説明

連続処理機器における金属ストリップを案内するための装置および方法

【課題】 金属ストリップを非接触的に案内するための装置を提供する。
【解決手段】 金属ストリップと直角を成す2組の磁極を備え、該磁極の近傍に該金属ストリップに斥力を作用させる磁力線領域(ゾーンA1、A2)を形成し、該磁力線領域間に金属ストリップ走行領域を設け、金属ストリップが所定の走行領域(ゾーンB)から変位すると本来の走行領域に戻す力が生じる様にした連続処理機器における金属ストリップを案内するための装置および方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性、非磁性を問わず、2つの機械的支持手段の間に自由に伸びるストリップの長さにわたる金属ストリップの非接触案内のための装置に関するものであり、そのストリップは、接触を避ける壁または機素の間にある通路窓を通って、この長さにわたって連続的に延びている。
【0002】
本発明は、例えば、適当な長さに切断または切り取るためなど、熱処理ライン、金属または有機被覆ライン、あるいは調整ラインなど、磁性、非磁性に関わらず、連続的に延びている連続可動金属ストリップのためのあらゆる機器に関する。
【背景技術】
【0003】
連続金属ストリップ処理ラインにおいて、実施されるプロセスでは、そのプロセスの各ステップに要する機器のさまざまな相様に対応して金属ストリップが位置付けられることが必要である。この位置付けは、その処理の各段階を確実にするために、通例ローラーを使用して行われ、そのローラーは金属ストリップを運び、それを案内し、できるだけ理論平面に近く、それを位置付ける。通常、金属ストリップは水平面または垂直面に位置付けられる。
【0004】
特定の処理については、例えば、金属被膜(特に亜鉛めっき用)または有機被膜(特に塗料被膜用)の被覆のための処理、あるいはかき傷に敏感な表面のある製品、または別の表面と接触することによる表面被膜の局所的劣化の処理については、最終製品に容認できない欠陥となる痕跡を被膜上に残すことになるので、処理ゾーンにローラーを取り付けることは可能ではない。
【0005】
したがって、金属ストリップをその処理ゾーンの全自由長にわたって正しい位置に保ち、それ自体の重さ、または処理によって生じる力の影響を受けて、あるいはその他の理由で、金属ストリップが処置設備の壁の1つに触れるのを防ぐための非接触案内装置を採用することが必要である。
【0006】
さらに、金属ストリップが振動するのを防ぐ必要もある。
連続金属ストリップ処理ラインにおいて金属ストリップを非接触案内するための効果的な装置がないことによって、例えば、機械的支持のため2つのローラーの間の可能な処理のための長さの縮小、機器の速度制限または溶着される被膜の厚みの減少など、プロセスに制限が課せられる。
【0007】
これらの難点を克服するために、例えばより低い圧力を製品に加えるローラーのような接触の少ない中間支持の取り付けなど、あるいはカーボンまたはセラミックのような特別な物質を接触ゾーンに使用するなどの、さまざまの解決法が既に想定されてきた。接触による傷跡の危険性が残るか、何であれ支持材が汚れ、欠陥を生じさせるか、の両方あるいはそのいずれかであるので、これらの手段は、不十分であることが判明している。
【0008】
金属ストリップを支持する空気圧手段を構成するために、基本的にガスジェットノズルを使用する非接触案内装置もまた想定された。当該システムの有効性は、完全に満足のゆくものというわけではなく、特にノズルを通しての吹き付けが、被膜の溶着、その凝固または乾燥を妨げる可能性のある被覆ラインにおいて、完全に満足のゆくというわけではない。その上に、金属ストリップの表面を被覆するために使用される器具は、ノズルオリフィス上に固相、液相または気相で溶着され、断面を減らし操作不可能にする可能性がある。
【0009】
電磁気浮上システム、特にFR 2 521 797およびFR 2 598 866に示されるシステム、もまた知られている。当該電磁気浮上システムにおいて、金属ストリップに直角を成す磁極は、通例金属ストリップのそれぞれの側に、コイルを通って流れる交流電流とともに、金属ストリップを部分的に通過し、磁気ヨークにループバックする電磁場を作り出すように置かれる。互いに向き合って位置する磁極は、北と北または南と南のいずれかの同じタイプであり、その結果発生される磁気斥力は、金属ストリップ上にサスペンション効果を生じさせる。当該磁気浮上システムは、金属ストリップに誘導される動力源であり、それは、重要でない付加加熱の原因とはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、磁性、非磁性を問わず、金属ストリップの非接触案内のための装置を提供することであり、とりわけ、2つの機械的支持手段の間の長さを案内する想定される応用のために、その装置は、上記の難点を克服すると同時に重要な付加加熱を付随的に引き起こすことなく、数組の磁極を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の磁性、非磁性を問わず、2つの機械的支持手段の間に自由に伸びる金属ストリップの長さにわたる金属ストリップの非接触案内のための装置は、その金属ストリップが、接触を避ける壁または機素の間にある通路窓を通って、この長さにわたって連続的に延びているが、少なくとも前記長さの特定のゾーンにおいて、金属ストリップと直角を成す2組の磁極を備えており、1組は金属ストリップのそれぞれの側に置かれ、金属ストリップの磁極は適当な周波数の交流電流を供給されるコイルが備え付けられ、1組の磁極は、金属ストリップの反対側に位置する別の組の同じ極性の磁極と向き合うように置かれ、磁極、磁極間隔、コイルおよびコイルを通って流れる交流電流の周波数は、金属ストリップが通って延びている通路窓に、下記の3つのゾーンを作り出すように選択されることを特徴とする。
‐それぞれの磁極に近接し、一方の磁極から同組の反対の極性の磁極に行く磁力線の大部分が展開する2つのゾーン、
‐部分的に当該の磁力線が通過しない中央ゾーン。
【0012】
金属ストリップは、通常この中央ゾーンにあり、そこでは容易に感知できる電磁効果を受けないが、金属ストリップが中央ゾーンから逸れて、磁極に近接するゾーンの1つに入るとき、金属ストリップは、そこで中央ゾーンに向けられる電磁斥力を受け、この斥力は、金属ストリップは壁または通路窓の形を定める壁がない場合、磁極により接近すればするほど高くなり、実質的な付加加熱を引き起こすことなく、よって案内は付随して起こる。
【0013】
通常、通路窓の幅は、30mmより大きいが、500mm未満が望ましい。
コイルを流れる交流電流の周波数は、希望する斥力だけでなく、磁極と金属ストリップの間にある熱シールドを形成する物質にも適合される。
【0014】
電気的[に生起される]熱がシールドされ(る性質)および、その厚み(例えば、ステンレス鋼のシールドされる厚みは少ない、例えば1mmから3mm)の観点からは、周波数は非常に低く、一般的に1Hzから30Hz、とされる。
【0015】
磁束[によって生起される]熱がシールドされ(る性質)の観点からは、周波数は30Hz以上であり、1500Hzと同等またはそれ以上であることが望ましい。
【0016】
案内装置には、磁束を通し、取り囲む金属ストリップと巻き線のある磁極との間に置かれる隔離包囲体を含むことができる。隔離包囲体は、耐ガス構造であってもよく、前記内部空気を閉じ込めるように、プロセス用機器内の空気と外部の間の隔離を確実にする。この隔離包囲体は、他の応用においては、液体浴を閉じ込めることができる。
【0017】
磁極のネットワークの配置は、金属ストリップの端、またはその中央で、その効果が金属ストリップの適切な位置での保持を最適化するようにする。
【0018】
磁極の磁気斥力は、金属ストリップの位置またはそれに与えられる効果に応じて、金属ストリップの幅に適合される。
【0019】
有利には、装置には、例えば金属ストリップと電磁気の組の間の磁気結合に敏感な手段が含まれ、この磁気結合は、基本的に磁極に近いゾーンへの金属ストリップの進入時に現れ、前記の敏感な手段は、この磁気結合が検出されるとき、特にコイルの交流電流の大きさを増加することによって、磁気斥力の増加を引き起こすのに適している。
【0020】
金属ストリップは、垂直または水平でもよい。金属ストリップは、機械的支持手段の間の機械的張力を受けるようにされる。
【0021】
ガスを吹き付ける手段は、磁極か、磁極間のいずれか、またはその両方に挿入することができる。
【0022】
本発明はまた、磁性、非磁性を問わず、2つの機械的支持手段の間に自由に伸びる金属ストリップの長さにわたる金属ストリップの非接触案内のための方法に関するものであり、その方法においては、少なくとも前記の長さの特定のゾーンにおいて、金属ストリップの両側に適当な周波数の交流磁場が作り出される。
【0023】
本方法は、磁場の強度およびその周波数が、金属ストリップが延びている通路窓に3つのゾーン、すなわちそれぞれの磁極に近接し、磁力線のほとんどが展開する2つのゾーンおよび実質的に当該の磁力線が通過しない中央ゾーンを作り出すように選択されることを特徴とし、金属ストリップは通常この中央ゾーンにあり、そこで容易に感知できる電磁効果を受けないが、金属ストリップが中央ゾーンから逸れて、磁極に近接するゾーンの1つに入るとき、金属ストリップは、中央ゾーンに向けられる電磁斥力を受ける。
【0024】
本発明は、上述の配置に限定されず、添付図面を参照して図示される典型的実施形態に関して以下でさらに詳細に説明される多くのその他の配置から成り、その実施形態は、全く限定的ではない。これらの図面は、以下の通りである。
‐図1は、続いて冷却部分がある加熱部分を備える金属ストリップ熱処理ラインの一部の略図である。
‐図2は、図1と同様に、亜鉛めっきラインの一部に関する略図である。
‐図3は、図1の線III−IIIのより大きな縮尺での断面であり、この断面は90°回転され、本発明による案内装置を図解する。
‐図4は、図3と同様に、金属ストリップのいくつかの可能性のある位置が示される断面である。
‐図5は、図3と同様に、代替的な実施形態の断面である。
‐図6は、熱シールドによって保護される電磁気案内装置のある処理ラインの簡略化した部分垂直断面である。
‐図7は、図6と同様に、代替的実施形態を示す。
‐図8は、図6と同様に、より大きな縮尺での別の実施形態を示す。
‐図9は、垂直断面で、電磁気案内装置および吹き付け箱のある処理ラインの一部を示す。
‐図10は、図9と同様に、代替的実施形態を示す。
【0025】
図1は、金属ストリップ1が、それぞれ最下部ローラー2および最上部ローラー3から成る機械的支持手段の間の自由長Lを垂直にわたって伸びる熱処理ラインの一部を示す。長さLは、およそ50m以上である。金属ストリップ1は、その長さをわたって、例えば下のほうへ、ローラー3からローラー2へ、ラインと処理設備の両方またはそのいずれかの壁の間の通路窓Eを通って、連続的に延びている。例えば、提供されるアップストリームは、金属ストリップを熱するための横断流束ヒーター4のある加熱ゾーンCである。1つ以上の冷却箱Rは、例えば窒素‐水素の混合物の冷却ガスを吹き付けることによって、その後加熱室に続き、一方金属ストリップ1は再び、金属ストリップが触れてはならない吹き付けノズルによって囲まれる窓を通過する。金属ストリップ1は、鋼帯であることができる。
【0026】
図2は、所望の温度に熱せられる金属ストリップ1aが、底部ローラー2aの周辺を通過して溶融亜鉛浴Bに浸す。金属ストリップはその後、垂直に上がり、エアナイフ・ワイピング機械Eを通り、その後冷却箱Raを通って通過し、そこでは亜鉛層で被覆される金属ストリップ1aに比較的冷たいガスを吹き付けることによって、冷却が提供される。
【0027】
金属ストリップ1または1aは、ローラー2、3または2a、3aの間の張力を受けているが、進行方向に対して直角になる変動が起こり得り、特にその大きな長さLのために、運動での大幅急な変動が起こり得る。金属ストリップの当該横方向変更または逸脱は、後者が、通路窓Eが境界を接する壁または機素と接触する危険を冒し、そのため金属ストリップの表面を損なう危険を冒す。
【0028】
当該接触を防ぐために、本発明は、電磁気を使用する「非接触金属ストリップセンタリング装置」ともいわれる案内装置Gを提供する。
【0029】
図3に示されるように、適当な周波数の交流電流が流れる巻き線6を通る磁極5は、金属ストリップ1のそれぞれの側に置かれる。
【0030】
磁極5は、金属ストリップ1のそれぞれの側に位置する2組P1、P2を形成する。第1組のP1の各磁極5は、もう一方の組P2と同じタイプの磁極5と向き合って位置する。磁極の間隔J(図3)は、2つの引き続く磁極の幾何学的な軸の間の距離に一致する。図3に示されるように、2組の北(N)と南(S)の磁極は、金属ストリップ1の両側で互いに向き合う。所定の組において、いくつかの連続するヨーク7が提供され、それぞれに磁極Nおよび磁極Sがある。あらゆるヨークの磁極Nから磁極Sへの磁力線は、図3の矢印8によって示され、それらの面9上の磁極5に入り、出て行く。これらの磁力線8は、金属ストリップ1の近くで展開し、磁気ヨーク7の帰還路をたどる。磁極5は、金属ストリップ1の横方向に沿って割り当てられ、金属ストリップの望ましい効果および幾何学的配列([左右相互に]相殺)にしたがって置かれる。巻き線6は、例えば連続して、または個々に、適当な大きさおよび周波数の交流電流の供給を受ける。図3においては、4つのヨーク7が、横方向に沿った金属ストリップ1の両側に割り当てられる。磁極5はまた、金属ストリップの縦方向に沿っても割り当てられる。
【0031】
磁束[によって生起される]熱[が]シールド[される位置]Qは、金属ストリップ1の各側に、後者と磁極5の間でに提供される。通路窓の幅は、図3において、熱シールドQの内側間の距離Dに相当する。
【0032】
磁極5、その磁極間隔、巻き線6および巻き線6を通って流れる交流電流の周波数は、通路窓に、3つのゾーンA1、B、A2、すなわち磁場および矢印8で示される磁力線の大部分が展開する磁極に近接する2つのゾーンA1、A2、ならびに磁場が事実上ゼロである、すなわち実質的に磁力線8がこのゾーンを通過しない中央ゾーンBを作り出すように選択される。
【0033】
限定されない例として、ゾーンA1およびA2のそれぞれの厚みは、およそ50mmにすることができ、そして一方、ゾーンBの厚みは、およそ100mmであり、それによって、通路窓に約200mmの厚みを与え、それは、特に製造プロセスと関係のある金属ストリップ1の変形に関して、この案内装置が対象とするプロセスの実際の動作条件と完璧に適合する。
【0034】
案内装置の操作は、以下の通りである。
金属ストリップ1が完全にゾーンBにある場合、それは実質的に磁極5からの磁束を経験せず、誘導電流、加熱、力など、その影響を1つも受けない。案内は、その時ようやくエンドロール2および3によって提供される。したがって、金属ストリップがゾーンBで通常の操作位置を占めているとき、電磁気装置は、金属ストリップ1につき完全に中性である。
【0035】
何らかの理由で、金属ストリップ1またはその一部がゾーンA1またはA2に移動する場合、金属ストリップまたは関連するその一部は、磁力線8を通過し、対応するゾーンに近接して位置する磁極の磁場を受ける。金属ストリップに誘導される電流は、交流磁場の接線成分と反応し、前記成分は、ローレンツの法則に従って、金属ストリップと直角を成す斥力を作り出すように、金属ストリップの平面に置かれる。これらの斥力には、金属ストリップ1を機器、すなわち、金属ストリップが接触しやすい磁極の端部9または通路窓の形を定める壁から離れさせる効果がある。
【0036】
そのようにして得られるものは、金属ストリップ1と機器または処理設備の壁の間の接触を防ぐ望ましい効果である。
【0037】
磁極5の寸法、磁極間隔、金属ストリップに対する磁極の位置、巻き線6の特徴、供給源の周波数および電流、これらのパラメーターのいくつかまたはそれらの1つだけの大きさを調節することによって、金属ストリップ1によって経験される斥力を制御することが可能である。このようにして、金属ストリップ1で行われる連続プロセスに関する案内装置の効果を制御することができる。これらの調節はまた、プロセスに適合させるように、ゾーンA1、BおよびA2の寸法を選択することが可能である。
【0038】
金属ストリップ1に向かい合う磁極5の幾何学的配置はまた、変化に富み、すなわち、磁極間隔は、例えば金属ストリップの端を選択的に保護するように、その効果の最終結果が金属ストリップの中央と端とでは異なるような方法で調節される。
【0039】
図4は、移動された第1位置10として実線によって示され、第2位置11として1点鎖線によって示される、金属ストリップ1の可能な移動の2例を例示する。
【0040】
金属ストリップ1がゾーンA1で位置10に移動されるとき、実質上それ自体に平行で、ゾーンBに引き戻されるように、それは、磁極の組の動きを通し全幅にわたる斥力を経験する。
【0041】
金属ストリップ1が磁気保持部分のねじりに対応する位置11を占めるとき、ゾーンA1およびA2に位置する部分は、反対方向の斥力を経験し、それは金属ストリップのねじりに逆らい、金属ストリップ1のための望ましい理論的平面に対応するゾーンBにそれを戻す傾向がある帰りモーメントを生み出す。
【0042】
金属ストリップ1がゾーンA1またはA2により深く入り込めば入り込むほど、磁極により接近し、ゾーンBにそれを戻すために、この金属ストリップに作用する斥力はより高くなる。金属ストリップは、壁に触れる危険なく、したがって金属ストリップ1に表面の傷を形成する原因となることなく、ゾーンA1またはA2からゾーンBに戻される。
【0043】
図5は、閉じた斜めに横切る輪郭、例えば長方形の輪郭のある包囲体12によって、金属ストリップ1の断面が磁極5から分離される代替的実施形態を示し、前記包囲体は、磁束を通す。包囲体12は、装置の操作を妨げないほど薄く、特に装置の満足のゆく操作を確実にするのに十分な斥力ゾーンA1およびA2を採用することを可能にする。包囲体12は、金属ストリップ1が延びている内部雰囲気を、磁極5がある雰囲気から分離することを可能にする。
【0044】
図6は、垂直断面図で、包囲体12の取り付けを図式的に例示し、処理ラインのアップストリームおよびダウンストリームの壁にフランジ12aによって機械的に接続される。
【0045】
図7に例示されるように、案内装置の使用に多分起因する衝撃に堪えることができ、プロセスで使用されるガスの化学的特性と適合するパネルを作るために、樹脂またはコンクリートから成る物質Maで巻き線6と磁極5を封入することによって、図5および6の結果と類似する結果が得られる。金属ストリップの両側に位置する2つのパネルは、耐ガス構造の包囲体を作るために接続される。案内装置は、その後ラインのアップストリームおよびダウンストリームの壁にしっかり固定される箱に収められる1つのセンタリング装置になる。
【0046】
当該配置によって、案内装置のアップストリームおよびダウンストリームのゾーン内の雰囲気の継続性を確実にすること、例えば、熱処理の場合の水素またはアンモニアより成る雰囲気、または被覆ラインに有機溶媒蒸気を含む雰囲気などオペレーターまたは環境に危険なガスの漏出を防ぐことが可能になる。
【0047】
磁束を通す耐ガス構造の包囲体12はまた、プロセスに関連する温度がそのように必要とする場合、冷却される。
【0048】
図8から10において、金属ストリップの右に位置する設備のその部分のみが、状況を簡略化するために示されている。左に位置する部分は、金属ストリップの平面に対して対称であることによって、右手部分から推定することができる。
【0049】
図8は、垂直断面図で、磁気案内装置Gが、例えば薄板金製であり、ラインのアップストリームおよびダウンストリームに密封して固定される箱Tに収納される代替的実施形態を示す。熱シールドQは、その箱の開口部の平面に、金属ストリップに向かって、密封してそれを閉じる必要なしに置かれる。
【0050】
本発明に従った案内装置によって、炉の壁を通過しなくてはならない、ジャーナルによって支持されるローラーを使用する案内の場合とは違って、炉の内側と外側の間の連絡なしに金属ストリップ1を所定位置に保持することが可能になる。
【0051】
有利なことに、案内装置には、ゾーンA1および A2で金属ストリップ1の進入を検出するための手段13(図5)が含まれ、これらの検出手段13は、磁力の反発を増やすために、コイルおよび当該の磁極5によって作り出される磁場を増やすための制御手段14で作動するのに適している。
【0052】
金属ストリップ1のゾーンA1またはA2への進入は、金属ストリップとの磁極5の磁気結合を特定することによって検出される。例えば、金属ストリップ1がゾーンA1またはゾーンA2に入るとき、磁気結合によって生み出されるコイル6の電流の周波数の変動に敏感な検出手段が提供される。
【0053】
特にコイル6を通って流れる電流の大きさを増やすことによって、斥力の増加が得られる。しかしながら、周波数の増加もまた、斥力の増加を促進する。
【0054】
金属ストリップ1のゾーンA1またはA2への進入は、磁気結合によって検出される代わりに、金属ストリップ1のゾーンA1またはA2への進入に敏感であり、斥力の増加を制御する手段に作用する位置センサーまたは近接センサー15、16によって検出できた。
【0055】
金属ストリップの位置に敏感であり、斥力の増加を引き起こすような手段を用いて、案内装置は能動装置となり、ゾーンBに金属ストリップがあるとき動力は消費され、この動力は、金属ストリップがゾーンA1またはA2に入るときのみ増やされる。結果として、かなりの程度の省エネがあり、金属ストリップの望ましくない加熱は全くない。
【0056】
案内装置Gは、例えば冷却ガスを吹き付けるための少なくとも1つの箱S(図9)を備える冷却装置と併用できる。
【0057】
図10に例示されるとおり、磁極5には、金属ストリップ1に冷却ガスを注入するための溝17が含まれる。ガス注入ノズル18を、金属ストリップの縦方向と横方向の両方に沿った磁極5の間に置くことも可能である。吹き付け箱Saは、金属ストリップ1から反対側でヨーク7を覆う。これらの手段によって、センタリング装置は、炉の冷却ゾーンへの超過負荷を与えない。
【0058】
本発明は、例えば下記のような多くの用途で採用することができる。
‐処理槽の後、まだ固化していない亜鉛被膜に傷跡を残すことなく、図2に図式的に例示されるように、亜鉛めっきラインの冷却塔で金属ストリップを適切な位置に保持すること。
‐プロセスの熱部分で、または金属ストリップを導入し引き出すための機械的部分で、傷の原因となる可能性のある金属ストリップの表面との接触を避けるように、ステンレス鋼光輝焼なましラインで金属ストリップを適切な位置に保持すること。
‐本発明の磁気装置が2つのローラーより取り付けが簡単であり、あるいは最適条件の下でプロセスに使用されるガスに対して小室を密封しておくことを可能にするので、熱処理ラインで金属ストリップを適切な位置に保持すること。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、続いて冷却部分がある加熱部分を備える金属ストリップ熱処理ラインの一部の概略説明図である。
【図2】図2は、図1と同様に、亜鉛めっきラインの一部に関する概略説明図である。
【図3】図3は、図1の線III−IIIのより大きな縮尺での断面説明図である。
【図4】図4は、図3と同様に、金属ストリップのいくつかの可能性のある位置が示される断面説明図である。
【図5】図5は、図3と同様に、代替的な実施形態の断面説明図である。
【図6】図6は、熱シールドによって保護される電磁気案内装置のある処理ラインの簡略化した部分垂直断面説明図である。
【図7】図7は、図6と同様に、代替的実施形態を示す断面説明図である。
【図8】図8は、図6と同様に、より大きな縮尺での別の実施形態を示す断面説明図である。
【図9】図9は、垂直断面で、電磁気案内装置および吹き付け箱のある処理ラインの一部を示す説明図である。
【図10】図10は、図9と同様に、代替的実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 金属ストリップ
2 ローラー
3 ローラー
4 横断流束ヒーター
5 磁極
6 コイル
7 磁気ヨーク
8 磁力線
9 端部
10 位置
11 位置
12 包囲体
13 検出手段
14 制御手段
15 位置センサー
16 近接センサー
17 溝
18 ガス注入ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性または非磁性である、2つの機械的支持手段(2、3)の間に自由に伸びる金属ストリップの長さにわたる金属ストリップ(1)の非接触案内のための装置であり、前記金属ストリップは、接触を避ける壁または機素の間にある通路窓を通って、この長さにわたって連続的に延びていて、その装置は、少なくとも前記長さの特定のゾーンにおいて、金属ストリップと直角を成す2組(P1、P2)の磁極を備えており、1組は前記細片のそれぞれの側に置かれ、前記細片の前記磁極(5)は適当な周波数の交流電流を供給されるコイル(6)が備え付けられ、1組の前記磁極は、前記細片の反対側に位置する別の組の同じ極性の磁極と向き合うように置かれ、
前記磁極(5)、前記極間隔、前記コイル(6)および前記コイルを通って流れる交流電流の周波数は、前記細片が通って延びている前記通路窓に、下記の3つのゾーン(A1、B、A2)を作り出すように選択される装置であって、
‐それぞれの前記磁極(5)に近接し、一方の磁極から同組の反対の極性の磁極に行く前記磁力線(8)の大部分が展開する2つのゾーン(A1、A2)、
‐部分的に当該の磁力線が通過しない中央ゾーン(B)。
前記細片(1)は、通常この中央ゾーン(B)にあり、そこで容易に感知できる電磁効果を受けないが、前記細片が前記中央ゾーンからそれて、前記磁極に近接する前記ゾーン(A1、A2)の1つに入るとき、前記細片は、そこで前記中央ゾーン(B)に向けられる電磁斥力を受けて、この斥力が高くなればなるほど、前記細片(1)は壁または前記通路窓の形を定める壁がない場合前記磁極により接近し、重要な寄生加熱を引き起こすことなく、よって前記案内は付随して起こることを特徴とする金属細片(1)の非接触案内のための装置。
【請求項2】
前記通路窓の幅(D)は、30mmより大きい請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記通路窓の幅(D)は、500mm未満である請求項1または2に記載の案内装置。
【請求項4】
コイル(6)を流れる交流電流の周波数は、希望する斥力および磁極(5)と金属ストリップ(1)との間にある熱シールド(Q)を形成する物質に適合される先行する請求項のいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項5】
電気的に誘導加熱シールドを用いる請求項4に記載の案内装置のコイル(6)を流れる交流電流の周波数は、1Hzから30Hzとする請求項4に記載の案内装置。
【請求項6】
磁束を通す熱シールドを用いる請求項4に記載の案内装置のコイル(6)を流れる前記交流電流の周波数は、30Hz以上であり、1500Hzと同等またはそれ以上であることが望ましい請求項4に記載の案内装置。
【請求項7】
磁束を通し、取り囲む細片(1)と前記磁極(5)との間に置かれる個別の包囲体(12)を含むことを特徴とする先行する請求項のいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項8】
磁極(5)のネットワークの配置が、金属ストリップの端、またはその中央で、その効果の配分が、金属ストリップの適切な位置での保持を最適化することを可能にする先行する請求項のいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項9】
磁極(5)の磁気力が、前記磁極によって生起される斥力による金属ストリップの位置調整またはそれによって与えられる効果に応じて、金属ストリップ(1)の幅方向に適用される先行する請求項のいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項10】
金属ストリップ(1)と前記電磁気セットの間の磁気結合に鋭敏な検出手段(13)が含まれ、この磁気結合は、基本的に磁極に近いゾーン(A1、A2)への金属ストリップ(1)の進入時に作動し、前記鋭敏な検出手段(13)は、この磁気結合に検出されるとき、特にコイルへの交流電流の大きさを増加することによって、磁気斥力の増加を引き起こすのに適している先行する請求項のいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項11】
磁極(5)または磁極間のいずれか、またはその両方にガスを吹き付け手段(17)(18)が挿入される先行する請求項のいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項12】
磁性、非磁性を問わず、2つの機械的支持手段の間に自由に伸びる細片の長さにわたる金属細片の非接触案内のための方法であり、その方法においては、少なくとも前記の長さの特定のゾーンにおいて、前記細片(1)の両側に適当な周波数の交流磁場が作り出され、前記磁場の強度およびその周波数が、前記細片が延びている前記通路窓に3つのゾーン(A1、B、A2)、すなわちそれぞれの磁極(5)に近接し、前記磁力線(8)のほとんどが展開する2つのゾーン(A1、A2)および実質的に当該の磁力線が通過しない中央ゾーン(B)を作り出すように選択される、前記細片(1)は通常この中央ゾーン(Bにあり、そこで容易に感知できる電磁効果を受けないが、前記細片(1)が前記中央ゾーンから逸れて、前記磁極に近接するゾーン(A1、A2)の1つに入るとき、細片は、前記中央ゾーンに向けられる電磁斥力を受けることを特徴とする金属細片の非接触案内のための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−546908(P2008−546908A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517533(P2008−517533)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001401
【国際公開番号】WO2006/136700
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507418555)
【Fターム(参考)】