説明

遊技機

【課題】箱体裏側に対する不正行為がされたか否かを容易に発見することができる遊技機を提供する。
【解決手段】発光部112、116及び受光部114、118により箱体12の裏側外面の不正検出処理が実行される。そして、発光部112、116及び受光部114、118による検出結果が記憶手段64Cに記憶されている正常状態と一致するか否かが判定され、両者が一致しないと判定手段64Dにより判定された場合には、遊技制御手段64Aによる遊技の進行が遊技進行停止手段64Bにより停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球や遊技メダル等の遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、箱状の遊技機の筐体内部に設けられた正規の制御基板に対して不正な制御基板等を接続することで、正規の制御基板を誤作動させる不正行為が問題視されている。また、遊技機の筐体背面側を破壊する行為も増加している。このような不正行為を防止するために、制御基板等の裏面を簡易に確認できる構造を備えた遊技機が知られている。この遊技機は、制御基板が収容された基板ケースが、筐体に固定されている基板ケース取付部に対して、基板ケースの幅方向一方側端部を軸にして回転可能に構成されているものである。そして、基板ケースを回動させると、基板ケース取付部に設けられたミラー部が基板ケースの裏側を反射させることで、検査者は、ミラー部を介して基板ケースの制御基板の裏面側を視認することができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−261696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年では、遊技機の筐体裏側(筐体の背面板の外面)に不正な基板等を配設するといった不正行為が多発している。このような場合は、遊技機が遊技ホール(島設備等)に設置されてしまうと、遊技機前面側から不正行為の発見が不可能になってしまう。なお、上記従来技術では、筐体内部に対する不正行為は発見できるものの、筐体裏側に対する不正行為は発見することができない。したがって、筐体裏側に対する不正行為には有効でないといった問題があった。
【0004】
また、上記したような筐体裏側に対する不正行為を発見するには、遊技ホール(島設備等)に設置された遊技機を一旦取り外す必要があり、遊技機の点検時に手間が掛かるといった問題もあった。
【0005】
さらに、不正な基板が設置された状態で遊技が行われると、特定の遊技者にとって著しく有利な遊技結果になることがあり、遊技の公正に欠けるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、筐体裏側に対する不正行為がされたか否かを容易に発見することができ、かつ不正行為が行われた状態で遊技が進行することを防止できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、扉体と、前記扉体によって閉鎖可能な開口部を有する箱体と、前記箱体の内部に収容され遊技の進行を制御する遊技制御手段と、を有する遊技機であって、前記箱体の外面の状態を検出する不正検出処理を実行するための不正検出処理実行手段と、前記箱体の外面の正常状態を記憶する記憶手段と、前記不正検出処理による検出結果と前記記憶手段に記憶されている正常状態とを照合し、両者が一致しないことを不正判定とする不正判定手段と、前記不正判定手段による判定結果が前記不正判定であった場合に、前記遊技制御手段による遊技の進行を停止する遊技進行停止手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、不正検出処理実行手段により箱体外面の不正検出処理が実行され、不正検出処理による検出結果と記憶手段に記憶されている正常状態とが不正判定手段により照合され、両者が一致しない不正判定とされると、遊技制御手段による遊技の進行が遊技進行停止手段により停止される。これにより、不正を検出することができるとともに、不正が存在した状態で遊技が進行することを防止できる。この結果、遊技の公正を維持することができる。
【0009】
特に、箱体外面の正常な状態を記憶手段に予め記憶させておくことにより、不正判定手段において正常か否かの判定を容易にすることができる。また、箱体外面にいろいろな付属物を取り付けた場合でも、その状態を正常な状態として予め記憶することにより、正常か否かの判定を正確に行うことができる。この結果、箱体外面に対する正常か否かの判定の正確性を維持しつつ、箱体外面の設計自由度を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記不正検出処理による不正検出が可能な領域を変更する不正検出領域変更手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、不正検出手段による不正検出が可能な領域が不正検出領域変更手段により変更される。これにより、箱体外面の環境に合せて、箱体外面の特定の領域だけの不正を検出することができるとともに、その検出領域を自在に変更することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記遊技制御手段に電源を供給する電源供給手段を有し、前記不正検出処理実行手段は、前記電源供給手段が前記遊技制御手段に電源を供給する前に前記不正検出処理を実行するものであって、前記遊技進行停止手段は、前記不正判定手段による判定結果が前記不正判定であった場合に、前記遊技制御手段への電源供給を停止することで遊技の進行を停止することを特徴とする
【0013】
請求項3の発明によれば、電源供給手段によって遊技制御手段に電源が供給される前に、不正検出手段により不正検出処理が実行され、そして箱体の外面の不正が検出された場合には、遊技制御手段への電源供給を停止させることにより強制的に遊技の進行を停止させる。これにより、箱体外面の不正がある場合には、遊技が開始されることがない。この結果、不正がされた状態で不公正な遊技が行われることを確実に阻止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の第1実施形態に係る遊技機について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では本発明を遊技機の一例であるスロットマシンに適用した構成を説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、スロットマシン10は、箱状に形成された箱体12と、箱体12の前面側に形成されて開口部Mを覆うようにして設けられた前面扉(扉体)14と、遊技メダルを貸し出すためのメダル貸出装置16と、を備えている。なお、箱体12と前面扉14とで、筐体が構成されている。
【0016】
前面扉14は、遊技の進行に応じた演出が行われる上段の領域14Aと、遊技メダルが払い出される下段の領域14Bと、遊技が行われる中段の領域14Cの大きく3つの領域から構成されており、更に中段の領域14Cは、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部18と、遊技を行うための操作部20と、から構成されている。
【0017】
上段の領域14Aには、中央に演出表示装置22が設けられている。また、この演出表示装置22の左右には、スピーカ24がそれぞれ設けられている。また、演出表示装置22及びスピーカ24の上方には、各種のランプ類26が設けられている。演出表示装置22は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
【0018】
また、前面扉14の中段に設けられた遊技状態表示部18の中央には、大きな表示窓28が設けられており、内部に設けられた3つの回胴30A、30B、30Cが回転する様子を外部から視認することができるようになっている。また、表示窓28の左右及び下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類32がそれぞれ設けられている。
【0019】
また、前面扉14の中段下方に設けられた操作部20は手前に向かって突出した形状に形成されており、その上面には遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口34と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン36と、貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン37などが設けられている。なお、遊技メダルの貯留とは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの枚数を記憶しておくことをいう。また、操作部20の前面には、遊技メダルの投入後に回胴30A、30B、30Cの回転を開始するためのスタートレバー38と、3つの回胴30A、30B、30Cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン40A、40B、40Cなどが設けられている。また、操作部20の上面には精算ボタン42が設けられ、前面には返却ボタン44が設けられている。ここで、精算ボタン42とは、遊技機10の内部に貯留されている遊技メダルを外部に排出する際に操作するボタンである。また、返却ボタン44とは、投入した遊技メダルが遊技機10の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
【0020】
また、前面扉14の下段の領域14Bには、遊技メダルが排出される遊技メダル排出口46と、排出された遊技メダルを受け止めるメダル受け皿48などが設けられている。
【0021】
図2及び図3に示すように、前面扉14の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット50が設けられている。また、サブ制御基板ユニット50の左右にはスピーカ24がそれぞれ取り付けられている。サブ制御基板ユニット50は、内部に後述するサブ制御基板52が格納されており、図1に示した演出表示装置22や、各種ランプ類26、スピーカ24などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
【0022】
また、前面扉14に設けられた表示窓28の裏面側下方には、後述する扉基板56が格納された扉基板ユニット54が設けられている。この扉基板ユニット54の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ58や、遊技メダルを遊技メダル排出口46に導くためのコインシュータ60などが取り付けられている。メダルセレクタ58は、遊技メダル投入口34から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した寸法の遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー38を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ58によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー62内に投入され、規格を満足していないメダルは、コインシュータ60を通って、遊技メダル排出口46に返却されるようになっている。これに対して、スタートレバー38が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ58内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルは、コインシュータ60を通って、遊技メダル排出口46に返却される。また、メダルセレクタ58の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルはメダルセンサによって検出され、検出信号が後述の主制御基板64に出力されるようになっている。
【0023】
また、箱体12の内部の略中央には、3つの回胴30A、30B、30Cがそれぞれ設けられている。各回胴30A、30B、30Cの上方には、遊技全体の制御を司る後述の主制御基板64が格納された主制御基板ユニット66と、各回胴30A、30B、30Cを駆動するための後述の回胴基板68が格納された回胴基板ユニット70(図2及び図3では図示省略)と、が設けられている。また、3つの回胴30A、30B、30Cの下方にはリアスピーカ72が設けられており、さらにその下方には投入された遊技メダルが集められるホッパー62と、遊技メダルを払い出すメダル払出装置74と、遊技機10全体に電源を供給するための後述の電源基板76が格納された電源ユニット78などが設けられている。そして、電源ユニット78の前面には、遊技機10の電源を投入するための電源スイッチ(電源供給手段)80が設けられている。また、メダル払出装置74の払出口82からコインシュータ60の受入口85に向けて払い出された遊技メダルは、コインシュータ60を通って、遊技メダル排出口46から排出されるようになっている。
【0024】
また、図3及び図4に示すように、電源ユニット78の上面には、設定キー110が設けられている。この設定キー110は、1つのOFFと、第1のONと、第2のONの3つの状態が実現可能になる。すなわち、キーがOFFの状態では、箱体12の背面壁12Bの外面の不正行為を検出する不正検出処理及び後述の各発光部112、116の発光パターン及び後述の記憶手段64Cに記憶されている各受光部114、118の受光パターン内容を変更する設定変更処理は開始されない。また、キーが第1のONの状態では、設定変更処理が開始され、各発光部112、116の発光パターンの設定の変更、正常状態として認識される各受光部114、118の受光パターン内容の変更、各発光部112、116の発光パターンを実行するプログラム自体の変更、各受光部114、118での受光パターンを正常状態と認識するためのテーブル(プログラム)自体の変更などが可能になる。さらに、キーが第2のONの状態では、箱体12の背面壁12Bの外面の不正行為を検出する不正検出処理が開始される。なお、主制御基板64は、キーの各状態に応じた制御を実行する。
【0025】
次に、本発明の要部について説明する。
【0026】
図5及び図6に示すように、箱体12の背面壁12B(背面板)の上側端部には、レーザ光を出射する発光部112が設けられている。この発光部112は、複数の発光部が左右方向に一列になって背面壁12Bの左側端部から右側端部にかけて、配置されている(図6の発光部A、発光部B、発光部C、・・・)。また、箱体12の背面壁12Bの下側端部には、発光部112からのレーザ光を受光する受光部114が設けられている。この受光部114は、発光部112と同様にして、複数の発光部が左右方向に一列になって背面壁12Bの左側端部から右側端部にかけて配置されている(図6の受光部A´、受光部B´、受光部C´、・・・)。
【0027】
ここで、各発光部112と各受光部114のそれぞれが対応しており、一の発光部112から出射されたレーザ光がその発光部112の真下に位置する(対向する)受光部114に受光されるように構成されている。つまり、図6の発光部112のうち「発光部A」は、「受光部A´」に対応し、「発光部B」は、「受光部B´」に対応し、「発光部C」は、「受光部C´」に対応している(発光部C以下同様)。このため、発光部112の個数分だけ、その発光部112に対応する受光部114が存在し、それぞれの発光部112から出射されたレーザ光が、対応する受光部114で受光される。
【0028】
また、その変形例として、箱体12の背面壁12Bの左側端部及び右側端部にも、発光部及び受光部を設けてもよい。すなわち、図7及び図8に示すように、箱体12の背面壁12Bの左側端部には、レーザ光を出射する発光部116が設けられている。この発光部116は、複数の発光部が上下方向に沿って背面壁12Bの上側端部から下側端部にかけて、配置されている。また、箱体12の背面壁12Bの右側端部には、発光部116からのレーザ光を受光する受光部118が設けられている。この受光部118は、発光部116と同様にして、複数の発光部が上下方向に沿って背面壁12Bの上側端部から下側端部にかけて、配置されている。
【0029】
ここで、各発光部116と各受光部118のそれぞれが対応しており、一の発光部116から出射されたレーザ光がその発光部116の真横に位置する(対向する)受光部118に受光されるように構成されている。このため、発光部116の個数分だけ、その発光部116に対応する受光部118が存在し、それぞれの発光部116から出射されたレーザ光が、対応する受光部118で受光される。
【0030】
各発光部112、116は、主制御基板64と電気的に接続されており、その発光制御は主制御基板64により実行される。各発光部112、116は、主制御基板64により個別に発光制御される。また、各受光部114、118は、主制御基板64と電気的に接続されており、各受光部114、118における受光結果は、検出結果に関する検出信号として主制御基板64に出力される。主制御基板64は、受光部114、118からの検出信号に基づいて、箱体12の背面壁12Bに不正遊技を実行させる不正回路基板、開口部あるいは異物が存在しているのか否かを特定する。
【0031】
また、図6及び図8に示すように、箱体12の背面壁12Bには、箱体12内部の温度を下げるための通風穴122と、自動補給用センサー線を取り出すためのセンサー線取出穴124と、背面スピーカの音を出力するための背面スピーカ用穴126と、外部コンピュータ線を取り出すためのコンピュータ線取出穴128と、電源コードを接続するための電源コード接続用穴130と、メダル補給口接続時にカバーを外して接続するための遊技メダル補給用穴132と、がそれぞれ形成されている。このように、箱体12の背面壁12Bには、穴のみが形成され、突出した付属物が形成されていないため、正常な状態(不正物となる付属物がない状態)では、レーザ光を遮るものはなく、各発光部112、116から出射されたレーザ光は、各受光部114、118で受光される。
【0032】
次に、遊技機10の電気的構成について説明する。
【0033】
図9及び図10に示すように、遊技機10には、主制御基板64を中心として、サブ制御基板52、扉基板56、回胴基板68、電源基板(電源供給手段)76等がデータをやりとり可能に接続されて構成されている。
【0034】
主制御基板64は、遊技機10で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板64には、CPU、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやりとり可能に接続されて搭載されている。主制御基板64は、前面扉14に搭載された扉基板56から、スタートレバー38が操作されたことを示す信号を受け取って、遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板52、扉基板56、回胴基板68などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、各基板の動作を制御している。
【0035】
図10に示すように、主制御基板64は、遊技制御手段(例えば、CPU)64Aと、遊技進行停止手段(例えば、CPU)64Bと、記憶手段(例えば、ROM、RAM)64Cと、不正判定手段(例えば、CPU)64Dと、発光制御手段((例えば、CPU)検出領域変更手段)64E、箱体の外面の状態を検出する不正検出処理を実行する不正検出処理実行手段64Fと、を備えている。
【0036】
遊技制御手段64Aは、スロットマシン10で実行される遊技の進行を制御する。遊技進行停止手段64Bは、箱体12の背面壁12Bの不正が検出された場合に遊技制御手段64Aによる遊技の進行を停止する。
【0037】
記憶手段64Cは、箱体12の背面壁12Bの正常状態を記憶する。具体的には、発光部112、116で出射されたレーザ光が受光部114、118で受光された場合の受光パターンと正常状態との関係を記憶する。例えば、箱体12の背面壁12Bに、レーザ光を遮る不正物でない付属物等がない場合には、全ての発光部112、116からレーザ光を出射すると、全ての受光部114、118でレーザ光が受光される。これが正常状態を示す一つの受光パターンになる。また、箱体12の背面壁12Bの特定の領域にレーザ光を不正物でない付属物(例えば、遊技メダル補給用穴132に接続されるメダル自動補給機など)が存在する場合には、それらの付属物により遮られたレーザ光は、受光部114、118で受光できなくなる。このばらつきを示す受光部114、118での受光パターンも、正常状態を示す1つの受光パターンとなる。このように、記憶手段64Cには、箱体12の背面壁12Bの全ての領域のいずれかで不正物でない付属物等がある場合を想定して、付属物等が存在する領域と受光部114、118での受光パターンとの関係を予め実験して認識し、これにより得られた内容が正常状態を示す受光パターンとして記憶されている。これにより、受光部114、118で受光されるレーザ光の全ての受光パターンを記憶させておくことにより、不正判定手段64Dが正常状態か否かを容易かつ確実に判定することができる。また、記憶手段64Cには、発光制御手段64Eで発光制御される発光部112、116の発光パターンに関するプログラムが記憶されている。
【0038】
例えば、図6及び図8に示すように、箱体12の背面壁12Bには、正常な状態において、複数の穴が形成されているものの、大きく突出するような付属物は設けられていない。このため、各発光部112、116から出射されたレーザ光は、対応する各受光部114、118で受光されることになり、全ての受光部114、118で受光されるという受光パターンが正常状態を示す受光パターンとして記憶手段64Cに記憶される。
【0039】
図10に示すように、不正判定手段64Dは、現在の箱体12の背面壁12Bの状態が記憶手段64Cに記憶されている正常状態と一致するか否かを判定する。具体的には、不正判定手段64Dは、実際に受光部114、118で受光された受光パターンと記憶手段64Cに記憶されている正常状態の受光パターンとを比較して、両者が一致しているか否かを判断する。
【0040】
例えば、図6及び図8に示すように、各発光部112、116から出射されたレーザ光が各発光部112、116と対面の各受光部112、116で受光されたときに、箱体12の背面壁12Bの状態が記憶手段64Cに記憶されている受光パターンと一致して、不正判定手段64Dは、箱体12の背面壁12Bに不正がないと判定する。一方、一部の受光部114、118においてレーザ光が受光されない場合には、不正物である障害物が存在していることになり、箱体12の背面壁12Bの状態が記憶手段64Cに記憶されている受光パターンと一致されず、不正判定手段64Dは、箱体12の背面壁12Bに不正があると判定する。
【0041】
図10に示すように、発光制御手段64Eは、記憶手段64Cに記憶された発光パターンに関するプログラムに基づいて、各発光部112、116からのレーザ光の出射を個別に制御する。具体的には、箱体12の背面壁12Bに不正物ではない付属物が存在する場合には、その領域のレーザ光は受光部114、118で受光されないため、発光制御手段64Eは、その領域の発光部112、116からのレーザ光の出射を停止し、他の発光部112、116からレーザ光が出射するように個別に制御することができる。このように、箱体12の背面壁12Bに不正物ではない付属物が存在する場合には、その領域を避けるような発光部112、116の発光制御を行うことにより、記憶手段64Cに、受光部114、118で受光されるレーザ光の全ての受光パターンを記憶させておく必要がない。すなわち、不正物ではない付属物の位置を予め考慮して発光部112、116側の発光を個別に制御することにより、記憶手段64Cに記憶させておく受光パターンとして全ての受光部114、118で受光された場合の受光パターンだけで済むため、記憶手段64Cの容量を軽減できるとともに、記憶手段64Cに受光パターンを記憶させる作業を軽減することができる。
【0042】
ここで、発光部112、116の発光パターンや受光部114、118の受光パターンの設定を変更する場合には、設定キー110におけるキーを第1のONの状態にすることにより、発光部112、116の発光パターンや受光部114、118の受光パターンの設定を容易に変更することができる。具体的には、設定キー110におけるキーを第1のONの状態にすることにより、記憶手段64Cに記憶されている受光パターンを書き換えることができ、また、記憶手段64Cに記憶されている発光制御手段64Eの発光制御に関するプログラム内容を変更することができる。
【0043】
不正検出処理実行手段64Fは、箱体12の外面の不正を検出する不正検出処理を実行する。不正検出処理を実行する場合には、不正検出処理実行手段64Fから上記した発光制御手段64Eに対して発光部112の発光を促す制御信号を出力する。
【0044】
また、図9に示すように、サブ制御基板52は、主制御基板64と同様に、CPU、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやりとり可能に接続されて搭載されている。また、サブ制御基板52には、各種ランプ類26、各種スピーカ24、72、演出表示装置22、回胴バックライト102、などが接続されている。ここで、回胴バックライト102とは、各回胴30A、30B、30Cの内部に設けられ、回胴30A、30B、30Cの表面に描かれた図柄を裏側から照らすライトである。サブ制御基板52は、主制御基板64から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類26、各種スピーカ24、72、演出表示装置22、回胴バックライト102、にそれぞれ駆動信号を出力することにより、これらを用いた各種演出を行っている。
【0045】
また、扉基板56には、メダルセレクタ58、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン36、37、回胴30A、30B、30Cの回転を開始するためのスタートレバー38、回転している回胴30A、30B、30Cを停止するための回胴停止ボタン40A、40B、40C、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン42、遊技の状態を表示するため各種の表示パネル32などが接続されている。まて、扉基板56は、主制御基板64と、データをやりとり可能に接続されている。このため、前面扉14に設けられたスタートレバー38、回胴停止ボタン40A、40B、40C、各種の投入ボタン36、37、精算ボタン42などを操作すると、扉基板56を介して、その信号を主制御基板64に供給することが可能となっている。また、メダルセレクタ58に設けられたメダルセンサの出力も、扉基板56を介して主制御基板64に供給されている。
【0046】
回胴基板68には、3つの回胴30A、30B、30Cをそれぞれ回転させるための回胴モータ104A、104B、104Cと、それぞれの回胴30A、30B、30Cの回転位置を検出するための回胴センサ106A、106B、106Cが設けられている。回胴基板68は、回胴センサ106A、106B、106Cによって、各回胴30A、30B、30Cの回転位置を検出しながら、回胴モータ104A、104B、104Cを駆動することにより、それぞれの回胴30A、30B、30Cを、所望の回転位置で停止させることが可能となっている。なお、本実施形態の遊技機10では、回胴モータ104A、104B、104Cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
【0047】
また、メダル払出装置74は、中継基板75を介して、主制御基板64に接続されており、主制御基板64からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。メダル払出装置74には、遊技メダルが払い出されたことを検知するために、図示しない払出センサが設けられている。遊技メダルが払い出されると、払出センサで検知して、信号が主制御基板64に出力される。
【0048】
また、これら各種制御基板及び基板で消費されたる電力は、電源基板76から供給されている。電源基板76には、100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧に変換した後、それぞれの制御基板及び基板に供給している。図6では、電源基板76から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。
【0049】
次に、主制御基板64における電源投入処理について説明する。
なお、電源投入処理は、電源スイッチ80がONになると、主制御基板64により開始される制御処理である。また、本実施形態では、電源投入処理の中の一工程に、箱体12の背面壁12Bの不正の有無を検出する不正検出処理が含まれている。
【0050】
図11に示すように、電源投入処理では、各初期設定が実行される(S100)。各初期設定として、主制御基板64及びサブ制御基板52の各CPUの初期設定S100A、割込みベクタ設定S100B、ポートの初期出力設定S100C、IYレジスタ設定S100D、打止め/自動精算スイッチの状態退避設定S100E、RWM未使用領域のクリア処理S100F、などが実行される。
【0051】
次に、箱体12の背面壁12Bの裏面チェック処理が実行される(S110)。この処理の詳細については、後述する。
【0052】
裏面チェック処理の後、設定キーが第1のONの状態であるか否かが主制御基板64により判断される(S120)。すなわち、この工程により、設定キーが第1のONの状態であれば、設定変更処理が開始される。
【0053】
設定キーが第1のONの状態であると判断された場合(S120:YES)には、設定変更処理が開始される(S130)。設定変更処理S130では、設定変更前RWMクリア領域先頭番地のリセットS130A、RWM領域クリア処理S130B、発光部112、116の発光パターンあるいは記憶手段64Cに記憶されている受光パターンの内容変更などの発光・受光パターン変更処理130Cが実行される。
【0054】
発光・受光パターン変更処理S130Cでは、作業者(スロットマシンが置かれたホールの係員など)がスロットマシン10の箱体12の背面壁12B外面に設けられている不正物ではない障害物や付属物の状況を確認して、発光部112、116の発光パターンの設定内容、あるいは記憶手段64Cに記憶されている受光部114、118の受光パターンの設定内容を適宜設定する。例えば、図6及び図8に示すように、スロットマシン10の最初の状態で箱体12の背面壁12Bに突出した不正物ではない障害物や不正物が設けられていない場合には、全ての発光部112、116からレーザ光が出射されるような発光パターンに設定することができる。また、全ての受光部114、118でレーザ光が受光される受光パターンを、正常な状態の受光パターンとして設定することができる。
【0055】
一方、スロットマシン10の最初の状態で箱体12の背面壁12Bに突出した不正物ではない障害物や不正物が設けられている場合には、その障害物や付属物に遮られるレーザ光を出射する発光部112、116の発光が停止され、他の発光部112、116から発光されるような発光パターンに設定することができる。また、障害物や付属物に遮られてレーザ光を受光できない受光部114、118と障害物や付属物に遮られることなくレーザ光を受光できる受光部114、118での受光パターンを、正常な状態の受光パターンとして設定することができる。
【0056】
その後、設定変更後RWM領域クリア処理、設定値、打止め/自動精算モードの格納処理、及び新規遊技時開始コマンドのセットが実行され、電源管理コード送信処理が実行される。
【0057】
設定キーが第1のONの状態ではないと判断された場合(S120:NO)には、電源断前のバックアップ用チェックデータが正常か否かについて、主制御基板64により判断される(S140)。
【0058】
その結果、電源断前のバックアップ用チェックデータが正常であると判断された場合(S140:YES)には、主制御基板64により遊技復帰処理が実行される(S150)。
【0059】
電源断前のバックアップ用チェックデータが正常ではないと判断された場合(S140:NO)には、バックアップ異常処理が実行される(S160)。バックアップ異常処理S160では、バックアップエラー時RWMクリア領域先頭番地リセットS160A、RWM領域クリア処理S160B、電源投入時バックアップエラーコードセットS160C、電源管理コード送信処理S160D、RWMエラーコードをセットS160Eが実行され、その後、エラー処理が実行される(S170)。
【0060】
次に、主制御基板64における裏面チェック処理について説明する。
この裏面チェック処理は、主制御基板64により電源投入処理の一工程として実行されるものである。この裏面チェック処理は、設定キーが第2のONの位置にある状態で電源投入された場合などに実行される処理である。
【0061】
図12に示すように、裏面チェック処理では、主制御基板64により正常状態設定モードか否かが判断される(S200)。この工程では、設定キーが第1のONの位置にある状態か否かに基づいて主制御基板64により判断される。例えば、設定キーが第2のONの位置にある状態で、電源スイッチ80が入れられ、その後、設定キーが第1のONの位置された場合には、正常状態設定モードと判断される。
【0062】
正常状態設定モードであると判断されると(S200:YES)、記憶手段64Cに記憶されている発光部112、116の発光パターンを実現するためのプログラムや受光部114、118での正常状態を示す受光パターンなどのデータがクリアされる(S210)。
【0063】
次に、不正検出領域が設定される(S220)。この不正検出領域は、記憶手段64Cに予め記憶された不正検出領域の変更可能範囲の中から、回胴停止ボタン40A、40B、40Cを操作することにより選択することができ、スタートレバー38を操作することにより、選択された不正検出領域が確定される。例予め記憶されている不正検出領域としては、例えば、遊技メダル補給用穴132上を通過する発光部と受光部を検出領域から除いた領域などが存在する。なお、不正検出領域の範囲は、演出表示装置22で表示され、作業者はその表示を見ながら変更操作する。なお、不正検出領域の設定は、上述したように予め定められた検出領域から選択する方式以外にも、管理者が自ら箱体12の背面壁12B外面の状況を見て、複数の発光部112、116のうち検出すべく領域の発光部を個別に設定・変更することとしてもよい。
【0064】
次に、初期設定用不正検出処理が開始される(S230)。初期設定用不正検出処理では、S220で設定された不正検出領域の各発光部112、116からレーザ光が出射され、各受光部114、118で受光される。これにより、レーザ光を発光すべき発光部112、116が特定され、各発光部112、116から出射されるレーザ光の発光パターンが設定・変更される。
【0065】
そして、S230における検出結果が記憶手段64Cに記憶される(S240)。すなわち、レーザ光が各受光部114、118で受光されたときの受光パターンが、正常状態を示す受光パターンであるとして、記憶手段64Cに記憶される。また、設定・変更されたレーザ光の発光パターンが、正常状態のときの発光パターンであるとして記憶手段64Cに記憶される。
【0066】
さらに、正常状態を設定・変更した回数として、+1回であることが記憶手段64Cに記憶される(S250)。なお、スロットマシン10のホールへの出荷時には、正常状態を設定・変更した回数がゼロ(0)と記憶されており、このゼロ(0)は記憶手段64Cから消去不可能になっている。これにより、管理者が把握している回数と異なる回数の変更回数が表示されることで、正常状態の設定が不正に行われたか否かを容易に認識することができる。その後、再度、電源投入されるまではスロットマシン10の遊技が停止した状態で待機し、遊技復帰処理へは移行しない。
【0067】
一方、正常状態設定モードではないと判断されると(S200:NO)、主制御基板64からサブ制御基板52に対して演出表示装置22に設定変更回数の表示を実行する行う信号を出力する(S260)。これにより、演出表示装置22に設定変更回数が表示される。
【0068】
次に、箱体12の背面壁12B外面の不正検出処理が開始される(S270)。この処理では、記憶手段64Cに記憶されたプログラムや発光パターンに基づいて、各発光部112、116からレーザ光が出射され、各受光部114、118で受光される。
【0069】
次に、各受光部114、118で受光されたレーザ光の受光パターンが検出結果として、記憶手段64Cに記憶される(S280)。これにより、不正検出処理が実行されると、受光部114、118における受光パターンがその検出結果として、その都度、記憶手段64Cに記憶される。
【0070】
次に、記憶手段64Cから正常状態の受光パターンを読み出して(S290)、主制御基板64により不正検出処理の検出結果が正常状態のものか否かが判定される(S300)。この判定処理では、上述したように、不正検出処理の検出結果は、記憶手段64Cに記憶された受光部114、118の受光パターンが用いられ、正常状態のものとして記憶手段64Cに記憶された受光パターンが用いられ、両者が一致するか否かが判定される(S310)。
【0071】
次に、不正検出処理の検出結果が正常状態であると判定されると(S310:YES)、箱体12の背面壁12Bに不正物となる回路基板等が細工されておらず、正常状態であるとして、S270の不正検出処理の検出結果が記憶手段64Cから消去される(S320)。その後、設定キー確認処理に移行する(S330)。
【0072】
一方、不正検出処理の検出結果が正常状態ではないものと判定されると(S310:NO)、主制御基板64からサブ制御基板52を介して演出表示装置22が表示制御され、演出表示装置22にエラー表示が出力される(S340)。これにより、作業者等は、箱体12の背面壁12B外面に不正行為が行われていることをスロットマシン10の正面から視覚的に確認することができる。
【0073】
ここで、不正検出処理の検出結果が正常状態ではないものと判定されると(S310:NO)、遊技制御手段64Aによる遊技の進行が遊技進行停止手段64Bにより停止される。具体的には、遊技メダル投入口34へ投入された遊技メダルを無効化したり(メダル投入の受付禁止)、スタートレバー38の操作を無効化する。これにより、電源投入時に不正検出処理が実行される場合には、スロット遊技が開始されることはない。
【0074】
そして、主制御基板64により不正行為に基づくエラーが解除されたか否かが判断され(S350)、エラーが解除された場合(S350:YES)には、S320に移行する。なお、エラーを解除する方法としては、前面扉14の内側(箱体内部側)に設けたエラー解除ボタン(図示なし)の操作が挙げられる。また、再度電源投入しないとエラー解除がされない形態としても良い。
【0075】
以上のように、第1実施形態のスロットマシン10によれば、電源投入時に箱体12の背面壁12B外面の不正検出処理を実行し、不正が存在する場合には、スロット遊技が開始されることがないため、不公正な遊技が進行することを防止できる。
【0076】
特に、光センサで不正の有無を検出することにより、不正を容易かつ確実に検出することができる。例えば、箱体12の背面壁12Bの上端部と下端部において対で設けられた発光部112、116と受光部114、118により、背面壁12Bの縦方向にレーザ光を出射すると、不正物ではない障害物が背面壁12B外面に設けられており、この障害物にレーザ光が遮断されて受光部114、118で受光できない場合が存在する。このとき、箱体12の背面壁12Bの左側端部と右側端部において対で設けられた発光部112、116と受光部114、118により、レーザ光の発光及び受光を行うことにより、障害物でレーザ光が遮断されて届かない部位にある不正物である不正回路基板などの検出を行うことができる。すなわち、箱体12の背面壁12B外面に対して、上下方向にレーザ光を出射して行う不正検出処理と、左右方向にレーザ光を出射して行う不正検出処理の2つの不正検出処理を行うことにより、不正検出処理を有効に行うことができるため、不正物ではない障害物の悪影響を低減することができる。
【0077】
例えば、図13の変形例に示すように、不正物ではない背面壁12Bから突出した障害物(付属物)140に、予め反射鏡142を取り付け、発光部及び受光部を一体的に組み合わせた光センサ144を用いて反射鏡142にレーザ光を照射してその反射光を受光することにより、光センサ144から障害物140までの光路上に、不正回路基板などの不正物が存在しているか否かを検出するようにしてもよい。すなわち、箱体12の背面壁12Bの外面に複数の障害物140が存在すると、図8に示す発光部112、116及び受光部114、118の配置状態では、障害物140の死角となる部位に不正物146が存在すると、上下方向に走るレーザ光や左右方向に走るレーザ光が照射できず、不正物146の存在を検知することができなくなる。これに対して、図13に示すように、不正物ではない障害物(付属物)140に、予め反射鏡142を取り付け、発光部及び受光部を一体的に組み合わせた光センサ144を用いて、発光部からレーザ光を出射することにより、正常状態の場合では、このレーザ光が反射鏡142で反射して戻り、受光部で受光されることになる。しかしながら、光路上に不正物146が存在すると、レーザ光が不正物140で遮断されて反射鏡142で反射されなくなる。このため、レーザ光を受光部で受光できなくなり、不正物146が存在することを容易に判別できる。なお、不正物ではない障害物(付属物)140には、反射鏡142ではなく、発光部又は受光部の一方を取り付け、箱体12の背面壁12Bに設けられた発光部又は受光部の他方との間で、レーザ光を発光及び受光するようにして、不正物の有無を判定するようにしてもよい。
【0078】
さらに、箱体12の背面壁12B外面の特定の部位だけの不正検出処理を行う場合には、特定の発光部112、116からレーザ光が出射するように制御することができる。このように、箱体12の背面壁12B外面の不正検出領域を自在に変更することができるため、箱体12の背面壁12B外面の環境(設備環境や付属品の有無など)に合わせた不正検出処理を実行することができる。
【0079】
なお、第1実施形態では、図11及び図12に示す各処理は、主制御基板64により実行される構成について説明したが、この構成に限られるものではなく、主制御基板64からの制御信号を受けたサブ制御基板52により実行するようにしてもよい。このとき、各発光部112、116の発光制御はサブ制御基板52により実行され、また、各受光部114、118による受光結果はサブ制御基板52に出力される。
【0080】
次に、第2実施形態に係るスロットマシンについて、図面を参照して説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、不正検出処理の内容及び方法を変更したものである。このため、以下の説明では、第1実施形態の構成と重複する構成の説明は省略して、第2実施形態の特徴となる不正検出処理の内容及び方法について、詳細に説明する。
【0081】
図14乃至図17に示すように、スロットマシン150の箱体12の背面壁12B外面には、上下方向に延びた2本のレール部材152が所定の間隔をあけて設けられている。各レール部材152上には、スキャナ装置154が移動可能に設けられている。スキャナ装置154は、箱状のスキャナ装置本体156と、スキャナ装置本体156に設けられた複数の可動片158と、可動片158の一方側端部と接触し通電可能にする接点スイッチ160と、を備えている。また、スキャナ装置154は、各レール部材152を通電することにより各レール部材152上を移動可能に構成してもよく、また、アーム機構やリンク機構などの機械的な手段を用いて各レール部材152上を移動可能となるように構成してもよい。また、スキャナ装置154は、主制御基板64又はサブ制御基板52と電気的に接続されており、主制御基板64又はサブ制御基板52によりスキャナ装置154の駆動が制御される。
【0082】
スキャナ装置本体156には、スキャナ装置本体156の幅方向にわたって回転軸162が取り付けられている。この回転軸162には、複数の可動片158の一方側端部近傍の部位が回転軸162に対して回転可能となるように取り付けられている。これにより、スキャナ装置本体156には、複数の可動片158が左右方向に並んだ形で取り付けられている。また、各可動片158は、個別に回転軸162に対して回転可能になっている。各可動片158の一方側端部には、接点スイッチ160と電気的に接続可能な端子部164がそれぞれ設けられている。さらに、各可動片158の一方側端部には錘部が設けられており、各可動片158の重心位置を中心からずらして偏心させることにより、各可動片158が回転軸162回りに回転し易くなるように設定されている。
【0083】
また、スキャナ装置本体156の内部には、スキャナ装置本体156の幅方向にわたって接点スイッチ160が取り付けられている。図16及び図17に示すように、各可動片158が初期状態から回転軸回りに90度回転した状態になると、各可動片158の一方側端部に設けられた端子部164が接点スイッチ160に接触して通電状態になる。接点スイッチ160は、主制御基板64又はサブ制御基板52と電気的に接続されているため、端子部164と接点スイッチ160とが通電状態になると、接点スイッチ160から通電信号が主制御基板64又はサブ制御基板52に出力される。これにより、主制御基板64又はサブ制御基板52は、端子部164と接点スイッチ160とが通電状態か否かを判断する。
【0084】
ここで、スロットマシン150の箱体12の背面壁12Bに、図8に示す不正穴ではない穴122等や、図16に示す不正穴170が存在すると、スキャナ装置154の移動に伴い穴122(170)上に位置した可動片158は、背面壁12Bからの反力がなくなると共に錘部の作用による重心移動が発生して、穴122(170)に落ちることになるため、回転軸162回りに回転する。可動片158が回転軸162回りに回転すると、可動片158の端子部164と接点スイッチ160とが通電状態になり、背面壁12Bに何らかの穴122(170)が形成されていることが主制御基板64又はサブ制御基板52によって判明する。
【0085】
次に、第2実施形態のスロットマシン150による不正検出処理について説明する。なお、第1実施形態のスロットマシン10による不正検出処理の工程と重複する工程については説明を省略する。
【0086】
図12に示すS230の初期設定用不正検出処理では、スキャナ装置154がレール部材152上を移動して、箱体12の背面壁12Bに形成された穴の状態が特定される。具体的には、スキャナ装置154が移動して可動片158が穴122上に位置すると、上述のように、可動片158が回転して可動片158の端子部164と接点スイッチ160とが接触して通電状態になる。これにより、スキャナ装置154の位置と通電状態の有無を対応させて記憶しておくことにより、どの部位に正規(不正ではない)の穴が形成されているかを特定することができる。そして、この状態が正常状態として記憶手段64Cに記憶される。
【0087】
図12に示すS270の不正検出処理では、図16に示すように、スキャナ装置154がレール部材152上を移動して、箱体12の背面壁12B外面上の不正に形成された不正穴170を検出する。スキャナ装置154が移動して可動片158が不正穴170上に位置すると、上述したように、可動片158が回転して可動片158の端子部164と接点スイッチ160とが接触して通電状態になる。このときの結果として、スキャナ装置154の位置と通電状態の有無とを対応付けたものが記憶手段64Cに記憶される。
【0088】
続いて、図12に示すS310の処理工程では、正常状態のスキャナ装置154による検出結果と、不正検出処理で実行されたスキャナ装置154による検出結果と、が比較され判定される。この結果、両者が一致していなければ(S310:NO)、不正有りとして判定され、S340に移行する。
【0089】
以上のように、第2実施形態のスロットマシンによれば、スキャナ装置154を箱体12の背面壁12B外面を移動させることにより、不正穴の有無を容易に検出することができる。
【0090】
ここで、第2実施形態のスキャナ装置154は、箱体12の背面壁12Bの幅方向にわたって一体的に設けられている構成を説明したが、この構成に限られず、小型のスキャナ装置を複数設け、個別に駆動制御可能に構成してもよい。これにより、不正の有無を検出したい部位に対応するスキャナ装置のみを移動させることにより、箱体12の背面壁12B外面の部分的な不正検出処理を実行することができる。特に、箱体12の背面壁12Bに不正物ではない障害物(付属物)が設けられている場合には、スキャナ装置の移動軌跡上に障害物(付属物)が存在しないスキャナ装置のみを移動させることにより、箱体12の背面壁12Bの外面環境に合わせた不正検出処理を実行することができる。
【0091】
また、スキャナ装置を箱体12の背面壁12Bの上下方向にわたって設け、このスキャナ装置を箱体12の背面壁12Bの左右方向に沿って移動させるようにしてもよい。
【0092】
また、本発明の「不正検出処理」は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、箱状筐体を有する遊技機において、箱体外面に対して不正な物体の取り付け、不正な開口等の不正行為が施されている虞がある場合に、島設備等から遊技機を取り外すことなく管理者に不正行為の有無を認識させる処理であれば、どのような方法で不正の検出を行ってもよい。
【0093】
また、前述した各実施形態においては、いずれも箱体裏側の背面板に対する不正を検出する構成としたが、これに限定されるものではなく、箱体の側面(箱体の両側面板)に対して不正検出処理によって不正検出を行う構成としても良い。また、背面板、側面板の両方を検出する構成としてもよく、かかる構成により、より精度の高い不正検出が可能となる。
【0094】
また、前述した各実施形態においては、遊技の進行を停止させる手段として、各遊技部材の機能を停止させることとしたが、遊技の進行を停止させる手段は、これに限定されるものではなく、次のような構成としてもよい。
【0095】
まず、電源ユニット78の電源スイッチが立ち上げられると、主制御基板ユニット66でなく、サブ制御基板ユニット50に最初に電源供給を行うこととする。そして、サブ制御基板52主導により箱体外面に対して不正検出処理を開始する。つまり、前述の実施形態における不正検出処理(レーザ光による不正検出、スキャナによる不正検出)や、箱体外面の正常状態を記憶する記憶手段、不正の有無を判定する判定手段等、不正発見の為の一連の機能をサブ制御基板52に備えることとする。そして、一連の不正発見処理がサブ制御基板52によって終了した後、サブ制御基板52は不正判定結果を電源ユニット78に送信する。そして、電源ユニット78は、サブ制御基板52によって不正が発見されなかった場合に、主制御基板ユニット66への電源供給を行う。一方、サブ制御基板52によって不正が発見された場合には、主制御基板ユニット66への電源供給を行わないようにする。これにより、箱体への不正が検出された場合には、遊技の開始ができなくなる。この結果、箱体に不正がされた状態で遊技が進行することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の各実施形態に係る遊技機の正面図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る遊技機の前面扉を開いて遊技機の内部の構成を示した斜視図である。
【図3】本発明の各実施形態に係る遊技機の内部の構成を示した正面図である。
【図4】本発明の各実施形態に係る遊技機に用いられる設定キーの説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る遊技機の側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る遊技機の裏面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る遊技機の変形例の側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る遊技機の変形例の裏面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る遊技機の電気的構成を示したブロック図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る遊技機の主制御基板の説明図である。
【図11】本発明の各実施形態に係る遊技機の電源投入処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の各実施形態に係る遊技機の裏面チェック処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態に係る遊技機の変形例の裏面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る遊技機の変形例の裏面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る遊技機のスキャナ装置の一部を拡大した斜視図である。
【図16】発明の第2実施形態に係る遊技機に用いられるスキャナ装置の作用図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る遊技機に用いられるスキャナ装置の構成を説明した説明図である。
【符号の説明】
【0097】
10 スロットマシン(遊技機)
12 箱体
12B 背面壁
14 前面扉(扉体)
64 主制御基板(遊技制御基板)
64A 遊技制御手段
64B 遊技進行停止手段
64C 記憶手段
64D 不正判定手段
64E 発光制御手段(不正検出領域変更手段)
64F 不正検出処理実行手段
76 電源基板(電源供給手段)
80 電源スイッチ(電源供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体と、
前記扉体によって閉鎖可能な開口部を有する箱体と、
前記箱体の内部に収容され遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
を有する遊技機であって、
前記箱体の外面の状態を検出する不正検出処理を実行するための不正検出処理実行手段と、
前記箱体の外面の正常状態を記憶する記憶手段と、
前記不正検出処理による検出結果と前記記憶手段に記憶されている正常状態とを照合し、両者が一致しないことを不正判定とする不正判定手段と、
前記不正判定手段による判定結果が前記不正判定であった場合に、前記遊技制御手段による遊技の進行を停止する遊技進行停止手段と、
を有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記不正検出処理による不正検出が可能な領域を変更する不正検出領域変更手段を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技制御手段に電源を供給する電源供給手段を有し、
前記不正検出処理実行手段は、前記電源供給手段が前記遊技制御手段に電源を供給する前に前記不正検出処理を実行するものであり、
前記遊技進行停止手段は、前記不正判定手段による判定結果が前記不正判定であった場合に、前記遊技制御手段への電源供給を停止することで遊技の進行を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−142336(P2009−142336A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320108(P2007−320108)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】