説明

連結スプリング及び流路開閉弁

【課題】ガタ隙間を埋めつつ、人為的工数及びコストを大幅に低減できる連結スプリング及び流路開閉弁を提供する。
【解決手段】流路開閉弁10において、ボールバルブ14の頂部に設けられた凹部46と、シャフト50の下端部に設けられた凸部62との間には、連結スプリング64が介装されている。連結スプリング64は、凸部62の外側面62a、62bに当接して凸部62を挟む一対のアーム部66、67と、アーム部66、67の基端部間を構成する中間部68とを有し、アーム部66、68の外面は、連結スプリング64が凹部46と凸部62との間に配設された介装状態で、凹部46の内側面46a、46bにそれぞれ当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通する流路を開閉することにより該流体の流通状態を切り換える流路開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、流体の流通する流路に接続され、該流路の連通状態を切り換えることによって前記流体の流通状態を制御する流路開閉弁が知られている。このような流路開閉弁は、弁本体の内部にボールバルブが設けられ、該ボールバルブの上部に連結されたシャフトが回転することにより、前記ボールバルブの貫通孔が前記弁本体に形成された一対の通路を互いに連通させる。
【0003】
このような従来の流路開閉弁において、ボールバルブの上部には平面視で長方形状の凹部(溝)が設けられ、シャフトの先端部(下端部)には前記凹部に嵌合する凸部が設けられている。さらに凸部の側面には外方に膨らむ円弧形状の膨出部が設けられ、この膨出部により、シャフトの凸部とボールバルブの凹部との間のガタを埋め、シャフトとボールバルブとの回転位相差を低減している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−74685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術では、シャフトの凸部の側面に膨出部を形成するために、凸部を形成するのとは別の加工が必要であり、しかも膨出部は円弧形状であるために切削加工等の加工方法では相当の手間を要し、その分、人為的工数及びコストが大きくかかる。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、ガタ隙間を埋めつつ、人為的工数及びコストを大幅に低減できる連結スプリング及び流路開閉弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、第1要素に設けられ一対の対向する内側面を有する凹部と、第2要素に設けられ互いに反対側の面を構成する外側面を有する嵌合部との間に形成される隙間に介装され、前記第1要素と前記第2要素との軸線周りの相対回転を拘束する連結スプリングであって、前記嵌合部を前記両外側面の側から挟む一対のアーム部と、前記アーム部の基端部間を構成する中間部とを備え、前記アーム部の外面は、前記連結スプリングが前記凹部と前記嵌合部との間に配設された介装状態で、前記内側面にそれぞれ当接する、ことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、凹部と嵌合部との間に形成されるガタ隙間を連結スプリングにより埋めることができる。このような連結スプリングは、嵌合部の外側面に膨出部を形成する場合と比較して、簡易かつ低コストで製作することができる。従って、凹部と嵌合部との間のガタ隙間を埋めつつ、人為的工数及びコストを大幅に低減できる。
【0009】
上記の連結スプリングにおいて、前記連結スプリングが前記介装状態とされていない自然状態での前記アーム部間の間隔は、前記嵌合部の厚さよりも小さいとよい。
【0010】
上記の構成によれば、嵌合部に連結スプリングを装着した状態としてから、凹部に嵌合部を嵌合させることができるため、組立作業を簡易化することができる。
【0011】
上記の連結スプリングにおいて、前記各アーム部は、外方向に膨らむように湾曲する円弧形状部を有するとよい。
【0012】
上記の構成によれば、連結スプリングを凹部に挿入しやすく、組立作業性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る流路開閉弁は、貫通孔を設けたボールバルブと、前記ボールバルブを回転させるシャフトと、前記ボールバルブと前記シャフトとの間に介装される連結スプリングとを備え、前記ボールバルブと前記シャフトのうち、一方には、一対の対向する内側面を有する凹部が形成され、他方には、互いに反対側の面を構成する外側面を有し前記凹部に嵌合する凸部が形成され、前記外側面に当接して前記凸部を挟む一対のアーム部と、前記アーム部の基端部間を構成する中間部とを有し、前記アーム部の外面は、前記連結スプリングが前記凹部と前記凸部との間に介装された介装状態で、前記内側面にそれぞれ当接する、ことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、凹部と凸部との間に形成されるガタ隙間を連結スプリングにより埋めることができる。このような連結スプリングは、嵌合部の側面に膨出部を形成する場合と比較して、簡易かつ低コストで製作することができる。従って、ガタ隙間を埋めつつ、人為的工数及びコストを大幅に低減できる。
【0015】
上記の流路開閉弁において、前記連結スプリングが前記介装状態とされていない自然状態での前記アーム部間の間隔は、前記凸部の厚さよりも小さいとよい。
【0016】
上記の構成によれば、嵌合部に連結スプリングを装着した状態としてから、凹部に嵌合部を嵌合させることができるため、組立作業を簡易化することができる。
【0017】
上記の流路開閉弁において、前記各アーム部は、外方向に膨出する円弧形状部を有するとよい。
【0018】
上記の構成によれば、連結スプリングを凹部に挿入しやすく、組立作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る連結スプリング及び流路開閉弁によれば、ガタ隙間を埋めつつ、人為的工数及びコストを大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る流路開閉弁の断面図である。
【図2】弁開状態でのボールバルブ及びその周辺部位を示す拡大断面図である。
【図3】図3Aは、凹部と凸部との間に連結スプリングを装着した状態における連結スプリング及びその周辺部位を示す部分拡大断面図であり、図3Bは、ボールバルブの軸線がシャフトの軸線に対して傾斜した状態を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る流路開閉弁の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る連結スプリング及び流路開閉弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る流路開閉弁10の断面図である。流路開閉弁10は、ボディ本体12と、該ボディ本体12の内部に回動自在に設けられるボールバルブ14(第1要素)14と、前記ボールバルブ14の外周面15に当接するバルブ押さえ16と、バルブ押さえ16とは反対側でボールバルブ14に当接するバルブシート18と、前記ボディ本体12の上部に設けられ、前記ボールバルブ14に対して回転駆動力を付与する駆動力伝達機構20とを有する。
【0023】
本実施形態に係る流路開閉弁10は、排気ガス循環用バルブ(EGRバルブ)10Aとして構成されており、ボディ本体12の下部には、気化した燃料を含む排気ガスが供給されるガス流入口22が設けられ、ガス流入口のボールバルブ14を間にした反対側には、排気ガスを導出して内燃機関(図示せず)へと循環させるガス流出口24が設けられている。
【0024】
ボディ本体12において、ガス流入口22とガス流出口24とは略一直線上に設けられる。ここで、図1中、符号Cは、ガス流入口22の中心と、ガス流出口24の中心とを通る直線であり、直線Cに沿う方向を矢印Xで示す。
【0025】
ボディ本体12には、ガス流入口22とガス流出口24との間に連通室26が形成され、この連通室26の内部に略球状のボールバルブ14がシャフト50の軸線A1を中心として回動自在に配設される。
【0026】
この連通室26とガス流入口22との間には、リング状のバルブ押さえ16が設けられ、バルブ押さえ16は、ガス流入口22より拡径した環状の第1装着溝28に装着されている。すなわち、バルブ押さえ16は、その一端面が連通室26に臨んでボールバルブ14の外周面に当接し、他側面がガス流入口22に臨むように配設されている。
【0027】
バルブ押さえ16の中心部には、ガス流入口22と連通するとともにバルブ押さえ16の軸線方向(矢印X方向)に沿って貫通する連通孔30が形成されている。バルブ押さえ16のX2方向側の面には、ボールバルブ14が当接するシート面32が形成される。このシート面32は、バルブ押さえ16の軸線を中心に延在する円環状であり、ボールバルブ14の球面部分と同一の曲率を有する球面として構成されている。
【0028】
バルブ押さえ16とボディ本体12との間には、弾性付勢部材としてのコイルスプリング34が介装され、バルブ押さえ16を常にボールバルブ14側(矢印X2方向)に向かって弾性的に付勢している。なお、バルブ押さえ16とボディ本体12との間に介装する弾性付勢部材は、コイルスプリング34に限らず、例えば、スプリングワッシャ等の他の弾性体であってもよい。
【0029】
連通室26とガス流出口24との間には、リング状のバルブシート18が設けられている。バルブシート18は、ガス流出口24と連通室26との間に形成された環状の第2装着溝36に装着されている。バルブシート18は、一端面が連通室26に臨んでボールバルブ14の外周面15に当接し、他側面がガス流出口24に臨むように配設されている。なお、バルブシート18は、連通室26を中心としてバルブ押さえ16と同軸上に設けられる。
【0030】
バルブシート18の中心部には、ガス流出口24と連通するとともに軸線方向に沿って貫通する第2連通孔38が形成されている。バルブシート18のX1方向側の面には、ボールバルブ14が当接するシート面40が形成される。このシート面40は、バルブシート18の軸線を中心に延在する円環状であり、ボールバルブ14の球面部分と同一の曲率を有する球面として構成されている。
【0031】
バルブシート18のX2側の面は、略平面状に形成され、図示しない配管等がガス流出口24に対して接続されることにより、該配管等の端部によって第2装着溝36内における軸線方向(矢印X方向)への変位が規制される。
【0032】
ボールバルブ14には、ボールバルブ14の中心部を通り、かつ一方の面から他方の面へと貫通する貫通孔44が形成されている。図2に示すように、貫通孔44がガス流入口22及びガス流出口24と一直線上になると、ガス流入口22及びガス流出口24が貫通孔44を介して連通し、弁開状態となる。
【0033】
ボールバルブ14の頂部には、平面視で長方形状の凹部46が形成されている。凹部46は、湾曲した底面46cとその両側の内側面46a、46b(図2、図3A参照)とを有する。図示例の底面46cは、貫通孔44に向かって湾曲する円弧形状面であるが、平面であってもよい。内側面46a、46bは、互いに平行な平面である。このように構成された凹部46には、後述するシャフト50の先端部(下端部)が挿入される。なお、図示例の凹部46は、貫通孔44の軸線と直交する方向に延在しているが、設計条件等によっては、貫通孔44の軸線と平行又は交差する方向に延在してもよい。
【0034】
図1に示すように、駆動力伝達機構20は、ボールバルブ14の頂部に連結されるシャフト50(第2要素)と、シャフト50の上端部に連結される回転ヨーク52と、ボディ本体12の上部に連結され、回転ヨーク52を介してシャフト50を回転駆動させる駆動源54とを含む。
【0035】
シャフト50は、ボディ本体12の内部に設けられた一組の軸受56、58によってその軸線A1を中心として回転自在に支持されている。シャフト50の上端部は、回転ヨーク52の略中央部に挿通されてナット60を締め付けることによって固定されている。駆動源54は、例えば、通電作用下に回転駆動するステッピングモータやロータリーアクチュエータからなり、その回転駆動力が回転ヨーク52を介してシャフト50へと伝達されることにより、シャフト50に連結されたボールバルブ14が所定方向に回動動作する。
【0036】
図1及び図2に示すように、シャフト50の先端部(下端部)には、ボールバルブ14側に向かって突出し、かつ軸線A1に直交する方向に延在する凸部(嵌合部)62が設けられている。凸部62には、互いに反対側の面を構成する外側面62a、62bが形成されている。外側面62a、62bは、互いに平行な平面である。凸部62の、軸線A1に直交する断面形状は、略長方形状である。凸部62は、連通室26内においてボールバルブ14の凹部46に挿入される。
【0037】
図2に示すように、凹部46の幅(一方の内側面46aから他方の内側面46bまでの距離)W1は、凸部62の厚さ(一方の外側面62aから他方の外側面62bまでの距離)W2よりも大きく設定されている。このため、凸部62を凹部46に挿入した状態では、凸部62と凹部46との間に隙間が形成される。この隙間によるガタを埋めるため、当該隙間には連結スプリング64が介装されている。
【0038】
連結スプリング64は、シャフト50の凸部62を外側面62a、62bから挟むように凸部62に装着されるとともに、ボールバルブ14の凹部46に挿入されることで、凹部46と凸部62との間の隙間に配設された介装状態となる。連結スプリング64は、前記隙間内で凸部62及び凹部46の長手方向、すなわち凸部62及び凹部46の延在方向に沿って延在するように構成される。
【0039】
図3Aは、介装状態における連結スプリング64及びその周辺部位を示す部分拡大断面図である。図3Aに示すように、連結スプリング64は、凸部62を両外側面62a、62bの側から挟む一対のアーム部66、67と、アーム部66、67の基端部間を構成する中間部68とを備える。
【0040】
各アーム部66、67は、凸部62の外側面62a、62bに当接して押圧する押圧部70a、70bと、押圧部70a、70bよりも中間部68側に位置して凹部46の内側面46a、46bに当接する当接部72a、72bとを有し、S字状に湾曲した形状を呈する。すなわち、押圧部70a、70bは、連結スプリング64の内側(凸部62側)に向かって膨らむように湾曲しており、当接部72a、72bは、連結スプリング64の外側(外側面62a、62b側)に向かって膨らむように円弧状に湾曲している。このように、当接部72a、72bが円弧状に湾曲していることにより、連結スプリング64を凹部46に挿入しやすく、組立作業性を向上させることができる。
【0041】
図3Aにおいて、連結スプリング64が介装状態とされていない自然状態(連結スプリング64に何らの外力も付与されていない状態)におけるアーム部66、67を2点鎖線で示す。このような自然状態におけるアーム部66、67間の間隔(具体的には、押圧部70a、70b間の間隔)W3は、凸部62の厚さW2よりも小さく設定するとよい。このようにW3を設定した場合、凸部62に連結スプリング64を装着すると、アーム部66、67が弾性変形して押圧部70a、70bが凸部62の外側面62a、62bを押圧する。このため、組立作業の際に、凸部62に連結スプリング64を装着した状態としてから、凹部46に凸部62を嵌合させることができる。よって、組立作業の円滑化を図ることができる。
【0042】
連結スプリング64の介装状態において、当接部72a、72bは、内側面46a、46bに丁度当接しているか、あるいは、内側面46a、46bを押圧しているとよい。これにより、凸部62と凹部46との隙間によるガタを完全に埋めることができる。
【0043】
中間部68は、連結スプリング64のうち、一方のアーム部66、67の基端部から他方のアーム部66、67の基端部に渡って延在する部位であり、図示例では、当接部72a、72bと略同一の曲率で、当接部72a、72bから滑らかに連続して形成されている。なお、中間部68は、湾曲形状に限らず、フラットな形状であってもよい。
【0044】
連結スプリング64の構成材料としては、凸部62及び凹部46に装着する際に適度に弾性変形して凸部62の外側面62a、62b及び凹部46の内側面46a、46bに当接及び密着し、かつ、連結スプリング64が凹部46と凸部62の間に介装された状態でシャフト50からボールバルブ14に回転駆動力を伝達する際にほとんど弾性変形しない程度の剛性を有する金属材料、樹脂材料等が挙げられる。
【0045】
本実施形態に係る流路開閉弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、図1に示されるように、ガス流入口22とガス流出口24との間の流路がボールバルブ14によって遮断された弁閉状態を初期位置として説明する。
【0046】
図1に示すように、初期位置では、図示しないガスがガス流入口22へと供給されているが、ボールバルブ14の貫通孔44がガス流入口22及びガス流出口24に対して直交する位置となり、バルブ押さえ16の連通孔30とバルブシート18の連通孔38がともにボールバルブ14の外周面によって閉塞されることで、ガス流入口22とガス流出口24との間の流路が遮断されている。
【0047】
この弁閉状態から、図1に示す駆動源54が駆動すると、駆動源54の回転駆動力が回転ヨーク52を介してシャフト50に伝達され、このシャフト50に連結されたボールバルブ14が回転する。この場合、シャフト50の凸部62とボールバルブ14の凹部46との間には、連結スプリング64が介装され、隙間によるガタは埋められているため、シャフト50とボールバルブ14との回転位相差が低減される。
【0048】
このようにボールバルブ14が回転して、貫通孔44がガス流入口22及びガス流出口24と一直線上となることにより、貫通孔44を通じてガス流入口22とガス流出口24とが連通した弁開状態となる。これにより、ガス流入口22に供給されているガスが、ボールバルブ14の貫通孔44を通じてガス流出口24側へと流通して図示しない内燃機関へと導入される。
【0049】
上述したように、本実施形態に係る流路開閉弁10(EGRバルブ10A)によれば、凹部46と凸部62との間に形成されるガタ隙間を連結スプリング64により埋めることができる。このような連結スプリング64は、凸部62の外側面62a、62bに膨出部を形成する上述した従来技術と比較して、簡易かつ低コストで製作することができる。従って、凹部46と凸部62との間のガタ隙間を埋めつつ、人為的工数及びコストを大幅に低減できる。
【0050】
また、本実施形態によれば、連結スプリング64が介装状態とされていない自然状態でのアーム部66、67間の間隔W3は、凸部62の厚さW2よりも小さく設定されているので、組立作業の際に、凸部62に連結スプリング64を装着した状態としてから、凹部46に凸部62を嵌合させることができる。よって、組立作業を簡易化することができる。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、各アーム部66、67は、外方向に膨らむように円弧形状に湾曲する当接部72a、72bを有するので、連結スプリング64を凹部46に挿入しやすく、組立作業性を向上させることができる。また、図3Bに示すように、製作又は組立時の誤差によりボールバルブ14の軸線A2がシャフト50の軸線A1に対して傾斜した場合でも、凹部46の内側面46a、46bが連結スプリング64の円弧状に湾曲した当接部72a、72b上を摺接しながら移動するので、連結スプリング64と凹部46との回転摩擦が過大となることを防止できる。
【0052】
図4は、第2実施形態に係る流路開閉弁10aの部分拡大断面図である。なお、流路開閉弁10aについて、上述した第1実施形態に流路開閉弁10と同一要素には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
第2実施形態に係る流路開閉弁10aは、ボールバルブ14aとシャフト50aの構成が、ボールバルブ14及びシャフト50と異なる点で、第1実施形態に係る流路開閉弁10と異なる。すなわち、ボールバルブ14aの頂部にはシャフト50a側に突出する凸部76が設けられ、シャフト50aの下端部には上方に窪む凹部78が設けられている。凸部76及び凹部78は、それぞれ、第1実施形態における凸部62及び凹部46と同様に構成されている。凸部76以外の部分のボールバルブ14aの構成は、ボールバルブ14と同じである。凹部78以外の部分のシャフト50aの構成は、シャフト50と同じである。
【0054】
凸部76と凹部78の間に形成される隙間には、上述した連結スプリング64が介装され、隙間によるガタが埋められる。第2実施形態では、凸部76と凹部78の配置関係が第1実施形態とは逆となっているため、連結スプリング64は、アーム部66、67の先端が下方を指向する向きで装着されている。
【0055】
このように構成される第2実施形態に係る流路開閉弁10aによっても、連結スプリング64の作用により、上述した第1実施形態に係る流路開閉弁10と同様の作用効果が得られる。
【0056】
なお、本発明に係る流路開閉弁10、10aは、EGRバルブに限定されるものではなく、種々の流体の流路を開閉する弁として用いることができる。
【0057】
また、上述した連結スプリング64は、流路開閉弁10(10a)におけるシャフト50(50a)、とボールバルブ14(14a)の連結部以外にも、凹部とこれに嵌合される嵌合部との間に形成される隙間に介装し、当該隙間よるガタを埋めるために用いることも可能である。
【0058】
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
10、10a…流路開閉弁 10A…EGRバルブ
14…ボールバルブ 46、78…凹部
46a、46b…内側面 50…シャフト
62、76…凸部 62a、62b…外側面
64…連結スプリング 66、67…アーム部
68…中間部 72a、72b…当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1要素に設けられ一対の対向する内側面を有する凹部と、第2要素に設けられ互いに反対側の面を構成する外側面を有する嵌合部との間に形成される隙間に介装され、前記第1要素と前記第2要素との軸線周りの相対回転を拘束する連結スプリングであって、
前記嵌合部を前記両外側面の側から挟む一対のアーム部と、
前記アーム部の基端部間を構成する中間部とを備え、
前記アーム部の外面は、前記連結スプリングが前記凹部と前記嵌合部との間に配設された介装状態で、前記内側面にそれぞれ当接する、
ことを特徴とする連結スプリング。
【請求項2】
請求項1記載の連結スプリングにおいて、
前記連結スプリングが前記介装状態とされていない自然状態での前記アーム部間の間隔は、前記嵌合部の厚さよりも小さい、
ことを特徴とする連結スプリング。
【請求項3】
請求項1または2記載の連結スプリングにおいて、
前記各アーム部は、外方向に膨らむように湾曲する円弧形状部を有する、
ことを特徴とする連結スプリング。
【請求項4】
貫通孔を設けたボールバルブと、
前記ボールバルブを回転させるシャフトと、
前記ボールバルブと前記シャフトとの間に介装される連結スプリングとを備え、
前記ボールバルブと前記シャフトのうち、一方には、一対の対向する内側面を有する凹部が形成され、他方には、互いに反対側の面を構成する外側面を有し前記凹部に嵌合する凸部が形成され、
前記外側面に当接して前記凸部を挟む一対のアーム部と、
前記アーム部の基端部間を構成する中間部とを有し、
前記アーム部の外面は、前記連結スプリングが前記凹部と前記凸部との間に介装された介装状態で、前記内側面にそれぞれ当接する、
ことを特徴とする流路開閉弁。
【請求項5】
請求項4記載の流路開閉弁において、
前記連結スプリングが前記介装状態とされていない自然状態での前記アーム部間の間隔は、前記凸部の厚さよりも小さい、
ことを特徴とする流路開閉弁。
【請求項6】
請求項4または5記載の流路開閉弁において、
前記各アーム部は、外方向に膨出する円弧形状部を有する、
ことを特徴とする流路開閉弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−67812(P2012−67812A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211615(P2010−211615)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】