説明

通信を中継するための装置、方法、およびプログラム

【課題】通信を中継する中継装置を利用する場合の不具合の可能性を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定と、通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、特定の通信経路を利用して中継を制御するための第1制御モードの設定と、特定の通信経路を利用せずに中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う。第1制御モードが有効である状態で、特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、第1制御モードを無効化して第2制御モードを有効化することによって、第2制御モードに従った中継の制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信を中継するための装置、方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、データ通信を行うネットワークシステムとして、或る通信経路に障害が発生した場合に代替の通信経路を利用して通信を継続するシステムが利用されている。そのような構成としては、例えば、複数の中継装置(例えば、ルーターやスイッチ)を用いて冗長なリンク(通信経路)を形成する構成が利用されている。また、複数のアクセスポイント(無線ネットワークを構築するアクセスポイント)を用いて、冗長なリンクを形成する構成も利用されている。このような構成においては、例えば、或るアクセスポイントから見て特定の通信経路に障害が生じたと判定された場合に、そのアクセスポイントが無線通信機能を停止する(この機能は、リンクインテグリティ(Link Integrity)とも呼ばれる)。そのアクセスポイントに接続されていた無線通信機器は、他のアクセスポイントへの接続を試みて、通信を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4053308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ネットワークシステムでは、通信障害に関連して、種々の不具合が生じ得る。例えば、或るアクセスポイントが無線通信機能を停止した場合に、他のアクセスポイントを見つけることができない無線通信機器は、通信を行うことができなかった。また、ルーターを用いて冗長なリンク(通信経路)を形成する場合には、ルーターの複雑な設定(例えば、ルーティングテーブルの設定)を適切に行う高度な知識が要求されていた。なお、このような問題は、いわゆるアクセスポイントを含むネットワークシステムに限らず、一般に、通信を中継する中継装置を含むネットワークシステムに共通する問題であった。
【0005】
本発明の主な利点は、通信を中継する中継装置を利用する場合の不具合の可能性を低減することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
無線通信装置と無線通信を行って前記無線通信装置と他の通信装置との通信を中継する中継装置であって、通信回線との接続のための通信インターフェースと、無線通信を行うための無線インターフェースと、前記通信インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う判定経路設定部と、前記無線インターフェースに前記無線通信で接続された無線通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定を行うモード設定部であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行うモード設定部と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する有効モード制御部と、前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する通信制御実行部と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する障害判定部と、を備え、前記第1制御モードが有効である状態で、前記障害判定部が前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定した場合には、前記有効モード制御部は、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記通信制御実行部に前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行させる、中継装置。
【0008】
この構成によれば、第1制御モードが有効である状態で、通信インターフェースに接続された特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、第1制御モードが無効化されて第2制御モードが有効化され、通信制御実行部が第2制御モードに従って中継の制御を行う。従って、特定の通信経路に通信障害が生じた場合であっても、別の制御モードによる通信の中継が可能である。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の中継装置であって、前記モード設定部は、前記無線インターフェースによって形成されるネットワークである無線ネットワークを識別する識別子であって、前記第1制御モードの前記識別子を第1無線識別子に設定して、前記第2制御モードの識別子を、前記第1無線識別子とは異なる第2無線識別子に設定することを含む第1設定を行い、前記通信制御実行部は、前記第1設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記無線インターフェースに前記第1無線識別子によって識別される無線ネットワークを形成させ、前記第1設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記無線インターフェースに前記第2無線識別子によって識別される無線ネットワークを形成させる、無線ネットワーク制御部を含む、中継装置。
【0010】
この構成によれば、第1無線識別子で識別される無線ネットワークと、第2無線識別子で識別される無線ネットワークとを、通信障害に有無に応じて使い分けることができる。すなわち、通信障害の有無に応じて2種類の無線ネットワークを使い分けることができる。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の中継装置であって、前記判定経路設定部は、前記特定の通信経路を、前記無線通信装置に前記中継が許可されるか否かの判定である接続判定を行う判定サーバーへ至る通信経路の少なくとも一部を含む通信経路に設定し、前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記接続判定の方法を、前記判定サーバーに問い合わせて前記接続判定を行う方法に設定して、前記第2制御モードでの前記接続判定の方法を、前記判定サーバーを利用せずに前記接続判定を行う方法に設定することを含む第2設定を行い、前記通信制御実行部は、前記第2設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記判定サーバーに問い合わせることによって前記接続判定を行い、前記第2設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記判定サーバーに問い合わせずに前記接続判定を行う、接続判定部を含む、中継装置。
【0012】
この構成によれば、特定の通信経路(判定サーバーへ至る通信経路の少なくとも一部を含む)に通信障害が生じていない場合には、判定サーバーに問い合わせることによって接続判定が行われる。特定の通信経路に通信障害が生じた場合には、判定サーバーに問い合わせずに接続判定が行われる。従って、特定の通信経路に通信障害が生じた場合であっても、接続判定が可能であり、そして、中継装置による通信の中継が可能である。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0013】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の中継装置であって、前記モード設定部は、前記通信インターフェースに接続された通信回線を利用して構成される仮想的なネットワークを識別する識別子であって、前記第1制御モードでの前記中継に利用される識別子を、前記特定の通信経路を含む第1仮想ネットワークを識別する第1仮想ネットワーク識別子に設定して、前記第2制御モードでの前記中継に利用される識別子を、前記特定の通信経路を含まない第2仮想ネットワークを識別する第2仮想ネットワーク識別子に設定することを含む第3設定を行い、前記通信制御実行部は、前記第3設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記第1仮想ネットワークを利用して前記中継を行い、前記第3設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記第2仮想ネットワークを利用して前記中継を行う、中継装置。
【0014】
この構成によれば、特定の通信経路を含む第1仮想ネットワークと、特定の通信経路を含まない第2仮想ネットワークとを、特定の通信経路の通信障害の有無に応じて使い分けることができる。すなわち、通信障害の有無に応じて2種類の仮想ネットワークを使い分けることができる。その結果、不具合の可能性を低減できる。
【0015】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の中継装置であって、前記通信制御実行部は、前記無線インターフェースを介した他の中継装置との無線通信による前記他の中継装置を介した前記中継を行うための無線中継部を含み、前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記中継を、特定の通信経路の少なくとも一部を介した前記中継である第1中継に設定して、前記第2制御モードでの前記中継を、前記無線通信による前記他の中継装置を介した前記中継である第2中継に設定することを含む第4設定を行い、前記無線中継部は、前記第4設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記第2中継を実行せずに、前記第4設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記第2中継を実行する、中継装置。
【0016】
この構成によれば、特定の通信経路に通信障害が生じていない場合には、特定の通信経路の少なくとも一部を介した中継(第1中継)が行われる。通信障害が生じた場合には、無線通信による他の中継装置を介した中継(第2中継)が行われる。従って、通信障害の有無に拘わらずに、中継装置による中継が可能である。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0017】
[適用例6]
適用例5に記載の中継装置であって、前記無線中継部は、前記他の中継装置を介した前記中継のための前記他の中継装置との無線通信を、無線ディストリビューションシステムに準拠したデータフレームを用いて実行する、中継装置。
【0018】
この構成によれば、中継のための他の中継装置との無線通信が、無線ディストリビューションシステムに準拠したデータフレームを用いて行われるので、中継される通信のプロトコルに対する制限を緩和することができる。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0019】
[適用例7]
データー通信を中継する中継装置であって、複数の通信経路との接続のための通信経路インターフェースと、前記通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う判定経路設定部と、前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定を行うモード設定部であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行うモード設定部と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する有効モード制御部と、前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する通信制御実行部と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する障害判定部と、を備え、前記通信制御実行部は、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づいて行うためのネットワーク層中継部と、前記通信経路インターフェースに接続された他の中継装置を介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づいて行うためのデータリンク層中継部と、を含み、前記判定経路設定部は、前記特定の通信経路を、前記通信経路インターフェースと前記第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定し、前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記ネットワーク層中継部による前記中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記データリンク層中継部による前記中継に設定することを含む設定である中継設定を行い、前記ネットワーク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、前記データリンク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、前記第1制御モードが有効である状態で、前記障害判定部が前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定した場合には、前記有効モード制御部は、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記通信制御実行部に前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行させる、中継装置。
【0020】
この構成によれば、特定の通信経路(通信インターフェースと第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む)に通信障害が生じていない場合には、第1ネットワークを介した、通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継が行われる。特定の通信経路に通信障害が生じている場合には、他の中継装置を介した、通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継が行われる。従って、通信障害の有無に拘わらずに、中継装置による中継が可能である。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0021】
[適用例8]
データー通信を中継する中継装置であって、複数の通信経路との接続のための通信経路インターフェースと、前記通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う判定経路設定部と、前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定を行うモード設定部であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行うモード設定部と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する有効モード制御部と、前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する通信制御実行部と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する障害判定部と、を備え、前記通信制御実行部は、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づいて行うためのネットワーク層中継部と、第2ネットワークに接続された他の中継装置であって、前記通信経路インターフェースに接続された前記他の中継装置を介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づいて行うためのデータリンク層中継部と、を含み、前記判定経路設定部は、前記特定の通信経路を、前記他の中継装置と前記第2ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定し、前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記データリンク層中継部による前記中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記ネットワーク層中継部による前記中継に設定することを含む設定である中継設定を行い、前記データリンク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、前記ネットワーク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、前記第1制御モードが有効である状態で、前記障害判定部が前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定した場合には、前記有効モード制御部は、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記通信制御実行部に前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行させる、中継装置。
【0022】
この構成によれば、特定の通信経路(他の中継装置と第2ネットワークとの接続を確認可能な通信経路)に通信障害が生じていない場合には、他の中継装置を介した、通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継が行われる。特定の通信経路に通信障害が生じている場合には、第1ネットワークを介した、通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継が行われる。従って、通信障害の有無に拘わらずに、中継装置による中継が可能である。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0023】
[適用例9]
適用例7または適用例8に記載の中継装置であって、前記通信制御実行部は、前記通信経路インターフェースを介して前記中継装置に接続される通信装置に、前記通信装置を識別するネットワークアドレスを割り当てる処理であるアドレス割当処理を、動的ホストコンフィグレーションプロトコルに従って実行するためのアドレス割当部を含み、前記モード設定部は、前記中継設定として、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの前記ネットワーク層中継部による前記中継が行われる一方の制御モードにおいて、前記アドレス割当処理を有効に設定し、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの他方の制御モードにおいて、前記アドレス割当処理を無効に設定することを含む設定を行い、前記アドレス割当部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの前記ネットワーク層中継部による前記中継が行われる一方の制御モードが有効である場合には、前記アドレス割当処理を実行し、前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの他方の制御モードが有効である場合には、前記アドレス割当処理を実行しない、中継装置。
【0024】
この構成によれば、ネットワーク層中継部による中継が行われる制御モードでは、アドレス割当処理も有効にされるので、無線インターフェースを介して中継装置に接続される無線通信装置は、割り当てられたネットワークアドレスを用いて適切に通信を行うことができる。データリンク層中継部による中継が行われる制御モードでは、アドレス割当処理が実行されないので、他の中継装置による通信の制御に適した柔軟な中継を実現できる。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0025】
[適用例10]
無線通信装置と無線通信を行って前記無線通信装置と他の通信装置との通信を中継する中継方法であって、通信インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う工程と、無線インターフェースに無線通信で接続された無線通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う工程と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する工程と、前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する工程と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する工程と、前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する工程と、を備える、中継方法。
【0026】
[適用例11]
無線通信装置と無線通信を行って前記無線通信装置と他の通信装置との通信を中継する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、通信インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う機能と、無線インターフェースに無線通信で接続された無線通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う機能と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する機能と、前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する機能と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する機能と、前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する機能と、を備える、プログラム。
【0027】
[適用例12]
データー通信を中継する方法であって、通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う工程と、前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う工程と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する工程と、前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する工程と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する工程と、前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する工程と、を備え、前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う工程は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う工程を含み、前記特定の通信経路を特定する設定を行う工程は、前記特定の通信経路を、前記通信経路インターフェースと前記第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する工程を含む、方法。
【0028】
[適用例13]
データー通信を中継する方法であって、通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う工程と、前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う工程と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する工程と、前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する工程と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する工程と、前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する工程と、を備え、前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う工程は、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第1制御モードでの前記中継を、第2ネットワークに接続された他の中継装置であって、前記通信経路インターフェースに接続された前記他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う工程を含み、前記特定の通信経路を特定する設定を行う工程は、前記特定の通信経路を、前記他の中継装置と前記第2ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する工程を含む、方法。
【0029】
[適用例14]
データー通信を中継する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う機能と、前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う機能と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する機能と、前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する機能と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する機能と、前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する機能と、を備え、前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う機能は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う機能を含み、前記特定の通信経路を特定する設定を行う機能は、前記特定の通信経路を、前記通信経路インターフェースと前記第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する機能を含む、プログラム。
【0030】
[適用例15]
データー通信を中継する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う機能と、前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う機能と、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する機能と、前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する機能と、前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する機能と、前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する機能と、を備え、前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う機能は、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第1制御モードでの前記中継を、第2ネットワークに接続された他の中継装置であって、前記通信経路インターフェースに接続された前記他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う機能を含み、前記特定の通信経路を特定する設定を行う機能は、前記特定の通信経路を、前記他の中継装置と前記第2ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する機能を含む、プログラム。
【0031】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、通信の中継方法および中継装置、中継装置を含むネットワークシステム、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワークシステム1000を示す説明図である。
【図2】中継装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】制御モード情報310の一例を示す説明図である。
【図4】図3に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。
【図5】通常時(通信障害が生じていない場合)の中継の制御を示す概略図である。
【図6】通信障害が発生した場合の中継の制御を示す概略図である。
【図7】ネットワークシステムの別の実施例を示す説明図である。
【図8】第1中継装置100Aの制御モード情報310Aの一例を示す説明図である。
【図9】図8に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。
【図10】通常時(通信障害が生じていない場合)の中継の制御を示す概略図である。
【図11】通信障害が発生した場合の中継の制御を示す概略図である。
【図12】ネットワークシステムの別の実施例を示す説明図である。
【図13】第1中継装置100Cの制御モード情報310Cの一例を示す説明図である。
【図14】図13に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。
【図15】第2中継装置100Dの制御モード情報310Dの一例を示す説明図である。
【図16】図15に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。
【図17】通常時(通信障害が生じていない場合)の中継の制御を示す概略図である。
【図18】通信障害が発生した場合の中継の制御を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、この発明の実施の形態を第1〜第3実施例と変形例とに基づいて説明する。
【0034】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としてのネットワークシステム1000を示す説明図である。このネットワークシステム1000は、中継装置100と、中継装置100の第1ポートP1に接続された第1ネットワーク800と、第1ネットワーク800に接続された認証サーバー802と、中継装置100の第2ポートP2に接続された第2ネットワーク900と、中継装置100と無線通信で接続されたクライアント装置702、704と、を有している。中継装置100とクライアント装置702、704とのそれぞれは、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN通信機器である。
【0035】
本実施例では、第1ネットワーク800は、領域を限定して構成された内部ネットワーク(例えば、社内ネットワーク)であり、第2ネットワーク900は、領域を限定せずに構成された外部ネットワーク(例えば、インターネット)である。本実施例では、外部ネットワーク900に内部ネットワーク800も接続されている。
【0036】
中継装置100は、いわゆるアクセスポイント(無線LANのアクセスポイント)である。中継装置100は、IEEE802.11規格に準拠した無線ネットワーク700を利用して、クライアント装置702、704と無線通信を行う。クライアント装置702、704としては、無線通信が可能な任意の通信装置を採用可能である(本実施例では、クライアント装置702、704は、それぞれ、パーソナルコンピューターである)。なお、無線ネットワーク700に接続される通信装置の種類としては、コンピューターに限らず、他の任意の種類(例えば、テレビジョンやビデオカメラやビデオレコーダー等の家電)を採用可能である。
【0037】
認証サーバー802は、いわゆるRADIUSサーバー(Remote Authentication Dial In User Service)である。認証サーバー802は、中継装置100を介しての無線通信装置のネットワークへの接続(通信の中継)を許可するか否かの判定に利用される(以下、この判定のことを「接続判定」とも呼ぶ)。本実施例では、認証サーバー802は、WPA2−EAP認証(Wi-Fi Protected Access 2 - Extensible Authentication Protocol。IEEE802.11iに準拠した認証)を行うための認証処理部802aを有している。
【0038】
中継装置100は、無線通信装置(例えば、クライアント装置702。以下、単に「通信装置」とも呼ぶ)からの要求に応じて、接続判定を行う。この際、中継装置100は、判定結果を、認証サーバー802に問い合わせる。通信装置と認証サーバー802とは、中継装置100を介して、種々のデータを交換する(例えば、いわゆるチャレンジとレスポンスや、証明書データ)。認証サーバー802(認証処理部802a)は、受信したデータを利用した認証処理に基づいて、その通信装置のネットワークへの接続(通信の中継)を許可するか否かを判定し、判定結果を中継装置100に供給する。中継装置100は、受信した判定結果に応じて、ネットワークへの接続(通信の中継)を許可、あるいは、不許可する。EAPを用いた認証方式には、複数種類の認証方式(例えば、EAP-TLS (Transport Layer Security)、EAP-TTLS (Tunneled TLS)、EAP-PEAP (Protected EAP))が存在するが、それらのうちの任意の認証方式を採用可能である。
【0039】
また、認証サーバー802は、検疫処理部802bを有している。検疫処理部802bは、中継装置100を介して内部ネットワーク800に接続される無線通信機器を検疫する機能を有している、本実施例では、認証サーバー802(認証処理部802a)は、通信装置のネットワークへの接続を許可するための必要条件として、上記認証処理によって認証されることに加えて、通信装置の現状が所定の検疫条件を満たしていることを、採用している。検疫条件としては、例えば、「通信装置にインストールされているアンチウイルスソフトウェアのバージョンが所定のバージョン以上であること」や、「通信装置に特定のソフトウェア(例えば、特定のファイル交換ソフトウェア)がインストールされていないこと」等が挙げられる。検疫処理部802bは、中継装置100を介して受信した通信装置からのデータを利用して、検疫条件が満たされているか否かを判定する。
【0040】
通信装置(例えば、クライアント装置702)は、情報送信部を有している(図示せず)。情報送信部は、認証処理部802aによって認証に利用される情報を、中継装置100を介して認証サーバー802に送信する。このような情報送信部は「サプリカント」とも呼ばれている。また、本実施例では、情報送信部は、検疫処理部802bによって利用される情報も、中継装置100を介して認証サーバー802に送信する。
【0041】
なお、認証処理部802aと検疫処理部802bとは、図示しないコンピューターによって実現されている。また、認証サーバー802とは別のサーバーが、検疫処理部802bを有していても良い。
【0042】
なお、中継装置100は、認証サーバー802に問い合わせずに、接続判定を実行可能である。このような判定方式としては、例えば、WPA−PSK(pre-shared key)方式やWPA2−PSK方式を採用可能である。これらの判定方式は、認証サーバー802にアクセスできない場合に利用される(詳細は後述)。
【0043】
中継装置100によって接続(通信の中継)が許可されると、通信装置(例えば、クライアント装置702)は、中継装置100を介して内部ネットワーク800に接続される。これにより、通信装置は、内部ネットワーク800を利用した種々のサービス(例えば、Webサービスやメールサービス)を、利用することができる。
【0044】
なお、通常時には、中継装置100は、外部ネットワーク900との通信の中継を行わない。外部ネットワーク900との通信の中継は、中継装置100から内部ネットワーク800へアクセスする通信経路に通信障害が生じた場合に、行われる(詳細は後述)。
【0045】
図2は、中継装置100の構成を示すブロック図である。中継装置100は、無線通信を行うための無線インターフェース500と、有線通信を行うための通信インターフェース510と、ユーザーインターフェース400と、中継装置100を制御する制御部200と、種々の情報を格納する不揮発性メモリ300と、を有している。
【0046】
ユーザーインターフェース400は、中継装置100の設定をユーザーが直接に行うためのインターフェースであり、操作部(例えば、スイッチやボタン)と表示部(例えば、ランプや液晶ディスプレイ)とを含んでいる。不揮発性メモリ300は、書き込み可能なメモリである。本実施例では、不揮発性メモリ300は、中継装置100の動作に利用される設定やプログラムを格納する。不揮発性メモリ300としては、例えば、フラッシュメモリが採用される。
【0047】
無線インターフェース500は、IEEE802.11に準拠する無線ネットワーク700を用いた通信を行う。無線ネットワーク700の規格としては、IEEE802.11a、b、g、nのいずれでもよい。また、IEEE802.11以外の規格を採用してもよい。
【0048】
通信インターフェース510は、IEEE802.3に準拠する通信回線との接続のためのインターフェースである。図2の実施例では、通信インターフェース510は、2つのポートP1、P2を有しており、第1ポートP1には内部ネットワーク800が接続され、第2ポートP2には、外部ネットワーク900が接続されている。なお、通信インターフェース510に設けられるポートの数は、1つでもよく、3以上でもよい。また、通信ネットワークの規格としては、IEEE802.3以外の任意の規格を採用してもよい。例えば、電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)を採用してもよい。また、有線通信を行うインターフェースの代わりに、無線通信を行うインターフェースを採用してもよい。
【0049】
制御部200は、CPU202とメモリ204(例えばDRAM)を有するコンピューターであり、中継装置100の各部を制御する。CPU202は、不揮発性メモリ300に格納されたプログラム302を実行することによって、動作設定部203と、有効モード制御部220と、通信制御実行部230と、障害判定部240とを含む種々の処理部の機能を実現する。動作設定部203は、判定経路設定部205と、モード設定部210とを含んでいる。通信制御実行部230は、無線ネットワーク制御部231と接続判定部232とを含んでいる。以下、プログラムに従ってCPUが或る処理部としての機能を実行することを、その処理部が処理を実行する、とも表現する。
【0050】
通信制御実行部230は、通信のためのインターフェース(無線インターフェース500と通信インターフェース510)に接続された通信機器(例えば、クライアント装置702や、図示しない他の中継装置)間の通信の中継を制御する。ここで、「通信の中継の制御」は、通信の中継に関する種々の制御を意味しており、データ通信を中継することに限らず、接続判定を行うことも含む広い概念を意味している。また、「特定の通信経路を利用した通信の中継の制御」は、通信の中継に関する種々の制御の少なくとも一部が、特定の通信経路を利用して行われることを意味している。例えば、中継されるデータが特定の通信経路によって伝送されるように中継が行われても良い。また、中継されるデータは特定の通信経路によって伝送されないものの、接続判定を行うために、特定の通信経路に接続されている認証サーバーが利用されてもよい。なお、無線インターフェース500と通信インターフェース510との全体は、複数の通信経路との接続のための通信経路インターフェースに相当する。例えば、無線インターフェース500には、クライアント装置702(図1)へ至る通信経路が接続されており、通信インターフェース510には、第1ネットワーク800へ至る通信経路が接続されている。
【0051】
通信制御実行部230は、いわゆるルーティング機能(ルーターやレイヤー3スイッチの機能)を実現することによって、通信を中継する。ルーティング機能に必要な情報(例えば、経路情報(ルーティングテーブルとも呼ばれる))は、不揮発性メモリ300に格納されている(図示省略)。なお、通信制御実行部230は、ルーティング機能の代わりに、通信を中継する他の機能(例えば、いわゆるブリッジング機能(レイヤー2スイッチの機能))を実現してもよい。また、通信制御実行部230は、単なるリピーターとして動作してもよい。なお、レイヤー2は、いわゆるOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルの第2層(データリンク層)に相当し、レイヤー3は、OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)に相当する。
【0052】
通信制御実行部230の接続判定部232は、通信の中継の制御の一環として、接続判定を実行する。接続判定部232は、この判定を、認証サーバー802(図1)を利用して実行可能であり、また、認証サーバー802を利用せずに、自力で実行可能である。
【0053】
通信制御実行部230の無線ネットワーク制御部231は、通信の中継の制御の一環として、無線インターフェース500を制御することによって、無線通信を用いた無線ネットワーク700を形成する。例えば、無線ネットワーク制御部231は、いわゆるSSID(Service Set Identifier)を設定して、SSIDが同じ値に設定されている通信装置と通信を行う。ここで、無線ネットワーク700はSSIDによって識別される、ということができる。
【0054】
動作設定部203は、中継装置100の動作に利用される種々の設定を行う。本実施例では、動作設定部203は、ユーザーの指示に従って設定を行う。動作設定部203は、例えば、ユーザーインターフェース400に入力されたユーザーの指示に従って、設定を行う。あるいは、動作設定部203は、中継装置100に設けられた管理用のポート(図示せず)に接続された端末を通じて入力されたユーザーの指示に従って、設定を行っても良い。また、動作設定部203は、無線インターフェース500、あるいは、通信インターフェース510に接続された端末に、設定を行うためのWebページを表示させて、そのWebページを通じて入力されたユーザーの指示に従って、設定を行っても良い。このように、動作設定部203は、ユーザーに各種設定を許容するように構成されている。そして、動作設定部203は、設定された内容を、不揮発性メモリ300に格納する。
【0055】
判定経路設定部205は、通信インターフェース510に接続された特定の通信経路を特定する設定を行う。後述するように、特定の通信経路は、通信障害の有無の判定に利用される。また、モード設定部210は、通信制御実行部230による制御のモードを設定する。本実施例では、モード設定部210は、第1と第2の制御モードを設定可能である(詳細は後述)。特定の通信経路の情報と、制御モードの情報とは、不揮発性メモリ300に格納される(制御モード情報310に、特定の通信経路の情報も含まれている)。
【0056】
動作設定部203は、中継装置100の動作に関する他の設定も、同様に行う(設定情報320)。例えば、図2の実施例では、第1ポートP1が、第1仮想LAN(VLAN1)に含まれ、第2ポートP2が、第2仮想LAN(VLAN2)に含まれていることが、設定されている。仮想LANは、レイヤー2レベルで互いに通信可能な1以上のポートで構成されるグループを表している。
【0057】
有効モード制御部220は、モード設定部210によって設定された第1と第2の制御モードから、有効化する制御モードを選択する。後述するように、本実施例では、有効モード制御部220は、障害判定部240による判定結果に応じて、有効化する制御モードを切り替える。障害判定部240は、特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する。
【0058】
本実施例では、障害判定部240は、予め設定された対象ホスト(対象の通信機器)に対する、ICMP(Internet Control Message Protocol)のエコーリクエストパケット(echo request packet)を利用して、通信障害の有無を判定する。通信障害が無い場合には、対象ホストから中継装置100にエコーリプライパケット(echo reply packet)が返送される。通信障害が有る場合には、中継装置100は、エコーリプライパケットを受信できない。なお、通信経路の負荷が高い場合には、通信障害が無い場合であっても、スイッチ等のネットワーク機器によって一部のパケットが破棄される場合がある。そこで、障害判定部240は、所定間隔(例えば、2秒)でエコーリクエストを繰り返し送信する。そして、障害判定部240は、連続するN回(Nは1以上の整数。例えば、5)のエコーリクエストに対してエコーリプライを受信できなかった場合に、通信障害が生じたと判定する。なお、所定間隔と回数Nとのそれぞれは、ユーザーによって設定されてよい。なお、死活確認を行う方法としては、ICMPのエコーリクエストを利用する方法に限らず、他の方法を採用してもよい。
【0059】
図3は、制御モード情報310の一例を示す説明図である。図3の実施例では、第1モードと第2モードとの2つのモードが設定されている。各モードに関して、SSIDと、障害判定部240による死活確認の対象のホストと、死活確認の結果に応じた動作と、セキュリティ方式と、WPA2−PSK(事前認証キー)と、RADIUSサーバーと、VLANと、最大接続台数と、を含む複数の項目が設定されている。動作設定部203は、これらの設定を、予めユーザーの指示に従って行っている。
【0060】
SSID(Service Set Identifier)は、無線ネットワーク700を識別する識別子である。本実施例では、この設定項目は、いわゆるESSID(Extended Service Set Identifier)を示している。図3の実施例では、第1モードのSSIDが「SSID1」に設定され、第2モードのSSIDが「SSID2」に設定されている。なお、この設定項目が、いわゆるBSSID(Basic Service Set Identifier)を示してもよい。
【0061】
死活確認のホストは、障害判定部240によって接続が確認される対象ホストを表している。図3の実施例では、ホストが「認証サーバー802(図1)」に設定されている。認証サーバー802は、内部ネットワーク800に接続されているので、認証サーバー802との接続を確認することによって、内部ネットワーク800との接続を確認できる。なお、或る通信経路の通信障害の有無を確認するためには、対象ホストとして、その通信経路の少なくとも一部を通ることによってアクセスが可能な任意の通信装置を採用可能である。例えば、或るネットワークとの接続を確認するためには、そのネットワークに接続された任意の通信装置を採用可能である。
【0062】
死活確認の動作は、「通常時有効(Up on Operation)」と「通常時無効(Down on Operation)」との2つから選択される。「通常時有効」は、通信障害が発生していない場合に有効であり、通信障害が発生した場合に無効になる設定を表している。「通常時無効」は、「通常時有効」とは逆の動作を表している。図3の実施例では、第1モードの動作が「通常時有効」に設定され、第2モードの動作が「通常時無効」に設定されている。
【0063】
セキュリティ方式は、接続判定の方式を表している。図3の実施例では、第1モードのセキュリティ方式が「WPA2−EAP」に設定され、第2モードのセキュリティ方式が「WPA2−PSK」に設定されている。
【0064】
事前共有キーは、WPA2−PSK方式で利用されるキーである。図3の実施例では、第2モードに対してキーが設定されている。第1モードに対しては、キーの設定はない。
【0065】
RADIUSサーバーは、WPA2−EAP方式で利用されるRADIUSサーバーである。図3の実施例では第1モードのRADIUSサーバーが「認証サーバー802」に設定されている。第2モードに関しては、RADIUSサーバーの設定は無い。
【0066】
VLANは、無線ネットワークに対応付けられたVLANの識別子(「VLAN−ID」とも呼ばれる)を表している。図3の実施例では、第1モードのVLAN−IDが「第1仮想LAN(VLAN1)」に設定され、第2モードのVLAN−IDが「第2仮想LAN(VLAN2)」に設定されている。
【0067】
「最大接続台数」は、無線インターフェース500を介して接続可能な通信装置の最大数を示している。図3の実施例では、第1モードの最大数が「10」に設定され、第2モードの最大数が「無制限」に設定されている。中継装置100は、最大接続数を超える数の通信機器の接続を拒否する。
【0068】
図4は、図3に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。対象ホストとの接続が確認されている状態では、有効モード制御部220(図2)は、第1モード(SSID1)が有効な状態を維持する(ステップS10)。これにより、通信制御実行部230は、第1モードに従って中継を制御する。この状態で、障害判定部240が、通信障害が生じたと判定したら、有効モード制御部220は、第1モード(SSID1)を無効化し、第2モード(SSID2)を有効化する(ステップS12)。これにより、通信制御実行部230は、第1モードに従った制御を停止し、第2モードに従った中継の制御を開始する。この状態で、障害判定部240が、対象ホストとの接続を続けて確認できない場合(通信障害が解消されない場合)には、有効モード制御部220は、第2モード(SSID2)が有効な状態を維持する(ステップS14)。これにより、通信制御実行部230は、第2モードに従った制御を続ける。この状態で、障害判定部240が対象ホストとの接続を確認できたと判定したら、有効モード制御部220は、第2モード(SSID2)を無効化し、第1モード(SSID1)を有効化する(ステップS16)。これにより、通信制御実行部230は、第2モードに従った制御を停止し、第1モードに従った中継の制御を開始する。以上のように、有効モード制御部220は、障害判定部240の判定結果に応じて、自動的に、有効な制御モードを切り替える。
【0069】
図5は、通常時(通信障害が生じていない場合)の中継の制御を示す概略図である。図示するように、障害判定部240は、認証サーバー802との接続を確認できるので、通信障害が生じていないと判定する(ステップS100a)。これにより、有効モード制御部220は、第1モード(SSID1)を有効化する(ステップS110a)。通信制御実行部230は、第1モード(SSID1)に従って、通信の中継を制御する(ステップS120a)。
【0070】
無線ネットワーク制御部231は、無線インターフェース500による無線ネットワーク700aのSSIDを「SSID1」に設定し、SSIDが同じ値に設定されている通信装置と無線通信を行う。接続判定部232は、接続(通信の中継)を要求する通信装置(例えば、クライアント装置702)に関する接続判定を行う。第1モードの設定(図3)に従って、接続判定部232は、認証サーバー802に判定結果を問い合わせる。接続(通信の中継)が許可された場合には、通信制御実行部230は、その通信装置の通信を中継する。ここで、第1モードでは、「SSID1」に「VLAN1」が対応付けられている(図3)。従って、通信制御実行部230は、通信装置の通信を、「VLAN1」に対応付けられた第1ポートP1を利用して、中継する。その結果、通信装置(例えば、クライアント装置702)は、内部ネットワーク800にアクセスすることができる。
【0071】
図6は、通信障害が発生した場合の中継の制御を示す概略図である。図示するように、中継装置100(第1ポートP1)と内部ネットワーク800とを結ぶ通信ラインに障害CFが生じている。これにより、障害判定部240は、認証サーバー802との接続を確認することができず、通信障害が発生していると判定する(ステップS100b)。有効モード制御部220は、第1モード(SSID1)を無効化して、第2モード(SSID2)を有効化する(ステップS110b)。通信制御実行部230は、第1モードに従った制御を停止し、第2モードに従って、通信の中継を制御する(ステップS120b)。
【0072】
無線ネットワーク制御部231は、無線インターフェース500による無線ネットワーク700bのSSIDを「SSID2」に設定し、SSIDが同じ値に設定されている通信装置と無線通信を行う。接続判定部232は、接続(通信の中継)を要求する通信装置(例えば、クライアント装置702)に対して、接続判定を行う。第2モードの設定(図3:WPA2−PSK)に従って、接続判定部232は、予め不揮発性メモリ300に格納された「事前共有キー(図3)」を用いて接続判定を行う。接続(通信の中継)が許可された場合には、通信制御実行部230は、その通信装置の通信を中継する。ここで、第2モードでは、「SSID2」に「VLAN2」が対応付けられている(図3)。従って、通信制御実行部230は、通信装置の通信を、「VLAN2」に対応付けられた第2ポートP2を利用して、中継する。その結果、通信装置(例えば、クライアント装置702)は、内部ネットワーク800にはアクセスできないものの、外部ネットワーク900にアクセスすることができる。
【0073】
以上のように、本実施例では、中継装置100は、通信インターフェース510を通る特定の通信経路(内部ネットワーク800へ通じる通信経路)に通信障害が無いと判定される場合には、その特定の通信経路を利用して中継を制御する第1モードが有効になるので、その特定の通信経路を利用した中継の制御を適切に行うことができる。特に、本実施例の第1モードでは、死活確認の対象ホストが認証サーバー802に設定されているので、中継装置100は、認証サーバー802を利用した認証が可能か否かを適切に判定できる。そして、セキュリティ方式として認証サーバーを用いる方式(WPA2−EAP)が採用されているので、認証サーバーを用いない方式を採用する場合と比べて、内部ネットワーク800に、意図しない通信装置が接続されてしまう可能性を低減できる。
【0074】
その特定の通信経路に通信障害が生じた場合には、第1モードが無効化され、第2モードが有効化される。そして、中継装置100は、無線通信の機能を停止させずに、第2モードに従った中継の制御を実行する。従って、特定の通信経路に通信障害が生じた場合であっても、中継装置100を利用した通信の中継が可能であるので、利便性が低下する可能性を低減することができる。特に、本実施例の第2モードでは、予め設定されたセキュリティ方式(WPA2−PSK)によって許可された通信装置の通信が、中継装置100によって中継されるので、意図しない通信装置が中継装置100を利用する可能性を低減できる。また、中継装置100は、特定の通信経路を含まない外部ネットワーク900を介して通信を中継するので、特定の通信経路に通信障害が生じた場合であっても、通信の適切な中継を実行できる。
【0075】
また、本実施例では、モード設定部210は、第1モードと第2モードとに、互いに異なるSSIDを割り当て得るように構成されている(図3)。従って、中継装置100は、特定の通信経路の状況に応じて2種類の無線ネットワークを使い分けることができる。特に、モード設定部210は、SSID毎に、無線ネットワークのパラメータ(例えば、セキュリティ方式や、VLAN−ID等)を設定できるように構成されている(図3)。従って、中継装置100は、特定の通信経路の状況に適した無線ネットワークを利用することができる。
【0076】
また、本実施例では、モード設定部210は、第1モードと第2モードとに、互いに異なるセキュリティ方式を設定し得るように構成されている(図3)。従って、中継装置100は、特定の通信経路の状況に適したセキュリティ方式を利用することができる。特に、本実施例では、死活確認の対象ホストが認証サーバー802に設定され、第1モードのセキュリティ方式が、その認証サーバー802を利用するセキュリティ方式に設定されている(図3)。従って、認証サーバー802にアクセス可能な状態においては、認証サーバー802を利用せずに判定する場合と比べて、セキュリティを高くすることができる。また、第2モードのセキュリティ方式が、認証サーバー802を利用せずに判定を行う方式に設定されている(図3)。従って、認証サーバー802にアクセスできない状態においても、ある程度のセキュリティを保つことができる。なお、死活確認の対象である特定の通信経路は、認証サーバー802へ至る通信経路の少なくとも一部を含む通信経路であればよい。例えば、内部ネットワーク800に設けられた中継装置(例えば、スイッチ)を、対象ホストとして採用してもよい。この場合も、中継装置100と内部ネットワーク800とを接続する経路の障害を確認することができるので、認証サーバー802にアクセスできるか否かを、或る程度の信頼性で、判定することができる。
【0077】
また、本実施例では、モード設定部210は、第1モードと第2モードとに、互いに異なるVLAN−IDを割り当て得るように構成されている(図3)。従って、本実施例の中継装置100は、特定の通信経路の状況に適したネットワークを、中継先のネットワークとして利用することができる。なお、1つの制御モードに複数のVLANが割り当てられていても良い。この場合、第1モードに割り当てられた複数のVLANのうちの少なくとも1つのVLANが、特定の通信経路を含んでいればよい。また、第2モードに割り当てられた複数のVLANのいずれもが、特定の通信経路を含んでいないことが好ましい。
【0078】
B.第2実施例:
図7は、ネットワークシステムの別の実施例を示す説明図である。このネットワークシステム1002は、内部ネットワーク800と、内部ネットワーク800と有線通信で接続された2つの中継装置100A、100Bと、中継装置100Aと無線通信で接続されたクライアント装置702、704と、を含んでいる。中継装置100A、100Bのハードウェア構成は、図1、図2に示す中継装置100のものと同じである。以下、中継装置100A、100Bの要素のうちの、中継装置100の要素と同じ要素に同じ符号を付して説明を行う。図7では、中継装置100A、100Bの構成の一部のみが示されている。
【0079】
本実施例では、第1中継装置100Aは、第2中継装置100Bと、無線通信によって通信可能である。特に、本実施例では、中継装置100A、100B間の無線通信が、いわゆる無線ディストリビューションシステム(Wireless Distribution System。以下、「WDS」とも呼ぶ)に準拠したデータフレームを用いて行われる。以下、WDSのデータフレームを用いた通信を、「WDS通信」とも呼ぶ。また、以下、中継装置100A、100B間のWDS通信によるネットワークを、「WDSネットワーク920」とも呼ぶ。中継装置100A、100Bの設定情報320A、320Bは、それぞれ、WDS通信(接続)のための設定を含んでいる。動作設定部203は、この設定を、予めユーザーの指示に従って行っている。
【0080】
WDS通信を用いた中継では、レイヤー2アドレス(例えば、MACアドレス)の変換が行われず、また、レイヤー2よりも上位の情報(例えば、IPアドレス等)は参照されない。すなわち、第1中継装置100Aが、WDS通信によって、第2中継装置100Bに通信を中継する場合には、第1中継装置100Aは、いわゆるリピーターとして動作する。これにより、第1中継装置100Aは、より上位の通信プロトコル(例えば、レイヤー3のプロトコル)を制限せずに、通信を中継することができる。
【0081】
図8は、第1中継装置100Aの制御モード情報310Aの一例を示す説明図である。図8の実施例では、第1モードと第2モードとのそれぞれに関して、通信インターフェースと、死活確認(ホストと動作)と、VLANと、を含む複数の項目が設定されている。動作設定部203は、これらの設定を、予めユーザーの指示に従って行っている。
【0082】
インターフェースは、通信の中継に利用される通信用のインターフェースである。図8の実施例では、第1モードのインターフェースが「イーサネット1(第1ポートP1)」に設定され、第2モードのインターフェースが「WDS(WDSネットワーク920)」に設定されている(イーサネットは登録商標)。図7に示すように、第1ポートP1には内部ネットワーク800が接続されているので、第1モードでは、第1中継装置100Aは、無線ネットワーク700と内部ネットワーク800との通信を中継する。また、WDSネットワーク920には第2中継装置100Bが接続されているので、第2モードでは、第1中継装置100Aは、第2中継装置100Bへ通信を中継するリピーターとして動作する。
【0083】
死活確認の設定は、図3のものと同様である。図3の実施例では、対象ホストが、通信機器806に設定されている。通信機器806は、内部ネットワーク800(図7)に含まれる通信機器である。通信機器806としては、エコーリプライを返し得る任意の通信装置(例えば、スイッチ)を採用可能である。対象ホストを、このような通信機器806に設定すれば、内部ネットワーク800へ至る通信経路の状況を確認することができる。また、第1モードの動作が「通常時有効(Up on Operation)」に設定され、第2モードの動作が「通常時無効(Down on Operation)」に設定されている。
【0084】
VLANは、第1モードと第2モードのそれぞれに関して、いわゆる「タグVLAN」に設定されている。これにより、第1中継装置100Aは、中継に利用されるインターフェースを介して、複数のVLANを利用することができる。
【0085】
図9は、図8に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。制御モードの遷移は、図4における遷移と同様に行われる。図4の実施例との差異は、死活確認の対象ホスト(図8)が異なる点と、第1モードと第2モードとのそれぞれの内容が異なる点だけである。図示するように、対象ホスト(通信機器806)との接続が確認されている状態では、第1モード(第1ポートP1)が有効である(ステップS20)。通信障害が生じた場合には、第1モード(第1ポートP1)が無効化されて、第2モード(WDSネットワーク920)が有効化される(ステップS22)。通信障害が解消されていない状態では、第2モード(WDSネットワーク920)が有効である(ステップS24)。通信障害が解消された場合には、第2モード(WDSネットワーク920)が無効化されて、第1モード(第1ポートP1)が有効化される(ステップS26)。
【0086】
図10は、通常時(通信障害が生じていない場合)の中継の制御を示す概略図である。図示するように、本実施例の第1中継装置100Aの通信制御実行部230Aは、通信制御実行部230(図2)とは異なり、無線ネットワーク制御部231と接続判定部232に加えて、無線中継部233を含んでいる。無線中継部233は、上述したWDS通信を実現する。
【0087】
図示するように、障害判定部240は、通信機器806との接続を確認できるので、通信障害が生じていないと判定する(ステップS200a)。有効モード制御部220は、第1モード(第1ポートP1)を有効化する(ステップS210a)。通信制御実行部230Aは、第1モードに従って、通信の中継を制御する(ステップS220a)。これにより、無線中継部233の機能は無効化される。
【0088】
接続判定部232および無線ネットワーク制御部231は、予め決められた設定(図示せず)に従って、接続判定および無線ネットワーク700の形成を、それぞれ行う。通信制御実行部230Aは、無線インターフェース500に接続された通信機器(例えば、クライアント装置702)の通信を、第1ポートP1を利用して中継する。その結果、通信機器(クライアント装置702)は、内部ネットワーク800にアクセスすることができる。
【0089】
図11は、通信障害が発生した場合の中継の制御を示す概略図である。図示するように、第1中継装置100A(第1ポートP1)と内部ネットワーク800とを結ぶ通信ラインに障害CFが生じている。これにより、障害判定部240は、認証サーバー802との接続を確認することができず、通信障害が発生していると判定する(ステップS200b)。有効モード制御部220は、第1モード(第1ポートP1)を無効化して、第2モード(WDS)を有効化する(ステップS210b)。通信制御実行部230は、第1モードに従った制御を停止し、第2モードに従って、通信の中継を制御する(ステップS220b)。これにより、無線中継部233の機能が有効化される。そして、無線中継部233は、第2中継装置100BとのWDSネットワーク920を確立する。
【0090】
接続判定部232および無線ネットワーク制御部231は、予め決められた設定(図示せず)に従って、接続判定および無線ネットワーク700の制御を、それぞれ行う。これらの制御は、第1モードと第2モードとの間で同じであってもよく、異なっていても良い。無線中継部233は、無線インターフェース500に接続された通信機器(例えば、クライアント装置702)の通信を、WDSネットワーク920を利用して中継する。その結果、通信機器(クライアント装置702)は、第1中継装置100Aと第2中継装置100Bとを介して、内部ネットワーク800にアクセスすることができる。
【0091】
以上のように、本実施例では、第1中継装置100Aは、通信インターフェース510を通る特定の通信経路(ネットワーク800へ通じる通信経路)に通信障害が無いと判定される場合には、その特定の通信経路を利用して中継を制御する第1モードが有効になる。従って、その特定の通信経路を利用した中継(内部ネットワーク800への通信の中継)を適切に行うことができる。
【0092】
その特定の通信経路に通信障害が生じた場合には、第1モードが無効化され、第2モードが有効化され、第1中継装置100Aは、第2モードに従った通信の中継を実行する。本実施例では、第2モードでは、第1中継装置100Aは、第2中継装置100BとのWDS通信を利用したリピーターとして動作する。その結果、第1中継装置100Aに接続された通信機器(例えば、クライアント装置702)は、第1中継装置100Aと第2中継装置100Bとを経由して、内部ネットワーク800にアクセスすることができる。
【0093】
なお、第1モードで実行される中継は、死活確認の対象である特定の通信経路の全部ではなく、少なくとも一部を介した中継であってよい。この場合も、通信障害が生じていると判定された場合には、第1モードの中継に利用される通信経路に障害が生じている可能性がある。そこで、制御モードを切り替えることによって、通信障害の有無に応じた適切な中継を実行できる。第2モードで実行される中継は、特定の通信経路を介さずに行われることが好ましい。
【0094】
なお、第1中継装置100Aと第2中継装置100Bとの間の無線通信としては、WDS通信とは異なる通信を採用してもよい。例えば、いわゆるインフラストラクチャーモード(infrastructure mode)に準拠したデータフレームを用いた通信や、いわゆるアドホックモード(ad hoc mode)に準拠したデータフレームを用いた通信を採用してもよい。また、第2中継装置100Bは、通信障害の有無に応じて制御モードを切り替える機能を有さないアクセスポイントであってもよい。このように、第2中継装置100Bとして、特殊な機能を有さない汎用の中継装置を利用可能である。また、本実施例では、第1中継装置100Aが、単独で、通信経路がループになることを回避できるので、第2中継装置100Bが、いわゆるスパニングツリー(IEEE802.1D)に対応していなくてもよい。
【0095】
C.第3実施例:
図12は、ネットワークシステムの別の実施例を示す説明図である。このネットワークシステム1004は、外部ネットワーク900と、外部ネットワーク900との接続サービスを提供する2つのプロバイダネットワーク610、620と、プロバイダネットワーク610、620にそれぞれ接続された中継装置100C、100Dと、第1中継装置100Cと無線通信で接続されたクライアント装置702C、704Cと、第2中継装置100Dと無線通信で接続されたクライアント装置702D、704Dと、第1中継装置100Cと第2中継装置100Dとを相互に接続する内部回線812と、を含んでいる。中継装置100C、100Dと、中継装置100C、100Dに接続されたクライアント装置702C、704C、702D、704Dと、内部回線812との全体は、内部ネットワーク810を構成する。中継装置100C、100Dのハードウェア構成は、図1、図2に示す中継装置100のものと同じである。以下、中継装置100C、100Dの要素のうちの、中継装置100の要素と同じ要素に同じ符号を付して説明を行う。図12では、中継装置100C、100Dの構成の一部のみが示されている。
【0096】
各プロバイダネットワーク610、620は、外部ネットワーク900への接続を提供するための中継装置612、622をそれぞれ含んでいる。これらの中継装置612、622は、いわゆる「ゲートウェイ」とも呼ばれる中継装置であり、或るネットワークと、そのネットワークとは異なる通信プロトコルを利用する他のネットワークとの間の通信を中継することが可能である。本実施例では、中継装置(ゲートウェイ)612、622は、プロバイダネットワーク610、620に接続された別のネットワーク(例えば、内部ネットワーク810)と、外部ネットワーク900との間の通信を、それぞれ、中継する。
【0097】
本実施例では、第1中継装置100Cは、内部ネットワーク810を第1プロバイダネットワーク610に接続するいわゆるルーターとして動作し、第2中継装置100Dは、内部ネットワーク810を第2プロバイダネットワーク620に接続するいわゆるルーターとして動作する。ルーターは、受信した通信フレームのレイヤー3(ネットワーク層)のヘッダの情報(例えば、IPアドレス)に基づいて、通信フレームの中継を行う。第1中継装置100Cの第1ポートP1には、第1プロバイダネットワーク610が接続され、第1中継装置100Cの第2ポートP2には、内部回線812が接続されている。一方、第2中継装置100Dの第1ポートP1には、第2プロバイダネットワーク620が接続され、第2中継装置100Dの第2ポートP2には、内部回線812が接続されている。
【0098】
内部ネットワーク810から外部ネットワーク900へのアクセス経路には、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610とを経由する経路と、第2中継装置100Dと第2プロバイダネットワーク620とを経由する経路とがある。後述するように、本実施例のネットワークシステム1004は、通信障害に有無に応じて、いずれか一方の経路を利用する。他方の経路の中継装置は、ルーターとして動作する代わりに、いわゆるブリッジ(スイッチとも呼ばれる)として動作する。ブリッジは、受信した通信フレームのレイヤー2(データリンク層)のヘッダの情報(例えば、MACアドレス)に基づいて、通信フレームの中継を行う。
【0099】
図13は、第1中継装置100Cの制御モード情報310Cの一例を示す説明図である。図13の実施例では、第1モードと第2モードとのそれぞれに関して、サブネット設定と、死活確認(ホストと動作)の設定と、DHCPの設定と、UPnPの設定と、RIPの設定と、を含む複数の項目が設定されている。動作設定部203は、これらの設定を、予めユーザーの指示に従って行っている。
【0100】
サブネット設定は、ルーターとして動作する場合のサブネットの設定を表している。ブリッジとして動作する制御モードに関しては、この設定は無い。図13の実施例では、第1モードのサブネット設定が、「第1プロバイダネットワーク610へのルーターによるサブネット」に設定されている。第2モードに関しては、サブネットの設定が無い。なお、本実施例では、動作設定部203は、第1と第2のモードに共通する設定として、以下の事項も設定している(図示省略)。(1)第1ポートP1(図12)が、外部ネットワーク用のポートであり、第1ポートP1に第1プロバイダネットワーク610が接続されている。(2)第2ポートP2が内部ネットワーク用のポートである。(3)第1中継装置100Cによって形成される無線ネットワーク700Cが、内部ネットワークに属する。
【0101】
「第1プロバイダネットワーク610へのルーターによるサブネット」の設定は、第1中継装置100Cが第1プロバイダネットワーク610へのルーターとして動作するための種々の具体的な設定を含んでいる(図示省略)。例えば、デフォルトのゲートウェイが中継装置612であることと、第1ポートP1に割り当てられたIPアドレスと、ネームサーバー(DNSサーバーとも呼ばれる)と、が設定されている。なお、これらの設定は、予め設定されてもよい。この代わりに、第1中継装置100Aが第1プロバイダネットワーク610に接続されたときに、第1プロバイダネットワーク610が第1中継装置100Aに具体的な情報を供給してもよい。
【0102】
第2モードのようにサブネットの設定が無い場合には、第1中継装置100Cは、いわゆるブリッジとして動作する。
【0103】
死活確認の設定は、図3のものと同様である。図13の実施例では、対象ホストが中継装置612(ゲートウェイ)に設定されている。これにより、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610との間の通信経路の状況を確認することができる。また、第1モードの動作が「通常時有効(Up on Operation)」に設定され、第2モードの動作が「通常時無効(Down on Operation)」に設定されている。
【0104】
DHCPの設定は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)に従ったアドレス割当を有効にするか否かの設定である。図13の実施例では、第1モードの設定が「有効」にされ、第2モードの設定が「無効」にされている。このアドレス割当が有効な場合には、第1中継装置100Cは、無線ネットワーク700Cや内部回線812を介して第1中継装置100Cに接続された通信装置に対して、その通信装置を識別するネットワークアドレス(例えば、いわゆるIPアドレス)を割り当てる。また、第1中継装置100Cは、ネットワークアドレスに加えて、他の情報(例えば、いわゆるサブネットマスクや、デフォルトのゲートウェイや、ネームサーバー)も通信装置に通知する。以下、これらの機能を「DHCP機能」とも呼ぶ。
【0105】
UPnPの設定は、UPnP(Universal Plug and Play)の規定に基づく機能(以下「UPnP機能」と呼ぶ)を有効にするか否かの設定である。図13の実施例では、第1モードでは、UPnP機能が「有効」に設定され、第2モードでは、UPnP機能が「無効」に設定されている。本実施例の第1中継装置100Cは、UPnP機能として、以下の機能を有している。(1)UPnPによる通信装置(デバイス)の検出。(2)内部ネットワーク内の通信装置からのポートマッピング要求対応。(3)内部ネットワーク内の通信装置への外部ネットワーク側IPアドレス(第1ポートP1のIPアドレス)の通知。これらの機能が有効になることによって、UPnPに対応した通信アプリケーションを利用することができる(例えば、外部ネットワーク900を介してメッセージを送受信するメッセンジャーアプリケーションが動作可能になる)。
【0106】
RIPの設定は、RIP(Routing Information Protocol)に従った経路情報の交換を有効にするか否かの設定である。図13の実施例では、第1モードでは、RIPが「有効」に設定され、第2モードでは、RIPが「無効」に設定されている。経路情報は、通信フレームの宛先と、その宛先に到達し得るポートとの対応関係を表す情報である(通信フレームの中継は、この経路情報に基づいて行われる)。ここで、ポートは、第1ポートP1のように物理的なポートでもよく、また、1以上の物理的なポートを用いて形成された論理的なポート(例えば、VLAN)であってもよい。
【0107】
以上のように、DHCP、UPnP、RIPのそれぞれは、第1中継装置100Cがルーターとして動作する第1モードで有効であり、第1中継装置100Cがルーターとして動作しない第2モードでは無効である。この理由は、以下の通りである。第1中継装置100Cがルーターとして動作する場合には、種々のサービス(第1プロバイダネットワーク610や外部ネットワーク900によって提供されるサービス)が、第1中継装置100Cを介して提供される。従って、第1中継装置100Cが、通信に利用される種々の情報を管理することが好ましい。
【0108】
図14は、図13に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。制御モードの遷移は、図4における遷移と同様に行われる。図4の実施例との差異は、死活確認の対象ホスト(図8)が異なる点と、第1モードと第2モードとのそれぞれの内容が異なる点だけである。図示するように、対象ホスト(中継装置612)との接続が確認されている状態では、第1モード(ルーター機能)が有効である(ステップS30)。通信障害が生じた場合には、第1モード(ルーター機能)が無効化されて、第2モード(ブリッジ機能)が有効化される(ステップS32)。通信障害が解消されていない状態では、第2モード(ブリッジ機能)が有効である(ステップS34)。通信障害が解消された場合には、第2モード(ブリッジ機能)が無効化されて、第1モード(ルーター機能)が有効化される(ステップS36)。
【0109】
図15は、第2中継装置100Dの制御モード情報310Dの一例を示す説明図である。図13に示す制御モード情報310Cとの差異は、第1モードと第2モードとの間で、死活確認以外の項目の内容が入れ替わっている点と、第2モードのサブネット設定が、第1プロバイダネットワーク610(図12)の代わりに第2プロバイダネットワーク620を用いて設定されている点だけである。これにより、第2中継装置100Dは、第1モードでは、いわゆるブリッジとして動作し、第2モードでは、第2プロバイダネットワーク620へのルーターとして動作する。なお、図15の実施例においても、第1と第2のモードに共通な設定として、以下のような事項が設定されている(図示省略)。(1)第1ポートP1(図12)が、外部ネットワーク用のポートであり、第2プロバイダネットワーク620が接続されている。(2)第2ポートP2が内部ネットワーク用のポートである。(3)第2中継装置100Dによって形成される無線ネットワーク700Dが、内部ネットワークに属する。動作設定部203は、制御モード情報310Dの設定に加えて、これらの共通設定を、予めユーザーの指示に従って行っている。
【0110】
また、本実施例では、第2中継装置100Dが、ルーターとして動作している状態であっても、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610との間の通信経路の状況を確認できることが好ましい。そこで、死活確認の設定を、第2ポートP2ではなく第1ポートP1を利用して実行するように、設定してもよい。
【0111】
図16は、図15に示す実施例の2つの制御モードの間の遷移を示す概略図である。図14に示す実施例との差異は、ブリッジ機能とルーター機能とが入れ替わっている点だけである。通信障害が無い状態では、ブリッジ機能(第1モード)が有効化され(ステップS40)、通信障害が生じた場合には、ルーター機能(第2モード)が有効化される(ステップS42)。通信障害が解消されていない状態では、ルーター機能(第2モード)が有効であり(ステップS44)、通信障害が解消された場合には、ルーター機能(第2モード)が無効化されて、ブリッジ機能(第1モード)が有効化される(ステップS46)。
【0112】
図17は、通常時(通信障害が生じていない場合)の中継の制御を示す概略図である。図示するように、本実施例の第1中継装置100Cの通信制御実行部230Cは、通信制御実行部230(図2)とは異なり、無線ネットワーク制御部231と接続判定部232に加えて、ルーティング処理部234と、ブリッジング処理部235と、DHCP処理部236と、を含んでいる。ルーティング処理部234は、ルーターの機能を実現し、ブリッジング処理部235は、ブリッジの機能を実現し、DHCP処理部236は、DHCPに従った処理を実現する。第2中継装置100Dも、通信制御実行部230Cと同じ構成を有する通信制御実行部230Dを有している。なお、UPnPの機能は、通信制御実行部230C、230Dによって実現され、RIPの機能は、ルーティング処理部234によって実現される。
【0113】
まず、第1中継装置100Cの動作について説明する。障害判定部240は、中継装置612との接続を確認できるので、通信障害が生じていないと判定する(ステップS300Ca)。有効モード制御部220は、第1モード(ルーター機能)を有効化する(ステップS310Ca)。通信制御実行部230Cは、第1モードに従って、通信の中継を制御する(ステップS320Ca)。
【0114】
接続判定部232および無線ネットワーク制御部231は、予め決められた設定(図示せず)に従って、接続判定および無線ネットワーク700Cの制御を、それぞれ行う。DHCP処理部236は、内部ネットワーク810に新たに接続された通信機器(例えば、クライアント装置702C)に対して、IPアドレス等の情報を供給する。ルーティング処理部234は、第1ポートP1を利用して通信を中継(ルーティングを実行)する。その結果、第1中継装置100Cに接続された通信機器(例えば、クライアント装置702C)は、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610とを介して外部ネットワーク900と通信することができる。
【0115】
次に、第2中継装置100Dの動作について説明する。障害判定部240は、第1中継装置100Cを介して、中継装置612との接続を確認できるので、通信障害が生じていないと判定する(ステップS300Da)。有効モード制御部220は、第1モード(ブリッジ機能)を有効化する(ステップS310Da)。通信制御実行部230Dは、第1モードに従って、通信の中継を制御する(S320Da)。
【0116】
接続判定部232および無線ネットワーク制御部231は、予め決められた設定(図示せず)に従って、接続判定および無線ネットワーク700Cの制御を、それぞれ行う。ブリッジング処理部235は、第2ポートP2を利用して通信を中継(ブリッジングを実行)する。第2中継装置100DのDHCP処理部236の機能は無効にされている。第2中継装置100Dに新たに接続された通信機器(例えば、クライアント装置702D)に対しては、第1中継装置100CのDHCP処理部236が、IPアドレス等の情報を供給する。以上の結果、第2中継装置100Dに接続された通信機器(例えば、クライアント装置702D)は、第2中継装置100Dと第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610とを介して外部ネットワーク900と通信することができる。
【0117】
図18は、通信障害が発生した場合の中継の制御を示す概略図である。図示するように、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610とを結ぶ通信ラインに障害CFが生じている。第2中継装置100Dの制御モードは、図6や図11の実施例と同様に、第1モード(ブリッジ機能)から第2モード(ルーター機能)に移行する。(ステップS300Db〜S320Dbは、図6のステップステップS100b〜S120bと、それぞれ、同様である)。これにより、第2中継装置100Dは、図17の第1中継装置100Cと同様にルーターとして動作する。また、第1中継装置100Cの制御モードも、図6や図11の実施例と同様に、第1モード(ルーター機能)から第2モード(ブリッジ機能)に移行する(ステップS300Cb〜S320Cbは、図6のステップステップS100b〜S120bと、それぞれ、同様である)。これにより、第1中継装置100Cは、図17の第2中継装置100Dと同様にブリッジとして動作する。このように、図18の動作例は、図17の動作例から、第1中継装置100Cと第2中継装置100Dとのそれぞれの立場を入れ替えたものと同じである。
【0118】
以上のように、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610とを接続する経路に通信障害が無い場合には、第1プロバイダネットワーク610に接続された第1中継装置100Cがルーターとして動作し、第1中継装置100Cに接続された第2中継装置100Dがブリッジとして動作する。この結果、第1中継装置100Cあるいは第2中継装置100Dに接続された無線通信装置は、第1プロバイダネットワーク610を介して外部ネットワーク900と通信することができる。通信障害が発生した場合には、第1中継装置100Cがブリッジとして動作し、第2プロバイダネットワーク620に接続された第2中継装置100Dがルーターとして動作する。この結果、第1中継装置100Cあるいは第2中継装置100Dに接続された無線通信装置は、第2プロバイダネットワーク620を介して外部ネットワーク900と通信することができる。以上のように、通信障害の有無に拘わらずに、中継装置100C、100Dによる中継が可能である。その結果、不具合の可能性を低減することができる。
【0119】
また、以下に説明するように、本実施例では、各中継装置100C、100Dの設定を簡素化できる。仮に、2つの中継装置100C、100Dの両方が同時にルーターとして動作すると仮定する。この場合、2台のルーター100C、100Dが適切に通信するためには、ルーター100C、100D間でのルーティングテーブルの整合性を確保することが重要である。すなわち、ルーティングテーブルに不備があると、それらのルーター100C、100が、互いに通信できない可能性がある。ところが、本実施例では、2つの中継装置100C、100Dの一方がルーターとして動作する場合には、他方はルーターではなくブリッジとして動作する。従って、第1中継装置100Cのルーティングテーブルと、第2中継装置100Dのルーティングテーブルとを、互いに独立に設定することができる。このように、各中継装置100C、100Dの設定を簡素化できる。なお、各中継装置100C、100D(ルーティング処理部234)は、プロバイダネットワーク610、620から受信した情報に従って、それぞれ、自動的にルーティングテーブルを構築してよい。この代わりに、動作設定部203が、ユーザーの指示に従って、ルーティングテーブルを構築してもよい。
【0120】
また、本実施例の中継装置100C、100Dは、ルーターとして動作する場合に、DHCPによるアドレス割当の機能も実現する。その結果、中継装置100C、100Dに接続される無線通信装置は、割り当てられたネットワークアドレスを用いて適切に通信を行うことができる。また、本実施例の中継装置100C、100Dは、ブリッジとして動作する場合には、アドレス割当の機能を無効にする。その結果、他の中継装置の制御に適した柔軟な通信を実現できる。例えば、図17では、第1中継装置100Cはアドレス割当を実行しているが、第2中継装置100Dは、ブリッジとして動作しているので、アドレス割当を実行しない。これにより、第2中継装置100Dに新たに通信装置(例えば、クライアント装置702D)が接続された場合には、第2中継装置100Dではなく、他の中継装置100Cの制御によって、その通信装置にアドレスが割り当てられる。仮に、第1中継装置100Cに加えて第2中継装置100Dがアドレス割当を実行する場合には、各中継装置100C、100Dによって割り当てられたアドレスが競合する可能性がある。本実施例によれば、そのような不具合の可能性を低減できる。
【0121】
なお、死活確認の対象となる特定の通信経路は、第1中継装置100Cの通信インターフェース510と第1プロバイダネットワーク610とを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路であってよい。この場合も、通信障害が生じていると判定された場合には、第1中継装置100Cが第1プロバイダネットワーク610にアクセスできない可能性がある。そこで、制御モードを切り替えることによって、通信障害の有無に応じた適切な中継を実行できる。
【0122】
なお、第1中継装置100Cの第1ポートP1のIPアドレスが、第1プロバイダネットワーク610によって動的に割り当てられる場合がある(例えば、DHCPに従ってアドレスが割り当てられる場合がある)。この場合には、第1中継装置100Cと第1プロバイダネットワーク610との間の接続が切れた場合に、第1ポートP1に対して割り当てられたIPアドレスが失効する。そこで、死活確認の対象ホストとして、第1中継装置100Cの第1ポートP1のIPアドレスを設定してもよい。IPアドレスの割り当てが失効された場合には、第1ポートP1に接続された通信装置がそのIPアドレス宛のパケットを送信した場合であっても、第1ポートP1は、そのIPアドレス宛のパケットを受け入れない。従って、対象ホストを第1ポートP1のIPアドレスに設定することによって、第1中継装置100Cの通信インターフェース510と第1プロバイダネットワーク610とを接続する経路に通信障害が生じているか否かを判定できる。なお、この場合も、死活確認の通信経路は、通信インターフェース510と第1プロバイダネットワーク610とを接続する経路の一部(通信インターフェース510のポート)を含んでいる、ということができる。
【0123】
また、中継装置100C、100Dは、それぞれ、ブリッジとして動作する代わりにリピーターとして動作してもよい。
【0124】
D.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0125】
変形例1:
上記各実施例において、動作設定部203によって設定される項目としては、種々の項目を採用可能である。例えば、図3、図8、図13、図15のそれぞれの実施例において、任意に選択された一部の項目だけが設定されてもよい。例えば、図3の実施例で、SSIDの設定とVLANの設定とセキュリティ方式の設定とのうちの任意の一部を省略してもよい。また、図8の実施例で、VLANの設定を省略してもよい。また、図13、図15の実施例で、DHCPの設定(DHCPの機能)を省略してもよい。また、それぞれの実施例において、他の項目が追加されてもよい。例えば、図8の実施例に、図3の複数の設定から任意に選択された設定を追加してもよい。同様に、図13、図15の実施例に、図3の複数の設定から任意に選択された設定を追加してもよい。また、設定される内容としても、上記各実施例の内容に限らず、種々の内容を採用可能である。例えば、図3の実施例において、第1モードのVLANは、内部ネットワーク800(図1)とは異なる他のネットワークを特定するVLANであってもよく、第2モードのVLANは、外部ネットワーク900とは異なる他のネットワークを特定するVLANであってもよい。より具体的には、検疫が利用されない第2モードのVLANが、検疫を受けていない通信装置が利用可能な特定のネットワークを識別するVLANであってもよい。また、2つのSSID(SSID1、SSID2)に、同じVLAN(例えば、VLAN1)が対応付けられても良い。また、2つのSSID(SSID1、SSID2)に、同じセキュリティ方式が対応付けられていてもよい。
【0126】
変形例2:
上記各実施例において、同じ中継装置が、設定に応じて、各実施例の中継装置100、100A、100B、100C、100Dのいずれかとして動作してもよい。この場合には、動作設定部203(図2)は、ユーザーからの種々の設定を行う指示を取得した場合に、その設定を行えばよい。例えば、動作設定部203は、図3のような設定を行う指示を取得した場合には、図3のように設定を行う。これにより、中継装置は、図4〜図6のように動作する。また動作設定部203は、図13のような設定を行う指示を取得した場合には、図13のように設定を行う。これにより、中継装置は、図14、図17、図18の第1中継装置100Cのように動作する。
【0127】
また、動作設定部203は、予め設定された複数の制御モードの中から、特定の制御モードを選択するユーザーからの指示を取得したことに応じて、実際に利用する制御モードの設定を選択してもよい。
【0128】
また、動作設定部203(例えば、判定経路設定部205とモード設定部210との少なくとも一方)は、ユーザの指示を利用せずに各種設定を行ってもよい。例えば、動作設定部203は、ネットワークを介して、各種設定を提供するサーバーから、設定を自動的にダウンロードしてもよい。
【0129】
変形例3:
上記各実施例において、有効モード制御部220は、第2モードから第1モードへの切り替えを自動的には行わないこととしてもよい。例えば、通信障害が解消したことを確認したユーザーからの指示を取得した場合に、有効モード制御部220が、第2モードから第1モードへの切り替えを行うこととしてもよい。
【0130】
変形例4:
上記各実施例において、中継装置の構成としては、図2に示す構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、通信インターフェース510が、IEEE802.3に準拠するインターフェースの代わりに、電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)を行うインターフェースであってもよい。また、通信インターフェース510が、有線通信を行うインターフェースの代わりに、無線通信を行うインターフェースであってもよい。また、通信インターフェース510が、外部ネットワーク用のインターフェースと、内部ネットワーク用のインターフェースとに分割されていてもよい。また、ネットワークシステムの構成としても、上記各実施例の構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、図5の実施例において、認証サーバー802が、内部ネットワーク800を含む通信経路とは異なる他の通信経路(図示せず)に接続されていてもよい。この場合、中継装置100は、その他の通信経路を介して認証サーバー802にアクセスすればよく、また、通信の中継を、その他の通信経路を介さずに行ってよい。
【0131】
また、上述の第1実施例および第3実施例において、無線通信を行うインターフェス(例えば、図2の無線インターフェース500)を省略してもよい。この場合、接続判定部232は、有線通信を行うインターフェース(例えば、通信インターフェース510)に接続された通信装置およびネットワーク(より具体的には、ネットワークに接続された別の通信装置(サーバーや中継装置を含む))の間の中継を許可するか否かを判定する。そして、中継が許可された場合に、通信制御実行部(例えば、図2、図5、図6の接続判定部232、図17、図18のルーティング処理部234およびブリッジング処理部235)は、その中継を実行する。ここで、通信制御実行部(例えば、図2、図5、図6の通信制御実行部230、図17、図18の通信制御実行部230C、230D)は、有効な制御モードに従って中継を制御する。
【0132】
また、上述の第1〜第3実施例のそれぞれにおいて、有線通信を行うインターフェース(例えば、図2の通信インターフェース510)を省略してもよい。この場合、接続判定部232は、無線通信を行うインターフェース(例えば、無線インターフェース500)に接続された通信装置およびネットワーク(より具体的には、ネットワークに接続された別の通信装置(サーバーや中継装置を含む))の間の中継を許可するか否かを判定する。そして、中継が許可された場合に、通信制御実行部(例えば、図2、図5、図6、図10、図11の接続判定部232、図17、図18のルーティング処理部234およびブリッジング処理部235)は、その中継を実行する。ここで、通信制御実行部(例えば、図2、図5、図6の通信制御実行部230、図10、図11の通信制御実行部230A、図17、図18の通信制御実行部230C、230D)は、有効な制御モードに従って中継を制御する。
【0133】
このように、複数の通信経路との接続のための通信経路インターフェースは、有線通信インターフェースと無線通信インターフェースとの両方を用いて構成されてよい。また、通信経路インターフェースは、無線通信インターフェースを用いずに有線通信インターフェースを用いて構成されてよい。また、通信経路インターフェースは、有線通信インターフェースを用いずに無線通信インターフェースを用いて構成されてよい、
【0134】
変形例5:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2の通信制御実行部230の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0135】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0136】
100、100A、100B、100C、100D...中継装置
200...制御部
202...CPU
203...動作設定部
204...メモリ
205...判定経路設定部
210...モード設定部
220...有効モード制御部
230、230A、230C、230D...通信制御実行部
231...無線ネットワーク制御部
232...接続判定部
233...無線中継部
234...ルーティング処理部
235...ブリッジング処理部
240...障害判定部
300...不揮発性メモリ
302...プログラム
310、310A、310C、310D...制御モード情報
320、320A...設定情報
400...ユーザーインターフェース
500...無線インターフェース
510...通信インターフェース
610...第1プロバイダネットワーク
612、622...中継装置
620...第2プロバイダネットワーク
700、700a、700b、700C、700D...無線ネットワーク
702、702C、702D...クライアント装置
800...内部ネットワーク
802...認証サーバー
802a...認証処理部
802b...検疫処理部
806...通信機器
810...内部ネットワーク
812...内部回線
900...外部ネットワーク
1000、1002、1004...ネットワークシステム
P1...第1ポート
P2...第2ポート
CF...障害

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置と無線通信を行って前記無線通信装置と他の通信装置との通信を中継する中継装置であって、
通信回線との接続のための通信インターフェースと、
無線通信を行うための無線インターフェースと、
前記通信インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う判定経路設定部と、
前記無線インターフェースに前記無線通信で接続された無線通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定を行うモード設定部であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行うモード設定部と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する有効モード制御部と、
前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する通信制御実行部と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する障害判定部と、
を備え、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記障害判定部が前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定した場合には、前記有効モード制御部は、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記通信制御実行部に前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行させる、
中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中継装置であって、
前記モード設定部は、前記無線インターフェースによって形成されるネットワークである無線ネットワークを識別する識別子であって、前記第1制御モードの前記識別子を第1無線識別子に設定して、前記第2制御モードの識別子を、前記第1無線識別子とは異なる第2無線識別子に設定することを含む第1設定を行い、
前記通信制御実行部は、
前記第1設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記無線インターフェースに前記第1無線識別子によって識別される無線ネットワークを形成させ、前記第1設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記無線インターフェースに前記第2無線識別子によって識別される無線ネットワークを形成させる、無線ネットワーク制御部を含む、
中継装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の中継装置であって、
前記判定経路設定部は、前記特定の通信経路を、前記無線通信装置に前記中継が許可されるか否かの判定である接続判定を行う判定サーバーへ至る通信経路の少なくとも一部を含む通信経路に設定し、
前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記接続判定の方法を、前記判定サーバーに問い合わせて前記接続判定を行う方法に設定して、前記第2制御モードでの前記接続判定の方法を、前記判定サーバーを利用せずに前記接続判定を行う方法に設定することを含む第2設定を行い、
前記通信制御実行部は、
前記第2設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記判定サーバーに問い合わせることによって前記接続判定を行い、前記第2設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記判定サーバーに問い合わせずに前記接続判定を行う、接続判定部を含む、
中継装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の中継装置であって、
前記モード設定部は、前記通信インターフェースに接続された通信回線を利用して構成される仮想的なネットワークを識別する識別子であって、前記第1制御モードでの前記中継に利用される識別子を、前記特定の通信経路を含む第1仮想ネットワークを識別する第1仮想ネットワーク識別子に設定して、前記第2制御モードでの前記中継に利用される識別子を、前記特定の通信経路を含まない第2仮想ネットワークを識別する第2仮想ネットワーク識別子に設定することを含む第3設定を行い、
前記通信制御実行部は、
前記第3設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記第1仮想ネットワークを利用して前記中継を行い、
前記第3設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記第2仮想ネットワークを利用して前記中継を行う、
中継装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の中継装置であって、
前記通信制御実行部は、前記無線インターフェースを介した他の中継装置との無線通信による前記他の中継装置を介した前記中継を行うための無線中継部を含み、
前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記中継を、特定の通信経路の少なくとも一部を介した前記中継である第1中継に設定して、前記第2制御モードでの前記中継を、前記無線通信による前記他の中継装置を介した前記中継である第2中継に設定することを含む第4設定を行い、
前記無線中継部は、
前記第4設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合には、前記第2中継を実行せずに、
前記第4設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合には、前記第2中継を実行する、
中継装置。
【請求項6】
請求項5に記載の中継装置であって、
前記無線中継部は、前記他の中継装置を介した前記中継のための前記他の中継装置との無線通信を、無線ディストリビューションシステムに準拠したデータフレームを用いて実行する、
中継装置。
【請求項7】
データー通信を中継する中継装置であって、
複数の通信経路との接続のための通信経路インターフェースと、
前記通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う判定経路設定部と、
前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定を行うモード設定部であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行うモード設定部と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する有効モード制御部と、
前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する通信制御実行部と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する障害判定部と、
を備え、
前記通信制御実行部は、
前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づいて行うためのネットワーク層中継部と、
前記通信経路インターフェースに接続された他の中継装置を介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づいて行うためのデータリンク層中継部と、
を含み、
前記判定経路設定部は、前記特定の通信経路を、前記通信経路インターフェースと前記第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定し、
前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記ネットワーク層中継部による前記中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記データリンク層中継部による前記中継に設定することを含む設定である中継設定を行い、
前記ネットワーク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、
前記データリンク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記障害判定部が前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定した場合には、前記有効モード制御部は、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記通信制御実行部に前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行させる、
中継装置。
【請求項8】
データー通信を中継する中継装置であって、
複数の通信経路との接続のための通信経路インターフェースと、
前記通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う判定経路設定部と、
前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定を行うモード設定部であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行うモード設定部と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する有効モード制御部と、
前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する通信制御実行部と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する障害判定部と、
を備え、
前記通信制御実行部は、
前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づいて行うためのネットワーク層中継部と、
第2ネットワークに接続された他の中継装置であって、前記通信経路インターフェースに接続された前記他の中継装置を介した通信の通信フレームの中継を、前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づいて行うためのデータリンク層中継部と、
を含み、
前記判定経路設定部は、前記特定の通信経路を、前記他の中継装置と前記第2ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定し、
前記モード設定部は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記データリンク層中継部による前記中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記ネットワーク層中継部による前記中継に設定することを含む設定である中継設定を行い、
前記データリンク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、
前記ネットワーク層中継部は、前記中継設定が行われ、かつ、前記第2制御モードが有効である場合に、前記中継を実行し、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記障害判定部が前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定した場合には、前記有効モード制御部は、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記通信制御実行部に前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行させる、
中継装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の中継装置であって、
前記通信制御実行部は、前記通信経路インターフェースを介して前記中継装置に接続される通信装置に、前記通信装置を識別するネットワークアドレスを割り当てる処理であるアドレス割当処理を、動的ホストコンフィグレーションプロトコルに従って実行するためのアドレス割当部を含み、
前記モード設定部は、前記中継設定として、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの前記ネットワーク層中継部による前記中継が行われる一方の制御モードにおいて、前記アドレス割当処理を有効に設定し、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの他方の制御モードにおいて、前記アドレス割当処理を無効に設定することを含む設定を行い、
前記アドレス割当部は、
前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの前記ネットワーク層中継部による前記中継が行われる一方の制御モードが有効である場合には、前記アドレス割当処理を実行し、
前記中継設定が行われ、かつ、前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちの他方の制御モードが有効である場合には、前記アドレス割当処理を実行しない、
中継装置。
【請求項10】
無線通信装置と無線通信を行って前記無線通信装置と他の通信装置との通信を中継する中継方法であって、
通信インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う工程と、
無線インターフェースに無線通信で接続された無線通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う工程と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する工程と、
前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する工程と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する工程と、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する工程と、
を備える、中継方法。
【請求項11】
無線通信装置と無線通信を行って前記無線通信装置と他の通信装置との通信を中継する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
通信インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う機能と、
無線インターフェースに無線通信で接続された無線通信装置と他の通信装置との通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う機能と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する機能と、
前記有効モード制御部によって有効化された制御モードに従って前記中継を制御する機能と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する機能と、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する機能と、
を備える、プログラム。
【請求項12】
データー通信を中継する方法であって、
通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う工程と、
前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う工程と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する工程と、
前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する工程と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する工程と、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する工程と、
を備え、
前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う工程は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う工程を含み、
前記特定の通信経路を特定する設定を行う工程は、前記特定の通信経路を、前記通信経路インターフェースと前記第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する工程を含む、
方法。
【請求項13】
データー通信を中継する方法であって、
通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う工程と、
前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う工程と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する工程と、
前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する工程と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する工程と、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する工程と、
を備え、
前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う工程は、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第1制御モードでの前記中継を、第2ネットワークに接続された他の中継装置であって、前記通信経路インターフェースに接続された前記他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う工程を含み、
前記特定の通信経路を特定する設定を行う工程は、前記特定の通信経路を、前記他の中継装置と前記第2ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する工程を含む、
方法。
【請求項14】
データー通信を中継する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う機能と、
前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う機能と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する機能と、
前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する機能と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する機能と、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する機能と、
を備え、
前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う機能は、前記第1制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う機能を含み、
前記特定の通信経路を特定する設定を行う機能は、前記特定の通信経路を、前記通信経路インターフェースと前記第1ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する機能を含む、
プログラム。
【請求項15】
データー通信を中継する処理をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
通信経路インターフェースに接続された特定の通信経路であって、通信障害の有無の判定の対象である特定の通信経路を特定する設定を行う機能と、
前記通信経路インターフェースに接続された複数の通信経路間の通信の中継を制御するための制御モードの設定であって、前記特定の通信経路を利用して前記中継を制御するための第1制御モードの設定と、前記特定の通信経路を利用せずに前記中継を制御するための第2制御モードの設定とを行う機能と、
前記第1制御モードと前記第2制御モードとのうちのいずれか一方を有効化する機能と、
前記有効化された制御モードに従って前記中継を制御する機能と、
前記特定の通信経路に通信障害が生じているか否かを判定する機能と、
前記第1制御モードが有効である状態で、前記特定の通信経路に通信障害が生じていると判定された場合には、前記第1制御モードを無効化して前記第2制御モードを有効化することによって、前記第2制御モードに従った前記中継の制御を実行する機能と、
を備え、
前記第1制御モードの設定と前記第2制御モードの設定とを行う機能は、前記第2制御モードでの前記中継を、前記通信経路インターフェースに接続された第1ネットワークを介した通信の通信フレームの前記通信フレームのネットワーク層ヘッダに基づく中継に設定し、前記第1制御モードでの前記中継を、第2ネットワークに接続された他の中継装置であって、前記通信経路インターフェースに接続された前記他の中継装置を介した通信の通信フレームの前記通信フレームのデータリンク層ヘッダに基づく中継に設定することを含む設定である中継設定を行う機能を含み、
前記特定の通信経路を特定する設定を行う機能は、前記特定の通信経路を、前記他の中継装置と前記第2ネットワークとを接続する通信経路の少なくとも一部を含む経路に設定する機能を含む、
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−211297(P2011−211297A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74535(P2010−74535)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】