説明

通信システム、フェムトセル用基地局及び制御方法

【課題】フェムトセル用基地局の通信エリアに存在する複数の端末に対して一斉に情報通知を行うことが可能な通信システムを提供する。
【解決手段】 フェムトセル用基地局(FAP1)は、複数の端末(UE101,UE102,UE103)の集団をフェムトセル用基地局(FAP1)の識別情報に対応付けて管理する管理部(10)と、情報通知を行うための識別情報を受け付けた場合に、その識別情報に対応付けられた複数の端末(UE101,UE102,UE103)の中で通信エリア内に存在する端末(UE101,UE102)のみに情報通知を行う制御部(11)と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムトセル用基地局を用いて通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスなどの複数の電話機を必要とする場所では、固定電話機を使用していた。このため、例えば、会議などで席をはずしている場合は電話に出ることが出来なかった。また、電話機の位置が固定であるため、数メートルの距離であっても転送を行う必要があった。また、電話機の台数を増やす場合は、電話機の設置、登録等の作業に手間がかかっていた。また、内線通話を行う場合は、PBX:Private Branch eXchangeなどの専用機器が必要であった。
【0003】
なお、近年では、殆どのユーザが携帯端末を所持している。このようなことから、近年では、固定電話機ではなく、個々の携帯端末に通話要求を通知している場合もある。
【0004】
また、本発明より先に出願された技術文献として、特許文献1(特開2000-354110号公報)には、1カ所にかかってきた電話を複数の離れた場所でリモートに応答することを可能にする技術について開示されている。
【0005】
上記特許文献1では、着信通知端末から複数の応答端末に着信情報の通知をおこない、応答端末のほうから着信通知端末に発信してコールピックアップを行い、応答する可能性のある場所すべてに通知し、どこからでも電話の対応を可能にしている。
【0006】
また、特許文献2(特開2002-33831号公報)には、外線着信時に主担当者の電話機を含む複数の電話機を担当者毎に異なる呼出形態で一斉に呼び出す技術について開示されている。
【0007】
上記特許文献2では、発信者番号通知方式の外線着信時に、担当者テーブルから当該発信者番号に対応する主担当者、副担当者および担当外者に関する情報を取得し、該情報に基づき多数の電話機の中から呼び出す電話機を特定し、主担当者、副担当者および担当外者に該当する電話機を異なる呼出形態で呼び出すことにしている。
【0008】
また、特許文献3(特開2010-81294号公報)には、同一の携帯電話を用いて内線通信及び外線通信の双方を行うことができ、しかも、内線通信用と外線通信用とで電話番号の切り替え等を不要にする技術について開示されている。
【0009】
上記特許文献3では、通信相手先の携帯電話がフェムトセルのいずれにも所在していない場合は、移動体通信ネットワークを介して外線通信を行い、通信相手先の携帯電話がフェムトセルのいずれかに所在している場合は、IPネットワークを介して内線通信を行うことにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−354110号公報
【特許文献2】特開2002−33831号公報
【特許文献3】特開2010−81294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
なお、近年は、通信エリアの品質向上を図るべく、上記特許文献3のように、フェムトセル用基地局を用いた通信システムの導入が行われている。フェムトセル用基地局は、半径数十メートル程度の狭い通信エリアをカバーする小型無線基地局であり、家庭内やオフィス内の室内に設置し、室内の通信エリアをカバーすることを目的としている。これにより、既存のマクロセル用基地局がカバーできない通信エリアの通信品質を改善することを可能にしている。また、マクロセル用基地局のインフラ整備にコストをかけずに通信エリアをカバーすることを可能にしている。このため、近年導入が進められているフェムトセル用基地局を利用して、複数の端末に対して一斉に情報通知を行うことが好ましい。
【0012】
なお、上記特許文献1、2には、複数の端末に対して着信通知を行う技術について開示されている。また、上記特許文献3には、同一の携帯電話を用いて内線通信及び外線通信の双方を行う技術について開示されている。しかし、上記特許文献1〜3には、フェムトセル用基地局の通信エリアに存在する複数の端末に対して一斉に情報通知を行う点については何ら記載も示唆もされていない。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フェムトセル用基地局の通信エリアに存在する複数の端末に対して一斉に情報通知を行うことが可能な通信システム、フェムトセル用基地局及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0015】
<通信システム>
本発明にかかる通信システムは、
複数の端末と、所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局と、を少なくとも有して構成する通信システムであって、
前記フェムトセル用基地局は、
複数の前記端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理する管理手段と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0016】
<フェムトセル用基地局>
本発明にかかるフェムトセル用基地局は、
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局であって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理する管理手段と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0017】
<制御方法>
本発明にかかる制御方法は、
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局の制御方法であって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理手段で管理する管理工程と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フェムトセル用基地局の通信エリアに存在する複数の端末に対して一斉に情報通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の通信システムのシステム構成例を示す図である。
【図2】フェムトセル用基地局FAP1のデータベース10の構成例を示す図である。
【図3】本実施形態の通信システムの処理動作例を示す第1の図である。
【図4】本実施形態の通信システムの処理動作例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本実施形態の通信システムの概要>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムの概要について説明する。
【0021】
本実施形態の通信システムは、複数の端末UE101〜UE104と、所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局FAP1〜FAP2と、を少なくとも有して構成する通信システムである。
【0022】
本実施形態のフェムトセル用基地局FAP1は、複数の端末UE101,UE102,UE103の集団をフェムトセル用基地局FAP1の識別情報に対応付けて管理する管理部(データベース10に相当)と、情報通知を行うための識別情報を受け付けた場合に、その識別情報に対応付けられた複数の端末UE101,UE102,UE103の中で通信エリア内に存在する端末UE101,UE102のみに情報通知を行う制御部11と、を有することを特徴とする。
【0023】
本実施形態の通信システムは、上記構成を有することで、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリアに存在する複数の端末UE101,UE102に対して一斉に情報通知を行うことができる。
【0024】
また、本実施形態の通信システムは、情報通知として通話通知を行う場合は、同一の外線番号などの識別情報から複数の端末UE101,UE102に対して通話通知を行うことができる。その結果、ユーザが離席する場合でも、端末UEを持ち歩くことで通話通知を受け取ることができ、モビリティを向上させることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の通信システムについて詳細に説明する。
【0025】
<通信システムのシステム構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の通信システムのシステム構成例について説明する。
【0026】
本実施形態の通信システムは、端末UE101〜UE104と、フェムトセル用基地局FAP1〜FAP2と、マクロセル用基地局MACROと、コアネットワークNWと、を有して構成する。本実施形態の通信システムを構成する各機器の台数は特に限定せず、任意の数で構成することが可能である。
【0027】
端末UE101〜UE104は、携帯電話機等の無線通信を行う既存の端末であり、端末UE101〜UE104固有の一意の外線番号を登録している。本実施形態では、フェムトセル用基地局FAP1のデータベース10に登録されている端末UE101,UE102,UE103を登録端末とし、フェムトセル用基地局FAP1のデータベース10に登録されていない端末UE104を未登録端末として説明する。図1では、UE101,UE102,UE103が登録端末であり、UE104が未登録端末である。また、図1では、登録端末UE101,UE102、未登録端末UE104がフェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在し、登録端末UE103がマクロセル用基地局MACROの通信エリア内に存在するものとして説明する。
【0028】
フェムトセル用基地局FAP1,FAP2は、小型のセルを構築する機器であり、フェムトセル用基地局FAP1,FAP2の通信エリア内に存在する端末UEをコアネットワークNWに接続する。本実施形態のフェムトセル用基地局FAP1,FAP2は、擬似的にグループを作成し、そのグループを管理するための一意のグループ情報、外線番号(フェムト識別情報)を登録端末UE101〜UE103に登録する。また、各登録端末UE101〜UE103に対し、フェムトセル用基地局FAP1配下で一意の内線番号を登録する。フェムトセル用基地局FAP1,FAP2は、グループ情報、外線番号、端末識別情報、内線番号をデータベース10に登録して管理する。データベース10のデータ構成例を図2に示す。
【0029】
図2に示すデータベース10は、グループ情報、外線番号、端末識別情報、内線番号、帰属情報を関連付けて管理している。グループ情報は、登録端末UEの集団を管理するための情報である。外線番号は、フェムトセル用基地局FAPを識別するための情報であると共に、グループ情報に含まれるフェムトセル用基地局FAP配下の登録端末UEに対して一斉に通話要求を通知する際に使用する番号である。端末識別情報は、登録端末UEを一意に識別するための情報である。内線番号は、登録端末UEに対する内線通話を行う際に使用する番号である。帰属情報は、登録端末UEがフェムトセル用基地局FAPの通信エリア内に存在するか否かを特定するための情報であり、『有』の場合は、登録端末UEがフェムトセル用基地局FAPの通信エリア内に存在することを意味し、『無』の場合は、登録端末UEがフェムトセル用基地局FAPの通信エリア内に存在しないことを意味する。なお、帰属情報は、コアネットワークNW側で管理することも可能である。本実施形態のフェムトセル用基地局FAP1は、制御部11がデータベース10を参照し、各種制御を行う。
【0030】
コアネットワークNWは、各機器同士の通信を確立するためのネットワークである。
【0031】
マクロセル用基地局MACROは、既存の3G網を構築する機器であり、マクロセル用基地局MACROの通信エリア内に存在する端末UEをコアネットワークNWに接続する。
【0032】
なお、本実施形態のコアネットワークNWの構成は特に限定せず、様々な機器を用いて構築することが可能である。例えば、利用者と通信事業者との間では既存のマクロセル用基地局MACROを経由して通信を行う既存の3G網が構築されている。このため、既存の3G網を改良することなくフェムトセル用基地局FAP1,FAP2をコアネットワークNWに接続することが可能なコアネットワークNWを構築することが好ましい。なお、コアネットワークNWを構築する際は、例えば、IMS(IP Multimedia subsystem)網などを用いることができる。
【0033】
<通信システムの処理動作例>
次に、図3、図4を参照しながら、本実施形態の通信システムの処理動作例について説明する。
【0034】
<フェムトセル用基地局配下に存在する登録端末への着信通知>
まず、図3を参照しながら、フェムトセル用基地局FAP1配下に存在する登録端末UE101,UE102への着信通知の処理動作例について説明する。
【0035】
フェムトセル用基地局FAP1が起動したり、フェムトセル用基地局FAP1の情報の設定変更を行ったりする場合は(ステップS1)、フェムトセル用基地局FAP1を識別するためのフェムト識別情報及び外線番号をコアネットワークNWに送信する(ステップS2)。コアネットワークNWは、フェムトセル用基地局FAP1から送信されたフェムト識別情報及び外線番号をコアネットワークNWのデータベースに記憶して管理する(ステップS3)。これにより、コアネットワークNWは、コアネットワークNWの配下に存在するフェムトセル用基地局FAP1を管理することができる。コアネットワークNWのデータベースは、コアネットワークNWを構成する通信機器で管理しても良く、新たにデータベースを設けるようにすることも可能である。
【0036】
次に、フェムトセル用基地局FAP1が構築する通信エリア内に登録端末UE101が移動した場合は(ステップA1)、登録端末UE101は、位置登録を行い、登録端末UE101を識別するための端末識別情報をフェムトセル用基地局FAP1に送信する(ステップA2)。フェムトセル用基地局FAP1は、位置登録処理が完了すると、登録端末UE101から送信された端末識別情報を基にデータベース10を参照し、端末識別情報に対応する帰属情報を『有』に更新する(ステップA3)。これにより、フェムトセル用基地局FAP1は、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に現在存在している登録端末UE101を管理することができる。
【0037】
次に、発信元端末100がフェムトセル用基地局FAP1に通話を開始する場合は、通話を開始するための外線番号をコアネットワークNWに送信する(ステップB1)。コアネットワークNWは、外線番号を受け付けた場合は、データベースを参照し、外線番号に対応するフェムトセル用基地局FAP1を特定し、その特定したフェムトセル用基地局FAP1に対して通話要求(呼び出し)を送信する(ステップB2)。この時、コアネットワークNWは、フェムトセル用基地局FAP1に外線番号を送信する。
【0038】
フェムトセル用基地局FAP1は、コアネットワークNWから通話要求を受け付けた場合に、外線番号を基にデータベース10を参照し、外線番号に対応付けてデータベース10に登録されている登録端末UEであり、且つ、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に現在存在する登録端末UEを特定する。図1の場合は、外線番号に対応付けてデータベース10に登録されている登録端末UEは、UE101,UE102,UE103であり、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に現在存在する登録端末UEは、UE101,UE102であるため、フェムトセル用基地局FAP1は、登録端末UE101、UE102を特定する。そして、その登録端末UE101,UE102に対して通話要求を通知する(ステップB3)。これにより、フェムトセル用基地局FAP1は、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に現在存在する登録端末UE101,UE102に対してのみに通話要求を通知することができる(フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する未登録端末UE104や、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在しない登録端末UE103に対しては、通話要求を通知しない)。
【0039】
フェムトセル用基地局FAP1からの通話要求に最初に応答した登録端末UE101は、フェムトセル用基地局FAP1、コアネットワークNWを介して発信元端末100と通話を開始する(ステップB4,B5)。この場合、フェムトセル用基地局FAP1は、最初に通話要求に応答した登録端末UE101と発信元端末100との通話接続を行うと共に、最初に通話要求に応答した登録端末UE101以外の登録端末UE102に対する通話要求の通知を切断する(ステップB6)。例えば、登録端末UE101が通話要求に最初に応答した場合は、登録端末UE101と発信元端末100との間での通話を確立し、登録端末UE102に対する通話要求の通知を切断する。
【0040】
なお、フェムトセル用基地局FAP1は、他にも(複数の)通話要求が有る場合は、その通話要求順にキューイングし、最初の通話要求に対する応答が行われた後でも、キューイングした通話要求が全て無くなるまで、その他の登録端末UEに対して通話要求を継続して通知する。なお、フェムトセル用基地局FAP1でキューイングできる数はフェムトセル用基地局FAP1側で任意に設定することができるものとする。
【0041】
<フェムトセル用基地局内での内線通話の処理動作例>
次に、図4を参照しながら、フェムトセル用基地局FAP1内での内線通話の処理動作例について説明する。
【0042】
フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する登録端末UE101は、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する他の登録端末UE102に対して内線通話を行うことができる。
【0043】
まず、登録端末UE101が内線番号を用いて登録端末UE102への内線通話を開始する場合は、フェムトセル用基地局FAP1に登録端末UE102の内線番号を送信する(ステップS11)。フェムトセル用基地局FAP1は、内線番号を受け付けた場合に、その内線番号を基に、データベース10を参照し、内線番号に対応する登録端末UE102を特定し、その登録端末UE102に対して通話要求(呼び出し)を送信する(ステップS12)。この場合、登録端末UE102は、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在するため、登録端末UE102に対して通話要求を通知することができる。
【0044】
登録端末UE102は、フェムトセル用基地局FAP1からの通話要求に応答した場合は、フェムトセル用基地局FAP1を介して登録端末UE101と内線通話を開始する(ステップS13,S14)。この場合、フェムトセル用基地局FAP1は、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する登録端末UE101と登録端末UE102との内線通話接続を行うことになる。
【0045】
なお、フェムトセル用基地局FAP1は、ステップS12の処理動作において登録端末UE102がフェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在しない場合は、登録端末UE101に対して内線通話ができない旨を通知する。
【0046】
また、図1に示す登録端末UE103は、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在しないため、内線番号をフェムトセル用基地局FAP1に通知することができない。このため、登録端末UE103は、内線番号を用いてフェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する他の登録端末101,102と内線通話を行うことができず、登録端末UE103固有の外線番号を用いて登録端末101,102と外線通話を行うことになる。即ち、フェムトセル用基地局FAPの通信エリア内に存在しない登録端末UE103は、内線通話を行うことができず、外線通話を行うことになり、通常の携帯端末として使用することになる。
【0047】
<本実施形態の通信システムの作用・効果>
このように、本実施形態の通信システムでは、複数の端末UE101,UE102,UE103の集団の情報を外線番号と対応付けてデータベース10に登録する。そして、フェムトセル用基地局FAP1は、通話通知を行うための外線番号を受け付けた場合は、データベース10を参照し、外線番号に対応付けられたフェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する端末UE101,UE102に対して通話要求の通知を一斉に行う。これにより、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア内に存在する複数の端末UE101,UE102に対して一斉に通話要求の通知を行うことができる。
【0048】
また、フェムトセル用基地局配FAP1の通信エリア内に存在する複数の端末UE101,UE102に対して通話要求の通知を一斉に行うことで、モビリティの向上を図りつつ、且つ、フェムトセル用基地局FAP1の通信エリア外に存在する登録端末UE103への通話要求の通知を抑えることができる。このため、端末UE単位ではなく、位置(小規模のオフィス/家庭等)単位で通話要求の通知を一斉に行うことができる。即ち、所定の閉じたエリア単位で通話要求の通知を一斉に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態の通信システムでは、フェムトセル用基地局FAPを用いて、フェムトセル用基地局FAPの通信エリアに存在する登録端末UEに対して通話要求の通知を一斉に行うことができるため、PBXなどの専用機器を設置することなく、内線通話を行うことができる。また、専用の端末を使用しなくとも、各ユーザが所持している携帯電話機などの既存の端末を本システムに兼用させることができる。その結果、コスト削減を図ることができると共に、小規模事業者・家庭でも本システムを使用することができる。
【0050】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0051】
例えば、上述した通信システムを構成するフェムトセル用基地局FAP、コアネットワークNWにおける制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0052】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0053】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0054】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0055】
また、本実施形態における通信システムは、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0056】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0057】
(付記1)
複数の端末と、所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局と、を少なくとも有して構成する通信システムであって、
前記フェムトセル用基地局は、
複数の前記端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理する管理手段と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【0058】
(付記2)
前記情報通知は、通話通知であり、
前記制御手段は、前記通話通知に対する応答を前記端末から受け付けた場合に、前記端末と、前記識別情報を発信した発信元端末と、の間の通話接続を行うことを特徴とする付記1記載の通信システム。
【0059】
(付記3)
前記制御手段は、前記通話通知に対する応答を前記端末から受け付けた場合に、他の端末に対する通話通知を切断することを特徴とする付記2記載の通信システム。
【0060】
(付記4)
前記制御手段は、通話通知を複数受け付けた場合は、全ての通話通知に対する応答を前記端末から受け付けるまで、前記通話通知を継続して行うことを特徴とする付記2または3記載の通信システム。
【0061】
(付記5)
前記管理手段は、複数の前記端末の集団を特定するためのグループ情報と前記識別情報とを対応付けて管理することを特徴とする付記1から4の何れかに記載の通信システム。
【0062】
(付記6)
前記管理手段は、複数の前記端末に各々割り当てた一意の内線番号を各端末に対応付けて管理し、
前記制御手段は、前記通信エリア内に存在する前記端末から内線番号を受け付けた場合に、前記内線番号に対応付けられた前記端末が前記通信エリア内に存在する場合に、内線番号を受け付けた前記端末と、前記内線番号に対応付けられた前記端末と、の間の内線通話接続を行うことを特徴とする付記1から5の何れかに記載の通信システム。
【0063】
(付記7)
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局であって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理する管理手段と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御手段と、
を有することを特徴とするフェムトセル用基地局。
【0064】
(付記8)
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局の制御方法であって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理手段で管理する管理工程と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【0065】
(付記9)
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局のコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理手段で管理する管理処理と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御処理と、
を、前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0066】
なお、本実施形態の通信システムは、小規模事業者/家庭への内線、代表番号通知サービスといった用途に適用できる。また、フェムトセル用基地局FAPで構築したグループ内限定のサービス提供といった用途にも適用できる。グループ内限定のサービスとしては、例えば、グループ内限定での転送サービスなどが挙げられる。即ち、本実施形態の通信システムは、通話通知だけでなく、様々な情報通知に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
UE101、UE102、UE103 登録端末
UE104 未登録端末
FAP1、FAP2 フェムトセル用基地局
10 データベース
11 制御部
MACRO マクロセル用基地局
NW コアネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と、所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局と、を少なくとも有して構成する通信システムであって、
前記フェムトセル用基地局は、
複数の前記端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理する管理手段と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御手段と、
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記情報通知は、通話通知であり、
前記制御手段は、前記通話通知に対する応答を前記端末から受け付けた場合に、前記端末と、前記識別情報を発信した発信元端末と、の間の通話接続を行うことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記通話通知に対する応答を前記端末から受け付けた場合に、他の端末に対する通話通知を切断することを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御手段は、通話通知を複数受け付けた場合は、全ての通話通知に対する応答を前記端末から受け付けるまで、前記通話通知を継続して行うことを特徴とする請求項2または3記載の通信システム。
【請求項5】
前記管理手段は、複数の前記端末の集団を特定するためのグループ情報と前記識別情報とを対応付けて管理することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記管理手段は、複数の前記端末に各々割り当てた一意の内線番号を各端末に対応付けて管理し、
前記制御手段は、前記通信エリア内に存在する前記端末から内線番号を受け付けた場合に、前記内線番号に対応付けられた前記端末が前記通信エリア内に存在する場合に、内線番号を受け付けた前記端末と、前記内線番号に対応付けられた前記端末と、の間の内線通話接続を行うことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局であって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理する管理手段と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御手段と、
を有することを特徴とするフェムトセル用基地局。
【請求項8】
所定の通信エリアを構築するフェムトセル用基地局の制御方法であって、
複数の端末の集団を前記フェムトセル用基地局の識別情報に対応付けて管理手段で管理する管理工程と、
情報通知を行うための前記識別情報を受け付けた場合に、前記識別情報に対応付けられた複数の前記端末の中で前記通信エリア内に存在する前記端末のみに情報通知を行う制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−147261(P2012−147261A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4267(P2011−4267)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】