説明

通信機能を有する車載レーダー装置

【課題】UWBレーダーを車載に適用した場合、最適な制御方法,実装方法を検討する必要がある。
【解決手段】本発明は、通信機能、及び、レーダー機能を有するUWBを用いる。前方の障害物車両をレーダー機能で車間距離を測定し、その距離に応じてドライバーに危険警告を発する、もしくは、プリクラッシュ動作を行う。また、通信機能を用いて、車両間で互いに自車位置を通知することにより、外乱に依らず自車に近接する車両との距離を測定し、その距離に応じてドライバーに危険警告を発する、もしくは、プリクラッシュ動作を行うことにより達成される。また、自車位置情報によりレーダーの使用周波数、及び送信電力を変化させて、他の無線システムとの影響を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速移動体に搭載されたレーダー機能を有する無線端末装置であり、また、各無線端末装置間での通信機能を有するレーダーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車での走行安全性を高めるため、1999年頃よりミリ波レーダーが実用された。このミリ波レーダーによって、それまでの赤外線レーダーに比べ悪天候下でも、正確な車間距離測定が可能となった。ミリ波レーダーは、車両前方に取り付け、レーダーで得た情報から、先行車と自車との車間距離や相対速度を検出する。そして検出した車間距離や相対速度に応じて、車間距離を一定に制御するなどの操作を行う。
【0003】
しかし、赤外線レーダーに比べその価格が高いことから、一部の高級車への適用に留まっている。また、ミリ波レーダーは車両前方に設置して先行車を検知するが、電波の指向性から車両横方向や後方の車両を把握することは困難であった。
【0004】
次世代の無線高速通信を目的として開発されているUWB(Ultra Wide Band)は、
2002年より規格化が進められている。このUWBの電波波形を発生する送受信機を設計した場合、自ら送信するパルス波が物体に反射しその受信波とのパルスの往復時間を計測することにより、送受信機と物体との距離を計測するレーダー機能を持たせることが可能なことも知られている。そこで、欧州の工業界コンソーシアムSARA(Short-range
Automotive Radar frequency Allocation)では、24GHz帯の周波数を利用したUWBを用いた近距離レーダーが検討されていおり、UWBレーダーを車載する検討も行われている。また、UWBレーダーの送受信波にデータを乗せて、車々間通信を行いながら隊列走行を行うことも、前述のSARAにより検討されている。
【0005】
UWBのように広い周波数帯域を使用する際には、既存の無線システムとの電波干渉による影響を緩和するために、使用環境に応じた周波数の制限を図る必要がある。この為、無線機の種類に応じて、複数の周波数分割(マルチバンド)を行い各周波数帯毎の使用制限を行う動きもある。
【0006】
【非特許文献1】http://www.kuroda.elec.keio.ac.jp/projects/TeamUWB/chapter1.html 「UWB(Ultra Wide Band)とは」、2005年6月28日閲覧
【非特許文献2】「海外における車々間通信の開発−その経緯と現状−」、関 馨、自動車研究 第27巻 第1号(2005年1月)、p21−p26、財団法人 日本自動車研究所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
UWB通信によるレーダーシステムでは、レーダーシステムとして直接、周囲の対象物との距離計測を行うことや、無線通信を行うことが可能である。しかし、近距離の自車両周囲の他車との距離計測と車々間通信を両立させることについては検討が行われておらず、レーダー機能と車々間通信を両立させ、車両周囲の不要反射など外乱(クラッター)に強い送受信を行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、通信機能およびレーダー機能を有するUWB通信を用い、レーダー機能によって前方の障害物あるいは車両との車間距離を測定する。更に、通信機能を用いて、UWBによる通信機能を備えた車両間で互いに自車両位置を通知することにより、自車に近接する周囲の車両との距離を測定し、その距離に応じてドライバーに危険警告を発する、もしくは、プリクラッシュ動作を行う。
【0009】
また本発明は、他車からのレーダー波に重畳された位置情報から方向と距離を入手し、自車両が送信したレーダー波の反射波以外のレーダー波からも、外乱に依らず位置の同定を可能とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、UWB通信を用いたレーダー装置により、周辺に存在する障害物の検知に加えて個々の車両の位置や状態を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下では、車々間通信機能を備えた車載レーダー装置を例に本発明を説明する。
【実施例1】
【0012】
本願発明を用いた車載レーダー装置構成の一例を図1により説明する。自車両100に、本発明を用いた車載レーダー装置110が搭載されている。車載レーダー装置110に搭載されている位置情報取得部125では、アンテナ124を介してGPS衛星からの信号を受信し、自車両位置を測定して車間計測部126に自車両位置を伝達する。なお、この位置情報取得部はGPSを一例として示しているが、他の位置情報取得方法を用いてもよい。
【0013】
車載レーダー装置110では、制御部123が走行速度に応じて決められた周期、もしくは、タイミングでレーダー波の送信指示をレーダー送受信機122に送る。この送信指示をしたタイミングを制御部123ではタイマー135から読み込み、送信タイミングとして記憶する。レーダー送受信機122では送信データ生成部131により制御部123の指示に応じて、レーダー波のパルスを生成すると共に、得られた自車両位置情報と自車両の車両IDを含む送信データを作成し、このレーダー波のパルスに送信データを付加したレーダー波140を送信部130により、アンテナ121Aを介して送信する。
【0014】
レーダー波は受信用のアンテナ121Bを介してレーダー送受信機122にて受信される。車載レーダー装置の受信用のアンテナ121Bの取り付け位置は、この車両のルーフ上部、または、ダッシュボード上など、車両の前後との通信が行い易い位置に設置される。受信されたレーダー波は、受信部132にて低い周波数への変換と増幅が行われ、受信信号が生成される。受信信号は復調部133にて復調し、ID識別部で自車両の車両IDと受信信号の車両IDを比較し、自車が発信したレーダー波の反射波であるのか他車が送信したレーダー波なのかを識別する。自車が送出したレーダー波の受信信号の場合は、パターン検出部134にて既知の一定長の波形パターンとの相互相関を取り、マルチパスの影響を排除するため、高い相関が得られたタイミングで制御部123にトリガをかける。制御部123では、トリガのタイミングをタイマー135から取得し受信タイミングとして格納する。送信タイミングと受信タイミングは、車間計測部126に送られる。車間計測部126では、制御部123から送られてきたレーダー波の送信タイミングと受信タイミングの時間差から、自車両100と車両101の間の車間距離Aを算出する。
【0015】
さらに、他の車両に搭載された車載レーダー装置から送信されたレーダー波の受信信号である場合、復調部133で復調した受信信号を受け取り、この受信信号から車両IDと他の車両の位置情報を取り出して車間計測部126に伝達する。車間計測部126では、伝達された他車両の位置情報と位置情報取得部125から得られた自車両位置情報とから車間距離Bを算出する。なお、他の車両は自車両周辺に複数存在することが想定され、車間距離Bはレーダーの受信部132にて複数受信される信号の数だけ取得される。
【0016】
制御部123では、車間計測部126で得られた車間距離Aと複数の車間距離Bから最も距離の短い車間距離Cを選択する。この車間距離Cは、ネットワーク127を介して外部機器に伝達される。また、最も車間距離が短い車両の位置が、この車両が送信したレーダー波から得られた車両情報により求められたものである場合には、該当する車両の現在位置を車間距離と共に外部機器に伝達することにより、この外部機器でも車両がどの方向で接近しているのかを知ることが出来る。あるいは、車間距離Cが規定値以下の場合、車両接触の危険性があると判断して、危険を表す信号をネットワーク127を介して外部機器に伝達する。この外部機器の例としては、警告機能を有する警告装置や、プリクラッシュセーフティー機能を有する安全装置などこの外部機器の例としては、警告機能を有する警告装置や、プリクラッシュセーフティー機能を有する安全装置などがある。
【0017】
外部機器として警告装置を接続した例では、算出された最も距離の短い車間距離Cを、制御部123を介して警告機能に伝達する。警告機能では、得られた車間距離Cが既定の距離以下になった場合には、音声,音、または、表示などによりドライバーに近接車両が接近しているとして警告を行う。
【0018】
また、外部機器として安全装置を接続した例では、算出した車間距離Cを制御部123を介してプリクラッシュセーフティー機能に伝達する。プリクラッシュセーフティー機能では、車間距離Cに応じて自車両のドライバー保護機能を作動させる。このドライバー保護機能としては、例えば、衝突前に、シートベルト巻取りによるドライバーの固定,ブレーキ油圧の加圧による急制動の実現、エアバッグの起動などが挙げられる。
【0019】
次に、車載レーダー装置の他の構成例を図2,図3に示す。図2の車載レーダー装置には、図1と異なり、送信部130と受信部132で、アンテナ121Cを共用した例を示している。通常、アンテナ121Cはセレクタ136により受信部132に接続されているが、送信部130が送信動作を行う時だけ、セレクタ136はアンテナ121Cと送信部130を接続する。この場合、セレクタ136は送信部130の指示にてアンテナ121Cの接続先を切り替える構成となっている。このセレクタ136としてサーキュレータを用いる場合、アンテナ121Cで電波を受信すると、受信した受信波は受信部132へ送られ、送信部130が送信動作により信号を送出した時には、この信号がアンテナ121Cへ送られ、送信波と受信波がアンテナ121Cと受信部132へ振り分けられる。
【0020】
また、図3では、図1と異なり、位置情報取得部185が車載レーダー装置110の外部にある場合を示している。ここでは、GPS衛星からの信号をアンテナ186を介して受信し、ナビ装置312にある位置情報取得部185により自車位置を測位し、得られた位置情報をCAN等のネットワークを介して制御部123へ取り込む構成となっている。
【0021】
次に、車載レーダー装置110から送信されるレーダー波の送信タイミングについて図5を用いて述べる。図5(a)に記載のグラフは、横軸が時間、縦軸が走行速度を表している。上から高速走行時,中速走行時,低速走行時の3例を記載している。このグラフには、レーダー波151の送信時間が記載されており、高速走行時には車両の移動速度が速いため、短い周期でレーダー波を送信して頻繁に車間距離を測定するため、レーダー波の送信間隔が短く設定される。これに対し、低速走行時には、車両の移動速度が遅いため、長い周期でレーダー波を送信して車間距離測定頻度を下げ、低電力化を図る。なお、車速は制御部123で、ネットワーク127を介して車速パルスを参照したり、位置情報取得部125から周期的に得られる自車位置情報の単位時間あたりの移動距離を参照したりするといった方法で知ることが出来る。また、本実施例では、高速/中速/低速の3モードとしているが、高速/低速の2モードでもよく、また、4モード以上でもよい。更に、停止時に低電力化のため、レーダー波の送信を停止することも本発明の範疇である。
【0022】
制御部123では、ネットワークを介して車両の制御機器から車速情報を受け取り、各車速に応じて図5(b)のグラフに示すような関係に基づいてレーダー波の送信間隔を決定し、送信データ生成部131に送信タイミングを指示する。この時指示する送信タイミングは、車両が一定の速度に達するまでは、低速走行時用に設定された所定の間隔でレーダー波を送信し、その後、車速が早くなるにつれて送信間隔を短くする。しかし、車速が所定の値以上になった場合でも、レーダー波151の間隔は、反射波を受信した結果得られる車間距離情報を用いて制御に必要な分解能として、例えば10msec程度の間隔を下限値とする。またこれにより車々間通信のためのネットワーク127を介したデータ伝送時間を確保するため、レーダー波の送信タイミングは一定間隔以上短くしないように制御する。
【0023】
図4は、レーダー波のパルス列160の波形例を示したものである。この例では、パルス161が一定のパルス時間間隔162で送信されることを示している。このパルス列160を送信したタイミングと、パルス列が先行車両に反射して受信された時間差から自車両と先行車両との間の往復距離を算出し、車間距離を得る。
【0024】
車載レーダー装置110に搭載されている位置情報取得部125での自車両位置の測位頻度は、レーダー波の送信タイミングと同期しており、高速走行時には車両の移動速度が速いため、短い周期で頻繁に自車両位置を測定する。また、低速走行時には、車両の移動速度が遅いため、自車両位置測定頻度を下げ、低電力化を測る。
【0025】
図5(a)に示すように、車載レーダー装置110から送信されるレーダー波151には、レーダー機能のために使われるパルス列160部分に、自車両位置などの車両情報
153が重畳されていることを示している。この時、レーダー波151の送信時間毎に自車両位置情報を付加してもよいし、重畳頻度を下げても良い。この重畳頻度は、車両速度に応じて変更が可能である。
【0026】
図6では、レーダー波のフォーマット例を示している。始めに既知の波形パターンで構成されたプリアンブル部171、次に車両情報データの始まりを示す既定のデータ列で構成されたユニークワード部(UW)172、次に自車両の車両IDや自車両位置情報を含む第1データ部173、次に第1データ部の誤り検出用CRC (Cyclic Redundancy Check)用冗長データ174、次に第2データ部175、最後に第2データ部の誤り検出用CRC用冗長データ176と続く。このフォーマットにおいては、プリアンブル部171として図3で示したパルスで構成されるパルス列160を使用して前方車両との車間距離を測定し、第1データ部173にて自車両の車両IDと位置情報を周辺車両に送信する。また、第2データ部は、送信先となる車両の車両IDを明示するなど、他の情報の送信に使用される。このように車両位置情報部である第1データ部と車々間通信データ部である第2データ部の2つの部分毎に誤り訂正情報を付けるフォーマットを採用することにより、クラッターに強いUWBレーダーを実現することができる。
【0027】
図1の車載レーダー装置110で、車間計測部126にて算出した車間距離を、制御部
123とネットワーク127を介してドライバーへの警告機能に伝達し、警告機能では、得られた車間距離が既定の距離以下になった場合には、音声,音、または、表示などによりドライバーに近接車両が接近しているとして警告を行う。または、警告機能の代わりにプリクラッシュセーフティー機能を追加し、プリクラッシュセーフティー機能では、車間距離に応じて自車両のドライバー保護機能を作動させる。このドライバー保護機能としては、例えば、衝突前に、シートベルト巻取りによるドライバーの固定,ブレーキ油圧の加圧による急制動の実現、エアバッグの起動などが挙げられる。
【0028】
次に、図1の装置構成を例に前述の制御部123の指示により車間距離計測を行う処理フローについて図7により説明する。制御部123ではまず、車速によるレーダー送受信機122、および、位置情報取得部125の動作周期の設定を行う(501)。ここで制御部123は、外部機器(例えば車速パルス)から得られた速度情報を元に、レーダー送受信機122および位置情報取得部125に、それぞれレーダー波の送信周期、および、測位結果の取得周期を設定する。レーダー送受信機122および位置情報取得部125は、それぞれ設定された周期にて動作を行う。なお、図3に示した構成のように、ナビ装置312の位置情報取得部185で測位された結果を用いる場合には、制御部123でネットワーク127から測位結果を読み込む周期を設定しておくことになる。
【0029】
次に制御部123では、位置情報取得部125より得られた自車位置情報を読み込み
(502)、制御部123内のメモリに記憶する(503)。そして前方車両との車間距離をレーダーにて測定するため、制御部123は、自車の車両IDと記憶しておいた自車位置情報を送信データ生成部131の車両データ生成部182に送り、レーダー波生成部
181に対してレーダー波の送信を指示すると共に、タイマー135から取得した送信タイミングを車間計測部126に伝達する(504)。次に、車両データ生成部182に送られたデータは、合成部183でレーダー波生成部181が生成したパルス列と合成され、規定のタイミングにて送信部130より送信される。
【0030】
送信用のアンテナ121Aから送信されたレーダー波は周囲の物体に反射して、受信用のアンテナ121Bにて受信される(505)。受信されたレーダー波は、自車が送信したレーダー波の反射波である場合もあれば、他車両が送信したレーダー波である場合もある。そこで、受信したレーダー波の信号は復調部133にて復調され、ID識別部184にて受信された信号に含まれる車両IDと自車の車両IDを比較し(506)、受信された信号から自車の車両IDが検出されれば、正当な前方車両との車間距離を測定する信号であることを認識して、パターン検出部134と制御部123に通知する(507)。パターン検出部134ではこの通知を受けて、受信波と送信したレーダー波のプリアンブル部171との相互相関のピーク値から求めた受信タイミングを制御部123に伝達する。なお、受信信号に自車の車両IDが検出されない場合には、レーダー機能による車間距離測定は失敗したと見なす。
【0031】
制御部123では、自車の車両IDが検出されていれば、送信タイミングとパターン検出部134から得た受信タイミングを車間計測部126に送り、車間計測部126では、これらの送信タイミングと受信タイミングの時間差に光速を乗じて得られる距離の値を1/2にすることにより、レーダー波を反射した車両との車間距離を算出し、結果を制御部123に伝達する。制御部123では、得られた車両との車間距離Aを内部メモリに記録する(508)。
【0032】
受信信号に自車の車両IDが検出されない場合には、レーダー機能によらない他車との車間距離測定を行う。制御部123では復調部133で復調された受信信号から、車両
IDと車両位置情報を得る。この車両IDが自車の車両IDでない場合には、受信信号から得られた車両IDと車両位置情報を内部メモリに記録する(512)。また、この車両位置情報と自車位置情報を車間計測部126に送り、2つ車両の位置情報の差からレーダー波により車両位置を求める。車間計測部126が通知してきた車両との車間距離Bを内部メモリに記録する(513)。この際、車両周辺には複数の他車両が存在することが想定されるため、車両IDと車両位置情報でセットになった情報は複数記録されることもある。
【0033】
レーダー波の受信により得られた車間距離Aあるいは車間距離Bから、制御部123では、最も短い車間距離Cを算出する(509)。次に、制御部123は、車間距離Cが規定値以下であるかを判定し(510)、規定値以下の場合には、外部機器(例えば警告装置)に警告指示を出す(511)。
【0034】
次に図8により、図3に示した車載レーダー装置を複数個つけた場合の車両走行制御システムの実施例について説明する。レーダーを搭載する車両本体は、通常の進行方向の前方にレーダーA302、後方にレーダーD305を搭載しているものとする。レーダーの取り付けは2台以上でもかまわないが、少なくとも前後をカバーする範囲に取り付けることが望ましい。
【0035】
レーダー及び車両走行制御ユニットであるACC装置311はネットワークで結線される。車内ネットワークA313には前述のレーダーA302、及びレーダーD305が接続される。また車内ネットワークB314にはACC装置311,ナビ装置312が接続される。さらに統合ユニット310は車内ネットワークA,Bの両方に接続される。この統合ユニット310は、図1に示した車載レーダー装置の制御部123,車間計測部126の機能を備えており、各レーダー機能の制御を1つに統合したものである。また、各レーダーA,Dの情報を集めて処理すると共に車内ネットワークA313と車内ネットワークB314の間のゲートウェイ機能も備えている。
【0036】
例えば、自車と他車の相対速度,距離計測、及び方位の結果から衝突時間を求め、最も衝突時間の短い他車に関する警報、または自車でプリクラッシュ動作を行うかどうかを判断し、必要に応じて、プリクラッシュ用の車両制御情報(ブレーキ指令,ステアリング回避指令)をACC装置311、及び警報表示あるいは警報音発生指示をナビ装置312に伝達する。また統合ユニット310はナビ装置312から車両の対地位置情報(GPS情報)によりレーダーA,Dに対して送信電波の出力,周波数を変更するように指令を出す。この具体的な変更方法については後述する。
【0037】
本実施例では、レーダーA,Dが接続する車内ネットワークA313と、ACC装置
311やナビ装置312が接続する車内ネットワークB314の2つのネットワーク系統があるが、これはネットワーク通信の負荷を分散させる目的で設けられており、ネットワーク負荷が低ければ1系統のネットワークに、レーダーA,DとACC装置311やナビ装置312を全て接続してもよい。また統合ユニット310の機能も、レーダーA,Dに内蔵させて、統合ユニット310を省略することも可能である。
【0038】
ACC装置311にはステアリング制御装置183,アクセル制御装置181、及びブレーキ制御装置182が接続されており、それぞれに対して制御パラメータ(操舵角度,アクセル開度,ブレーキ推力指令値)を指示する。追従走行,衝突回避、及び衝突前制御(プリクラッシュ)等のそれぞれの車両制御の必要に応じて、各アクチュエータを作動させる。ナビ装置312,統合ユニット310、及びACC装置311は車内ネットワークB314に接続し、情報の交換を行う。統合ユニット310はさらに車内ネットワーク
A313に接続し、レーダーA,Dからの情報を入手し、またレーダー送信信号の制御を指示する。
【0039】
UWB通信では広帯域の周波数を用いる為、他の既存の無線システムとの電波干渉を回避することが必要となる。そこでUWB通信では、広い周波数帯域を使う反面、送信電力を抑制して他の無線システムとの電波干渉の発生を抑えているが、送信電力が小さい場合、通信可能な到達距離も短くなってしまう。電波干渉を回避して周波数資源を有効に利用する技術として、地域毎に未使用の周波数帯を他の無線設備が積極的に利用するコグニティブ無線の考え方が、「コグニティブ無線が始動 便利な放送帯域で通信」、日経エレクトロニクス 2004年10月25日号,p43にあるように提唱されている。
【0040】
本発明を用いた車載レーダー装置でも、周辺の無線システムとの電波干渉を回避して他の無線システムに影響を与えないようにして、他の無線システムと共存することが重要である。そこで本発明においては、予め決められた地図上の位置情報に基づき、使用周波数帯域,信号送信電力を変化させることを特徴とした車載の無線装置あるいは障害物検知装置を実現する。そして、マルチバンド化したUWB通信のレーダー機能、及び車々間通信において、使用する周波数帯域を可変にして地域ごとに使用周波数帯を適宜選択するようにし、また、地域の無線設備に影響のない未使用の周波数を利用すると共に、使用する周波数帯域に応じて送信電力を制御する。このUWB通信では、車両の移動に伴い、自車両の位置を検知する位置情報取得部により検出した現在位置の情報から、周囲の無線システムが使用する周波数帯を求めることによって、周辺の無線設備の使用環境に応じて各地域毎に空いている使用可能な周波数をUWB通信で使用する周波数帯域とし、この周波数帯の送信電力を上げて通信可能距離を拡張して、より広範囲な車両と通信可能になるよう到達距離を伸ばすことも可能である。
【0041】
また、これにより本発明では、車両が移動した場合でも、自車両の位置を検出する位置情報取得部と周囲の無線システムが使用する周波数を検出することにより、他の無線システムに与える影響を抑えるように、レーダー機能及び車々間通信における仕様周波数帯及び送信電力を制御することを可能にする。そして、車両が移動した場合でも、周囲の無線システムとの電波干渉を回避することが出来る。
【0042】
図9に、車両位置情報とレーダー使用周波数帯域及び送信電力の関係を示す。前述の
GPS情報により、車載レーダー装置110では周波数帯域、及び送信電力を変化させる制御を行う。ナビ装置312は、周波数帯域に制限がある地域情報をデータベースとして予め記録している。このデータベースには、各地域のメッシュ毎に、そこで使用される周波数帯を登録したものである。図9の例では、衛星通信基地局周辺の地図メッシュに対し、その基地局で使用している電波の周波数帯域を制限周波数帯として登録し、一般放送基地局周辺の地図メッシュに対しては、その放送基地局で使用する周波数帯域を制限周波数帯として登録しておく。ナビ装置312では、測位した現在位置が含まれるメッシュを参照して、その地区で使用が制限される周波数帯を読み取り、ネットワークを介してレーダー装置110に送信する。この情報を受けた制御部123では、送信データ生成部131に対し、使用可能な周波数帯と、使用可能な周波数帯のパワースペクトルを積分した値が、制限出力を越えないように、出力の値を指示する。
【0043】
あるいは、図10に示すように、ナビ装置312で、使用可能な周波数帯に制限がある地域情報をデータベースとして予め記録しておく。図10において周波数制限域の情報は、経度−緯度情報で表現される地点の位置座標によって囲まれる領域を周波数帯が制限される地域として定義する。囲まれた地域毎にID,位置座標群,周波数制限帯が対応付けされる。GPSより取得した経度・緯度情報に基づき、エリア内であるか外であるかは、既知の幾何学式(1次直線方程式)から判定することができる。
【0044】
図9の周波数制限域A,Bにおける電波使用状況A,Bは、UWB通信によるレーダーが使用できる周波数帯が制限されており、使用できる周波数帯域が狭くなるほど、送信電力ピーク値の許容値が大きくなることを示している。現状の特定小電力無線設備では(アンテナからの出力が)10mW以下とされており、変調周波数帯域を広げれば、送信電力ピーク値を下げる必要がある。周波数制限域外(電波使用状況C)においては、送信電力を小さくし周波数帯域を広げて設定を行う。
【0045】
図11に周波数制限及び送信電力の設定手順を示す。GPSなどによる位置情報取得部125,185で自車両の経度,緯度を取得する(4301)。取得した自車両の位置情報に基づき、図10に示すデータベースより現在位置における周波数制限域を検索する
(4302)。この検索結果から周波数制限を受けると判定された場合(4303)は、使用可能な発信周波数帯を計算する(4304)。求めた使用可能な発信周波数帯域における平均電力が基準の出力上限(例えば10mW/1M)と等価になるようにピーク電力の制限を行う(4305)。次に、送信するデータ種類の選択する。この時、周波数帯域の幅によって転送できる情報量も制限されるため、優先度の高いデータ種類から順に選択する(4306)。このようにして選択された周波数帯,送信電力でUWB通信によるレーダー機能及び車々間通信機能を開始する(4307)。また現在位置が周波数制限を受けない地域であると判定された場合には、予め決められていた規定の周波数帯と送信電力が選択され、処理4306に進む。
【0046】
図12には、予め決められていた規定の周波数帯と送信電力が、24.0〜28.0GHz帯域を使用周波数として割り当てられ、10mW/1Mを出力上限としたUWB通信を例に説明する。この図12には、周波数制限を受けない周波数制限域外C(電波使用状況C)におけるレーダー装置の使用周波数スペクトラムを示す。4.0GHz の帯域幅を用いて、8チャンネル・マルチバンド(各チャンネル当たり0.5GHz 幅)のUWB通信を行った場合は、ピーク電力は
10mW/(4.0GHz/1.0MHz)=2.5μW
となる。
【0047】
図13は、図12に示す例と同じ出力上限の下での、周波数制限域Aにおけるレーダー装置のスペクトラムである。26.7〜26.8GHz帯が既存の他の無線システムで使用されていることから、6チャンネル目にあたる26.5〜27.0GHz帯の使用を停止し、残りの7チャンネルを使用する。この場合のピーク電力は、
10mW/(3.5GHz/1.0MHz)=2.86μW
となる。
【0048】
図14は、図12に示す例と同じ出力上限の下での、周波数制限域Bにおけるレーダー装置のスペクトラムである。ここでは24.6〜26.3GHz帯が既存の他の無線システムで使用されていることから、重複する24.5〜26.5GHz帯(4チャンネル分)の使用を停止し、残りの4チャンネルを使用してUWB通信を行う。この場合のピーク電力は、
10mW/(2.0GHz/1.0MHz)=5μW
となる。
【0049】
ここで、周波数制限域外Cのピーク電力2.5μW と周波数制限域Bにおけるピーク電力5μWとでは、それぞれ電圧換算で1対√2の関係となる。つまり、前者に比較して後者は約1.41倍の電波到達距離があると考えられ、つまり車間距離を1.41倍長くとっても、前方車を同じS/N比でレーダーによる距離計測が可能となる。
【0050】
図15に各周波数チャンネルにおけるデータ通信の原理を説明する。この図では1〜4chの各チャンネルの中心周波数をもつパルス波が時間軸に送信されるイメージを示しており、パルス波の波形は電波電界の振幅のイメージである。パルスが無い時間帯を0、パルスが有る時間帯を1と表現すれば、0/1のデータ通信が可能である。送信側は中心周波数の異なる周波数帯(ch)を同時に送信し、受信側では周波数帯毎に分離して、データを取り出す。この方法はODFM変調を用いたUWB通信技術と同様である。
【0051】
UWB通信に使用する周波数帯域を広くとることで、車々間通信におけるデータ転送レートが高くなるが、使用チャンネルが制限された場合は、優先順位の低い通信データを停止し、優先順位の高いデータを割り当てる必要がある。車々間通信に用いる通信内容としては、(1)車両走行制御情報(特に走行安定性,前方車追従性,安全性に関わる情報)、と(2)運転者利便サービスに必要な情報の2通りが考えられる。それぞれの通信内容に関して送られるデータついては、図16に示す様な優先順位が考えられる。優先順位1(車両走行制御情報)は、車々間通信を用いた走行制御に最低限必要な情報であり、本例では先行車両、もしくは後方車両との送信,受信に各1チャンネル(合計2チャンネル)を割り当てる。周波数制限域に対応した使用可能な周波数帯数(チャンネル数)に応じて、図16に示すデータ種類の優先順位の高い順に割り当てを行う。本例では、車両走行制御情報,音声通話,車内画像転送(テレビ電話),車々間,路車間を利用したインターネット通信の順に優先順位を決めて順に割り当てを行う。
【0052】
仮に使用可能な周波数帯として1チャンネル分の帯域しか割り当てられない場合は、車々間通信機能自体を停止して、レーダー機能のみを動作させてもよい。そして1チャンネル分のバンドだけを使用する場合には、前述の様に複数チャンネルを用いる場合より送信電力を増幅することができる。このため、複数チャンネルを使用する場合に比べて車間距離を広く取り、レーダー機能の情報のみを使った追従走行を行うことが可能である。
【0053】
これに対し、使用可能な周波数帯として2チャンネル以上の割り当てが可能であれば、周囲の車両との間で車両走行制御情報を送受することにより応答性の良い車両制御が可能となるので、レーダー機能のみの追従走行より車間距離を短い追従走行が可能となる。例えば、レーダー機能による車間距離,相対速度の測定遅延が1sec かかるとして、これに対して車々間通信による先行車両の車両速度情報取得を0.05secとすると、レーダー機能のみの追従走行では車間時間(=車間距離/相対速度)を1−0.05=0.95sec 分だけ余分に確保する必要があることになる。
【0054】
上記のように車々間通信による車両走行制御情報を用いて車間距離を短くした場合は、先行車による自車両への空気抵抗軽減の恩恵を受けることができる。つまり走行抵抗を少なくすることで燃費低減、自車の機械的な性能劣化の軽減が期待できる。また車間距離の短縮は路線長単位当たりの車両走行台数を増やすこともできるので渋滞緩和も期待できる。
【0055】
次に、前述の車載レーダー装置を搭載した複数車両による隊列走行に関して図17を用いて説明する。図17では車両301〜304の4台が記載されているが、車両の台数は2台以上であればよい。また、各車両は同一の機能で構成され、図8に示した車載のレーダー302,305と、アクセル制御装置181,ブレーキ制御装置182,ステアリング制御装置183、および、図示されていない車群進入・離脱スイッチがネットワーク
127にて接続される構成となっている。統合ユニット310の指示により、アクセル制御装置181にて車両の加速,ブレーキ制御装置182にて車両の減速、および、ステアリング制御装置183にて進行方向の変更が成される。
【0056】
まず隊列走行中の車群に新しく車両304が進入・合流する状況を説明する。状況201において、車両301〜303が隊列走行モードで走行中である。この状況では、車両
302が車両301との車間距離を、車両303が車両302との車間距離をそれぞれ前述の車載レーダー装置にて前方車両との車間距離を測定し、その車間距離が一定になるように車両制御を行っている。車両301は先頭のため、ドライバーによる人的な運転を行っているが、その進行方向は車載レーダー装置の通信機能にて後続の車両302,303に伝達される。車両302,303は、得られた進行方向情報に基づき適切なハンドル操作が成される。
【0057】
また隊列を先導する車両301は隊列における後続の車両302,303に比較して、より遠方の路上障害物を検知するために前方に取り付けられたレーダーの送信電力も最大許容値に設定し、後続の車両302,303は車々間通信、及び現状の車間距離を確保する最低限の送信出力及び検知範囲に設定する。これにより、車両の位置情報を用いて、レーダー装置の送信電力の制御,発信周波数帯域の制御を行うことにより、クラッター低減,他無線システムに対する干渉低減あるいは、周辺環境の電波障害の可能性を低減することができる。
【0058】
この状況において、車載レーダー装置を搭載した車両304が隊列に加わる際には、車両304のドライバーが車群進入・離脱スイッチを入れて、隊列走行する前後の車両301,302に対して隊列合流の許可を受ける。このスイッチを入れることにより、車両304の車載レーダー装置から車群を形成している車両301〜303に対し、車両304の車両IDと位置情報および車両走行制御情報が伝達される。隊列車両群の適正車間距離、及び車両速度を、予め決められた時間を維持できるかを送られてきた車両走行制御情報によって確認する。
【0059】
例えば車両304の車両走行性能(加速性能,減速性能)が隊列車両群の標準より著しく外れた場合は、合流の許可を得ることはできない。隊列走行群は個々の挙動の統制がとりやすいように、少なくとも加速,減速性能に関してはばらつきが小さい方が有利である。車両304が隊列に合流することを許可する場合は、伝達された位置情報から車両304に最も位置の近い車両である車両302は、車両304に対し隊列への進入許可信号を送信するとともに、車両302は前方車両の車両301との車間距離を車両304が進入可能な距離になるよう制御する。この段階が状況202で示される。
【0060】
その後、車両304のドライバーはハンドルを切り、車両301と車両302の間に車両304を誘導する。その後、車両304が隊列に加わった状況を状況203に示す。車両304が送信する車両位置が車両301と車両302間の適切な範囲に入ったことを車両302が認識すると、車両302は車両304に対し隊列への合流完了を通知する。車両304はこの通知を受けて前方の車両301との車間距離を適切な距離に制御を開始する。また、車両304の後方に位置する車両302は前方車両を車両304と認識し、適切な車間距離になるよう制御を行う。これにより、車両301〜304による隊列走行が実現される。
【0061】
次に隊列走行中の車群から車両304が離脱する状況を説明する。この隊列走行の状況は状況203にて示される。これは車両304が、予めナビ装置などに設定したルートの目的地周辺に近づいた場合等の理由から隊列を離脱する際の動作であり、予め運転者に隊列走行からの離脱を報知する。ここで車両304のドライバーが右側車線を目視確認し、安全を確認した後、ハンドルを右側に切る。この運転者自身の車両操作(ハンドル操作,ブレーキ操作,アクセル操作等のいずれか)が開始されたことを検知して車両304に搭載された車載レーダー装置から車両IDを含む離脱信号が送信され、車両304の隊列走行制御を解除する。
【0062】
また車両304が隊列から離脱する状態を運転者に予告する数十秒前には、後続の車両にも車両304が離脱する情報が予め伝達され、後続の車両が十分安全な車間距離を確保するように予め準備しておく。これにより車両304は後続の車両302との車間距離が十分確保された後に、運転者に対して隊列走行から離脱することを通知することになる。車両302は受信した離脱信号の車両IDから自車両の前方車が離脱動作に入ったことを認識する。この時、車両302は前方車両との車間距離制御を停止し、車速を一定に制御する。その後、車両302は、車両304が送信する車両304の位置情報を繰り返し受信し、車両304が隊列から一定距離以上離れたことを検知する。この車両304が隊列から離脱すると状況202のようになる。車両302にて、車両304の離脱を認識すると、車両302に搭載された車載レーダー装置により前方車両との車間距離を所定の距離になるように制御し、車両301〜303での隊列走行となり、状況201に示す状態となる。なお、車両304が不具合により、隊列走行で規定された車両速度を保てなくなった場合も同様に、離脱する前に、後続の車両302に警告を伝達し、適切な車間距離を確保するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を用いた車載レーダー装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明を用いた車載レーダー装置の他の構成例を示す図である。
【図3】本発明を用いた車載レーダー装置の他の構成例を示す図である。
【図4】本発明を用いた実施例におけるレーダー波形の一例を示す図である。
【図5】本発明を用いた実施例におけるレーダー波の送信周期例を示す図である。
【図6】本発明を用いた実施例におけるレーダー波のフォーマット例を示す図である。
【図7】本発明を用いた車載レーダー装置における制御部の処理を示す図である。
【図8】車両走行制御システムの構成を示す図である。
【図9】レーダーの使用周波数及び出力の切り換えを示す図である。
【図10】周波数制限域のデータベースを示す図である。
【図11】使用周波数帯切り替えの処理フローを示す図である。
【図12】周波数制限域外Cの使用周波数帯を示す図である。
【図13】周波数制限域Aの使用周波数帯を示す図である。
【図14】周波数制限域Bの使用周波数帯を示す図である。
【図15】各周波数チャンネルによるデータ転送を示す図である。
【図16】車々間通信データの優先順位を示す図である。
【図17】本発明における隊列走行への車両の進入・離脱を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
110…車載レーダー装置、122…レーダー送受信機、123…制御部、125…位置情報取得部、126…車間計測部、127…ネットワーク、130…送信部、131…送信データ生成部、132…受信部、133…復調部、134…パターン検出部、135…タイマー、136…セレクタ、151…レーダー波、310…統合ユニット、311…ACC装置、312…ナビ装置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー波を送受信する送受信部を備え、自車と測距対象との距離を測定する車載レーダー装置において、
自車両の位置情報を測位する測位部と、
生成したレーダー波のパルスに、少なくとも自車両IDと自車両の位置情報を含む車両情報を付加したレーダー波を生成する送信データ生成部と、
該受信波が自車載レーダー装置が送信したレーダー波の反射波ではない場合には、受信波の車両情報を取り出す受信波識別部と、
該受信波が自車載レーダー装置が送信したレーダー波の反射波の時は、受信波の遅延時間から測距対象までの距離を求め、該受信波が自車載レーダー装置が送信したレーダー波の反射波ではない場合には、前記取り出した車両情報により当該車両までの距離を求める車間計測部と
を備えたことを特徴とする車載レーダー装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載レーダー装置において、
前記送信データ生成部は、自車の走行速度に応じて該レーダー波の送信周期を変更する
ことを特徴とする車載レーダー装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載レーダー装置において、
前記送信データ生成部は、同一波形が一定の周期で繰り返される波形の信号に、前記車両情報に対応する信号を付加したレーダー波を生成する
ことを特徴とする車載レーダー装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車載レーダー装置において、
前記車間計測部では、前記受信波識別部で取り出された車両情報に含まれる位置情報と前記測位部による自車両の位置情報から、当該受信波を送信した車両との距離と方向を求めること
を特徴とする車載レーダー装置。
【請求項5】
送信アンテナからレーダー波を送出する送信機と、
受信アンテナを介してレーダー波を受信する受信機とを備えた車両間通信装置において、
自車両の位置情報を測位する測位部と、
生成したレーダー波のパルスに、少なくとも前記測位部による位置情報と自車両IDとを含む車両情報を付加したレーダー波を生成する送信データ生成部と、
該生成されたレーダー波の送信タイミングを指定する制御部と、
前記受信機で受信した受信波の車両IDに基づき、自車両IDと異なる車両IDを持つ受信波の車両情報を取り出す受信波識別部と、
前記取り出された車両情報に含まれる位置情報と、前記測位部による自車両の位置情報から、当該車両情報を送信した車両との距離と方向を求める車間計測部と
を備えたことを特徴とする車両間通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両間通信装置において、
前記送信データ生成部は、自車の走行速度に応じて前記レーダー波の送信周期を変更する
ことを特徴とする車両間通信装置。
【請求項7】
請求項5に記載の車両間通信装置において、
前記送信データ生成部は、同一波形が一定の周期で繰り返される波形の信号に続き、前記車両情報に対応する信号を含むレーダー波を生成する
ことを特徴とする車両間通信装置。
【請求項8】
請求項1に記載の車載レーダー装置において、
前記レーダー波は複数の周波数帯域を用い、
経度、及び緯度に基づき使用する周波数を定めた地図情報と、
自車位置を計測する自車位置測定手段と、
前記自車位置測定手段による位置情報に応じた、前記地図情報の使用周波数により、使用する前記送受信周波数帯を変更する制御手段を備えたことを特徴とする
車載レーザー装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車載レーダー装置において、前記制御手段は、
使用する前記送受信周波数帯域に応じて送信電波の出力を変更することを特徴とする
車載レーザー装置。
【請求項10】
請求項5に記載の車両間通信装置において、
前記レーザー波は複数の周波数帯域を用い、
経度、及び緯度に基づき使用する周波数を定めた地図情報と、
自車位置を計測する自車位置測定手段と、
前記自車位置測定手段による位置情報に応じた、前記地図情報の使用周波数により、使用する前記送受信周波数帯を変更する制御手段を備えたことを特徴とする
車両間通信装置。
【請求項11】
請求項10に記載の車両間通信装置において、前記制御手段は、
使用する前記送受信周波数帯域に応じて送信するデータ種別を変更することを特徴とする
車両間通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−132768(P2007−132768A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325546(P2005−325546)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】