通信システム及び制御装置及び制御対象装置
【課題】無線特有の通信の不安定な状態においても、ホットスタンバイ方式を実現する。
【解決手段】アービトレーションフェーズになると、現用系のマスタ#1が故障していなければ原則としてマスタ#1のみが、マスタ#1が故障している可能性がある場合は待機系のマスタ#2が、各スレーブに対して、次の制御フレームにおいて現用系とすべきマスタを選択するよう要求するREQフレームを送信し、REQフレームを受信した各スレーブは、次の現用系のマスタを選択し、選択したマスタを示すSELフレームをマスタ#1及びマスタ#2の両者に送信する。マスタ#1は、半数のスレーブから選択された場合は引き続き現用系のマスタとして動作し、マスタ#2は、過半数のスレーブから選択された場合に現用系のマスタになる。
【解決手段】アービトレーションフェーズになると、現用系のマスタ#1が故障していなければ原則としてマスタ#1のみが、マスタ#1が故障している可能性がある場合は待機系のマスタ#2が、各スレーブに対して、次の制御フレームにおいて現用系とすべきマスタを選択するよう要求するREQフレームを送信し、REQフレームを受信した各スレーブは、次の現用系のマスタを選択し、選択したマスタを示すSELフレームをマスタ#1及びマスタ#2の両者に送信する。マスタ#1は、半数のスレーブから選択された場合は引き続き現用系のマスタとして動作し、マスタ#2は、過半数のスレーブから選択された場合に現用系のマスタになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置と制御対象装置が含まれる通信システムに関する。より具体的には、無線通信システムにおけるホットスタンバイ方式のコントローラ二重系システム、及び、多重系システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおける、コントローラ二重化システムは、現用系コントローラと待機系コントローラと、制御対象となる複数の制御対象局により構成されており、常態では現用系コントローラが制御対象局を無線ネットワークを介して制御を行い、待機系コントローラは、現用系コントローラの故障を検出した場合に、現用系に替わって制御を実施する。
【0003】
特許文献1では、現用系コントローラの故障を検出するために、現用系コントローラと待機系コントローラ間を、通信エラーレートの低い有線ネットワークで接続し、現用系コントローラから待機系コントローラへのハートビート通信により故障検出する方法が開示されている。
一方、特許文献2では、現用系と待機系を有線ネットワークで接続した場合に、ケーブル断線時にはホットスタンバイ機能が実現できない可能性について指摘しており、ケーブル断線時には、無線通信機能を利用する方法を開示する一方で、現用系の故障検出を無線ネットワークを用いて行うことに関して、電波障害による通信の不安定さを懸念事項として挙げており、無線ネットワークを利用する場面を、ケーブル断線時に限定している。
また、特許文献3では、現用系と待機系を、無線ネットワークで接続した例が示されている。しかしながら、電波障害により通信が不安定になった場合に、システムを正常に機能させるための方法は開示されていない。
【特許文献1】特開2002−312189号公報
【特許文献2】特開2004−302512号公報
【特許文献3】特開2006−185308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に示すように、従来、ホットスタンバイ方式を実現するためには、現用系コントローラと待機系コントローラは有線接続されていることが前提となっていた。その理由は、特許文献2に示されるように、現用系コントローラの故障を無線で検出する場合、電波障害等による通信の不安定さによる誤動作が懸念されるためである。
例えば、ノイズや障害物などの外部要因により、一時的に待機系コントローラで、現用系コントローラとの通信が不能に陥ったケースでは、待機系コントローラは、現用系コントローラに異常が発生したと誤検出してしまうことが考えられる。このようなケースでは、現用系と待機系双方のコントローラが起動してしまい、無線ネットワーク上で互いに電波干渉を起こしてしまうため、システムダウンに繋がる可能性がある。
別の例では、待機系コントローラのアンテナの周辺回路の故障により、アンテナによる損失が大きくなってしまうケースが考えられる。このケースでは、待機系コントローラでは、アンテナによる損失が大きいために、受信が不能となり、現用系にエラーが発生したと誤検出する可能性がある。しかも、送信においては、ある程度の送信出力が行えるため、待機系が誤って現用系に切り替わった場合には、電波干渉によるシステムダウンを引き起こす可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決することを主な目的の一つとしており、無線特有の通信の不安定な状態においても、ホットスタンバイ方式を実現することを主な目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る通信システムは、
複数の制御装置と複数の制御対象装置とを有し、いずれかの制御装置が前記複数の制御対象装置を制御する現用系の制御装置となり、他の制御装置が現用系の制御装置をバックアップする待機系の制御装置となる通信システムであって、
少なくともいずれかの制御装置が、
前記複数の制御装置の中から現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信し、
前記複数の制御対象装置は、
前記選択要求を受信した場合に、現用系とすべき制御装置を選択し、選択結果を少なくともいずれかの制御装置に対して送信し、
前記複数の制御装置は、
前記選択結果に基づいて、いずれかの制御装置を現用系とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
待機系の制御装置が現用系の制御装置の異常を誤検出した場合でも、制御対象装置により選択された1つの制御装置のみが現用系として動作するので、制御用のデータは1つの制御装置から送信されるのみであり、このため電波干渉によるシステムダウンも生じない。従って、無線ネットワークシステムにおいて、現用系と待機系の制御装置を有線接続しなくても、ホットスタンバイを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す。
【0009】
図1に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、複数のマスタ装置100(制御装置)と複数のスレーブ装置200(制御対象装置)が無線ネットワーク300で接続されている。
また、いずれかのマスタ装置100が現用系となり、複数のスレーブ装置200を制御し、他方のマスタ装置100が待機系となり、現用系のマスタ装置100をバックアップする。
本実施の形態では、マスタ装置#1(100a)(以下、単にマスタ#1ともいう)が、現用系コントローラであり、無線通信手段により、複数の制御対象となるスレーブ装置#1〜#n(200a〜200n)(以下、単にスレーブ#1〜#nともいう)の制御を行う。
この制御は周期的に行われ、マスタ#1(100a)が発行するコマンドフレームに対して、スレーブ#1〜#nが応答フレームを返すことで行われる。
マスタ装置#2(100b)(以下、単にマスタ#2ともいう)は、待機系コントローラであり、現用系コントローラが故障などの理由により制御を継続できなくなった場合に、マスタ#1に替わってスレーブの制御を行う。
なお、マスタ#1は、スレーブ#1〜#nにコマンドフレームを送信するとともに、マスタ#2にもコマンドフレームを送信する。更に、スレーブ#1〜#nは、マスタ#1に応答フレームを送信するとともに、マスタ#2にも応答フレームを送信する。
マスタ#2は、これらコマンドフレーム、応答フレームの送受信状況を監視することで、マスタ#1における故障を検知する。
【0010】
図2は、通信シーケンスを時系列に示したものである。
【0011】
本実施の形態に係る通信システムは、制御フェーズと、アービトレーションフェーズにより構成される。
制御フェーズでは、前記したように、マスタがスレーブに対してコマンドを発行し、スレーブよりコマンドの実行結果を得るフェーズであり、アービトレーションフェーズは、次の制御フェーズにおける現用系コントローラを決定するフェーズである。
つまり、アービトレーションフェーズは、現用系コントローラ(現用系の制御装置)を更新するタイミングである。
【0012】
本実施の形態では、MAC(Media Access Control)層にTDMA(Time Division Multiple Access)を採用しており、制御フェーズとアービトレーションフェーズを1つのスーパーフレームに収容するものとして説明する。
ただし、アービトレーションフェーズを実施するタイミングが現用系コントローラと待機系コントローラで既知であり、互いのアービトレーションへの参加を阻害しない場合は、必ずしもTDMAを採用する必要はなく、例えば、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を用いても良い。
また、制御フェーズとアービトレーションフェーズを1つのスーパーフレームに収容する必要はなく、個別のスーパーフレームとして構成しても良い。
【0013】
ここで、本実施の形態に係るマスタ#1、マスタ#2とスレーブ#1〜#nの動作の概要を説明する。
【0014】
図2に示したアービトレーションフェーズが到来すると、マスタ#1、マスタ#2の少なくともいずれかがスレーブ#1〜#nに対して、REQフレームを送信する。このREQフレームは、次の制御フェーズにおいて現用系とすべきマスタ装置を選択するよう要求するものであり、選択要求の例である。
REQフレームは、故障していない限り現用系であるマスタ#1のみが送信する。但し、待機系であるマスタ#2がマスタ#1が故障していると判断した場合には、マスタ#2もREQフレームを送信する。
このため、原則としてマスタ#1のみがREQフレームを送信するが、マスタ#1が故障している場合には、マスタ#2のみがREQフレームを送信する。また、マスタ#2がマスタ#1の故障を検知したが、実際にはマスタ#1は故障していない場合は、マスタ#1及びマスタ#2の両者からREQフレームが送信される。
【0015】
REQフレームを受信した各スレーブは、次の現用系とすべきマスタを選択し、選択したマスタを示すSELフレームをマスタ#1及びマスタ#2の両者に送信する。SELフレームは選択結果の例である。
マスタ#1及びマスタ#2は、スレーブ#1〜#nからのSELフレームの内容に基づいて現用系のマスタを設定(更新)する。
スレーブにおけるマスタの選択基準、SELフレームの内容に基づく現用系コントローラの決定手順の詳細については後述する。
【0016】
図3は、本実施の形態におけるマスタ装置100(制御装置)の機能ブロックを示したものである。
【0017】
スレーブ制御実行判定部101は、初期状態において現用系、もしくは、待機系が指定される。
現用系に指定された場合は、スレーブ制御実行判定部101は、動作モードを現用系の動作モードに設定し、当該マスタは現用系コントローラとして機能する。
現用系コントローラは、スレーブ制御実行部104に、スレーブ制御の実行を指示する。制御フェーズが完了したら、アービトレーション実行部103へアービトレーションへの参加を指示し、アービトレーションの実行結果を得る。アービトレーションに勝利した場合は、次の制御フェーズにおいても、当該マスタは現用系コントローラに留まり、スレーブ制御の実行を指示する。一方、アービトレーションに負けた場合は、スレーブ制御実行判定部101が動作モードを待機系の動作モードに設定して、当該マスタは待機系コントローラに切り替わり、以後、待機系コントローラとして機能する。
初期状態において、待機系に指定された場合は、動作モードを待機系の動作モードに設定し、待機系コントローラとして機能する。
待機系コントローラは、スレーブ制御実行部104に、スレーブ制御の実行を指示しない。待機系コントローラは、現用系異常検出部102より、現用系コントローラの異常検出が通知された場合に、アービトレーション実行部103に、アービトレーション参加指示を行い、アービトレーションの結果を得る。アービトレーションに勝利した場合は、次の制御フェーズにおいて、スレーブ制御実行判定部101が動作モードを現用系の動作モードに設定して、当該マスタは現用系コントローラに切り替わり、スレーブ制御実行部104にスレーブ制御の実行を指示し、以後、現用系コントローラとして機能する。アービトレーションに負けた場合は、待機系コントローラに留まる。
なお、スレーブ制御実行判定部101は、動作モード設定部の機能の一部を担う。
【0018】
現用系異常検出部102は、待機系に設定された場合(待機系の動作モードが設定されている場合)のみ有効となるブロックである。
現用系異常検出部102は、制御フェーズにおいて、現用系のマスタとスレーブの無線通信を監視(現用系のマスタとスレーブ間で送受信されるフレームを受信)し、所定期間フレームが受信できなくなった場合に、現用系異常を検出し、スレーブ制御実行判定部101に通知を行う。
現用系異常検出部102は、状態監視部の例である。
【0019】
アービトレーション実行部103は、スレーブ制御実行判定部101よりアービトレーション参加指示を受けた場合に、アービトレーションフェーズにおいて、REQフレームを送信することで、アービトレーションに参加し、SELフレームを受信して、その内容からアービトレーションの実行結果を判定する。判定結果は、スレーブ制御実行判定部101に通知する。アービトレーションの詳細については後述する。
アービトレーション実行部103は、選択要求送信部及び選択結果受信部として機能し、また、動作モード設定部の機能の一部を担う。
【0020】
スレーブ制御実行部104は、スレーブにコマンドを発行して、実行結果を得るブロックであり、通信フレームとして、コマンドフレームを送信し、応答フレームを受信する。
【0021】
無線通信処理部105は、各種フレームを無線ネットワーク300を介して通信するためのブロックである。
【0022】
図4は、本実施の形態におけるスレーブ装置200(制御対象装置)の機能ブロックを示したものである。
【0023】
アービトレーション判定部201は、アービトレーションフェーズにおいて、マスタ#1及びマスタ#2からのREQフレームを受信して、いずれかを次のサイクルの現用系コントローラとして選択し、結果をSELフレームで送信する。
アービトレーション判定部201は、選択要求受信部、選択部及び選択結果送信部の例である。
コマンド実行部202は、制御フェーズにおいて、コントローラが発行したコマンドを受け付けて実行し、実行結果を返すブロックである。
【0024】
次にアービトレーションの実施手順、アービトレーションにおけるマスタ装置100及びスレーブ装置200の動作例を図10及び図11を参照して説明する。
図10は、マスタ装置100の動作例を示すフローチャートであり、図11は、スレーブ装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0025】
アービトレーションは、図2に示すアービトレーションフェーズに行われる。
マスタ装置100は、アービトレーションフェーズの到来を確認し(S1001)、アービトレーションフェーズが到来してなければ制御フェーズの処理を継続する(S1002)。
アービトレーションフェーズが到来していれば、現用系であれば(現用系の動作モードに設定されていれば)、現用系コントローラのスレーブ制御実行判定部101は、故障していなければ(S1003でYES)、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示し、アービトレーション実行部103がREQフレームをスレーブに送信して(S1005)、アービトレーションに参加する。
つまり、現用系のマスタは、故障により参加できない場合を除き常にアービトレーションに参加する。故障している場合は、所定のエラー処理が行われる(S1004)。
一方、待機系であれば(待機系の動作モードに設定されていれば)、待機系コントローラのスレーブ制御実行判定部101は、現用系異常検出部102から現用系マスタの異常が通知されており、現用系マスタが故障していると判断した場合(S1011でYES)に、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示し、アービトレーション実行部103がREQフレームをスレーブに送信して(S1012)、アービトレーションに参加する。
【0026】
一方、スレーブ装置200では、アービトレーション判定部201が、REQフレームを受信したら(S1101)、REQフレームの送信元を判別し(S1102)、送信元がいずれのマスタであるかによって(S1103)、次のサイクルの現用系コントローラとして、マスタ#1、マスタ#2のどちらかを選択基準に照らして選択する。
選択基準としては、ステップS1102の送信元の判別の結果、現用系又は待機系のいずれか片方のマスタからのみ、REQフレームを受信した場合は、REQフレームの送信元のマスタを選択し(S1104)、現用系及び待機系の両方のマスタからREQフレームを受信した場合は、現用系のマスタを選択する(S1105)。また、2つの待機系のマスタからREQフレームを受信した場合は、制御フェーズにおいて最後にコマンドを受信したマスタを選択する(S1106)。なお、このケースは、特殊なケースであり、詳細は後述する。
その後、アービトレーション判定部201は、選択した結果をSELフレームを用いて送信する(S1107)。
なお、どちらのマスタからもREQフレームを受信しなかった場合は、SELフレームを送信しないこととする。
【0027】
マスタ#1、マスタ#2は、アービトレーション実行部103が、個々のスレーブが送信するSELフレームを受信し(S1006、S1013)、個々のスレーブの選択結果を集計する(S1007、S1014)。
現用系の動作モードが設定されている場合は、半数のスレーブから自身を選択したことを示すSELフレームを受信した場合(S1008でYES)に、スレーブ制御実行判定部101は、現用系の動作モードの設定を維持する(S1009)。
一方、自身を選択したスレーブが半数未満である場合(S1008でNO)は、スレーブ制御実行判定部101は、制御フェーズになった際に動作モードを待機系に切替える(S1010)。
また、待機系の動作モードが設定されている場合は、過半数のスレーブから自身を選択したことを示すSELフレームを受信した場合(S1015でYES)に、スレーブ制御実行判定部101は、制御フェーズになった際に動作モードを待機系に切替える(S1017)。
一方、自身を選択したスレーブが過半数未満である場合(S1015でNO)は、スレーブ制御実行判定部101は、待機系の動作モードの設定を維持する(S1016)。
そして、現用系のマスタ及び待機系のマスタは、それぞれの制御フェーズにおける処理を行う(S1018)。
なお、通信エラー等のために、両マスタともに、ステップS1008及びS1015において前記条件(半数又は過半数)を満たさなかった場合は、両者負けとなり、次の制御フェーズを実施するマスタは存在しないことになる。
【0028】
次に、アービトレーションフェーズについて述べる。
本実施の形態では、アービトレーションフェーズは、前述したように、TDMAによるスーパーフレームの後ろの方に位置し、複数のアービトレーション用のタイムスロットにより構成される。
アービトレーションフェーズは、固定のタイムスロット番号pから開始されることとする。
なお、タイムスロット番号は、制御フェーズの先頭をタイムスロット番号0として、番号を順番に割り付けることとする。このことは、現用系が故障して通信が行われなくなった場合や、待機系が現用系との通信が不能になった場合でも、待機系のコントローラが、アービトレーションへの参加タイミングを知ることを可能にする。
【0029】
図5は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)を用いた場合の例である。
タイムスロット番号pにはマスタ#1がREQフレームを送信し、p+1にはマスタ#2がREQフレームを送信するものとする。
スレーブは、タイムスロット番号p+2において、それぞれのスレーブに割り付けられたサブチャネルを用いてアービトレーションの結果であるSELフレームを送信する。
このように、アービトレーションのタイムスロットを固定にすることで、前述した、アービトレーションの結果が両者負けになった場合に、次のサイクルで、マスタ#1、マスタ#2がアービトレーションに参加することを可能にする。
この場合、アービトレーションに勝利する条件は、マスタ#1、マスタ#2ともに、待機系コントローラの条件(図10のS1015)となり、過半数以上のスレーブからSELフレームを受信した場合となる。
なお、スレーブは、制御フェーズにて、最後にコマンドを受信したマスタを現用系コントローラと認識し、アービトレーションでは、当該現用系のマスタを選択するものとする(図11のS1106)。
【0030】
また、アービトレーションフェーズも無線通信を利用して実行することから、通信エラーを考慮する必要がある。そこで、リトライを実施することで、エラーレートを下げることが考えられる。
図5では、(1)マスタ#1のREQフレームの送信、(2)マスタ#2のREQフレームの送信、(3)スレーブのSELフレームの送信を一連のシーケンスとして、リトライを実施する方法を示している。リトライの回数は固定である。
本シーケンスにおいて、スレーブは、一旦、SELフレームを送信した後に、リトライで、その内容を変更しないこととする。このようにする理由は、リトライ中に特定のスレーブがその内容を変更した場合、通信エラー等に理由により、マスタ#1、マスタ#2で異なる結果を認識する可能性があるためである。
なお、リトライに関して、ノイズの特性に応じて、以下のシーケンスにしても良い。
(1)マスタ#1がREQを複数回送信する。(2)マスタ#2がREQを複数回送信する。(3)スレーブがSELを複数回送信する。
【0031】
このように、本実施の形態によれば、現用系と待機系を有線接続する必要がなくなるため、低コストで設置性に優れ、ケーブル断線のリスクの無い無線ネットワークシステムにおける二重系システム、及び、多重系システムを実現することが可能となる。
つまり、現用系のマスタと待機系のマスタが有線接続されていない構成において、待機系のマスタが現用系のマスタの異常を誤検出した場合でも、アービトレーションにおいてスレーブにより選択された1つのマスタのみが現用系として動作するので、コマンドフレームは1つのマスタから送信されるのみであり、このため電波干渉によるシステムダウンも生じない。従って、無線ネットワークシステムにおいて、現用系と待機系のマスタを有線接続しなくても、システムダウンを発生させることなく、ホットスタンバイを実現することが可能となる。
【0032】
以上、本実施の形態では、
現用系コントローラが複数の制御対象局の制御を無線通信手段を用いて周期的実施し、現用系と待機系の二重化されたコントローラを有し、現用系コントローラが故障した場合でも、待機系のコントローラが、制御対象局の制御を行う二重系システムであって、
現用系、待機系の各々のコントローラが、制御対象局の制御権を複数の制御対象局に、前記無線通信手段を用いて要求し、
現用系、及び、待機系コントローラが発行する制御権の要求を受けて、制御対象局は、次のサイクルのコントローラを選択し、選択結果を、前記無線通信手段を用いてコントローラに通知し、
前記、複数の制御対象局が通知する選択結果を受信し、現用系コントローラは、半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に制御権を取得し、待機系コントローラは、過半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に、制御権を取得するコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0033】
また、本実施の形態では、現用系コントローラが故障したと判定した場合にだけ、制御対象局の制御権を要求する待機系コントローラを説明した。
【0034】
また、本実施の形態では、現用系コントローラと待機系コントローラの両方が、制御対象局の制御権を要求した場合に、現用系コントローラを優先的に選択する制御対象局を説明した。
【0035】
なお、以上では、マスタ装置とスレーブ装置が無線通信を行う無線通信システムを例にして説明したが、マスタ装置とスレーブ装置が有線接続されている有線通信システムであってもよい。
【0036】
また、以上では、2台のマスタ装置が存在し、そのうちの1台が現用系となり、他方の1台が待機系となる構成を説明したが、3台以上のマスタ装置が存在し、そのうちの1台が現用系となり、他の2台以上が待機系となる構成であってもよい。この場合には、例えば、2台以上の待機系のマスタ装置に優先順位を設け、スレーブ装置は、現用系のマスタ装置が故障しているときには、次のサイクルにおいて現用系となるべきマスタ装置を優先順位に従って選択するようにしてもよい。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態1では、OFDMAを用いてアービトレーションを行う方法を示した。
本実施の形態では、シングルキャリアでのアービトレーション方式を示す。
【0038】
シングルキャリアを利用する場合は、アービトレーションフェーズにおいて、各スレーブがSELフレームを送信するスロットを割り付ける。この時、スレーブの数が多いと、アービトレーションに時間がかかるという問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、アービトレーションで応答するスレーブの数を制限することで、アービトレーションフェーズを短縮することが可能とする方法を示す。
このように複数のスレーブのうちREQフレームに応答することが許可された応答許可スレーブ(マスタを選択することが許可されたスレーブ)は、選択許可制御対象装置の例である。
【0039】
図6は、応答する応答許可スレーブの数をm台(mは2以上、スレーブ総数以下)に制限した場合の例を示す。
アービトレーションに勝利する条件は、現用系コントローラは半数以上(m/2)、待機系コントローラは過半数((m+1)/2)の応答許可スレーブから、自局を選択したことを示すSELフレームを受信することである。
アービトレーションに応答する応答許可スレーブ、及び、その数は、システム運用を開始する前に決定しておけば良い。
なお、アービトレーションに応答する応答許可スレーブが故障した場合は、現用系コントローラが無線通信手段を用いて、制御フェーズにおいて、待機系コントローラとスレーブに通知して、変更することとする。
なお、スレーブの数を制限することは、無線通信手段にOFDMAを用いた場合にも適用が可能である。
【0040】
本実施の形態では、REQフレームに応答するスレーブを応答許可スレーブに制限している点を除いては実施の形態1と同様である。
つまり、マスタの構成は図3に示した通りであり、スレーブの構成は図4に示した通りである。
また、ステップS1008における判断基準が応答許可スレーブの半数であり、ステップS1015における判断基準が応答許可スレーブの過半数である点を除けば、マスタの動作は図10に示した通りである、
また、応答許可スレーブの動作は、図11に示した通りである。
【0041】
以上、本実施の形態では、
コントローラを選択する制御対象局を、システム運用前、もしくは、システム運用中に、決定、もしくは、変更し、
現用系コントローラは、前記、選択された制御対象局の数の半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に制御対象局の制御権を獲得し、待機系コントローラは、前記、選択された制御対象局の過半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に、制御対象局の制御権を獲得するコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0042】
実施の形態3.
本実施の形態では、マスタ#1が現用系のコントローラとして機能している場合に、マスタ#1が故障していない場合でも、通信状態が不調になった場合で、かつ、マスタ#2が、マスタ#1より通信状態が良い場合に、マスタ#2が現用系マスタに切り替わって、制御フェーズを実行する場合の例を示す。
【0043】
図9は、本実施の形態に係るマスタ装置100の構成例を示す。
図9では、構成要素としては、図3に示したものと同様であるが、現用系異常検出部102の機能が実施の形態1に比べて増えている。
本実施の形態では、現用系異常検出部102は、待機系の動作モードが設定されている場合に、制御フェーズにおいて、現用系のマスタの状態を監視するとともに、現用系のマスタとスレーブとの間の通信の通信品質及び自装置とスレーブとの間の通信の通信品質を判定する。そして、測定した現用系のマスタの通信品質と自装置の通信品質をスレーブ制御実行判定部101に通知する。
スレーブ制御実行判定部101は、現用系異常検出部102から通知された通信品質を比較し、自装置の通信品質の方が現用系のマスタの通信品質よりもよければ、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示する。
なお、スレーブ制御実行判定部101は、本実施の形態では、動作モード設定部の一部の機能と選択要求送信部の一部の機能を担う。
また、現用系異常検出部102は、本実施の形態では、状態監視部の例であるとともに、第1の通信品質判定部及び第2の通信品質判定部の例である。
【0044】
図7は、本実施の形態の通信シーケンスを示したものである。
物理層の方式は問わないが、本実施の形態ではOFDMAを利用することを前提とする。
【0045】
制御フェーズにおいて、タイムスロット番号0に、マスタ#1がコマンドフレーム(CMD)を送信し、タイムスロット番号1にマスタ#2がダミーフレーム(DMY)を送信する。ここで、マスタ#2が送信するフレームは、無線通信品質を計測することを目的としており、フレームの内容は問わない。
マスタ#2では、現用系異常検出部102が、無線通信品質を計測するためのダミーフレームを送信する。
スレーブでは、コマンド実行部202が、マスタ#1のコマンドフレームに対する応答フレーム(ACK)をタイムスロット番号2に送信するが、その際に、マスタ#1が送信したコマンドフレーム(ダウンリンクフレーム)を受信した際の通信品質とマスタ#2が送信したダミーフレーム(ダウンリンクフレーム)を受信した際の通信品質に関する情報を応答フレーム(ACK)に付加して送信する。
ここで、通信品質に関する情報とは、例えば、RSSI(Receive Signal Strength Indication)を用いることができる。
応答フレームはマスタ#1、マスタ#2の双方で受信する。より具体的には、マスタ#1では、スレーブ制御実行部104が応答フレームを受信し、マスタ#2では、現用系異常検出部102が応答フレームを受信する。
そして、スレーブからの応答フレームを受信した際に、マスタ#1、マスタ#2は、スレーブからマスタへのフレーム(アップリンクフレーム)の通信品質を判定することができる。
マスタ#1では、アップリンクフレームにおける通信品質を示す情報を次のコマンドフレームに付加してスレーブに送信する。マスタ#2では、現用系異常検出部102が、マスタ#1からスレーブへのコマンドフレームを受信し、このコマンドフレームの内容によりスレーブからマスタ#1へのアップリンクフレームにおける通信品質を判定することができる。
このように、マスタ#2の現用系異常検出部102は、マスタ#1からスレーブへのコマンドフレームの内容によりスレーブからマスタ#1へのアップリンクにおける通信品質を判定することができ、スレーブからの応答フレームの受信状態によりスレーブからマスタ#2へのアップリンクにおける通信品質を判定することができる。
更に、スレーブからの応答フレームの内容によりマスタ#1からスレーブへのダウンリンクにおける通信品質及びマスタ#2からスレーブへのダウンリンクにおける通信品質を判定することができる。
【0046】
そして、アービトレーションフェーズにおいて、待機系のマスタ#2では、スレーブ制御実行判定部101が現用系異常検出部102から通知された通信品質をチェックして、マスタ#1より、マスタ#2の方が安定的に通信状態が良いと判断した場合に、アービトレーションに参加する。
マスタ#1のREQフレームには、個々のスレーブとマスタ#1の間のアップリンクフレーム、ダウンリンクフレームの通信品質をパラメータとして付加し、タイムスロットpに送信する。
マスタ#2のREQフレームには、個々のスレーブとマスタ#2の間の通信品質をパラメータとして付加してタイムスロットp+1に送信する。
アービトレーションに応答するスレーブは、上記、通信品質のパラメータを評価し、その結果をSELフレームに付加して、タイムスロットp+2に送信する。
なお、スレーブが通信品質のパラメータを評価してコントローラを選択する際には、例えば、以下の優先順位に基づいて選択を行う。
(1)通信不能になるマスタとスレーブの組合せがより少ないこと
(2)通信品質がより良好であること
アービトレーションフェーズのフレームシーケンス、アービトレーション結果を受けた各マスタの動作は、実施の形態1、2に示したものと同じである。
【0047】
図12は、本実施の形態に係るマスタの動作例を示すフローチャートである。
図12では、S1201が追加された点を除き、図10と同様である。
本実施の形態では、待機系である場合に、スレーブ制御実行判定部101は、現用系マスタが故障していない場合(S1011でNO)に、自装置の通信品質が現用系マスタの通信品質よりもよいと判断すれば(S1201でYES)、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示し、アービトレーション実行部103がREQフレームをスレーブに送信して、アービトレーションに参加する。なお、実施の形態1と同様に、現用系マスタが故障していると判断した場合(S1011でYES)にも、REQフレームは送信される。
以降の動作は、図10と同様であるため説明は省略する。
【0048】
また、図13は、本実施の形態に係るスレーブの動作例を示すフローチャートである。
図13では、図11のS1104の代わりにS1301が行われ、S1106の代わりにS1302が行われる。
つまり、アービトレーション判定部201は、REQフレームの送信元を判別した結果、2つのマスタ(現用系と待機系、待機系と待機系)からREQフレームを受信していた場合は、REQフレームに示されている各々のマスタの通信品質に基づき、例えば上記の選択基準に従って、通信状態のよいマスタを選択する(S1301、S1302)。
これ以外の動作は、図11と同様なので、説明は省略する。
【0049】
以上、本実施の形態に示した方法によれば、刻々と変化する通信環境に応じて、通信状態の良いマスタをコントローラとして選択することが可能となり、より信頼性の高いシステムが構築可能となる。
【0050】
以上、本実施の形態では、
現用系、及び、待機系コントローラから制御対象局へ送信する際の通信状態を、個々の制御対象局でのフレームの受信状態を計測し、応答フレームに付加して返信させることで得て、
待機系コントローラの通信状態が、現用系コントローラに比べて継続的に良いと判定した場合に、制御対象局の制御権を要求する待機系コントローラを説明した。
【0051】
また、本実施の形態では、
現用系、待機系コントローラから制御対象局へ送信する際の通信状態と、
制御対象局から、現用系、及び、待機系コントローラへ送信する際の通信状態を、制御対象局が送信する応答フレームの受信状態から得て、
制御対象局の制御権を要求する際に、付加情報として送信するコントローラと、
次のサイクルのコントローラを選択する際に、前記、付加情報として送信された通信状態を基に、通信状態の良いコントローラを選択する制御対象局を説明した。
【0052】
実施の形態4.
実施の形態3においては、制御フェーズにおいて、待機系コントローラのマスタ#2が送信するフレーム(DMY)の内容は問わないとした。
本実施の形態では、直前の現用系コントローラのマスタ#1が送信したコマンドフレーム(CMD)の内容を送信するようにする(ただし、送信元は、マスタ#2であることが判定できるようになっており、通信品質の比較はできるようにする)。
このようにすることで、スレーブは、マスタ#1が送信したコマンドフレームを受信し損なった場合でも、マスタ#2が送信したフレームを受信できれば、コマンドを受信することが可能であり、より信頼性を高めることが可能となる。
スレーブからの応答フレームについても、待機系のマスタが、スレーブから受信した受信フレームを現用系のマスタに送信することで、コマンド同様に通信品質を高めることができる。
【0053】
つまり、制御フェーズでは、現用系のマスタが、スレーブ制御用のコマンドフレーム(制御データ)を複数のスレーブに対して送信するが、待機系のマスタは、現用系のマスタが複数のスレーブに対して送信したコマンドフレームを受信し、同じ内容のフレーム(予備制御データ)を複数のスレーブに送信する。
通信シーケンスは、図7と同様であり、待機系のマスタは、タイムスロット0において、現用系のマスタからコマンドフレームを受信し、タイムスロット1において、コマンドフレームと同じフレームを複数のスレーブに送信する。
スレーブは、タイムスロット0において、現用系のマスタからのコマンドフレームを受信するが、このコマンドフレームを正常に受信できず、タイムスロット1において、待機系のマスタから送信されたフレームを正常に受信できた場合に、現用系のマスタからのコマンドフレームの代わりに待機系のマスタからのフレームを利用する。
【0054】
また、同様に、制御フェーズにおいて、各スレーブは、タイムスロット2において、現用系のマスタからの制御に応答する応答フレーム(応答データ)を送信するとともに、当該応答フレームと同じ内容のフレーム(予備応答データ)を待機系のマスタに送信し、待機系のマスタは各スレーブからのフレームを受信する。
待機系のマスタは、各スレーブから受信したフレームを現用系のマスタに送信する。
現用系のマスタは、各スレーブから送信された応答フレームを正常に受信できず、待機系のマスタから送信されたフレームを正常に受信できた場合に、各スレーブからの応答フレームの代わりに待機系のマスタから受信したフレームを利用する。
【0055】
本実施の形態に示した方法は、マスタ#1とマスタ#2を離して設置した場合に、より高い効果を得ることができる。
例えば、マスタ#1、マスタ#2、スレーブ#2が、図8に示すような位置関係にあった場合に、マスタ#1とスレーブ#2は障害物のために、通信が不調になる可能性がある。
本実施の形態に示した方法によれば、マスタ#2を経由して通信が可能になるため、安定した通信を行えることが期待できる。
【0056】
以上、本実施の形態では、
現用系、待機系コントローラとの通信状態を、個々の制御対象局で計測するための待機系コントローラが送信するフレームとして、現用系コントローラのコマンドフレームの中身をコピーしたもの送信する待機系コントローラと、
現用系コントローラが、送信するコマンドフレームの受信に失敗した場合に、前記、待機系コントローラが送信したフレームを受信して、エラーリカバリーを図る制御対象局を持つコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0057】
また、本実施の形態では、
制御対象局が送信した応答フレームの中身をコピーしたものを送信する待機系コントローラと、
制御対象局が送信した応答フレームの受信に失敗した場合に、前記、待機系コントローラが送信したフレームを受信して、エラーリカバリーを図る現用系コントローラを持つコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0058】
実施の形態5.
本実施の形態では、実施の形態1、2、3に示した待機系のマスタがアービトレーションに参加するに至ったイベント(現用系故障検出や通信状態)、及び、アービトレーションの結果をログ情報として出力する。
【0059】
つまり、実施の形態1、2に示した待機系のマスタは、現用系のマスタが正常な状態でないと判断した際の監視内容、現用系のマスタが正常な状態でないと判断してREQフレームを送信した際のスレーブからのSELフレームの少なくともいずれかを記憶し、これらをログ情報として出力する。
また、実施の形態3に示した待機系のマスタは、自装置の通信品質が現用系のマスタの通信品質よりもよいと判断した際の自装置及び現用系のマスタの通信品質の内容、自装置の通信品質が現用系のマスタの通信品質よりもよいと判断してREQフレームを送信した際のスレーブからのSELフレームの少なくともいずれかを記憶し、これらをログ情報として出力する。
【0060】
また、実施の形態1、2に示したスレーブは、REQフレームに対するSELフレームを記憶し、これをログ情報として出力する。
さらに、実施の形態3に示したスレーブは、アービトレーションフェーズの前での現用系のマスタとの通信における通信品質と待機系のマスタとの通信における通信品質とを記憶し、これらをログ情報として出力する。
【0061】
このように、本実施の形態では、コントローラ切り替えに関連する情報をログ情報として記憶するため、ログ情報を用いて、コントローラ切り替えに至った要因を分析することが容易となる。
【0062】
以上、本実施の形態では、制御対象局の制御権を要求するに至った要因、及び、要求に対する制御対象局の選択結果、通信状態をログ情報として出力することを特徴とする現用系、及び、待機系コントローラを説明した。
【0063】
また、本実施の形態では、現用系、待機系コントローラの制御権要求に対する自局の選択結果、及び通信状態をログ情報として出力する制御対象局を説明した。
【0064】
実施の形態6.
実施の形態3では、制御フェーズにおいて、現用系コントローラがスレーブに対してCMDフレームを送信し、待機系コントローラはスレーブに対してDMYフレームを送信することを述べた。
本実施の形態では、現用系コントローラが、CMDフレーム内でアービトレーション・リクエストを送信し、待機系コントローラは、DMYフレームにて、アービトレーション・リクエストの有無を送信するようにする。
さらに、スレーブからは、応答フレーム(ACK)で、アービトレーションの結果を送信するようにする。
【0065】
つまり、本実施の形態では、現用系のマスタ装置は、CMDフレーム(制御データ)にアービトレーション・リクエスト(選択要求)を含ませ、アービトレーション・リクエストが含まれるCMDフレームを各スレーブ装置に送信する。
また、待機系のマスタ装置は、アービトレーション・リクエストがある場合は、DMYフレームにアービトレーション・リクエストを含ませ、現用系のマスタ装置によるCMDフレームの送信に並行して、アービトレーション・リクエストが含まれるDMYフレームを各スレーブ装置に送信する。一方、アービトレーション・リクエストがない場合は、アービトレーション・リクエストがない旨の情報をDMYフレームに含ませて、このDMYフレームを各スレーブ装置に送信する。
待機系のマスタ装置は、実施の形態1又は3と同様の状態において、アービトレーション・リクエストをDMYフレームに含ませる。
つまり、実施の形態1と同様に、待機系のマスタは、現用系のマスタの状態を監視し、現用系のマスタが故障していると判断した際に、アービトレーション・リクエストが含まれるDMYフレームを各スレーブに送信する。
また、実施の形態3と同様に、待機系のマスタは、現用系のマスタと各スレーブとの通信品質を計測し、また、自装置と各スレーブとの通信品質を計測し、現用系のマスタの通信品質よりも自装置の通信品質がよいと判断した際に、アービトレーション・リクエストが含まれるDMYフレームを各スレーブに送信する。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、CMDフレーム、DMYフレームにおいてアービトレーション・リクエストを送信し、ACKフレームにおいて選択結果を応答するため、制御フェーズ内でアービトレーションが実施可能となり、アービトレーションの実行時間を短縮することが可能となる。
【0067】
実施の形態7.
本実施の形態では、ビーコン情報を送信して、例えば、TDMAを用いた通信方式におけるネットワーク内の他のスレーブのタイムスロットや、OFDMAを用いた通信方式におけるチャネルアサインメント等を指定する例を説明する。
ビーコン情報とは、上述のタイムスロットやチャネルアサインメント等を指定する通信制御のための情報である。
【0068】
図7に示す通信シーケンスを用いて、本実施の形態を説明する。
タイムスロット0において、現用系マスタはビーコン情報が含まれるCMDフレーム(制御データ)を送信する。続く、タイムスロット1において待機系マスタも、ビーコン情報が含まれるDMYフレーム(予備制御データ)を送信する。この時、待機系マスタは現用系マスタと同じ内容のビーコン情報を生成し、送信できることとする。
スレーブは、現用系マスタからのビーコン情報を受信できなかった場合は、待機系マスタからのビーコン情報を受信して、このビーコン情報に従って通信を行う。
このことにより、現用系マスタが故障した場合において、待機系マスタが発行するビーコン情報に従って、実施の形態1、2、6で述べたアービトレーションを実施することが可能となる。
【0069】
以上、本実施の形態では、
現用系コントローラが送信するビーコン情報と同じビーコン情報を送信する待機系コントローラと、
現用系コントローラが送信するビーコン情報を受信できなかった場合に、待機系コントローラが送信するビーコン情報に従って通信を行う制御対象局により構成されるコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0070】
最後に、実施の形態1〜7に示したマスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア構成例について説明する。
図14は、実施の形態1〜7に示すマスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図14の構成は、あくまでもマスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア構成の一例を示すものであり、マスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア構成は図14に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0071】
図14において、マスタ装置100及びスレーブ装置200は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード(登録商標)読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、スキャナ装置907、FDD904などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力装置の一例である。
【0072】
通信ボード915は、図1に示すように、無線ネットワークに接続されている。例えば、通信ボード915は、無線ネットワークとして、携帯電話ネットワーク、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)等に接続することが可能である。また、無線ネットワークを介して、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
【0073】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
プログラム群923のプログラムは、CPU911がオペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922を利用しながら実行する。
【0074】
また、RAM914には、CPU911に実行させるオペレーティングシステム921のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAM914には、CPU911による処理に必要な各種データが格納される。
【0075】
また、ROM913には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが格納され、磁気ディスク装置920にはブートプログラムが格納されている。
マスタ装置100及びスレーブ装置200の起動時には、ROM913のBIOSプログラム及び磁気ディスク装置920のブートプログラムが実行され、BIOSプログラム及びブートプログラムによりオペレーティングシステム921が起動される。
【0076】
上記プログラム群923には、実施の形態1〜7の説明において「〜部」として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0077】
ファイル群924には、実施の形態1〜7の説明において、「〜の判断」、「〜の判別」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の評価」、「〜の更新」、「〜の設定」、「〜の登録」、「〜の選択」、「〜の集計」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、実施の形態1〜7で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0078】
また、実施の形態1〜7の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、実施の形態1〜7の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、実施の形態1〜7の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0079】
このように、実施の形態1〜7に示すマスタ装置100及びスレーブ装置200は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータであり、上記したように「〜部」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態1〜7に係る通信システムの構成例を示す図。
【図2】実施の形態1〜7に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズの例を示す図。
【図3】実施の形態1に係るマスタ装置の構成例を示す図。
【図4】実施の形態1に係るスレーブ装置の構成例を示す図。
【図5】実施の形態1に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズにおける通信例を示す図。
【図6】実施の形態2に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズにおける通信例を示す図。
【図7】実施の形態3に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズにおける通信例を示す図。
【図8】実施の形態4に係るマスタとスレーブ間に障害物がある例を示す図。
【図9】実施の形態3に係るマスタ装置の構成例を示す図。
【図10】実施の形態1に係るマスタ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図11】実施の形態1に係るスレーブ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図12】実施の形態3に係るマスタ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態3に係るスレーブ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図14】実施の形態1〜7に係るマスタ装置とスレーブ装置のハードウェア構成例を示す図。
【符号の説明】
【0081】
100 マスタ装置、101 スレーブ制御実行判定部、102 現用系異常検出部、103 アービトレーション実行部、104 スレーブ制御実行部、105 無線通信処理部、200 スレーブ装置、201 アービトレーション判定部、202 コマンド実行部、203 無線通信処理部、300 無線ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置と制御対象装置が含まれる通信システムに関する。より具体的には、無線通信システムにおけるホットスタンバイ方式のコントローラ二重系システム、及び、多重系システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおける、コントローラ二重化システムは、現用系コントローラと待機系コントローラと、制御対象となる複数の制御対象局により構成されており、常態では現用系コントローラが制御対象局を無線ネットワークを介して制御を行い、待機系コントローラは、現用系コントローラの故障を検出した場合に、現用系に替わって制御を実施する。
【0003】
特許文献1では、現用系コントローラの故障を検出するために、現用系コントローラと待機系コントローラ間を、通信エラーレートの低い有線ネットワークで接続し、現用系コントローラから待機系コントローラへのハートビート通信により故障検出する方法が開示されている。
一方、特許文献2では、現用系と待機系を有線ネットワークで接続した場合に、ケーブル断線時にはホットスタンバイ機能が実現できない可能性について指摘しており、ケーブル断線時には、無線通信機能を利用する方法を開示する一方で、現用系の故障検出を無線ネットワークを用いて行うことに関して、電波障害による通信の不安定さを懸念事項として挙げており、無線ネットワークを利用する場面を、ケーブル断線時に限定している。
また、特許文献3では、現用系と待機系を、無線ネットワークで接続した例が示されている。しかしながら、電波障害により通信が不安定になった場合に、システムを正常に機能させるための方法は開示されていない。
【特許文献1】特開2002−312189号公報
【特許文献2】特開2004−302512号公報
【特許文献3】特開2006−185308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に示すように、従来、ホットスタンバイ方式を実現するためには、現用系コントローラと待機系コントローラは有線接続されていることが前提となっていた。その理由は、特許文献2に示されるように、現用系コントローラの故障を無線で検出する場合、電波障害等による通信の不安定さによる誤動作が懸念されるためである。
例えば、ノイズや障害物などの外部要因により、一時的に待機系コントローラで、現用系コントローラとの通信が不能に陥ったケースでは、待機系コントローラは、現用系コントローラに異常が発生したと誤検出してしまうことが考えられる。このようなケースでは、現用系と待機系双方のコントローラが起動してしまい、無線ネットワーク上で互いに電波干渉を起こしてしまうため、システムダウンに繋がる可能性がある。
別の例では、待機系コントローラのアンテナの周辺回路の故障により、アンテナによる損失が大きくなってしまうケースが考えられる。このケースでは、待機系コントローラでは、アンテナによる損失が大きいために、受信が不能となり、現用系にエラーが発生したと誤検出する可能性がある。しかも、送信においては、ある程度の送信出力が行えるため、待機系が誤って現用系に切り替わった場合には、電波干渉によるシステムダウンを引き起こす可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決することを主な目的の一つとしており、無線特有の通信の不安定な状態においても、ホットスタンバイ方式を実現することを主な目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る通信システムは、
複数の制御装置と複数の制御対象装置とを有し、いずれかの制御装置が前記複数の制御対象装置を制御する現用系の制御装置となり、他の制御装置が現用系の制御装置をバックアップする待機系の制御装置となる通信システムであって、
少なくともいずれかの制御装置が、
前記複数の制御装置の中から現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信し、
前記複数の制御対象装置は、
前記選択要求を受信した場合に、現用系とすべき制御装置を選択し、選択結果を少なくともいずれかの制御装置に対して送信し、
前記複数の制御装置は、
前記選択結果に基づいて、いずれかの制御装置を現用系とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
待機系の制御装置が現用系の制御装置の異常を誤検出した場合でも、制御対象装置により選択された1つの制御装置のみが現用系として動作するので、制御用のデータは1つの制御装置から送信されるのみであり、このため電波干渉によるシステムダウンも生じない。従って、無線ネットワークシステムにおいて、現用系と待機系の制御装置を有線接続しなくても、ホットスタンバイを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す。
【0009】
図1に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、複数のマスタ装置100(制御装置)と複数のスレーブ装置200(制御対象装置)が無線ネットワーク300で接続されている。
また、いずれかのマスタ装置100が現用系となり、複数のスレーブ装置200を制御し、他方のマスタ装置100が待機系となり、現用系のマスタ装置100をバックアップする。
本実施の形態では、マスタ装置#1(100a)(以下、単にマスタ#1ともいう)が、現用系コントローラであり、無線通信手段により、複数の制御対象となるスレーブ装置#1〜#n(200a〜200n)(以下、単にスレーブ#1〜#nともいう)の制御を行う。
この制御は周期的に行われ、マスタ#1(100a)が発行するコマンドフレームに対して、スレーブ#1〜#nが応答フレームを返すことで行われる。
マスタ装置#2(100b)(以下、単にマスタ#2ともいう)は、待機系コントローラであり、現用系コントローラが故障などの理由により制御を継続できなくなった場合に、マスタ#1に替わってスレーブの制御を行う。
なお、マスタ#1は、スレーブ#1〜#nにコマンドフレームを送信するとともに、マスタ#2にもコマンドフレームを送信する。更に、スレーブ#1〜#nは、マスタ#1に応答フレームを送信するとともに、マスタ#2にも応答フレームを送信する。
マスタ#2は、これらコマンドフレーム、応答フレームの送受信状況を監視することで、マスタ#1における故障を検知する。
【0010】
図2は、通信シーケンスを時系列に示したものである。
【0011】
本実施の形態に係る通信システムは、制御フェーズと、アービトレーションフェーズにより構成される。
制御フェーズでは、前記したように、マスタがスレーブに対してコマンドを発行し、スレーブよりコマンドの実行結果を得るフェーズであり、アービトレーションフェーズは、次の制御フェーズにおける現用系コントローラを決定するフェーズである。
つまり、アービトレーションフェーズは、現用系コントローラ(現用系の制御装置)を更新するタイミングである。
【0012】
本実施の形態では、MAC(Media Access Control)層にTDMA(Time Division Multiple Access)を採用しており、制御フェーズとアービトレーションフェーズを1つのスーパーフレームに収容するものとして説明する。
ただし、アービトレーションフェーズを実施するタイミングが現用系コントローラと待機系コントローラで既知であり、互いのアービトレーションへの参加を阻害しない場合は、必ずしもTDMAを採用する必要はなく、例えば、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を用いても良い。
また、制御フェーズとアービトレーションフェーズを1つのスーパーフレームに収容する必要はなく、個別のスーパーフレームとして構成しても良い。
【0013】
ここで、本実施の形態に係るマスタ#1、マスタ#2とスレーブ#1〜#nの動作の概要を説明する。
【0014】
図2に示したアービトレーションフェーズが到来すると、マスタ#1、マスタ#2の少なくともいずれかがスレーブ#1〜#nに対して、REQフレームを送信する。このREQフレームは、次の制御フェーズにおいて現用系とすべきマスタ装置を選択するよう要求するものであり、選択要求の例である。
REQフレームは、故障していない限り現用系であるマスタ#1のみが送信する。但し、待機系であるマスタ#2がマスタ#1が故障していると判断した場合には、マスタ#2もREQフレームを送信する。
このため、原則としてマスタ#1のみがREQフレームを送信するが、マスタ#1が故障している場合には、マスタ#2のみがREQフレームを送信する。また、マスタ#2がマスタ#1の故障を検知したが、実際にはマスタ#1は故障していない場合は、マスタ#1及びマスタ#2の両者からREQフレームが送信される。
【0015】
REQフレームを受信した各スレーブは、次の現用系とすべきマスタを選択し、選択したマスタを示すSELフレームをマスタ#1及びマスタ#2の両者に送信する。SELフレームは選択結果の例である。
マスタ#1及びマスタ#2は、スレーブ#1〜#nからのSELフレームの内容に基づいて現用系のマスタを設定(更新)する。
スレーブにおけるマスタの選択基準、SELフレームの内容に基づく現用系コントローラの決定手順の詳細については後述する。
【0016】
図3は、本実施の形態におけるマスタ装置100(制御装置)の機能ブロックを示したものである。
【0017】
スレーブ制御実行判定部101は、初期状態において現用系、もしくは、待機系が指定される。
現用系に指定された場合は、スレーブ制御実行判定部101は、動作モードを現用系の動作モードに設定し、当該マスタは現用系コントローラとして機能する。
現用系コントローラは、スレーブ制御実行部104に、スレーブ制御の実行を指示する。制御フェーズが完了したら、アービトレーション実行部103へアービトレーションへの参加を指示し、アービトレーションの実行結果を得る。アービトレーションに勝利した場合は、次の制御フェーズにおいても、当該マスタは現用系コントローラに留まり、スレーブ制御の実行を指示する。一方、アービトレーションに負けた場合は、スレーブ制御実行判定部101が動作モードを待機系の動作モードに設定して、当該マスタは待機系コントローラに切り替わり、以後、待機系コントローラとして機能する。
初期状態において、待機系に指定された場合は、動作モードを待機系の動作モードに設定し、待機系コントローラとして機能する。
待機系コントローラは、スレーブ制御実行部104に、スレーブ制御の実行を指示しない。待機系コントローラは、現用系異常検出部102より、現用系コントローラの異常検出が通知された場合に、アービトレーション実行部103に、アービトレーション参加指示を行い、アービトレーションの結果を得る。アービトレーションに勝利した場合は、次の制御フェーズにおいて、スレーブ制御実行判定部101が動作モードを現用系の動作モードに設定して、当該マスタは現用系コントローラに切り替わり、スレーブ制御実行部104にスレーブ制御の実行を指示し、以後、現用系コントローラとして機能する。アービトレーションに負けた場合は、待機系コントローラに留まる。
なお、スレーブ制御実行判定部101は、動作モード設定部の機能の一部を担う。
【0018】
現用系異常検出部102は、待機系に設定された場合(待機系の動作モードが設定されている場合)のみ有効となるブロックである。
現用系異常検出部102は、制御フェーズにおいて、現用系のマスタとスレーブの無線通信を監視(現用系のマスタとスレーブ間で送受信されるフレームを受信)し、所定期間フレームが受信できなくなった場合に、現用系異常を検出し、スレーブ制御実行判定部101に通知を行う。
現用系異常検出部102は、状態監視部の例である。
【0019】
アービトレーション実行部103は、スレーブ制御実行判定部101よりアービトレーション参加指示を受けた場合に、アービトレーションフェーズにおいて、REQフレームを送信することで、アービトレーションに参加し、SELフレームを受信して、その内容からアービトレーションの実行結果を判定する。判定結果は、スレーブ制御実行判定部101に通知する。アービトレーションの詳細については後述する。
アービトレーション実行部103は、選択要求送信部及び選択結果受信部として機能し、また、動作モード設定部の機能の一部を担う。
【0020】
スレーブ制御実行部104は、スレーブにコマンドを発行して、実行結果を得るブロックであり、通信フレームとして、コマンドフレームを送信し、応答フレームを受信する。
【0021】
無線通信処理部105は、各種フレームを無線ネットワーク300を介して通信するためのブロックである。
【0022】
図4は、本実施の形態におけるスレーブ装置200(制御対象装置)の機能ブロックを示したものである。
【0023】
アービトレーション判定部201は、アービトレーションフェーズにおいて、マスタ#1及びマスタ#2からのREQフレームを受信して、いずれかを次のサイクルの現用系コントローラとして選択し、結果をSELフレームで送信する。
アービトレーション判定部201は、選択要求受信部、選択部及び選択結果送信部の例である。
コマンド実行部202は、制御フェーズにおいて、コントローラが発行したコマンドを受け付けて実行し、実行結果を返すブロックである。
【0024】
次にアービトレーションの実施手順、アービトレーションにおけるマスタ装置100及びスレーブ装置200の動作例を図10及び図11を参照して説明する。
図10は、マスタ装置100の動作例を示すフローチャートであり、図11は、スレーブ装置200の動作例を示すフローチャートである。
【0025】
アービトレーションは、図2に示すアービトレーションフェーズに行われる。
マスタ装置100は、アービトレーションフェーズの到来を確認し(S1001)、アービトレーションフェーズが到来してなければ制御フェーズの処理を継続する(S1002)。
アービトレーションフェーズが到来していれば、現用系であれば(現用系の動作モードに設定されていれば)、現用系コントローラのスレーブ制御実行判定部101は、故障していなければ(S1003でYES)、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示し、アービトレーション実行部103がREQフレームをスレーブに送信して(S1005)、アービトレーションに参加する。
つまり、現用系のマスタは、故障により参加できない場合を除き常にアービトレーションに参加する。故障している場合は、所定のエラー処理が行われる(S1004)。
一方、待機系であれば(待機系の動作モードに設定されていれば)、待機系コントローラのスレーブ制御実行判定部101は、現用系異常検出部102から現用系マスタの異常が通知されており、現用系マスタが故障していると判断した場合(S1011でYES)に、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示し、アービトレーション実行部103がREQフレームをスレーブに送信して(S1012)、アービトレーションに参加する。
【0026】
一方、スレーブ装置200では、アービトレーション判定部201が、REQフレームを受信したら(S1101)、REQフレームの送信元を判別し(S1102)、送信元がいずれのマスタであるかによって(S1103)、次のサイクルの現用系コントローラとして、マスタ#1、マスタ#2のどちらかを選択基準に照らして選択する。
選択基準としては、ステップS1102の送信元の判別の結果、現用系又は待機系のいずれか片方のマスタからのみ、REQフレームを受信した場合は、REQフレームの送信元のマスタを選択し(S1104)、現用系及び待機系の両方のマスタからREQフレームを受信した場合は、現用系のマスタを選択する(S1105)。また、2つの待機系のマスタからREQフレームを受信した場合は、制御フェーズにおいて最後にコマンドを受信したマスタを選択する(S1106)。なお、このケースは、特殊なケースであり、詳細は後述する。
その後、アービトレーション判定部201は、選択した結果をSELフレームを用いて送信する(S1107)。
なお、どちらのマスタからもREQフレームを受信しなかった場合は、SELフレームを送信しないこととする。
【0027】
マスタ#1、マスタ#2は、アービトレーション実行部103が、個々のスレーブが送信するSELフレームを受信し(S1006、S1013)、個々のスレーブの選択結果を集計する(S1007、S1014)。
現用系の動作モードが設定されている場合は、半数のスレーブから自身を選択したことを示すSELフレームを受信した場合(S1008でYES)に、スレーブ制御実行判定部101は、現用系の動作モードの設定を維持する(S1009)。
一方、自身を選択したスレーブが半数未満である場合(S1008でNO)は、スレーブ制御実行判定部101は、制御フェーズになった際に動作モードを待機系に切替える(S1010)。
また、待機系の動作モードが設定されている場合は、過半数のスレーブから自身を選択したことを示すSELフレームを受信した場合(S1015でYES)に、スレーブ制御実行判定部101は、制御フェーズになった際に動作モードを待機系に切替える(S1017)。
一方、自身を選択したスレーブが過半数未満である場合(S1015でNO)は、スレーブ制御実行判定部101は、待機系の動作モードの設定を維持する(S1016)。
そして、現用系のマスタ及び待機系のマスタは、それぞれの制御フェーズにおける処理を行う(S1018)。
なお、通信エラー等のために、両マスタともに、ステップS1008及びS1015において前記条件(半数又は過半数)を満たさなかった場合は、両者負けとなり、次の制御フェーズを実施するマスタは存在しないことになる。
【0028】
次に、アービトレーションフェーズについて述べる。
本実施の形態では、アービトレーションフェーズは、前述したように、TDMAによるスーパーフレームの後ろの方に位置し、複数のアービトレーション用のタイムスロットにより構成される。
アービトレーションフェーズは、固定のタイムスロット番号pから開始されることとする。
なお、タイムスロット番号は、制御フェーズの先頭をタイムスロット番号0として、番号を順番に割り付けることとする。このことは、現用系が故障して通信が行われなくなった場合や、待機系が現用系との通信が不能になった場合でも、待機系のコントローラが、アービトレーションへの参加タイミングを知ることを可能にする。
【0029】
図5は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)を用いた場合の例である。
タイムスロット番号pにはマスタ#1がREQフレームを送信し、p+1にはマスタ#2がREQフレームを送信するものとする。
スレーブは、タイムスロット番号p+2において、それぞれのスレーブに割り付けられたサブチャネルを用いてアービトレーションの結果であるSELフレームを送信する。
このように、アービトレーションのタイムスロットを固定にすることで、前述した、アービトレーションの結果が両者負けになった場合に、次のサイクルで、マスタ#1、マスタ#2がアービトレーションに参加することを可能にする。
この場合、アービトレーションに勝利する条件は、マスタ#1、マスタ#2ともに、待機系コントローラの条件(図10のS1015)となり、過半数以上のスレーブからSELフレームを受信した場合となる。
なお、スレーブは、制御フェーズにて、最後にコマンドを受信したマスタを現用系コントローラと認識し、アービトレーションでは、当該現用系のマスタを選択するものとする(図11のS1106)。
【0030】
また、アービトレーションフェーズも無線通信を利用して実行することから、通信エラーを考慮する必要がある。そこで、リトライを実施することで、エラーレートを下げることが考えられる。
図5では、(1)マスタ#1のREQフレームの送信、(2)マスタ#2のREQフレームの送信、(3)スレーブのSELフレームの送信を一連のシーケンスとして、リトライを実施する方法を示している。リトライの回数は固定である。
本シーケンスにおいて、スレーブは、一旦、SELフレームを送信した後に、リトライで、その内容を変更しないこととする。このようにする理由は、リトライ中に特定のスレーブがその内容を変更した場合、通信エラー等に理由により、マスタ#1、マスタ#2で異なる結果を認識する可能性があるためである。
なお、リトライに関して、ノイズの特性に応じて、以下のシーケンスにしても良い。
(1)マスタ#1がREQを複数回送信する。(2)マスタ#2がREQを複数回送信する。(3)スレーブがSELを複数回送信する。
【0031】
このように、本実施の形態によれば、現用系と待機系を有線接続する必要がなくなるため、低コストで設置性に優れ、ケーブル断線のリスクの無い無線ネットワークシステムにおける二重系システム、及び、多重系システムを実現することが可能となる。
つまり、現用系のマスタと待機系のマスタが有線接続されていない構成において、待機系のマスタが現用系のマスタの異常を誤検出した場合でも、アービトレーションにおいてスレーブにより選択された1つのマスタのみが現用系として動作するので、コマンドフレームは1つのマスタから送信されるのみであり、このため電波干渉によるシステムダウンも生じない。従って、無線ネットワークシステムにおいて、現用系と待機系のマスタを有線接続しなくても、システムダウンを発生させることなく、ホットスタンバイを実現することが可能となる。
【0032】
以上、本実施の形態では、
現用系コントローラが複数の制御対象局の制御を無線通信手段を用いて周期的実施し、現用系と待機系の二重化されたコントローラを有し、現用系コントローラが故障した場合でも、待機系のコントローラが、制御対象局の制御を行う二重系システムであって、
現用系、待機系の各々のコントローラが、制御対象局の制御権を複数の制御対象局に、前記無線通信手段を用いて要求し、
現用系、及び、待機系コントローラが発行する制御権の要求を受けて、制御対象局は、次のサイクルのコントローラを選択し、選択結果を、前記無線通信手段を用いてコントローラに通知し、
前記、複数の制御対象局が通知する選択結果を受信し、現用系コントローラは、半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に制御権を取得し、待機系コントローラは、過半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に、制御権を取得するコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0033】
また、本実施の形態では、現用系コントローラが故障したと判定した場合にだけ、制御対象局の制御権を要求する待機系コントローラを説明した。
【0034】
また、本実施の形態では、現用系コントローラと待機系コントローラの両方が、制御対象局の制御権を要求した場合に、現用系コントローラを優先的に選択する制御対象局を説明した。
【0035】
なお、以上では、マスタ装置とスレーブ装置が無線通信を行う無線通信システムを例にして説明したが、マスタ装置とスレーブ装置が有線接続されている有線通信システムであってもよい。
【0036】
また、以上では、2台のマスタ装置が存在し、そのうちの1台が現用系となり、他方の1台が待機系となる構成を説明したが、3台以上のマスタ装置が存在し、そのうちの1台が現用系となり、他の2台以上が待機系となる構成であってもよい。この場合には、例えば、2台以上の待機系のマスタ装置に優先順位を設け、スレーブ装置は、現用系のマスタ装置が故障しているときには、次のサイクルにおいて現用系となるべきマスタ装置を優先順位に従って選択するようにしてもよい。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態1では、OFDMAを用いてアービトレーションを行う方法を示した。
本実施の形態では、シングルキャリアでのアービトレーション方式を示す。
【0038】
シングルキャリアを利用する場合は、アービトレーションフェーズにおいて、各スレーブがSELフレームを送信するスロットを割り付ける。この時、スレーブの数が多いと、アービトレーションに時間がかかるという問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、アービトレーションで応答するスレーブの数を制限することで、アービトレーションフェーズを短縮することが可能とする方法を示す。
このように複数のスレーブのうちREQフレームに応答することが許可された応答許可スレーブ(マスタを選択することが許可されたスレーブ)は、選択許可制御対象装置の例である。
【0039】
図6は、応答する応答許可スレーブの数をm台(mは2以上、スレーブ総数以下)に制限した場合の例を示す。
アービトレーションに勝利する条件は、現用系コントローラは半数以上(m/2)、待機系コントローラは過半数((m+1)/2)の応答許可スレーブから、自局を選択したことを示すSELフレームを受信することである。
アービトレーションに応答する応答許可スレーブ、及び、その数は、システム運用を開始する前に決定しておけば良い。
なお、アービトレーションに応答する応答許可スレーブが故障した場合は、現用系コントローラが無線通信手段を用いて、制御フェーズにおいて、待機系コントローラとスレーブに通知して、変更することとする。
なお、スレーブの数を制限することは、無線通信手段にOFDMAを用いた場合にも適用が可能である。
【0040】
本実施の形態では、REQフレームに応答するスレーブを応答許可スレーブに制限している点を除いては実施の形態1と同様である。
つまり、マスタの構成は図3に示した通りであり、スレーブの構成は図4に示した通りである。
また、ステップS1008における判断基準が応答許可スレーブの半数であり、ステップS1015における判断基準が応答許可スレーブの過半数である点を除けば、マスタの動作は図10に示した通りである、
また、応答許可スレーブの動作は、図11に示した通りである。
【0041】
以上、本実施の形態では、
コントローラを選択する制御対象局を、システム運用前、もしくは、システム運用中に、決定、もしくは、変更し、
現用系コントローラは、前記、選択された制御対象局の数の半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に制御対象局の制御権を獲得し、待機系コントローラは、前記、選択された制御対象局の過半数以上の制御対象局から自局を選択したことを示す選択結果を受信した場合に、制御対象局の制御権を獲得するコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0042】
実施の形態3.
本実施の形態では、マスタ#1が現用系のコントローラとして機能している場合に、マスタ#1が故障していない場合でも、通信状態が不調になった場合で、かつ、マスタ#2が、マスタ#1より通信状態が良い場合に、マスタ#2が現用系マスタに切り替わって、制御フェーズを実行する場合の例を示す。
【0043】
図9は、本実施の形態に係るマスタ装置100の構成例を示す。
図9では、構成要素としては、図3に示したものと同様であるが、現用系異常検出部102の機能が実施の形態1に比べて増えている。
本実施の形態では、現用系異常検出部102は、待機系の動作モードが設定されている場合に、制御フェーズにおいて、現用系のマスタの状態を監視するとともに、現用系のマスタとスレーブとの間の通信の通信品質及び自装置とスレーブとの間の通信の通信品質を判定する。そして、測定した現用系のマスタの通信品質と自装置の通信品質をスレーブ制御実行判定部101に通知する。
スレーブ制御実行判定部101は、現用系異常検出部102から通知された通信品質を比較し、自装置の通信品質の方が現用系のマスタの通信品質よりもよければ、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示する。
なお、スレーブ制御実行判定部101は、本実施の形態では、動作モード設定部の一部の機能と選択要求送信部の一部の機能を担う。
また、現用系異常検出部102は、本実施の形態では、状態監視部の例であるとともに、第1の通信品質判定部及び第2の通信品質判定部の例である。
【0044】
図7は、本実施の形態の通信シーケンスを示したものである。
物理層の方式は問わないが、本実施の形態ではOFDMAを利用することを前提とする。
【0045】
制御フェーズにおいて、タイムスロット番号0に、マスタ#1がコマンドフレーム(CMD)を送信し、タイムスロット番号1にマスタ#2がダミーフレーム(DMY)を送信する。ここで、マスタ#2が送信するフレームは、無線通信品質を計測することを目的としており、フレームの内容は問わない。
マスタ#2では、現用系異常検出部102が、無線通信品質を計測するためのダミーフレームを送信する。
スレーブでは、コマンド実行部202が、マスタ#1のコマンドフレームに対する応答フレーム(ACK)をタイムスロット番号2に送信するが、その際に、マスタ#1が送信したコマンドフレーム(ダウンリンクフレーム)を受信した際の通信品質とマスタ#2が送信したダミーフレーム(ダウンリンクフレーム)を受信した際の通信品質に関する情報を応答フレーム(ACK)に付加して送信する。
ここで、通信品質に関する情報とは、例えば、RSSI(Receive Signal Strength Indication)を用いることができる。
応答フレームはマスタ#1、マスタ#2の双方で受信する。より具体的には、マスタ#1では、スレーブ制御実行部104が応答フレームを受信し、マスタ#2では、現用系異常検出部102が応答フレームを受信する。
そして、スレーブからの応答フレームを受信した際に、マスタ#1、マスタ#2は、スレーブからマスタへのフレーム(アップリンクフレーム)の通信品質を判定することができる。
マスタ#1では、アップリンクフレームにおける通信品質を示す情報を次のコマンドフレームに付加してスレーブに送信する。マスタ#2では、現用系異常検出部102が、マスタ#1からスレーブへのコマンドフレームを受信し、このコマンドフレームの内容によりスレーブからマスタ#1へのアップリンクフレームにおける通信品質を判定することができる。
このように、マスタ#2の現用系異常検出部102は、マスタ#1からスレーブへのコマンドフレームの内容によりスレーブからマスタ#1へのアップリンクにおける通信品質を判定することができ、スレーブからの応答フレームの受信状態によりスレーブからマスタ#2へのアップリンクにおける通信品質を判定することができる。
更に、スレーブからの応答フレームの内容によりマスタ#1からスレーブへのダウンリンクにおける通信品質及びマスタ#2からスレーブへのダウンリンクにおける通信品質を判定することができる。
【0046】
そして、アービトレーションフェーズにおいて、待機系のマスタ#2では、スレーブ制御実行判定部101が現用系異常検出部102から通知された通信品質をチェックして、マスタ#1より、マスタ#2の方が安定的に通信状態が良いと判断した場合に、アービトレーションに参加する。
マスタ#1のREQフレームには、個々のスレーブとマスタ#1の間のアップリンクフレーム、ダウンリンクフレームの通信品質をパラメータとして付加し、タイムスロットpに送信する。
マスタ#2のREQフレームには、個々のスレーブとマスタ#2の間の通信品質をパラメータとして付加してタイムスロットp+1に送信する。
アービトレーションに応答するスレーブは、上記、通信品質のパラメータを評価し、その結果をSELフレームに付加して、タイムスロットp+2に送信する。
なお、スレーブが通信品質のパラメータを評価してコントローラを選択する際には、例えば、以下の優先順位に基づいて選択を行う。
(1)通信不能になるマスタとスレーブの組合せがより少ないこと
(2)通信品質がより良好であること
アービトレーションフェーズのフレームシーケンス、アービトレーション結果を受けた各マスタの動作は、実施の形態1、2に示したものと同じである。
【0047】
図12は、本実施の形態に係るマスタの動作例を示すフローチャートである。
図12では、S1201が追加された点を除き、図10と同様である。
本実施の形態では、待機系である場合に、スレーブ制御実行判定部101は、現用系マスタが故障していない場合(S1011でNO)に、自装置の通信品質が現用系マスタの通信品質よりもよいと判断すれば(S1201でYES)、アービトレーション実行部103にアービトレーション参加を指示し、アービトレーション実行部103がREQフレームをスレーブに送信して、アービトレーションに参加する。なお、実施の形態1と同様に、現用系マスタが故障していると判断した場合(S1011でYES)にも、REQフレームは送信される。
以降の動作は、図10と同様であるため説明は省略する。
【0048】
また、図13は、本実施の形態に係るスレーブの動作例を示すフローチャートである。
図13では、図11のS1104の代わりにS1301が行われ、S1106の代わりにS1302が行われる。
つまり、アービトレーション判定部201は、REQフレームの送信元を判別した結果、2つのマスタ(現用系と待機系、待機系と待機系)からREQフレームを受信していた場合は、REQフレームに示されている各々のマスタの通信品質に基づき、例えば上記の選択基準に従って、通信状態のよいマスタを選択する(S1301、S1302)。
これ以外の動作は、図11と同様なので、説明は省略する。
【0049】
以上、本実施の形態に示した方法によれば、刻々と変化する通信環境に応じて、通信状態の良いマスタをコントローラとして選択することが可能となり、より信頼性の高いシステムが構築可能となる。
【0050】
以上、本実施の形態では、
現用系、及び、待機系コントローラから制御対象局へ送信する際の通信状態を、個々の制御対象局でのフレームの受信状態を計測し、応答フレームに付加して返信させることで得て、
待機系コントローラの通信状態が、現用系コントローラに比べて継続的に良いと判定した場合に、制御対象局の制御権を要求する待機系コントローラを説明した。
【0051】
また、本実施の形態では、
現用系、待機系コントローラから制御対象局へ送信する際の通信状態と、
制御対象局から、現用系、及び、待機系コントローラへ送信する際の通信状態を、制御対象局が送信する応答フレームの受信状態から得て、
制御対象局の制御権を要求する際に、付加情報として送信するコントローラと、
次のサイクルのコントローラを選択する際に、前記、付加情報として送信された通信状態を基に、通信状態の良いコントローラを選択する制御対象局を説明した。
【0052】
実施の形態4.
実施の形態3においては、制御フェーズにおいて、待機系コントローラのマスタ#2が送信するフレーム(DMY)の内容は問わないとした。
本実施の形態では、直前の現用系コントローラのマスタ#1が送信したコマンドフレーム(CMD)の内容を送信するようにする(ただし、送信元は、マスタ#2であることが判定できるようになっており、通信品質の比較はできるようにする)。
このようにすることで、スレーブは、マスタ#1が送信したコマンドフレームを受信し損なった場合でも、マスタ#2が送信したフレームを受信できれば、コマンドを受信することが可能であり、より信頼性を高めることが可能となる。
スレーブからの応答フレームについても、待機系のマスタが、スレーブから受信した受信フレームを現用系のマスタに送信することで、コマンド同様に通信品質を高めることができる。
【0053】
つまり、制御フェーズでは、現用系のマスタが、スレーブ制御用のコマンドフレーム(制御データ)を複数のスレーブに対して送信するが、待機系のマスタは、現用系のマスタが複数のスレーブに対して送信したコマンドフレームを受信し、同じ内容のフレーム(予備制御データ)を複数のスレーブに送信する。
通信シーケンスは、図7と同様であり、待機系のマスタは、タイムスロット0において、現用系のマスタからコマンドフレームを受信し、タイムスロット1において、コマンドフレームと同じフレームを複数のスレーブに送信する。
スレーブは、タイムスロット0において、現用系のマスタからのコマンドフレームを受信するが、このコマンドフレームを正常に受信できず、タイムスロット1において、待機系のマスタから送信されたフレームを正常に受信できた場合に、現用系のマスタからのコマンドフレームの代わりに待機系のマスタからのフレームを利用する。
【0054】
また、同様に、制御フェーズにおいて、各スレーブは、タイムスロット2において、現用系のマスタからの制御に応答する応答フレーム(応答データ)を送信するとともに、当該応答フレームと同じ内容のフレーム(予備応答データ)を待機系のマスタに送信し、待機系のマスタは各スレーブからのフレームを受信する。
待機系のマスタは、各スレーブから受信したフレームを現用系のマスタに送信する。
現用系のマスタは、各スレーブから送信された応答フレームを正常に受信できず、待機系のマスタから送信されたフレームを正常に受信できた場合に、各スレーブからの応答フレームの代わりに待機系のマスタから受信したフレームを利用する。
【0055】
本実施の形態に示した方法は、マスタ#1とマスタ#2を離して設置した場合に、より高い効果を得ることができる。
例えば、マスタ#1、マスタ#2、スレーブ#2が、図8に示すような位置関係にあった場合に、マスタ#1とスレーブ#2は障害物のために、通信が不調になる可能性がある。
本実施の形態に示した方法によれば、マスタ#2を経由して通信が可能になるため、安定した通信を行えることが期待できる。
【0056】
以上、本実施の形態では、
現用系、待機系コントローラとの通信状態を、個々の制御対象局で計測するための待機系コントローラが送信するフレームとして、現用系コントローラのコマンドフレームの中身をコピーしたもの送信する待機系コントローラと、
現用系コントローラが、送信するコマンドフレームの受信に失敗した場合に、前記、待機系コントローラが送信したフレームを受信して、エラーリカバリーを図る制御対象局を持つコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0057】
また、本実施の形態では、
制御対象局が送信した応答フレームの中身をコピーしたものを送信する待機系コントローラと、
制御対象局が送信した応答フレームの受信に失敗した場合に、前記、待機系コントローラが送信したフレームを受信して、エラーリカバリーを図る現用系コントローラを持つコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0058】
実施の形態5.
本実施の形態では、実施の形態1、2、3に示した待機系のマスタがアービトレーションに参加するに至ったイベント(現用系故障検出や通信状態)、及び、アービトレーションの結果をログ情報として出力する。
【0059】
つまり、実施の形態1、2に示した待機系のマスタは、現用系のマスタが正常な状態でないと判断した際の監視内容、現用系のマスタが正常な状態でないと判断してREQフレームを送信した際のスレーブからのSELフレームの少なくともいずれかを記憶し、これらをログ情報として出力する。
また、実施の形態3に示した待機系のマスタは、自装置の通信品質が現用系のマスタの通信品質よりもよいと判断した際の自装置及び現用系のマスタの通信品質の内容、自装置の通信品質が現用系のマスタの通信品質よりもよいと判断してREQフレームを送信した際のスレーブからのSELフレームの少なくともいずれかを記憶し、これらをログ情報として出力する。
【0060】
また、実施の形態1、2に示したスレーブは、REQフレームに対するSELフレームを記憶し、これをログ情報として出力する。
さらに、実施の形態3に示したスレーブは、アービトレーションフェーズの前での現用系のマスタとの通信における通信品質と待機系のマスタとの通信における通信品質とを記憶し、これらをログ情報として出力する。
【0061】
このように、本実施の形態では、コントローラ切り替えに関連する情報をログ情報として記憶するため、ログ情報を用いて、コントローラ切り替えに至った要因を分析することが容易となる。
【0062】
以上、本実施の形態では、制御対象局の制御権を要求するに至った要因、及び、要求に対する制御対象局の選択結果、通信状態をログ情報として出力することを特徴とする現用系、及び、待機系コントローラを説明した。
【0063】
また、本実施の形態では、現用系、待機系コントローラの制御権要求に対する自局の選択結果、及び通信状態をログ情報として出力する制御対象局を説明した。
【0064】
実施の形態6.
実施の形態3では、制御フェーズにおいて、現用系コントローラがスレーブに対してCMDフレームを送信し、待機系コントローラはスレーブに対してDMYフレームを送信することを述べた。
本実施の形態では、現用系コントローラが、CMDフレーム内でアービトレーション・リクエストを送信し、待機系コントローラは、DMYフレームにて、アービトレーション・リクエストの有無を送信するようにする。
さらに、スレーブからは、応答フレーム(ACK)で、アービトレーションの結果を送信するようにする。
【0065】
つまり、本実施の形態では、現用系のマスタ装置は、CMDフレーム(制御データ)にアービトレーション・リクエスト(選択要求)を含ませ、アービトレーション・リクエストが含まれるCMDフレームを各スレーブ装置に送信する。
また、待機系のマスタ装置は、アービトレーション・リクエストがある場合は、DMYフレームにアービトレーション・リクエストを含ませ、現用系のマスタ装置によるCMDフレームの送信に並行して、アービトレーション・リクエストが含まれるDMYフレームを各スレーブ装置に送信する。一方、アービトレーション・リクエストがない場合は、アービトレーション・リクエストがない旨の情報をDMYフレームに含ませて、このDMYフレームを各スレーブ装置に送信する。
待機系のマスタ装置は、実施の形態1又は3と同様の状態において、アービトレーション・リクエストをDMYフレームに含ませる。
つまり、実施の形態1と同様に、待機系のマスタは、現用系のマスタの状態を監視し、現用系のマスタが故障していると判断した際に、アービトレーション・リクエストが含まれるDMYフレームを各スレーブに送信する。
また、実施の形態3と同様に、待機系のマスタは、現用系のマスタと各スレーブとの通信品質を計測し、また、自装置と各スレーブとの通信品質を計測し、現用系のマスタの通信品質よりも自装置の通信品質がよいと判断した際に、アービトレーション・リクエストが含まれるDMYフレームを各スレーブに送信する。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、CMDフレーム、DMYフレームにおいてアービトレーション・リクエストを送信し、ACKフレームにおいて選択結果を応答するため、制御フェーズ内でアービトレーションが実施可能となり、アービトレーションの実行時間を短縮することが可能となる。
【0067】
実施の形態7.
本実施の形態では、ビーコン情報を送信して、例えば、TDMAを用いた通信方式におけるネットワーク内の他のスレーブのタイムスロットや、OFDMAを用いた通信方式におけるチャネルアサインメント等を指定する例を説明する。
ビーコン情報とは、上述のタイムスロットやチャネルアサインメント等を指定する通信制御のための情報である。
【0068】
図7に示す通信シーケンスを用いて、本実施の形態を説明する。
タイムスロット0において、現用系マスタはビーコン情報が含まれるCMDフレーム(制御データ)を送信する。続く、タイムスロット1において待機系マスタも、ビーコン情報が含まれるDMYフレーム(予備制御データ)を送信する。この時、待機系マスタは現用系マスタと同じ内容のビーコン情報を生成し、送信できることとする。
スレーブは、現用系マスタからのビーコン情報を受信できなかった場合は、待機系マスタからのビーコン情報を受信して、このビーコン情報に従って通信を行う。
このことにより、現用系マスタが故障した場合において、待機系マスタが発行するビーコン情報に従って、実施の形態1、2、6で述べたアービトレーションを実施することが可能となる。
【0069】
以上、本実施の形態では、
現用系コントローラが送信するビーコン情報と同じビーコン情報を送信する待機系コントローラと、
現用系コントローラが送信するビーコン情報を受信できなかった場合に、待機系コントローラが送信するビーコン情報に従って通信を行う制御対象局により構成されるコントローラ二重化無線通信システムを説明した。
【0070】
最後に、実施の形態1〜7に示したマスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア構成例について説明する。
図14は、実施の形態1〜7に示すマスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア資源の一例を示す図である。
なお、図14の構成は、あくまでもマスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア構成の一例を示すものであり、マスタ装置100及びスレーブ装置200のハードウェア構成は図14に記載の構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0071】
図14において、マスタ装置100及びスレーブ装置200は、プログラムを実行するCPU911(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
CPU911は、バス912を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)913、RAM(Random Access Memory)914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
更に、CPU911は、FDD904(Flexible Disk Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続していてもよい。また、磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード(登録商標)読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置の一例である。
通信ボード915、キーボード902、マウス903、スキャナ装置907、FDD904などは、入力装置の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力装置の一例である。
【0072】
通信ボード915は、図1に示すように、無線ネットワークに接続されている。例えば、通信ボード915は、無線ネットワークとして、携帯電話ネットワーク、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)等に接続することが可能である。また、無線ネットワークを介して、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。
【0073】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
プログラム群923のプログラムは、CPU911がオペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922を利用しながら実行する。
【0074】
また、RAM914には、CPU911に実行させるオペレーティングシステム921のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
また、RAM914には、CPU911による処理に必要な各種データが格納される。
【0075】
また、ROM913には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが格納され、磁気ディスク装置920にはブートプログラムが格納されている。
マスタ装置100及びスレーブ装置200の起動時には、ROM913のBIOSプログラム及び磁気ディスク装置920のブートプログラムが実行され、BIOSプログラム及びブートプログラムによりオペレーティングシステム921が起動される。
【0076】
上記プログラム群923には、実施の形態1〜7の説明において「〜部」として説明している機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0077】
ファイル群924には、実施の形態1〜7の説明において、「〜の判断」、「〜の判別」、「〜の計算」、「〜の比較」、「〜の評価」、「〜の更新」、「〜の設定」、「〜の登録」、「〜の選択」、「〜の集計」等として説明している処理の結果を示す情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。
抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・編集・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリ等に一時的に記憶される。
また、実施の形態1〜7で説明しているフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0078】
また、実施の形態1〜7の説明において「〜部」として説明しているものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明しているものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、実施の形態1〜7の「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、実施の形態1〜7の「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0079】
このように、実施の形態1〜7に示すマスタ装置100及びスレーブ装置200は、処理装置たるCPU、記憶装置たるメモリ、磁気ディスク等、入力装置たるキーボード、マウス、通信ボード等、出力装置たる表示装置、通信ボード等を備えるコンピュータであり、上記したように「〜部」として示された機能をこれら処理装置、記憶装置、入力装置、出力装置を用いて実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態1〜7に係る通信システムの構成例を示す図。
【図2】実施の形態1〜7に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズの例を示す図。
【図3】実施の形態1に係るマスタ装置の構成例を示す図。
【図4】実施の形態1に係るスレーブ装置の構成例を示す図。
【図5】実施の形態1に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズにおける通信例を示す図。
【図6】実施の形態2に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズにおける通信例を示す図。
【図7】実施の形態3に係る制御フェーズとアービトレーションフェーズにおける通信例を示す図。
【図8】実施の形態4に係るマスタとスレーブ間に障害物がある例を示す図。
【図9】実施の形態3に係るマスタ装置の構成例を示す図。
【図10】実施の形態1に係るマスタ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図11】実施の形態1に係るスレーブ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図12】実施の形態3に係るマスタ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図13】実施の形態3に係るスレーブ装置の動作例を示すフローチャート図。
【図14】実施の形態1〜7に係るマスタ装置とスレーブ装置のハードウェア構成例を示す図。
【符号の説明】
【0081】
100 マスタ装置、101 スレーブ制御実行判定部、102 現用系異常検出部、103 アービトレーション実行部、104 スレーブ制御実行部、105 無線通信処理部、200 スレーブ装置、201 アービトレーション判定部、202 コマンド実行部、203 無線通信処理部、300 無線ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御装置と複数の制御対象装置とを有し、いずれかの制御装置が前記複数の制御対象装置を制御する現用系の制御装置となり、他の制御装置が現用系の制御装置をバックアップする待機系の制御装置となる通信システムであって、
少なくともいずれかの制御装置が、
前記複数の制御装置の中から現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信し、
前記複数の制御対象装置は、
前記選択要求を受信した場合に、現用系とすべき制御装置を選択し、選択結果を少なくともいずれかの制御装置に対して送信し、
前記複数の制御装置は、
前記選択結果に基づいて、いずれかの制御装置を現用系とすることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
現用系である制御装置は、
前記選択要求を送信できない状態にあるとき以外は、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
待機系である制御装置は、
現用系である制御装置の状態を監視し、監視の結果、現用系である制御装置が正常な状態でないと判断した場合に、前記選択要求を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置の制御のための制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信する期間である制御フェーズ以外のタイミングにおいて、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
待機系である制御装置は、
前記制御フェーズにおいて現用系である制御装置の状態を監視し、監視の結果、現用系である制御装置が正常な状態でないと判断した場合に、前記制御フェーズ以外のタイミングにおいて前記選択要求を送信することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置の制御のための制御データに前記選択要求を含ませ、前記選択要求が含まれた制御データを少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
待機系である制御装置は、
現用系である制御装置による制御データの送信に並行して、前記選択要求を少なくともいずれかの制御装置に対して送信することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信システムは、
少なくともいずれかの制御装置が、前記複数の制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記複数の制御装置は、
現用系である制御装置が前記複数の制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、当該制御装置を継続して現用系とし、
待機系であるいずれかの制御装置が前記複数の制御対象装置の過半数から選択された場合に、当該制御装置を新たに現用系とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信システムは、
制御装置の選択が許可されている選択許可制御対象装置が前記複数の制御対象装置の中で複数指定されており、
少なくともいずれかの制御装置が、少なくとも前記複数の選択許可制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記複数の制御対象装置は、
自装置が選択許可制御対象装置である場合に、現用系とすべき制御装置を選択し、選択結果を少なくともいずれかの制御装置に対して送信し、
前記複数の制御装置は、
現用系である制御装置が前記複数の選択許可制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、当該制御装置を継続して現用系とし、
待機系であるいずれかの制御装置が前記複数の選択許可制御対象装置の過半数から選択された場合に、当該制御装置を新たな現用系とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記複数の制御対象装置は、
受信した選択要求の送信元を判別し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置のいずれか一つからしか選択要求を受信していない場合は、選択要求の送信元の制御装置を選択し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置から選択要求を受信している場合は、現用系である制御装置を選択することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信システムは、
現用系である制御装置及び待機系である制御装置の各々が前記複数の制御対象装置と通信を行い、
待機系である制御装置が、現用系である制御装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質と自装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質とを比較し、自装置の通信品質が現用系である制御装置の通信品質よりもよい場合は、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項12】
前記複数の制御対象装置は、
現用系である制御装置と待機系である制御装置から前記選択要求を受信した場合に、現用系である制御装置との通信における通信品質と待機系である制御装置との通信における通信品質とを比較して、いずれかの制御装置を選択することを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置の制御のための制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信し、
待機系である制御装置は、前記制御データと同じ内容のデータを予備制御データとして前記複数の制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記複数の制御対象装置は、
現用系である制御装置から送信された制御データを正常に受信できず、待機系である制御装置から送信された予備制御データを正常に受信できた場合に、前記制御データの代わりに前記予備制御データを利用することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
前記複数の制御対象装置は、
現用系である制御装置からの制御に応答する応答データを現用系である制御装置に対して送信するとともに、前記応答データと同じ内容のデータを予備応答データとして待機系である制御装置に送信し、
待機系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置から送信された予備応答データを受信するとともに、受信した予備応答データを現用系である制御装置に送信することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の通信システム。
【請求項16】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置から送信された応答データを正常に受信できず、待機系である制御装置から送信された予備応答データを正常に受信できた場合に、前記応答データの代わりに前記予備応答データを利用することを特徴とする請求項15に記載の通信システム。
【請求項17】
前記複数の制御装置は、
待機系であるときに現用系の制御装置が正常な状態でないと判断した際の監視内容、現用系の制御装置が正常な状態でないと判断して前記選択要求を送信した際の制御対象装置からの選択結果の少なくともいずれかを記憶することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項18】
前記複数の制御装置は、
待機系であるときに自装置の通信品質が現用系の制御装置の通信品質よりもよいと判断した際の自装置及び現用系の制御装置の通信品質の内容、自装置の通信品質が現用系の制御装置の通信品質よりもよいと判断して前記選択要求を送信した際の制御対象装置からの選択結果の少なくともいずれかを記憶することを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【請求項19】
前記複数の制御対象装置は、
前記選択要求に対する選択結果を記憶することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の通信システム。
【請求項20】
前記複数の制御対象装置は、
現用系の制御装置との通信における通信品質と待機系の制御装置との通信における通信品質とを記憶することを特徴とする請求項12に記載の通信システム。
【請求項21】
前記複数の制御装置は、
それぞれ、前記複数の制御対象装置と無線通信を行うことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の通信システム。
【請求項22】
現用系である制御装置は、
制御データにビーコン情報を含ませ、前記ビーコン情報が含まれた制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信し、
待機系である制御装置は、
前記ビーコン情報と同じ内容の情報を予備制御データに含ませ、前記ビーコン情報と同じ内容の情報が含まれた予備制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項23】
現用系であるときは、複数の制御対象装置を制御し、待機系であるときは、現用系である他の制御装置をバックアップする制御装置であって、
現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信する選択要求送信部と、
制御対象装置における選択結果を受信する選択結果受信部と、
前記選択結果を解析して自装置が現用系に選択されたか否かを判別し、判別結果に基づいて動作モードを現用系の動作モード及び待機系の動作モードのいずれかに設定する動作モード設定部を有することを特徴とする制御装置。
【請求項24】
前記選択要求送信部は、
前記動作モード設定部により現用系の動作モードが設定されている場合に前記選択要求を送信できない状態にあるとき以外は、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項23に記載の制御装置。
【請求項25】
前記制御装置は、更に、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、現用系である他の制御装置の状態を監視する状態監視部を有し、
前記選択要求送信部は、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、前記状態監視部により現用系である他の制御装置が正常な状態でないと判断されたときに、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項23又は24に記載の制御装置。
【請求項26】
前記選択要求送信部は、
前記複数の制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記動作モード設定部は、
現用系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、現用系の動作モードの設定を維持し、
待機系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の制御対象装置の過半数から選択された場合に、現用系の動作モードを設定することを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の制御装置。
【請求項27】
前記選択要求送信部は、
少なくとも、前記複数の制御対象装置の中で制御装置の選択が許可されている複数の選択許可制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記動作モード設定部は、
現用系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の選択許可制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、現用系の動作モードの設定を維持し、
待機系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の選択許可制御対象装置の過半数から選択された場合に、現用系の動作モードを設定することを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の制御装置。
【請求項28】
前記制御装置は、更に、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、現用系である他の制御装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質を判定する第1の通信品質判定部と、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、前記複数の制御対象装置との間で通信を行うとともに、前記複数の制御対象装置との通信における通信品質を判定する第2の通信品質判定部とを有し、
前記選択要求送信部は、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、前記第1の通信品質判定部により判定された他の制御装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質と前記第2の通信品質判定部により判定された自装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質とを比較し、自装置の通信品質が他の制御装置の通信品質よりもよい場合に、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項23又は24に記載の制御装置
【請求項29】
いずれかが現用系になり、現用系以外は現用系をバックアップする待機系となる複数の制御装置の制御対象となる制御対象装置であって、
現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を、少なくともいずれかの制御装置から受信する選択要求受信部と、
前記選択要求受信部が受信した選択要求の送信元を判別し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置のいずれか一つからしか選択要求を受信していない場合は、選択要求の送信元の制御装置を選択し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置から選択要求を受信している場合は、現用系である制御装置を選択する選択部と、
前記選択部による選択結果を前記選択要求の送信元に送信する選択結果送信部とを有することを特徴とする制御対象装置。
【請求項30】
いずれかが現用系になり、現用系以外は現用系をバックアップする待機系となる複数の制御装置の制御対象となる制御対象装置であって、
現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を、少なくともいずれかの制御装置から受信する選択要求受信部と、
前記選択要求受信部が現用系である制御装置及び待機系である制御装置から選択要求を受信した場合に、現用系である制御装置との通信における通信品質を判定するとともに、待機系である制御装置との通信における通信品質を判定し、現用系である制御装置との通信における通信品質と待機系である制御装置との通信における通信品質を比較して、いずれかの制御装置を選択する選択部と、
前記選択部による選択結果を前記選択要求の送信元に送信する選択結果送信部とを有することを特徴とする制御対象装置。
【請求項1】
複数の制御装置と複数の制御対象装置とを有し、いずれかの制御装置が前記複数の制御対象装置を制御する現用系の制御装置となり、他の制御装置が現用系の制御装置をバックアップする待機系の制御装置となる通信システムであって、
少なくともいずれかの制御装置が、
前記複数の制御装置の中から現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信し、
前記複数の制御対象装置は、
前記選択要求を受信した場合に、現用系とすべき制御装置を選択し、選択結果を少なくともいずれかの制御装置に対して送信し、
前記複数の制御装置は、
前記選択結果に基づいて、いずれかの制御装置を現用系とすることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
現用系である制御装置は、
前記選択要求を送信できない状態にあるとき以外は、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
待機系である制御装置は、
現用系である制御装置の状態を監視し、監視の結果、現用系である制御装置が正常な状態でないと判断した場合に、前記選択要求を送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置の制御のための制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信する期間である制御フェーズ以外のタイミングにおいて、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
待機系である制御装置は、
前記制御フェーズにおいて現用系である制御装置の状態を監視し、監視の結果、現用系である制御装置が正常な状態でないと判断した場合に、前記制御フェーズ以外のタイミングにおいて前記選択要求を送信することを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置の制御のための制御データに前記選択要求を含ませ、前記選択要求が含まれた制御データを少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
待機系である制御装置は、
現用系である制御装置による制御データの送信に並行して、前記選択要求を少なくともいずれかの制御装置に対して送信することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信システムは、
少なくともいずれかの制御装置が、前記複数の制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記複数の制御装置は、
現用系である制御装置が前記複数の制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、当該制御装置を継続して現用系とし、
待機系であるいずれかの制御装置が前記複数の制御対象装置の過半数から選択された場合に、当該制御装置を新たに現用系とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信システムは、
制御装置の選択が許可されている選択許可制御対象装置が前記複数の制御対象装置の中で複数指定されており、
少なくともいずれかの制御装置が、少なくとも前記複数の選択許可制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記複数の制御対象装置は、
自装置が選択許可制御対象装置である場合に、現用系とすべき制御装置を選択し、選択結果を少なくともいずれかの制御装置に対して送信し、
前記複数の制御装置は、
現用系である制御装置が前記複数の選択許可制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、当該制御装置を継続して現用系とし、
待機系であるいずれかの制御装置が前記複数の選択許可制御対象装置の過半数から選択された場合に、当該制御装置を新たな現用系とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記複数の制御対象装置は、
受信した選択要求の送信元を判別し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置のいずれか一つからしか選択要求を受信していない場合は、選択要求の送信元の制御装置を選択し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置から選択要求を受信している場合は、現用系である制御装置を選択することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信システムは、
現用系である制御装置及び待機系である制御装置の各々が前記複数の制御対象装置と通信を行い、
待機系である制御装置が、現用系である制御装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質と自装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質とを比較し、自装置の通信品質が現用系である制御装置の通信品質よりもよい場合は、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項12】
前記複数の制御対象装置は、
現用系である制御装置と待機系である制御装置から前記選択要求を受信した場合に、現用系である制御装置との通信における通信品質と待機系である制御装置との通信における通信品質とを比較して、いずれかの制御装置を選択することを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置の制御のための制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信し、
待機系である制御装置は、前記制御データと同じ内容のデータを予備制御データとして前記複数の制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記複数の制御対象装置は、
現用系である制御装置から送信された制御データを正常に受信できず、待機系である制御装置から送信された予備制御データを正常に受信できた場合に、前記制御データの代わりに前記予備制御データを利用することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
前記複数の制御対象装置は、
現用系である制御装置からの制御に応答する応答データを現用系である制御装置に対して送信するとともに、前記応答データと同じ内容のデータを予備応答データとして待機系である制御装置に送信し、
待機系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置から送信された予備応答データを受信するとともに、受信した予備応答データを現用系である制御装置に送信することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の通信システム。
【請求項16】
現用系である制御装置は、
前記複数の制御対象装置から送信された応答データを正常に受信できず、待機系である制御装置から送信された予備応答データを正常に受信できた場合に、前記応答データの代わりに前記予備応答データを利用することを特徴とする請求項15に記載の通信システム。
【請求項17】
前記複数の制御装置は、
待機系であるときに現用系の制御装置が正常な状態でないと判断した際の監視内容、現用系の制御装置が正常な状態でないと判断して前記選択要求を送信した際の制御対象装置からの選択結果の少なくともいずれかを記憶することを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項18】
前記複数の制御装置は、
待機系であるときに自装置の通信品質が現用系の制御装置の通信品質よりもよいと判断した際の自装置及び現用系の制御装置の通信品質の内容、自装置の通信品質が現用系の制御装置の通信品質よりもよいと判断して前記選択要求を送信した際の制御対象装置からの選択結果の少なくともいずれかを記憶することを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【請求項19】
前記複数の制御対象装置は、
前記選択要求に対する選択結果を記憶することを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の通信システム。
【請求項20】
前記複数の制御対象装置は、
現用系の制御装置との通信における通信品質と待機系の制御装置との通信における通信品質とを記憶することを特徴とする請求項12に記載の通信システム。
【請求項21】
前記複数の制御装置は、
それぞれ、前記複数の制御対象装置と無線通信を行うことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の通信システム。
【請求項22】
現用系である制御装置は、
制御データにビーコン情報を含ませ、前記ビーコン情報が含まれた制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信し、
待機系である制御装置は、
前記ビーコン情報と同じ内容の情報を予備制御データに含ませ、前記ビーコン情報と同じ内容の情報が含まれた予備制御データを前記複数の制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項23】
現用系であるときは、複数の制御対象装置を制御し、待機系であるときは、現用系である他の制御装置をバックアップする制御装置であって、
現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信する選択要求送信部と、
制御対象装置における選択結果を受信する選択結果受信部と、
前記選択結果を解析して自装置が現用系に選択されたか否かを判別し、判別結果に基づいて動作モードを現用系の動作モード及び待機系の動作モードのいずれかに設定する動作モード設定部を有することを特徴とする制御装置。
【請求項24】
前記選択要求送信部は、
前記動作モード設定部により現用系の動作モードが設定されている場合に前記選択要求を送信できない状態にあるとき以外は、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項23に記載の制御装置。
【請求項25】
前記制御装置は、更に、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、現用系である他の制御装置の状態を監視する状態監視部を有し、
前記選択要求送信部は、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、前記状態監視部により現用系である他の制御装置が正常な状態でないと判断されたときに、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項23又は24に記載の制御装置。
【請求項26】
前記選択要求送信部は、
前記複数の制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記動作モード設定部は、
現用系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、現用系の動作モードの設定を維持し、
待機系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の制御対象装置の過半数から選択された場合に、現用系の動作モードを設定することを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の制御装置。
【請求項27】
前記選択要求送信部は、
少なくとも、前記複数の制御対象装置の中で制御装置の選択が許可されている複数の選択許可制御対象装置に対して前記選択要求を送信し、
前記動作モード設定部は、
現用系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の選択許可制御対象装置の少なくとも半数から選択された場合に、現用系の動作モードの設定を維持し、
待機系の動作モードを設定しているときに、自装置が前記複数の選択許可制御対象装置の過半数から選択された場合に、現用系の動作モードを設定することを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の制御装置。
【請求項28】
前記制御装置は、更に、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、現用系である他の制御装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質を判定する第1の通信品質判定部と、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、前記複数の制御対象装置との間で通信を行うとともに、前記複数の制御対象装置との通信における通信品質を判定する第2の通信品質判定部とを有し、
前記選択要求送信部は、
前記動作モード設定部により待機系の動作モードが設定されている場合に、前記第1の通信品質判定部により判定された他の制御装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質と前記第2の通信品質判定部により判定された自装置と前記複数の制御対象装置との通信における通信品質とを比較し、自装置の通信品質が他の制御装置の通信品質よりもよい場合に、前記選択要求を少なくともいずれかの制御対象装置に対して送信することを特徴とする請求項23又は24に記載の制御装置
【請求項29】
いずれかが現用系になり、現用系以外は現用系をバックアップする待機系となる複数の制御装置の制御対象となる制御対象装置であって、
現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を、少なくともいずれかの制御装置から受信する選択要求受信部と、
前記選択要求受信部が受信した選択要求の送信元を判別し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置のいずれか一つからしか選択要求を受信していない場合は、選択要求の送信元の制御装置を選択し、現用系である制御装置及び待機系である制御装置から選択要求を受信している場合は、現用系である制御装置を選択する選択部と、
前記選択部による選択結果を前記選択要求の送信元に送信する選択結果送信部とを有することを特徴とする制御対象装置。
【請求項30】
いずれかが現用系になり、現用系以外は現用系をバックアップする待機系となる複数の制御装置の制御対象となる制御対象装置であって、
現用系とすべき制御装置を選択するよう要求する選択要求を、少なくともいずれかの制御装置から受信する選択要求受信部と、
前記選択要求受信部が現用系である制御装置及び待機系である制御装置から選択要求を受信した場合に、現用系である制御装置との通信における通信品質を判定するとともに、待機系である制御装置との通信における通信品質を判定し、現用系である制御装置との通信における通信品質と待機系である制御装置との通信における通信品質を比較して、いずれかの制御装置を選択する選択部と、
前記選択部による選択結果を前記選択要求の送信元に送信する選択結果送信部とを有することを特徴とする制御対象装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−55136(P2010−55136A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216115(P2008−216115)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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