説明

途絶した無線ネットワークにおける中継動作のためのメカニズム

【課題】途絶した無線通信ネットワークにおいて連続的なネットワーク接続を確保する中継機能を提供する。
【解決手段】無線通信のメカニズムは、基地局(BS)間の中継サポートと、移動局(MS)間の中継サポートと、移動局と基地局との間の中継サポートとを、媒体アクセス制御(MAC)層に実装する。基地局間の中継サポートにおいて、当初BSが隣接局に要求メッセージを送出し、複数のメッセージ受信時にどの応答をアクノレッジするか決定し、決定後に確認メッセージを送出する。確認を受信すると、応答BSがステータスの更新と、次の局のためのスーパーフレームヘッダ(SFH)とHR−MAPの作成と、次の局のためのHRプリアンブルとSFHとHR−MAPの送信とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信に関し、特に、途絶した無線ネットワークにおける信頼性を高める媒体アクセス制御(MAC)層のメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
毎日、世界中で、交通事故や災害、犯罪捜査等、公衆安全に関連して無数の事件が発生している。高度デジタルデバイスの幅広い利用により、ネットワークが途絶した時でもネットワークがライブビデオストリーミングをサポートしていれば、警察や救助職員から大いに注目されるだろう。その結果、この公衆安全のためのネットワークは高信頼性の特徴を示すことが望ましい。この望ましい特徴は、情報配信の際、各無線ノードが互いを支援する協調的通信によって確保され、個々に得られるよりも高い信頼性と効率を得ることを目的としている。この支援は、中継動作によって実現される。
【0003】
本開示において、発明の中継メカニズムはMAC層で実行される。従来、コグニティブ無線ネットワークの文脈において、協調的中継戦略には2つの方法、すなわち、復号および転送と、増幅および転送がある。復号および転送では、送信機は奇数のタイムスロットでその中継器にデータフレームを送る。中継器はデータを復号し、次の偶数タイムスロットで受信機にそれを転送する。受信機は、両リンクでフレームが失われたり破損したりしなければ、フレームを復号することができる。増幅と転送では、中継器は受信信号を増幅し、同じタイムスロットで受信機にそれを転送する。中継器は1つ以上の空きチャネルで動作するトランシーバを用いて送信機からデータを受信し、1つ以上の異なる空きチャネルで動作する他のトランシーバを用いて受信機に同時にデータを転送する。受信機のSNRが閾値以上であれば、データフレームは復号できる。以下の文献において研究者らは、一定のパラメータ範囲でこれら戦略のそれぞれがよりよく働くこと、2つの戦略に優劣がないことを発見した(D.Hu,S.Mao,``Cooperative Relay in Cognitive Radio Networks:Decode−and−Forward or Amplify−and−Forward,” in the proceeding of IEEE Globecom2010参照)。
【0004】
IEEE 802.16mでは、中継機能に復号と転送を用いる。後方互換性を維持するため、本発明では同戦略を用いる。
【先行技術文献】
【0005】
【非特許文献】
【非特許文献】 D.Hu,S.Mao, “Cooperative Relay in Cognitive Radio Networks:Decode−and−Forward or Amplify−and−Forward,” IEEE Globecom 2010 議事録。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、途絶した無線ネットワークにおいて連続的なネットワーク接続を確保する中継機能を提供するMAC層メカニズムを対象とする。
【0007】
発明のさらなる特徴および利点は、以下の明細書に記載され、明細書によって部分的に明らかになるか、または本発明の実施によって教示される。本発明の目的および他の利点は、書面の明細書およびその特許請求の範囲と添付の図面に特に指摘される構造によって実現および達成される。
【0008】
これらおよび/または他の目的を達成するため、具体的に幅広く記述するように、本発明は、次からなるIEEE 802.16n GRIDMAN標準で検討されているネットワークにおけるマルチモード動作に中継支援を提供するMAC層に実装されるメカニズムを提供する:
(a)基地局(BS)間の中継サポートと、
(b)移動局(MS)間の中継サポートと、
(c)移動局と基地局との間の中継サポート。
【0009】
上述の一般的な記載と以下の詳細な記載はいずれも例示的および説明的なもので、請求の発明のさらなる説明を目的としていることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、中継機能の支援のある基地局間のメッセージの流れを示す。
【図2】図2は、中継として動作する移動局間のメッセージの流れを示す。
【図3】図3は、中継メカニズムのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.BSからBSへの通信
【0012】
図1において、高信頼性基地局(HR−BS)が、中継サポート要求のため、隣接するBS/MSにBS_Relay_REQリクエストを送出する。1つより多いアクノレッジメントBS_Relay_ACK/MS_Relay_ACKを受信した場合、HR−BSはどのオファーを受けるか(BS_Relay_ACKがより高位の優先度を持つ)決定する。そしてBS_Relay_Confirmのメッセージが送出される。
【0013】
確認を受信すると、応答したBS(MS)は次の2つのタスクを実行する。
1.このステータスを更新する。
2.次の局のためにスーパーフレーム・ヘッダ(SFH)とHR−MAPを作成する。
3.HR−プリアンブル、SFHおよびHR−MAPを次の局のために送信する。
【0014】
2.MSからMSへの通信(MSは中継モード)
【0015】
図2において、高信頼性移動局(HR−MS)が、中継サポート要求のため、隣接する局にMS_Relay_REQリクエストを送出する。1つより多いアクノレッジメントBS_Relay_ACK/MS_Relay_ACKを受信した場合、HR−MSはどのオファーを受けるか(BS_Relay_ACKがより・高位の優先度を持つ)決定する。そしてMS−Relay−Confirmのメッセージが送出される。
【0016】
確認を受信すると、応答したBSは次の2つのタスクを実行する。
1.このステータスを更新する。
2.次の局のためにスーパーフレーム・ヘッダ(SFH)とHR−MAPを作成する。
3.HR−プリアンブル、SFHおよびHR−MAPを次の局のために送信する。
【0017】
確認を受信すると、応答したMSは次のタスクを実行する。
1.ロールの変更をBSに通知する。
2.BSから確認ACK_RMを受信すると、応答したMSはロールを変更する。
3.そして、次の局のためにスーパーフレーム・ヘッダ(SFH)とHR−MAPを作成する。
4.次の局のためにHRプリアンブル、SFH、HR−MAPを送信する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基地局(BS)間の中継サポートと、
b)移動局(MS)間の中継サポートと、
c)移動局と基地局との間の中継サポートとを提供する、無線通信のメカニズム。
【請求項2】
媒体アクセス制御(MAC)層に実装することを特徴とする請求項1記載のメカニズム。
【請求項3】
a)当初BSが隣接局に要求メッセージを送出することと、
b)当初BSが複数のメッセージ受信時にどの応答をアクノレッジするか決定することと、
c)当初BSが決定後に確認メッセージを送出することと、
d)応答BSが、
i)ステータスの更新と
ii)次の局のためのスーパーフレーム・ヘッダ(SFH)とHR−MAPの作成と、
iii)次の局のためのHRプリアンブルと、SFHと、HR−MAPの送信とを行うことと
からなる基地局間の中継サポートを特徴とする請求項1および2記載のメカニズム。
【請求項4】
a)当初MSが隣接局に要求メッセージを送出することと、
b)当初MSが複数のメッセージ受信時にどの応答をアクノレッジするか決定することと、
c)当初MSが決定後に確認メッセージを送出することと、
d)応答BSが、選ばれたら、
i)ステータスの更新と、
ii)次の局のためのスーパーフレーム・ヘッダ(SFH)とHR−MAPの作成と、
iii)次の局のためのHRプリアンブルと、SFHと、HR−MAPの送信を行い、
e)応答MSが選ばれたら、
i)ロールの変更についてBSに通知することと
ii)BSから確認ACK_RMを受信したら、ステータスを更新することと
iii)次の局のためのスーパーフレーム・ヘッダ(SFH)とHR−MAPの作成と、
iv)次の局のためのHRプリアンブルと、SFHと、HR−MAPの送信とを行うことと
からなる移動局間および移動局と基地局との間の中継サポートを特徴とする請求項1および2記載のメカニズム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−217116(P2012−217116A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−92459(P2011−92459)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】