説明

通過車両記録システム

【課題】確実に通過車両を記録する通過車両記録システムを提供する。さらに、画像フレーム数を少なく抑えながら通過車両を記録する通過車両記録システムを提供する。
【解決手段】通過車両記録システムが、画像フレームに進入する各車両を所定のフレームレートで撮像し、画像フレームデータとして出力する撮像装置10と、前記画像フレームに撮像されたナンバープレートを判読する画像処理部21と、前記画像フレームデータを取得し、前記画像フレームへの車両進入を検知する画像処理部21と、前記画像フレームにおける前記車両の通過期間を判定する画像処理部21と、前記ナンバープレートの判読における中間判定と、前記車両進入の検知における中間判定と、の少なくとも一方に基づいて、記録画像フレームを決定する画像処理部21と、画像処理部21が決定した前記記録画像フレームデータを記憶する記録装置50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理によって通過車両を判定し画像フレームデータを記録する、通過車両記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ETC(Electronic Toll Collection System)は、有料道路を利用する際に車両が一時停止することなくETC料金所を通過でき、ETC車載器とETC料金所のシステムが無線通信を利用して必要な情報を交換し、料金の収受を行うシステムである。近年、ETC利用の増加に伴い、有料道路の渋滞発生回数、渋滞箇所はともに大幅に減少しており、さらなる普及が期待されている。
【0003】
しかしETCにおいて、有料道路利用料金の誤課金に対する苦情が寄せられる場合がある。この場合、有料道路の運用者は、その車両が確かにそのETC料金所を通過したか否かを確認する必要がある。このためETC料金所では、ガントリ(構台、Gantry)や路側に設置されたカメラによって通過車両の画像フレームデータが記録されており、有料道路の運用者は、その画像フレームデータを用いて車両の通過確認を必要に応じて行っている。同様に、このような画像フレームデータ記録は、駐車場を入退場した車両の画像フレームデータを記録し、その画像フレームデータを用いて駐車場の運用者が車両の入退場記録を必要に応じて確認するなどの用途にも使われている。
【0004】
このように通過車両の画像フレームデータを記録するため、運用者等によって通過ゲートや車両の通行路上に光学センサやループコイルなど専用の車両進入検知デバイスを設置し、その車両進入検知デバイスからの検知信号をトリガとして車両の画像を撮像する通過車両画像フレームデータ記録方式が知られている。しかし、この車両進入検知デバイスによる画像フレームデータ記録方式では、専用の車両進入検知デバイスを設置する必要があるため設備コストがかさみ、さらに車両進入検知デバイスの設置が物理的に困難な場合がある、という問題があった。
【0005】
そこで、専用の車両進入検知デバイスを設置せず、その代わりに通過ゲートや車両の通行路上を路側カメラによって常時撮像し動画を記録する、常時撮像記録方式を用いることがある。しかし、この常時撮像記録方式では常時撮像であるため動画データの容量が大きくなり、そのデータ記録に必要な記録媒体も大きい記録容量が必要であるという問題があった。また、この常時撮像記録方式では車両が通過しているか否かに関わらず常時撮像をしているため、運用者が車両の通過確認を行う際に、常時撮像により記録された膨大な動画データから目的の車両画像を検索することが難しいという問題もあった。
【0006】
このため、通過車両のうち何台かを撮り逃すことがあったとしても、ほとんどの通過車両を撮像し、その画像フレームデータを記録することができれば実用上充分であるという場合には、画像処理によってナンバープレート(車両番号等)を判読し、その判読結果に基づいて、記録する画像フレームデータであるか否かを判定する方式と、画像処理によって車両進入検知し、その検知結果に基づいて、記録する画像フレームデータか否かを判定する方式と、の2つの方式を用いることがある。
【0007】
しかし、ナンバープレートの判読結果に応じて画像フレームデータを記録する方式では、画像処理によってナンバープレートの車両番号等が読み取れなかった場合に、車両を撮り逃してしまうという問題があった。また、ナンバープレートが意図的に隠蔽されるなどの悪質な場合に、常にその車両を撮り逃してしまうという問題もあった。
【0008】
一方、車両進入検知結果に応じて画像フレームデータを記録する方式では、画像処理によって車両進入検知したタイミングを撮像タイミングとしているため、車体とナンバープレートと運転者とがそれぞれ判別できる程度に1枚の画像フレームにまとめて記録されているとは限らず、せっかく記録された画像フレームデータを車両確認に用いることができない場合があるという問題があった。
【0009】
そこで、これら2つの方式を並行して用いることで各方式の互いの弱点を補完し、車両の撮り逃しをなるべく少なくする通過車両記録方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
なお、画像処理によるナンバープレート(車両番号等)判読方法としては、例えば特許文献2に開示された方法が知られている。また、画像処理による車両進入検知方法としては、例えば特許文献3に開示された方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−242906号公報
【特許文献2】特開2008−310622号公報
【特許文献3】特開2002−24809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、車両とまでは判定できないが何かが画像フレームに進入している、というような画像処理における中間的な判定状態を考慮していないため、実際は車両であったにも関わらず車両と判定されなかったために撮り逃しが発生し、結果として車両の検知精度が充分でないという問題があった。
【0013】
また、特許文献1に開示された方法では、画像処理によるナンバープレート(車体番号)判読と、画像処理による車両進入検知と、のタイミングはそれぞれ独立であるにも関わらず、前述の中間的な判定状態を考慮せずにこれら互いの処理結果を突き合わせて画像フレームデータ記録処理を実行していたため、同一車両について撮像タイミングの異なる二重撮りが発生し、同一車両の重複した画像フレームデータを記録することでデータ量が余計に増大してしまうという問題があった。
【0014】
さらに、特許文献1に開示された方法では、前方を走行する車両と、その後方を走行する車両との車間距離が短い場合に、通過車両記録システムが車両分離に失敗し、それらの車両が同一画像フレームに収まってしまうことで、複数の車両につき1枚の画像フレームしか記録されないことで撮り逃しが発生し、結果として車両の検知精度が充分でないという問題があった。
【0015】
本発明は、前記の諸点に鑑みてなされたものであり、確実に通過車両を記録する通過車両記録システムを提供することを目的とする。
【0016】
さらに本発明は、画像フレーム数を少なく抑えながら通過車両を記録する通過車両記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、画像フレームに進入する車両を所定のフレームレートで撮像し、画像フレームデータとして出力する撮像部と、前記画像フレームデータを取得し、前記画像フレームに撮像されたナンバープレートを判読するナンバープレート判読部と、前記画像フレームデータを取得し、前記画像フレームへの車両進入を検知する車両進入検知部と、前記画像フレームにおける前記車両の通過期間を判定する車両通過期間判定部と、前記ナンバープレートの判読における中間判定と、前記車両進入の検知における中間判定と、の少なくとも一方に基づいて、記録画像フレームを決定する記録画像フレーム決定部と、前記記録画像フレーム決定部が決定した前記記録画像フレームデータを記憶する画像データ記録部と、を備えることを特徴とする通過車両記録システムである。
【0018】
また本発明は、前記記録画像フレーム決定部が、前記通過期間に、前記ナンバープレートの判読結果と、前記車両進入の検知結果と、の少なくとも一方が得られた前記画像フレームを前記記録画像フレーム候補とし、前記ナンバープレートの判読結果と、前記車両進入の検知結果と、に基づく優先順位が高い前記記録画像フレーム候補を記録画像フレームとすることを特徴とする通過車両記録システムである。
【0019】
また本発明は、前記記録画像フレーム決定部が、車両進入が検知された前記画像フレームよりも、前記ナンバープレートが判読された前記画像フレームを優先させることを特徴とする通過車両記録システムである。
【0020】
また本発明は、前記車両通過期間判定部が、第1の画像フレームにおいて判読された第1のナンバープレートが、第2の画像フレームにおいて判読されなくなり、第3の画像フレームにおいて車両進入方向の上流に、第2のナンバープレートが判読できた場合に、第1のナンバープレートを有する車両の通過期間を判定することを特徴とする通過車両記録システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、確実に通過車両を記録するため、通過車両記録システムが、車両とまでは判定できないが何かが画像フレームに進入している、というような画像処理における中間的な判定状態を考慮し、実際は車両であったにも関わらず車両と判定されなかったために撮り逃しが発生することを防止するので、車両の検知精度を向上させることができる。
【0022】
また本発明によれば、通過車両を記録した画像フレーム数を少なく抑えながら通過車両を記録するため、通過車両記録システムが、画像処理における中間的な判定状態を考慮し、画像処理によるナンバープレート(車体番号)判読と、画像処理による車両進入検知と、の優先順位が考慮された互いの処理結果を突き合わせて画像フレームデータ記録処理を実行するので、同一車両について撮像タイミングの異なる二重撮りが発生せず、同一車両の重複した画像フレームデータを記録しないので、データ量が余計に増大してしまうことを防止することができる。
【0023】
また本発明によれば、確実に通過車両を記録するため、前方を走行する車両とその後方を走行する車両との車間距離が短い場合に、通過車両記録システムが適切に車両分離することで、複数の車両につき1枚の画像フレームデータしか記録されないことで撮り逃しが発生するのを防止するので、車両の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態における、通過車両記録システムの構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における、「NP結果」と、「CD結果」と、「記録画像フレームデータ」と、の関係を示した表である。
【図3】本発明の第2の実施形態における、「画像フレーム」と、「NP結果」と、「CD結果」と、の一例を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における、「NP結果」と、「CD結果」と、「記録画像フレームデータ候補」と、「画像優先順位」と、の関係を示した表である。
【図5】本発明の第3の実施形態における、「画像フレーム」と、「NP結果」と、「CD結果」と、の一例を示した図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における、画像フレームにおける、「上流」と、「中流」と、「下流」と、を示した図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における、「画像フレーム」と、「NP結果」と、「CD結果」と、「ナンバープレート位置」と、の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
本発明を実施するための第1の実施形態について説明する。図1は、通過車両記録システムの構成を示した図である。当該通過車両記録システムは、撮像装置10と、画像処理装置20と、送信装置30と、受信装置40と、記録装置50と、を備える。
【0026】
撮像装置10は、例えばガントリ(構台、Gantry)や路側に設置されたカメラであって、撮像範囲11を通過する車両を所定のフレームレート、例えば30[fps]で動画撮像し、画像処理装置20に画像フレームデータを出力する。ここで、車両100と車両101を通過車両として、以下に説明を続ける。なお、通過車両の撮像方向は、上からの撮像に限る必要はなく、ナンバープレート(車両番号等)を読み取ることができれば、例えば横方向からの撮像としてもよい。また、撮像装置10は複数台あってもよい。
【0027】
画像処理装置20は、画像処理部21と、記憶部22と、を備える。画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、ナンバープレート(車両番号等)を判読する。また画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、車両進入検知する。画像処理部21は、ナンバープレート(車両番号等)の判読結果(以下、NP結果と称する)と、車両進入検知結果(以下、CD結果と称する)と、に基づいて、記録装置50に記録する画像フレームデータ(以下、記録画像フレームデータと称する)を、以下のように決める。
【0028】
図2は、「NP結果」と、「CD結果」と、「記録画像フレームデータ」と、の関係を示した表である。「NP結果」は、車両番号等の判読度合であって、「○」は「車両番号等が全部判読された」ことを意味し、「△」は「車両番号等が部分的に判読された」こと、すなわち「中間的な判定状態(中間判定)」を意味し、「×」は「車両番号等がまったく判読されなかった」ことを意味するものとする。
【0029】
また「CD結果」は、車両の検知度合であって、「○」は「画像フレームへの車両の進入を検知した」ことを意味し、「△」は「画像フレームへの何らかの進入を検知したが、車両と判定されなかった」こと、すなわち「中間的な判定状態(中間判定)」を意味し、「×」は「画像フレームへの進入をまったく検知できなかった」ことを意味するものとする。
【0030】
さらに「記録画像フレームデータ」において、「○」は「記録画像フレームデータである」ことを意味し、「×」は「記録画像フレームデータでない」ことを意味する。画像処理部21は、図2に示した表に基づいて、例えば「NP結果が○」かつ「CD結果が○」である画像フレームデータであれば、記録画像フレームデータである、と決める。
【0031】
記録画像フレームデータであると判定した場合、画像処理部21は、記録画像フレームデータを送信装置30に出力する。ここで画像処理部21は、「記録画像フレームデータ」を1回決めるごとに、その1枚の記録画像フレームデータを送信装置30に出力するものとする。なお、記録装置50のデータ容量に余裕がある場合、画像処理部21は、「記録画像フレームデータ」を1回決めるごとに、時間的にその「記録画像フレームデータ」前後の所定枚数の連続した画像フレームデータを送信装置30に出力する、としてもよい。
【0032】
一方、記録画像フレームデータでないと判定した場合、画像処理部21は、その画像フレームデータを送信装置30に出力しない。なお、図2に示した「NP結果」と、「CD結果」と、「記録画像フレームデータ」と、の関係は一例であって、ここで示した例に限定されなくてもよい。例えば、画像処理部21は、「NP結果」と「CD結果」のいずれかに「△」又は「○」がある画像フレームデータを、記録画像フレームデータとしてもよい。
【0033】
画像処理部21は、図2に示された表データを記憶部22から取得する。記憶部22は、図2に示された表データを記憶する。なお記憶部22は、図2に示された表データのほか、画像処理部21から出力された一時的なデータを記憶する、としてもよい。
【0034】
送信装置30は、画像処理部21から記録画像フレームデータを取得し、受信装置40に出力する。受信装置40は、記録画像フレームデータを記録装置50に出力する。記録装置50は、記録画像フレームデータを記憶する。なお、記録装置50は、記録画像フレームデータのほか、それに対応する「NP結果」「CD結果」等を記憶する、としてもよい。
【0035】
このように、本発明の第1の実施形態により、確実に通過車両を記録するために、通過車両記録システムが、車両とまでは判定できないが何かが画像フレームに進入している、というような画像処理における中間的な判定状態を考慮し、実際は車両であったにも関わらず車両と判定されなかったために撮り逃しが発生することを防止するので、車両の検知精度を向上させることができる。
【0036】
[第2の実施形態]
本発明を実施するための第2の実施形態について説明する。当該通過車両記録システムは、第1の実施形態の通過車両記録システムと同構成を備える。
【0037】
記憶部22は、記録画像フレームデータの候補を記憶する。また記憶部22は、後述する図4に示された表データを記憶する。記憶部22は、記憶したデータを画像処理部21の指示に応じて削除する。記憶部22のその他の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0038】
画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、ナンバープレート(車両番号等)を判読する。また画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、車両進入検知する。画像処理部21は、NP結果と、CD結果と、に基づいて、記録画像フレームデータの候補を、以下のように選択する。
【0039】
図3は、「画像フレーム」と、「NP結果」と、「CD結果」と、の一例を示した図である。図3において、上段から下段に向かって時間が経過するものとする。「画像フレーム」は、撮像装置10が、通過車両を所定のフレームレートで動画撮像し、画像処理装置20に出力した画像フレームデータである。ここで、「NP結果」と「CD結果」が、図3に示されたようになったとする。
【0040】
画像処理部21は、1車両の通過期間を判定し、その1車両につき1枚の記録画像フレームデータを決定する(以下、車両分離と称する)。ここで画像処理部21は、「CD結果」において「○」が連続した期間を1車両の通過期間として、その期間につき1枚の記録画像フレームデータを決める。第1の実施形態の図2に示した表によれば、「NP結果が△」かつ「CD結果が○」の「画像フレーム」と、「NP結果が○」かつ「CD結果が○」の「画像フレーム」と、はいずれも「記録画像フレームデータ」が「○」であるため、画像処理装置20は、このままでは車両101について2枚の記録画像フレームデータができてしまうことになる。そこで画像処理装置20は、図4に示す表を用いて、1枚の記録画像フレームデータを、以下のように決める。
【0041】
図4は、「NP結果」と、「CD結果」と、「記録画像フレームデータ候補」と、「画像優先順位」と、の関係を示した表である。画像処理部21は、図4に示された表データを記憶部22から取得する。図4に示した表において、「NP結果」と「CD結果」は、図2に示した表と同じである。「記録画像フレームデータ候補」において、「○」は「記録画像フレームデータの候補である」ことを意味し、「×」は「記録画像フレームデータの候補でない」ことを意味する。画像処理部21は、図4に示した表に基づいて、例えば「NP結果が○」かつ「CD結果が○」である画像フレームデータを、記録画像フレームデータの候補である、と決める。
【0042】
「画像優先順位」の各数値は、「記録画像フレームデータ候補」の優先順位であり、小さい値ほど優先順位が高いことを示す。この優先順位は、「記録画像フレームデータ候補」における「NP結果(車両番号等の判読度合)」と「CD結果(車両の検知度合)」に応じた順位である。ここで、「CD結果」よりも「NP結果」を重視するものとする。なぜなら、「NP結果」は車両が通過した場合のみ「○」又は「△」となるのに対して、「CD結果」は車両以外が通過した場合でも「○」又は「△」となる可能性があるため、判読精度、検知精度が同等でないためである。
【0043】
画像処理部21は、「画像優先順位」に基づいて、記録画像フレームデータを決める。画像処理部21は、記録画像フレームデータの候補であると決めた画像フレームデータを、記憶部22に記憶させる。ここで、すでに記憶部22に記憶させた1車両の記録画像フレームデータの候補がある場合、画像処理部21は、より優先順位の高い記録画像フレームデータの候補を記憶部22に記憶させ、それまで記憶させた優先順位の低い記録画像フレームデータの候補を記憶部22から削除する。
【0044】
画像処理部21は、「CD結果」が「×」になった場合、1車両が通過したと判定し、記録画像フレームデータを記憶部22から取得する。前述のように、この記録画像フレームデータは、1車両を撮像した記録画像フレームデータの候補のうち最も優先順位の高い記録画像フレームデータである。画像処理部21のその他の動作は、第1の実施形態と同様である。また、その他のブロックの動作は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
なお、図4に示した「NP結果」と、「CD結果」と、「記録画像フレームデータ候補」と、「画像優先順位」と、の関係は一例であって、ここで示した例に限定されなくてもよい。例えば、画像処理部21は、「NP結果」と「CD結果」のいずれかに「△」又は「○」があれば、それを記録画像フレームデータの候補としてもよい。
【0046】
このように、本発明の第2の実施形態により、通過車両を記録した画像フレーム数を少なく抑えながら通過車両を記録するために、通過車両記録システムが、画像処理における中間的な判定状態を考慮し、画像処理によるナンバープレート(車体番号)判読と、画像処理による車両進入検知と、の優先順位が考慮された互いの処理結果を突き合わせて画像フレームデータ記録処理を実行するので、同一車両について撮像タイミングの異なる二重撮りが発生せず、同一車両の重複した画像フレームデータを記録しないので、データ量が余計に増大してしまうことを防止することができる。
【0047】
[第3の実施形態]
本発明を実施するための第3の実施形態について説明する。当該通過車両記録システムは、第2の実施形態の通過車両記録システムと同構成を備える。
【0048】
画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、ナンバープレート(車両番号等)を判読する、また画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、画像フレームにおける「ナンバープレートの位置」を認識する。「ナンバープレートの位置」については、図6と図7で後述する。車両番号等を得た場合、画像処理部21は、次画像フレーム以降の「NP結果」が「×」であるか否かについて判定をする。また「NP結果」が「×」であった場合、画像処理部21は、次画像フレーム以降の「NP結果」が「○」であるか否かについて判定をする。
【0049】
画像処理部21は、画像フレームデータを画像処理し、車両進入検知する。画像処理部21は、NP結果と、CD結果と、後述する図7の「ナンバープレート位置」と、に基づいて、記録画像フレームデータの候補を、以下のように決める。
【0050】
図5は、「画像フレーム」と、「NP結果」と、「CD結果」と、の一例を示した図である。図5において、上段から下段に向かって時間が経過するものとする。「画像フレーム」は、撮像装置10が、通過車両を所定のフレームレートで動画撮像し、画像処理装置20に出力した画像フレームデータである。ここで、「NP結果」と「CD結果」が、図5に示されたようになったとする。
【0051】
画像処理部21は、車両分離を実行する。しかし、図5に示された場合に対して、第2の実施形態と同じ手順で車両分離を行うと、車両101と車両100の2車両が撮像されたにも関わらず、画像処理部21は、図5において「CD結果」の「○」が連続しているために、2車両につき1枚の記録画像フレームデータを決めてしまい、撮り逃しが発生してしまうことになる。
【0052】
また「NP結果」は、ナンバープレートの複雑な文字、数字を画像処理によって判読した結果であるため、「○」になったとしても、それが読み取り間違いをしている可能性があることも考慮する必要がある。そこで画像処理装置20は、図7に示す表を用いて車両分離を実行する。
【0053】
図6は、画像フレームにおける、「上流」と、「中流」と、「下流」と、を示した図である。画像フレームは、例えば水平に三等分され、車両進入方向に対して上流にある長方形領域を「上流」と定義する。同様に「中流」「下流」を定義する。
【0054】
図7は、「画像フレーム」と、「NP結果」と、「CD結果」と、「ナンバープレート位置」と、の関係を示した図である。図7において、「画像フレーム1」から「画像フレーム4」の順に時間が経過するものとする。「ナンバープレート位置」において、「上流」は「ナンバープレートが上流にある」ことを意味し、「中流」は「ナンバープレートが中流にある」ことを意味し、「下流」(不図示)は「ナンバープレートが下流にある」ことを意味する。
【0055】
画像処理部21は、「CD結果」が「○」である場合、第2の実施形態と同様に記録画像フレームデータの候補を決め、記憶部22に記憶させる。ここで画像処理部21は、画像フレームにおいて同一車両であれば現れるはずの無い位置に確度の高いナンバープレート(車両番号等)が現れた場合、車両分離を実行する。
【0056】
画像処理部21の動作を説明する。図7において、「画像フレーム1」に撮像された車両101の「NP結果」として「○」が得られたとする。これにより画像処理部21は、車両番号等が「車両101」であることを判読する。また画像処理部21は、図4に基づいて、「画像フレーム1」が「NP結果が○」かつ「CD結果が○」であるため、記録画像フレームデータの候補として「画像フレーム1」を記憶部22に記憶させる。車両番号等「車両101」を得たため、画像処理部21は、次画像フレーム以降の「NP結果」が「×」であるか否かについて判定を開始する。
【0057】
次に「画像フレーム2」において、車両101の「NP結果」として「△」が得られたとする。これにより画像処理部21は、図4に基づいて、「NP結果が△」かつ「CD結果が○」である「画像フレーム2」よりも「画像フレーム1」の優先順位が高いと認識する。このため画像処理部21は、記録画像フレームデータの候補として「画像フレーム1」を記憶部22に記憶させたままとする。
【0058】
次に「画像フレーム3」において、車両101がさらに画像フレームに進入したことで、画像処理部21は「NP結果」として「×」を得たとする。画像処理部21は、車両101の「NP結果」が「×」となったので、次画像フレーム以降の「NP結果」が「○」であるか否かについて判定を開始する。
【0059】
次に「画像フレーム4」において、車両100がさらに画像フレームに進入したことで、画像処理部21は「NP結果」として「○」を得たとする。車両101であれば現れるはずの無い「上流」位置に、確度が高い車両番号等、すなわち「NP結果」が「○」である「車両100」が現れたので、車両分離を実行し、第2の実施形態と同様に記録画像フレームデータを出力する。その他のブロックは、第2の実施形態と同様に動作する。
【0060】
画像処理部21は、このように「ナンバープレート位置」を用いることで、読み取り間違いが発生する可能性のある「NP結果」を補助し、車両分離の信頼性をより向上させる。なお、図7に示した「NP結果」と、「CD結果」と、「ナンバープレート位置」と、の関係は一例であって、ここで示した例に限定されなくてもよい。例えば、「NP結果」として「○」が得られず、その代わりに「△」が得られていれば、その「△」が得られた画像フレームデータを記録画像フレームデータとする、としてもよい。
【0061】
このように、本発明の第3の実施形態により、確実に通過車両を記録するために、前方を走行する車両とその後方を走行する車両との車間距離が短い場合に、通過車両記録システムが適切に車両分離することで、複数の車両につき1枚の画像フレームしか記録されないことで撮り逃しが発生するのを防止するので、車両の検知精度を向上させることができる。
【0062】
以上、画像処理部21が前述のように「記録画像フレームデータ」を決めるので、通過車両を記録した画像フレーム数を少なく抑えながら、確実に通過車両を記録することができる通過車両記録システムとなる。
【0063】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0064】
例えば、図6における画像フレームの領域は、さらに多くの領域が定義されてもよい。また例えば、画像処理部21は、「ナンバープレート位置」が「中流」または「下流」から、次に「上流」となった場合に、「NP結果」に関わらず車両分離処理を実行する、としてもよい。
【0065】
また、本発明に記載の撮像部は、撮像装置10に対応し、ナンバープレート判読部は、画像処理部21に対応し、車両進入検知部は、画像処理部21に対応し、車両通過期間判定部は、画像処理部21に対応し、記録画像フレーム決定部は、画像処理部21に対応し、画像データ記録部は、記録装置50に対応する。
【0066】
また、図2、図3、図4、図5、図7に示す表を作成するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、通信端末の実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0067】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0068】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、画像処理によって通過車両を判定し画像フレームデータを記録する、通過車両記録システムに好適である。
【符号の説明】
【0070】
10…撮像装置 11…撮像範囲 20…画像処理装置 21…画像処理部 22…記憶部 30…送信装置 40…受信装置 50…記録装置 100…車両 101…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像フレームに進入する車両を所定のフレームレートで撮像し、画像フレームデータとして出力する撮像部と、
前記画像フレームデータを取得し、前記画像フレームに撮像されたナンバープレートを判読するナンバープレート判読部と、
前記画像フレームデータを取得し、前記画像フレームへの車両進入を検知する車両進入検知部と、
前記画像フレームにおける前記車両の通過期間を判定する車両通過期間判定部と、
前記ナンバープレートの判読における中間判定と、前記車両進入の検知における中間判定と、の少なくとも一方に基づいて、記録画像フレームを決定する記録画像フレーム決定部と、
前記記録画像フレーム決定部が決定した前記記録画像フレームデータを記憶する画像データ記録部と、
を備えることを特徴とする通過車両記録システム。
【請求項2】
前記記録画像フレーム決定部は、前記通過期間に、前記ナンバープレートの判読結果と、前記車両進入の検知結果と、の少なくとも一方が得られた前記画像フレームを前記記録画像フレーム候補とし、前記ナンバープレートの判読結果と、前記車両進入の検知結果と、に基づく優先順位が高い前記記録画像フレーム候補を記録画像フレームとすることを特徴とする請求項1に記載の通過車両記録システム。
【請求項3】
前記記録画像フレーム決定部は、車両進入が検知された前記画像フレームよりも、前記ナンバープレートが判読された前記画像フレームを優先させることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか1つに記載の通過車両記録システム。
【請求項4】
前記車両通過期間判定部は、第1の画像フレームにおいて判読された第1のナンバープレートが、第2の画像フレームにおいて判読されなくなり、第3の画像フレームにおいて車両進入方向の上流に、第2のナンバープレートが判読できた場合に、第1のナンバープレートを有する車両の通過期間を判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の通過車両記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−186399(P2010−186399A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31311(P2009−31311)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】