説明

通信ユニット及びセンサシステム

【課題】簡易な構成で、上位機器での処理効率の向上や、接続されるセンサの拡張性の向上を可能とする通信ユニットを提供すること。
【解決手段】通信ユニット2には、複数直列接続されたセンサユニット3と、上位機器4とが接続されている。センサユニット3は、接続順に自動的にアドレス設定されるものである。通信ユニット2のメモリには、自動的に設定される各センサユニット3の設定アドレスと、上位機器4に送信するフレームデータにセンサユニット3の検出結果を格納する一(ビット)を示す送信アドレスとの対応関係を示すアドレス対応情報が記憶されている。通信ユニット2は、メモリに記憶されたアドレス対応情報に基づいて、センサユニット3の検出結果を対応する送信アドレスに格納したフレームデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサユニット及び外部の上位機器と通信可能な通信ユニット及びセンサシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば搬送装置等の各種設備において、検出対象物を検出するために、複数直列接続された光電センサ等のセンサユニットが用いられており、それらセンサユニットには、通信ユニットが接続されている。通信ユニットは、各センサユニットの検出信号等を入力して、PLC(プログラマブルコントローラ)やPC(パーソナルコンピュータ)等の上位機器へと送信する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
通信ユニットには複数のセンサユニットが接続され、各センサユニット及び各ユニットから出力される信号を区別するため、各センサユニットにはユニークなアドレスが設定される。また、通信ユニットに接続するセンサユニットの数は、この通信ユニットと複数のセンサユニットからなるセンサシステムが使用される装置、例えば搬送装置の構成や状態に応じて任意に設定される。従って、センサシステムでは、所定のタイミング(例えば電源投入時やリセット時)において、通信ユニットに接続されたセンサユニットを例えばアドレス「1」とし、そのセンサにユニットに接続されたセンサユニットをアドレス「2」とするように、順次アドレスを自動設定している。
【0004】
このようにアドレスが設定された複数のセンサユニットは、例えば、通信ユニットが検出動作を行うように信号を出力すると、信号を受信したセンサユニットは、検出動作を行うとともに、自身のアドレスに対応する位置に検出結果を書き込み、隣接するセンサユニットに信号を転送する。こうして信号が順次転送され、通信ユニットから最も遠い位置に接続されたセンサユニットまで転送されると、各センサユニットの検出結果は一括して通信ユニットまで送信される。
【0005】
尚、各センサユニットには、各センサユニットに設けられた操作手段を操作することにより個別に設定可能なものがある。しかし、このようなセンサユニットでは、各センサユニットに操作手段が必要であり、センサユニットを追加するときに設定ミスによってアドレスが重複したり、既接続のセンサユニットのアドレスを確認したりする必要があり、設定が面倒である。
【特許文献1】特開2004−295555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の構成のように、通信ユニットが各センサユニットから入力したデータを上位機器へと送信する際には、通信ユニットは所定単位(例えば8個)のセンサユニットの検出結果を含むフレームデータを送信する。例えば、2つの測定箇所に対してそれぞれ5個のセンサユニットを必要とする装置では、通信ユニットに10個のセンサユニットが接続される。この場合、通信ユニットは、先ず8個のセンサユニットの検出結果を含むフレームデータを送信し、次に2つのセンサユニットの検出結果を含むフレームデータを送信する。従って、上位機器において同時に処理したいデータが、複数のフレームデータに分割されてしまう場合があった。そうすると、上位機器において複数のフレームデータからデータを取得する必要が生じ、処理に手間がかかってしまう。
【0007】
このため、所望のセンサユニットの検出結果が1つのフレームデータにまとまるようにアドレスを設定することが求められる場合がある。また、将来的に更にセンサユニットが接続可能となるように、空きアドレス含めてセンサユニットにアドレスを設定することが求められる場合がある。このような要求に対して、アドレスを調整するためだけに実際には使用しないセンサユニットを接続する必要があり、本来必要な構成に加えてそのような構成を付加することは無駄があり好ましくなかった。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で、上位機器での処理効率の向上を可能とする通信ユニット及びセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、それぞれ被検出物の検出結果を出力する複数のセンサユニットが直列接続されるとともに上位機器と接続され、前記センサユニットは接続順序に従って設定アドレスを自動的に設定し、同期信号と所定ビット数のデータ信号とから構成されるフレームデータのデータ信号に前記センサユニットから出力される検出結果を格納して前記上位機器へ送信する通信ユニットであって、前記センサユニットの設定アドレスと、前記データ信号のビット位置を示す送信アドレスとが対応付けられたアドレス対応情報が記憶された記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたアドレス対応情報に基づいて、前記センサユニットの検出結果を、そのセンサユニットの設定アドレスに対応する送信アドレスのビット位置に格納したフレームデータを送信する送信手段と、を備えた。
【0010】
この構成によれば、通信ユニットは各センサユニットの検出結果を、上位機器に送信する送信アドレスに応じたビット位置に格納したフレームデータを送信するため、1つのフレームデータに含めるセンサユニットの検出結果を設定することが可能となる。このため、上位機器にて処理がし易いようにフレームデータの送信アドレスを設定することにより、上位機器での処理効率の向上が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信ユニットにおいて、前記センサユニットは、上位側のユニットから受信した信号に当該ユニットの検出信号を付加して下位側のユニットに送信するように構成され、前記送信手段は、接続されたすべてセンサユニットにて転送されて各センサユニットの検出信号が前記設定アドレスの位置に格納された信号が入力され、その入力された信号を記憶手段に一旦記憶し、前記記憶手段から各検出信号を順次読み出すとともに、その読み出した検出信号を対応する送信アドレスのビット位置に格納して送信する。
【0012】
この構成によれば、通信ユニットには複数のセンサユニットの検出結果が一括して入力されるため、検出結果を取得する手間が少ない。また、センサユニットから入力された信号を一旦記憶手段に記憶することにより、アドレス対応情報に応じて任意の位置に検出結果を格納することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の通信ユニットにおいて、接続可能な前記センサユニットの数は前記フレームデータのビット数のn倍(nは整数)に設定され、前記送信手段は、n個のフレームデータを前記上位機器に順次出力するとともに、前記フレームデータにn個目のフレームデータであることを示すフレームデータ情報を含めて出力し、前記送信アドレスは、前記n個のフレームデータを通したビット位置を示す。この構成によれば、センサユニットの検出結果を任意のフレームデータに含めて上位機器に送信することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の通信ユニットにおいて、前記記憶手段に記憶されている前記アドレス対応情報を変更可能な変更手段を備えた。この構成によれば、センサユニットの設置状況や接続状態の変更に合わせて、各センサユニットとフレームデータに含まれる各センサユニットのアドレスとの関係を変更することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、被検出物の検出結果を出力する複数のセンサユニットと、前記複数のセンサユニットが直列接続されるとともに上位機器と接続され、前記センサユニットは接続順序に従って設定アドレスを自動的に設定し、同期信号と所定ビット数のデータ信号とから構成されるフレームデータのデータ信号に前記センサユニットから出力される検出結果を格納して前記上位機器へ送信する通信ユニットと、を備えたセンサシステムであって、前記通信ユニットは、前記センサユニットの設定アドレスと、前記データ信号のビット位置を示す送信アドレスとが対応付けられたアドレス対応情報が記憶された記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたアドレス対応情報に基づいて、前記センサユニットの検出結果を、そのセンサユニットの設定アドレスに対応する送信アドレスのビット位置に格納したフレームデータを送信する送信手段と、を備える。
【0016】
この構成によれば、通信ユニットは各センサユニットの検出結果を、上位機器に送信する送信アドレスに応じたビット位置に格納したフレームデータを送信するため、1つのフレームデータに含めるセンサユニットの検出結果を設定することが可能となる。このため、上位機器にて処理がし易いようにフレームデータの送信アドレスを設定することにより、上位機器での処理効率の向上が可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のセンサシステムにおいて、前記センサユニットは、上位側のユニットから受信した信号に当該ユニットの検出信号を付加して下位側のユニットに送信するように構成され、前記送信手段は、接続されたすべてセンサユニットにて転送されて各センサユニットの検出信号が前記設定アドレスの位置に格納された信号が入力され、その入力された信号を記憶手段に一旦記憶し、前記記憶手段から各検出信号を順次読み出すとともに、その読み出した検出信号を対応する送信アドレスのビット位置に格納して送信する。この構成によれば、センサユニットの設置状況や接続状態の変更に合わせて、各センサユニットとフレームデータに含まれる各センサユニットのアドレスとの関係を変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
従って、上記記載の発明によれば、簡易な構成で、上位機器での処理効率の向上や、接続されるセンサの拡張性の向上を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、センサシステム1の通信ユニット2には、複数個(本例では12個)のセンサユニット3が直列接続されるとともに、PLC(プログラマブルコントローラ)やPC(パーソナルコンピュータ)等の上位機器4が接続されている。各センサユニット3には、通信ユニット2側から順に、1〜12CH(チャンネル)のアドレス(以下、設定アドレスという)が設定される。各センサユニット3は光電センサであって、投光手段41及び受光手段42(図3参照)を備え、図示しない一対の光ファイバケーブル(投光用ファイバ及び受光用ファイバ)が接続される。各センサユニット3は、投光手段41から投光用ファイバを介して投光された光が、受光用ファイバを介して受光手段42に受光されるか否かによって、検出対象物の有無を検出結果とする。なお、本実施形態では、1〜6CHのセンサユニット3に接続されたファイバの先端は第1の領域(例えば、搬送装置の入口付近)に配設され、7〜12CHのセンサユニット3に接続されたファイバの先端は第2の領域(例えば、搬送装置の出口付近)に配設されている。
【0020】
複数のセンサユニット3は、図1中左右方向に一列のセンサ列を構成している。各センサユニット3には、コネクタ部材5が接続されており、センサ列に沿ってコネクタ列が配列されている。各センサユニット3は、コネクタ部材5を介して通信ユニット2に接続されて電源等が供給される。また、通信ユニット2、複数個のセンサユニット3間の通信は、各機器の相対向する側面(図1中、左右方向の側面)に設けられた通信窓を介して光通信にて行われる。
【0021】
通信ユニット2のハウジング11は、略長方形状に形成され、そのハウジング11のセンサユニット3側の側面(図1中、右側面)には、一対の光通信用の通信窓(図示略)が設けられている。通信ユニット2は、通信窓を介して光通信にて各センサユニット3に同期信号などの制御信号を出力するとともに、各センサユニット3からの出力信号を入力する。
【0022】
また、通信ユニット2のハウジング11の上面には、上位機器4との通信を行う通信ケーブルを接続するためのコネクタ部12や、各種操作を行うための操作部、監視状態や動作状態等を点灯・消灯等により報知する表示灯等が設けられている。通信ユニット2は、上位機器4と通信ケーブルを通じて双方向通信可能であり、上位機器4から入力した設定データや制御信号を各センサユニット3が対応可能な通信形式のデータに変換したり、各センサユニット3の出力信号を上位機器4に対応する通信形式に変換したりする変換処理を行う。
【0023】
センサユニット3のハウジング21は、センサ配列方向に扁平な略直方体形状に形成されている。ハウジング21の正面には、4つの7セグメントLEDからなり、4桁のデジタル表示が可能な表示部22や、自身の設定情報を変更するための各種操作キー23等が設けられている。
【0024】
また、ハウジング21の前面部(図1中、上側面)には、一対の光ファイバケーブル(投光用ファイバ及び受光用ファイバ)を装着するための一対の挿入孔が設けられている。センサユニット3は、投光用の光ファイバケーブルの先端から出射された平行光が、ワーク等の検出対象物に反射した光を受光用の光ファイバケーブルの先端で受光した受光結果に基づき検出対象物を検出する。
【0025】
また、ハウジング21の両側面(図1中、左右側の面)には、受光用と投光用の一対の光通信用の通信窓(図示略)が、それぞれ設けられている。それら通信窓は、隣接するセンサユニット3間において、受光用の通信窓と投光用の通信窓とが対向するように配置されている。このため、隣接配置されたセンサユニット3間では、双方向に光通信が可能となっている。また、通信ユニット2に隣接するセンサユニット3の通信ユニット2側(図1中、左側面)の側面の受光用の通信窓は通信ユニット2の投光用の通信窓と対向するように、投光用の通信窓は通信ユニット2の受光用の通信窓と対向するように、それぞれ設けられている。このため、通信ユニット2は、隣接配置されたセンサユニット3との間で光通信により双方向に通信が可能となっている。
【0026】
図2に示すように、通信ユニット2のCPU31には、CPU31が実行するプログラムや各種設定データ等が格納された記憶手段としてのメモリ32が接続されている。CPU31は、センサユニット3から入力した検出信号をメモリ32に格納する。そして、CPU31は、メモリ32に格納した検出信号を読み出し、検出信号を含む8ビット単位のフレームデータを通信手段35を介して上位機器4に送信する。
【0027】
図4に示すように、各センサユニット3には、挿着された前記一対の光ファイバケーブルの挿入端とそれぞれ対向する投光手段41及び受光手段42が設けられている。投光手段41及び受光手段42は、CPU43により駆動制御される。また、CPU43には、CPU43が実行するプログラムや各種設定データ等が格納されたメモリ44が接続されている。メモリ44には、検出対象物を検出するための検出条件や、自身のアドレス情報が記憶されている。
【0028】
CPU43は、検出対象物を検出する際は、投光手段41及び受光手段42を駆動して、投光手段41に対向する光ファイバケーブル(投光用ファイバ)の先端から光を出射させるとともに、光ファイバケーブル(受光用ファイバ)と対向する受光手段42からの受光信号を入力する。そして、CPU43は、その受光信号の値がメモリ44に記憶されている所定の閾値を超えると、検出対象物を検出したと判定する。
【0029】
なお、CPU43は、操作キー23の所定の操作に従って、検出対象物の検出の判定に関わる検出条件(前記閾値等)を変更可能となっている。CPU43は、操作キー23の操作に従って検出条件を変更すると、メモリ44に記憶されている検出条件を変更するとともに、表示部22に変更項目等を表示する。なお、各センサユニット3において、検出動作に関わる前記検出条件と対応した機能を含む多数の機能は、関連するもの同士がまとめられて、上層(上位階層)、中層(中位階層)及び下層(下位階層)の3つの階層構造に分類されており、前記操作キー23の操作(切替操作)に応じて各階層の機能が表示部22に切替え表示され、変更可能となっている。汎用性の高い基本的な機能は、最上位の層である上層に分類されるとともに、高度な機能は、最下位の層である下層に分類されている。
【0030】
また、各センサユニット3のCPU43には、通信ユニット2に対して近い側の側面(図1参照)の近傍に配設された受信手段45及び送信手段46、及び、通信ユニット2に対して遠い側の側面(図1参照)の近傍に配設された送信手段47及び受信手段48が接続されている。なお、各センサユニット3のハウジング21(図1参照)において、受信手段45,48及び送信手段46,47に近接した位置に、前記通信窓がそれぞれ設けられている。これにより、各センサユニット3は、外部機器(通信ユニット2や他のセンサユニット3)との通信(光通信)が可能となっている。つまり、通信ユニット2から出力された信号は、上位側(通信ユニット2側)のセンサユニット3から下位側のセンサユニット3に順次転送され、最下位のセンサユニット3まで転送される。そして、各センサユニット3の検出信号等のデータは、最下位のセンサユニット3から一括して通信ユニット2まで送信される。
【0031】
本実施形態では、使用初期時に、通信ユニット2は、隣接するセンサユニット3に、アドレス情報を設定するため、初期値のアドレス情報を含むアドレス設定信号を送信する。各センサユニット3はアドレス設定信号に含まれるアドレス情報を自身のアドレス情報としてメモリ44に記憶するとともに、アドレス情報の値に1を加算して出力する。つまり、通信ユニット2に隣接するセンサユニット3は、初期値のアドレス情報を自身のアドレス情報としてメモリ44に記憶するとともに、初期値に1を加算したアドレス情報を含むアドレス設定信号を、反通信ユニット側のセンサユニット3に出力する。従って、通信ユニット2が初期値「1」のアドレス情報を含むアドレス設定信号を送信することにより、図5に示すように、本実施形態の各センサユニット3には、通信ユニット2側から順に、1〜12CH(チャンネル)の設定アドレスが自動的に設定される。各センサユニット3のCPU43は、各自の設定アドレスをメモリ44に格納する。
【0032】
センサシステム1により検出対象物の検出を行う際、通信ユニット2が各センサユニット3の投光手段41及び受光手段42を駆動するための同期信号を出力すると、同期信号は各センサユニット3を下位側へと順次転送される。各センサユニット3は、同期信号を入力すると、投光手段41及び受光手段42を駆動して検出対象物の検出を判定する。そして、その判定結果を、自身の設定アドレスに対応する位置に書き込んで、下位側のセンサユニット3に転送する。
【0033】
具体的には、例えば、図6(a)に示すように、各センサユニット3のCPU43は、通信ユニット2から同期信号を入力すると、自身の設定アドレスに対応する位置(ビット)に、検出対象物を検出していれば「1」を、検出していなければ「0」を書き込んで、下位側のセンサユニット3に転送する。同期信号が順次転送され、最下位のセンサユニット3まで転送されると、12台のセンサユニット3の検出結果が一括して通信ユニット2まで送信される。
【0034】
図2に示す通信ユニット2は、上記のように送信された各センサユニット3の検出結果を含むフレームデータを、通信手段35を介して上位機器4に送信する。このとき、通信ユニット2のCPU31は、メモリ32に記憶されているアドレス対応情報に基づいて、各センサユニット3の検出結果を格納するビット位置を変更したフレームデータを、通信手段35を介して送信する。アドレス対応情報は、各センサユニット3の設定アドレスと、上位機器4に対して設定された送信アドレスとの対応を示す情報である。このアドレス対応情報を、図3に示すような対応表50として表す。対応表50の設定欄51には、上位機器4に対するセンサユニットの接続・非接続状態が設定されている。図3に示す例では、対応表50の設定欄51において、「○」で示される1〜6CH及び9〜14CHのセンサユニットは接続状態であり、「×」で示される7,8CH及び15,16CHのセンサユニットは非接続状態であると設定されている。そして、対応表50の対応関係欄52に、実在するセンサユニット3の設定アドレスと上位機器4に送信する際にセンサユニット3の検出結果を格納するビット位置を示す送信アドレスとの対応関係が記録されている。これによると、設定アドレスの1〜6CHは送信アドレス1〜6CHに対応し、設定アドレスの7〜12CHは送信アドレスの9〜14CHに対応する。つまり、CPU31は、実在する7〜12CHのセンサユニット3の検出結果を、送信アドレスの9〜14CHに格納したフレームデータを送信する。この動作は、7〜12CHの設定アドレスを、9〜14CHの送信アドレスに変換することと等価である。
【0035】
なお、本実施形態では、上位機器4において、対応表50に示される対応関係は変更可能となっている。上位機器4の表示手段には図3に示す対応表50と同様の設定画面が表示され、マウスやキーボード等の入力手段により、接続・未接続、対応関係が入力される。上位機器4は、設定画面の状態に応じたデータを通信ユニット2に出力する。そのデータが通信ユニット2の通信手段35に入力され、変更手段としてのCPU31はメモリ32のアドレス対応情報を変更する。例えば、図3に示される対応表50において、上位機器4では、設定欄51の接続・非接続の選択を変更することで、その設定に応じて対応関係を変更することが可能である。
【0036】
通信ユニット2は、各センサユニット3の検出結果を入力すると、そのデータに基づいて8ビット単位のフレームデータを作成して、上位機器4へと送信する。フレームデータは、同期信号と、システム情報と、所定数(本実施形態では8個)のセンサユニット3の検出結果を示す検出信号とから構成される。システム情報には、当該フレームデータが何番目のフレームデータであるかを示すフレーム番号が含まれる。尚、作成されるフレームデータの数は、通信ユニット2に接続可能なセンサユニットの数に対応し、接続可能なユニット数を上記所定数で割った数である。
【0037】
本実施形態の通信ユニット2は上記所定数が8であって最大16個のセンサユニット3が接続可能であり、各センサユニット3からの検出信号に基づいて、2つのフレームデータを作成する。まず、通信ユニット2のCPU31は、各センサユニット3の設定アドレスを、メモリ32に記憶されているアドレス対応情報(図3に示す対応表50)を参照して変換する。このとき、CPU31は、1〜12CHの設定アドレスに対して、6CH及び7CHを空きアドレスとし、7〜12CHという設定アドレスを9〜14CHに変換して、フレームデータを作成する。これにより、図6(b)に示すように、1つ目のフレームデータは同期信号とシステム情報と1CH〜6CHのセンサユニット3の検出結果とから構成され、図6(b)に示すように、2つ目のフレームデータは同期信号とシステム情報と6CH〜12CHのセンサユニット3の検出結果とから構成される。尚、検出データは8ビットから構成されるため、CPU31は、センサユニットが実在しないビット、つまりアドレス対応情報において未接続に設定された箇所(ビット)について、所定値(例えば「0」)のダミーデータを送信する。本実施形態では、1〜6CHのセンサユニット3と7〜12CHのセンサユニット3とが違う領域に設けられているため、各領域に対応するセンサユニット3ごとにフレームデータを作成することが好ましいが、こうして、2つのフレームデータに含む検出結果が、上位機器4にて処理し易いように変更される。
【0038】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)通信ユニット2のメモリ32には、自動的に設定される各センサユニット3の設定アドレスと、上位機器4に送信するフレームデータにセンサユニット3の検出結果を格納する一(ビット)を示す送信アドレスとの対応関係を示すアドレス対応情報が記憶されている。通信ユニット2は、メモリ32に記憶されたアドレス対応情報に基づいて、センサユニット3の検出結果を対応する送信アドレスに格納したフレームデータを送信する。この結果、1つのフレームデータに含めるセンサユニット3の送信アドレスを設定することが可能となる。このため、上位機器4にて処理がし易いようにフレームデータの送信アドレスを設定することができ、上位機器4での処理効率の向上が可能となる。
【0039】
(2)センサユニット3は、上位側のユニットから受信した信号に当該ユニットの検出信号を付加して下位側のユニットに送信するように構成されている。通信ユニット2のCPU31には、接続されたすべてセンサユニット3にて転送されて各センサユニット3の検出信号が設定アドレスの位置に格納された信号が入力され、CPU31はその入力された信号をメモリ32に一旦記憶し、メモリ32から各検出信号を順次読み出すとともに、その読み出した検出信号を対応する送信アドレスのビット位置に格納して送信するようにした。その結果、通信ユニット2には複数のセンサユニット3の検出結果が一括して入力されるため、検出結果を取得する手間が少ない。また、センサユニット3から入力された信号を一旦メモリ32に記憶することにより、アドレス対応情報に応じて任意の位置に検出結果を格納することが可能となる。
【0040】
(3)接続可能なセンサユニット3の数はフレームデータのビット数の2倍に設定される。通信ユニット2のCPU31は、2個のフレームデータを上位機器4に順次出力する。送信アドレスは、2個のフレームデータを通したビット位置を示す。この構成によれば、センサユニット3の検出結果を任意のフレームデータに含めて上位機器4に送信することが可能となる。
【0041】
(4)通信ユニット2にて、各センサユニットの検出信号を、各センサユニット3の設定アドレスに対応する送信アドレスのタイミングにてフレームデータを送信するため、センサユニット3の構成を変更することなく、上位機器4に送信されるフレームデータに空きアドレスを設定することができ、接続されるセンサユニット3の拡張性を向上することができる。
【0042】
(5)上位機器4にて設定することにより、通信ユニット2のメモリ32に設定されたアドレス対応情報を変更することが可能であるため、センサユニット3の設置状況や接続状態の変更に合わせて、各センサユニット3の設定アドレスと、検出信号をフレームデータに含めるときの送信アドレスとの関係を容易に変更することができる。
【0043】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、上位機器4に送信するフレームデータに空きアドレスを設定する場合について説明したが、センサユニット3の設定アドレスを入れ換えて上位機器4に送信するようにしてもよい。例えば、上記実施形態において、設定アドレスが1〜6CHのセンサユニット3の検出位置(光ファイバの先端を設置する位置)と、設定アドレスが7〜12CHのセンサユニット3の検出位置とを交換する。この場合、通信ユニット2にて7〜12CHの設定アドレスと1〜6CHの送信アドレスとが対応し、1〜6CHの設定アドレスと9〜14CHの送信アドレスとが対応するように、アドレス対応情報を設定すればよい。
【0044】
・上記実施形態では、センサユニット3が12個直列接続されている場合について説明したが、勿論、直列接続されるセンサユニット3の数は12個に限られず、13個以上としてもよいし、11個以下としてもよい。また、12個のセンサユニット3が6個ずつ、違う領域に設置されており、6個のセンサユニット3ごとにフレームデータを作成するようにしたが、センサユニット3のデータの分割方法は他の態様としてもよい。例えば、1〜4CHのセンサユニット3のフレームデータと、5〜12CHのセンサユニット3のフレームデータを作成してもよく、センサユニット3の設置態様等に対応させればよい。なお、その場合、対応表50の設定欄51において、5〜8CHの送信アドレスを、非接続状態に設定すればよい。
【0045】
・上記実施形態では、上位機器4において、センサユニット3の設定アドレスと上位機器に送信されるフレームデータの送信アドレスとの対応関係を変更可能な構成としたが、この対応関係の変更を通信ユニット2において行うようにしてもよい。例えば、通信ユニット2に操作部及び表示部を設け、空きアドレスとするセンサユニットのアドレス数を選択可能な構成としてもよい。通信ユニット2にてアドレス対応情報を設定可能とすれば、ユーザは通信ユニット2の設置場所にて設定変更することができ、使い勝手がよい。
【0046】
・上記実施形態では、通信ユニット2が作成するフレームデータは、8ビット単位であるものとしたが、フレームデータの単位はこれに限定されない。また、フレームデータの単位に合わせて、アドレス対応情報を設定すればよい。
【0047】
・上記実施形態では、通信ユニット2及び複数のセンサユニット3間の通信は光通信により行うものとしたが、双方向通信が可能であれば、必ずしも光通信としなくてもよく、例えばワイヤ接続等により通信を行ってもよい。
【0048】
・上記各実施形態では、光電センサであるセンサユニット3について説明したが、センサユニットを他の態様のものとしてもよい。例えば、測定対象が異なるセンサとして、圧力センサ、流体センサ、流量センサ、温度センサ等としてもよい。また、検出方法が異なるセンサとして、超音波センサ、電磁センサ等としてもよい。また、近接センサ、接触式センサ等としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、通信ユニット2とセンサユニット3との間、及び各センサユニット3間の通信を双方向通信としたが、単方向通信としてもよい。例えば、図7に示すセンサシステム60では、通信ユニットとしてのメインユニット61とエンドユニット62との間に複数のセンサユニット3aが直列接続されている。各センサユニット3aは、一方向通信が可能、つまり、図4に示すセンサユニット3の構成から、送信手段46及び受信手段48が省略された構成である。各センサユニット3aを介して下位側のユニットに転送されたデータは、エンドユニット62に接続されたケーブル63を介してメインユニット61に送信される。メインユニット61は、図2に示す構成と同等であり、受信手段34がケーブル63を介してデータを受信するように構成されている。メインユニット61は、上記の通信ユニット2と同様に、メモリ32に記憶されたアドレス対応情報(図3に示す対応表50)に従って各センサユニット3の検出信号を格納したフレームデータを送信する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】センサシステムの平面図。
【図2】通信ユニットのブロック図
【図3】センサユニットの設定アドレスとフレームデータの送信アドレスの対応を示す説明図。
【図4】センサユニットのブロック図。
【図5】センサシステムのブロック図。
【図6】(a)はセンサユニットの検出信号の説明図、(b),(c)はフレームデータの説明図。
【図7】別のセンサシステムの平面図。
【符号の説明】
【0051】
1,60…センサシステム、2…通信ユニット、3,3a…センサユニット、4…上位機器、31…送信手段,変更手段としてのCPU、32…記憶手段としてのメモリ、35…送信手段としての通信手段、通信ユニットとしてのメインユニット、通信ユニットとしてのエンドユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ被検出物の検出結果を出力する複数のセンサユニットが直列接続されるとともに上位機器と接続され、前記センサユニットは接続順序に従って設定アドレスを自動的に設定し、同期信号と所定ビット数のデータ信号とから構成されるフレームデータのデータ信号に前記センサユニットから出力される検出結果を格納して前記上位機器へ送信する通信ユニットであって、
前記センサユニットの設定アドレスと、前記データ信号のビット位置を示す送信アドレスとが対応付けられたアドレス対応情報が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたアドレス対応情報に基づいて、前記センサユニットの検出結果を、そのセンサユニットの設定アドレスに対応する送信アドレスのビット位置に格納したフレームデータを送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の通信ユニットにおいて、
前記センサユニットは、上位側のユニットから受信した信号に当該ユニットの検出信号を付加して下位側のユニットに送信するように構成され、
前記送信手段は、接続されたすべてセンサユニットにて転送されて各センサユニットの検出信号が前記設定アドレスの位置に格納された信号が入力され、その入力された信号を記憶手段に一旦記憶し、前記記憶手段から各検出信号を順次読み出すとともに、その読み出した検出信号を対応する送信アドレスのビット位置に格納して送信する、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の通信ユニットにおいて、
接続可能な前記センサユニットの数は前記フレームデータのビット数のn倍(nは整数)に設定され、
前記送信手段は、n個のフレームデータを前記上位機器に順次出力するとともに、前記フレームデータにn個目のフレームデータであることを示すフレームデータ情報を含めて出力し、
前記送信アドレスは、前記n個のフレームデータを通したビット位置を示す、
ことを特徴とする通信ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の通信ユニットにおいて、
前記記憶手段に記憶されている前記アドレス対応情報を変更可能な変更手段を備えることを特徴とする通信ユニット。
【請求項5】
被検出物の検出結果を出力する複数のセンサユニットと、
前記複数のセンサユニットが直列接続されるとともに上位機器と接続され、前記センサユニットは接続順序に従って設定アドレスを自動的に設定し、同期信号と所定ビット数のデータ信号とから構成されるフレームデータのデータ信号に前記センサユニットから出力される検出結果を格納して前記上位機器へ送信する通信ユニットと、を備えたセンサシステムであって、
前記通信ユニットは、
前記センサユニットの設定アドレスと、前記データ信号のビット位置を示す送信アドレスとが対応付けられたアドレス対応情報が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されたアドレス対応情報に基づいて、前記センサユニットの検出結果を、そのセンサユニットの設定アドレスに対応する送信アドレスのビット位置に格納したフレームデータを送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするセンサシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサシステムにおいて、
前記センサユニットは、上位側のユニットから受信した信号に当該ユニットの検出信号を付加して下位側のユニットに送信するように構成され、
前記送信手段は、接続されたすべてセンサユニットにて転送されて各センサユニットの検出信号が前記設定アドレスの位置に格納された信号が入力され、その入力された信号を記憶手段に一旦記憶し、前記記憶手段から各検出信号を順次読み出すとともに、その読み出した検出信号を対応する送信アドレスのビット位置に格納して送信する、
ことを特徴とするセンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−110372(P2009−110372A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283304(P2007−283304)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】