説明

通報システム、これで用いる通報端末、及び通報方法

【課題】天災発生時等に多数の通報端末が同時に通報した場合でも、センターの回線が輻輳して受信に時間がかかることを軽減する。
【解決手段】 端末システム1は、センターとの間で通信回線6を介して音声及びデータ通報を発信する通報端末1、2、3を備える。端末1は、アナログ回線61を用いた系統R1を介してセンターに通報を発信するときにその再発信を所定回数行ってもセンターで受信不可である場合、通報を端末2に転送する。端末2は、転送された通報を受信したときに、通報をPHS回線63を用いた系統R3を介してセンターに発信する。端末1は、端末2に通報を転送するときにその再発信を所定回数行っても端末2で受信不可である場合、通報を端末3に転送する。端末3は、転送された通報を受信したときに通報を常時接続回線を用いた系統R4を介してセンターに発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報システム、これで用いる通報端末、及び通報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯等のセキュリティに関する通報システムとして、窓や扉の異常開閉や侵入者による異常等の異常発生時にその異常をセンサで感知し、感知された異常信号を利用者側の通報端末(通報装置)からセンター(警備センター、監視センター、受信センター等)側のセンター装置に通報するものが知られている。この場合、回線不通等の要因により異常発生の通報がセンター側に届かないことがあり、その対策が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、警備保障装置による異常検知時に電話回線が切断等のためにその異常信号を通報する電話機が不通であった場合、その異常信号を自動検針システムを構成するガスメータの無線ユニットに送り、その無線ユニットから隣家のガスメータの無線ユニットに無線送信し、その隣家の電話機から電話回線を介してセンターに通知する電話回線不通時の迂回通報システムが開示されている。
【0004】
その他、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献2〜4がある。
【0005】
例えば、特許文献2には、災害等により複数の基地局の有線回線がダウン等した場合でも通信可能なコードレス電話システムとして、隣接する基地局間で無線通信を行い有線回線との交信が正常に機能しているどうかの状態を記録監視する状態監視テーブルを管理し、このテーブルを参照して隣接する基地局へ送信するものが開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、複数の監視装置を通報先とする被監視装置で障害等の通報要因が発生した場合、この通報をより確実に監視装置に伝えるシステムとして、通報要因が発生した際に通報先リストを参照して通報先に通報するとともに、通報が失敗した場合はその上位装置へ通報するものが開示されている。
【特許文献1】特開平11−283160号公報
【特許文献2】特開平10−126841号公報
【特許文献3】特開2001−290676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、複数の通報端末が同時にセンターへ通報した場合、アナログ回線を使用していると、センターが各通報に対してそれぞれ呼制御を行う必要があり、回線の数だけしか同時に受信できない。そのため、天災発生時等、回線の数を超える通報が発生した場合、通報が完了できなかった通報端末は再発信を行うことになるが、これもセンター側の回線の数だけしか受信されないため、通報する端末が多い程すべてが受信されるまでには多くの時間を要する。また、再発信の回数×呼制御に要する時間は、通報自体とは関係ない無駄な時間となる。
【0008】
また、従来技術では、通報端末の回線の種類(例えば、アナログ回線)が決まれば、センター装置の受信回線の種類(例えば、ISDN回線)もある程度限定されてしまう。そのため、センター装置の受信回線の回線設備が故障した場合、それに該当する通報端末は通報要因を伝えることができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の事情を考慮してなされたもので、天災発生時等に多数の通報端末が同時に通報した場合でも、センター装置の回線が輻輳して受信に時間がかかることを軽減すると共に、センター装置の受信回線の回線設備が1系統故障した場合でも、全通報端末の通報を漏れなく受信することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る通報システムは、複数の受信回線に接続される回線設備を備えたセンター装置に対して通報を発信する通報端末を有する通報システムであって、前記通報端末は、前記センター装置の回線設備に前記複数の受信回線を介して通報する複数の通報端末を備え、前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第1の受信回路を介して通報する第1の通報端末と、前記複数の受信回線のうちの第2の受信回路を介して通報する第2の通報端末とを有し、前記第1の通報端末は、前記第1の受信回路を介して前記センター装置に前記通報を発信するときにその再発信を所定回数行っても前記センター装置で受信不可である場合、前記通報を前記第2の通報端末に転送し、前記第2の通報端末は、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第2の受信回路を介して前記センター装置に発信することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る通報システムにおいて、前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第3の受信回路を介して通報する第3の通報端末をさらに有し、前記第1の通報端末は、前記第2の通報端末に前記通報を転送するときにその再発信を所定回数行っても前記第2の通報端末で受信不可である場合、前記通報を前記第3の通報端末に転送し、前記第3の通報端末は、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第3の受信回路を介して前記センター装置に発信してもよい。前記第1〜第3の受信回路は、アナログ回線及びPHS回線に接続されるISDNと、PHS回線に接続されるパケット通信用の専用線と、常時接続回線との内のいずれかであってもよい。
【0012】
本発明に係る通報方法は、複数の受信回線に接続される回線設備を備えたセンター装置に対して通報を発信する通報端末を有し、前記通報端末は、前記センター装置の回線設備に前記複数の受信回線を介して通報する複数の通報端末を備え、前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第1の受信回路を介して通報する第1の通報端末と、前記複数の受信回線のうちの第2の受信回路を介して通報する第2の通報端末とを有する通報システムで用いる通報方法であって、前記第1の通報端末が、前記第1の受信回路を介して前記センター装置に前記通報を発信するときにその再発信を所定回数行っても前記センター装置で受信不可である場合、前記通報を前記第2の通報端末に転送するステップと、前記第2の通報端末が、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第2の受信回路を介して前記センター装置に発信するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る通報方法において、前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第3の受信回路を介して通報する第3の通報端末をさらに有し、前記第1の通報端末が、前記第2の通報端末に前記通報を転送するときにその再発信を所定回数行っても前記第2の通報端末で受信不可である場合、前記通報を前記第3の通報端末に転送するステップと、前記第3の通報端末が、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第3の受信回路を介して前記センター装置に発信するステップとをさらに有してもよい。前記第1〜第3の受信回路は、アナログ回線及びPHS回線に接続されるISDNと、PHS回線に接続されるパケット通信用の専用線と、常時接続回線との内のいずれかであってもよい。
【0014】
本発明に係る通報端末は、複数の受信回線に接続される回線設備を備えたセンター装置に対して通報を発信する通報端末であって、前記複数の受信回線のうちの所定の受信回路を介して前記センター装置に前記通報を発信するときにその再発信を所定回数行っても前記センター装置で受信不可である場合、前記通報を前記複数の受信回線のうちの前記所定の受信回路以外の他の受信回路に接続された他の通報端末に転送する転送手段と、前記他の通報端末から転送されてくる前記通報を受信したときに、当該通報を前記所定の受信回路を介して前記センター装置に発信する発信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、天災発生時等に多数の通報端末が同時に通報しても、センターの回線が輻輳して受信に時間がかかることを軽減することができ、センター装置の回線設備が1系統故障しても、全通報端末の通報を漏れなく受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る通報システム、これで用いる通報端末、及び通報方法を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施例の通報システムの全体構成を示す。
【0018】
図1に示す通報システムは、異常発生時に利用者側から警備センター(「受信センター」とも言う)側に通報を発信するもので、利用者側に配設される端末システム1と、警備センター側に装備され、複数の受信回線に接続される回線設備をもつセンターシステム(受信センター装置)4とを備え、両システム1、4間を、通信回線6を介して通信可能に接続したものである。
【0019】
通信回線6には、本実施例では、端末システム1に接続されるダイヤルアップ系の公衆網を成すアナログ回線61及びPHS(Personal Handyphone System)回線63と、両回線61、63及びセンターシステム4の回線設備間に接続されるISDN(Integrated Services Digital Network)62と、PHS回線63に接続されるPAS(PocketAirH“ Access Service又はPHS Packet Access Service)回線64と、PAS回線64及びセンターシステム4の回線設備間に接続される専用線65と、端末システム1に接続される常時接続系(オープンネットワーク)の回線(アナログ回線61等)を成すISP(Internet Services Provider)66、66間の公衆網内に構成されるVPN(Virtual Private Network)67とが含まれる。これら各回線61〜67は、既存のものが使用され、本発明の構成とは直接関係しないため、その詳細を省略する。
【0020】
なお、PAS回線65は、PHSを利用してパケット通信を行う際に用いられるものであり、PHSを利用したパケット通信利用時には、PHS回線63からPAS回線65及び専用線64を介してセンターシステム2に接続される。
【0021】
センターシステム2は、本実施例では3種類の受信回線、すなわちISDN62、専用線64、及びVPN67にそれぞれ接続されるアダプタ、ルータ、及びモデム等の通信装置(図示しない)と、これら各通信装置を介してLAN(Local Area Network)接続される交換機41、IP電話機42、電話機43、ルータ44、サーバ機45、及びクライアント機46等を有している。これら各機器41〜46は、既存のものが使用され、本発明の構成とは直接関係しないため、その詳細を省略する。なお、アダプタには、ISDN用のターミナルアダプタ、専用線用の専用アダプタ、VPN用アダプタ等が、ルータには、PIAFS(Personal Handyphone System Internet Access Forum Standard)対応ISDN用ルータ等が、モデムには、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム等がある。
【0022】
端末システム1は、本実施例では、ダイヤルアップ系のアナログ回線61と、ダイヤルアップ系のPHS回線63と、常時接続系(オープンネットワーク)の回線(アナログ回線61等)にそれぞれ接続される3種の通報端末、すなわち通報端末1(11)、通報端末2(21)、及び通報端末3(31)を備えている。各通信端末1(11)〜3(31)の数量は、通報システムの運用に応じて任意の設定及び変更可能であるが、例えば通報端末2(21)及び通報端末3(31)の台数は、通信端末1(11)の台数よりも多く設定することが好ましい。
【0023】
図2は、通報端末1(11)の内部構成を示す。
【0024】
通報端末1(11)には、送受話器12、カメラ13、及び異常検知用のセンサ14が接続されている。カメラ13は、対象エリアを撮像するCCDやCMOS等の固体撮像装置等の撮像装置が適用可能である。センサ14は、対象エリア内への侵入者等を検知する赤外線センサ等の検出器、対象エリア内のドアや窓ガラスの破損等を検知する振動センサ等の検出器等、警備センターへ通報すべき異常を検出しその検出信号を通報端末1(11)に出力可能なものであればよい。
【0025】
通報端末1(11)は、CPU111、メモリ112、送受話器12に接続される通話回路113、アナログ回線61に接続されるアナログ回線用ダイヤル回路114、アナログモデム115、ガイダンス応答回路・通話録音回路116、センサ14の検出信号が入力されるセンサ入力検出部117を有する。
【0026】
CPU111は、予め設定された制御プログラムを実行することにより全体動作を制御すると共に、本実施例では、回線が不通の際に行う再発信時の再発信回数(リダイヤル回数)をカウントし、予め設定された回数(n1)を超えたら、システムデータ表110の宛先情報(後述の図5参照)を参照して、次の宛先へアナログ回線用ダイヤル回路114によりダイヤルする制御を行う。
【0027】
メモリ112は、CPU111による制御で参照されるシステムデータ表110のほか、転送する通話録音データ、および警備データ、カメラ13により撮像されるカメラ画像を格納する。
【0028】
アナログモデム115は、CPU111による制御の元で、アナログ回線用ダイヤル回路114を介してアナログ回線61経由のデータ通信を行い、本実施例では、通信相手(他の通信端末2(21)又は3(31))のメモリ212又は312(図3及び図4参照)に格納され、その通信相手のアナログモデム217又は317(図3及び図4参照)を介して転送されてくるデータ(通話録音データ、警備データ、カメラ画像)を、アナログ回線用ダイヤル回路114を介して受信する。
【0029】
ガイダンス応答回路・通話録音回路116は、CPU211による制御の元で、通話回路113を介して予め設定されたガイダンス用メッセージを流し、その応答による音声通話を通話回路113を介して録音し、通話録音データとしてメモリ112内に記録させる機能を有する。通話録音データには、他の通信相手から転送されてくるものも含まれる。
【0030】
上記構成により、通報端末1(11)は、ダイヤルアップ系のアナログ回線61及びISDN62の通信系統R1に沿って、センターシステム4に対し、音声による通報、アナログモデム115による警備データ及び画像の通報を行い、この通報が行えず再発信回数が所定回数(n1)を超えた場合は、システムデータ表110に基づき次の宛先(図中の例では通報端末2(21))に対し、同様の通報を行い、この通報も行えず再発信回数が所定回数(n2)を超えた場合は、システムデータ表110に基づきその次の宛先(図中の例では通報端末3(31))に、同様の通報を行う。
【0031】
図3は、通報端末2(21)の内部構成を示す。
【0032】
通報端末2(21)には、送受話器22、カメラ23、及び異常検知用のセンサ24が接続されている。カメラ23は、対象エリアを撮像するCCDやCMOS等の固体撮像装置等の撮像装置が適用可能である。センサ24は、対象エリア内への侵入者等を検知する赤外線センサ等の検出器、対象エリア内のドアや窓ガラスの破損等を検知する振動センサ等の検出器等、警備センターへ通報すべき異常を検出しその検出信号を通報端末2(21)に出力可能なものであればよい。
【0033】
通報端末2(21)は、CPU211、メモリ212、送受話器22に接続される通話回路213、PHS回線63に接続されるPHS音声通信回路(デジタル−アナログ変換回路)214、PHS回線用ダイヤル回路215、PIAFSデータ/パケットデータ送受信回路216、アナログモデム217、ガイダンス応答回路・通話録音回路218、センサ24の検出信号が入力されるセンサ入力検出部219を有する。
【0034】
CPU211は、予め設定された制御プログラムを実行することにより全体動作を制御すると共に、本実施例では、回線が不通の際に行う再発信時の再発信回数(リダイヤル回数)をカウントし、予め設定された回数(n2)を超えたら、システムデータ表210の宛先情報(後述の図5参照)を参照して、次の宛先へPHS回線用ダイヤル回路215によりダイヤルする制御を行う。
【0035】
メモリ212は、CPU211による制御で参照されるシステムデータ表210のほか、転送する通話録音データ、および警備データ、カメラ23で撮像されたカメラ画像を格納する。
【0036】
PIAFSデータ/パケットデータ送受信回路216は、CPU211による制御の元で、PHS音声通信回路214及びPHS回線用ダイヤル回路215を介してPHS回線63経由のPIAFSデータ通信及びパケット通信を行うデータ送受信機能を有し、本実施例では、これに加え、通信相手(通信端末1(11)、3(31))からのデータ転送時には、その通信相手と同じ送受信回路を介して、その通信相手のメモリに格納されているデータ(通話録音データ、警備データ、カメラ画像)を受信する機能を有する。
【0037】
アナログモデム217は、通信相手(通信端末1(11)又は3(31))のメモリ212又は312(図2及び図4参照)に格納され、その通信相手のアナログモデム217又は317(図2及び図4参照)を介して転送されてくるデータ(通話録音データ、警備データ、カメラ画像)を、PHS回線用ダイヤル回路215を介して受信する。
【0038】
ガイダンス応答回路・通話録音回路218は、CPU211による制御の元で、通話回路213を介して予め設定されたガイダンス用メッセージを流し、その応答による音声通話を通話回路213を介して録音し、通話録音データとしてメモリ212内に記録させる機能を有する。通話録音データには、他の通信相手から転送されてくるものも含まれる。
【0039】
上記構成により、通報端末1(11)は、PHS回線43及びISDN42経由の通信系統R2に沿って、音声による通報、PIAFSデータ通信による警備データ及び画像の通報を行うか、またはPHS回線43、PAS回線45、及び専用線44経由の通信系統R3に沿って、PHSパケット通信による警備データ及び画像の通報を行い、この通報が行えず再発信回数が所定回数(n2)を超えた場合は、次の宛先(図中の例では通報端末3(31))に対し、同様の通報を行い、この通報も行えず再発信回数が所定回数(n3)を超えた場合は、その次の宛先(図中の例では通報端末1(11))に、同様の通報を行う。
【0040】
図4は、通報端末3(31)の内部構成を示す。
【0041】
通報端末3(31)には、送受話器32、カメラ33、及びセンサ34が接続されている。カメラ33は、対象エリアを撮像するCCDやCMOS等の固体撮像装置等の撮像装置が適用可能である。センサ34は、対象エリア内への侵入者等を検知する赤外線センサ等の検出器、対象エリア内のドアや窓ガラスの破損等を検知する振動センサ等の検出器等、警備センターへ通報すべき異常を検出しその検出信号を通報端末3(31)に出力可能なものであればよい。
【0042】
通報端末3(31)は、CPU311、メモリ312、送受話器32に接続される通話回路313、通信回線6(アナログ回線61又はPHS回線63)にVPNアダプタ35及びADSLモデム(又はPHS通信モジュール)36を介して接続されるアナログ回線(又はPHS回線)用ダイヤル回路314、VoIP(Voice over Internet Protocol)通信回路(デジタル−アナログ変換回路)315、LAN通信回路316、アナログモデム317、ガイダンス応答回路・通話録音回路318、センサ24の検出信号が入力されるセンサ入力検出部319を有する。
【0043】
CPU311は、予め設定された制御プログラムを実行することにより全体動作を制御すると共に、本実施例では、回線が不通の際に行う再発信時の再発信回数(リダイヤル回数)をカウントし、予め設定された回数(n3)を超えたら、システムデータ表310の宛先情報(後述の図5参照)を参照して、次の宛先へアナログ回線用ダイヤル回路314によりダイヤルする制御を行う。
【0044】
メモリ312は、CPU311による制御で参照されるシステムデータ表310のほか、転送する通話録音データ、および警備データ、カメラ33で撮像されたカメラ画像を格納する。
【0045】
アナログモデム317は、CPU211による制御の元で、通信相手(通報端末1(11)又は2(21))のメモリ112又は212(図2及び図3参照)に格納され、その通話相手のアナログモデム115又は217(図2及び図3参照)を介して転送されてくるデータ(通話録音データ、警備データ、カメラ画像)を、アナログ回線用ダイヤル回路314を介して受信する。
【0046】
ガイダンス応答回路・通話録音回路318は、CPU211による制御の元で、通話回路313を介して予め設定されたガイダンス用メッセージを流し、その応答による音声通話を通話回路313を介して録音し、通話録音データとしてメモリ312内に記録させる機能を有する。通話録音データには、他の通信相手から転送されてくるものも含まれる。
【0047】
VoIP通信回路315は、H.323やSIP(Session Initiation Protocol)等の所定規格の通話制御プロトコルに従いオープンネットワーク(IPネットワーク)上のIPアドレスで特定される通信相手との間で音声通話を可能にする既知の機能を有している。
【0048】
上記構成により、通報端末3(31)は、VoIP通信回路315及びLAN通信回路316によりLAN(図示しない)、VPNアダプタ35及びADSLモデム36を介してISP66、66間のVPN67経由の通信系統R4に沿って、センターシステム4に対し、VoIPによる音声通報、データ通信による警備データ及び画像の通報を行い、この通報が行えず再発信回数が所定回数(n3)を超えた場合は、次の宛先(図中の例では通報端末2(21))に対し、同様の通報を行い、この通報も行えず再発信回数が所定回数(n1)を超えた場合は、その次の宛先(図中の例では通報端末1(11))に、同様の通報を行う。
【0049】
図5は、通報端末1(11)〜3(31)で使用されるシステムデータ表のデータ構成を示す。
【0050】
システムデータ表に登録される項目には、データ通報宛先A、データ通報宛先B、データ通報宛先C、音声通報宛先1、音声通報宛先2、音声通報宛先3、端末ID、通報装置の適用回線、電話回線種別、リダイヤル回数、リダイヤル回数(警備データ転送)、暗証番号等が含まれる。
【0051】
データ通報宛先A〜Cには、データ通報すべき通信相手の電話番号又はIPアドレスが設定され、A〜Cの順番に優先順位が低くなっている。図5では、通報端末1(11)のシステムデータ表110の設定値が例示されている。例えば、データ通報宛先Aが警備センターの電話番号、データ通報宛先Bが通報端末2の電話番号、データ通報宛先Cが通報端末3のIPアドレスに設定されている。また、通報端末2(21)のシステムデータ表210の場合は、データ通報宛先Aが警備センターの電話番号、データ通報宛先Bが通報端末3のIPアドレス、データ通報宛先Cが通報端末1の電話番号に設定されている(図1参照)。さらに、通報端末3(31)のシステムデータ表310の場合は、データ通報宛先Aが警備センターの電話番号、データ通報宛先Bが通報端末2の電話番号、データ通報宛先Cが通報端末1の電話番号に設定されている(図1参照)。
【0052】
音声通報宛先1〜3には、データ通報すべき通信相手の電話番号又はIPアドレスが設定され、1〜3の順番に優先順位が低くなっている。図5では、通報端末1(11)のシステムデータ表110の設定値が例示されている。例えば、音声通報宛先1が警備センターの電話番号、音声通報宛先2が通報端末2の電話番号、音声通報宛先3が通報端末3のIPアドレスに設定されている。また、通報端末2(21)のシステムデータ表210の場合は、音声通報宛先1が警備センターの電話番号、音声通報宛先2が通報端末3のIPアドレス、音声通報宛先3が通報端末1の電話番号に設定されている(図1参照)。さらに、通報端末3(31)のシステムデータ表310の場合は、音声通報宛先1が警備センターの電話番号、音声通報宛先2が通報端末2の電話番号、音声通報宛先3が通報端末1の電話番号に設定されている(図1参照)。
【0053】
端末IDは、通信相手に自身を識別させるための端末固有のID、通報装置の適用回線は、回線種類(1:アナログ、2:ISDN、3:PHS、4:LAN(ADSLなど))、電話回線種別は、アナログ回線の契約種別(1:PB(プッシュボタン)、2:DP(ダイヤルパルス))、リダイヤル回数は、再発信回数n(n=1:1回、2:3回)、リダイヤル回数(警備データ転送)は、再発信回数n’(n’=1:1回、2:3回)、暗証番号は通信相手を識別するための番号である。
【0054】
次に、本実施例の動作を説明する。
【0055】
図6及び図7は、通報端末1(11)の動作フローを示す。この動作フローに対応する制御プログラムは、通報端末1(11)内のメモリ112又はCPU111内のメモリ等に予め設定され、CPU111により実行される。
【0056】
まず、通報端末1(11)は、センサ14による検出信号により通報要因が発生すると(ステップSt1)、システムデータ表110のデータ通報宛先Aの設定値(警備センターの電話番号)及び音声通報宛先Aの設定値(警備センターの電話番号)を参照して、アナログ回線61及びISDN62経由の通信系統R1を介して警備センターへ発信する(ステップSt2)。ここで、通報要因には、センサ14による検出信号のほか、他の通報端末2(21)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合も含まれる。
【0057】
次いで、通報端末1(11)は、システムデータ表110を参照して、システムデータ表110のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n1を参照して、再発信回数<n1かどうか確認する(ステップSt3)。ここで、他の通報端末2(21)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合は、設定値n’1と比較する。
【0058】
上記比較処理により再発信回数<n1の場合(ステップSt3:YES)、通報端末1(11)は、アナログ回線用ダイヤル回路114が発信し(ステップSt4)、回線がビジー状態でなく(ステップSt5:NO)、警備センターからの応答がある(ステップSt6:YES)場合、アナログ回線61及びISDN62経由の通信系統R1を介して通報する(ステップSt7)。この通報の際し、警備データの送信又は転送を行い、音声による通話又は録音音声の転送を行う。次いで、警備センターの受信完了を確認可能であれば(ステップSt7:YES)、待機状態に移行する(ステップSt8)。
【0059】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt5:YES)、または警備センター側からの応答がない(ステップSt6:NO)、あるいは警備センターの受信完了を確認できない(ステップSt7:NO)場合は、上記ステップSt2に戻り同様の処理を実行する。
【0060】
上記比較処理により再発信回数<n1でない場合(ステップSt3:NO)、通報端末1(11)は、システムデータ表110のデータ通報宛先Bの設定値(通報端末2の電話番号)及び音声通報宛先Bの設定値(通報端末2の電話番号)を参照して、通報端末2(21)へ発信し(ステップSt10)、システムデータ表110のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n2を参照して、再発信回数<n2かどうか確認する(ステップSt11)。ここで、他の通報端末2(21)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合は、設定値n’2と比較する。
【0061】
上記比較処理により再発信回数<n2の場合(ステップSt11:YES)、通報端末1(11)は、アナログ回線用ダイヤル回路114により発信し(ステップSt12)、回線がビジー状態でなく(ステップSt13:NO)、通報端末2(21)からの応答がある(ステップSt14:YES)場合、通報端末2(21)に対して、警備データの転送、または通話録音を行う(ステップSt15)。ここで、警備データは、他の通信端末2(21)、3(31)から転送された警備データを含む。次いで、通報端末2(21)の受信完了が確認可能であれば(ステップSt16:YES)、待機状態に移行する(ステップSt17)。
【0062】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt13:YES)、または通報端末2(21)からの応答がない(ステップSt14:NO)、あるいは通報端末2(21)の受信完了を確認できない(ステップSt16:NO)場合は、上記ステップSt10に戻り同様の処理を実行する。
【0063】
上記比較処理により再発信回数<n2でない場合(ステップSt11:NO)、通報端末1(11)は、システムデータ表110のデータ通報宛先Cの設定値(通報端末3のIPアドレス)及び音声通報宛先Cの設定値(通報端末3のIPアドレス)を参照して、通報端末3(31)へ発信し(ステップSt18)、システムデータ表110のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n3を参照して、再発信回数<n3かどうか確認する(ステップSt19)。ここで、他の通報端末2(21)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合は、n’3と比較する。
【0064】
上記比較処理により再発信回数<n3の場合(ステップSt19:YES)、通報端末1(11)は、アナログ回線用ダイヤル回路114により発信し(ステップSt20)、回線がビジー状態でなく(ステップST21:NO)、通報端末3(31)からの応答がある(ステップSt22:YES)場合、通報端末3(31)に対し、警備データの転送、または通話録音を行う(ステップSt23)。ここで、警備データは、他の通信端末2(21)、3(31)から転送された警備データを含む。次いで、通信端末3(31)の受信完了が可能であれば(ステップSt24:YES)、待機状態に移行する(ステップSt25)。
【0065】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt21:YES)、または通報端末3(31)からの応答がない(ステップSt22:NO)、あるいは通信端末3(31)の受信完了を確認できない(ステップSt24:NO)場合は、上記ステップSt18に戻り同様の処理を実行する。
【0066】
上記比較処理により再発信回数<n3でない場合(ステップSt19:NO)、最初の処理に戻る(ステップSt26)。
【0067】
図8及び図9は、通報端末2(21)の動作フローを示す。この動作フローに対応する制御プログラムは、通報端末2(21)内のメモリ212又はCPU211内のメモリ等に予め設定され、CPU211により実行される。
【0068】
まず、通報端末2(21)は、センサ24による検出信号により通報要因が発生すると(ステップSt31)、システムデータ表210のデータ通報宛先Aの設定値(警備センターの電話番号)及び音声通報宛先Aの設定値(警備センターの電話番号)を参照して、PHS回線63及びISDN62経由の通信系統R2を介して警備センターへ発信する(ステップSt32)。ここで、通報要因には、センサ24による検出信号のほか、他の通報端末1(11)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合も含まれる。
【0069】
次いで、通報端末2(21)は、システムデータ表210を参照して、システムデータ表210のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n2を参照して、再発信回数<n2かどうか確認する(ステップSt33)。ここで、他の通報端末1(11)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合は、設定値n’2と比較する。
【0070】
上記比較処理により再発信回数<n2の場合(ステップSt33:YES)、通報端末2(21)は、PHS回線用ダイヤル回路215が発信し(ステップSt34)、回線がビジー状態でなく(ステップSt35:NO)、警備センターからの応答がある(ステップSt36:YES)場合、PHS回線63及びISDN62経由の通信系統R2を介して通報する(ステップSt37)。この通報の際し、警備データの送信又は転送を行い、音声による通話又は録音音声の転送を行う。次いで、警備センターの受信完了は確認可能であれば(ステップSt38:YES)、待機状態に移行する(ステップSt39)。
【0071】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt35:YES)、または警備センターからの応答がない(ステップSt36:NO)、あるいは警備センターの受信完了を確認できない(ステップSt38:NO)場合は、上記ステップSt32に戻り同様の処理を実行する。
【0072】
上記比較処理により再発信回数<n2でない場合(ステップSt33:NO)、通報端末2(21)は、システムデータ表210のデータ通報宛先Bの設定値(通報端末3のIPアドレス)及び音声通報宛先Bの設定値(通報端末3のIPアドレス)を参照して、通報端末3(31)へ発信し(ステップSt40)、システムデータ表210のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n3を参照して、再発信回数<n3かどうか確認する(ステップSt41)。ここで、他の通報端末1(11)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合は、設定値n’3と比較する。
【0073】
上記比較処理により再発信回数<n3の場合(ステップSt41:YES)、通報端末2(21)は、PHS回線用ダイヤル回路215により発信し(ステップSt42)、回線がビジー状態でなく(ステップSt43:NO)、通報端末3(31)からの応答がある(ステップSt44:YES)場合、通報端末3(31)に対し、警備データの転送、または通話録音を行う(ステップSt45)。ここで、警備データは、他の通信端末1(11)、3(31)から転送された警備データを含む。次いで、通報端末3(31)の受信完了が確認可能であれば(ステップSt16:YES)、待機状態に移行する(ステップSt47)。
【0074】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt43:YES)、または通報端末3(31)からの応答がない(ステップSt44:NO)、あるいは通報端末3(31)の受信完了を確認できない(ステップSt46:NO)場合は、上記ステップSt40に戻り同様の処理を実行する。
【0075】
上記比較処理により再発信回数<n3でない場合(ステップSt41:NO)、通報端末2(21)は、システムデータ表210のデータ通報宛先Cの設定値(通報端末1の電話番号)及び音声通報宛先Cの設定値(通報端末1の電話番号)を参照して、通報端末1(11)へ発信し(ステップSt48)、システムデータ表210のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n1を参照して、再発信回数<n1かどうか確認する(ステップSt49)。ここで、他の通報端末1(11)、3(31)から警備データ、録音音声が転送された場合は、n’1と比較する。
【0076】
上記比較処理により再発信回数<n1の場合(ステップSt49:YES)、通報端末2(21)は、PHS回線用ダイヤル回路215により発信し(ステップSt50)、回線がビジー状態でなく(ステップSt51:NO)、通報端末1(11)からの応答がある(ステップSt52:YES)場合、通報端末1(11)に対し、警備データの転送、または通話録音を行う(ステップSt53)。ここで、警備データは、他の通信端末1(11)、3(31)から転送された警備データを含む。次いで、通信端末1(11)の受信完了が可能であれば(ステップSt54:YES)、待機状態に移行する(ステップSt55)。
【0077】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt51:YES)、または通報端末1(11)からの応答がない(ステップSt52:NO)、あるいは通信端末1(11)の受信完了を確認できない(ステップSt54:NO)場合は、上記ステップSt48に戻り同様の処理を実行する。
【0078】
上記比較処理により再発信回数<n1でない場合(ステップSt49:NO)、最初の処理に戻る(ステップSt56)。
【0079】
図10及び図11は、通報端末3(31)の動作フローを示す。この動作フローに対応する制御プログラムは、通報端末3(31)内のメモリ212又はCPU311内のメモリ等に予め設定され、CPU311により実行される。
【0080】
まず、通報端末3(31)は、センサ34による検出信号により通報要因が発生すると(ステップSt61)、システムデータ表310のデータ通報宛先Aの設定値(警備センターの電話番号)及び音声通報宛先Aの設定値(警備センターの電話番号)を参照して、VPN67経由の通信系統R4を介して警備センターへ発信する(ステップSt62)。ここで、通報要因には、センサ34による検出信号のほか、他の通報端末1(11)、2(21)から警備データ、録音音声が転送された場合も含まれる。
【0081】
次いで、通報端末3(31)は、システムデータ表310を参照して、システムデータ表310のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n3を参照して、再発信回数<n3かどうか確認する(ステップSt63)。ここで、他の通報端末1(11)、3(21)から警備データ、録音音声が転送された場合は、設定値n’3と比較する。
【0082】
上記比較処理により再発信回数<n3の場合(ステップSt63:YES)、通報端末3(31)は、LAN通信回路16により警備センターとリンクを確立し(ステップSt64)、リンク確立が失敗せずに(ステップSt65:NO)、警備センターからの応答がある(ステップSt66:YES)場合、VPN67経由の通信系統R4を介して通報する(ステップSt67)。この通報の際し、警備データの送信又は転送を行い、音声による通話又は録音音声の転送を行う。次いで、警備センターの受信完了は確認可能であれば(ステップSt68:YES)、待機状態に移行する(ステップSt69)。
【0083】
なお、警備センターとリンク確立が失敗する(ステップSt65:YES)、または警備センターからの応答がない(ステップSt66:NO)、あるいは警備センターの受信完了を確認できない(ステップSt68:NO)場合は、上記ステップSt62に戻り同様の処理を実行する。
【0084】
上記比較処理により再発信回数<n2でない場合(ステップSt63:NO)、通報端末3(31)は、システムデータ表310のデータ通報宛先Bの設定値(通報端末2の電話番号)及び音声通報宛先Bの設定値(通報端末2の電話番号)を参照して、通報端末2(21)へ発信し(ステップSt70)、システムデータ表210のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n3を参照して、再発信回数<n2かどうか確認する(ステップSt71)。ここで、他の通報端末1(11)、2(21)から警備データ、録音音声が転送された場合は、設定値n’2と比較する。
【0085】
上記比較処理により再発信回数<n2の場合(ステップSt71:YES)、通報端末3(31)は、アナログ回線ダイヤル回路314が発信し(ステップSt42)、回線がビジー状態でなく(ステップSt73:NO)、通報端末2(21)からの応答がある(ステップSt74:YES)場合、通報端末2(21)に対し、警備データの転送、または通話録音を行う(ステップSt75)。ここで、警備データは、他の通信端末1(11)、2(21)から転送された警備データを含む。次いで、通報端末2(21)の受信完了が確認可能であれば(ステップSt76:YES)、待機状態に移行する(ステップSt77)。
【0086】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt73:YES)、または通報端末2(21)からの応答がない(ステップSt74:NO)、あるいは通報端末2(21)の受信完了を確認できない(ステップSt76:NO)場合は、上記ステップSt70に戻り同様の処理を実行する。
【0087】
上記比較処理により再発信回数<n2でない場合(ステップSt71:NO)、通報端末3(31)は、システムデータ表310のデータ通報宛先Cの設定値(通報端末1の電話番号)及び音声通報宛先Cの設定値(通報端末1の電話番号)を参照して、通報端末1(11)へ発信し(ステップSt78)、システムデータ表310のリダイヤル回数(警備データ転送)の設定値n1を参照して、再発信回数<n1かどうか確認する(ステップSt79)。ここで、他の通報端末1(11)、2(21)から警備データ、録音音声が転送された場合は、n’1と比較する。
【0088】
上記比較処理により再発信回数<n1の場合(ステップSt79:YES)、通報端末3(31)は、アナログ回線用ダイヤル回路314が発信し(ステップSt80)、回線がビジー状態でなく(ステップSt81:NO)、通報端末1(11)からの応答がある(ステップSt82:YES)場合、通報端末1(11)に対し、警備データの転送、または通話録音を行う(ステップSt83)。ここで、警備データは、他の通信端末1(11)、2(21)から転送された警備データを含む。次いで、通信端末1(11)の受信完了が可能であれば(ステップSt84:YES)、待機状態に移行する(ステップSt85)。
【0089】
なお、回線がビジー状態である(ステップSt81:YES)、または通報端末1(11)からの応答がない(ステップSt82:NO)、あるいは通信端末1(11)の受信完了を確認できない(ステップSt84:NO)場合は、上記ステップSt78に戻り同様の処理を実行する。
【0090】
上記比較処理により再発信回数<n1でない場合(ステップSt79:NO)、最初の処理に戻る(ステップSt86)。
【0091】
従って、本実施例によれば、通報端末と警備センター側のセンターシステムとの間で通信を行う通報システムにおいて、複数の通報端末が相互に音声及びデータをバックアップして通報を行う構成としたため、設置環境などの問題でアナログ回線を使用せざるを得ない通報端末でも、センターが応答できない場合に他の回線で接続された端末を経由して通報を行うことで、より早く通報要因をセンターへ伝えることができ、これにより、センターの輻輳が回避でき、システム全体の通報が完了する時間を大幅に短縮することもできる。
【0092】
また、PHSのパケット通信や常時接続されたADSLのような回線で通報すれば、同じく常時接続されたセンターで順番に受信することができ、再発信する必要がないばかりか、呼制御に要する時間を削減することができる。このようにパケット通信や常時接続回線を使用することで、通信料を安価または実質無料にすることができる。
【0093】
さらに、センターの受信回線が故障した場合も、他の種類の受信回線が生きていれば、ペアとなる回線に接続された通報端末を通して故障した受信回線とペアとなる回線に接続された通報端末からの通報を受信することができる。また、上記現象を回避するために、通報端末が複数の回線を収容しなくてもよいという利点もある。
【0094】
以上説明したように、本実施例によれば、天災発生時等に多数の通報端末が同時に通報しても警備センターが輻輳して、受信に時間がかかること、通信料金がかかることを軽減することができ、受信センター側の回線設備が1系統故障しても、全通報端末の通報を漏れなく受信することができる。
【0095】
なお、本実施例では、アナログ回線を用いた通信系統と、PHS回線を用いた通信系統と、ADSL等の常時接続回線を用いた通信系統とを用いているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えばPHS回線に代えて携帯電話網等の他の移動体通信網を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、通報端末からセンター装置に通報する通報システム全般の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例による通報システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す通報端末1の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図2に示す通報端末1の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図4】図3に示す通報端末1の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図5】通報端末1のシステムデータ表のデータ構成を示す図である。
【図6】通報端末1の通報時の処理を示す概略フローチャートである。
【図7】通報端末1の通報時の処理を示す概略フローチャートである。
【図8】通報端末2の通報時の処理を示す概略フローチャートである。
【図9】通報端末2の通報時の処理を示す概略フローチャートである。
【図10】通報端末3の通報時の処理を示す概略フローチャートである。
【図11】通報端末3の通報時の処理を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
1 端末システム
4 センターシステム
6 通信回線
11 通報端末1
21 通報端末2
31 通報端末3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信回線に接続される回線設備を備えたセンター装置に対して通報を発信する通報端末を有する通報システムであって、
前記通報端末は、前記センター装置の回線設備に前記複数の受信回線を介して通報する複数の通報端末を備え、前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第1の受信回路を介して通報する第1の通報端末と、前記複数の受信回線のうちの第2の受信回路を介して通報する第2の通報端末とを有し、
前記第1の通報端末は、前記第1の受信回路を介して前記センター装置に前記通報を発信するときにその再発信を所定回数行っても前記センター装置で受信不可である場合、前記通報を前記第2の通報端末に転送し、
前記第2の通報端末は、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第2の受信回路を介して前記センター装置に発信することを特徴とする通報システム。
【請求項2】
前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第3の受信回路を介して通報する第3の通報端末をさらに有し、
前記第1の通報端末は、前記第2の通報端末に前記通報を転送するときにその再発信を所定回数行っても前記第2の通報端末で受信不可である場合、前記通報を前記第3の通報端末に転送し、
前記第3の通報端末は、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第3の受信回路を介して前記センター装置に発信することを特徴とする請求項1記載の通報システム。
【請求項3】
前記第1〜第3の受信回路は、アナログ回線及びPHS回線に接続されるISDNと、PHS回線に接続されるパケット通信用の専用線と、常時接続回線との内のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の通報システム。
【請求項4】
複数の受信回線に接続される回線設備を備えたセンター装置に対して通報を発信する通報端末を有し、前記通報端末は、前記センター装置の回線設備に前記複数の受信回線を介して通報する複数の通報端末を備え、前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第1の受信回路を介して通報する第1の通報端末と、前記複数の受信回線のうちの第2の受信回路を介して通報する第2の通報端末とを有する通報システムで用いる通報方法であって、
前記第1の通報端末が、前記第1の受信回路を介して前記センター装置に前記通報を発信するときにその再発信を所定回数行っても前記センター装置で受信不可である場合、前記通報を前記第2の通報端末に転送するステップと、
前記第2の通報端末が、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第2の受信回路を介して前記センター装置に発信するステップとを有することを特徴とする通報方法。
【請求項5】
前記複数の通報端末は、前記複数の受信回線のうちの第3の受信回路を介して通報する第3の通報端末をさらに有し、
前記第1の通報端末が、前記第2の通報端末に前記通報を転送するときにその再発信を所定回数行っても前記第2の通報端末で受信不可である場合、前記通報を前記第3の通報端末に転送するステップと、
前記第3の通報端末が、前記第1の通報端末から転送された前記通報を受信したときに、当該通報を前記第3の受信回路を介して前記センター装置に発信するステップとをさらに有することを特徴とする請求項4記載の通報方法。
【請求項6】
前記第1〜第3の受信回路は、アナログ回線及びPHS回線に接続されるISDNと、PHS回線に接続されるパケット通信用の専用線と、常時接続回線との内のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の通報方法。
【請求項7】
複数の受信回線に接続される回線設備を備えたセンター装置に対して通報を発信する通報端末であって、
前記複数の受信回線のうちの所定の受信回路を介して前記センター装置に前記通報を発信するときにその再発信を所定回数行っても前記センター装置で受信不可である場合、前記通報を前記複数の受信回線のうちの前記所定の受信回路以外の他の受信回路に接続された他の通報端末に転送する転送手段と、
前記他の通報端末から転送されてくる前記通報を受信したときに、当該通報を前記所定の受信回路を介して前記センター装置に発信する発信手段とを有することを特徴とする通報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−254180(P2006−254180A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69140(P2005−69140)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】