説明

通過検知システム、通過検知装置、通過検知装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】通路を移動(通過)する人間の移動方向を含めて通路の通過状態を無線タグにより検出する。
【解決手段】所在管理装置10は、通路2の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナ6−1、6−2のいずれかを介して無線タグを特定するためのID情報を無線タグから順次受信し、ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、ID情報の時系列的な受信状況および複数のループアンテナ6−1、6−2の配置状態に基づいて、社員Xの移動方向を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過検知システム、通過検知装置、通過検知装置の制御方法及び制御プログラムに係り、通路を通過する通過物を検出し、通過物を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動中の移動対象物に貼り付けられた無線タグからID情報を読み取り、あるいは無線タグに情報を書き込む技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1においては、
読取/書込処理時間=通信可能範囲L(m)/移動速度S(m/sec)
なる関係を示し、移動速度Sを落とさずに複数の無線タグに対する情報のやりとりをするための方法を開示している。
【特許文献1】特開2006−106897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、無線タグの移動速度Sおよび移動方向が既知である、すなわち、ベルトコンベアーにより物品を搬送するような物流装置に適用されるものであり、人間が双方向に任意に通行できるような通路を、個人差あるいは動作状況(歩いているか、走っているか)に応じた様々な速度で移動している場合に適用できるものではなく、ましてや、無線タグとの通信によりその移動方向を検出するものでもなかった。
そこで、本発明の目的は、通路を移動(通過)する人間の移動方向を含めて通路の通過状態を無線タグにより検出することが可能な通過検知システム、通過検知装置、通過検知装置の制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナと、前記通路を通過する通過物が備える無線タグと、前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信し、前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記通過物の移動方向を特定する通過検知装置と、を備えたことを特徴としている。
【0005】
上記構成によれば、通過検知装置は、いずれかのループアンテナを介して無線タグを特定するためのID情報を無線タグから順次受信し、ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、ID情報の時系列的な受信状況および複数のループアンテナの配置状態に基づいて、通過物の移動方向を特定する。
したがって、通路の移動(通過)を検出する際に、移動方向を含めて通路の通過状態を無線タグにより検出することができる。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記無線タグは、任意に割り当てられる識別情報である任意IDと、時間軸方向の冗長性を有するビット列で構成され、前記任意IDに一対一に対応して割り当てられた前記ID情報としての検出用IDとを備えており、
前記通過検知装置は、予め前記任意IDと前記検出用IDとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を有し、前記通路を通過する前記無線タグから、前記ループアンテナを介して受信した前記ID情報としての前記検出用IDに基づいて、前記対応関係記憶部を参照することにより前記任意IDを特定する、ことを特徴としている。
上記構成によれば、通過検知装置が、無線タグが通路を通過する際に、ループアンテナを介して受信した検出用IDに基づいて、対応関係記憶部を参照することにより任意IDを特定するに際し、検出用IDは、時間軸方向に冗長性を有さないビット配置を有するビット列と見なせるノイズと明確に区別可能となるように、時間軸方向の冗長性を有したビットが配置されたビット列で構成されているため、時間軸方向に冗長性を有さないビット配置となる可能性がある任意に割り当てられる任意IDでは、ノイズと分離できないような状況、例えば、通信状況が悪く、信号強度も低い場合であってもノイズから分離可能であり、確実に任意IDを特定することができ、ひいては、移動方向を含めた通路の通過状態を無線タグにより確実に検出することができる。
【0007】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記通過検知装置は、前記複数のループアンテナに受信動作を行わせるに際し、隣接して配置されたループアンテナの受信動作期間の一部が互いに重なり合うようにしていることを特徴としている。
上記構成によれば、隣接して配置されたループアンテナ同士の干渉を抑制しつつ、各ループアンテナの非動作期間を短くして、検出漏れを抑制することができる。
【0008】
本発明の第4の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記通過検知装置は、前記複数のループアンテナに受信動作を行わせるに際し、隣接して配置されたループアンテナを排他的に動作させていることを特徴としている。
上記構成によれば、隣接して配置されたループアンテナ同士の干渉を抑制することができる。
【0009】
本発明の第5の態様は、通路を通過する通過物に備えられる無線タグから送信される電波を、前記通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナを介して受信し、前記通過物の前記通路の通過を検知する通過検知装置において、前記無線タグは、任意に割り当てられる識別情報である任意IDと、送信時に時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置したビット列で構成され、前記任意IDに一対一に対応して割り当てられた前記ID情報としての検出用IDとを備えており、前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信する受信部と、予め前記任意IDと前記検出用IDとの対応関係を記憶する対応関係記憶部と、前記通路を通過する前記無線タグから、前記ループアンテナを介して受信した前記ID情報としての前記検出用IDに基づいて、前記対応関係記憶部を参照することにより前記任意IDを特定するID特定部と、前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記任意IDに対応する前記通過物の移動方向を特定する移動方向特定部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、通過検知装置が、無線タグが通路を通過する際に、ループアンテナを介して受信した検出用IDに基づいて、対応関係記憶部を参照することにより任意IDを特定するに際し、検出用IDは、時間軸方向に冗長性を有さないビット配置を有するビット列と見なせるノイズと明確に区別可能となるように、時間軸方向の冗長性を有したビットが配置されたビット列で構成されているため、時間軸方向に冗長性を有さないビット配置となる可能性がある任意に割り当てられる任意IDでは、ノイズと分離できないような状況、例えば、通信状況が悪く、信号強度も低い場合であってもノイズから分離可能であり、確実に任意IDを特定することができ、ひいては、移動方向を含めた通路の通過状態を無線タグにより確実に検出することができる。
【0011】
第6の態様は、通路を通過する通過物に備えられる無線タグから送信される電波を、前記通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナを介して受信し、前記通過物の前記通路の通過を検知する通過検知装置の制御方法であって、前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信する受信過程と、前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記通過物の移動方向を特定する移動方向特定過程と、を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、通路の移動(通過)を検出する際に、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置されているので、各通信エリアの境界部分で見失うことなく、移動方向を含めて通路の通過状態を無線タグにより検出することができる。
【0012】
第7の態様は、通路を通過する通過物に備えられる無線タグから送信される電波を、前記通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナを介して受信し、前記通過物の前記通路の通過を検知する通過検知装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信する機能と、前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記通過物の移動方向を特定する機能と、を前記コンピュータに実現させることを特徴としている。
上記構成によれば、コンピュータは、通過検知装置に、通過物の通路の移動(通過)を検出させる際に、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置されているので、各通信エリアの境界部分で見失うことなく、移動方向を含めて通路の通過状態を無線タグにより検出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、社内の所定の通路において、当該通路を通過した社員を特定するとともに、当該社員の移動方向を含む所在管理を行う所在管理システムに本発明を適用した場合を説明する。
図1は、本実施形態に係る所在管理システムの構成を模式的に示す図である。
通路2は、対向する壁3の間に設けられており、所在管理システム1は、この通路2を通過した社員Xおよびその移動方向を特定して、その社員の社内における所在を管理する。
具体的には、所在管理システム1は、社員Xが所持する非接触無線通信機能を備えたIDカード4と、通路2に設けられたループアンテナ6−1、6−2と、ループアンテナ6−1、6−2ごとに設けられ当該ループアンテナ6−1、6−2を介してIDカード4に記録された社員IDに一対一に対応づけられた検出用IDを無線により読み取る通信制御装置8−1、8−2と、検出用IDに基づいて社員IDを特定し、社員Xの所在を管理する所在管理装置10とを備えている。
図1中、矢印D1及び矢印D2は、それぞれ移動方向を示している。
【0014】
図2は、所在管理システムの構成を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、通路2の床面にはループアンテナ6−1、6−2が設けられている。ループアンテナ6−1、6−2は、例えば、約0.6メートル×1.5メートルの寸法の略矩形に形成され、無指向性で数メートル(例えば約5メートル)の通信可能距離を有している。
所在管理システム1のループアンテナ6−1、6−2には、本来の通信相手であるIDカード4の他に、ループアンテナ6の周囲に配置された電気配線や、各種電子機器などから発生したノイズや、近接して配置されたループアンテナ間のアンテナ間干渉やIDカード4を構成する無線タグ間のタグ間干渉の影響を受けた信号が入力されることとなる。
また、ループアンテナ6−1の通信エリアR1と、ループアンテナ6−2の通信エリアR2とは、その一部が重なっている。したがって、本実施形態においては、両ループアンテナ6−1、6−2が対応する通信制御装置8−1、8−2が同時に通信を行っている時間を短く設けつつ、交互に通信を行うようにして、干渉を防止するとともに、非検出時間が生じるのをできる限り抑制している。この結果、各ループアンテナ6−1、6−2の通信エリアの境界部分でIDカード4を見失うことなく、移動方向などを検出することができる。
また、図2においては、IDカード44−1〜4−2が方向D1に移動しており、IDカード4−3が方向D2に移動している場合を図示している。
【0015】
図3は、IDカードの機能的構成を模式的に示すブロック図である。
IDカード4には、長波による非接触型無線通信機能を実現するアクティブ型の無線タグ20が内蔵されている。この無線タグ20は、図3に示すように、社員Xの識別情報たる社員ID22Aおよび当該社員ID22Aに対応する検出用ID22Bを格納するメモリ22と、長波による無線通信用のRF部24と、これらを制御する制御部26と、通路2のループアンテナ6−1、6−2から放射された電波を受信するアンテナ28と、無線タグ20に電源を供給する電源部29と、を備え、動作モードが待機モードである場合には、通路2のループアンテナ6−1、6−2が放射するウェイクアップ用電波を受信した場合に、ウェイクアップ用電波の受信に応答して通常モードで動作し、検出用ID22Bを送信する。
【0016】
ここで、社員IDおよび検出用IDについて説明する。
本実施形態において、社員ID22Aは、通路2の通過時には、送信されず、検出用ID22Bのみが送信される。これは、社員ID22Aは、当該所在管理システム1の構築者が任意に設定できるものであり、入力内容によっては、“0”のビットと“1”のビットがランダムに発生した場合とほぼ等価な外来ノイズなどと識別しづらいビット配列となる可能性があるからである。
これに対して、検出用IDは、“0”のビットあるいは“1”のビットがシリアルに連続する時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置したビット列のパターンを採用しており、外来ノイズとは識別しやすく設定されている。
すなわち、送信時に時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置したビット列で検出用IDを構成することで、任意の固有IDを通信に用いた場合よりも、送信信号がノイズに埋もれてしまう確率を低くすることができる。
ここで、時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置したビット列とは、ビットをランダムに配置した場合には得られにくいビット配置を有するビット列を言い、例えば、“1”または“0”が連続して複数回現れるような配置をいう。これは、ノイズがビットをランダムに配置した場合に相当すると見なせるため、これと明確に分離するためである。
すなわち、検出用IDは、各ビットの値をランダムに変化させた場合に得られるビット配列(=ノイズ)とならないように、送信時に時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置しているため、ランダムに発生するノイズ(雑音)が検出用IDと一致する可能性はきわめて低くなっている。具体的には、16ビットの検出用IDとして、“1111000011110000”のように、ノイズとして得られる可能性が低いビット配列のみを用いているのである。
さらに、検出用IDを構成するビット列は、当該検出用IDのビット数で表現可能なID割当可能空間内で、離散的に位置するように構成されている。ここで、離散的に位置するとは、例えば、16ビットの検出用IDの一つとして、“1111000011110000”とした場合、1ビットや2ビットのみが異なる“1111000011110001”や“0111000011110001”のようなものは用いずに、“1111000011111111”や“0000000011111111”のように例えば、4ビット以上異なるビット配列を用いると言うことである。言い換えれば、検出用IDには、検出用IDのビット数で表現可能なID割当可能空間内で飛び飛びの値を割り当てられている。したがって、異なる検出用IDがノイズによって、同一の検出用IDとして誤検出される可能性が低くなり、さらに近似したビット配列が存在しないため、確実に検出用IDを特定、ひいては、より確実に任意IDを特定することができるのである。
【0017】
具体的には、社員ID22Aとして、32ビットを割り当てる場合(アドレス空間4GB)において、検出用ID22Bにも、32ビットを割り当て、冗長ビット数を16ビットとし、実アドレス空間を64kBとしている。したがって、検出用IDを利用者識別に用いる場合には、単純には、65535人を識別することが可能となっている。
次に無線タグ20が検出用IDを送信する送信信号のフォーマットについて説明する。
本実施形態において、この送信信号は所定ビット長である32ビットのビット列の信号であり、このビット列の全てを用いて検出用ID22Bが格納される。この検出用ID22Bに含まれる検出用の情報は、本実施形態の場合、16ビット長であり、0000h〜FFFFhの値となっている限定されている。
そして、単純には、各ビットを複製して並べて配置した00000000h〜FFFFFFFFhで表さされる4GBのアドレス空間のうちの64kB分のアドレス空間が検出用IDに割り当てられることとなる。
したがって、所在管理装置10は、予め検出用ID22Bと社員ID22Aとの対応関係を記憶したテーブルを参照することにより、検出用ID22Bから社員ID22Aを識別可能になる。
【0018】
図4は、通信制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
この図に示すように、通信制御装置8−1、8−2は、各部を中枢的に制御する制御部30と、ループアンテナ6−1、6−2を介してIDカード4の無線タグ20と通信する無線通信部32と、有線LAN或いは無線LAN等の通信ネットワーク9に接続されるネットワークインタフェース(I/F)34とを有している。
【0019】
無線通信部32は、図示を省略する無線通信用のRF回路やベースバンド回路を有し、制御部30の制御の下、所定のウェイクアップタイミング毎(例えば1秒に5回程度の一定時間毎)に、ループアンテナ6−1、6−2に流れる電流を変化させて磁界の変化を生じさせることで無線タグ20と電磁的通信を開始させるためのウェイクアップ信号を電波として放射する。この電波の放射により、通信エリア内にIDカード4が存在する場合には、そのIDカード4の無線タグ20は、待機モードから通常動作モードに移行し、検出用ID22Bが送信されて、無線通信部32が受信することとなる。
【0020】
制御部30は、プログラム実行手段としてのCPUや、このCPUのワークエリアとして用いられるRAM、各種プログラムを格納するROM等を備えて構成されており、本実施形態では、無線通信部32から入力され検出用ID22Bに対して、現在の時刻をタイムスタンプとして付与するタイムスタンプ付与部38と、検出用ID22Bに対して、自装置(或いは自装置に接続されたループアンテナ6)に一意に予め割り当てられた装置IDを付与する装置ID付与部39とを有している。
そして、制御部30は、無線通信部32によって検出用ID22Bが受信されるごとに、タイムスタンプ及び装置IDを付与し、ネットワークI/F34から通信ネットワーク9を介して所在管理装置10に順次送信する。
なお、複数の通路2に配置された複数の通信制御装置8−1、8−2は、それぞれが付与するタイムスタンプを比較可能にするために、互いに同期した時刻を計時している。
【0021】
図5は、所在管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
所在管理装置10は、通路2のそれぞれに設けられた通信制御装置8−1、8−2から送信された検出用ID、タイムスタンプ及び装置IDに基づいて、対応する通路2を通過した社員Xを管理するものである。
具体的には、図5に示すように、所在管理装置10は、制御部40と、ネットワークI/F42と、データベース部44と、データベースアクセス部46を有している。
制御部40は、自装置の各部を中枢的に制御するものであり、プログラム実行手段としてのCPU、このCPUのワークエリアとして機能するRAM、各種プログラムや設定データを格納するROM等を有している。
ネットワークI/F42は、通信ネットワーク9に接続され、この通信ネットワーク9を介して通信制御装置8−1、8−2のそれぞれから検出用ID、受信信号強度、タイムスタンプ及び装置IDを受信し、制御部40に出力する。
【0022】
データベース部44は、各種データベースを格納するものであり、社員ID−検出用ID対応データベース部44Aと、社員の所在を社員毎に記録する所在記録データベース部44Bとを備えている。
まず、データベース部44の社員ID−検出用ID対応データベース部44Aについて説明する。
この社員ID−検出用ID対応データベース部44Aは、対応関係記憶部として機能しており、社員ID−検出用ID対応データベース部44Aには、発行済みの社員ID22Aが検出用IDに一対一に対応づけられて登録されている。
この場合において、社員IDには、一時的な訪問者に対応するID、すなわち、ゲストIDも含めて有効な社員IDが登録されている。本実施形態では、上述したように、社員IDは所定ビット長(本実施形態では、32ビット:00000000h〜FFFFFFFFh)で表現可能な値、かつ、ユニークな値が任意に設定されている。なお、この社員ID22Aは、無線タグ20に記録されてはいるが、ループアンテナ6を介した通信制御装置8との間の通信においては、用いられない。
【0023】
一方、検出用ID22Bは、システム構築時に設定されるものであり、無線タグ20と、通信制御装置8との間の通信で無線タグ20側から通信制御装置8側に送信されるIDである。本実施形態では、所定ビット長のうち、冗長ビットを除くビットで表現可能な値が設定されている。具体的には、本実施形態では、検出用IDを構成する32ビットのうち冗長ビットが16ビットであるので、16ビットで表現可能な値(0000h〜FFFFh)が設定されている。
【0024】
ここで、具体的な検出用ID22Bの生成方法について説明する。
図6は、検出用IDの生成処理フローチャートである。
この生成処理は、所在管理装置10により行うことが可能である。
まず所在管理装置10は、演算用変数i=0とする(ステップS1)。
次に所在管理装置10は、16ビットの整数データZ(0≦Z≦65535)を一つ設定する(ステップS2)。
続いて所在管理装置10は、データZの下位4ビットを抽出する(ステップS3)。
続いて、所在管理装置10は、抽出された4ビットの値と、当該値を左4ビットシフトした値(すなわち、元の値を16倍した値)と、の論理和をとって、上位4ビットと下位4ビットが同じ値を有する8ビットの値とし、変数dmc(i)に代入する(ステップS4)。
【0025】
次に変数iに1を加算して、新たな変数iとし(ステップS5)、i=4か否かを判別する(ステップS6)。
ステップS6の判別において、i≠4の場合には(ステップS6;No)、整数データZを右4ビットシフトしてその値を新たなデータZとして(ステップS7)、処理をステップS3に移行し、以下、同様の処理を繰り返す。
ステップS6の判別において、i=4の場合には(ステップS6;Yes)、変数dmc(3)を左24ビットシフトした値と、dmc(2)を左16ビットシフトした値と、dmc(1)を左8ビットシフトした値と、dmc(0)の値と、の論理和をとり、32ビットの値とする(ステップS8)。
すなわち、得られた32ビットの値を構成する各ビット(第31ビット〜第0ビット)は、変数dmc(3)が第31ビット〜第24ビットとなり、dmc(2)が第23ビット〜第16ビットとなり、dmc(1)が第15ビット〜第8ビットとなり、dmc(0)が第7ビット〜第0ビットとなっている。
【0026】
次に得られた32ビットの値が、検出用ID22Bのビット数(=32ビット)で表現可能なID割当空間(4GB相当)内で特定の空間に集まらず、離散的に位置するように、得られた32ビットの値の第31ビット〜第1ビットを1ビット右シフトし、第0ビットを第31ビットとした値を検出用ID22Bとする(ステップS29)。
これらの結果、Zを0〜65535まで変化させることにより、65536個の検出用IDを生成することができる。なお、実際には、当該所在管理装置10で管理する社員ID22Aの数に相当するだけの検出用IDを生成すればよい。
なお、上述の検出用ID22Bの生成処理は一例であり、同様の冗長度、かつ、送信時に時間軸方向に沿った冗長性が得られ、検出用ID22Bのビット数で表現可能なID割当空間内で特定の空間に集まらず、離散的に位置するようにできれば、他の生成処理であっても構わない。
【0027】
次にデータベース部44の所在記録データベース部44Bについて説明する。
データベース部44の所在記録データベース部44Bは、通路2を通過した社員Xの社員IDが通過日時、移動方向と共に制御部40によって記録されるものである。したがって、所在記録データベース部44Bの記録に基づいて、社員の現在の所在や、入退室の時間や、社員Xの滞在時間などが管理可能となる。
【0028】
この場合において、制御部40は、受信した検出用ID22Bに対応する社員ID22Aが社員ID−検出用ID対応データベース部44Aに存在しない場合には、当該検出用ID22Bが無線タグ20からの送信信号では無いと判断し、通信制御装置8−1、8−2から受け取った受信データを破棄することで、ノイズに起因してデータフォーマットが偶然的に所定のフォーマットと合致した受信データや、アンテナ間干渉やタグ間干渉の影響を受けた受信データを破棄する。
したがって、受信データの誤り検出訂正処理を行わないので、所在管理装置10における演算負荷を低減できるとともに、偶然的に読み出された検出用IDに起因する実際とは異なる所在記録が所在記録データベース部44Bに記録されることがない。
【0029】
また、ループアンテナ6−1、6−2の通信エリアR1、R2は、たかだか数メートルの範囲であるため、社員Xが歩行により、或いは、走って通路2を通過したとしても、各通信制御装置8−1、8−2が1秒間に数回(本実施形態では5回)の受信を行うことで、各通信制御装置8−1、8−2により複数回連続して社員Xが所持するIDカード4が検出される。
【0030】
このような構成の下、所在管理システム1においては、図1に示したように、社員Xが通路2を通過する場合には、この社員Xが所持するIDカード4が、一定時間ごとに検出を繰り返し行う通信制御装置8−1あるいは通信制御装置8−2により検出される。
この結果、IDカード4の無線タグ20に記録された検出用ID22Bが、通路2に設けられた通信制御装置8−1あるいは通信制御装置8−2により受信され、検出用ID22Bと共にタイムスタンプ及び装置IDが受信データとして所在管理装置10に順次入力され、所在管理装置10は、データベースアクセス部46を介して社員ID−検出用ID対応データベース部44Aを参照して、検出用ID22Bに対応する社員IDを読み出し、所在記録データベース部44Bに所在記録を記録する。
この際に、所在管理装置10は、いずれかのループアンテナ6−1、6−2および通信制御装置8−1、8−2を介して無線タグを特定するためのID情報としての検出用ID22Bを無線タグ20から順次受信し、検出用ID22Bを受信したループアンテナを特定する情報としての通信制御装置8−1、8−2の装置ID、検出用ID22Bの時系列的な受信状況および複数のループアンテナ6−1、6−2の配置状態に基づいて、無線タグ20ひいては、通過物としての社員Xの移動方向を特定し、移動方向を所在記録データベース部44Bに追加的に記録する。
【0031】
次に通信制御装置8の具体的な動作を説明する。
図7は、通信制御装置の処理フローチャートである。
通信制御装置8の制御部30は、IDカード4の無線タグ20を待機モードから通常動作モードに移行させるウェイクアップタイミングであるか否かを判別する(ステップS11)。
このウェイクアップタイミングは、可変的に設定されるものであり、最後に通路2をIDカード4が通過してからの経過時間に応じて、徐々に長い時間に設定され、新たに通路2をIDカード4が通過すると、最も短い時間に再設定される。
ステップS11の判別において、未だウェイクアップタイミングではない場合には(ステップS11;No)、制御部30は待機状態となる。
【0032】
ステップS11の判別において、ウェイクアップタイミングに至った場合には、通路2近傍に位置しているかもしれない不特定のIDカード4の無線タグ20に対し、ウェイクアップ信号を所定時間送信する。具体的には、ウェイクアップ信号として無変調搬送波を例えば、160ms送信する。
次に制御部30は、いずれかのIDカード4の無線タグ20から応答があったか否かを判別する(ステップS13)。
ステップS13の判別において、いずれのIDカード4の無線タグ20からも応答がなかった場合には、制御部30は、処理を再びステップS11に移行し、待機状態となる。
ステップS13の判別において、いずれかのIDカード4の無線タグ20から応答があった場合には、当該無線タグ20から送信された検出用ID22Bを読み出す読出処理を行う(ステップS14)。
【0033】
次に制御部30は、検出用ID22Bが読み出されたか否かを判別する(ステップS15)。
ステップS15の判別において、制御部30は、検出用ID22Bが読み出された場合には(ステップS15;Yes)、読み出した検出用ID22Bにタイムスタンプ付与部38によりタイムスタンプを付与し、装置ID付与部39により装置IDを付与して、ネットワークインタフェース部34を介して所在管理装置10に送信する検出用ID送信処理を行い(ステップS16)、処理をステップS14に移行する。
【0034】
ここで、検出用IDを受信した所在管理装置10の動作を説明する。
図8は、所在管理装置の処理フローチャートである。
所在管理装置の制御部40は、ネットワークインタフェース部42を介して通信制御装置8から検出用ID、タイムスタンプ及び装置IDを受信すると(ステップS21)、データベースアクセス部46を介してデータベース部44の社員ID−検出用ID対応データベース部44Aを参照する(ステップS22)。
次に制御部40は、社員ID−検出用ID対応データベース部44Aに受信した検出用IDが存在するか否か、すなわち、当該検出用IDに一対一に対応する社員ID(任意ID)が存在するか否かを判別する(ステップS23)。
ステップS23の判別において、社員ID−検出用ID対応データベース部44Aに受信した検出用IDが存在する場合には(ステップS23;Yes)、制御部40は、データベースアクセス部46を介してデータベース部44の所在記録データベース部44Bにアクセスし、当該検出用IDに相当する社員IDに対応する社員の所在記録データを更新する(ステップS24)。
【0035】
以下、社員の所在記録データの更新について具体的に説明する。
図9は、所在記録データの更新処理の処理フローチャートである。
以下の説明において、装置IDは、通信制御装置8−1が「E1」、通信制御装置8−2が「E2」であるものとする。
所在管理装置10の制御部40は、データベースアクセス部46を介して社員ID−検出用ID対応データベース部44Aを参照して、検出用ID22Bに対応する社員IDを読み出し、所在記録データベース部44Bに所在記録(タイムスタンプ、社員ID、装置ID)を記録する(ステップS31)。
【0036】
そして、制御部40は、通信制御装置8−1、8−2から受信した社員ID、タイムスタンプ及び装置ID(=E1またはE2)に基づいて、社員Xが方向D1あるいは方向D2のいずれの方向に向かって通路2を通過したかを特定し(ステップS32)する。
図10は、データを時系列順にソートした場合の説明図である。
より具体的には、制御部40は、各通信制御装置8から順次送信されてきた受信データのそれぞれを、図10に示すように、社員ID毎にタイムスタンプにしたがって受信時刻順に時系列的にソートする(ステップS41)。
なお、図10に示すタイムスタンプには秒以下の桁を表示していないが、実際には各受信データにはミリ秒オーダーでタイムスタンプが付与されており、図6においてタイムスタンプが同じデータ同士はミリ秒の桁で相違している。
【0037】
また、ループアンテナ6−1、6−2の通信エリアR1、R2が数メートルであるため、社員Xが歩行により、或いは、走って通路2を通過したとしても、各通信制御装置8が1秒間に数回(本実施形態では5回)の受信を行うことで、各通信制御装置8により複数回連続して利用者Xが所持するIDカード4(4−1〜4−3)が検出される。
【0038】
制御部40は、社員ID、タイムスタンプ及び装置IDに基づいて、社員Xが通路2をどの方向に移動しているかを特定し、特定した移動方向をデータベースアクセス部54に出力し、移動方向を所在記録データベース44Bに記録する(ステップS33)。
さらに詳述すると、ループアンテナ6−1及びループアンテナ6−2が同一の通路2に近接して設置された場合、それぞれに設けたループアンテナ6−1、6−2の通信エリアR1、R2にオーバーラップが生じているため、通路2Bを社員Xが通過する際、この社員Xが所持するIDカード4、例えば、図2におけるIDカード4−2に対応する社員ID(=「40202」)が、図10に示したように、通信制御装置8−1(装置ID=E1)と、通信制御装置8−2(装置ID=E2)のそれぞれで検出されることとなる。したがって、受信した装置IDの時間的な変化に基づいて、社員Xの移動方向が検出される。
すなわち、図10の例において、制御部40は、最初に装置ID=E1が連続して受信され、その後、装置ID=E1と、装置ID=E2が交互に検出され、その後、装置ID=E2が連続して受信されたことから、図2における移動方向D1方向に社員Xが移動していることを判別することとなる。
【0039】
なお、以上の説明は、社員Xが1方向に移動し続けた場合のものであるが、社員Xが通信制御装置8−1に近づいただけの場合には、その後、通信制御装置8−2に対応する装置IDは、受信されないので、その旨を判別することができる。同様に、社員Xが通路2内でUターンした場合にも、一旦、通信制御装置8−1の装置ID、通信制御装置8−2の装置IDが検出された後、所定時間内に再び通信制御装置8−1の装置IDが検出されることとなるので、その旨を検出することができる。
【0040】
そして、制御部40は、社員Xの移動方向が確定した時点で、移動方向を対応するデータに追記することとなる。図10の場合は、移動方向D1を追記した場合のものである。
【0041】
ステップS23の判別において、社員ID−検出用ID対応データベース部44Aに受信した検出用IDが存在しない場合には(ステップS23;No)、制御部40は、受信したデータを破棄して処理を終了する(ステップS25)。
【0042】
このように、本実施形態の所在管理システム1によれば、所在管理装置10は、無線タグ20が送信する検出用IDをノイズから分離した状態で容易に把握し、社員ID、タイムスタンプ及び装置IDに基づいて、社員Xがどの方向に向かって通路2を通過したかを特定することができる。
【0043】
また、本実施形態の所在管理システム1によれば、所在管理装置10は、受信データに基づいて検出された検出用ID22Bが、社員ID−検出用IDデータベース部44Aに登録されているか否かに基づいて無線タグ20の社員IDであるか否かを判断するため、不正な無線タグや既に失効した無線タグの通過や、ノイズの受信により検出された社員IDを簡単に除外することができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、所在管理装置10が対応関係記憶部を構成する社員ID−検出用ID対応データベースを保有していたが、各通信制御装置8が対応関係記憶部を備え、所在管理装置10には、実際に存在する検出用IDが検出された場合にだけ、検出用IDおよび対応する情報(タイムスタンプ、装置IDなど)送信するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る所在管理システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】所在管理システムの構成を模式的に示す平面図である。
【図3】IDカードの機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】通信制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】所在管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】検出用IDの生成処理フローチャートである。
【図7】通信制御装置の処理フローチャートである。
【図8】所在管理装置の処理フローチャートである。
【図9】所在記録データの更新処理の処理フローチャートである。
【図10】データを時系列順にソートした場合の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…所在管理システム(通過検知システム)、2…通過ゲート、4、4−1〜4−3…IDカード、6−1、6−2…ループアンテナ、8−1、8−2…通信制御装置、10…所在管理装置(通過検知装置)、20…無線タグ、22A…社員ID(任意ID)、22B…検出用ID、44…データベース部、44A…社員ID−検出用ID対応データベース(対応関係記憶部)、44B…所在記録データベース、X…社員。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナと、
前記通路を通過する通過物が備える無線タグと、
前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信し、前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記通過物の移動方向を特定する通過検知装置と、
を備えたことを特徴とする通過検知システム。
【請求項2】
請求項1記載の通過検知システムにおいて、
前記無線タグは、任意に割り当てられる識別情報である任意IDと、送信時に時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置したビット列で構成され、前記任意IDに一対一に対応して割り当てられた前記ID情報としての検出用IDとを備えており、
前記通過検知装置は、予め前記任意IDと前記検出用IDとの対応関係を記憶する対応関係記憶部を有し、前記通路を通過する前記無線タグから、前記ループアンテナを介して受信した前記ID情報としての前記検出用IDに基づいて、前記対応関係記憶部を参照することにより前記任意IDを特定する、
ことを特徴とする通過検知システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の通過検知システムにおいて、
前記通過検知装置は、前記複数のループアンテナに受信動作を行わせるに際し、隣接して配置されたループアンテナの受信動作期間の一部が互いに重なり合うようにしていることを特徴とする通過検知システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の通過検知システムにおいて、
前記通過検知装置は、前記複数のループアンテナに受信動作を行わせるに際し、隣接して配置されたループアンテナを排他的に動作させていることを特徴とする通過検知システム。
【請求項5】
通路を通過する通過物に備えられる無線タグから送信される電波を、前記通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナを介して受信し、前記通過物の前記通路の通過を検知する通過検知装置において、
前記無線タグは、任意に割り当てられる識別情報である任意IDと、送信時に時間軸方向に冗長性を持つようにビットを配置したビット列で構成され、前記任意IDに一対一に対応して割り当てられた前記ID情報としての検出用IDとを備えており、
前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信する受信部と、
予め前記任意IDと前記検出用IDとの対応関係を記憶する対応関係記憶部と、
前記通路を通過する前記無線タグから、前記ループアンテナを介して受信した前記ID情報としての前記検出用IDに基づいて、前記対応関係記憶部を参照することにより前記任意IDを特定するID特定部と、
前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記任意IDに対応する前記通過物の移動方向を特定する移動方向特定部と、
を備えたことを特徴とする通過検知装置。
【請求項6】
通路を通過する通過物に備えられる無線タグから送信される電波を、前記通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナを介して受信し、前記通過物の前記通路の通過を検知する通過検知装置の制御方法であって、
前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信する受信過程と、
前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記通過物の移動方向を特定する移動方向特定過程と、
を備えたことを特徴とする通過検知装置の制御方法。
【請求項7】
通路を通過する通過物に備えられる無線タグから送信される電波を、前記通路の所定通過経路に沿って順次離間して配置するとともに、隣接して配置されたループアンテナの通信エリアの一部が互いに重なり合うように配置された複数のループアンテナを介して受信し、前記通過物の前記通路の通過を検知する通過検知装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記いずれかのループアンテナを介して前記無線タグを特定するためのID情報を前記無線タグから順次受信する機能と、
前記ID情報を受信したループアンテナを特定する情報、前記ID情報の時系列的な受信状況および前記複数のループアンテナの配置状態に基づいて、前記通過物の移動方向を特定する機能と、
を前記コンピュータに実現させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−259066(P2009−259066A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108531(P2008−108531)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】