを特徴とする。
【0013】
本発明の目的を実現する農産物用フリートレイの送出装置の第3の構成は、請求項3に記載のように、上記いずれかの構成において、前記折返しスロープ式のコンベアと前記取出コンベアとの合流部には、いずれか一方のコンベアから農産物を載せたフリートレイが送出されるのを規制する切換手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を実現する農産物用フリートレイの送出装置の第4の構成は、請求項4に記載のように、上記いずれかの構成において、前記折返しスロープ式のコンベアは、前記取出コンベアの送出端部に配置されると共に、前記貯留部の長手方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の目的を実現する農産物の選別包装装置の構成は、請求項5に記載のように、複数段の選別コンベアと、前記複数段の選別コンベアから選別済みの農産物を載せたフリートレイを前記複数段の貯留部に対してそれぞれ排出する排出手段と、前記複数段の貯留部に対向配置された前記箱詰部の箱詰装置と、前記複数段の貯留部に貯留された農産物を載せたフリートレイを選択的に前記箱詰部の箱詰供給用コンベアに送出する上記第4の構成の農産物用フリートレイの送出装置とを有し、前記折返しスロープ式のコンベアを前記箱詰装置の片側に沿って配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、複数段の貯留部から農産物を載せたフリートレイを選択的に箱詰部へ送出するのに折返しスロープ式のコンベアを用いているので、複数段の貯留部と箱詰部との間を狭くすることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、箱詰供給用コンベアの高さ、あるいは貯留部の段数に応じて、前記箱詰供給用コンベアとの接続位置の設定の自由度が大きいという効果がある。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、例えば折返しスロープ式のコンベアから農産物を載せたフリートレイを全て送出した後、切換手段を切換えることにより、直ちに次の農産物を載せたフリートレイを送出することができるので、待ち時間を短縮することができ、農産物の箱詰に要する待機時間を短縮でき、農産物の箱詰効率を向上させることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、折返しスロープ式のコンベアを取出コンベアの送出端部に配置することにより、貯留部の前方に大きなスペースを作り出すことが可能となり、このスペースを有効利用することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、複数段の貯留部の前方に箱詰装置を接近して配置することができ、選果場の平面スペースをより一層有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を図面に示す実施の形態に基づいて以下に説明する。
【0022】
図1は本発明を有効に実施できる選果場における農産物の選別箱詰装置の概略構成を示す平面図で、例えばリンゴ、梨、トマト、メロンなどの農産物をトレイに載せて箱詰位置まで搬送するいわゆるフリートレイ方式を採用したものである。
【0023】
この選別箱詰装置は、上下複数段に配列した選別コンベア1からそれぞれプールコンベア2が選別コンベア1の搬送方向と直交する横方向に配置され、不図示の計測装置により仕分区分が判定された農産物が当該仕分区分に応じて指定されたプールコンベア2の位置に到達すると、排出装置3が動作して選別コンベア1上の農産物が載ったトレイ(以下実トレイと称す)Tがプールコンベア2に排出される。
【0024】
ここで、各段において、2条のプールコンベア2が連続して3列分並んだ組を1組のプールコンベア列Aとすると、この1組のプールコンベア列Aを上下方向において対応する各段の1組のプールコンベア列Aと組み合わせて1群のプールコンベア部Bを構成する。
【0025】
この1群のプールコンベア部Bに対向して、箱詰装置Cが配置され、後述する農産物用フリートレイの送出装置Dにより、この1群のプールコンベア部Bの選択されたプールコンベア2から実トレイTを取出し、箱詰部の箱詰装置Cの箱詰供給用コンベア4にこの取出した実トレイTを送り出すようにしている。
【0026】
箱詰装置Cの構成を簡単に説明すると、実トレイTは1列に整列させた状態で箱詰供給用コンベア4上を搬送されて箱詰待機位置4a上で待機し、この箱詰待機位置4aに待機している複数個の実トレイT上の農産物が不図示の箱詰ロボットにより吸引保持されてダンボール箱などの製品箱5内に収納される。この製品箱5を挟み箱詰待機位置4aと反対側には、包装資材としての種類の異なるトレイパック6aをそれぞれ積載する複数のトレイパックストッカー6と、中仕切7aを積載する中仕切ストッカー7が配置され、トレイパックストッカー6から取出したトレイパック6aを前記箱詰ロボットに受け渡すトレイパック受渡ロボット8と、中仕切ストッカー7から取出した中仕切を該箱詰ロボットに受け渡す中仕切受渡ロボット9が配置され、包装箱5内にトレイパック6aと中仕切7aが該箱詰ロボットにより供給される。
【0027】
また、空の包装箱5は搬送コンベア10により搬送されて箱詰待機位置5aに待機している間に農産物の箱詰が行なわれる。一方、箱詰待機位置4aに待機し、農産物が取出されて空となったトレイTは、空トレイ搬送コンベア11を経て空トレイ回収コンベア12に搬送され、不図示の農産物供給部へ戻される。
【0028】
次に、農産物用フリートレイの送出装置Dの構成を図2〜図9に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0029】
なお、図2及び図3が第2の実施の形態、図4及び図5が第3の実施の形態、図6及び図7が第4の実施の形態、図8及び図9が第5の実施の形態を示し、図2、4、6、8が斜視図、図3、5、7、9が図1のイ-イ矢視図である。
【0030】
これらの第2〜第5の実施の形態に示す農産物用フリートレイの送出装置Dは、上面図で見ると、いずれも図1に示される構成となっており、各段におけるプールコンベア2の取出端の前方に配置されている取出コンベア20の直線搬送部21は、選別コンベア1と平行に配置され、取出コンベア20の直線搬送部21の搬送方向はこの選別コンベア1の搬送方向と逆の方向となっている。なお、複数段の取出コンベア20において、最上段の取出コンベアの符号を20Aとし、以下順にB、C、Dを符号20の後に添える。同様に他の部材等も同じ要素には同じ符号を付し、上下に多段に配置されている要素には上から順にA、B、C、Dを符号の後に添える。
【0031】
最上段の取出コンベア20Aの直線搬送部21Aの搬送端は最上段の選別コンベア1Aとは反対側に向けて90度の角度で折れ曲がるフラットな折曲コンベア部22Aを介して折返しスロープ式のコンベア23Aに接続されている。
【0032】
1組のプールコンベア列Aにおいて、プールコンベア2の取出端には実トレイTの取出を阻止するストッパ2aがそれぞれ設けられ、また取出コンベア20の直線搬送部21には、この直線搬送部21の上流側から下流側に向かって順に第1の案内ガイド24、第2の案内ガイド25、第3の案内ガイド26、第4の案内ガイド27及び第5の案内ガイド28がプールコンベア2の取出端を塞いで実トレイTの搬送を阻害しない退避位置と、直線搬送部21を斜めに横切る位置まで回動し、プールコンベア2から排出される実トレイTがスムーズにこの直線搬送部21を下流側に向かって搬送できるように案内する。
【0033】
また、第1の案内ガイド24は2条のプールコンベア2の間に回動支点を有するように配置され、第2〜第5の案内ガイド25〜28は、各プールコンベア2の排出端で、直線搬送部21の上流側に回動支点を有するように配置されている。なお、直線搬送部21の最上流位置の角部をR形状とすることにより、最上流位置のプールコンベア2に対する案内ガイドを不要としている。
【0034】
(第2の実施の形態)
図2および図3に示す第2の実施の形態は、選別コンベア1(1A,1B)を上下2段に配置し、これに伴い1群のプールコンベア部Bが6列×2段のプールコンベアの構成としたものである。
【0035】
本実施の形態において、農産物用フリートレイの送出装置Dは、上段の取出コンベア20Aと下段の取出コンベア20Bとを折返しスロープ式のコンベア23により接続した構成とし、この折返しスロープ式のコンベア23はいわゆる踊り場としてのフラットな折返しコンベア部29の上流側と下流側にそれぞれ下り傾斜の傾斜コンベア部30、31が接続されている。
【0036】
下段の取出コンベア20Bの折曲コンベア部22Bに対し、傾斜コンベア部31の傾斜下端は、90度に折り曲げられたフラットな合流コンベア部32を介して接続されている。
【0037】
また、下段の取出コンベア20Bの折曲コンベア部22Bの送出端は下り傾斜の接続用傾斜コンベア33を介して箱詰供給用コンベア4に接続されている。
【0038】
一方、下段の折曲コンベア部22Bには、平面略L字形状の切換レバー34が配置され、起立した状態では下段の取出コンベア20Bから取出した実トレイTがこの下段の折曲コンベア部22Bを通して接続用傾斜コンベア33への搬送を許可し、倒れた状態では下段の取出コンベア20Bの直線搬送部21B上の実トレイTがこの下段の折曲コンベア部22Bを通過するのを阻止し、折返しスロープ式のコンベア23を経て上段の取出コンベア20Aから降りてきた実トレイTがこの下段の折曲コンベア部22Bを通して接続用傾斜コンベア33へ搬送されるのを許可する。その際、倒れている切換レバー34の内側の角部34aにはRを設けているので、実トレイTは切換位置で詰まることなくスムーズに搬送向きを折り返されて接続用傾斜コンベア33へと導かれる。
【0039】
上述のように、本実施の形態は、上下段2段構成の1群のプールコンベア部Bに対し、上段の取出コンベア20Aと下段の取出コンベア20Bとを、上下段の間に踊り場としての折返しコンベア部29を設けた折返しスロープ式のコンベア23を接続し、上段の取出コンベア20Aで取り出した実トレイTと、下段の取出コンベア20Bで取出した実トレイTとを選択的に箱詰装置Cに送出することが可能となる。
【0040】
本実施の形態において、切換レバー34を設けなくても、下段のプールコンベア2の排出端に設けているストッパー2aの制御により上段の取出コンベア20Aから降りてくる実トレイTを優先的に箱詰装置Cへ送出すことができるが、切換レバー34を動作させ、次に箱詰する農産物を有する実トレイTをこの切換レバー34の位置まで取出しておき、上段の取出コンベア20Aからの実トレイTの送出しが終了すると、直ちにこの切換レバー34を起立させてストップ解除を行えば、実トレイTが箱詰待機位置4aに達するまでの時間を短縮でき、箱詰の効率を向上させることができる。
【0041】
また本実施の形態では、折返しスロープ式のコンベア23を箱詰装置Cの片側まで進出させることで、箱詰装置Cを1群のプールコンベア部Bの排出端の近くまで接近させることができ、箱詰装置Cと1群のプールコンベア部Bとの距離を飛躍的に短縮することができ、選果場の平面スペースを有効に利用することが可能となった。
【0042】
なお、本実施の形態では、上下2段としたが3段以上に配置することもでき、上下各段の取出コンベア20をそれぞれ折返しスロープ式のコンベア23で接続し、最下段の取出コンベアと箱詰供給用コンベア4とを接続用傾斜コンベアを介して接続する。勿論、接続用傾斜コンベアとの接続は最下段の取出コンベアに限定することはなく、最上段の取出コンベアであっても良い。
【0043】
(第3の実施の形態)
図4及び図5に示す第3の実施の形態は、選別コンベア1(1A、1B、1C)を上下3段に配置し、これに伴い1群のプールコンベア部Bが6列×3段のプールコンベアの構成としたものである。
【0044】
本実施の形態は、上段の取出コンベア20Aと中段の取出コンベア20Bとを第1の折返しスロープ式のコンベア23Aにより接続し、中段の取出コンベア20Bに接続している折曲コンベア部22Bに切換レバー34Aを設けて中段の取出コンベア20Bから送出される実トレイTの送出規制を可能とする点は上述の第2の実施の形態と同様としている。
【0045】
本実施の形態は、さらに、中段の取出コンベア20Bと下段の取出コンベア20Cとを第2の折返しスロープ式のコンベア23Bにより接続している。
【0046】
第2の折返しスロープ式のコンベア23Bは、いわゆる踊り場部分に箱詰供給用コンベア4を接続した構成としている。
【0047】
また、第2の折返しスロープ式のコンベア23Bは、踊り場部分を構成するフラットな90度の角度折り曲げる出口用折曲コンベア部35の搬送上流側と中段の折曲コンベア部22Bとの間に下り傾斜の傾斜コンベア30Bを接続し、また下段の折曲コンベア部22Cと箱詰供給用コンベア4の搬送上流端との間に上り傾斜の傾斜コンベア31Bを接続している。そして、出口用折曲コンベア部35の出口端にストッパ36を設け、上段の取出コンベア20A及び中段の取出コンベア20Bから送出された実トレイTが箱詰供給用コンベア4へ送出されるのを規制できるようにしている。なお、下段の取出コンベア20Cの直線搬送部21Cは、搬送方向下流端の位置を傾斜コンベア30Bの幅の分だけ短く設定し、上り傾斜の傾斜コンベア31Bを配置できるようにしており、下段の折曲コンベア部22Cの角部に下段の切換レバー34Bを配置している。
【0048】
この下段の切換レバー34Bは、下段の取出コンベア20Cの直線搬送部21Cから送出す実トレイTの取出規制のために配置しているのではなく、最も下流端に位置しているプールコンベア2−1の取出端に設けたストッパの代わりのために設けたもので、この下段の切換レバー34Bを倒し、このプールコンベア2−1からの実トレイTの取出しを規制する状態にあっては、下段の切換レバー34の角部34aに形成したR部により、下段の他のプールコンベア2から取出された実トレイTをスムーズに90度折り曲げて上り傾斜の傾斜コンベア31Bに送出できるようにしている。なお、下段の最も端のプールコンベア2−1は、この上り傾斜の傾斜コンベア31Bと正対しているので、下段の切換レバー34Bを起立させると、このプールコンベア2−1から取出された実トレイTは真っ直ぐに上り傾斜の傾斜コンベア31Bに送出される。
【0049】
このように、本実施の形態では、上下方向3段の取出コンベア20A、20B、20Cに対し、上段の取出コンベア20Aと中段の取出コンベア20Bとを第1の折返しスロープ式のコンベア23Aで接続し、中段の取出コンベア20Bと下段の取出コンベア20Cとを第2の折返しスロープ式のコンベア23Bで接続し、下段の取出コンベア20Cと中段の取出コンベア20Bの高さ方向の中間位置でこの第2の折返しスロープ式のコンベア23Bから箱詰供給用コンベア4に実トレイTを送出するようにしている。
【0050】
したがって、第2の折り返しスロープ式コンベア23Bを構成する傾斜コンベア30Bと傾斜コンベア31Bの傾斜方向が下り方向と上り方向となる点が第1の折返しスロープ式のコンベア23Aと異なるが、第1の折り返しスロープ式コンベア23Aと第2の折り返しスロープ式コンベア23Bとが平面的に上下方向において重なっているため、上記した第2の実施の形態と同様に、第1、及び第2の折返しスロープ式のコンベア23A、23Bを箱詰装置Cの片側まで進出させることができ、第2の実施の形態と同様に選果場の平面スペースを有効に利用することができるという効果が得られる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図6及び図7に示す第4の実施の形態は、選別コンベア1(1A、1B、1C、1D)を上下4段に配置し、これに伴い1群のプールコンベア部Bが6列×4段のプールコンベアの構成としたものである。
【0052】
本実施の形態による農産物用フリートレイの送出装置Dは、上記した第3の実施の形態に示す送出装置に対し、最下段となる4段目の取出コンベア20Dと第3段目の取出コンベア20Cとの間に第3の折返しスロープ式のコンベア23Cを設けた構成としている。
【0053】
本実施の形態において、第2の折返しスロープ式のコンベア23Bに箱詰供給用コンベア4を接続しているので、4段目の取出コンベア20Dから送出される実トレイTを3段目の折曲コンベア22Cに運び上げるために、第3の折返しスロープ式のコンベア23Cは、傾斜コンベア30Cと傾斜コンベア31Cを共に矢印で示す上り傾斜としている。
【0054】
また、4段目の取出コンベア20Dから取出された実トレイTを第3の折返しスロープ式のコンベア23Cにより3段目の折曲コンベア部22Cに送出する際、3段目の取出コンベア20Cから実トレイTの送出を規制する切換レバー34B´をプールコンベア2−1の排出規制用の切換レバー34Bよりも下流側に設けている。
【0055】
(第5の実施の形態)
図8及び図9に示す第5の実施の形態は、上記した第4の実施の形態の変形例で、第4の実施の形態と同様に選別コンベア1(1A、1B、1C、1D)を上下4段に配置し、これに伴い1群のプールコンベア部Bが6列×4段のプールコンベアの構成としたものである。
【0056】
本実施の形態は、図4及び図5に示す第3の実施の形態における上下3段構成の取出コンベア20A、20B、20Cの最上段の取出コンベアの上に取出コンベアを配置した場合と同様の構成とすることができ、3段目の取出コンベア20Cと4段目の取出コンベア20Dとを接続する第3の折返しスロープ式のコンベア23Cに箱詰供給用コンベア4を接続している。
【0057】
したがって、1段目の取出コンベア20Aと2段目の取出コンベア20Bとを接続する第1の折返しスロープ式のコンベア23A、2段目の取出コンベア20Bと3段目の取出コンベア20Cとを接続する第2の折返しスロープ式のコンベア23Bを構成する各傾斜コンベア30A、30B、31A,31Bはいずれも下り傾斜の搬送方向とし、第3の折返しスロープ式のコンベア23Cを構成する傾斜コンベア30Cが搬送方向を下り傾斜とし、傾斜コンベア31Cが搬送方向を上り傾斜としている。
【0058】
このように、同じ段数構成であっても箱詰供給用コンベア4は複数段の折返しスロープ式のコンベア23のいずれにも接続することができる。
【0059】
なお、上記の各実施の形態において、折返しスロープ式のコンベア23(23A,23B、23C)のスロープを構成する傾斜コンベアの傾斜角度は、折返しコンベア部29や折曲コンベア部22にてトレイ上の農産物が転がり落ちることなく、且つトレイがスムーズに搬送方向の向きを折返す角度に設定され、複数段であっても折返しスロープ式のコンベア23上を搬送されるトレイは、農産物が転がり落ちることなく、また停滞することなく搬送されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す農産物の選別箱詰装置の概略構成の平面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す農産物用フリートレイの送出装置の斜視図。
【図3】図2に示す農産物用フリートレイの送出装置を図1のイ-イ矢視方向から見た側面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す農産物用フリートレイの送出装置の斜視図。
【図5】図4に示す農産物用フリートレイの送出装置を図1のイ-イ矢視方向から見た側面図。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示す農産物用フリートレイの送出装置の斜視図。
【図7】図6に示す農産物用フリートレイの送出装置を図1のイ-イ矢視方向から見た側面図。
【図8】本発明の第5の実施の形態を示す農産物用フリートレイの送出装置の斜視図。
【図9】図8に示す農産物用フリートレイの送出装置を図1のイ-イ矢視方向から見た側面図。
【符号の説明】
【0061】
A 1組のプールコンベア列
B 1群のプールコンベア部
C 箱詰装置
D 農産物用フリートレイの送出装置
T 実トレイ
1 選別コンベア
2(2−1) プールコンベア
2a ストッパ
3 排出装置
4 箱詰供給用コンベア
4a 箱詰待機位置
5 製品箱
6 トレイパックストッカー
6a トレイパック
7 中仕切ストッカー
7a 中仕切
8 トレイパック受渡ロボット
9 中仕切受渡ロボット
10 搬送コンベア
11 空トレイ搬送コンベア
20(20A〜20D) 取出コンベア
21(21A〜21D) 直線搬送部
22(22A〜22D) 折曲コンベア部
23(23A、23B、23C) 折返しスロープ式のコンベア
24 第1の案内ガイド
25 第2の案内ガイド
26 第3の案内ガイド
27 第4の案内ガイド
28 第5の案内ガイド
29 折り返しコンベア部
30、31 傾斜コンベア部
32 合流コンベア部
33 接続用傾斜コンベア
34(34A、34B、34B´、34C) 切換レバー
34a 角部
35 出口用折曲コンベア部
36 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリートレイ上に載置した農産物を貯留する貯留部が上下方向に複数段に配置され、該各段の貯留部に貯留されている農産物を載せたフリートレイを箱詰部の箱詰供給用コンベアへ選択的に送出する農産物用フリートレイの送出装置において、
前記貯留部の取出端の前部に各段毎に配置され、該貯留部から取出された農産物を載せたフリートレイを搬送する取出コンベアと、
前記複数段に配置された上下の取出コンベアの送出端部同士を接続する折返しスロープ式のコンベアと、
を有し、
前記箱詰供給用コンベアに対し、前記取出コンベアの送出端部を接続させ、又は前記折返しスロープ式のコンベアを接続させたことを特徴とする農産物用フリートレイの送出装置。
【請求項2】
前記折返しスロープ式のコンベアに前記箱詰供給用コンベアを接続する構成では、前記箱詰供給用コンベアとの上下方向における接続レベルに対し、下方のスロープを構成する傾斜コンベアは上り搬送方向とし、上方のスロープを構成する傾斜コンベアは下り搬送方向とすることを特徴とする請求項1に記載の農産物用フリートレイの送出装置。
【請求項3】
前記折返しスロープ式のコンベアと前記取出コンベアとの合流部には、いずれか一方のコンベアから農産物を載せたフリートレイが送出されるのを規制する切換手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の農産物用フリートレイの送出装置。
【請求項4】
前記折返しスロープ式のコンベアは、前記取出コンベアの送出端部に配置されると共に、前記貯留部の長手方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の農産物用フリートレイの送出装置。
【請求項5】
複数段の選別コンベアと、前記複数段の選別コンベアから選別済みの農産物を載せたフリートレイを前記複数段の貯留部に対してそれぞれ排出する排出手段と、前記複数段の貯留部に対向配置された前記箱詰部の箱詰装置と、前記複数段の貯留部に貯留された農産物を載せたフリートレイを選択的に前記箱詰部の箱詰供給用コンベアに送出する請求項4に記載の農産物用フリートレイの送出装置とを有し、前記折返しスロープ式のコンベアを前記箱詰装置の片側に沿って配置したことを特徴とする農産物の選別包装装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−248626(P2006−248626A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63448(P2005−63448)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(000137328)株式会社マキ製作所 (48)
【Fターム(参考)】