説明

逆止弁を用いた送液装置、および反応液体クロマトグラフシステム

【課題】圧力や流量の変化が逆止弁の正常な開閉によるものかどうかの正確な判定ができ、送液装置やそのシステムにおいて逆止弁が正常動作か異常動作かをリアルタイムでモニタリングすることを可能とし、送液装置およびそのシステムのトラブルシューティングが容易に行えることで、送液装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】逆止弁内に光を導入し、弁の開閉によって逆止弁内を透過または反射する光量変化を検知することにより、逆止弁の開閉動作を直接検知し、開閉のモニタリングを可能とする。また、この機能を備えた逆止弁を送液装置の配管に配置し、配管内の圧力を検知する圧力センサからの信号と逆止弁の開閉を表す信号とから、配管内の圧力変動をモニタリングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応液体クロマトグラフシステム、及び反応液体クロマトグラフシステムなどの流体状の試料を分析する装置に用いられる送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反応液体クロマトグラフシステムなどの流体状の試料を分析する装置では、液体状の試料を送液するための送液ポンプの前後に、試料の逆流を防ぐための逆止弁が設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、逆止弁の構成を示す縦断面図であり、反応液体クロマトグラフシステムなどの高圧流路内で使用されている典型的な逆止弁の基本構成の一例を示している。弁本体の内部の高圧の流路内のわずかな圧力差によって流路の開閉を行う弁体を設けた構造によって、逆流防止を行うものである。例えば、ステンレス製の逆止弁ユニット81内に格納された逆止弁ホルダー82の両端にシール83,84を設けて、弁本体の機密性を保つ。逆止弁ホルダー82の内部に、サファイア弁座83とルビーボール84が設けられ、図の左から右方向の流れのときにはサファイア弁座83からルビーボール84が浮き上がって弁が開き、右から左方向の流れのときにはサファイア弁座83にルビーボール84が押し付けられて、弁が閉じる。このように、ルビーボール84とサファイア弁座83の密着と浮上が、逆止弁の開閉となる。
【0004】
図9,図10は、逆止弁の構成を示す縦断面図であり、配管との接続のためにフェラル付き押しネジを用いたときの構造を示している。図9に示す逆止弁ユニット91は、上流側のフェラル付き押しネジ92と、下流側の接続ユニット93により、流路の間に組み込まれる。逆止弁の下流側に圧力センサ94が設けられている。図9は弁が閉じているときを示し、上流側の配管95内の圧力Paが、下流側の配管96内の圧力Pbよりも低い場合、両圧力の圧力差により、図8に示すルビーボール84がサファイア弁座83に密着する。
【0005】
図10は弁が開いているときを示し、上流側の配管95内の圧力Paが、下流側の配管96内の圧力Pbよりも高くなると、両圧力の圧力差により、図8に示すルビーボール84がサファイア弁座83から浮き上がり、流体が流れる。この時の圧力の変化は、通常、下流側の配管96に設置されている圧力センサ94によってモニタリングされる。また、圧力センサ94の代わりに流量センサを用いた場合は、圧力の変化でなく流量がゼロから増加する変化としてモニタリングすることができる。この様に、逆止弁は、流体の流れを一方向にするためのものとして用いられる。
【0006】
しかし、従来の逆止弁の構成では、圧力や流量の変化が逆止弁の正常な開閉によるものかどうかの正確な判定ができない場合がある。例えば、図8に示す逆止弁ホルダー82のシール83,84からの漏れ、図9に示すフェラル付き押しネジ92のシール部からの漏れ、流路の詰まりなどによって、圧力や流量の変化が起こりうる。また、逆止弁の弁の固着や、流体の圧力変動による弁のハンチングといった正常な弁の開閉ができない場合もありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−273514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
反応液体クロマトグラフシステムなどの流体状の試料を分析する装置に用いられる送液装置における配管内の圧力や流量の変化が、逆止弁の誤動作によって起きているかどうかを正しく判断するために、逆止弁の開閉動作を直接検知しモニタリングすることが必要である。
【0009】
本発明は、圧力や流量の変化が逆止弁の正常な開閉によるものかどうかの正確な判定ができ、送液装置やそのシステムにおいて逆止弁が正常動作か異常動作かをリアルタイムでモニタリングすることを可能とし、また、送液装置およびそのシステムのトラブルシューティングが容易に行えることで、送液装置の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、逆止弁内に光を導入し、弁の開閉によって逆止弁内を透過または反射する光量変化を検知することにより、逆止弁の開閉動作を直接検知し、開閉のモニタリングを可能とする。また、この機能を備えた逆止弁を送液装置の配管に配置し、配管内の圧力を検知する圧力センサからの信号と逆止弁の開閉を表す信号とから、配管内の圧力変動をモニタリングする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施態様によれば、圧力や流量の変化が逆止弁の正常な開閉によるものかどうかの正確な判定ができ、送液装置やそのシステムにおいて逆止弁が正常動作か異常動作かをリアルタイムでモニタリングすることが可能となり、また、送液装置およびそのシステムのトラブルシューティングを容易に行えるため、送液装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】反応液体クロマトグラフシステムの構成を示す構成図である。
【図2】本発明に係る逆止弁の構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る高耐圧逆止弁の構成を示す縦断面図である。
【図4】光検知機能付の逆止弁を組み込んだ送液ポンプの概略構成を示す縦断面図である。
【図5】逆止弁からの信号強度の時間変化を示すグラフである。
【図6】圧力センサからの信号強度の時間変化を示すグラフである。
【図7】送液装置の構成を示す縦断面図である。
【図8】従来例を示し、逆止弁の構成を示す縦断面図である。
【図9】従来例を示し、逆止弁の構成を示す縦断面図である。
【図10】従来例を示し、逆止弁の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。流体としては、液体を想定しているが、気体や粘性液体に対しても応用できる。
〔実施例〕
図1は、反応液体クロマトグラフシステムの構成を示す構成図である。分析対象のサンプルをシステム内で移動させるために、キャリアとなる2つの溶離液1,2を分離ポンプ3で分離カラム4へ送る。混合バルブ5は、2つの溶離液1,2を混合して混合液をつくる。この混合液にサンプルインジェクター6でサンプルが注入され、分離カラム4へ送られる。分離カラム4では、カラムオーブン(図示せず)により温度が一定に保たれながら、混合液がサンプルの成分に従って分離され、ミキシングティ7へ送られる。一方、反応ポンプ8によって反応液9がミキシングティ7へ送られ、サンプルがはいった混合液と反応液とが化学反応し、生成物が検出器10で検出される。検出情報はデータ処理装置11へ送られ、ディスプレイ12に図に示すようなデータの画面が表示される。分離ポンプ3と反応ポンプ8は、混合液または反応液を指定された流量で送液する。後述する本発明によって構成された送液装置を分離ポンプ3と反応ポンプ8の構成として採用することにより、脈流がないか少ない無脈流ポンプとすることができる。
【0014】
データ処理装置11は、データの入出力ユニットと、プロセッサと、メモリとを備え、入力データを加工してディスプレイ12に見易く表示させる。データは、検出器10からのクロマトグラフィの分析データのみでなく、分離ポンプ3または、反応ポンプ8の流体の圧力を示すデータを含む。これらのデータは、ディスプレイ12へリアルタイムで表示されたり、レポートとして印刷用に出力されたり、ファイル保存される。これらのリアルタイム表示データや出力データから、分離ポンプ3や反応ポンプ8の動作診断、ポンプの一時停止、更にそれに伴うシステム終了処理などの制御、システム全体の運転状況のモニタリングやトラブルシューティングを行うことができる。
【0015】
分離ポンプ3や反応ポンプ8には、流体の逆流を防ぐ目的で逆止弁が設けられる。図2は、本発明に係る逆止弁の構成を示す縦断面図であり、前述の従来型逆止弁と同じく、高圧の流路内のわずかな圧力差によって流路の開閉を行う弁体を設けた構造によって、逆流防止を行う。前述の従来型逆止弁と異なる点は、逆止弁ユニット21に、例えば発光ダイオードの光源部22と、例えばダイオード検知器の光検知部23が組み込まれている点である。さらに、図2に示す構成では、逆止弁ホルダー24に、例えばガラスの光透過性の材料を用いた点である。流路25の開口部がルビーボール26で塞がれている弁が閉じた状態で、光源部22から出た光線は、ルビーボール26の端部を掠めるように調整されている。従って、弁が開いた状態、即ち、ルビーボール26がサファイア弁座27から浮上した状態では、光の一部は遮られる。したがって、光透過性の逆止弁ホルダー24を透過する光量が減少する。このようにして、逆止弁の動作を、光信号の変化としてモニターすることが可能となる。
【0016】
図3は、本発明に係る高耐圧逆止弁の構成を示す縦断面図である。弁の内部を流れる流体の圧力が高いので、逆止弁ユニット31のみならず、逆止弁ホルダー32もステンレス等の金属製であることが多い。この逆止弁ホルダー32に、ルビーボール33の位置を検出するための光を透過させるために、開孔34を設けるとともに、光源部35と光検知部36の構成を、次のようにする。
【0017】
光源部35の光を導くための光ファイバー37をスリーブ38で被覆し、反応液体クロマトグラフで使用されるフェラル付き押しネジ39でシールする構成とする。光検知部36も同様の構成とする。光ファイバー37を用いることで、光源部35および光検知部36を逆止弁の本体に埋め込む必要がなくなり、高耐圧に対応できるだけでなく、光源部35および光検知部36を逆止弁から離れた任意の場所に設置できるので、装置のレイアウト上の使い勝手がよくなるという効果がある。
【0018】
なお、図2,図3に示した逆止弁では、一例としてルビーボールとサファイア弁座の組み合わせを用いているが、本発明の弁の開閉を光で検知する構造は、ステンレス製のボールと同じくステンレス製の弁座を組み合わせた構成や、ボールの変わりに弁膜を用いた構成でも、容易に適用可能である。
【0019】
図4は、図2,図3に示した光検知機能付の逆止弁を組み込んだ送液ポンプの概略構成を示す縦断面図である。送液ポンプ41は、溶液42を配管43から配管44へ送るものである。送液ポンプ41の主要な機構が組み込まれているシリンダー45のプランジャー46を往復動作させるために、モータ47の軸の回転運動をボールスクリューネジ48で往復運動に変えている。シリンダー45の溶液42の吸引側に逆止弁49が、吐出側に逆止弁50が設けられている。図4は、図2または図3に示した光検知機能付の逆止弁を吸引側に設ける例を示している。逆止弁49での弁の開閉状態を示す信号と、送液ポンプ41で圧縮して送られる溶液42の圧力を検出する圧力センサ51からの信号とが、モータ制御部52へ送られる。モータ制御部52では、配管内の溶液の圧力や流量の変化が、逆止弁の誤動作によって起きているのかどうかを判断して、送液ポンプ41のモータ47を制御する。
【0020】
送液ポンプ41の図の例では、ボールスクリューネジ48でプランジャー46を往復運動させる構成のポンプを示したが、カムでプランジャー46を動作させるポンプも一般に使用されている。この場合にも、光検知機能付逆止弁を用いることが可能である。また、一押し型ポンプにも、光検知機能付逆止弁を用いることが可能である。
【0021】
図5は、光検知機能付の逆止弁からの信号強度の時間変化を示すグラフであり、光検知機能付の逆止弁を吐出側に設けた場合を示す。図6は、圧力センサ51からの信号強度の時間変化を示すグラフである。
【0022】
送液ポンプ41が送液中は、吐出側の光検知機能付の逆止弁50の、図2に示したルビーボール26がサファイア弁座27から浮上して弁が開いているので、信号強度は減少する。そして、この間の圧力は低い。一方、ポンプが吸引中や、溶液42を予備圧縮している過程では、吐出側の逆止弁50の弁が閉じているので、信号強度が上昇する。また、シリンダー45内の圧力が、吐出側の逆止弁50内の圧力を越えると、ポンプの送液が再開されるので、圧力は上昇し始める。ポンプ動作の一周期ごとに、この逆止弁50の信号強度と圧力センサ51からの信号強度との周期が一致する。
【0023】
ここで、圧力センサ51からの信号強度に異常が観測されたとき、もし、逆止弁50からの信号強度も異常であれば、逆止弁50の誤動作が原因であると容易に判断できる。逆止弁50からの信号強度が正常であるならば、逆止弁50の誤動作以外の原因の可能性がある。例えば、液漏れ,詰まり、吸引側の逆止弁49の誤動作の可能性がある。このように、逆止弁からの信号強度をリアルタイムでモニターおよびデータ記憶することにより、ポンプの動作診断やトラブルシューティングが容易になる。
【0024】
図5,図6に示した例では、ポンプの吸引および吐出過程での、図4に示したプランジャー46の動作速度は一定である。しかし、吸引過程での圧力低下を最小限にするために、吸引過程および予備圧縮過程、すなわち光検知機能付の逆止弁50が閉の状態をできるだけ短くする。即ち、この過程のプランジャー46の動作速度を、吐出過程の、例えば、2から3倍に大きくするモータ47の制御方法が考えられる。これをクイックリターン制御とよぶ。この場合、予備圧縮過程の終了点をどのように決めるかが問題である。圧力センサ51の圧力信号は、終了点を過ぎると急激に上昇しオーバーシューティングするので、モータ制御部52がこの圧力上昇を検知してから、モータ47の速度を元に戻すといった制御方法が行われている。
【0025】
光検知機能付の逆止弁からの信号強度を用いても、上述と同様のクイックリターン制御が可能である。即ち、予備圧縮過程の終了点前では、送液ポンプ41のシリンダー45内の圧力は、ポンプの外の圧力より低いが、予備圧縮過程の終了点で同等になり、その後逆転する。この時、光検知機能付の逆止弁内のルビーボール26が動いてサファイア弁座27から浮上するので、信号強度の変化が起こる。光検知機能付の逆止弁が閉から開の状態に変化した時点を、予備圧縮過程の終了点とし、モータ47の速度を元に戻す訳である。この方式では、圧力は徐々に上昇するので、急激な圧力上昇によるオーバーシューティングを防ぐことができる。
【0026】
図7は、図4に示した送液ポンプ1台の他に、もう一台の送液ポンプを直列にして溶液を送液する送液装置の構成を示す縦断面図である。この直列タイプでは、上流側のポンプを第1ポンプ71、下流側のポンプを第2ポンプ72とよぶと、吸引側逆止弁73は、溶液74側の配管75と第1ポンプ71の間に配置され、吐出側逆止弁76は、第1ポンプ71と第2ポンプ72の間に配置される。例えば、図7では、吐出側逆止弁76を第1ポンプ71と配管77の間の第1ポンプ71に固定するように配置する例を示している。図7の例では、吐出側逆止弁76を光検知機能付の逆止弁としているが、吸引側でもよく、また、両方に用いても良い。吐出側逆止弁76からの信号と、圧力センサ78からの信号とがモータ制御部79へ送られる。モータ制御部79は、第1ポンプ71のモータと、第2ポンプ72のモータとを独立して制御する。
【0027】
図7の例では、第1ポンプ71は、溶液74を吸引して圧縮し、第2ポンプ72を介して配管80から送液する。第2ポンプ72は、第1ポンプ71が吸引とそれに続く予備圧縮過程中で送液できない間、第1ポンプ71で圧縮済みの溶液74を代わりに吐出する機能を有する。第1ポンプ71が予備圧縮過程を終了し、吐出過程になった時点で、第2ポンプ72は、圧縮済みの溶液74の一部、例えば半分の量を吸引し、次の吐出に備える。第1ポンプ71と第2ポンプ72のこのような連携動作により、流量が一定で脈流の少ない送液が実現できる。図7に示した構成の送液ポンプは、ストローク長が可変なので、第1ポンプ71や第2ポンプ72のストローク長を、それぞれ独立に調整して、流量が一定で脈流の少ない送液を実現することができる。
【0028】
図7に示した送液ポンプの他、カム駆動ポンプを直列または並列に組み合わせても、光検知機能付の逆止弁を用いて、同様の効果を得ることができる。但し、1個のモータで第1および第2ポンプのプランジャーをカム方式で動作させる場合には、第1および第2ポンプの動作位相が固定されることに注意する必要がある。
【0029】
図7に示した送液ポンプの構成における課題は、予備圧縮過程の終了をどのように検知して、第1ポンプのモータと第2ポンプのモータを制御するかである。例えば、特開平4−234578号公報には、予備圧縮過程の終了点での圧力リップル(図7の圧力センサ78の信号の変動に相当)が最小限になるように、モータを制御することが記載されている。また、例えば、特開平7−072130号公報や国際特許出願公開WO2003/0079000号には、もう一つの圧力センサを第1ポンプのシリンダーのヘッドに取り付け、この圧力センサの値と圧力センサ78の値が一致した時点を予備圧縮過程の終了点として、モータを制御することが記載されている。
【0030】
これに対して、図7に示した本発明の実施例では、光検知機能付の吐出側逆止弁76からの弁の開閉を示す信号を用いている。予備圧縮過程の終了点前では、第1ポンプ71のシリンダー内の圧力は、第2ポンプ72のシリンダー内の圧力より低いが、予備圧縮過程の終了点で同等になり、その後逆転する。この時、光検知機能付の逆止弁76内の図2に示したルビーボール26が動き、サファイア弁座27から浮上するので、信号強度の変化が起こり、光検知機能付の吐出側逆止弁76の弁の開閉のタイミングを正確に知ることができる。また、光検知機能付の吐出側逆止弁76の信号強度の変化をリアルタイムでディスプレイに表示させたり、データとして記憶させることにより、ポンプの動作診断やトラブルシューティングが容易になるという効果をもたらす。
【0031】
上述したように、本発明の実施例によれば、従来の逆止弁では、圧力や流量の変化が逆止弁の正常な開閉によるものかどうかの正確な判定ができないといった問題を解決できる。即ち、本発明の光検知機能付逆止弁を組み込んだ送液装置では、流路系の接続部やシール部からの液漏れや流路の詰まりなどで起こる圧力や流量の変化と逆止弁の誤動作に由来する圧力や流量の変化を区別することができる。また、送液装置やそのシステムにおいて逆止弁の正常動作によって起きているかどうかをリアルタイムでモニタリングすることが可能となり、また、データを記録することにより、送液装置およびそのシステムのトラブルシューティングを容易に行えるため、送液装置の信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0032】
1,2 溶離液
3 分離ポンプ
4 分離カラム
5 混合バルブ
6 サンプルインジェクター
7 ミキシングティ
8 反応ポンプ
9 反応液
10 検出器
11 データ処理装置
12 ディスプレイ
21,31 逆止弁ユニット
22 光源部
23 光検知部
24,32 逆止弁ホルダー
26,33 ルビーボール
27 サファイア弁座
35 光源部
36 光検知部
41 送液ポンプ
45 シリンダー
46 プランジャー
47 モータ
49,50 逆止弁
51,78 圧力センサ
52 モータ制御部
71 第1ポンプ
72 第2ポンプ
73 吸引側逆止弁
76 吐出側逆止弁
79 モータ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内の試料を吸引し吐出するポンプと、
該ポンプの下流側配管内の圧力を検知する圧力センサと、
該圧力センサで検知された値に基づいて前記ポンプの作動を制御する制御装置と、
該ポンプの吸引側に設けられる第1の逆止弁と、
該ポンプの吐出側に設けられる第2の逆止弁とを備えた送液装置において、
前記第1の逆止弁および前記第2の逆止弁のうちの少なくともひとつは、流路の開口を塞ぐルビーボールと、該ルビーボールが前記開口を塞ぐときに接触するサファイア弁座と、前記ルビーボールの一部に光を照射する光源と、該光源からの光を検知する光検知部とを備え、
前記制御装置は、前記光検知部から送られる逆止弁の開閉を表す信号と、前記圧力センサで検知された値とに基づいて、前記ポンプの作動を制御することを特徴とする逆止弁を用いた送液装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記逆止弁の一部を透明または半透明の部材で構成し、前記光源からの光を透過させることを特徴とする逆止弁を用いた送液装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、
前記光源からの光を光ファイバーを用いて前記逆止弁の本体へ導く構成としたことを特徴とする逆止弁を用いた送液装置。
【請求項4】
請求項1の記載において、
前記光検知部は前記逆止弁の本体から光ファイバーで導かれた光を検出する構成としたことを特徴とする逆止弁を用いた送液装置。
【請求項5】
請求項1の記載において、
前記ポンプは複数であり、上流側に配置された第1のポンプの吸引側に前記第1の逆止弁が、吐出側に前記第2の逆止弁が設けられることを特徴とする逆止弁を用いた送液装置。
【請求項6】
請求項5の記載において、
前記圧力センサは前記複数のポンプのうち下流側のポンプの吐出側の配管に設けられることを特徴とする逆止弁を用いた送液装置。
【請求項7】
分析対象のサンプルのキャリアとなる2つの溶離液を分離カラムを経てミキシングティへ送る分離ポンプと、
該分離ポンプと前記分離カラムの間の配管内へ前記サンプルを注入するインジェクターと、
前記サンプルが注入された前記溶離液を分離する分離カラムと、
反応液を前記溶離液とは別の配管で前記ミキシングティへ送る反応ポンプと、
前記サンプルが注入された前記溶離液と前記反応液とが化学反応して生成される生成物を検出する検出器と、
該検出器で検出された生成物を分析しデータを作成するデータ処理装置とを備えた反応液体クロマトグラフシステムにおいて、
前記分離ポンプおよび前記反応ポンプのうちの少なくともひとつの吸引側に設けられる第1の逆止弁と、
該ポンプの吐出側に設けられる第2の逆止弁と、
該ポンプの下流側配管内の圧力を検知する圧力センサと、
該圧力センサで検知された値に基づいて前記ポンプの作動を制御する制御装置とを備え、
前記第1の逆止弁および前記第2の逆止弁のうちの少なくともひとつは、流路の開口を塞ぐルビーボールと、該ルビーボールが前記開口を塞ぐときに接触するサファイア弁座と、前記ルビーボールの一部に光を照射する光源と、該光源からの光を検知する光検知部とを備え、
前記制御装置は、前記光検知部から送られる逆止弁の開閉を表す信号と、前記圧力センサで検知された値とに基づいて、前記ポンプの作動を制御することを特徴とする反応液体クロマトグラフシステム。
【請求項8】
請求項7の記載において、
前記逆止弁の一部を透明または半透明の部材で構成し、前記光源からの光を透過させることを特徴とする反応液体クロマトグラフシステム。
【請求項9】
請求項7の記載において、
前記光源からの光を光ファイバーを用いて前記逆止弁の本体へ導く構成としたことを特徴とする反応液体クロマトグラフシステム。
【請求項10】
請求項7の記載において、
前記光検知部は前記逆止弁の本体から光ファイバーで導かれた光を検出する構成としたことを特徴とする反応液体クロマトグラフシステム。
【請求項11】
請求項7の記載において、
前記ポンプは複数であり、上流側に配置された第1のポンプの吸引側に前記第1の逆止弁が、吐出側に前記第2の逆止弁が設けられることを特徴とする反応液体クロマトグラフシステム。
【請求項12】
請求項11の記載において、
前記圧力センサは前記複数のポンプのうち下流側のポンプの吐出側の配管に設けられることを特徴とする反応液体クロマトグラフシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−27046(P2011−27046A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174881(P2009−174881)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】