説明

通気性複合シート

撥液性通気性複合シートを、吸収性不織層の上に薄い非多孔質の水蒸気透過性フィルムを押出しコーティングし、その吸収性層と反対側のフィルムの面に撥液性不織層を接着剤を用いて積層させることにより、形成させる。その複合シートは、優れたウイルスおよび細菌バリヤー性を有していて、手術着や滅菌掛け布などの医療用途に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用製品たとえば手術着および滅菌掛け布において使用するのに好適な、水蒸気透過速度、ウイルスバリヤー性、および撥液性を改良された組合せで有する通気性複合シートに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用製品たとえば手術着および滅菌掛け布、ならびにパーソナルケア吸収用物品たとえばおむつなどを製造するために水蒸気透過性(通気性)シートを使用することは当業者には公知であって、この場合、通気性、細菌およびウイルスバリヤー性、ならびに液体バリヤー性を組み合わせて有することが望まれる。(特許文献1)(リム(Lim)ら)には、25マイクロメートル未満の厚みを有する通気性フィルムと繊維質基材とを組み合わせて、通気性複合シート構造を形成させた複合シートが記載されている。そのフィルムは、その繊維質基材に比較的平滑な側の上に押出しコーティングされる。好適な繊維質基材の例として、加熱接着されたカードウェブおよびスパンボンドウェブが挙げられている。(特許文献2)(アンクダ・ジュニア(Ankuda,Jr.)ら)には、2枚の不織層の間に接着剤を用いて接着された通気性のフィルム層を含んでなる、使い捨てタイプの手術用滅菌掛け布および手術着において使用するのに適した、積層物が記載されている。その不織布は、湿式レイド、乾式レイド、スパンレースド、またはスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布などであってよい。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,187,696号明細書
【特許文献2】米国特許第6,638,605号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安価に製造することが可能な、改良された、水蒸気透過速度ならびに液体、細菌およびウイルスに対するバリヤー性を有する通気性複合シートが提供されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のものから製造される水蒸気透過性の複合シートに関する:
二つの対向する表面を有し、0重量パーセント〜95重量パーセントの間の合成熱可塑性繊維、および100重量パーセント〜5重量パーセントの間の吸収性繊維を含んでなる、吸収性繊維質不織層;
二つの対向する表面を有する撥液性不織層であって、撥液性不織層は、撥液性組成物を含んでなる合成繊維を含んでなる撥液性不織層;および
撥液性不織層と吸収性不織層との間に挟まれている、厚み25マイクロメートル以下の、非多孔性で、液体不浸透性で、水蒸気透過性のフィルム層。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、「不織布」、「不織シート」、「不織層」、および「不織ウェブ」という用語は、ランダムに配置されていて、編布または織布などとは異なって認識可能なパターンを有さない、平面状物質を形成している、個別なストランド(たとえば、繊維、フィラメント、またはスレッド)の構造物を指す。本明細書においては、「繊維」という用語は、ステープルファイバーさらには連続フィラメントも含めて使用されている。不織布の例としては、メルトブローンウェブ、スパンボンド不織ウェブ、フラッシュ紡糸ウェブ、ステープル系のウェブ(カード化およびエアレイドウェブを含む)、スパンレースドウェブ、および2種以上の不織ウェブを含んでなる複合シートが挙げられる。
【0007】
本明細書で使用するとき、「スパンレースド不織ウェブ」という用語は、バインダーをまったく使用せずに強力な布が得られるように、ウェブ中の繊維を交絡させて製造した不織布を指す。たとえば、スパンレースド布は、繊維の不織ウェブを多孔質の支持体たとえば金網の上に支持して、たとえば水力ニードリングプロセスにおけるように、その支持されたウェブを水ジェットノズルの下におくことにより、調製することができる。それらの繊維を、繰り返しパターンで交絡させることができる。
【0008】
本明細書で使用するとき、「粉末接着された不織ウェブ」という用語は、未接着の繊維ウェブたとえばカードウェブの上に粉末接着剤を、その粉末接着剤が繊維ウェブの厚み全体に分散されるように、堆積させることによって形成される接着された不織布を指す。粉末接着剤は、繊維ウェブの中で、その繊維の融点よりも低い温度で溶融するものから選択する。次いで、繊維ウェブの繊維は溶融させることなく、粉末接着剤が溶融するようにその粉末含有ウェブを加熱して、粉末接着された不織ウェブを形成させる。
【0009】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド繊維」という用語は、紡糸口金の複数の細い、通常は円形の毛細管から溶融熱可塑性ポリマー物質を繊維として押出すことによって溶融紡糸された繊維を意味するが、その押出された繊維の直径は、次いで延伸により急速に減少され、さらにその繊維が急冷される。
【0010】
本明細書で使用するとき、「メルトブローン繊維」という用語は、メルトブローン法により溶融紡糸された繊維を意味するが、その方法には、溶融加工可能なポリマーを、複数の毛細管を通過させて、高速のガス(たとえば、空気)の流れの中に、溶融流れとして押出すことを含んでなる。
【0011】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布」(「SMS」)という用語は、2層のスパンボンド層の間にサンドイッチ状に挟まれ接着されたメルトブローン繊維のウェブを含んでなる多層複合シートを指す。その複合シートには、さらなるスパンボンド層および/またはメルトブローン層を組み入れて、たとえば、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンドウェブ(「SMMS」)などとすることも可能である。
【0012】
本明細書で使用するとき、「多成分繊維」という用語は、同時に紡糸された単繊維を形成している、少なくとも2種の異なったポリマー成分からなる繊維を指す。その少なくとも2種のポリマー成分が、その多成分繊維の横断面の中で、区別可能な実質的に一定位置のゾーンに存在しているように配列されており、そのゾーンが繊維の長さ方向に実質的に連続的に延在している。
【0013】
本明細書で使用するとき、「2成分繊維」という用語は、2種の異なったポリマー成分から形成された多成分繊維を指し、そのようなものとしてはたとえば、シースを形成する第一のポリマー成分とコアを形成する第二のポリマー成分とを含んでなるシース・コア繊維;ならびに、第一のポリマー成分が、第二のポリマー成分から形成される少なくとも一つのセグメントに隣接した、少なくとも一つのセグメントから形成しており、それぞれのセグメントがその繊維の長さ方向では実質的に連続であり、しかも両方のポリマー成分が繊維表面に露出されている、サイド・バイ・サイド繊維が挙げられる。多成分繊維は、ポリマー材料の単一の均一系または不均一系ブレンド物から押出された繊維とは区別される。本明細書で使用するとき、「多成分不織ウェブ」という用語は、多成分繊維を含んでなる不織ウェブを指す。多成分ウェブには、多成分繊維に加えて、単一成分および/またはポリマーブレンド物繊維を含んでなることができる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「撥液性不織層」という用語は、INDA IST 80.8に従って測定したときに、少なくとも2の撥アルコール性を有する不織層を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、「ピンホール」という用語は、フィルムの製造工程または加工工程のいずれかの際に、フィルムに誤って形成された小さな孔を意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、「ポリエステル」という用語では、繰り返し単位の少なくとも85%がジカルボン酸とジヒドロキシアルコールとの縮合反応生成物であって、エステル単位の生成によりその結合が得られているポリマーを包含することを意図している。これには、芳香族、脂肪族、飽和および不飽和二酸ならびジアルコールが含まれる。本明細書で用いるとき、「ポリエステル」という用語にはさらに、コポリマー(たとえば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー)、ブレンド物、およびそれらの変性物も含まれる。ポリエステルの一般的な例としてはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)が挙げられるが、このものはエチレングリコールとテレフタル酸の縮合反応生成物である。
【0017】
本発明は、吸収性繊維質層、撥液性繊維質層、および実質的にピンホールの無い、中間層繊維質層である非多孔質(モノリシック)通気性フィルム層を含んでなる通気性複合シートに関する。通気性フィルム層は、吸収性繊維質層の面の上に押出しコーティングされ、次いで、通気性フィルムの吸収性繊維質層とは反対側の面に撥液性繊維質層が接着積層される。
【0018】
吸収性繊維質不織層は、0〜95重量パーセントの間の熱可塑性合成繊維および100〜5重量パーセントの間の吸収性繊維を含んでなる。繊維含量の範囲は、30〜70重量パーセントの間の熱可塑性合成繊維から、70〜30重量パーセントの範囲の吸収性繊維まで、拡張することができる。それらのパーセントは、繊維質層内の繊維の全重量を基準に計算している。不織ウェブは、1滴の水をその布の上に落としたときに、それが水で濡れない場合には、吸収性繊維質不織層であると一般的には考えられる。本発明の目的においては、布の上に水滴を落とした後約5分間以内にその布の上の水滴の形状および形態が変化しない場合には、その布は吸収性がない、すなわち、その布が水滴によって濡れないとみなされる。そうでない場合には、その布は吸収性とみなされる。
【0019】
一つの実施態様においては、吸収性不織層を調製するために使用される吸収剤および合成繊維には、ステープルファイバーを含んでなる。好適なステープルファイバー不織布の例としては、スパンレースド不織ウェブおよび粉末接着された不織ウェブが挙げられる。スパンレースド不織布を製造するための、水流交絡(または水力ニードリング)プロセスは、当業者には周知である。水流交絡プロセスにおいては、繊維ウェブを金網またはその他のタイプの開口部を有する支持体の上に置き、一連の高圧水ジェットに暴露させて、繊維の交絡を行わせて、スパンレースド不織布を形成させる。慣用される水流交絡プロセスを使用して、本発明の吸収性不織層において使用するのに好適なスパンレースド布を調製することが可能であるが、それらについては、米国特許第3,485,706号明細書(エバンス(Evans))および米国特許第4,891,262号明細書(ナカマエ(Nakamae)ら)に記載がある。粉末接着された不織ウェブは当業者公知の方法を用いて調製することができるが、たとえばそのようなプロセスは米国特許第4,845,583号明細書(チンマーマン(Zimmerman)ら)に記載がある。粉末堆積装置を使用して、繊維質不織ウェブに熱可塑性接着剤粉末を適用する。粉末をウェブの上に落下させ、重力によってウェブ全体に分散させる。不織ウェブの中に堆積された粉末の重量は、一般的には、その粉末接着される不織ウェブの約8〜約30重量パーセントの間である。その粉末を含む繊維ウェブを加熱して、ウェブを接着させる。たとえば、オーブン、たとえば赤外線オーブンにウェブを通過させて、その中で接着剤粉末を溶融させて繊維を接着させることができる。オーブンから出たところで、一般的には、そのウェブをニップ中で軽く加圧する。
【0020】
別な方法として、その吸収性繊維質不織層が、吸収性繊維と熱可塑性合成繊維のブレンド物を含んでなる、加熱接着されたカードウェブまたはエアレイドウェブであってもよい。その熱可塑性繊維は、実質的にバインダー繊維からなっていてもよいし、あるいはバインダー繊維と、より高い融点の熱可塑性繊維とのブレンド物を含んでなっていてもよい。バインダー繊維は、ウェブの中の他の繊維の分解点または融点よりも低い温度で、加熱接着することが可能(すなわち、溶融可能または部分的に溶融可能)である。バインダー繊維は、単一成分の繊維であってもよいし、あるいは、多成分繊維を含んでなっていてもよい。ウェブは、当業者公知の方法たとえば全面的または間欠的カレンダー接着方法を用いて、加熱接着することができる。
【0021】
吸収性繊維質不織層において使用するのに好適な合成繊維を調製するために適した熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステルたとえばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート);ポリエチレン;ポリプロピレンならびにポリアミドなどが挙げられる。吸収性繊維質不織層において使用するのに好適な吸収性繊維としては、天然セルロース系繊維、再生セルロース系繊維、動物性繊維、吸収性合成繊維およびそれらのブレンド物などが挙げられる。天然セルロース系繊維の例としては、木材パルプおよび綿が挙げられる。再生セルロース系繊維の例としては、レーヨン、アセテート、およびリオセル繊維が挙げられる。好適な動物性繊維としては、羊毛および絹繊維が挙げられる。
【0022】
吸収性合成繊維は、界面活性剤を含んでなる組成物を用いて、合成繊維を局所的に処理することによって調製することができる。典型的には、界面活性剤は、油性の疎水性物質に対する親和性を有する長鎖の炭化水素と、さらには水および親水性物質に対する親和性を有するイオン性基を含んでなる。別な方法として、親水性溶融添加物を、吸収性合成繊維を形成させるためのポリマーを紡糸する前に、ポリマーとブレンドしておくことも可能である。また別な実施態様においては、吸収性を付与するためにポリマーを化学的変性させることも、そのポリマー骨格の中に極性の分岐または極性のブロックを導入することによって、達成することができる。化学的に改質された吸収性繊維の一例は、ディー・エー・ケー・アメリカズ(DAK Americas)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC)から入手可能な、デルクロン(Delcron)(登録商標)ハイドロテック(Hydrotec)繊維である。
【0023】
撥液性不織層は、疎水的撥液性組成物を含んでなる繊維から形成させる。不織層を形成させるより前に撥液剤を用いて繊維を処理してもよいし、あるいは撥液剤を用いて予め形成させておいた繊維質不織層を処理することもできる。局所処理として使用するのに好適な撥液性組成物としては一般に、フルオロケミカル、ワックス、およびシリコーン系長鎖炭化水素などが挙げられる。本発明の複合シートを、医療用布たとえば被服および滅菌掛け布に使用する場合には、その撥液性組成物がフルオロケミカルを含んでなるのが好ましい。好適なフルオロケミカルとしては、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)のイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Comapny)(デュポン(Dupont))から入手可能な、ゾニル(Zonyl)(登録商標)フルオロケミカルが挙げられる。別な方法として、撥液性繊維を押出すより前に、撥液性組成物を溶融添加物としてポリマー系に加えておくこともできる。好適な撥液性溶融添加物の一例は、ミネソタ州セント・ポール(St. Paul,MN)のミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Company)から入手可能な、FX1801フルオロケミカルである。本発明において使用するのに好適な撥液性不織層には、INDA IST 80.8に従って測定したときに、少なくとも2、より好ましくは少なくとも6の撥アルコール性を有している。
【0024】
撥液性不織層を形成させるのに好適な不織布基材としては、スパンボンドおよびスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織ウェブが挙げられる。その撥液性不織層には、単一成分および/または多成分繊維、たとえば2成分繊維を含んでなることができる。一つの実施態様においては、撥液性不織層を形成させるために使用される不織布基材は、多成分スパンボンドウェブたとえば2成分繊維スパンボンドウェブを含んでなる。たとえば、撥液性層は、ポリエチレンとポリエステルからの2成分繊維を含んでなる2成分繊維スパンボンドウェブから形成させることができる。ポリエチレン、たとえば線状低密度ポリエチレンが柔らかい布を与え、それに対してポリエステルたとえばポリ(エチレンテレフタレート)が強度を与える。一つの実施態様においては、そのスパンボンド繊維が、ポリエチレンのシースとポリエステルのコアを含んでなる。柔らかい布を与えることに加えて、ポリエチレンは他のポリマーに比較して融点が相対的に低いので、それによって、その不織ウェブをそれ自体あるいは他の基材に加熱接着を用いて接着させることが容易となる。
【0025】
吸収性および撥液性の不織布繊維質基材を選択して、複合シートに所望の強度、透過性、および柔らかさを付与するようにする。吸収性および撥液性の不織層は一般に、約0.5〜2オンス/平方ヤードの間の坪量を有する。
【0026】
図1は、本発明による多層複合シートの模式的断面図である。非多孔質の液体不浸透性で水蒸気透過性のフィルム層1が、吸収性繊維質不織層3と撥液性不織層5の間に挟まれている。フィルム1は、単一層フィルムであっても、多層フィルムであってもよい。本発明の多層水蒸気透過性複合シートは、押出しコーティング法によって、非多孔性の液体不浸透性で水蒸気透過性のフィルム層を吸収性不織層の一方の面の上に形成させ、次いで、その吸収性不織層とは反対のフィルムの面に撥液性不織層を接着剤を用いて積層させることにより、調製する。その接着剤層は、撥液性不織層5とフィルム層1の中間層であって、図1には示されていない。
【0027】
フィルム層1は、薄く、連続の、水蒸気透過性、そして実質的に液体不透過性であるフィルムとして押出し加工することが可能なポリマー材料を含んでなる。そのフィルム層は、押出しコーティングプロセスにおいて吸収性不織層の上に直接押出され、約1ミル(25マイクロメートル)未満、より好ましくは約0.75ミル(19マイクロメートル)未満、最も好ましくは約0.60ミル(15.2マイクロメートル)未満の厚みを有している。そのフィルム層1は、ブロックポリエーテルコポリマーたとえばブロックポリエーテルエステルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、またはそれらの組合せを含んでなるのが好ましい。好適なコポリエーテルエステルブロックコポリマーは、柔らかいポリエーテルセグメントと硬いポリエステルセグメントとを有するセグメント化エラストマーであるが、これについては、米国特許第4,739,012号明細書(ハグマン(Hagman))に記載がある。好適なコポリエーテルエステルブロックコポリマーは、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Comapny)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE))からハイトレル(Hytrel)(登録商標)の名前で販売されている。好適なコポリエーテルアミドポリマーは、米国ニュージャージー州グレンロック(Glen Rock,New Jersey,USA)のアトケム・インコーポレーテッド(Atochem.Inc.)からペバックス(Pebax)(登録商標)の名前で入手可能なコポリアミドである。好適なポリウレタンは、米国オハイオ州クリーブランド(Cleveland,Ohio,USA)のB.F.グッドリッチ・カンパニー(B.F.Goodrich Company)からエスタン(Estane)(登録商標)の名前で入手可能な熱可塑性ウレタンである。好適なコポリ(エーテルイミド)エステルは、米国特許第4,868,062号明細書(ヘシェレ(Hoeschele)ら)に記載がある。
【0028】
押出しコーティングプロセスにおいては、均質な(モノリシック、すなわち、実質的にピンホールの無い)溶融押出し物が、吸収性不織層の上にコーティングされる。溶融ポリマーと吸収性不織ウェブとを密接に接触させて、溶融ポリマーが冷却すると、ウェブが接着されるようにする。そのような接触と接着は、その層を2本のロールの間に形成させたニップを通過させることによって向上させることが可能である。別な方法として、真空が溶融ポリマーを引っ張ってウェブと接触状態になるように吸引口の上にコーティングされたウェブを通過させることによって、溶融ポリマーを吸引して、粉末接着された不織ウェブと接触状態とし、ポリマーが冷却するとウェブと接着されるようにすることもできる。その押出し加工されたフィルム層は実質的にピンホールその他の欠陥を有さず、しかもかなり高い水蒸気等加速度を有している。たとえば米国特許出願公開第2002/0106959号明細書に記載されている方法のように、押出しコーティング法は当業者には公知である。
【0029】
複合材料積層シートのフィルム層1(図1)は、多層を含んでなることができる。そのようなフィルムは、1種もしくはそれ以上の上述の通気性熱可塑性フィルム物質を含んでなる層と共押出ししてもよい。典型的には、比較的より疎水性のエラストマー層と比較的より親水性のエラストマー層とを含んでなる、そのような多層水蒸気透過性フィルムの例は、米国特許第4,725,481号明細書(オスタプチェンコ(Ostapchenko))に開示されている。好ましい実施態様においては、(2層実施の)多層フィルムは、吸収性不織層から見て外側に面する比較的より疎水性のエラストマー層と、吸収性不織層に密着された比較的より親水性のエラストマー層とが得られるように、吸収性不織層の上に押出し加工される。典型的には、所定の厚みでは、その疎水性エラストマー層は親水性エラストマー層よりも低い水蒸気透過速度を示すが、その理由は、使用条件下においてはその湿分含量が比較的に低いからである。しかしながら、比較的薄い層で用いた場合には、疎水性の低湿分含量フィルム層の影響が、その複合材料積層シートの水蒸気透過速度を顕著に低下させることはない。その比較的より疎水性のエラストマーが、その複合材料フィルム層の全厚みの20〜30パーセントの間を含んでなるのが好ましい。
【0030】
撥液性不織層を、点在させた領域に適用してそれらの二つの鋼製成分が互いに不連続的に接着されるように接着剤を用いて、押出しコーティングされたフィルム/吸収性不織布2層積層物のフィルムの側に合体させる。たとえば、その接着剤は、あるパターンで、またはランダムに配向させたフィラメントとして適用することができる。接着剤は、約1g/m〜6g/mで適用するのが好ましい。接着剤の担持量が多すぎると、その複合材料積層シートは期待しているよりも硬くなってしまうであろう。担持量が低すぎると、フィルムと撥液性不織層との間の接着強度が低くなりすぎるであろう。接着剤は、感熱性ホットメルト接着剤たとえば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)またはポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)をベースとするホットメルト接着剤であるのが好ましい。慣用される接着剤積層方法は、たとえばメルトブローン法、スクリーン法またはグラビア接着積層法などが使用できる。メルトブローン接着積層プロセスにおいては、フィルム層または撥液性不織層のいずれかの上に、ランダムな溶融メルトブローン繊維として接着剤を堆積させる。スクリーンまたはグラビア接着積層プロセスにおいては、ホットメルト接着剤を、パターン化されるかまたは製版された(engraved)領域を通して適用する。フィルム層と撥液性不織層との間の接着性は一般に、フィルム層の上にホットメルト接着剤を堆積させることによって改良することができるが、そのことによって、ホットメルト接着剤をフィルムに接触させたときの高温が原因で、フィルムにピンホールが発生する傾向が生じうる。撥液性不織層の上にホットメルト接着剤を堆積させることによって、その接着剤をフィルム層の上に堆積させた場合に比較して、接着強度が低下する可能性があるが、その撥液性不織層を適切に選択することによって、ピンホールの発生を抑制しながらも、ほとんどの末端用途では受け入れ可能な接着性を与えることができる。フィルム層と撥液性不織層とを接触させた後で、そのホットメルト接着剤を冷却し、2本のロールの間に形成されたニップを通過させる。別な方法としては、ホットメルト接着剤組成物から形成された接着ウェブを、撥液性不織層と、押出しコーティングされたフィルム/吸収性不織布の2層積層物との中間に位置させて、組み合わせた層を2本のロールの間に形成された加熱ニップ通過させることにより、それらの層を接着させて、本発明による水蒸気透過性複合シートを形成させることもできる。
【0031】
本発明の水蒸気透過性複合シートは、好ましくは少なくとも約3000g/m/24時間、より好ましくは少なくとも約4000g/m/24時間の水蒸気透過速度を有する。それらのシートは、ASTM F1670およびF1671の要件を満たす、充分なウイルスバリヤー性を有していなければならない。さらに、本発明のシートは、100秒未満好ましくは60秒未満のウィッキング速度を有する。本発明の複合材料積層物は、たとえば被服および滅菌掛け布のような医療用布において使用するのに適している。被服の加工に使用する場合、その被服は、吸収性不織層が、使用時に着用者に触れるその被服の内側層を形成し、その撥液性不織層がその被覆の外側表面を形成するように、製造する。それらの複合材料積層物はさらに、液体不透過性と組み合わせて水蒸気透過性が重要視されるようなその他の多くの用途、たとえば自動車用の保護カバー、収穫物、ハウスラップ、および天井ライナーなどにおいて使用するのにも適している。さらに、本発明のウイルスバリヤー特性によって、医療用衣料品以外の保護衣類、たとえばアスベストなどの粒子状物の浸透を防止するための保護衣類;細菌などその他の生物兵器からの保護;たとえば有害化学物質など有害な液状物の浸透からの保護;およびクリーンルーム用被服などにおける使用が可能となる。同様にして、本発明の複合材料積層物は、たとえばおむつ、衛生ナプキンなどのようなパーソナルケア物品における使用も見出すことができる。本発明が蒸気透過性を有することによって、手術用器具を包むためのスチーム滅菌ラップおよび滅菌用の消耗品としての使用が可能となる。吸収性の内側層がさらなる快適さを与えることが可能であって、吸収性が必要とされる、医療用手術着および滅菌掛け布、防護服、ならびにパーソナルケア物品などの用途の可能性がある。
【0032】
試験方法
これまでの記述および以下に続く非限定的な実施例において、下記の試験方法を使用して、各種の報告特性や値を求めた。ASTMは、米国材料試験協会(The American Society for Testing and Materials)を指す。TAPPIは、紙パルプ技術協会(The Technical Association of Pulp and Paper Industry)を指す。ISOは、国際標準化機構(The International Organization for Standardization)を指す。INDAは、不織布工業会(Association of the Nonwoven Fabrics Industry)を指す。
【0033】
厚みは、ASTM試験法D177−64によって求め、ミルの単位で報告する。
【0034】
坪量は、ASTM D−3776によって求め、オンス/平方ヤード(osy)の単位で報告する。
【0035】
グラブ法引張強度(GTS)は、ASTM D5034−95によって求め、ポンドの単位で測定する。
【0036】
トラップ引裂き強度(TTS)は、ASTM D5733により測定したが、この場合、トラペゾイド引裂き強度を、サンプルの中に予め開始させておいた引裂きを続けたり進めたりするのに必要な最大引裂き力として、ポンドの単位で記録した。この検討においては、試験の開始から終了までの平均引裂き強度を、トラップ引裂き(Trap Tear)として採用した。
【0037】
接着強度(BS)は、一般的にASTM D2724−87の方法に従った試験法により、測定した。その試験は、インストロン(Instron)テーブルモデル試験機のような定速伸長形引張試験機を用いて実施した。5cm(2.0インチ)×20.32cm(8.0インチ)のサンプルを、繊維ウェブと水蒸気透過性フィルムとの間で分離を開始させることにより、約3.18cm(1.25インチ)剥離させた。その剥離させたサンプルの面を、5.08cm(2.0インチ)の距離で離して設定しておいて試験機のクランプに取り付けた。その試験機を、30.5cm/分(12.0インチ/分)のクロスヘッド速度で作動させた。サンプルを約10cm(4インチ)剥離させ、その間に、読みとりを充分に行って、データの代表的平均値を採取する。2インチから4インチ分離するまでの間の接着強度の平均値を測定して、平均接着強度とした(単位グラム)。その数値を2インチで割り算することによって、平均接着強度を、グラム/インチの単位で得た。
【0038】
静水頭(HH)は、IST 80.4に従って測定したが、その方法では、100cmの円形の面積を有する試験サンプルにおける、水の浸透に対する抵抗性を測定する。サンプルの3カ所で水による浸透が起きるまで、試験片の布側に水圧を加える。その静水圧は、センチメートルの単位で測定する。この検討においては、フィルムをベースとする積層物製品では、支持金網物質を使用して、その積層物が引裂かれたり、延伸されたりすることから積層物を保護した。
【0039】
ウイルスバリヤー性は、ASTM F1671に従って測定した。ASTM F1671は、血液由来の病原体の浸透に対処するための防護衣において使用される物質の、抵抗性を測定するための標準試験方法である。この方法に従えば、試験に供されるシート物質の3個のサンプルについて、大きさがC型肝炎ウイルス(0.028マイクロメートル)と同程度の10φ−X174バクテリオファージを用い、表面張力を0.042N/mに調節し、差圧2psi(13.8kPa)で24時間かけて試験する。生ウイルスによるサンプルの透過をアッセイ手順を用いて求める。その試験結果は、プラーク形成単位/ミリリットル(PFU/mL)の単位で報告する。24時間の試験時間の後でゼロPFU/mLが検出されたら、そのサンプルは合格とする。
【0040】
ASTM F1670は、合成血液を使用した、液体透過に対する抵抗性を測定するために使用した。同一の試験装置がASTM F1671の場合にも使用されたが、試験溶液としては、合成血液溶液が使用された。同一の圧力、2psiを適用した。ウイルスの透過が観察されたら、そのサンプルは不合格とする。
【0041】
水蒸気透過速度(MVTR)は、IST 70.4により、モコン・パーマトラン−W・モデル・100K・装置(Mocon Permatran−W model 100K Instrument)を用いて測定した。MVTR数、すなわち、37.8℃および60%RHにおける単位面積あたりの表面に垂直な水蒸気の流速を、g/m/24時間の単位で報告した。
【0042】
ウィッキングは、IST 10.1に従って測定した。幅25mm長さ100mmのサンプルを切断し、垂直に水に浸漬させた。水が25mm(1インチ)の高さまで上がってくる時間を、秒の単位で測定した。
【0043】
吸収容量(AC)は、GATS(グラビメトリック・アブソーベンシー・テスティング(Gravimetric absorbency Testing))システム、モデルM/K201(M/K・システムズ・インコーポレーテッド(M/K Systems,Inc.)製)により測定した。2直径サンプル(two−diameter sample)を切り出し、秤量してから、試験機の上に置いた。水をそのサンプルに導入してから、吸収された全水量をサンプル重量で割り算して計算することにより、パーセント吸収容量を得た。
【0044】
撥アルコール性(AR)は、INDA IST 80.8により測定した。IST80.8は、イソプロパノール水溶液による浸透に対する、不織布の抵抗性を測定するための標準試験方法である。撥アルコール性は、アルコール濃度を基準とした等級で報告した。5分以内に試験片に浸透しない、試験溶液の最も高い数を記録した。
【0045】
静電崩壊(Electrostatic Decay)は、INDA IST 40.2に従って測定した。IST40.2は、試験片の表面から電荷が消失するのに必要な時間を測定するための標準試験方法である。試験サンプルを、正または負の高電圧(5000V)により荷電させ、その電荷が消失するまでの時間を測定した。静電崩壊は、秒の単位で報告した。
【実施例】
【0046】
実施例1〜5
これらの実施例においては、1.0オンス/平方ヤード(34g/m)の坪量を有する、3種の異なった粉末接着された不織層を吸収性内側層、すなわち通気性フィルム層に隣り合う層として使用した(サウスカロライナ州グリーンビル(Greenville,South Carolina)のHDK・カンパニー(HDK Company)から入手)。その粉末接着された不織層は、ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート))とレーヨンステープルファイバーとのブレンド物から形成させ、レーヨン/ポリエステルの重量比で、70/30、50/50、および30/70の3種の異なったブレンド比を用いた。コポリエステル粉末接着剤を、不織ウェブ中の粉末接着剤およびステープルファイバーの全重量を基準にして、20重量パーセントの担持量で使用した。
【0047】
2層積層の複合材料構造を形成させるために、通気性膜フィルム層である、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)コポリエーテルエステルのポリマーフィルム層と共に、その粉末接着された不織ウェブを押出しコーティングした。ハイトレル(Hytrel)(登録商標)フィルム層は、いずれもデュポン(DuPont)から入手可能な、ハイトレル(Hytrel)G4778(融点:208℃、ビカー軟化温度:175℃、ショアーD硬度:47、水分吸収:2.3重量%)およびハイトレル(Hytrel)(登録商標)8206(融点:200℃、ビカー軟化温度:151℃、ショアーD硬度:45、水分吸収:30重量%)のパーセントを変化させたブレンド物の3層と共に共押出しした。その3層のハイトレル(Hytrel)(登録商標)は、50%を超えるG4778、8206、および着色顔料からなる2層の外側層と、8206、着色顔料およびTiOからなる内側層とで形成されていた。内側層の厚みは、それぞれの外側層の厚みの約3倍であった。ハイトレル(Hytrel)(登録商標)G4778およびハイトレル(Hytrel)(登録商標)8206の合計したパーセントは、それぞれ23%と70%であった。ハイトレル(Hytrel)(登録商標)の2種のグレードのブレンド物を選択して、2層積層物の通気性および柔らかさ、ならびに2層積層物の強度および低水吸収性の優れたバランスが得られるようにした。ハイトレル(Hytrel)(登録商標)8206はエステル部分よりもエーテル部分が多く、その結果、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)G4778から製造したシート物質よりも、より柔らかいシート物質と、より高いMVTRが得られる。ハイトレル(Hytrel)(登録商標)G4778では、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)8206よりも、強度が高く、水吸収性が低いことが見出された。ハイトレル(Hytrel)ポリマーに加えて、5重量%の着色剤と2重量%のTiOコンセントレートを、着色および不透明性のために添加した。
【0048】
ハイトレル(Hytrel)(登録商標)ポリマーおよび添加剤コンセントレートをペレットの形態で2台のスクリュー押出機にフィードして、440°F(227℃)〜385°F(196℃)の範囲の温度で溶融させ、430°F(221℃)に維持した加熱ダイブロックの中のダイの開口部にフィードした。粉末接着された不織布基材を、そのダイの開口部の下、約19.5インチ(49.5cm)の距離に配置した。そのフィルムを325フィート/分(99m/分)の速度で押出して、0.7ミル(18マイクロメートル)のフィルム厚みを得た。0.8ミル(20マイクロメートル)のフィルム厚みを得るためには、ライン速度を280フィート/分(85m/分)に低下させた。そのコーティングされたウェブをニップロール圧10psiとして水平に配置した1対のニップロールの中を通過させることによって、そのフィルムを繊維質の粉末接着された不織布基材と合体させて複合材料積層シートを形成させた。ポリマー溶融物に面するニップロールは、艶消し仕上げを有するシリコーンゴムロールであり、もう一方のロールは金属であった。急冷浴を、金属ロールに対向するロールの側のゴムロールの近くに配置し、温度を80゜F(27℃)に維持した。
【0049】
2層積層物の5種の実施例を、粉末接着された不織布の、2種のフィルム厚み(0.7ミルおよび0.8ミル)ならびに3種の繊維ブレンド比(レーヨン/ポリエステルが、70/30、50/50、および30/70)をベースに組み上げた(表1)。
【0050】
3層積層複合材料構造を形成させるために、1.0オンス/平方ヤードの坪量を有する撥液性スパンボンドポリエステル/ポリエチレン2成分繊維不織布を、上述の2層複合材料であるハイトレル(Hytrel)(登録商標)フィルム層に接着剤を用いて接着させた。そのスパンボンド2成分繊維布は、50%線状低密度ポリエチレン(LLDPE)/50%ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のシース/コア構造であり、加熱カレンダー加工により予備接着されていた。撥アルコール性および帯電防止性のために、そのスパンボンド不織布を、ゾニル(Zonyl)(登録商標)7040(デュポン(DuPont)により販売されているフルオロケミカル)およびゼレック(Zelec)TY帯電防止剤(イソブチルおよびジイソブチルリン酸エステルの混合物、イリノイ州ノースフィールド(Northfield,IL)のステパン・カンパニー(Stepan Company)により販売)を用いて局所的に処理した。
【0051】
そのスパンボンドポリエステル/ポリエチレン不織布を、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)2層積層物のフィルム側に、メルトブローン接着積層法を用いて積層させた。これらの実施例に使用されたホットメルト接着剤は、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)直鎖状のブロックコポリマーをベースとするH2900(ウィスコンシン州ウォーワトサ(Wauwatosa,WI)所在のボスティック・ファインドリー(Bostik Findley)製)であった。その接着剤のアドオンレベルは5g/mであった。
【0052】
そのホットメルト接着剤をフィードし、ホッパー中で溶融させ、断熱ホースを用いて、18ホール/インチのチップスを有するJアンドM(J&M)ノズルを備えたホットメルトメルトブローンラインの中に輸送した。その接着剤を、ライン速度200フィート/分の2層複合材料のハイトレル(Hytrel)(登録商標)フィルム側の上に、空気圧40psiでメルトブローンさせた。そのノズルヘッドから2層積層基材までの距離は、1.5インチであり、ノズルとニップとの間の積層距離は60インチであった。ホッパー、ホース、ヘッド、および空気の温度は、そのホットメルト接着剤の溶融粘性を基準に選択した。H2900、ホッパー、ホース、ヘッド、および空気の温度は、それぞれ、310、320、320および350゜Fであった。
【0053】
実施例のものはすべて、300秒を超える水頭を有していて、ASTM F−1670およびF−1671に合格した。実施例のもののその他の物理的性質は、下記の表1に示す。
【0054】
実施例6〜11
これらの実施例においては、ポリエステルとリオセル繊維とのブレンド物から製造したスパンレースド不織布を、吸収性内側層として使用した。そのスパンレースド不織布の坪量は、1.18osyであり、リオセル/PETが65/35、50/50、および35/65の3種の異なったブレンド比を用いた。
【0055】
スパンレースドリオセル/PET不織ウェブを、実施例1〜5に記載したのと同一の加工条件を用いて、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)4778およびハイトレル(Hytrel)(登録商標)8206の3層ポリマーフィルムと押出しコーティングした。吸収性不織布/フィルム2層積層物の6種の実施例を、スパンレースド不織布の、2種のフィルム厚み(0.7ミルおよび0.8ミル)ならびに3種のブレンド比(リオセル/ポリエステルが65/35、50/50、および35/65)をベースとして組み上げた(表1)。
【0056】
本発明の3層積層複合材料構造を形成させるために、実施例1〜5に記載されたメルトブローン接着積層プロセスによって、上述の押出しコーティングプロセスからの2層積層物を、1.0osyのスパンボンドコア/シース、ポリエステル/ポリエチレン2成分繊維不織ウェブと積層させた。実施例のものはすべて、300秒を超える水頭を有していて、ASTM F−1670およびF−1671に合格した。実施例のもののその他の物理的性質は、下記の表1に示す。
【0057】
実施例12
この実施例においては、ポリエステルとレーヨン繊維のブレンド物から製造されたスパンレースド不織布を、吸収性内側層として使用した。そのスパンレースド不織層の坪量は1.18osyであり、レーヨン/PETのブレンド比は重量で30/70であった。
【0058】
そのスパンレースドレーヨン/PET不織ウェブを、実施例1〜5の記載と同一の加工条件を用いて、ハイトレル(Hytrel)(登録商標)4778およびハイトレル(Hytrel)(登録商標)8206の3層ポリマーフィルムと共に押出しコーティングして、0.8ミルのフィルム厚みを得た。その3層積層物は、実施例1〜5に記載のメルトブローン接着積層プロセスを使用して形成させ、押出しコーティングされたレーヨン/PETフィルム2層積層と、実施例1〜5に記載の1.0osyのスパンボンドコア/シースポリエステル/ポリエチレン2成分繊維不織ウェブとを接着させた。この実施例のものは、300秒を超える水頭を有していて、ASTM F−1670およびF−1671に合格した。この実施例のもののその他の物理的性質は、下記の表1に示す。
【0059】
比較例AおよびB
比較例AおよびBは、実施例1〜5に記載したのと同一の押出しコーティングプロセスおよびメルトブローン接着積層プロセスを使用して組み上げた。これらの実施例においては、吸収性の内側層に代えて、非吸収性の内側層を使用した。使用した非吸収性の内側層は、0.5osyの粉末接着された100%ポリエステル不織ウェブと1.0osyのスパンボンドポリエステル/ポリエチレンウェブで、フィルム厚みが比較例AおよびBでそれぞれ0.6ミルおよび0.7ミルであった。いずれの比較例のものもすべて、300秒を超える水頭を有していて、ASTM F−1670およびF−1671に合格した。その他の物理的性質は下記の表1に示す。
【0060】
いずれの3層積層物も、同様の性質を示したが、ただし、MVTR数が実施例1〜12からのものよりも低かった。比較例Aの坪量およびフィルム厚みは低く、比較例Bは同等または低い坪量(1.0osy)で、同じフィルム厚み(0.8ミル)であった。実施例1〜12のMVTR値よりも、比較例AのMVTR値は顕著に高く、比較例Bのそれは少なくとも同等であろうと予想されるであろう。
【0061】
しかしながら、いかなる理論にも必ずしも拘束される訳ではないが、実施例1〜12で得られた高いMVTR数は、通気性層に隣接させて吸収性内側層を有していることから得られたものであって、その通気性層が、吸収されるか輸送された水蒸気にさらなる駆動力を与えてフィルム層により早い速度で送ることを可能とし得る。通気性フィルム層の中で水蒸気を移動させる拡散メカニズムは、厚みも含めていくつかの因子に左右される可能性がある。本発明によって観察された一つの因子は、吸収性内側層によって吸収された水蒸気によって、湿度環境がより高くなるということである。通気性フィルムに隣接してこのより高い湿度環境が存在すると、通気性(MVTR)が高くなるが、これは、水蒸気の濃度勾配が高いことから、拡散メカニズムによって説明することが可能である。本発明において吸収性内側層を使用することによって、通気性が向上し、快適性が改良される。
【0062】
実施例1〜12および比較例の試験結果を下記の表2に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
比較例C〜F
比較例C〜Fは、以下の表2に示すように、実施例1〜5の複合材料積層物と同様の応用分野において市販されているものである。すべての例は、ASTM F1670/F1671に合格するバリヤー性とMVTR数によって測定される通気性を有していることが要求される領域で使用されてきた。例Aを除いて、すべての例は3層積層物であったが、それについて以下に詳細に説明する。
【0065】
比較例Cは、プレベンション(Prevention)、すなわち加熱接着により製造されたスパンボンド不織シートとフィルム層との2層積層物であったが、それはメドライン(Medline)から入手可能である。
【0066】
比較例Dは、マイクロクール(MicroCool)、すなわち加熱接着により製造された2層の外側スパンボンド不織シートと1層の内側フィルム層からの3層積層物であったが、それはキンバリー・クラーク(Kimberly−Clark)から入手可能である。
【0067】
比較例Eは、スマートガウン(SmartGown)TM、すなわち接着剤積層により製造された、外側撥液性スパンメルト不織層、内側フィルム層、および外側スパンボンド不織層の3層積層物であったが、それはアレジアンス(Allegiance)から入手可能である。
【0068】
比較例Fは、加熱接着により製造された外側吸収性不織層、内側フィルム層および外側不織層の3層積層物であった。
【0069】
【表2】

【0070】
表2のデータから、本発明による撥液性層および吸収性層を用いた複合材料積層物が、市販されている複合材料積層物に比較して、撥液性、吸収性および帯電防止性、さらにはバリヤー性および通気性を示すことが判る。同様にして、本発明の実施例1〜12は、同様のタイプのフィルム層を有する積層物の、比較例サンプルEおよびFに比較して、バリヤー性を維持しながら、より良好なMVTR数を有している。比較例サンプルC、DおよびEは、内側不織層の吸収性がない。比較例サンプルC、D、およびFは、そのトップ層に撥液性がない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による多層複合シートの模式的断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気透過性複合シートであって:
二つの対向する表面を有し、0重量パーセント〜95重量パーセントの間の合成熱可塑性繊維、および100重量パーセント〜5重量パーセントの間の吸収性繊維を含んでなる、吸収性繊維質不織層、
二つの対向する表面を有する撥液性不織層であって、撥液性不織層は、撥液性組成物を含んでなる合成繊維を含んでなる撥液性不織層、および
前記撥液性不織層と前記吸収性不織層との間に挟まれている、厚み25マイクロメートル以下の、非多孔性で、液体不浸透性で、水蒸気透過性のフィルム層、
を含んでなる水蒸気透過性複合シート。
【請求項2】
前記吸収性繊維質不織層が、30重量パーセント〜70重量パーセントの間の合成熱可塑性繊維、および70重量パーセント〜30重量パーセントの間の吸収性繊維を含んでなる請求項1に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項3】
前記吸収性繊維質不織層が、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアミドよりなる群から選択される熱可塑性合成繊維を含んでなる請求項1に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項4】
前記吸収性繊維質不織層が、天然セルロース系繊維、再生セルロース系繊維、吸収性合成繊維、動物性繊維、およびそれらのブレンド物よりなる群から選択される吸収性繊維を含んでなる請求項1に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項5】
前記水蒸気透過性フィルム層が、前記吸収性不織層の一つの表面の上に押出し成形されることにより形成され、前記撥液性不織層の一つの表面が、中間接着剤層によって前記水蒸気透過性フィルム層に接着される請求項1に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項6】
前記水蒸気透過性フィルム層が、ブロックポリエーテルエステルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項1に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項7】
水蒸気透過性複合シートであって:
二つの対向する表面を有するステープルファイバーの吸収性繊維質不織層、および
二つの対向する表面を有する撥液性不織層であって、撥液性不織層は、撥液性組成物を含んでなる合成繊維を含んでなる撥液性不織層、および
前記撥液性不織層と前記吸収性不織層との間に挟まれている、厚み25マイクロメートル以下の、非多孔性で、液体不浸透性で、水蒸気透過性のフィルム層、
を含んでなる水蒸気透過性複合シート。
【請求項8】
前記吸収性繊維質不織層が粉末接着されている請求項7に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項9】
前記吸収性繊維質不織層が水流交絡されている請求項1に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項10】
水蒸気透過性複合シートであって:
二つの対向する表面を有する吸収性繊維質不織層、および
厚み25マイクロメートル以下の、非多孔性で、液体不浸透性で、水蒸気透過性のフィルム層、
を含んでなる複合シート。
【請求項11】
前記吸収性繊維質不織層が、0重量パーセント〜95重量パーセントの間の合成熱可塑性繊維、および100重量パーセント〜5重量パーセントの間の吸収性繊維を含んでなる請求項10に記載の複合シート。
【請求項12】
前記熱可塑性合成繊維が、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリアミドならびにそれらのブレンド物よりなる群から選択される請求項11に記載の複合シート。
【請求項13】
前記吸収性繊維が、天然セルロース系繊維、再生セルロース系繊維、吸収性合成繊維、動物性繊維、およびそれらのブレンド物よりなる群から選択される請求項11に記載の複合シート。
【請求項13】
前記吸収性繊維質不織層が粉末接着されている請求項10に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項14】
前記吸収性繊維質不織層が水流交絡されている請求項7に記載の水蒸気透過性複合シート。
【請求項15】
前記フィルム層が、ブロックポリエーテルエステルコポリマー、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリウレタンコポリマー、ポリ(エーテルイミド)エステルコポリマー、ポリビニルアルコール、およびそれらの組合せよりなる群から選択される組成物でできている請求項10に記載の複合シート。

【図1】
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【公表番号】特表2008−526578(P2008−526578A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551470(P2007−551470)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/001633
【国際公開番号】WO2006/076722
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】