説明

送信装置と受信装置および無線システム

【課題】重要度の高いデータでも、適応変調パラメータの補正ができない。
【解決手段】送信データを確認するデータ確認部と、データ確認部からのデータの重要度フラグに従って送信時の伝送速度を切り替える伝送速度切替部と、データを無線で出力するための送信アンテナからなる送信装置と、無線経由でデータを受信する受信アンテナと、受信したデータをヘッダとデータに分離するデータ受信部と、分離したデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段からなる受信装置とから構成される。この構成により、データに応じて伝送時の伝送速度を切り替えることによって、航空機などでの緊急連絡等の重要度の高いデータが、伝送時に欠落する確率を抑えて送信することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機内等の通信システムにおいて、例えば機内の緊急連絡の様に重要度の高い情報を確実に送信、受信することを可能とする無線送信装置と無線受信装置およびその無線システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来携帯電話などの移動体通信分野においては、(例えば、特許文献1の従来例で示されているように)高速なIMT−2000のパケット伝送方式として、下り回線のピーク伝送速度の高速化、低伝送遅延、高スループット化等を目的としたHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と呼ばれる方式が検討されている。
【0003】
そして、HSDPAを構成する技術として、3GPP(3rd Generation Partnership Project)TR25.848”Physical layer aspects of UTRA High Speed Downlink Packet Access”には、AMC(Adaptive Modulation and Coding:適応変調符号化)と呼ばれる伝送方式が開示されている。
【0004】
このAMC技術は、回線品質の変動に応じて、変調多値数、誤り訂正符号化レート等の適応変調パラメータを適応的にかつ高速に変更する技術である。AMC技術では、回線品質が良好なほど、大きい変調多値数および符号化率を用いることで、伝送レートを高速にする。具体的には、移動機(受信装置)で随時下り回線の伝搬路環境を測定し、この測定結果に基づく適応変調要求CQI(Channel Quality Indicator)を基地局に通知する。このCQI値は、適応変調パラメータの組に対応している。基地局は、このCQIに基づいて送信データを伝送すべき移動機および最適な適応変調パラメータを決定し、送信データを伝送する。
【0005】
一方、映像や音声、またはデータ等を無線伝送経由で送信、または受信する際に、汎用技術としてIEEE.802.11a/b/gに規定されている装置などが利用されている。
【0006】
IEEE.802.11a/b/gでも携帯電話などの移動体通信と同様に、移動機(受信装置)の電波の状況を基地局(送信装置)にフィードバックし、その結果に応じて、送信側の変調方式を変えるといった技術は、リンクアダプテーションとして使用されている。
【特許文献1】特開2004−180154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の装置においては、上記のように受信装置側の電波状況を考慮して適応変調を行っても、一律に伝搬路環境に基づいて適応変調パラメータが決定されるため、重要度の高いデータを送信する際に、適応変調パラメータの補正がされるとは限らない問題点を有していた。
【0008】
また、一般的に電波状況は刻々と変化しており、受信側からフィードバックした直後でも電波状況は大きく異なる可能性も高く、適応変調パラメータが補正されている状態でも有効とは限らない問題点を有していた。
【0009】
さらに、送信装置からのデータ伝送がマルチキャスト伝送の場合、受信側から送信側へCQIなどの電波状況に関する情報を送信する仕組みが無い為、従来のフィードバック方式によるパラメータ変更ができないという問題を有していた。
【0010】
また、一般的に送信装置からのデータ伝送がマルチキャスト伝送の場合、受信側から送信側に対し伝送路におけるロスパケットの再送要求を行う仕組みが無い為、重要度の高いデータが欠落した場合、修復する方法がない。
【0011】
その対策として無線伝送時の伝送エラーを少なくしようとした場合、伝送レート等を下げる為、伝送効率が非常に悪くなる。一方、一律に伝送レートを下げた場合、映像や音声のサービスを行うには伝送帯域が狭くなり、伝送帯域を有効活用できず、サービスが限定されてしまうという問題を有していた。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、送信するデータの重要度に応じて、送信装置側の送信時における伝送速度、またはデータの送信回数、またはエラー訂正用に付加するパリティ量などを切り替え、緊急連絡等の重要度の高いデータが、伝送時に欠落する確率を抑えることができる、または受信側で訂正率を上げることができる無線送信装置と無線受信装置および無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の無線システムは、無線エリア内において、
送信データを確認するデータ確認部と、前記データ確認部からのデータを入力し、データの重要度に従って送信時の伝送速度を切り替える伝送速度切替部と、前記伝送速度切替部からのデータを無線で出力するための送信アンテナと、を具備する送信装置と、さらに前記送信アンテナからのデータを受信する受信アンテナと、前記受信アンテナからのデータをヘッダとデータに分離するデータ受信部と、分離したデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段と、を具備する受信装置と、により構成されることを特徴とする。
【0014】
この構成により、送信データに応じて伝送速度を切り替えることによって、航空機などでの緊急連絡等の重要度の高いデータが、伝送時に欠落する確率を抑えることが可能となる。
【0015】
また、本発明の第2の無線システムは、無線エリア内において、送信データを確認するデータ確認部と、前記データ確認部からのデータを受信し、データの重要度に従って送信時のデータの送信回数を切り替えるデータ送信回数切替部と、前記データ送信回数切替部からのデータを無線で出力するための送信アンテナと、を具備する送信装置と、さらに
前記送信アンテナからのデータを受信する受信アンテナと、前記受信アンテナからのデータをヘッダとデータに分離し、データ順序を並べ替えるデータ分離部と、並べ替えられたデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段と、を具備する受信装置と、により構成されることを特徴とする。
【0016】
この構成により、送信データに応じてデータを繰り返し送信する回数と同一データが連続的に送信されないように分散させることによって、航空機などでの緊急連絡等の重要度の高いデータが、伝送時に欠落した際、再送信なしに受信側での訂正率を上げることが可能となる。
【0017】
また、本発明の第3の無線システムは、無線エリア内において、送信データを確認するデータ確認部と、前記データ確認部からのデータを受信し、データの重要度に従って送信時のデータに付加するエラー訂正の冗長度を切り替えるエラー訂正付加処理部と、前記エラー訂正付加処理部からのデータを無線で出力するための無線送信アンテナと、を具備する送信装置と、さらに前記送信アンテナからのデータを受信する受信アンテナと、前記受信アンテナからのデータを用いて欠落データのエラー訂正を行うエラー訂正部と、エラー訂正後のデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段と、を具備する受信装置と、により構成されることを特徴とする。
【0018】
この構成により、送信データに応じてデータに付加するエラー訂正の冗長度を変更することによって、航空機などでの緊急連絡等の重要度の高いデータが、伝送時に欠落した際、再送信なしに受信側での訂正率を上げることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の無線送信装置と無線受信装置および無線システムによれば、緊急連絡等の重要度の高いデータに応じて伝送速度を切り替えることによって伝送時に欠落する確率を抑えることが可能となるという優れた効果が得られる。
【0020】
また、本発明の無線送信装置と無線受信装置および無線システムによれば、緊急連絡等の重要度の高いデータに応じてデータを繰り返し送信する回数を変更し、さらに同一データを連続的送信しないように分散させることによって、伝送時に欠落した際、再送信なしに受信側での訂正率を上げることが可能となるという優れた効果が得られる。
【0021】
さらに、本発明の無線送信装置と無線受信装置および無線システムによれば、緊急連絡等の重要度の高いデータに応じてデータに付加するエラー訂正の冗長度を変更するによって伝送時に欠落した際、再送信なしに受信側での訂正率を上げることが可能となるという優れた効果が得られる。
【0022】
さらに、本発明は、無線マルチキャスト伝送方式の様に、受信側からCQIなどの電波状況に関する情報を送信しない、また欠落データの再送要求をしない伝送方法において、緊急連絡等の重要度の高いデータに応じて伝送時のパラメータを変更することによって、伝送路でのロスパケットを減らす、または受信側での訂正率を上げることが可能となるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本願における無線送信装置と無線受信装置および無線システムの構成図である。図1において、100はサービスを提供する人であり、本実施の形態においては航空機内等における乗務員の例とする。101はPassenger Announcement(以下、PAと称す。)を入力する装置であり、本実施の形態においてハンドマイクやワイヤレスマイクまたは、VTRなどの映像や音声を再生するPA入力部とする。102は映像や音声、またはゲームなど蓄積したり、所定のフォーマットに変換したりする機器であり、本実施の形態においてはサーバとする。103は航空機内の乗客にAVサービスやゲームなどのエンターテイメント環境と緊急連絡等を送信する機器であり、本実施の形態においては送信装置とする。104は送信装置内の機能であり、本実施の形態においてはサーバからの入力データを確認するデータ確認部とする。105は送信装置内の機能であり、本実施の形態においてはデータ確認部からのデータとパラメータに従って、無線の伝送速度を切り替える伝送速度切替部とする。
【0025】
106は送信装置内の機能であり、本実施の形態においては伝送速度切替部からの出力を外部に送信する送信アンテナ部とする。107は受信装置内の機能であり、本実施の形態においては送信装置からのデータを受信する受信アンテナ部とする。
【0026】
108は送信装置からのデータを受信し、外部に出力する機器であり、本実施の形態においては受信装置とする。109は受信装置内の機能であり、受信したデータをヘッダとデータに分離するデータ受信部とする。110は受信装置外部に音声を出力する機器であり、本実施の形態においてはヘッドホンやスピーカとする。111は受信装置の外部に映像を出力する機器であり、本実施の形態においてはプロジェクタやモニタとする。
【0027】
図1に従って、本発明の無線送信装置と無線受信装置と無線システムの説明を行う。
【0028】
通常、乗客は無線伝送路を介してヘッドホン110やモニタ111を用いて、サーバ102からのオーディオやビデオなどのAVサービスやゲームなどのエンターテイメントを楽しんでいる。
【0029】
しかし、フライト中には気流の関係で機体が大きく揺らいだりする危険がある場合、乗務員100は、乗客に対し座席への着席やシートベルトの装着を促すため、PA入力部101からサーバ102にハンドマイク等の電源やSWなどにより割り込みコマンドを送信し、緊急連絡を開始する。
【0030】
前記割り込みコマンドと緊急連絡データ(例えば映像や音声などの情報)を受けた前記サーバ102は、直ちに前記割り込みコマンドと前記緊急連絡データを所定のデータフォーマット(例えば、データを所定のデータサイズに分割し、分割したデータ毎にデータの重要度フラグを付与する。)に変換し、直ちに送信装置103に送信する。
【0031】
前記送信装置103では、受信したデータをデータ確認部104に入力し、前記データ確認部104でデータの重要度フラグを確認し、その重要度に応じて無線で伝送する為のパラメータを生成する。さらに前記データ確認部104で生成したパラメータとデータを伝送速度切替部105に送信し、前記伝送速度切替部105では前記パラメータに従って、伝送速度を切り替え、データを無線のデータフォーマットに変換し、送信アンテナ106を介して前記送信装置103の外部へ送信する。
【0032】
前記送信アンテナ106からのデータを受信アンテナ107経由で受信した受信装置108のデータ受信部109はデータを復号し、その重要度に応じて、(重要度の高いデータは)保有するバッファを介さず優先的に、乗客に対して前記受信装置108の出力先であるヘッドホン110やモニタ111に出力する。
【0033】
次に前記送信装置103の動作について図4と図5に従って詳細な説明を行う。
【0034】
図4は本願における送信装置103のデータ確認部104の構成図である。図4において、401は前記サーバ102からのオーディオやビデオの視聴データや緊急連絡などを受信するデータ受信バッファとする。402は前記データ受信バッファ401からのデータの重要度を解析するデータ解析部とする。403は前記データ解析部の結果に従い、内部に保有するパラメータテーブルを参照し、伝送時のパラメータを生成するパラメータ生成部とする。
【0035】
図5は本願におけるパラメータテーブルの一例である。図5において、サービスの内容を重要度に応じて予め分類しておき、その重要度に応じて各パラメータを参照する。
【0036】
通常、乗客は、前記サーバ102からのエンターテイメント・コンテンツを前記送信装置103から無線経路で受信し、ヘッドホン110やモニタ111を用いてオーディオやビデオの視聴データ、またはゲームを楽しんでいる。この場合のデータ処理について示す。
【0037】
前記データ受信バッファ401は、前記サーバ102からのデータ(エンターテイメント・コンテンツ)をバッファリングして、一定の間隔で前記データ解析部402に送信する。前記データを受信した前記データ解析部402は、予め所定のデータフォーマットに変換されている前記データを解析し、データ内部にある重要度フラグを検知し、その重要度フラグの結果(エンターテイメント・コンテンツ=重要度4)を前記パラメータ生成部403に送信する。
【0038】
前記パラメータ生成部403では、図5のパラメータテーブルを参照し、必要なパラメータを生成する。今回、重要度フラグが「4」であることから、重要度の「4」の欄のパラメータを参照する。
【0039】
すなわち、今回の場合、伝送レートとしては「48Mbps」、変調方式としては「64−QAM」、符号化率としては「2/3」といった伝送時のパラメータが前記パラメータ生成部403より送信される。
【0040】
前記データ確認部104は、生成されたパラメータとデータを、前記伝送速度切替部105に送信する。前記伝送速度切替部105は、受信した前記パラメータに従って、伝送レートと変調方式、符号化率の設定を行い、入力されたデータを設定した伝送フォーマットに変換し、送信アンテナ106より変調されたデータで前記送信装置103の外部に出力する。
【0041】
以上のようにエンターテイメント・コンテンツデータの重要度は緊急連絡に比べ低いということで、サービスの形態としてできるだけ多くの伝送帯域を獲得できるようなパラメータを設定している。
【0042】
一方、乗客が視聴データやゲームを楽しんでいる際に、緊急連絡が発生した場合のデータ処理について示す。
【0043】
前記データ受信バッファ401は、前記サーバ102からのデータ(緊急連絡用途の映像や音声)をバッファリングして、一定の間隔で前記データ解析部402に送信する。前記データを受信した前記データ解析部402は、予め所定のデータフォーマットに変換されている前記データを解析し、データ内部にある重要度フラグを検知し、その重要度フラグの結果(緊急放送=重要度1)を前記パラメータ生成部403に送信する。
【0044】
前記パラメータ生成部403では、図5のパラメータテーブルを参照し、必要なパラメータを生成する。今回、重要度フラグが「1」であることから、重要度の「1」の欄のパラメータを参照する。
【0045】
すなわち、今回の場合、伝送レートとしては「6Mbps」、変調方式としては「BPSK」、符号化率としては「1/2」といった伝送時のパラメータが前記パラメータ生成部403より送信される。前記データ確認部104は、生成されたパラメータとデータを、前記伝送速度切替部105に送信する。前記伝送速度切替部105は、受信した前記パラメータに従って、伝送レートと変調方式、符号化率の設定を行い、入力されたデータを設定した伝送フォーマットに変換し、送信アンテナ106より変調されたデータで前記送信装置103の外部に出力する。
【0046】
以上のように緊急連絡データの重要度は最も高いということで、伝送速度を落として、より誤りに強い伝送方式にすることによって、より確実にデータを伝送することができるパラメータを設定している。
【0047】
以上説明したように、無線伝送のデータ(サービス)の重要度に応じて伝送する際の伝送レートと変調方式、符号化率といったパラメータを生成することにより、一回の伝送でより確率が高く乗客に対して緊急連絡の配信の実現可能となる。
【0048】
また従来の課題であった送信時のパラメータ補正の有効性(リアルタイム性)については、無線伝送のデータ(サービス)の重要度に応じて送信時点でパラメータを変更することで実現可能となる。
【0049】
さらに伝送するデータの重要度によって伝送レートと変調方式、符号化率といったパラメータを生成することにより、従来方法の課題であったマルチキャスト伝送時の電波状況のフィードバックや再送要求がない場合において、一回の伝送でより確率が高く乗客に対して緊急連絡の配信の実現可能となる。
【0050】
また伝送するデータの重要度によって伝送レートと変調方式、符号化率といったパラメータを生成することにより、伝送するデータのサービスニーズに合った伝送方式が実現可能となるため、サービスに応じて伝送帯域を有効に活用できる。
【0051】
なお、本実施の形態では一例として航空機内での使用方法について説明を行っているが、航空機内に限定するものではなく、視聴覚室や映画館、または電車(乗り物)のような室内、または野球やサッカー、競馬場の限定された室外の場合でも同様の効果が期待できる。
【0052】
また、本実施の形態では乗務員の緊急連絡を有線経由で行っていたが、有線経由に限定するものではなく、無線経由で同等の緊急連絡を送信した場合でも同様の効果が期待できる。
【0053】
また、本実施の形態ではPA入力部をサーバ経由で送信しているが、これらに限定するものではなく、サーバを経由せずに直接送信装置に入力した場合でも同様の効果が期待できる。
【0054】
また、本実施の形態ではデータやサービスの重要度フラグ設定を予め設定された状態で説明を行っているが、予め設定するのは航空機会社に限定するものではなく、乗客が欲しい情報やサービス(重要度1は必須)に応じて重要度レベルの設定ができる仕組みを実装した場合でも同様の効果が期待できる。
【0055】
また、本実施の形態では緊急連絡を主に乗務員による機内アナウンスとして説明を行っているが、アナウンスに限定するものではなく、例えば脱出経路や入国手続き等のVTRからのデータの場合でも同様の効果が期待できる。
【0056】
また、本実施の形態では一例として伝送時のパラメータとして伝送レートと変調方式、符号化率で説明を行っているが、パラメータはこれらに限定するものではなく、これらのいずれかを適応した場合でも同様の効果が期待でき、さらに新たに送信電力など無線伝送時に設定可能なあらゆるパラメータを考慮した場合でも同様の効果が期待できる。
【0057】
また、本実施の形態では一例としてデータの重要度に応じて、伝送時のパラメータ(伝送レートと変調方式、符号化率)を固定値にしているが、必ずしも固定値に限定するものではなく、予め設定された固定値より余裕を持ったパラメータ(より伝送エラーが低いとされている伝送パラメータ値)を考慮し、その値を設定した場合でも同様の効果が期待できる。
【0058】
また、本実施の形態では一例としてデータの重要度に応じて、伝送時のパラメータ(伝送レートと変調方式、符号化率)を固定値にしているが、必ずしも固定値に限定するものではなく、ユニキャスト伝送の場合、受信側からのCQIなどの電波状況に関する情報から、より余裕を持ったパラメータ(予め電波状況と伝送レートや変調方式、符号化率などの関係を考慮したパラメータテーブルを用意しておく。)を考慮し、設定した場合でも同様の効果が期待できる。
【0059】
また、本実施の形態では一例としてデータの重要度に応じて、伝送時のパラメータ(伝送レートと変調方式、符号化率)を連動して変更しているが、それぞれのパラメータ値の関係は独立しており、必ずしも連動するものではない。しかし伝送レートは、変調方式によって最大値は決まる。例えば、11aの場合、「64−QAM変調」の場合、伝送レートは「54Mbps」と「48Mbps」が想定されており、同一データを送信する場合、伝送レートが高い「54Mbps」の方が、データの出力間隔が大きくなる為、無線特有のバーストエラーで落ちる確率が低下する分、伝送エラーの確率は低くなる。
【0060】
(実施の形態2)
図2は本願における無線送信装置と無線受信装置および無線システムの構成図である。図2において、100はサービスを提供する人であり、本実施の形態においては航空機内等における乗務員の例とする。101はPassenger Announcement(以下、PAと称す。)を入力する装置であり、本実施の形態においてハンドマイクやワイヤレスマイクまたは、VTRなどの映像や音声を再生するPA入力部とする。102は映像や音声、またはゲームなど蓄積したり、所定のフォーマットに変換したりする機器であり、本実施の形態においてはサーバとする。103は航空機内の乗客にAVサービスやゲームなどのエンターテイメント環境と緊急連絡等を送信する機器であり、本実施の形態においては送信装置とする。104は送信装置内の機能であり、本実施の形態においてはサーバからの入力データを確認するデータ確認部とする。201は送信装置内の機能であり、本実施の形態においてはデータ確認部からのデータとパラメータに従って、同一データを繰り返し送信し、さらに同一データが連続的に送信されないように分散させるデータ送信回数切替部とする。107は受信装置内の機能であり、本実施の形態においては送信装置からのデータを受信する受信アンテナ部とする。
【0061】
108は送信装置からのデータを受信し、外部に出力する機器であり、本実施の形態においては受信装置とする。202は受信装置内の機能であり、受信したデータをヘッダとデータに分離し、データを正しい順序に並べ替え、バッファに送信するデータ分離部とする。110は受信装置外部に音声を出力する機器であり、本実施の形態においてはヘッドホンやスピーカとする。111は受信装置の外部に映像を出力する機器であり、本実施の形態においてはプロジェクタやモニタとする。
【0062】
図2に従って、本発明の無線送信装置と無線受信装置および無線システムの説明を行う。
【0063】
通常、乗客は無線伝送路を介してヘッドホン110やモニタ111を用いて、サーバ102からのオーディオやビデオなどのAVサービスやゲームなどのエンターテイメントを楽しんでいる。
【0064】
しかし、フライト中には気流の関係で機体が大きく揺らいだりする危険がある場合、乗務員100は、乗客に対し座席への着席やシートベルトの装着を促すため、PA入力部101からサーバ102にハンドマイク等の電源やSWなどにより割り込みコマンドを送信し、緊急連絡を開始する。
【0065】
前記割り込みコマンドと緊急連絡データ(例えば映像や音声などの情報)を受けた前記サーバ102は、直ちに前記割り込みコマンドと前記緊急連絡データを所定のデータフォーマット(例えば、データを所定のデータサイズに分割し、分割したデータ毎にデータの重要度フラグを付与する。)に変換し、直ちに送信装置103に送信する。
【0066】
前記送信装置103では、受信したデータをデータ確認部104に入力し、前記データ確認部104でデータの重要度フラグを確認し、その重要度に応じて無線で伝送する際の同一データの繰り返し回数と同一データが連続的に送信されないように分散させる分散度のパラメータを生成する。さらに前記データ確認部104で生成したパラメータとデータをデータ送信回数切替部201に送信し、データ送信回数切替部201では前記パラメータに従って、同一データを所定の間隔で分散させながら、所定の回数繰り返し送信し、データを無線のデータフォーマットに変換し、送信アンテナ106を介して前記送信装置103の外部へ送信する。
【0067】
前記送信アンテナ106からのデータを受信アンテナ107経由で受信した受信装置108のデータ分離部202は、例えば無線伝送路内でデータが欠落した場合、別の場所に多重されている欠落データと同一のデータを用いてその欠落データを補間し、また重複するデータは破棄することで、正しいデータ順序に並べ替えを行い、その重要度に応じて(重要度の高いデータは)保有するバッファを介さず優先的に、乗客に対して前記受信装置108の出力先であるヘッドホン110やモニタ111に出力する。
【0068】
しかし、別の場所にも欠落データと同一のデータがない場合、所定の時間待機し、欠落データの次のデータを送信する。
【0069】
次に前記送信装置103の動作について図4と図6、および図7に従って詳細な説明を行う。
【0070】
図4は本願における送信装置103のデータ確認部104の構成図である。図4において、401は前記サーバ102からのオーディオやビデオの視聴データや緊急連絡などを受信するデータ受信バッファとする。402は前記データ受信バッファ401からのデータの重要度を解析するデータ解析部とする。403は前記データ解析部の結果に従い、内部に保有するパラメータテーブルを参照し、伝送時のパラメータを生成するパラメータ生成部とする。
【0071】
図6は本願におけるパラメータテーブルの一例である。図6において、サービスの内容を重要度に応じて予め分類しておき、その重要度に応じてパラメータを参照する。
【0072】
図7は本願における同一データを所定の間隔で所定の回数繰り返し送信した場合の一例である。
【0073】
通常、乗客は、前記サーバ102からのエンターテイメント・コンテンツを前記送信装置103から無線経路で受信し、ヘッドホン110やモニタ111を用いてオーディオやビデオの視聴データ、またはゲームを楽しんでいる。この場合のデータ処理について示す。
【0074】
前記データ受信バッファ401は、前記サーバ102からのデータ(エンターテイメント・コンテンツ)をバッファリングして、一定の間隔で前記データ解析部402に送信する。前記データを受信した前記データ解析部402は、予め所定のデータフォーマットに変換されている前記データを解析し、データ内部にある重要度フラグを検出し、その重要度フラグの結果(エンターテイメント・コンテンツ=重要度4)を前記パラメータ生成部403に送信する。
【0075】
前記パラメータ生成部403では、図6のパラメータテーブルを参照し、必要なパラメータを生成する。今回、重要度フラグが「4」であることから、重要度の「4」の欄のパラメータを参照する。すなわち、今回の場合、同一データの繰り返し数としては「1」、データ分散度の単位となるブロック単位としては「1」、データの分散度としては「1」といった多重時のパラメータが前記パラメータ生成部403より送信される。
【0076】
前記データ確認部104は、生成されたパラメータとデータを、データ送信回数切替部201に送信する。データ送信回数切替部201は、受信した前記パラメータに従って、同一データを所定の回数繰り返し送信し、同一データが連続的に送信されないように所定の間隔に分散させた後に所定の伝送フォーマットに変換し、送信アンテナ106より変調されたデータで前記送信装置103の外部に出力する。
【0077】
ここでデータ送信回数切替部201のデータ送信の方法について説明する。
【0078】
今回のパラメータの場合、図7の[a]に示すように、繰り返し数「1」であるから同一データを1回(繰り返しはない)、ブロック単位「1」であるからデータ1個単位、データの分散度「1」であるから、本来のデータのみが送信される。
【0079】
以上のようにエンターテイメント・コンテンツデータの重要度は緊急連絡に比べ低いということで、サービスの形態としてできるだけ多くの伝送帯域を獲得できるようなパラメータを設定している。
【0080】
一方、乗客が視聴データやゲームを楽しんでいる際に、緊急連絡が発生した場合のデータ処理について示す。
【0081】
前記データ受信バッファ401は、前記サーバ102からのデータ(緊急連絡用途の映像や音声)をバッファリングして、一定の間隔で前記データ解析部402に送信する。前記データを受信した前記データ解析部402は、予め所定のデータフォーマットに変換されている前記データを解析し、データ内部にある重要度フラグを検知し、その重要度フラグの結果(緊急放送=重要度1)を前記パラメータ生成部403に送信する。
【0082】
前記パラメータ生成部403では、図6のパラメータテーブルを参照し、必要なパラメータを生成する。今回、重要度フラグが「1」であることから、重要度の「1」の欄のパラメータを参照する。すなわち、今回の場合、同一データの繰り返し数としては「10」、データ分散度の単位となるブロック単位としては「20」、データの分散度としては「100」といった送信時のパラメータが前記パラメータ生成部403より送信される。
【0083】
前記データ確認部104は、生成されたパラメータとデータを、データ送信回数切替部201に送信する。データ送信回数切替部201は、受信した前記パラメータに従って、同一データを所定の回数繰り返し送信し、同一データが連続的に送信されないように所定の間隔に分散させた後に所定の伝送フォーマットに変換し、送信アンテナ106より変調されたデータで前記送信装置103の外部に出力する。
【0084】
ここでデータ送信回数切替部201のデータ送信の方法について説明する。
【0085】
今回のパラメータの場合、図7の[b]に示すように、繰り返し数「10」であるからデータ1を10回繰り返し送信した後に、データ2を10回繰り返し送信する。この処理をデータ20まで繰り返す(なぜならブロック単位「20」であるから)。このデータ1からデータ20までのデータ単位が分散させる最小単位Aであり、データの分散度「100」とは、この単位Aを100回繰り返し送信する。
【0086】
このように同一データを所定の回数繰り返し送信し、同一データが連続的に送信されないように所定の間隔に分散させて送信することにより、分散的なデータ欠落(図面の横方向)は、同一データ繰り返しが「10」回であるので同一データが最大9個まで欠落してもデータは補間できる。また連続的な欠落としては分散度「100」であるから、最大10X20X99=19800データ分が連続的な欠落した場合でも補間が可能となる。つまり、本データ送信回数切替部201では、今回の例では最大通常データの1000倍のデータ量を送信することになる。
【0087】
以上のように緊急連絡データの重要度は最も高いということで、伝送速度を落とさずに、伝送帯域を有効に活用し、同一データを複数回繰り返し送信し、同一データが連続的に送信されないように分散させることで、より確実にデータを伝送することができるパラメータを設定している。
【0088】
以上説明したように、無線伝送のデータ(サービス)の重要度に応じて伝送レートや変調方式を変更せずに、伝送帯域を最大限に活用し、伝送するデータに応じて同一データを複数回繰り返し送信し、さらに分散させて送信することで、重要度の高いデータを、一回の伝送でより確率が高く乗客に対して配信可能となる。
【0089】
また従来の課題であった送信時のパラメータ補正の有効性(リアルタイム性)については、無線伝送のデータ(サービス)の重要度に応じて送信時点でパラメータを変更することで実現可能となる。
【0090】
さらに伝送するデータの重要度によって同一データを複数回繰り返し送信し、さらに分散させて送信することで、従来方法の課題であったマルチキャスト伝送時の電波状況のフィードバックや再送要求がない場合において、一回の伝送でより確率が高く乗客に対して緊急連絡の配信の実現可能となる。
【0091】
なお、本実施の形態では一例として航空機内での使用方法について説明を行っているが、航空機内に限定するものではなく、視聴覚室や映画館、または電車(乗り物)のような室内、または野球やサッカー、競馬場の限定された室外の場合でも同様の効果が期待できる。
【0092】
また、本実施の形態では乗務員の緊急連絡を有線経由で行っていたが、有線経由に限定するものではなく、無線経由で同等の緊急連絡を送信した場合でも同様の効果が期待できる。
【0093】
また、本実施の形態ではデータやサービスの重要度フラグ設定を予め設定された状態で説明を行っているが、予め設定するのは航空機会社に限定するものではなく、乗客が欲しい情報やサービス(重要度1は必須)に応じて重要度レベルの設定ができる仕組みを実装した場合でも同様の効果が期待できる。
【0094】
また、本実施の形態では緊急連絡を主に乗務員による機内アナウンスとして説明を行っているが、アナウンスに限定するものではなく、例えば脱出経路や入国手続き等のVTRからのデータの場合でも同様の効果が期待できる。
【0095】
また、本実施の形態では一例として送信時のパラメータとして同一データの繰り返し回数と分散させる単位であるブロック単位、データ分散度で説明を行っているが、パラメータはこれらに限定するものではなく、これらのいずれかを適応した場合でも同様の効果が期待できる。
【0096】
また、本実施の形態では一例としてデータの重要度に応じて、送信時のパラメータ(繰り返し回数とブロック単位、分散度)を固定値にしているが、必ずしも固定値に限定するものではなく、設定された固定値より余裕を持ったパラメータ(より伝送エラーが低いとされる送信方法(繰り返し数、分散度をより大きな値とする))を考慮し、その値を設定した場合でも同様の効果が期待できる。
【0097】
また、本実施の形態では一例としてデータに応じて、送信時のパラメータ(繰り返し回数とブロック単位、分散度)を与えているが、これらの値は例に示した値に限定するものではなく、重要度が低いデータの場合でも同一データを繰り返し送信するパラメータを与えることにより、同様の効果が期待できる。さらにマルチキャスト伝送のように再送がない伝送方式の場合、重要度が低いデータの場合でもパラメータを与えることでより効果が期待できる。
【0098】
また、本実施の形態では一例としてデータに応じて、送信時のパラメータ(繰り返し回数とブロック単位、分散度)を固定値にしているが、必ずしも固定値に限定するものではなく、ユニキャスト伝送の場合、受信側からのCQIなどの電波状況やCRCエラー等に関する情報から、より余裕を持ったパラメータ(予め電波状況と繰り返し回数、分散度の関係を考慮したパラメータテーブルを用意しておく。)を考慮し、設定した場合でも同様の効果が期待できる。
【0099】
さらに、パラメータテーブルは、実際に伝送するデータサイズと伝送帯域を考慮した上で設計する必要がある。
【0100】
(実施の形態3)
図3は本願における無線送信装置と無線受信装置および無線システムの構成図である。図3において、100はサービスを提供する人であり、本実施の形態においては航空機内等における乗務員の例とする。101はPassenger Announcement(以下、PAと称す。)を入力する装置であり、本実施の形態においてハンドマイクやワイヤレスマイクまたは、VTRなどの映像や音声を再生するPA入力部とする。102は映像や音声、またはゲームなど蓄積したり、所定のフォーマットに変換したりする機器であり、本実施の形態においてはサーバとする。103は航空機内の乗客にAVサービスやゲームなどのエンターテイメント環境と緊急連絡等を送信する機器であり、本実施の形態においては送信装置とする。104は送信装置内の機能であり、本実施の形態においてはサーバからの入力データを確認するデータ確認部とする。301は送信装置内の機能であり、本実施の形態においてはデータ確認部からのデータとパラメータに従って、所定のフォーマットに従ってエラー訂正を付加するエラー訂正付加処理部とする。107は受信装置内の機能であり、本実施の形態においては送信装置からのデータを受信する受信アンテナ部とする。
【0101】
108は送信装置からのデータを受信し、外部に出力する機器であり、本実施の形態においては受信装置とする。302は受信装置内の機能であり、受信したデータに付加されているパリティデータより、欠落データをエラー訂正するエラー訂正部とする。110は受信装置外部に音声を出力する機器であり、本実施の形態においてはヘッドホンやスピーカとする。111は受信装置の外部に映像を出力する機器であり、本実施の形態においてはプロジェクタやモニタとする。
【0102】
図3に従って、本発明の無線送信装置と無線受信装置および無線システムの説明を行う。
【0103】
通常、乗客は無線伝送路を介してヘッドホン110やモニタ111を用いて、サーバ102からのオーディオやビデオなどのAVサービスやゲームなどのエンターテイメントを楽しんでいる。
【0104】
しかし、フライト中には気流の関係で機体が大きく揺らいだりする危険がある場合、乗務員100は、乗客に対し座席への着席やシートベルトの装着を促すため、PA入力部101からサーバ102にハンドマイク等の電源やSWなどにより割り込みコマンドを送信し、緊急連絡を開始する。
【0105】
前記割り込みコマンドと緊急連絡データ(例えば映像や音声などの情報)を受けた前記サーバ102は、直ちに前記割り込みコマンドと前記緊急連絡データを所定のデータフォーマット(例えば、データを所定のデータサイズに分割し、分割したデータ毎にデータの重要度フラグを付与する。)に変換し、直ちに送信装置103に送信する。
【0106】
前記送信装置103では、受信したデータをデータ確認部104に入力し、前記データ確認部104でデータの重要度フラグを確認し、その重要度に応じてデータに付加するパリティデータ量とデータのインターリーブ長のパラメータを生成する。
【0107】
さらに前記データ確認部104で生成したパラメータとデータをエラー訂正付加処理部301に送信し、エラー訂正付加処理部301では前記パラメータに従って、データに対して演算処理したパリティを付加し、データのインターリーブ処理を行い、データを無線のデータフォーマットに変換し、送信アンテナ106を介して前記送信装置103の外部へ送信する。
【0108】
前記送信アンテナ106からのデータを受信アンテナ107経由で受信した受信装置108のエラー訂正部302は、例えば無線伝送路内でデータが欠落した場合、パリティデータを用いてその欠落データを演算補間し、その重要度に応じて(重要度の高いデータは)保有するバッファを介さず優先的に、乗客に対して前記受信装置108の出力先であるヘッドホン110やモニタ111に出力する。
【0109】
しかし、演算処理を行っても欠落データ補間できない場合、所定の時間待機し、欠落データの次のデータを送信する。
【0110】
次に前記送信装置103の動作について図4と図8に従って詳細な説明を行う。
【0111】
図4は本願における送信装置103のデータ確認部104の構成図である。図4において、401は前記サーバ102からのオーディオやビデオの視聴データや緊急連絡などを受信するデータ受信バッファとする。402は前記データ受信バッファ401からのデータの重要度を解析するデータ解析部とする。403は前記データ解析部の結果に従い、内部に保有するパラメータテーブルを参照し、伝送時のパラメータを生成するパラメータ生成部とする。
【0112】
図8は本願におけるパラメータテーブルの一例である。図8において、サービスの内容を重要度に応じて予め分類しておき、その重要度に応じてパラメータを参照する。
【0113】
通常、乗客は、前記サーバ102からのエンターテイメント・コンテンツを前記送信装置103から無線経路で受信し、ヘッドホン110やモニタ111を用いてオーディオやビデオの視聴データ、またはゲームを楽しんでいる。この場合のデータ処理について示す。
【0114】
前記データ受信バッファ401は、前記サーバ102からのデータ(エンターテイメント・コンテンツ)をバッファリングして、一定の間隔で前記データ解析部402に送信する。前記データを受信した前記データ解析部402は、予め所定のデータフォーマットに変換されている前記データを解析し、データ内部にある重要度フラグを検知し、その重要度フラグの結果(エンターテイメント・コンテンツ=重要度4)を前記パラメータ生成部403に送信する。
【0115】
前記パラメータ生成部403では、図8のパラメータテーブルを参照し、必要なパラメータを生成する。今回、重要度フラグが「4」であることから、重要度の「4」の欄のパラメータを参照する。
【0116】
すなわち、今回の場合、送信すべきデータとエラー訂正用のパリティの比としては「4:1」、データのインターリーブ長として「20」といったエラー訂正を付加する時のパラメータが前記パラメータ生成部403より送信される。
【0117】
前記データ確認部104は、生成されたパラメータとデータを、前記エラー訂正付加処理部301に送信する。前記エラー訂正付加処理部301は、受信した前記パラメータに従って、データ8割に対し2割の演算処理したエラー訂正(パリティデータ)を付加し、インターリーブ長に従いデータを分散させた後に所定の伝送フォーマットに変換し、送信アンテナ106より変調されたデータで前記送信装置103の外部に出力する。
【0118】
以上のようにエンターテイメント・コンテンツデータの重要度は緊急連絡に比べ低いということで、サービスの形態としてできるだけ多くの伝送帯域を獲得できるようなパラメータを設定している。
【0119】
一方、乗客が視聴データやゲームを楽しんでいる際に、緊急連絡が発生した場合のデータ処理について示す。
【0120】
前記データ受信バッファ401は、前記サーバ102からのデータ(緊急連絡用途の映像や音声)をバッファリングして、一定の間隔で前記データ解析部402に送信する。前記データを受信した前記データ解析部402は、予め所定のデータフォーマットに変換されている前記データを解析し、データ内部にある重要度フラグを検知し、その重要度フラグの結果(緊急放送=重要度1)を前記パラメータ生成部403に送信する。
【0121】
前記パラメータ生成部403では、図8のパラメータテーブルを参照し、必要なパラメータを生成する。今回、重要度フラグが「1」であることから、重要度の「1」の欄のパラメータを参照する。すなわち、今回の場合、送信すべきデータとパリティ比としては「1:1」、インターリーブ長としては「200」といったエラー訂正付加する時のパラメータが前記パラメータ生成部403より送信される。
【0122】
前記データ確認部104は、生成されたパラメータとデータを、前記エラー訂正付加処理部301に送信する。前記エラー訂正付加処理部301は、受信した前記パラメータに従って、データ5割に対し5割の演算処理したエラー訂正(パリティデータ)を付加し、インターリーブ長に従いデータを分散させた後に所定の伝送フォーマットに変換し、送信アンテナ106より変調されたデータで前記送信装置103の外部に出力する。
【0123】
以上のように緊急連絡データの重要度は最も高いということで、伝送速度を落とさずに、伝送帯域を有効に活用し、送信すべきデータにエラー訂正(パリティデータ)を付加し、インターリーブ長に従いデータを分散させることで、より確実にデータを伝送することができるパラメータを設定している。
【0124】
以上説明したように、無線伝送のデータ(サービス)の重要度に応じて伝送レートや変調方式を変更せずに、伝送帯域を最大限に活用し、無線伝送のデータの重要度に応じてデータ付加するデータパリティ量とインターリーブ長を変更するパラメータを生成することにより、一回の伝送でより確率が高く乗客に対して緊急連絡の配信の実現可能となる。
【0125】
また従来の課題であった送信時のパラメータ補正の有効性(リアルタイム性)については、無線伝送のデータ(サービス)の重要度に応じて送信時点でパラメータを変更することで実現可能となる。
【0126】
さらに伝送するデータの重要度によってデータに付加するエラー訂正用のパリティ量とインターリーブ長を変更することで、従来方法の課題であったマルチキャスト伝送時の電波状況のフィードバックや再送要求がない場合において、一回の伝送でより確率が高く乗客に対して緊急連絡の配信の実現可能となる。
【0127】
なお、本実施の形態では一例として航空機内での使用方法について説明を行っているが、航空機内に限定するものではなく、視聴覚室や映画館、または電車(乗り物)のような室内、または野球やサッカー、競馬場の限定された室外の場合でも同様の効果が期待できる。
【0128】
また、本実施の形態では乗務員の緊急連絡を有線経由で行っていたが、有線経由に限定するものではなく、無線経由で同等の緊急連絡を送信した場合でも同様の効果が期待できる。
【0129】
また、本実施の形態ではデータやサービスの重要度フラグ設定を予め設定されている状態で説明を行っているが、予め設定するのは航空機会社に限定するものではなく、乗客が欲しい情報やサービス(重要度1は必須)に応じて重要度レベルの設定ができる仕組みを実装した場合でも同様の効果が期待できる。
【0130】
また、本実施の形態では緊急連絡を主に乗務員による機内アナウンスとして説明を行っているが、アナウンスに限定するものではなく、例えば脱出経路や入国手続き等のVTRからのデータの場合でも同様の効果が期待できる。
【0131】
また、本実施の形態では一例としてエラー訂正付加する時のパラメータとしてデータとパリティ比とインターリーブ長で説明を行っているが、パラメータはこれらに限定するものではなく、これらのいずれかを適応した場合でも同様の効果が期待できる。
【0132】
また、本実施の形態では一例としてデータに応じて、エラー訂正時のパラメータ(データとパリティ比とインターリーブ長)を固定値にしているが、必ずしも固定値に限定するものではなく、設定された固定値より余裕を持ったパラメータ(よりエラー訂正能力が高いとされる方法(パリティデータ量を大きくし、インタリーブ長を長くする))を考慮し、設定した場合でも同様の効果が期待できる。
【0133】
また、本実施の形態では一例としてデータに応じて、エラー訂正時のパラメータ(データとパリティ比とインターリーブ長)を固定値にしているが、必ずしも固定値に限定するものではなく、ユニキャスト伝送の場合、受信側からのCQIなどの電波状況やCRCエラー等に関する情報から、より余裕を持ったパラメータ(予め電波状況とパリティ量、インターリーブ長の関係を考慮したパラメータテーブルを用意しておく。)を考慮し、設定した場合でも同様の効果が期待できる。
【0134】
また、本実施の形態では一例としてデータの重要度に応じて、エラー訂正時のパラメータ(データとパリティ比とインターリーブ長)を与えているが、実際に伝送するデータサイズと伝送帯域を考慮した上でパラメータテーブルを設計する必要がある。
【0135】
また、本実施の形態である1から3に示した実施の形態のいずれかを組み合わせることによって、より伝送時のエラーに対し、訂正能力が高い効果が期待できる。
【0136】
また、本実施の形態である1から3に示した実施の形態では、重要度フラグにより、パラメータを切り替えたが、重要度フラグだけに限定するものではなく、アナウンス用のSWやマイクのON/OFFのような信号によって、パラメータを切り替えた場合でも同様の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本願発明にかかる無線送信装置と無線受信装置および無線システムは、データに応じてパラメータを容易に切り替えることが実現可能となるので、例えば航空機等で緊急放送を配信するシステム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の実施の形態1における無線送信装置と無線受信装置および無線システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態2における無線送信装置と無線受信装置および無線システムの構成図
【図3】本発明の実施の形態3における無線送信装置と無線受信装置および無線システムの構成図
【図4】本発明の実施の形態1から3におけるデータ確認部の構成図
【図5】本発明の実施の形態1におけるデータ確認部で保有しているパラメータテーブルの一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態2におけるデータ確認部で保有しているパラメータテーブルの一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2におけるデータ送信回数切替部のデータ多重例を示す図
【図8】本発明の実施の形態3におけるデータ確認部で保有しているパラメータテーブルの一例を示す図
【符号の説明】
【0139】
100 乗務員
101 PA入力部
102 サーバ
103 送信装置
104 データ確認部
105 伝送速度切替部
106 送信アンテナ
107 受信アンテナ
108 受信装置
109 データ受信部
110 ヘッドホン
111 モニタ
201 データ送信回数切替部
202 データ分離部
301 エラー訂正付加処理部
302 エラー訂正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線エリア内において、
送信データを確認するデータ確認部と、
前記データ確認部からのデータを入力し、データの重要度に従って送信時の伝送速度を切り替える伝送速度切替部と、
前記伝送速度切替部からのデータを無線で出力するための送信アンテナと、
を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
無線エリア内において、
送信データを確認するデータ確認部と、
前記データ確認部からのデータを受信し、データの重要度に従って送信時のデータの送信回数を切り替えるデータ送信回数切替部と、
前記データ送信回数切替部からのデータを無線で出力するための送信アンテナと、
を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項3】
無線エリア内において、
送信データを確認するデータ確認部と、
前記データ確認部からのデータを受信し、データの重要度に従って送信時のデータに付加するエラー訂正の冗長度を切り替えるエラー訂正付加処理部と、
前記エラー訂正付加処理部からのデータを無線で出力するための無線送信アンテナと、
を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項4】
前記送信装置は、装置外部、または装置内部にデータを蓄積または、所定のフォーマットに変換し、送出するサーバを具備することを特徴とする請求項1乃至3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記サーバは、内部または外部に緊急連絡など重要な情報を入力する手段と、それが重要な情報であることを通知、または割り込みをあげる手段からなる緊急連絡入力部を具備することを特徴とする請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
前記データ確認部は、前記サーバからのデータまたは重要通知信号を受信するデータ受信部と、受信したデータが所定の時間内に所定のサービスを実現すべきデータかを解析するデータ解析部と、前記データ解析部の結果または重要通知信号から内部に保有するパラメータテーブルを参照し、送信データに適応したパラメータを決定し、データとそのパラメータを送出する機能を有するパラメータ生成部を具備することによって、送信するデータに最も適した伝送時のパラメータを生成することを特徴とする請求項1乃至3に記載の送信装置。
【請求項7】
前記パラメータテーブルは、予め設定されたデータの重要度と、データの重要度に応じて無線で送信する際の伝送レート、または伝送時に用いる変調方式、または伝送時の誤り訂正を付加することによるデータ符号化率のいずれかのパラメータを保有し、伝送するデータの重要度に応じて少なくとも前記パラメータのうち一つ以上のパラメータを生成することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記パラメータテーブルは、予め設定されたデータの重要度と、データの重要度に応じて無線で送信する際のデータの重複回数を決めるパラメータとして、少なくとも同一データを複数回繰り返す回数と、送信する同一データが連続的に送信されないように繰り返し送信するデータを所定の間隔で送出する分散度のいずれかのパラメータを保有し、伝送するデータの重要度に応じて少なくとも前記パラメータのうち一つ以上のパラメータを生成することを特徴とする請求項6に記載の無線システム。
【請求項9】
前記パラメータテーブルは、予め設定されたデータの重要度と、データの重要度に応じて本来のデータとそのエラー訂正用パリティとの比を示すデータパリティ比と、データブロックの順番を並べ替える際に用いるインターリーブ長のいずれかのパラメータを保有し、伝送するデータの重要度に応じて少なくとも前記パラメータのうち一つ以上のパラメータを生成することを特徴とする請求項6に記載の送信装置。
【請求項10】
前記伝送速度切替部は、前記データ確認部からのデータとパラメータを受信し、前記パラメータに従って、伝送時のパラメータとして伝送レート、または変調方式、または符号化率のいずれか一つ以上を設定し無線伝送することを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項11】
前記データ送信回数切替部は、前記データ確認部からのデータとパラメータを受信し、前記パラメータに従って、設定された所定の間隔毎に同一データを所定の回数繰り返し送信し、無線伝送することを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
【請求項12】
前記エラー訂正付加処理部は、前記データ確認部からのデータとパラメータを受信し、前記パラメータに従って、エラー訂正の際に使用するデータパリティ比やインターリーブ長を設定し、データにエラー訂正情報を付加した後に無線伝送することを特徴とする請求項3に記載の送信装置。
【請求項13】
請求項1に記載の送信装置と、
さらに
前記送信アンテナからのデータを受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナからのデータをヘッダとデータに分離するデータ受信部と、
分離したデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段と、
を具備する受信装置と、
により構成されることを特徴とする無線システム。
【請求項14】
請求項2に記載の送信装置と、
さらに
前記送信アンテナからのデータを受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナからのデータをヘッダとデータに分離し、データ順序を並べ替えるデータ分離部と、
並べ替えられたデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段と、
を具備する受信装置と、
により構成されることを特徴とする無線システム。
【請求項15】
請求項3に記載の送信装置と、
さらに
前記送信アンテナからのデータを受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナからのデータを用いて欠落データのエラー訂正を行うエラー訂正部と、エラー訂正後のデータをバッファに蓄積して外部に出力する手段と、
を具備する受信装置と、
により構成されることを特徴とする無線システム。
【請求項16】
前記受信装置は、前記送信装置からのデータを受信し、多重されているデータを分離し、欠落データを他の多重エリアから補間しデータ順序を並べ替え、外部に出力するデータ分離部を具備し、データの重要度に応じて内部に保有するバッファを介さずに外部に出力することを特徴とする請求項13乃至15に記載の無線システム。
【請求項17】
前記受信装置は、前記送信装置からのデータを受信し、エラー訂正付加処理されているデータを用い、欠落データの訂正演算処理を実行するエラー訂正部を具備し、データの重要度に応じて内部に保有するバッファを介さずに外部に出力することを特徴とする請求項13乃至15に記載の無線システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−109301(P2006−109301A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295918(P2004−295918)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】