説明

通信装置およびそれを備えた無線ネットワークシステム

【課題】各アクセスカテゴリに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる通信装置を提供する。
【解決手段】アクセスポイントの送受信手段112は、1回のチャネルアクセスにおいて、送信可能時間TXOP[AC1]の間、アクセスカテゴリCA1に対応するキュー114からパケットPKT1を取り出し、送信可能時間TXOP[AC2]の間、アクセスカテゴリCA2に対応するキュー115からパケットPKT2,PKT3を取り出し、送信可能時間TXOP[AC3]の間、アクセスカテゴリCA3に対応するキュー116からパケットPKT4〜PKT6を取り出す。そして、送受信手段112は、1回のチャネルアクセスにおいて、その取り出したパケットPKT1〜PKT6を順次送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、優先順位が相互に異なる複数のアクセスカテゴリにパケットを分類して無線通信を行なう通信装置およびそれを備えた無線ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、端末内で、トラフィックを異なる優先順位のカテゴリに分け、優先順位に応じたチャネルアクセスを提供する方法が提案されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IEEE802.11 WG, Draft Supplement to Part 11: Wireless Medium Access Control (MAC) and physical layer (PHY) specifications: Medium Access Control (MAC) Enhancements for Quality of Service (QoS), IEEE802.11e/D2.0, Nov. 2001.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1に開示された方法では、アクセスカテゴリ毎での送信する端末数に偏りがある場合、優先度制御が適切に動作しないという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、各アクセスカテゴリに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる通信装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の別の目的は、各アクセスカテゴリに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる通信装置を備えた無線ネットワークシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、通信装置は、ネットワークに接続され、優先順位が相互に異なる複数のアクセスカテゴリにパケットを分類してパケットを端末装置へ送信する通信装置であって、複数のキューと、送信手段とを備える。複数のキューは、複数のアクセスカテゴリに対応して設けられ、各々が対応するアクセスカテゴリに属するパケットを格納する。送信手段は、1回のチャネルアクセスにおいて、複数のアクセスカテゴリ間の理想的な優先度比率に応じてキューから複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する。
【0008】
好ましくは、通信装置は、演算手段を更に備える。演算手段は、優先度比率に基づいて、1つのアクセスカテゴリに属するパケットを1回のチャネルアクセスにおいて取り出すときの取得個数を複数のアクセスカテゴリの全てについて演算する。そして、送信手段は、1回のチャネルアクセスにおいて、演算手段によって演算された複数の取出個数に基づいて、1つのアクセスカテゴリに対応するキューから1つのアクセスカテゴリに対応する取得個数以下のパケットを取り出す処理を実行してキューから複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する。
【0009】
好ましくは、演算手段は、更に、1回のチャネルアクセスにおいて送信手段がパケットを送信できる送信可能時間を複数のアクセスカテゴリの各々について演算する。送信手段は、1つのアクセスカテゴリについて演算された送信可能時間の間、1つのアクセスカテゴリに対応するキューから1つのアクセスカテゴリに対応する取得個数以下のパケットを取り出す処理を実行して複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する。
【0010】
好ましくは、演算手段は、複数のアクセスカテゴリに属するパケットを受信する端末装置の個数を1つのアクセスカテゴリに属するパケットを受信する端末装置の個数で除算して第1の演算結果を取得し、1つのアクセスカテゴリに与えられた優先度を複数のアクセスカテゴリに与えられた複数の優先度の和で除算して第2の演算結果を取得し、第1の演算結果に第2の演算結果を乗算した乗算結果を1つのアクセスカテゴリに属するパケットを1回のチャネルアクセスにおいて取り出すときの取得個数とする。
【0011】
また、この発明によれば、無線ネットワークシステムは、端末装置と、通信装置とを備える。通信装置は、ネットワークに接続され、優先順位が相互に異なる複数のアクセスカテゴリにパケットを分類してパケットを端末装置へ送信する。そして、通信装置は、複数のキューと、送信手段とを含む。複数のキューは、複数のアクセスカテゴリに対応して設けられ、各々が対応するアクセスカテゴリに属するパケットを格納する。送信手段は、1回のチャネルアクセスにおいて、複数のアクセスカテゴリ間の理想的な優先度比率に応じて特定のアクセスカテゴリに対応するキューから複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する。
【発明の効果】
【0012】
この発明においては、通信装置は、優先順位が相互に異なる複数のアクセスカテゴリ間の理想的な優先度比率を維持しながら特定のアクセスカテゴリに属する複数のパケットを1回のチャネルアクセスで送信する。
【0013】
従って、この発明によれば、各アクセスカテゴリに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態による無線ネットワークシステムの概略図である。
【図2】図1に示す端末装置の構成図である。
【図3】図1に示すアクセスポイントの構成図である。
【図4】データフレームの概念図である。
【図5】1個のパケットの送信に要する送信所要時間の概念図である。
【図6】送信可能時間の具体例を示す図である。
【図7】アクセスポイントにおける通信動作の具体例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態における他のアクセスポイントの構成図である。
【図9】アクセスポイントにおける通信動作の他の具体例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態における更に他のアクセスポイントの構成図である。
【図11】図10に示すキューの構成図である。
【図12】図10に示すアクセスポイントにおけるパケットの送信方法を説明するための図である。
【図13】図10に示すアクセスポイントにおけるパケットの送信方法を説明するための他の図である。
【図14】データフレームを受信したときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】データフレームを送信したときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】図1に示す無線ネットワークシステムにおける通信動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
図1は、この発明の実施の形態による無線ネットワークシステムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線ネットワークシステム100は、端末装置1〜14と、アクセスポイント10と、ネットワーク40とを備える。
【0017】
端末装置1〜14は、アクセスポイント10の通信範囲内に存在する。そして、端末装置1〜14の各々は、例えば、IEEE802.11eの無線通信方式によってアクセスポイント10と無線通信を行なう。
【0018】
アクセスポイント10は、ネットワーク40に接続される。そして、アクセスポイント10は、後述する方法によって、優先順位が異なる複数のアクセスカテゴリにパケットを分類し、その分類したパケットを理想的な優先度比率に従って端末装置1〜14へ送信する。
【0019】
この発明の実施の形態においては、複数のアクセスカテゴリは、例えば、AC0〜AC3からなる。アクセスカテゴリAC0は、バックグラウンドのアクセスカテゴリであり、アクセスカテゴリAC1は、ベストエフォートのアクセスカテゴリであり、アクセスカテゴリAC2は、動画のアクセスカテゴリであり、アクセスカテゴリAC3は、音声のアクセスカテゴリである。
【0020】
ネットワーク40は、例えば、インターネットからなる。
【0021】
図2は、図1に示す端末装置1の構成図である。図2を参照して、端末装置1は、アンテナ101と、送受信手段102と、キュー103〜106と、演算手段107と、測定手段108と、通信手段109と、アプリケーションモジュール110とを含む。
【0022】
送受信手段102は、例えば、IEEE802.11eの無線通信方式によって無線通信を行う。そして、送受信手段102は、インフラストラクチャモードでアクセスポイント10にアクセスし、アクセスポイント10との間でパケットを送受信する。
【0023】
即ち、送受信手段102は、各キュー103〜106からパケットを取り出すときの取出個数および送信可能時間を演算手段107から受けると、送信可能時間の間、キュー103〜106のいずれかから取出個数分のパケットを取り出し、その取り出したパケットをアンテナ101を介して送信する。
【0024】
また、送受信手段102は、アンテナ101を介してパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段109へ出力する。
【0025】
キュー103〜106は、それぞれ、アクセスカテゴリAC0〜AC3に対応して設けられる。そして、キュー103〜106は、それぞれ、アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを通信手段109から受け、その受けたパケットを保持する。
【0026】
演算手段107は、アクセスカテゴリAC0〜AC3間の理想的な優先度比率を予め保持しており、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数を通信手段109から受ける。そして、演算手段107は、理想的な優先度比率および端末装置の個数に基づいて、後述する方法によって、特定のアクセスカテゴリに属する複数のパケットを1回のチャネルアクセスにおいて該当するキュー(キュー103〜106のいずれか)から取り出すときの取出個数を演算し、その演算した取出個数を送受信手段102へ出力する。
【0027】
また、演算手段107は、平均パケット長および平均送信レートを測定手段108から受ける。そして、演算手段107は、その受けた平均パケット長および平均送信レートに基づいて、後述する方法によって送信可能時間を演算し、その演算した送信可能時間を送受信手段102へ出力する。
【0028】
測定手段108は、キュー103〜106の各々の先頭に位置するパケットに基づいて、キュー103〜106に格納されたパケットの平均パケット長を後述する方法によって測定する。
【0029】
また、測定手段108は、送受信手段102における送信レートを検出することによってキュー103〜106に格納されたパケットの平均送信レートを検出する。
【0030】
そして、測定手段108は、平均パケット長および平均送信レートを演算手段107へ出力する。
【0031】
通信手段109は、アプリケーションモジュール110からパケットを受け、その受けたパケットをアクセスカテゴリAC0〜AC3に分類し、アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットをそれぞれキュー103〜106に格納する。
【0032】
この場合、通信手段109は、パケットのMAC(Media Access Control)ヘッダのQoS(Quality of Service)フィールドの値によって各パケットをアクセスカテゴリAC0〜AC3に分類する。
【0033】
また、通信手段109は、送受信手段102からパケットを受け、その受けたパケットをアプリケーションモジュール110へ出力する。
【0034】
更に、通信手段109は、送受信手段102が他の端末装置から受信したパケットを送受信手段102から受け、その受けたパケットのMACヘッダのQoSフィールドおよび送信元のアドレスを参照して、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを送信または送受信する端末装置を検出する。そして、通信手段109は、その検出した端末装置を各アクセスカテゴリAC0〜AC3に対応付けた端末リストを作成して保持するとともに、その端末リストを更新する。そして、通信手段109は、端末リストを参照して、各アクセスカテゴリに属する端末装置の個数をカウントし、そのカウントした端末装置の個数を各アクセスカテゴリに対応付けて演算手段107へ出力する。
【0035】
アプリケーションモジュール110は、パケットを生成して通信手段109へ出力するとともに、通信手段109からパケットを受ける。
【0036】
なお、図1に示す端末装置2〜14の各々も、図2に示す端末装置1と同じ構成からなる。
【0037】
図3は、図1に示すアクセスポイント10の構成図である。図3を参照して、アクセスポイント10は、アンテナ111と、送受信手段112と、キュー113〜116と、演算手段117と、測定手段118と、通信手段119と、有線インターフェース120とを含む。
【0038】
送受信手段112は、例えば、IEEE802.11eの無線通信方式によって所定のチャネルを用いて無線通信を行う。そして、送受信手段112は、キュー113〜116のいずれかからパケットを取り出すときの取出個数および送信可能時間を演算手段117から受けると、送信可能時間の間、該当キュー(キュー113〜116のいずれか)から取出個数分のパケットを取り出し、その取り出したパケットをアンテナ111を介して送信する。
【0039】
また、送受信手段112は、アンテナ111を介してパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段119へ出力する。
【0040】
キュー113〜116は、それぞれ、アクセスカテゴリAC0〜AC3に対応して設けられる。そして、キュー113〜116は、それぞれ、アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを通信手段119から受け、その受けたパケットを保持する。
【0041】
演算手段117は、アクセスカテゴリAC0〜AC3間の理想的な優先度比率を予め保持しており、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数を通信手段119から受ける。そして、演算手段117は、理想的な優先度比率および端末装置の個数に基づいて、後述する方法によって、特定のアクセスカテゴリに属する複数のパケットを1回のチャネルアクセスにおいて該当キュー(キュー113〜116のいずれか)から取り出すときの取出個数を演算し、その演算した取出個数を送受信手段112へ出力する。
【0042】
また、演算手段117は、平均パケット長および平均送信レートを測定手段118から受ける。そして、演算手段117は、その受けた平均パケット長および平均送信レートに基づいて、後述する方法によって送信可能時間を演算し、その演算した送信可能時間を送受信手段112へ出力する。
【0043】
測定手段118は、キュー113〜116の各々の先頭に位置するパケットに基づいて、キュー113〜116に格納されたパケットの平均パケット長を後述する方法によって測定する。
【0044】
また、測定手段118は、送受信手段112における送信レートを検出することによってキュー113〜116に格納されたパケットの平均送信レートを検出する。
【0045】
そして、測定手段118は、平均パケット長および平均送信レートを演算手段117へ出力する。
【0046】
通信手段119は、有線インターフェース120からパケットを受け、その受けたパケットをアクセスカテゴリAC0〜AC3に分類し、アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットをそれぞれキュー113〜116に格納する。
【0047】
この場合、通信手段119は、パケットのIP(Internet Protocol)ヘッダのToSフィールドの値によって各パケットをアクセスカテゴリAC0〜AC3に分類する。
【0048】
また、通信手段119は、送受信手段112からパケットを受け、その受けたパケットを有線インターフェース120へ出力する。
【0049】
更に、通信手段119は、送受信手段112から受けたパケットのMACヘッダのQoSフィールドおよび送信元のアドレスを参照して、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを送信または送受信する端末装置を検出する。そして、通信手段119は、その検出した端末装置を各アクセスカテゴリAC0〜AC3に対応付けた端末リストを作成して保持するとともに、その端末リストを更新する。また、通信手段119は、端末リストを参照して、各アクセスカテゴリに属する端末装置の個数をカウントし、そのカウントした端末装置の個数を各アクセスカテゴリに対応付けて演算手段117へ出力する。
【0050】
有線インターフェース120は、通信手段119からパケットを受け、その受けたパケットをネットワーク40を介して送信する。
【0051】
また、有線インターフェース120は、ネットワーク40を介してパケットを受信し、その受信したパケットを通信手段119へ出力する。
【0052】
アクセスポイント10の演算手段117における取得個数の演算方法について説明する。アクセスカテゴリAC0〜AC3をACi(i=0〜3)と表記する。また、アクセスカテゴリACiに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数をNumNodes[ACi]と表記する。更に、理想的な優先度比率をPrAC0:PrAC1:PrAC2:PrAC3と表記し、1つの優先度をPrACiと表記する。
【0053】
そうすると、取得個数BaseNumPkts[ACi]は、次式によって演算される。
【0054】
【数1】

【0055】
なお、式(1)において、取得個数BaseNumPkts[ACi]のうち、最も小さいものとをBaseNumPkts[ACj]とすると、BaseNumPkts[ACj]が1以下である場合、BaseNumPkts[ACj]が1になるように、係数1/BaseNumPkts[ACj]を全ての取得個数BaseNumPkts[ACi]に乗算する(BaseNumPkts[ACi]=BaseNumPkts[ACi]×1/BaseNumPkts[ACj])。ここで、0≦i,j≦3である。
【0056】
より詳細には、アクセスポイント10の演算手段117は、複数のアクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを受信する端末装置の個数(=Σj=0NumNodes[AC])を1つのアクセスカテゴリに属するパケットを受信する端末装置の個数(=NumNodes[AC])で除算して第1の演算結果(=(Σj=0NumNodes[AC])/NumNodes[AC])を取得し、1つのアクセスカテゴリに与えられた優先度(=PrACi)を複数のアクセスカテゴリAC0〜AC3に与えられた複数の優先度の和(=Σj=0PrACj)で除算して第2の演算結果(=PrACi/(Σj=0PrACj))を取得し、第1の演算結果(=(Σj=0NumNodes[AC])/NumNodes[AC])に第2の演算結果(=PrACi/(Σj=0PrACj))を乗算した乗算結果を1つのアクセスカテゴリに属するパケットを1回のチャネルアクセスにおいて取り出すときの取得個数BaseNumPkts[ACi]とする。
【0057】
なお、端末装置1〜14の各々において、演算手段107は、アクセスポイント10の演算手段117における方法と同じ方法によって取得個数BaseNumPkts[ACi]を演算する。
【0058】
図4は、データフレームの概念図である。図4を参照して、データフレームDATAは、プリアンブル(Preamble)と、MAC(Media Access Control)ヘッダ(MAC header)と、パケット(packet)と、FCS(Frame Check Sequence)とを含む。
【0059】
プリアンブル(Preamble)、MACヘッダ(MAC header)、パケット(packet)、およびFCSは、それぞれ、長さPrLength,HeaderLength,PacketLength,FCSLengthを有する。
【0060】
端末装置1の測定手段108は、アクセスカテゴリAC0〜AC3にそれぞれ対応するキュー103〜106の先頭のパケット(=データフレームDATA)の長さPacketLength0〜PacketLength3を測定し、その測定したPacketLength0〜PacketLength3を用いて、アクセスカテゴリAC0〜AC3それぞれに関して平均パケット長を計算する。例えば、アクセスカテゴリAC0に関する平均パケット長は、AvePacketLength0=α×PacketLength0+(1−α)×PacketLength0によって計算される。ここで、αは、[0,1]の範囲の数値であり、例えば、0.5である。
【0061】
また、測定手段108は、送受信手段102がキュー103〜106それぞれからのパケットの送信に用いている送信レートをキュー103〜106にそれぞれ格納されたパケットの平均送信レートとして測定する。
【0062】
そして、測定手段108は、キュー103〜106の先頭に位置するパケットが変わる毎に、平均パケット長および平均送信レートを計算し、平均パケット長および平均送信レートを演算手段107へ出力する。
【0063】
なお、アクセスポイント10の測定手段118は、端末装置1の測定手段108と同じ方法によって平均パケット長および平均送信レートを測定し、その測定した平均パケット長および平均送信レートを演算手段117へ出力する。
【0064】
図5は、1個のパケットの送信に要する送信所要時間の概念図である。図5を参照して、ACKフレームは、プリアンブル(Preamble)と、アドレス(Add)と、FCSとを含む。プリアンブル(Preamble)、アドレス(Add)、およびFCSは、それぞれ、長さPrLength,ACKLength,FCSLengthを有する。
【0065】
また、データフレームの送信元は、データフレームの送信後、SIFSだけ経過後にACKフレームを受信する。
【0066】
従って、この発明の実施の形態においては、データフレームの送信に要する時間、SIFSおよびACKフレームの送信に要する時間の合計を1個のパケットの送信所要時間TxDurationとする。
【0067】
即ち、端末装置1の演算手段107は、平均パケット長PacketLengthおよび平均送信レートTxDataRateに基づいて、次式によって送信所要時間TxDurationを演算する。
【0068】
【数2】

【0069】
式(2)において、TxPhyRateは、データフレームのプリアンブル(Preamble)およびACKフレームのプリアンブル(Preamble)の伝送レートである。また、TxDataRateは、データフレームのMACヘッダ(MAC header)、パケット(packet)およびFCSの伝送レートである。更に、TxACKRateは、ACKフレームのアドレス(Add)およびFCSの伝送レートである。
【0070】
一般的に、TxPhyRateおよびTxACKRateは、固定のレートである。一方、TxDataRateは、リンク品質に応じて動的に制御される。
【0071】
従って、演算手段107は、TxPhyRateおよびTxACKRateを予め保持しており、TxDataRateを平均送信レートとして測定手段110から受ける。
【0072】
その結果、演算手段107は、式(2)を用いて1個のパケットの送信所要時間TxDurationを演算できる。
【0073】
演算手段107は、アクセスカテゴリAC0〜AC3のいずれかにチャネルアクセスし、該当アクセスカテゴリに関して送信所要時間TxDurationを演算すると、1回のチャネルアクセスにおいて、送受信手段102が該当キュー(キュー103〜106のいずれか)から取り出した複数のパケットを連続して送信できる送信可能時間TXOP[ACi]を次式によって演算する。
【0074】
【数3】

【0075】
図6は、送信可能時間の具体例を示す図である。なお、図6は、1回のチャネルアクセスにおいて連続して送信するパケット数が3個である場合について送信可能時間TXOP[ACi]を示す。
【0076】
図6を参照して、3個のパケット(=データフレーム)が連続して送信される場合、データフレーム2は、ACKフレーム1が送信された後、SIFS2の経過後、送信される。また、データフレーム3は、ACKフレーム2が送信された後、SIFS4の経過後、送信される。
【0077】
そして、SIFS1,SIFS3,SIFS5は、1個のパケットの送信所要時間TxDurationに含まれる。
【0078】
従って、1回のチャネルアクセスにおいて連続して送信するパケット数が3個である場合、送信可能時間TXOP[ACi]は、3×TxDuration+(3−1)×SIFSとなる。
【0079】
その結果、一般的には、送信可能時間TXOP[ACi]は、式(3)によって表される。
【0080】
上述したように、測定手段108は、キュー103〜106の先頭に位置するパケットが変わる毎に、パケット長を測定し、その測定したパケット長と、同一宛先へのパケット送信に使用した送信レートを用いて平均パケット長および平均送信レートを計算し、その計算した平均パケット長および平均送信レートを演算手段107へ出力する。
【0081】
なお、該当のパケットが該当の宛先端末への初めてのパケットであるならば、送受信手段102は、パケット送信に使用する最小の送信レートを平均送信レートとする。そして、送受信手段102は、同一の宛先端末へパケットを送信する度に、その送信レートを用いて、平均送信レート=α×(平均送信レート)+(1−α)×送信レートを演算して平均送信レートを更新する。ここで、αは、たとえば、0.2である。
【0082】
従って、演算手段107は、測定手段108から平均パケット長および平均送信レートを受ける毎に、即ち、キュー103〜106の先頭に位置するパケットが変わる毎に、式(2)および式(3)を用いて送信可能時間TXOP[ACi]を演算し、その演算した送信可能時間TXOP[ACi]を送受信手段102へ出力する。
【0083】
なお、アクセスポイント10の演算手段117も、端末装置1の演算手段107と同じ方法によって送信可能時間TXOP[ACi]を演算し、その演算した送信可能時間TXOP[ACi]を送受信手段112へ出力する。
【0084】
アクセスポイント10におけるパケットの送信動作について説明する。図1に示す場合、アクセスポイント10は、端末装置1〜10へベストエフォートBE(ファイルの転送等)の通信を行なっており、端末装置10,11は、アクセスポイント10と双方向の動画Videoの通信を行なっており、端末装置12〜14は、アクセスポイント10と双方向の音声VoIPの通信を行なっている。
【0085】
アクセスポイント10の通信手段119および端末装置1〜14の通信手段109は、NumNodes[AC1]=10、NumNodes[AC2]=2、およびNumNodes[AC3]=3を管理する。また、アクセスポイント10の通信手段119は、NumDLNodes[AC2]=2およびNumDLNodes[AC3]=3を保持する。
【0086】
なお、NumDLNodes[AC2]は、ダウンリンクにおいて、アクセスカテゴリAC2に属するパケットを受信する端末装置の個数である。また、NumDLNodes[AC3]は、ダウンリンクにおいて、アクセスカテゴリAC3に属するパケットを受信する端末装置の個数である。
【0087】
理想的な優先度比率をPrAC0:PrAC1:PrAC2:PrAC3=1:3:7:15とし、チャネルアクセス方式がアクセスカテゴリ間の優先制御を行なわないものであるとすると(例えば、IEEE802.11b)、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に対応する取出個数BaseNumPkts[AC1]〜BaseNumPkts[AC3]は、次式によって与えられる。
【0088】
【数4】

【0089】
従って、アクセスポイント10の演算手段117は、式(4)に従ってBaseNumPkts[AC1]=1、BaseNumPkts[AC2]=11.88、およびBaseNumPkts[AC3]=16.94を演算する。
【0090】
一方、チャネルアクセス方式がIEEE802.11eのように、アクセスカテゴリ間での優先度比率に応じたチャネルアクセスを行なう場合、PrAC0:PrAC1:PrAC2:PrAC3=1:1:1:1となり、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に対尾する取出個数BaseNumPkts[AC0]〜BaseNumPkts[AC3]は、次式によって与えられる。
【0091】
【数5】

【0092】
従って、アクセスポイント10の演算手段117は、式(5)に従ってBaseNumPkts[AC1]=1、BaseNumPkts[AC2]=4.95、およびBaseNumPkts[AC3]=3.30を演算する。
【0093】
そして、アクセスポイント10の演算手段117は、計算したBaseNumPkts[AC1]=1,BaseNumPkts[AC2]=11.88,BaseNumPkts[AC3]=16.94またはBaseNumPkts[AC1]=1,BaseNumPkts[AC2]=4.95,BaseNumPkts[AC3]=3.30を用いて、各アクセスカテゴリ毎に1回のチャネルアクセスで必要とする時間TXOP[AC1],TXOP[AC2],TXOP[AC3]を式(3)に従って演算する。そして、演算手段117は、その演算したTXOP[AC1],TXOP[AC2],TXOP[AC3]を送受信手段112へ出力する。
【0094】
図7は、アクセスポイント10における通信動作の具体例を示す図である。図7を参照して、アクセスポイント10のキュー113は、0個のパケットを格納し、キュー114は、2個のパケットPKT1,PKT7を格納し、キュー115は、4個のパケットPKT2,PKT3,PKT8,PKT9を格納し、キュー116は、6個のパケットPKT4〜PKT6,PKT10〜PKT12を格納する。なお、ここで、IEEE802.11eが使用されているものとする。
【0095】
そうすると、アクセスポイント10の送受信手段112は、アクセスカテゴリAC1でチャネルアクセスしたとき、送信可能時間TXOP[AC1]の間、キュー114から1個のパケットPKT1を取り出して送信する。そして、端末装置1〜10のいずれかが、パケットPKT1をアクセスポイント10から受信する。
【0096】
また、アクセスポイント10の送受信手段112は、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、送信可能時間TXOP[AC2]の間、キュー115から4個のパケットPKT2,PKT3,PKT8,PKT9を取り出して送信する。そして、端末装置10,11は、パケットPKT2,PKT3,PKT8,PKT9をアクセスポイント10から受信する。
【0097】
更に、アクセスポイント10の送受信手段112は、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、送信可能時間TXOP[AC3]の間、キュー116から3個のパケットPKT4〜PKT6を取り出して送信する。そして、端末装置12〜14は、パケットPKT4〜PKT6をアクセスポイント10から受信する。
【0098】
このように、アクセスカテゴリAC1〜AC3に属するパケットは、理想的な優先度比率に応じて決定された取出個数の比1:4:3で送信される。即ち、アクセスカテゴリAC1〜AC3に属するパケットは、無線ネットワークシステム100全体においても、アクセスカテゴリAC1〜AC3間の優先順位が成立するように送信される。
【0099】
従って、アクセスカテゴリAC1〜AC3に属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても、優先制御を安定して行なうことができる。
【0100】
なお、端末装置1〜14の各々も、アクセスポイント10と同様にしてパケットを送信する。
【0101】
上記においては、アクセスポイント10および端末装置1〜14は、特定のアクセスカテゴリACiで送信可能時間TXOP[ACi]を計算して、アクセスカテゴリACiでチャネルアクセスしたときに、複数のパケットを送信すると説明した。しかし、任意のパケット送信が失敗した場合、アクセスポイント10および端末装置1〜14は、再送処理を行なうので、計算した送信可能時間TXOP[ACi]を使い切らなくてもチャネルを開放する。
【0102】
例えば、アクセスポイント10または端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2で1回のチャネルアクセスで送信するパケット数BaseNumPkts[AC2]が3であるとする。該当のアクセスポイント10または端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、3個のパケットPKT1〜PKT3を連続した送信するための送信可能時間TXOP[AC2]を計算する。そして、パケットPKT1の送信が実際に成功し、パケットPKT2の送信処理に入ったが、パケットPKT2の送信が失敗した(宛先の端末から受信確認応答ACKが返信されて来なかった)とする。
【0103】
この場合、パケットPKT2を再送する必要があるので、アクセスポイント10または端末装置1〜14は、一旦、チャネルを開放する(指数バックオフに入る)。そして、アクセスポイント10または端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2で、再度、チャネルアクセスしたとき、もう1回、送信可能時間TXOP[AC2]を計算し、パケットPKT2,PKT3,PKT4を1回のチャネルアクセスで連続して送信する。
【0104】
[非対称性の抑制]
図8は、この発明の実施の形態における他のアクセスポイントの構成図である。図8を参照して、アクセスポイント10Aは、図3に示すアクセスポイント10の演算手段117および通信手段119をそれぞれ演算手段117Aおよび通信手段119Aに代えたものであり、その他は、アクセスポイント10と同じである。
【0105】
演算手段117Aは、端末装置の個数NumNodes[ACi]に加え、ダウンリンクにおける宛先の端末装置の個数NumDLNodes[ACi]を通信手段119Aから受ける。
【0106】
そして、演算手段117Aは、上述した式(1)を用いて取出個数BaseNumPkts[ACi]を演算するとともに、上述した式(2)を用いて1個のパケットの送信所要時間TxDuration(packetLength[ACi],TxDataRate[ACi])を演算する。
【0107】
そうすると、演算手段117Aは、取出個数BaseNumPkts[ACi]、送信所要時間TxDuration(packetLength[ACi],TxDataRate[ACi])、および端末装置の個数NumDLNodes[ACi]とに基づいて、次式によって、送信可能時間TXOPUD[ACi]を演算する。
【0108】
【数6】

【0109】
そして、演算手段117Aは、その演算した送信可能時間TXOPUD[ACi]を送受信手段112へ出力する。
【0110】
通信手段119Aは、端末装置の個数NumDLNodes[ACi]を演算手段117Aへ出力する。通信手段119Aは、その他、通信手段119と同じ機能を果たす。
【0111】
図1に示すアクセスポイント10がアクセスポイント10Aからなる場合、無線ネットワークシステム100においては、上述した優先制御を行ないながらアップリンクと、ダウンリンクとにおける非対称性を抑制できる。
【0112】
図9は、アクセスポイント10における通信動作の他の具体例を示す図である。図9を参照して、アクセスポイント10の送受信手段112は、アクセスカテゴリAC1でチャネルアクセスしたとき、送信可能時間TXOPUD[AC1]の間、キュー114からパケットPKT1を取り出し、その取り出したパケットPKT1を宛先端末装置(端末装置1〜10のいずれか)へ送信する。そして、端末装置1〜10のいずれかが、パケットPKT1を受信する。
【0113】
また、アクセスポイント10の送受信手段112は、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、送信可能時間TXOPUD[AC2]の間、キュー115からパケットPKT2,PKT3を取り出し、その取り出したパケットPKT2,PKT3を端末装置10,11へ連続して送信する。そして、端末装置10,11は、パケットPKT2,PKT3を受信する。
【0114】
更に、アクセスポイント10の送受信手段112は、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、送信可能時間TXOPUD[AC3]の間、キュー115からパケットPKT4〜PKT6を取り出し、その取り出したパケットPKT4〜PKT6を端末装置12〜14へ連続して送信する。そして、端末装置12〜14は、パケットPKT4〜PKT6を受信する。
【0115】
一方、端末装置10および端末装置11は、それぞれ、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、アクセスカテゴリAC2に属するパケットをアクセスポイント10へ個別に送信する。同様に、端末装置12〜14は、それぞれ、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、アクセスカテゴリAC3に属するパケットをアクセスポイント10へ個別に送信する。
【0116】
送信可能時間TXOPUD[AC1]〜TXOPUD[AC3]は、ダウンリンクにおける宛先となる端末装置の個数NumDLNodes[ACi]を送信所要時間TxDuration(packetLength[ACi],TxDataRate[ACi])に乗算して求められる。
【0117】
従って、送受信手段112は、1回のチャネルアクセスにおいて、送信可能時間TXOPUD[AC2]の間に、アクセスカテゴリAC2に属するパケットPKT2,PKT3を端末装置10,11の全てへ送信できる。更に、送受信手段112は、1回のチャネルアクセスにおいて、送信可能時間TXOPUD[AC3]の間に、アクセスカテゴリAC3に属するパケットPKT4〜PKT6を端末装置12〜14の全てへ送信できる。
【0118】
その結果、アクセスカテゴリAC2に属するパケットの双方向の通信において、アクセスポイント10が端末装置10,11の全てにパケットを送信し、端末装置10,11がアクセスポイント10へ送信する。また、アクセスカテゴリAC3に属するパケットの双方向の通信において、アクセスポイント10が端末装置12〜14の全てにパケットを送信し、端末装置12〜14がアクセスポイント10へ送信する。
【0119】
従って、優先制御を行いながら非対称性を抑制できる。
【0120】
なお、端末装置1〜14も、アクセスポイント10Aと同じ方法によってパケットを送信する。但し、端末装置1〜14は、優先制御のみを行なう。
【0121】
上記においては、アクセスポイント10Aおよび端末装置1〜14は、特定のアクセスカテゴリACiで送信可能時間TXOPUD[ACi]を計算して、アクセスカテゴリACiでチャネルアクセスしたときに、複数のパケットを送信すると説明した。しかし、任意のパケット送信が失敗した場合、アクセスポイント10Aおよび端末装置1〜14は、再送処理を行なうので、計算した送信可能時間TXOPUD[ACi]を使い切らなくてもチャネルを開放する。
【0122】
例えば、アクセスポイント10Aまたは端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2で1回のチャネルアクセスで送信するパケット数NumPkts[AC2]が3であるとする。該当のアクセスポイント10Aまたは端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、3個のパケットPKT1〜PKT3を連続した送信するための送信可能時間TXOPUD[AC2]を計算する。そして、パケットPKT1の送信が実際に成功し、パケットPKT2の送信処理に入ったが、パケットPKT2の送信が失敗した(宛先の端末から受信確認応答ACKが返信されて来なかった)とする。
【0123】
この場合、パケットPKT2を再送する必要があるので、アクセスポイント10Aまたは端末装置1〜14は、一旦、チャネルを開放する(指数バックオフに入る)。そして、アクセスポイント10Aまたは端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2で、再度、チャネルアクセスしたとき、もう1回、送信可能時間TXOPUD[AC2]を計算し、パケットPKT2,PKT3,PKT4を1回のチャネルアクセスで連続して送信する。
【0124】
図10は、この発明の実施の形態における更に他のアクセスポイントの構成図である。
【0125】
この発明の実施の形態におけるアクセスポイントは、図10に示すアクセスポイント10Bであってもよい。
【0126】
図10を参照して、アクセスポイント10Bは、図3に示すアクセスポイント10のキュー113〜116をそれぞれキュー113A〜116Aに代え、測定手段118および演算手段117をそれぞれ測定手段118Aおよび演算手段117Bに代えたものであり、その他は、アクセスポイント10と同じである。
【0127】
キュー113A〜116Aの各々は、宛先の端末装置に対応して設けられた少なくとも1つのキューからなる。そして、キュー113A〜116Aは、それぞれ、アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを宛先毎に格納する。
【0128】
測定手段118Aは、キュー113A〜116Aの各々に含まれるキューの個数をカウントし、そのカウントしたキューの個数を演算手段117Bへ出力する。測定手段118Aは、その他、測定手段118と同じ機能を果たす。
【0129】
演算手段117Bは、各キューの先頭のパケットのパケット長、同一宛先端末へのパケット送信に使用した送信レートおよびキューの個数を測定手段118Aから受ける。また、演算手段117Bは、端末装置の個数を通信手段119から受ける。
【0130】
そして、演算手段117Bは、演算手段107Bと同じ方法によって送信可能時間TXOPCN[ACi]を演算する。その後、演算手段117Bは、取出個数BaseNumPkts[ACi]および送信可能時間TXOPCN[ACi]を送受信手段112へ出力する。
【0131】
図11は、図10に示すキュー113A〜116Aの構成図である。図11を参照して、キュー113Aは、キュー1131〜1134からなり、キュー114Aは、キュー1141〜1144からなり、キュー115Aは、キュー1151〜1154からなり、キュー116Aは、キュー1161〜1164からなる。
【0132】
キュー1131〜1134は、例えば、宛先である端末装置1〜4にそれぞれ対応して設けられる。キュー1141〜1144、キュー1151〜1154、およびキュー1161〜1164の各々は、それぞれ、端末装置1〜4に対応して設けられる。
【0133】
そして、キュー1131,1141,1151,1161の各々は、端末装置1宛てのパケットを格納する。また、キュー1132,1142,1152,1162の各々は、端末装置2宛てのパケットを格納する。更に、キュー1133,1143,1153,1163の各々は、端末装置3宛てのパケットを格納する。更に、キュー1134,1144,1154,1164の各々は、端末装置4宛てのパケットを格納する。
【0134】
アクセスカテゴリACi用に設けられたキューz内のパケット数をNumPktsInQ[ACi_z]とすると、キューzから1回のチャネルアクセスで送信できるパケット数NumPktsFromQ[ACi]は、次式によって演算される。
【0135】
【数7】

【0136】
そして、アクセスカテゴリACiに関して、1回のチャネルアクセスで連続送信されるパケット数NumPkts[ACi]は、次式によって演算される。
【0137】
【数8】

【0138】
そうすると、送信可能時間TXOPCN[ACi]は、次式によって演算される。
【0139】
【数9】

【0140】
従って、アクセスポイント10Bの演算手段117Bは、式(7)〜(9)を用いて各アクセスカテゴリACiに属するパケットを送信するための送信可能時間TXOPCN[ACi]を演算する。
【0141】
一方、端末装置10および端末装置11は、それぞれ、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、アクセスカテゴリAC2に属するパケットをアクセスポイント10へ個別に送信する。同様に、端末装置12〜14は、それぞれ、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、アクセスカテゴリAC3に属するパケットをアクセスポイント10へ個別に送信する。
【0142】
図12は、図10に示すアクセスポイント10Bにおけるパケットの送信方法を説明するための図である。
【0143】
図12においては、アクセスカテゴリAC3に属するパケットを送信する方法について説明する。この場合、アクセスカテゴリAC3に属するパケットに関し、1回のチャネルアクセスで連続送信するパケット数NumPkts[AC3]は、“3”または“5”に設定される。
【0144】
図12の(a)を参照して、アクセスカテゴリAC3に属するパケットを格納するキュー106Aにおいて、キュー1161,1162,1164は、それぞれ、パケットPKT1,PKT2,PKT3を格納し、キュー1163は、パケットを格納していない。即ち、端末装置1,2,4宛てのパケットが存在し、端末装置3宛てのパケットが存在しない。また、パケット数NumPkts[AC3]は、“3”である。
【0145】
アクセスポイント10Bの送受信手段112は、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、1回のチャネルアクセスおいて、送信可能時間TXOPCN[AC3]の間、キュー1161,1162,1164からパケット数NumPkts[AC3]=3以下のパケットPKT1〜PKT3を順次取り出し、その取り出したパケットPKT1〜PKT3を端末装置1,2,4へ連続して送信する。
【0146】
図12の(b)を参照して、アクセスカテゴリAC3に属するパケットを格納するキュー116Aにおいて、キュー1161がパケットPKT1,PKT4を格納し、キュー1163がパケットPKT2を格納し、キュー1164がパケットPKT3,PKT5を格納し、キュー1162がパケットを格納していない。即ち、端末装置1,3,4宛てのパケットが存在し、端末装置2宛てのパケットが存在しない。また、パケット数NumPkts[AC3]は、“5”である。
【0147】
アクセスポイント10Bの送受信手段112は、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、1回のチャネルアクセスおいて、送信可能時間TXOPCN[AC3]の間、キュー1161,1163,1164からパケット数NumPkts[AC3]=5以下のパケットPKT1〜PKT5を順次取り出し、その取り出したパケットPKT1〜PKT5を端末装置1,3,4へ連続して送信する。
【0148】
なお、アクセスポイント10Bは、アクセスカテゴリAC3以外のアクセスカテゴリAC0,AC1,AC2に属するパケットについても、同様にして送信する。
【0149】
このように、アクセスポイント10Bは、1つのアクセスカテゴリに属するパケットを送信可能時間TXOPCN[ACi]の間に全ての宛先へ連続して送信する。
【0150】
従って、通信の非対称性を抑制できる。
【0151】
なお、端末装置1〜14も、アクセスポイント10Bと同じ方法によってパケットを送信する。
【0152】
上記においては、アクセスポイント10Bおよび端末装置1〜14は、特定のアクセスカテゴリACiで送信可能時間TXOPCN[ACi]を計算して、アクセスカテゴリACiでチャネルアクセスしたときに、複数のパケットを送信すると説明した。しかし、任意のパケット送信が失敗した場合、アクセスポイント10Bおよび端末装置1〜14は、再送処理を行なうので、計算した送信可能時間TXOPCN[ACi]を使い切らなくてもチャネルを開放する。
【0153】
例えば、アクセスポイント10Bまたは端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2で1回のチャネルアクセスで送信するパケット数NumPkts[AC2]が3であるとする。該当のアクセスポイント10Bまたは端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、3個のパケットPKT1〜PKT3を連続した送信するための送信可能時間TXOPCN[AC2]を計算する。そして、パケットPKT1の送信が実際に成功し、パケットPKT2の送信処理に入ったが、パケットPKT2の送信が失敗した(宛先の端末から受信確認応答ACKが返信されて来なかった)とする。
【0154】
この場合、パケットPKT2を再送する必要があるので、アクセスポイント10Bまたは端末装置1〜14は、一旦、チャネルを開放する(指数バックオフに入る)。そして、アクセスポイント10Bまたは端末装置1〜14は、アクセスカテゴリAC2で、再度、チャネルアクセスしたとき、もう1回、送信可能時間TXOPCN[AC2]を計算し、パケットPKT2,PKT3,PKT4を1回のチャネルアクセスで連続して送信する。
【0155】
図13は、図10に示すアクセスポイント10Bにおけるパケットの送信方法を説明するための他の図である。
【0156】
アクセスポイント10Bは、アクセスカテゴリAC1に属するパケットを端末装置5〜8へ送信し、アクセスカテゴリAC2に属するパケットを端末装置1〜5と送受信し、アクセスカテゴリAC3に属するパケットを端末装置9〜12と送受信している。
【0157】
図13を参照して、アクセスポイント10Bのキュー1141〜1144は、それぞれ、パケットPKT1〜PKT4を格納する。また、アクセスポイント10Bのキュー1151は、パケットPKT5,PKT6を格納し、キュー1152は、パケットPKT7,PKT8を格納し、キュー1153は、パケットPKT9,PKT10を格納し、キュー1154は、パケットPKT11,PKT12を格納する。更に、アクセスポイント10Bのキュー1161は、パケットPKT13〜PKT15を格納し、キュー1162は、パケットPKT16〜PKT18を格納し、キュー1163は、パケットPKT19〜PKT21を格納し、キュー1164は、パケットPKT22〜PKT24を格納する。
【0158】
また、パケット数NumPkts[AC1]=4であり、パケット数NumPkts[AC2]=8であり、パケット数NumPkts[AC3]=12である。
【0159】
アクセスポイント10Bの送受信手段112は、アクセスカテゴリAC1でチャネルアクセスしたとき、1回のチャネルアクセスにおいて、送信可能時間TXOPCN[AC1]の間、キュー1141〜1144からパケットPKT1〜PKT4を順次取り出し、その取り出したパケットPKT1〜PKT4を端末装置5〜8へ連続して送信する。
【0160】
また、アクセスポイント10Bの送受信手段112は、アクセスカテゴリAC2でチャネルアクセスしたとき、1回のチャネルアクセスにおいて、送信可能時間TXOPCN[AC2]の間、キュー1151〜1154からパケットPKT5,PKT6;PKT7,PKT8;PKT9,PKT10;PKT11,PKT12を順次取り出し、その取り出したパケット5,PKT6;PKT7,PKT8;PKT9,PKT10;PKT11,PKT12を端末装置1〜4へ連続して送信する。
【0161】
更に、アクセスポイント10Bの送受信手段112は、アクセスカテゴリAC3でチャネルアクセスしたとき、1回のチャネルアクセスにおいて、送信可能時間TXOPCN[AC3]の間、キュー1161〜1164からパケットPKT13〜PKT15,PKT16〜PKT18,PKT19〜PKT21,PKT22〜PKT24を順次取り出し、その取り出したパケットPKT13〜PKT15,PKT16〜PKT18,PKT19〜PKT21,PKT22〜PKT24を端末装置9〜12へ連続して送信する。
【0162】
そして、端末装置1〜4は、アクセスカテゴリAC2に属するパケットをアクセスポイント10Bへ個別に送信する。
【0163】
また、端末装置9〜12は、アクセスカテゴリAC3に属するパケットをアクセスポイント10Bへ個別に送信する。
【0164】
そうすると、アクセスポイント10B−端末装置1〜4間、およびアクセスポイント10B−端末装置9〜12間では、アップリンクにおける通信とダウンリンクにおける通信とが確実に確保される。
【0165】
従って、優先制御を行ないながら通信の非対称性を抑制できる。
【0166】
図14は、データフレームを受信したときの動作を説明するためのフローチャートである。図14を参照して、一連の動作が開始されると、アクセスポイント10,10A,10Bの送受信手段112は、アンテナ111を介してデータフレームを受信し(ステップS1)、その受信したデータフレームを通信手段119,119A,119へ出力する。
【0167】
そして、アクセスポイント10,10A,10Bの通信手段119,119A,119は、送受信手段112から受けたデータフレームの送信元のMACアドレスを検出する(ステップS2)。
【0168】
その後、アクセスポイント10,10A,10Bの通信手段119,119A,119は、保持している端末リストに送信元のMACアドレスが未登録であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0169】
ステップS2において、送信元のMACアドレスが端末リストに未登録ではないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS5へ移行する。
【0170】
一方、ステップS2において、送信元のMACアドレスが未登録であると判定されたとき、アクセスポイント10,10A,10Bの通信手段119,119A,119は、送信元のMACアドレスを端末リストに登録する(ステップS4)。
【0171】
そして、ステップS4の後、またはステップS2において送信元のMACアドレスが端末リストに未登録ではないと判定されたとき、アクセスポイント10,10A,10Bの通信手段119,119A,119は、更新時間を端末リストに登録する(ステップS5)。これによって、一連の動作が終了する。
【0172】
図15は、データフレームを送信したときの動作を説明するためのフローチャートである。図15を参照して、一連の動作が開始されると、アクセスポイント10,10A,10Bの送受信手段112は、送信可能時間TXOP[ACi],TXOPUD[ACi],TXOPCN[ACi]の間、キュー113〜116,113〜116,113A〜116AからBaseNumPkts[ACi],NumPkts[ACi],NumPkts[ACi]以下のパケットを取り出し、その取り出したパケットを連続して送信する(ステップS11)。
【0173】
そして、アクセスポイント10,10A,10Bの測定手段118,118,118Aは、平均パケット長および平均送信レートを上述した方法によって測定して平均パケット長および平均送信レートを更新する(ステップS12)。
【0174】
これによって、一連の動作が終了する。
【0175】
図16は、図1に示す無線ネットワークシステム100における通信動作を説明するためのフローチャートである。
【0176】
図16を参照して、一連の動作が開始されると、アクセスポイント10は、アクセスカテゴリACiでチャネルアクセス権を獲得する(ステップS21)。そして、アクセスポイント10は、アクセスカテゴリAC0〜AC3間の優先度比率PrCA0〜PrCA3に基づいて、上述した方法によって、アクセスカテゴリACiにおける取出個数BaseNumPkts[ACi]を演算する(ステップS22)。
【0177】
その後、アクセスポイント10は、その演算した取出個数BaseNumPkts[ACiを用いて、上述した方法によってアクセスカテゴリACiにおける送信可能時間TXOP[ACi]を演算する(ステップS23)。
【0178】
引き続いて、アクセスポイント10は、送信可能時間TXOP[ACi]の間、アクセスカテゴリACiに対応するキュー(キュー113〜116のいずれか)から先頭のパケットを取り出し、その取り出したパケットを送信する(ステップS24)。
【0179】
そして、アクセスポイント10は、パケットの送信が成功したか否かを判定する(ステップS25)。より具体的には、アクセスポイント10は、送信先からACK(確認応答)を受信したか否かを判定することによってパケットの送信が成功したか否かを判定する。
【0180】
ステップS25において、パケットの送信が成功したと判定されたとき、アクセスポイント10は、送信可能時間TXOP[ACi]が経過したか否かを更に判定する(ステップS26)。
【0181】
ステップS26において、送信可能時間TXOP[ACi]が経過していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS24へ戻る。そして、ステップS26において、送信可能時間TXOP[ACi]が経過したと判定されるまで、上述したステップS24〜ステップS26が繰返し実行される。
【0182】
そして、ステップS25において、パケットの送信が成功しなかったと判定されたとき、またはステップS26において、送信可能時間TXOP[ACi]が経過したと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0183】
このように、アクセスポイント10は、図16に示すフリーチャートに従って各アクセスカテゴリACiに属するパケットを送信する。
【0184】
従って、各アクセスカテゴリAC0〜AC3に属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる。
【0185】
なお、アクセスポイント10Aおよび端末装置1〜14も、図16に示すフローチャートに従って無線通信を行なう。この場合、アクセスポイント10Aは、ステップS23において、上述した方法によって、送信可能時間TXOPUD[AC0]〜TXOPUD[AC3]を演算する。
【0186】
また、アクセスポイント10Bおよび端末装置1〜14も、図16に示すフローチャートに従って無線通信を行なう。この場合、アクセスポイント10Bは、ステップS23において、上述した方法によって、送信可能時間TXOPCN[AC0]〜TXOPCN[AC3]を演算する。
【0187】
上記においては、送信可能時間TXOP[ACi],TXOPUD[ACi],TXOPCN[ACi]は、キュー113〜116の先頭に位置するパケットが変わるごとに更新されると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、送信可能時間TXOP[ACi],TXOPUD[ACi],TXOPCN[ACi]は、固定値に設定されていてもよい。この場合、送信可能時間TXOP[ACi],TXOPUD[ACi],TXOPCN[ACi]は、システムが定めている最大値(8.192ms)に設定される。
【0188】
送信可能時間TXOP[ACi],TXOPUD[ACi],TXOPCN[ACi]が固定値に設定される場合、アクセスポイント10,10A,10Bは、測定手段118,118Aおよび演算手段119,119Aを備えておらず、送受信手段112が固定値からなる送信可能時間TXOPを予め保持している。
【0189】
従って、この発明の実施の形態による通信装置は、複数のアクセスカテゴリに対応して設けられ、各々が対応するアクセスカテゴリに属するパケットを格納する複数のキューと、1回のチャネルアクセスにおいて、複数のアクセスカテゴリ間の理想的な優先度比率に応じて1つのキューから複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する送信手段とを備えるものであればよい。
【0190】
なお、この発明の実施の形態においては、アクセスポイント10,10A,10Bの各々は、「通信装置」を構成する。
【0191】
また、この発明の実施の形態においては、パケットを上述した方法で送信するアクセスポイント10,10A,10Bの送受信手段112は、「送信手段」を構成する。
【0192】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0193】
この発明は、各アクセスカテゴリに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる通信装置に適用される。また、この発明は、各アクセスカテゴリに属するパケットを送信または送受信する端末装置の個数に偏りがあっても優先度制御を適切に実行できる通信装置を備えた無線ネットワークシステムに適用される。
【符号の説明】
【0194】
1〜14 端末装置、10,10A,10B アクセスポイント、40 ネットワーク、100 無線ネットワークシステム、101,111 アンテナ、102,112 送受信手段、103〜106,113〜116 キュー、109,109A,119,119A 通信手段、110 アプリケーションモジュール、107,107A,107B,117,117A,117B 演算手段、108,108A,118,118A 測定手段、120 有線インターフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続され、優先順位が相互に異なる複数のアクセスカテゴリにパケットを分類して前記パケットを端末装置へ送信する通信装置であって、
前記複数のアクセスカテゴリに対応して設けられ、各々が対応するアクセスカテゴリに属するパケットを格納する複数のキューと、
1回のチャネルアクセスにおいて、前記複数のアクセスカテゴリ間の理想的な優先度比率に応じて前記キューから複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する送信手段とを備える通信装置。
【請求項2】
前記優先度比率に基づいて、1つのアクセスカテゴリに属するパケットを1回のチャネルアクセスにおいて取り出すときの取得個数を前記複数のアクセスカテゴリの全てについて演算する演算手段を更に備え、
前記送信手段は、前記1回のチャネルアクセスにおいて、前記演算手段によって演算された複数の取出個数に基づいて、1つのアクセスカテゴリに対応するキューから前記1つのアクセスカテゴリに対応する取得個数以下のパケットを取り出す処理を実行して前記キューから前記複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記演算手段は、更に、前記1回のチャネルアクセスにおいて前記送信手段がパケットを送信できる送信可能時間を前記複数のアクセスカテゴリの各々について演算し、
前記送信手段は、1つのアクセスカテゴリについて演算された送信可能時間の間、前記1つのアクセスカテゴリに対応するキューから前記1つのアクセスカテゴリに対応する取得個数以下のパケットを取り出す処理を実行して前記複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記複数のアクセスカテゴリに属するパケットを受信する端末装置の個数を前記1つのアクセスカテゴリに属するパケットを受信する端末装置の個数で除算して第1の演算結果を取得し、前記1つのアクセスカテゴリに与えられた優先度を前記複数のアクセスカテゴリに与えられた複数の優先度の和で除算して第2の演算結果を取得し、前記第1の演算結果に前記第2の演算結果を乗算した乗算結果を前記1つのアクセスカテゴリに属するパケットを1回のチャネルアクセスにおいて取り出すときの取得個数とする、請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
端末装置と、
ネットワークに接続され、優先順位が相互に異なる複数のアクセスカテゴリにパケットを分類して前記パケットを前記端末装置へ送信する通信装置とを備え、
前記通信装置は、
前記複数のアクセスカテゴリに対応して設けられ、各々が対応するアクセスカテゴリに属するパケットを格納する複数のキューと、
1回のチャネルアクセスにおいて、前記複数のアクセスカテゴリ間の理想的な優先度比率に応じて特定のアクセスカテゴリーに対応するキューから複数のパケットを取り出し、その取り出した複数のパケットを連続して送信する送信手段とを含む、無線ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−55069(P2011−55069A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199732(P2009−199732)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「異種無線システム動的利用による信頼性向上技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】